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JP6232282B2 - 音声認識誤り修正装置 - Google Patents
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JP6232282B2 - 音声認識誤り修正装置 - Google Patents

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Description

本発明は、音声認識技術に係り、特に、認識誤りを自動修正する音声認識誤り修正装置に関する。
例えばテレビ放送のニュース番組における放送音声について音声認識をして字幕を生成する場合、オペレータが、例えばタッチパネルモニタに提示された音声認識結果を一字一句目視でチェックし、誤りを発見したら訂正するといった作業を行っている。このようなオペレータの負荷を軽減して音声認識誤りを自動修正する技術が特許文献1に記載されている。例えばニュース番組の発話音声の認識結果は、発話の情報源となる原稿テキストをもとに発話された音声の認識結果であるため、このような自動修正を行うことが可能である。
ただし、音声認識の対象である発話内容は、原稿に基づいているものの、一部が言い換えられたり、一部の文節が脱落したり、新たな情報が加えられることがある。一方、音声認識装置は、この原稿テキストを用いて適応化したものを用いるため、発声単語列において原稿と同一の部分については高精度に認識できるものの、原稿とは不一致の部分については認識精度が低下する。また、雑音や、不明瞭な発声、言い誤り、言いよどみなどが原因で生じる認識誤りも含まれている。
特許文献1に記載された技術は、音声認識結果から原稿内の出力候補として確定すべき原稿の区間に、長さN(単語数N)の単語連鎖ブロックを用いるものである。この出力候補として確定すべき原稿の区間とは、音声認識結果の単語列と、原稿内の単語列と、を比較して両者の単語列の一致率を求めるべき区間のことである。特許文献1に記載された技術では、音声認識結果の単語列(単語数Nh)と、原稿内の単語列(単語数Nr)と、が共に同じ単語数Nであるものとして、基準とする音声認識結果の単語列(単語数N=Nh)に対して、不一致率が最も小さくなるような原稿の単語列を探索し、その一部を修正結果として出力する。以下では、この従来技術の方式をブロック照合方式と呼ぶ。
ブロック照合方式について、簡単のため、N=Nh=6として図8を参照して説明する。発話すべき原稿テキストの1つは、元原稿600「西 日本 と 東 日本 の 太平洋 側 では 先月 気象庁 が …」であるものとする。この場合、照合ブロックB1は、元原稿600の「西」からの6単語を含むように設定され、照合原稿701は、「西」〜「の」までの6単語の連鎖ブロックとなる。照合ブロックB2は、照合ブロックB1から1単語分だけ右にずらして設定され、照合原稿702は、「日本」〜「太平洋」までの6単語の連鎖ブロックとなる。同様に、照合ブロックB3は、照合ブロックB2から1単語分ずらして設定され、照合原稿703は、「と」〜「側」までの6単語の連鎖ブロックとなる。また、照合ブロックB4は、照合ブロックB3から1単語分ずらして設定され、照合原稿704は、「東」〜「では」までの6単語の連鎖ブロックとなる。さらに、照合ブロックB5は、照合ブロックB4から1単語ずらして設定され、照合原稿705は、「日本」〜「先月」までの6単語の連鎖ブロックとなる。
ここで、元原稿600を読み上げて音声認識された認識結果801が、例えば、「日本 の 大西洋 側 では 先月」であった場合、3番目に入力した認識単語「大西洋」は、「太平洋」の誤りである。照合ブロックB1〜B5を用いた場合、認識結果801との一致率が最も高くなるのは、照合原稿705である。よって、この場合、修正出力901は、照合原稿705と同じテキストデータである、「日本 の 太平洋 側 では 先月」となる。これにより、誤りが修正される。
特開2012−128188号公報
従来技術であるブロック照合方式は、自動修正を行うことができる反面、認識結果の単語列のブロック境界が未知であることに起因する自動修正誤りがあり、改良の余地があった。先の例では、元原稿600において、確定した単語列の最後の単語「先月」の次に、「気象庁」が配置されているので、認識結果801の次に入力する単語列に対して、照合ブロックB6が「気象庁」からの6単語を含むように設定され、照合原稿706が「気象庁」からの6単語の連鎖ブロックとなったときに、次の認識結果と照合原稿との一致率が最も高くなると考えられる。ただし、当初から単語「先月」と単語「気象庁」との間に、ブロック境界が存在すると分かっていたわけではない。
例えば、発話内容の一部に句などの脱落があった場合、出力候補として確定すべき原稿の区間の単語数Nrは、基準とする音声認識結果の単語列の単語数N=Nhよりも大きくなってしまう。ここで、脱落した文節の単語数をδdとすると、Nr=Nh+δdの関係となる。したがって、基準とする単語数N=Nhの観点からは、N=Nh < Nr の関係となる。本来であれば、基準とする単語数Nより長いNrの原稿区間において、修正候補を見つけなければならないが、そのような適切なNrは未知であり設定することができない。
具体例として、図8に示す元原稿600から図9に示す認識結果802が得られた場合を想定する。認識結果802は、「東 日本 の 側 では 先月 気象庁 が …」である。1〜6番目の入力単語「東 … 先月」からなるブロックに着目すると、元原稿600と見比べて4番目には「太平洋」の脱落誤りが生じて、認識単語「側」が入力している。つまり、δd=1である。この場合、出力すべき原稿を求めるために、図8に示す区間の長さが6である照合原稿において探索すると、図9の認識結果802との一致率が最も高くなるのは、照合原稿704である。これにより、今回の照合における長さ6の区間においては、脱落していた「太平洋」が修復される。ただし、次に照合される照合ブロックにおいて、以下の問題が生じる。認識結果802の7番目以降の入力単語「気象庁 が … 」からなるブロックに対応して、一致率が最も高くなるのは、照合原稿706である。つまり、前回の照合と今回の照合とを連結した修正出力902でみた場合、ブロック境界の認識単語である「先月」が出力から欠落する問題が生じる。
また、発話内容に、情報の追加や言いよどみによる分節などの繰り返しがあった場合、出力候補として確定すべき原稿の区間の単語数Nrは、基準とする音声認識結果の単語列の単語数N=Nhよりも小さくなってしまう。ここで、追加された情報の単語数、または言いよどみなどで繰り返し発話された単語数をδiとすると、Nr=Nh−δiの関係となる。したがって、基準とする単語数N=Nhの観点からは、N=Nh > Nr の関係となる。本来であれば、基準とする単語数Nより短いNrの原稿区間において、修正候補を見つけなければならないが、そのような適切なNrは未知であり設定することができない。
具体例として、図8に示す元原稿600から図10に示す認識結果803が得られた場合を想定する。認識結果803は、「日本 の 泰平 用賀 まで は」の6単語である。元原稿600と見比べて文節の区切り(分節)が異なり、かつ単語誤りが生じており、元原稿の5単語分しか認識されていないことが分かる。つまり、δi=1である。この場合、出力すべき原稿を求めるために、図8に示す区間の長さが6である照合原稿において探索すると、図9の認識結果803との一致率が最も高くなるのは、同スコアを有した照合原稿705,704の2つである。
例えば照合原稿1(照合原稿705)を採用した場合、今回の照合による修正出力1は、照合原稿705と同じテキストの修正出力901となる。ただし、認識結果803に続いて認識単語として「先月」が入力した場合、次回に照合される照合ブロックの先頭が「先月」の位置のときの照合原稿のスコアが最も高くなるため、修正出力1の直後の出力(次回の照合の出力)は、修正出力903となる。つまり、前回の照合と今回の照合とを連結した修正出力でみた場合、ブロック境界の認識単語である「先月」が二重に出力される問題が生じる。
同様に、例えば照合原稿2(照合原稿704)を採用した場合、今回の照合による修正出力2は、照合原稿704と同じテキストの修正出力904となる。ただし、認識結果803の入力以前の認識単語として「… 西 日本 と 東」が入力している場合、直前に照合された照合ブロックの末尾が「東」の位置のときの照合原稿のスコアが最も高くなるため、修正出力2の直前の出力(前回の照合の出力)は、修正出力905となる。つまり、前回の照合と今回の照合とを連結した修正出力でみた場合、ブロック境界の認識単語である「東」が二重に出力される問題が生じる。
さらに、基準とする音声認識結果の単語列に対応する原稿区間に起こるこのような不一致は、発話内容だけに起因するのではなく、音声認識装置の認識誤りによっても生じる。例えば、複数単語を1単語として認識するような誤りは、句の脱落と同様の不一致を引き起こすことになる。一方、1単語を複数単語として認識するような誤りは、情報の追加と同様の不一致を引き起こすことになる。特にブロック境界に誤認識単語があった場合、対応する原稿区間が不適切になり、正しく修正できないことが多い。
従来技術では、これらの不適切な原稿区間と、音声認識結果の単語列と、を照合してしまう結果、ブロック境界において、単語が欠落したり、同じ単語が2回出力されたりするなどの自動修正誤りが生じる。このような自動修正誤りは、音声認識結果による単語仮説列の境界(文境界)が未知であるかぎり、音声認識結果と原稿との対応をとる区間の単位を文や他の単位としても同様に生じる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、従来のブロック照合方式における自動修正誤りの発生を低減できる音声認識誤り修正装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る音声認識誤り修正装置は、原稿テキスト集合に含まれる原稿を読み上げた発話音声を認識する音声認識装置が出力する認識単語列を入力として受け付け、予め記憶した対応原稿集合の中から対応原稿の単語列を推定することで、前記認識単語列に含まれる誤りを修正する音声認識誤り修正装置であって、対応原稿集合記憶手段と、ノードデータ更新手段と、ノードデータ記憶手段と、原稿探索手段と、原稿出力手段と、を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、音声認識誤り修正装置は、対応原稿集合記憶手段に、前記原稿テキスト集合を予め読み込んで構築された前記対応原稿集合であって状態を表すノードとノード間の状態遷移を表す枝とをネットワークとして有した重み付き有限状態トランスデューサで表された前記対応原稿集合を記憶している。そして、音声認識誤り修正装置は、ノードデータ更新手段によって、前記認識単語列の単語の入力を受け付ける時刻毎に、前記重み付き有限状態トランスデューサのネットワーク上を遷移可能な状態のスコアをノードデータとして計算および更新し、ノードデータ記憶手段に、前記計算されたノードデータを更新時刻毎に記憶する。そして、音声認識誤り修正装置は、原稿探索手段によって、最終最良仮説を確定するための全原稿についての全認識単語列の認識結果の入力を待たずに予め定められた処理開始条件が満たされる度に、その時点で記憶されている前記ノードデータに基づいて前記ネットワーク上をトレースバックしながら、前記最終最良仮説を部分的に近似した仮説を誤り修正結果として逐次確定する。そして、音声認識誤り修正装置は、原稿出力手段によって、前記誤り修正結果として確定された対応原稿を逐次出力する。
本発明によれば、従来のブロック照合方式においてブロック境界に起因して生じた自動修正誤りの発生を低減することができる。
本発明の実施形態に係る音声認識誤り修正装置を含むシステムを模式的に示すブロック図である。 重み付き有限状態トランスデューサの構築例を模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係る音声認識誤り修正装置の構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る音声認識誤り修正装置によるトレースバック及び原稿分割を説明するための図(その1)である。 本発明の実施形態に係る音声認識誤り修正装置によるトレースバック及び原稿分割を説明するための図(その2)である。 本発明の実施形態に係る音声認識誤り修正装置による処理の流れを示すフローチャートである。 重み付き有限状態トランスデューサで適用できるアルゴリズムの例を示す模式図である。 従来技術において認識誤りの訂正を説明するための模式図である。 従来技術において認識結果の欠落を説明するための模式図である。 従来技術において認識結果の二重出力を説明するための模式図である。
以下、本発明の音声認識誤り修正装置について詳細に説明する。
図1に示す音声認識誤り修正装置100は、原稿テキスト集合200に含まれる原稿201を読み上げた発話音声を認識する音声認識装置220が出力する認識結果の単語列(認識単語列)を入力として受け付け、予め記憶した対応原稿の単語列を推定することで、認識単語列に含まれる誤りを修正するものである。ここで、音声認識誤り修正装置100が推定処理のために予め記憶した情報は、原稿テキスト集合200を予め読み込んで構築された対応原稿の集合であって、状態を表すノードとノード間の状態遷移を表す枝とをネットワークとして有した重み付き有限状態トランスデューサ(Weighted Finite State Transducers:以下、WFSTという)で表された対応原稿集合である。この音声認識誤り修正装置100は、WFSTのネットワーク上で最良仮説を逐次調べ、WFST上の対応原稿の単語列と認識単語列との編集距離を基準に、全ての単語の入力を待たずに最終最良仮説を近似して部分的に修正結果を逐次確定する。
図1に示した例は、地方放送局発のニュース番組に音声認識を用いて字幕を付与する場合に適用するための音声認識誤り修正装置100を含むシステム全体を模式的に示している。このような番組の発話音声は、概ね事前に用意された原稿テキストに基づいているという特徴がある。また、大規模なキー放送局は、音声認識結果に含まれる認識誤りを人手で修正するためのオペレータを配置しているが、地方放送局は、現状では前記オペレータを配置することが難しいことから、このような例を示した。本実施形態によれば、地方放送局のオペレータ配置の課題を解決することができる。
図1に示す原稿テキスト集合200は、人が話す予定の内容をテキストに書き起こしたものの全体を表している。原稿テキスト集合200は、例えば文、文章、段落といった単語列の区切りの単位や、そのテーマやトピック等の内容分類に応じて、多数の細分化された個別の内容に分けられる。このような個別の内容を、以下では単に原稿と呼ぶ。また、単語列の単位が一例として文であるものとして説明する。
本実施形態では、例えば下記(A1)〜(A7)の条件を前提としている。
(A1)原稿テキスト集合200内の複数の原稿文が音声認識対象として読まれる。
(A2)例えば1つのニュース項目に関する原稿といっても、いくつかの更新された版(バージョン)が用意されていて、どのバージョンの原稿が何時のニュース番組で読まれるのか事前には分かっていない。
(A3)複数の原稿文がどのような順番で読まれるのか事前には分かっていない。
(A4)原稿テキスト集合200に含まれる原稿文には、読まれないものもある。
(A5)読む人物によっては、原稿通りに読まずに、敢えて言い回しを変えてしまう場合や、言い誤りが生じる場合がある。
(A6)音声認識装置220の認識誤りのため意昧不明になった字幕を送出して視聴者に誤解を与えたり不快にさせたりすることを回避することを大前提とする。そのため、意味不明な認識結果の場合には送出せず、代わりに、事前に編集者により校正され内容が確認されている、発話内容に最も近いと自動推定された原稿(事前原稿)を字幕として送出する。
(A7)インタビュー部分などであって認識結果に対応する原稿が元々存在しない場合、自動推定は不可能なので、元原稿が無いインタビュー部分などについては字幕を送出しない。
原稿テキスト集合200は、記者が例えばニュース番組用に入稿した原稿の電子データの集合であって、例えばハードディスク等の一般的な記憶装置やネットワーク上の記憶手段に記憶されている。この原稿テキスト集合200は、対応原稿集合のWFSTを事前に構築するためにも利用される。
音声認識装置220は、生の音声データが入力された場合に、隠れマルコフモデル(HMM)による音響モデル、言語モデルを利用して、音声データを認識し、その認識した結果を認識単語列として生成するものである。本実施形態において、音声認識装置220は、特に限定されず、従来公知のものを採用することができる。
なお、前記(A2)の条件に示す通り、各ニュース項目に対して複数のバージョンの原稿が入稿されており、どのバージョンをどの順番で放送するのかは事前に確定できない。そのような状況で、音声認識装置220は、音声認識を行い、その発話音声に対して、そもそも、対応する原稿が存在するのか否かを即座に調べなければならない。そのため、音声認識に用いる言語モデルは、高精度に音声認識結果と原稿との対応をとるために、原稿テキスト集合200を用いて適応化しておき、原稿通りに読み上げた場合の認識精度が高くなるようにしておくことが好ましい。
トランスデューサ構築装置240は、音声認識誤り修正装置100で利用する対応原稿の集合(対応原稿集合)としてWFSTを構築するものである。
トランスデューサ構築装置240は、音声認識の対象となる読み上げ原稿、つまり、原稿テキスト集合200に含まれる原稿文から、音声認識誤り修正装置100で利用するWFSTを事前に構築する。WFSTは、入力シンボルと出力シンボル、遷移重みを有する有限状態機械であり、単語と文などの異なる粒度の入出力を効率よく扱うことができる。このWFSTの構築については後記する。
音声認識誤り修正装置100は、音声認識装置220から認識結果の単語が入力される度に、WFSTを用いて、入力単語を受理可能な遷移を求めてそのスコアを計算し、累積スコアに対する閾値を用いて枝刈りを行いながら、従来公知のビタビアルゴリズム(Viterbi Algorithm)による探索(ビタビ探索)を用いることを前提としている。なお、ビタビアルゴリズムとは、受信系列に対して送信符号に最も近い、即ち尤度を最大にする符号系列を推定する際に、最大尤度の符号系列を、トレリス線図を用いて効果的に探索する方法である。
通常のビタビ探索では、全ての入力が観測されてから、最もスコアが良くなるパスをトレースバックして最良仮説を出力する。そのため、通常の探索方法では、全ての入力が観測され終わる前に、古い入力から順に逐次修正結果を出力するといったことはできない。例えば、テレビ放送番組の放送音声を認識した結果から字幕を制作してリアルタイムでテレビ画面の画像に重畳する場合を想定すると、通常のビタビ探索による最尤系列は番組の最後まで単語を入力しないと確定することができない。これでは番組が終了してしまうことになるので、このような運用に対して通常のビタビ探索は不適である。
一方、音声認識誤り修正装置100は、ビタビ探索を用いつつも、最尤系列を逐次近似してトレースバックする。すなわち、予め定められた処理開始条件が満たされる度に、その時点で最もスコアが良くなるパスをトレースバックして、確定できる出力遷移を決定するので、修正結果を逐次出力することができる。ここでトレースバックされるパスは、最良仮説の近似であるが、各出力遷移に対応する入力単語列と、原稿の単語列との編集距離を信頼度の基準にして同パスを確定するか否かを決定して近似精度の向上をはかる。なお、詳細は後記する。
[構築されたWFSTの例]
図2は、トランスデューサ構築装置240で構築されたWFSTの例である。WFSTは、状態を表すノードと、状態遷移を表す枝と、を有する。なお、状態遷移のことを単に遷移という場合もある。本実施形態では、入力シンボルを単語、出力シンボルを所定の単語列とする、WFSTを構築する。所定の単語列を文として説明する。
この例では、楕円形の各ノードに、識別するため3桁の数字を付している。始点ノードはノード001であり、終点ノードはノード008である。この例では、始点と終点との間には、ノード002〜ノード007が直線状に並べられている。また、始点と終点との間には、並列に、ノード010〜ノード015が直線状に並べられている。さらに、始点と終点との間には、並列に、ノード018〜ノード023が直線状に並べられている。また、この例では、状態(ノード)と状態(ノード)との間に、遷移(枝)が設定されている。ここで、ノードとノードとの間という場合、自ノード間も含まれている。各遷移には、単語が記載されているか、または、記号として<S>、<I>、<D>、<EmiX(ここでXは1〜3の1つ)>および<eps>のうちのいずれかが記載されている。
まず、図2のすべての遷移について一般化して説明すると、このWFSTは、状態と状態間の各遷移に、(Si/So:ω)のパラメータが設定されている。ここで、Siとは同遷移が受理する単語入力を表し、Soとは同遷移が出力する所定の単語列(文)を表し、ωは遷移重み(状態遷移重み)を表す。つまり、各遷移には、3つ組のパラメータが設定されている。ただし、図2では紙面の都合上、パラメータをすべての遷移に記載しているわけではなく、単語が記載された合計18の遷移に、3つ組のパラメータのうちのSi、Soのいずれかのみが記載されている。
ここで、図2に記載された単語を一般化して単語sと表記する。なお、アルファベットの大文字と小文字とを区別している。図2において、単語sは、原稿の単語列が含んでいる単語を表す。単語sが記載された各遷移は、当該遷移に記載された単語sと同じ単語が入力されたときのみ遷移可能なことを表している。つまり、原稿の単語列が含んでいるある単語sの位置に対応する認識単語列の位置に入力した単語が、原稿のある単語sと同じ単語であれば、状態遷移することができる。要するに、単語sが記載された各遷移は、音声認識された単語を受理して進む遷移である。このようにここで構築するWFSTは、全ての原稿文を自由に接続できるネットワークである。
図2において、単語sが記載された遷移についてのパラメータは、(s/ε:0.0)で表される。ここで、sは同遷移が受理できる単語入力を表し、εはこの遷移で出力は無いことを意昧する。また、0.0は遷移重みの1つであって、この遷移に対して単語sと同じ単語が入力されたときには、ペナルティが課されないことを意味する。例えば、図2で「先月」が記載された遷移は、3つ組のパラメータで表すと、(先月/ε:0.0)のことである。
図2において、<S>が記載された遷移は、置換単語を受理するための遷移である。つまり、原稿の単語列が含んでいるある単語sの位置に対応する認識単語列の位置に入力した単語が、原稿のある単語sとは異なる任意の単語に置換されていたときに、その置換単語を受理するための遷移である。以下、原稿の単語列が含んでいるある単語sの位置において、この単語sとは異なる任意の単語のことを、任意の単語*と表記する。この置換には、例えば「再開」が同音異義語の「再会」に翻字されて認識された場合も含まれる。
図2において、<S>が記載された遷移は、任意の単語*を受理可能である。この<S>が記載された遷移についてのパラメータは(*/ε:ωs)で表される。ここで、*は同遷移が受理できる任意の単語入力を表し、εはこの遷移で出力は無いことを意昧する。また、ωsは遷移重みの1つであって、この遷移に対して単語sとは異なる任意の単語*が入力されたときに課すペナルティ(以下、置換ペナルティという)を意味する。この置換ペナルティωsは、ノードスコアを下げる数値で表され、例えば-1.0を用いる。例えば、図2で<S>が記載された遷移は、3つ組のパラメータで表すと、(*/ε:-1.0)のことである。
図2において、<I>が記載された遷移は、挿入単語を受理するための遷移である。つまり、発話者に起因して、発話内容に情報の追加や言いよどみによる分節などの繰り返しがあった場合、原稿どおり又は置換されたと認識された単語列に続く位置に挿入された単語を受理するための遷移である。また、音声認識装置220に起因して、原稿通りならば1単語と認識すべきところを、複数単語として認識するような認識誤りで生じて、原稿通りの1単語に続く位置に挿入された単語を受理するための遷移である。
図2において、<I>が記載された遷移は、任意の単語*を受理可能である。この<I>が記載された遷移についてのパラメータは(*/ε:ωi)で表される。ここで、*は同遷移が受理できる任意の単語入力を表し、εはこの遷移で出力は無いことを意昧する。また、ωiは遷移重みの1つであって、この遷移に対して任意の単語*が入力されたときに課すペナルティ(以下、挿入ペナルティという)を意味する。この挿入ペナルティωiは、ノードスコアを下げる数値で表され、例えば-1.0を用いる。例えば、図2で<I>が記載された遷移は、3つ組のパラメータで表すと、(*/ε:-1.0)のことである。
図2において、<D>が記載された遷移は、脱落単語を受理するための遷移である。つまり、発話者に起因して、発話内容の一部に句などの脱落があった場合、認識単語列において原稿から脱落した単語の位置を特定するための遷移である。また、音声認識装置220に起因して、原稿通りならば複数単語と認識すべきところを、単語が削除されて1単語として認識するような認識誤りで生じて、認識単語列において原稿から脱落した単語の位置を特定するための遷移である。
図2において、<D>が記載された遷移は、単語の入力が無くても遷移可能である。この<D>が記載された遷移についてのパラメータは(ε/ε:ωd)で表される。ここで、はじめのεはこの遷移で単語の入力が無いことを意昧し、次のεはこの遷移で出力が無いことを意昧する。また、ωdは遷移重みの1つであって、この遷移で単語が脱落したときに課すペナルティ(以下、脱落ペナルティという)を意味する。この脱落ペナルティωdは、ノードスコアを下げる数値で表され、例えば-1.0を用いる。例えば、図2で<D>が記載された遷移は、3つ組のパラメータで表すと、(ε/ε:-1.0)のことである。
図2において、<EmiX>が記載された遷移は、所定の単語列として文Lを出力するための遷移であり、修正結果を出力するための遷移である。この<EmiX>が記載された遷移についてのパラメータは(ε/L:0.0)で表される。ここで、εはこの遷移において単語の入力が無いことを意昧する。また、Lはこの遷移で出力される単語列(文)を意昧する。例えば、図2で<Emi1>が記載された遷移は、3つ組のパラメータで表すと、(ε/先月の関東甲信地方は…:0.0)のことである。つまり、この場合、Lは、始点ノード001からノード002を経由してノード007に至る各遷移に並べられた単語列「先月 の 関東甲信 地方 は …」をすべて順番に繋げた単語列となる。なお、パラメータ0.0は遷移重みの1つであって、この遷移に対して文を出力するときには、ペナルティが課されないことを意味する。
図2において、<eps>が記載された遷移は、終点ノードと始点ノードを連結する遷移であり、イプシロン遷移(ε遷移)と呼ばれている。<eps>が記載された遷移は、原稿テキスト集合に含まれる所定の単語列(文)が、連続して発話されるという拘束を与える遷移である。<eps>が記載された遷移についてのパラメータは(ε/ε:ωu)で表される。はじめのεはこの遷移で単語の入力が無いことを意昧し、次のεはこの遷移で出力が無いことを意昧する。また、ωuは遷移重みの1つであって、適切な重み(数値)を与えることにより、WFSTは、より長く一致する文のスコアを高くすることができるようになる。
[WFSTの構築方法]
トランスデューサ構築装置240によるWFSTの構築方法について説明する。
予めWFSTにおいて出力遷移(<EmiX>が記載された遷移)を配置するための単語列の単位を決定しておく。これは、必要とする誤り修正能力に応じて設定することができる。出力遷移を配置する位置は、原稿テキスト集合200に含まれる原稿の単位を1つの区切りとすることができる。出力遷移を配置する位置は、文章単位、句単位、あるいは、記者が原稿の読み易さのために配置した改行単位などが利用可能である。ここで、長い単位を設定すると修正精度は高くなるが、送出する字幕単語列の確定が遅くなる。逆に、短い単位を設定すると、送出する字幕単語列の確定は速くなるが修正精度が低下する。よって、どのような単位を利用するかについては、期待される音声認識の認識精度と、原稿と読み上げ音声の一致度合いと、に応じて適宜設計すればよい。
本実施形態では、WFSTにおいて出力遷移を配置する位置は、一例として文を単位に決定されていることとしている。別の観点では、図2のWFSTは、文(所定単位の単語列)毎に始点ノード001と終点ノード008との間に文を構成する各単語の入力遷移を表す枝(図2において単語sが記載された遷移)と出力遷移を表す枝(図2において<EmiX>が記載された遷移)とを含んでいる。
WFSTの構築は、まず、WFSTの始点から始めて、原稿テキスト集合200に含まれる原稿テキストを一単語ずつ読み込む度に、同単語を受理する重み0の遷移と新たなノードとを順次作成していく。ここで、重み0の遷移とは3つ組のパラメータで表すと、(s/ε:0.0)のことである。そして、前記した予め決定された単位になったら、出力遷移を追加してWFSTの終点ノードに連結する。まだ原稿が残っていたら、再び始点から始めて、原稿テキストを一単語ずつ読み込む度に、同単語を受理する重み0の遷移と新たなノードとを順次作成していく。そして、前記した予め決定された単位になったら、出力遷移を追加してWFSTの終点ノードに連結する。以下、同様に繰り返す。
原稿テキスト集合200から、すべての原稿テキストを読み込み終えたならば、最後に、終点ノードと始点ノードとをε遷移で連結する。ここで、ε遷移とは3つ組のパラメータで表すと、(ε/ε:ωu)のことである。ここで、遷移重みωuに適切な重みを与える。これにより、WFSTはより長く一致する文のスコアを高くすることができるようになり、他の文の接頭辞と一致する文が原稿中に存在する場合にも、適切に動作できるようになる。最後に、各単語の遷移に、置換、脱落、挿入を受理する遷移を追加する。
[トランスデューサ構築装置の構成例]
図1に示す例では、トランスデューサ構築装置240は、単語ネットワーク登録手段241と、編集ネットワーク登録手段242と、を備えている。
単語ネットワーク登録手段241は、原稿テキスト集合200に含まれる原稿テキストにおける予め定められた所定単位(例えば文単位)毎に次の一連の処理を行う。すなわち、単語ネットワーク登録手段241は、一連の処理として、原稿テキスト集合200に含まれる原稿テキストに含まれる単語列の単語を読み込む度に、WFSTのネットワークの始点ノードから、単語を受理する入力遷移の枝と新たなノードとを、読み込んだ単語列が予め定められた所定単位(例えば文単位)になるまで順次作成する。そして、WFSTのネットワークにおいて、読み込んだ単語列の出力遷移の枝を追加して終点ノードに連結する。
編集ネットワーク登録手段242は、単語ネットワーク登録手段241で作成されたWFSTのネットワークのノード間に、単語の置換に対応して任意の単語を受理する状態遷移を表す枝と、単語の挿入に対応して任意の単語を受理する状態遷移を表す枝と、単語の削除に対応して入力が無くても出力側に遷移する状態遷移を表す枝とを追加するものである。
[音声認識誤り修正装置の構成例]
図1に示す例では、音声認識誤り修正装置100とは別にトランスデューサ構築装置240を設けたが、図3に示すように、例えば音声認識誤り修正装置100がトランスデューサ構築装置240を備えるようにしてもよい。この音声認識誤り修正装置100は、図3に示すように、WFST記憶手段(対応原稿集合記憶手段)110と、ノードデータ更新手段120と、ノードデータ記憶手段130と、原稿探索手段140と、原稿出力手段150と、を備えている。
WFST記憶手段(対応原稿集合記憶手段)110は、原稿テキスト集合200を用いて予め構築されたWFST(対応原稿集合)を記憶している。このWFST(対応原稿集合)は、トランスデューサ構築装置240が構築したものである。よって、WFSTについては、図2を参照して説明したものと同じなので重複を避けるため説明を省略する。
ノードデータ更新手段120は、音声認識装置220が出力する認識単語列の単語の入力を受け付ける時刻毎に、WFSTのネットワーク上を遷移可能な状態のスコアをノードデータとして計算および更新するものである。ノードデータ更新手段120は、例えば認識単語が1単語入力するたびに、WFST記憶手段110に記憶されたWFSTを参照して逐次的にビタビ探索を行い、ノードデータを更新する。
ノードデータ更新手段120は、認識単語列として入力する単語が、対応原稿と同じ単語である場合、スコアに「0」を加算し、入力する単語が対応原稿と異なる単語である場合、スコアにペナルティの「−1」を加算する。
例えば、図2に示す例において、認識単語列として入力する単語列が、対応原稿と全く同じ単語列である場合、始点ノード001から、単語「先月」を受理して対応原稿の単語に対応する遷移を通ってノード002に進むので、ノードデータ更新手段120は、スコアに「0」を加算する。その後、例えば、「の」を受理してノード003に進むと、スコアに「0」を加算する。同様に、「関東甲信」、…を受理していくと、スコアに「0」ずつ足していくことになる。
一方、例えば、図2に示す例において、認識単語列として入力する単語列が、対応原稿と異なる単語列である場合、始点ノード001から、単語「先週」を受理すると、対応原稿の単語「先月」が置換されているので、置換に対応する遷移を通ってノード002に進む。この場合、ノードデータ更新手段120は、スコアにペナルティの「−1」を加算する。また、挿入誤りや脱落誤りに対応する遷移を通った際も、同様にノードデータ更新手段120は、スコアにペナルティの「−1」を加算する。
このように、入力する認識単語がWFSTにおける単語sと同じであった場合に、そのパスのスコアが最良となる。一方、置換、挿入、削除の編集があった場合、スコアが悪化する。例えば<D>が記載された遷移は、入力が無くても遷移できるが、<D>が記載された遷移だけを通るパスの場合、出力遷移に近づくほど、スコアが低くなっている。WFSTは、認識単語列に、誤りや言い変えが含まれると、その分だけスコアが悪くなるというネットワークとして作成されている。
ノードデータ記憶手段130は、ノードデータ更新手段120によって計算されたノードデータを更新時刻毎に記憶するものであり、例えばメモリやハードディスク等の一般的な記憶手段である。
原稿探索手段140は、最終最良仮説を確定するための全原稿についての全認識単語列の認識結果の入力を待たずに予め定められた処理開始条件が満たされる度に、その時点で記憶されているノードデータに基づいてWFSTのネットワーク上をトレースバックしながら、最終最良仮説を部分的に近似した仮説を誤り修正結果として逐次確定するものである。
原稿探索手段140は、WFST(対応原稿集合)に含まれる対応原稿の単語列と、入力された認識単語列との編集距離に基づいて最終最良仮説を近似する。原稿探索手段140は、WFSTのネットワーク上で予め定められた範囲毎に区切ったパス間において、その先頭から末尾までのパス区間での編集距離がある程度小さければ、そのパス区間が信頼できるものとして確定して出力する。ここで、編集距離が短いということは、認識単語列と原稿の単語列とがほとんどマッチしているパスを通ってきたことを意味する。逆に、編集距離が長いパス区間は信頼度が低いので、その時点では確定せずに、次回のトレースバックのときにも利用する。いつまでも信頼度が低いパス区間は、原稿には元々記載されていない違うことを話した区間である、と推定される。よって、信頼度が低いパス区間を出力しない。以下では、WFSTのネットワーク上で予め定められた範囲のパス区間を、一例として、WFSTのネットワーク上の2つの出力遷移間に挟まれたパス区間であるものとして説明する。
前記処理開始条件が満たされるとは、例えば、発話音声がない無音期間が所定の期間に達した場合、または、音声認識装置220が出力する認識単語列としての単語の入力数が所定の単語数に達した場合等を意味する。所定の期間は特に限定されないが一例として3秒間を挙げることができる。また、所定の単語数は特に限定されないが一例として20単語を挙げることができる。このときの起動信号は、例えば音声認識装置220に自動的に出力させるようにしてもよいし、操作者がポーズだと認識したときや、所定の単語数になったと認識したときに、手動で入力するようにしてもよい。これによれば、認識単語の入力毎に探索処理を開始する場合に比べて処理負荷を低減できる。また、例えば無音期間が所定の期間だけあれば、その間、認識結果の逐次受信が停止しているので、その時点のノードスコアを容易に比較することができる。
上記機能を実現するために、本実施形態では、原稿探索手段140は、一例として図3に示すように、最大スコアノード検出手段141と、トレースバック手段142と、原稿分割手段143と、出力候補記憶手段144と、編集距離算出手段145と、編集距離判別手段146と、確定出力記憶手段147と、確定時刻記憶手段148と、を備えることとした。
最大スコアノード検出手段141は、予め定められた処理開始条件が満たされた場合、その時点で記憶されているノードデータにおいてスコアが最大のノードを検出するものである。例えば、発話音声がない無音期間(ポーズ)が所定の期間に達した場合、または、認識結果としての単語の入力数が所定の単語数に達する度に、その旨を示す起動信号が、最大スコアノード検出手段141に入力する。
トレースバック手段142は、最大スコアノード検出手段141で検出されたノードから、当該ノードに到達したパスについてWFSTのネットワークを下流から上流に向かってたどり、前回のトレースバックで確定し、出力された単語系列の最後の入力単語に対応した時刻までトレースバックするものである。
図4は、図2に示したWFSTにパスP1を付加した模式図である。図4において、スコアが最大のノードがノード020であるものとする。また、前回のトレースバックで確定された最後の入力単語に対応したノードがノード007であったものとする。この場合、トレースバック手段142は、星印で示す位置から、パスP1をノード020、ノード019、ノード018の順番に逆向きにたどり、始点ノード001へ達すると、さらに終点ノード008に戻る。次に、2本目のツリーの出力遷移<Emi2>を経てノード015に達する。続いて、トレースバック手段142は、図5において、ノード015、ノード014、…の順番に逆向きにたどり、始点ノード001へ達すると、パスP2で示すように終点ノード008に戻る。次に、1本目のツリーの出力遷移<Emi1>を経てノード007に達する。
図3に戻って、原稿探索手段140の説明を続ける。
原稿分割手段143は、今回トレースバックするパスの中で、2つの出力遷移間に挟まれたパス区間毎にWFST(対応原稿集合)に含まれる対応原稿の単語列を切り出すものである。図4及び図5を用いて説明した例の場合、出力遷移<Emi1>と出力遷移<Emi2>との間に挟まれたパス区間が、原稿分割手段143により分割される。
出力候補記憶手段144は、原稿分割手段143で分割されたパス区間に対応した出力遷移の出力シンボル(切り出された原稿)を、出力候補として記憶するものであり、例えばメモリやハードディスク等の一般的な記憶手段である。図4及び図5を用いて説明した例の場合、「今週 も まとまった 雨 は …」が、出力候補として記憶される。
編集距離算出手段145は、原稿分割手段143で切り出された対応原稿毎に、入力された認識単語列との編集距離を算出するものである。本実施形態では、編集距離は、当該パス区間についての挿入、置換、削除に係る編集操作回数を、当該パス区間の単語数で除した値で定義される。ここで、認識単語列の単語の置換、挿入、削除の編集操作回数をeとし、出力遷移が対応する原稿の単語数をNrとすると、編集距離は、原稿の単語数Nrに対する、認識単語列の単語の編集操作回数eの割合(e/Nr)で表される。
具体的には、図2に示す例において、WFST上のパス区間が「ノード007→ノード008→ノード001→ノード0010→ノード0011→ノード0012→ノード0013→ノード0014→ノード0015」である場合を想定する。このパス区間は、6単語からなるものとし、単語「今週」が「今月」に置換されて認識されていた場合、編集距離は1/6となる。
編集距離判別手段146は、WFSTのネットワークを下流から上流に向かってパス区間を選択しながら、算出された編集距離が所定の閾値以下であるか否かを順次判別し、閾値以下である場合、WFSTのネットワーク上の当該パス区間の出力遷移を確定し、その出力シンボルを誤り修正結果として確定するものである。ここで、編集距離(e/Nr)が閾値T以下である場合、つまり、e/Nr≦T を満たすとき、出力遷移の出力シンボルを修正結果として確定する。また、編集距離判別手段146は、編集距離(e/Nr)が閾値Tより大きい場合、その出力シンボルを採用しない。つまり、閾値より大きな編集距離を有したパス区間の出力遷移の出力は、一旦保留され、このパス区間以降に確定された出力遷移があった場合には棄却される。なお、編集距離(e/Nr)がその定義から0〜1の範囲の値なので、閾値は0<T<1の関係を満たす。
確定出力記憶手段147は、編集距離判別手段146にて編集距離が所定の閾値以下であると判定された場合、当該所定パス区間における出力遷移の出力シンボルを誤り修正結果として記憶するものであり、例えばメモリやハードディスク等の一般的な記憶手段である。確定出力記憶手段147の記憶構造は、スタックであり、データを後入れ先出しの構造で保持する。
確定時刻記憶手段148は、今回のトレースバック処理で確定した確定時刻を記憶するものであり、例えばメモリやハードディスク等の一般的な記憶手段である。確定時刻記憶手段148は、今回トレースバックする全パス区間(切り出された全ての原稿)について編集距離判別手段146による判別処理が終了した時点で、スタックに積まれた出力シンボルに対応する最新の確定単語の時刻を確定時刻として記憶する。
原稿出力手段150は、原稿探索手段140によって誤り修正結果として確定された対応原稿を逐次出力するものである。原稿出力手段150は、WFSTのネットワークを今回トレースバックするパスの中で、切り出されたすべての対応原稿の各パス区間に対して算出された編集距離についての判定処理が全て終了するまでに確定され、スタックに積まれた出力シンボルのデータをスタックが空になるまで出力する。
この音声認識誤り修正装置100による修正出力は、間違いを正すことと、間違いを出力しないこと、の両方の意味を含んでいる。つまり、音声認識誤り修正装置100による修正結果を、仮に事前に人が見ることができたとしたときに、「これでは文章として成立していない」、「意味が異なっている」と感じるほどの間違い部分を、音声認識誤り修正装置100がその処理の中で検出し、その検出部分を出力しないという動作も、広義の誤り修正として含んでいる。
[音声認識誤り修正装置の動作]
本発明の実施形態に係る音声認識誤り修正装置100による処理の流れについて図6を参照(適宜図3参照)して説明する。
(前提1)認識結果の単語入力を{ω0,ω1,…,ωk,…,ωj,…}とする。
(前提2)前回のトレースバックにより確定した部分の最後の入力単語をωkとし、そのときの出力遷移をap(時間軸に沿ったP番目の出力遷移)とする。
(前提3)認識結果の単語ωjが入力された後、所定の無音が続いたことをトリガに、逐次確定を行う場合を考える。
(前提4)ノードデータ更新手段120は、無音になる前に最後に入力した単語ωjを受理して遷移できるノードを全て計算する。
所定の無音が続いたことをトリガに、最大スコアノード検出手段141は、現時点で記憶されているノードデータにおいて最もスコアの高いノードを検出する(ステップS1)。この検出ノードで表される状態は、トレースバック開始時点の最尤状態である。そして、トレースバック手段142は、検出されたノードから、当該ノードに到達したパスについてWFST上の単語履歴を逆向きにたどり、前回のトレースバックで確定し、出力された単語系列の最後の入力単語ωk(WFSTの遷移が受理した単語がωkである遷移)に対応した確定時刻までトレースバックする(ステップS2)。ここで、前回のトレースバックで確定し、出力された単語系列の最後の入力単語ωkに対応した確定時刻としては、確定時刻記憶手段148に格納されている確定時刻を用いる。なお、単語がωkである遷移の代わりに、出力遷移aPにたどり着くまでトレースバックするようにしてもよい。
そして、原稿分割手段143は、今回トレースバックするパスの中で、2つの出力遷移間に挟まれたパス区間毎に原稿を分割し、出力候補として出力候補記憶手段144に格納する(ステップS3)。ここで、出力遷移aPにたどり着くまで逆向きに進みながら、出力可能な出力遷移aL(時間軸に沿ったL番目(ただしL>P)の出力遷移)を通過する度に原稿を分割してもよいし、出力遷移aPの側から出力可能な出力遷移aLを通過する度に原稿を分割してもよい。また、出力可能な出力遷移aLとは、出力遷移のシンボルが出力候補になるものであるが、後に編集距離判別手段146により棄却され出力されない出力遷移も含んでいる。このような出力候補の編集距離をDと表記する。
そして、編集距離算出手段145は、出力候補の編集距離Dを算出する(ステップS4)。具体的には、出力遷移aLの出力シンボルに対応する区間、すなわち、WFST上を出力遷移aLから逆向きに進んだときの直前の出力遷移aL-1と当該出力遷移aLとの間に挟まれたパス区間、についての編集操作回数(つまり、<S>、<D>、<I>を通った回数)を、同区間の単語数で割った値を、当該出力遷移aLにおける編集距離DLとして算出する。すなわち、同区間の編集操作回数をeLとし、同区間の単語数をNL rとすると、出力遷移aLにおける編集距離DLは、eL/NL rで表される。
そして、編集距離判別手段146は、所定の出力候補を選択し、算出された編集距離Dが閾値T以下であるか否かを判別する(ステップS5)。編集距離Dが閾値T以下である場合(ステップS5:Yes)、編集距離判別手段146は、WFST上の当該パス区間の出力遷移を確定し、その出力シンボルを誤り修正結果として確定する(ステップS6)。さらに、編集距離判別手段146は、今回確定した出力シンボルのデータを、確定出力記憶手段147に記憶されたスタックに積み(ステップS7)、ステップS8に進む。
そして、編集距離判別手段146は、前方に依然として選択すべき出力候補がある場合(ステップS8:No)、前記ステップS5に戻る。一方、すべての出力候補選択が選択された場合(ステップS8:Yes)、すなわち、切り出されたすべての原稿に対応した各パス区間に対して算出された編集距離についての判定処理が終了した場合、原稿出力手段150は、その時点でスタックに積まれている出力シンボルのデータをスタックが空になるまで順次出力する(ステップS9)。これにより、前方側に配置された原稿から順に出力される。
ここで、編集距離判別手段146は、すべての出力候補選択を選択した場合(ステップS8:Yes)、スタックに積まれた出力シンボルに対応する確定単語の時刻が最も新しいものを今回のトレースバック処理で確定した確定時刻として確定時刻記憶手段148に格納する。
また、前記ステップS5において、編集距離Dが閾値Tより大きい場合(ステップS5:No)、データをスタックに積むことなくステップS8に進む。
つまり、原稿出力手段150は、毎回のトレースバック処理でスタックに積んだデータを、確定された原稿として逐次出力する。この際に、音声認識結果のうち、所定のパス区間の編集距離Dが閾値Tより大きい場合、信頼度が低いパスなので、当該パス区間の出力遷移の出力シンボルは、誤り修正結果としては採用されず、出力もされない。
[編集距離の閾値Tの決め方]
音声認識の認識精度が90%くらいならば、編集距離の値も90%くらいになる可能性がある。判別に用いる編集距離の閾値Tとしては、音声認識の認識精度よりも充分低いところ、例えば単語一致率の信頼度分だけ下方にマージンを取って設定することが好ましい。ここで、単語一致率の信頼度は、WFSTのネットワークの2つの出力遷移間の単語数に依存する。
その他の要因としては、原稿テキスト集合200に含まれる原稿の候補の文章としての重なりがどのくらいの割合であるのかという点も考慮して閾値Tを決めることが好ましい。例えば、下記(E1)〜(E3)に示す文の場合、文章としての重なりが80%くらいの割合で含まれている。
(E1) 今日 の 天気 は 晴れ です
(E2) 今日 の 天気 は 雨 です
(E3) 今日 の 天気 は 曇り です
このような場合、編集距離の閾値も80%くらいに設定してしまったとしたら所望の動きが実現できない。なお、ニュース原稿の一文ごとに出力遷移を配置し、閾値Tを50%とした条件で実験した場合、問題なく動作することが確認できた。
[WFSTのオプション]
<オプション1:言い換えを受理するWFSTの構築>
WFSTの情報源となる原稿には、それが読まれるときに、読み飛ばされる句や、言い換えられる句、補足される句が含まれている場合がある。これらの一部には、定型で高い頻度で起こるものがある。例えば、ニュース番組の原稿では、取材元を表す「警視庁によりますと、」などの句は、読み飛ばされやすい定型句である。ただし、これを読み飛ばしたとしても、ニュース主文(5W1H)の文意に変わりはなく、実用上の問題はない。
オプション1では、このような定型の言い回しをWFSTに追加しておくことで、精度よく修正結果を出力できるようにしたものである。WFSTは、従来公知のように、音声認識デコーダや機械翻訳などに用いられており、種々の演算アルゴリズムが知られている。例えば、合成(図7(a)参照)、最小化(図7(b)参照)、決定化(図7(c)参照)を行うアルゴリズムを適用することができ、効率よい状態遷移機械を構成できるという特徴がある。上記の言い回しの追加については、原稿から構築したWFSTとは別に、言い回しを追加するためのWFSTを別途構築しておき、原稿から構築したWFSTと合成することにより、効率よく実現できる。
例えば、言い換え例については、過去の同種の番組の原稿と、実際に読み上げられた単語列と、の差分から、頻度が高く、同言い換えによって文意に変更がないものを選別して用意しておく。この選別された言い換え例ごとに、言い換えを合成するためのWFSTを構築しておき、原稿から構築したWFSTと合成演算を施すことにより、言い換えに対応可能なWFSTを構築することができる。ここで、WFSTの合成について図7(a)を参照して説明する。
図7(a)では、ノードを円形で示している。図7(a)の左側の上の図は、原稿から構築したWFSTの一例の模式図であり、図7(a)の左側の下の図は、追加されるWFSTの一例の模式図である。図7(a)の右側の図は、原稿から構築したWFSTと、追加されるWFSTとを合成した後のWFSTの模式図である。
<オプション2:WFSTを作成する際のオプションA>
WFSTを作成する際に、必要があればWFSTの最小化を行ってもよい。ここで、WFSTの最小化について図7(b)を参照して説明する。図7(b)の左側の図は、原稿から通常の手法で構築されたWFSTの一例を示す模式図である。ここで、a1〜a6は異なる単語を示す。
図7(b)の右側の図は、原稿から通常の手法で構築されたWFSTを最小化した後のWFSTの模式図である。最小化した後のWFSTには、元のWFSTの3つの単語列において共通する接頭辞(単語a1,a2)について、配列順序(単語位置)を考慮してノード(状態)を集約し、最小個数の枝(遷移)が配置されている。
WFSTの最小化によれば、同じ接頭辞を有する単語列(文)を同一の遷移で共有できるので、演算量を削減することができる。
<オプション3:WFSTを作成する際のオプションB>
また、WFSTを作成する際に、必要があればWFSTの決定化を行ってもよい。ここで、WFSTの決定化について図7(c)を参照して説明する。図7(c)の左側の図は、図7(b)の右側に示すWFSTと同じ形状のWFSTの模式図である。ただし、図7(b)において単語a4が記載されていた遷移には、代わりに出力文o1が記載されている。同様に、単語a5が記載されていた遷移には、代わりに出力文o2が記載され、単語a6の代わりに出力文o3が記載されている。
図7(c)の右側の図は、元とするWFSTを決定化した後のWFSTの模式図である。決定化した後のWFSTでは、元のWFSTと比べて、出力文o3が1つ前(1つ左側)の遷移に記載されている点が異なっている。
元のWFSTには、左から2番目のノードから次のノードへ状態遷移する際に分岐があり、この2番目のノードから図中下のノードに遷移した時点で、出力文がo1やo2ではなくo3になることが決定的であることが分かる。そこで、少しでも早く推定結果を出力するために、決定化した後のWFSTでは、出力文の位置を変更したものである。
WFSTの決定化によれば、出力文を、接頭辞がユニークとなる遷移に移動して、出力文を旱期に確定できるようになるなどの利点がある。ただし、WFSTを作成する際にWFSTの決定化を行った場合、原稿探索手段140による最尤仮説の探索処理でも対応できるように設定変更が必要である。つまり、WFSTの決定化を行わない場合に比べて、編集距離を計算するためのパス区間を出力遷移の前後にシフトさせる必要がある。加えて、前後のパス区間の伸縮分を吸収できるように、閾値Tをより厳しい値(小さい値)に設定する必要がある。
[他のオプション]
本発明は、多言語字幕の生成にも応用可能である。例えば図2に示すWFSTのノード015の次の<Emi2>が記載された出力遷移に、ノード010〜015までの和文に対応した英文を出力シンボルとすることにより、日本語の音声入力に対応した英語の字幕を生成することができる。また、日英の字幕を同時に生成する必要がある場合には、「今週 も まとまった 雨 は …」にその英訳文を併記したものを利用することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る音声認識誤り修正装置100は、原稿中の文が、任意の順番で連続して発声されるという拘束のもと、文境界を固定せずに、認識結果と原稿との対応を単語単位でとることで、従来のブロック照合方式の自動修正誤りを解消する。一方で、より精度の高い修正出力を得るためには、出力は、文、又はそれに準じる単位があった方が望ましい。この二律背反を解消して両立させるため、音声認識誤り修正装置100は、認識結果と原稿との対応を、重み付き有限状態トランスデューサ(WFST)を用いて求めている。
そして、音声認識誤り修正装置100は、認識単語の単語列が原稿の単語列と比較して、どこと一番マッチしているのかを、従来のブロック照合方式(特許文献1の技術)の長さN(単語数N)の単語連鎖ブロックより長い範囲で照合している。従来のブロック照合方式と比べると、認識単語の単語列と原稿の単語列とを照合するための区間を、単語連鎖ブロックに相当する区間だけではなく、原稿の文章を遡っていった、もっと長い文章全体で照合する。そのため、どこでマッチさせるのがよいのかが従来よりも明白に分かり、自動修正誤りを従来よりも低減できる。
以上、実施形態に基づいて本発明に係る音声認識誤り修正装置について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、発話音声の認識単語に対する推定対応原稿の信頼度が高いか否かを編集距離を用いて判別することとしたが、編集距離のほか、原稿と認識結果の一致率、一致精度、脱落率、挿入率を利用したり、それらを併用したりしてもよい。
また、例えば図2に示すWFSTの<EmiX>が記載された出力遷移に、音声認識の結果では得られない「、」や「。」、記号なども原稿の表記に従って出力シンボルに埋め込むことができる。この場合、より読みやすい字幕を生成することができる。
本発明において、字幕を付けることは必須ではない。また、音声認識の対象となる話す予定の内容がある程度決まっていて、その内容を事前に入手できるようであれば、必ずしも放送番組の音声を前提とするものでなくてもよい。
本発明の音声認識誤り修正装置100の性能を確かめるために以下の実験を行った。
音声認識対象は、ニュース番組(首都圏ニュース845)の9番組分から取得した気象コーナーを除く420文とした。これらの音声認識結果を入力として420文の修正結果を人の目で見て確認して分析し、その分析結果を、「適切・同意」、「不適」、「出力なし」、「判定困難」の4種類に分類した。ここで、「不適」とは、文章として成立していないものや、意味の異なるものを表す。また、「判定困難」とは、複数文にまたがる言い換えや、「同意」であるかどうか判断できないものを表す。分析結果を表1に示す。
Figure 0006232282
表1の分析結果で示すように、適切・同意に分類された文章は、実施例の方が多かった。また、比較例では、その18%の出力が不適な文章であったのに対し、実施例では不適な出力は皆無であった。なお、実施例の方が「出力なし」が多い理由は、実施例では、音声認識結果のうち、所定のパス区間の編集距離Dが閾値Tより大きい場合、信頼度が低いパスとして、当該パス区間の出力遷移の出力シンボルを出力しないからである。実際、出力されなかった43の文章は、すべてが、インタビューVTR音声など、対応原稿が元々存在しないものであった。
したがって、少なくとも、前記実施形態で説明した地方放送局発のニュース番組に音声認識を用いて字幕を付与する場合に前提とする条件(A6)、つまり、音声認識装置220の認識誤りのため意昧不明になった字幕を送出して視聴者に誤解を与えたり不快にさせたりすることを回避することを大前提とする場合には、実施例が好適であることを確かめることができた。
100 音声認識誤り修正装置
110 WFST記憶手段(対応原稿集合記憶手段)
120 ノードデータ更新手段
130 ノードデータ記憶手段
140 原稿探索手段
141 最大スコアノード検出手段
142 トレースバック手段
143 原稿分割手段
144 出力候補記憶手段
145 編集距離算出手段
146 編集距離判別手段
147 確定出力記憶手段
148 確定時刻記憶手段
150 原稿出力手段
200 原稿テキスト集合
220 音声認識装置
240 トランスデューサ構築装置
241 単語ネットワーク登録手段
242 編集ネットワーク登録手段

Claims (6)

  1. 原稿テキスト集合に含まれる原稿を読み上げた発話音声を認識する音声認識装置が出力する認識単語列を入力として受け付け、予め記憶した対応原稿集合の中から対応原稿の単語列を推定することで、前記認識単語列に含まれる誤りを修正する音声認識誤り修正装置であって、
    前記原稿テキスト集合を予め読み込んで構築された前記対応原稿集合であって状態を表すノードとノード間の状態遷移を表す枝とをネットワークとして有した重み付き有限状態トランスデューサで表された前記対応原稿集合を記憶する対応原稿集合記憶手段と、
    前記認識単語列の単語の入力を受け付ける時刻毎に、前記重み付き有限状態トランスデューサのネットワーク上を遷移可能な状態のスコアをノードデータとして計算および更新するノードデータ更新手段と、
    前記計算されたノードデータを更新時刻毎に記憶するノードデータ記憶手段と、
    最終最良仮説を確定するための全原稿についての全認識単語列の認識結果の入力を待たずに予め定められた処理開始条件が満たされる度に、その時点で記憶されている前記ノードデータに基づいて前記ネットワーク上をトレースバックしながら、前記最終最良仮説を部分的に近似した仮説を誤り修正結果として逐次確定する原稿探索手段と、
    前記誤り修正結果として確定された対応原稿を逐次出力する原稿出力手段と、
    を備えることを特徴とする音声認識誤り修正装置。
  2. 対応原稿集合記憶手段に記憶された前記対応原稿集合として予め構築された重み付き有限状態トランスデューサは、前記ネットワークとして、
    前記対応原稿集合に含まれる対応原稿毎に始点ノードと終点ノードとの間に前記対応原稿の単語列を構成する各単語の入力遷移をそれぞれ表す枝と前記単語列の出力遷移を表す枝とを含み、
    前記終点ノードから前記始点ノードに遷移する状態遷移を表す枝とを備えると共に、
    単語の置換に対応して任意の単語を受理する状態遷移を表す枝と、単語の挿入に対応して任意の単語を受理する状態遷移を表す枝と、単語の削除に対応して入力が無くても出力側に遷移する状態遷移を表す枝と、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1に記載の音声認識誤り修正装置。
  3. 前記原稿探索手段は、
    前記対応原稿集合に含まれる対応原稿の単語列と、入力された前記認識単語列との編集距離として、前記重み付き有限状態トランスデューサのネットワーク上で予め定められた範囲のパス区間の対応原稿の単語列についての挿入、置換、削除に係る編集操作回数を、当該パス区間の単語数で除した値を算出し、
    前記パス区間毎に算出された前記編集距離を所定の閾値と比較することで、前記最終最良仮説を近似することを特徴とする請求項2に記載の音声認識誤り修正装置。
  4. 前記原稿探索手段は、
    前記編集距離が前記閾値以下である対応原稿の単語列が確定された時点で、前記重み付き有限状態トランスデューサのネットワークにおいて当該対応原稿のパス区間以前に逐次出力が確定された対応原稿までさかのぼって、前記編集距離が前記閾値以下となったすべてのパス区間の対応原稿を前記原稿出力手段によってネットワークの上流から順次出力させ、前記編集距離が閾値より大きなすべてのパス区間の対応原稿を出力させないことを特徴とする請求項3に記載の音声認識誤り修正装置。
  5. 対応原稿集合記憶手段に記憶された前記対応原稿集合として予め構築された重み付き有限状態トランスデューサは、前記ネットワークとして、
    前記原稿テキスト集合に含まれる単語列と同様の意味を有する予め定められた言い換え候補の単語列を受理する枝、または/および、前記原稿テキスト集合に含まれる単語列であって前記音声認識装置が出力する認識単語列において脱落する可能性があるものとして予め定められた単語列を受理する枝を、さらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の音声認識誤り修正装置。
  6. 前記原稿探索手段は、前記発話音声がない無音期間が所定の期間に達した場合、または、前記音声認識装置が出力する認識単語列としての単語の入力数が所定の単語数に達した場合、前記処理開始条件が満たされたものとして、前記重み付き有限状態トランスデューサのネットワーク上をトレースバックすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の音声認識誤り修正装置。
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