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JP6234882B2 - 植物栽培装置 - Google Patents
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JP6234882B2 - 植物栽培装置 - Google Patents

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Description

本発明は、植物栽培装置に関する。
従来の植物栽培装置として、例えば、特許文献1には、植物を養液栽培する植物工場が記載されている。特許文献1記載の植物工場では、植物栽培棚から排液ラインを介して養液が排出されるときに、当該養液に含まれる硝酸イオン濃度がセンサによって検出される。そして、特許文献1記載の植物工場では、植物育成管理装置が、硝酸イオン濃度の検出信号に基づいて、養液漕への肥料の供給量を制御する。
特開2012−231721号公報
上述したような植物栽培装置においては、栽培種、栽培量或いは植物の成長度合いによって、養液に含まれる所定物質のイオン濃度が大きく変化する。このため、イオン濃度を精度良く検出するためには、広いダイナミックレンジ及び高い検出感度が必要となる。
ここで、特許文献1には、硝酸イオン濃度を検出するセンサについて、具体的に開示されていない。そこで、例えば、紫外吸光度分析法を用いて硝酸イオンの濃度を検出すると、硝酸イオン濃度が高濃度である場合に、吸光度の飽和が起こり易くなるので、ダイナミックレンジは狭く検出精度も低下する。
吸光度分析法では、養液を流入させる測定部の光路長(流路の幅)を短くすれば、吸光度の飽和が起こり難くなるので、ダイナミックレンジが広くなり、検出精度も向上する。しかし、植物体断片、分泌物或いは砂等によって測定部が目詰まり等を起こし易くなり、また、これら植物体断片等の光路への混入による光散乱等が発生し易くなるので、硝酸イオン濃度を精度良く検出することが困難となる。
そこで、本発明は、広いダイナミックレンジ及び高い検出感度を有し、養液に含まれる所定物質のイオン濃度を精度良く検出することができる植物栽培装置を提供することを目的とする。
本発明の植物栽培装置は、養液によって植物が栽培される栽培槽と、養液が流れる流路及び流路に接する光透過領域を有する測定部と、光透過領域側から光透過領域と流路との境界面に入射する光を発する発光部と、境界面で光透過領域側に反射した光を受ける受光部と、測定部における光の吸収強度に基づいて、養液に含まれる所定物質のイオン濃度を検出する検出部と、を備える。
この植物栽培装置では、境界面での反射1回あたりの吸収強度が大きい養液に対しては境界面での反射回数を減らし、境界面での反射1回あたりの吸収強度が小さい養液に対しては境界面での反射回数を増やすことで、養液に含まれる所定物質のイオン濃度の検出において、広いダイナミックレンジ及び高い検出感度を実現することができる。また、検出対象は、光反射によって生じたエバネッセント光が到達する領域の養液に限られるので、流路の幅を、植物体断片等による目詰まり等が発生しないように拡大することができる。更に、植物体断片等の光路への混入による光散乱等も発生し難くなる。養液内でのイオン濃度の大きな変化に対応して、イオン濃度の検出を精度良く行うことができる。よって、この植物栽培装置によれば、広いダイナミックレンジ及び高い検出感度を有し、養液に含まれる所定物質のイオン濃度を精度良く検出することができる。
本発明の植物栽培装置は、栽培槽に養液を供給する養液供給部を更に備え、検出部は、検出したイオン濃度に基づいて、イオン濃度が所定濃度となるように養液供給部を制御してもよい。この構成によれば、栽培種、栽培量或いは植物の成長度合い等に応じた所望のイオン濃度に、養液に含まれる所定物質のイオン濃度を調整することができる。
本発明の植物栽培装置は、測定部に標準液を供給する標準液供給部と、栽培槽から前記測定部への養液の供給と標準液供給部から測定部への標準液の供給とを切り換える第1切換部と、を更に備え、検出部は、第1切換部を制御し、標準液供給部から測定部への標準液の供給が行われているときに、測定部における光の吸収強度に基づいて、測定部の校正を行ってもよい。この構成によれば、検出部によって校正が行われるので、植物栽培装置では各部の経年変化又は環境変化等が起こり易いものの、養液に含まれる所定物質のイオン濃度を精度良く検出することができる。
本発明の植物栽培装置は、測定部に洗浄液を供給する洗浄液供給部を更に備え、第1切換部は、栽培槽から測定部への養液の供給と標準液供給部から測定部への標準液の供給と洗浄液供給部から測定部への洗浄液の供給とを切り換え、検出部は、第1切換部を制御し、洗浄液供給部から測定部への洗浄液の供給が行われた後に、校正を行ってもよい。この構成によれば、測定部に付着した汚れ等が除去された状態で、検出部による校正の正確性を向上させることができる。
本発明の植物栽培装置は、栽培槽から測定部に供給された養液が排出される排出部を更に備えてもよい。この構成によれば、養液に含まれる所定物質のイオン濃度を検出した結果、植物の栽培に適したイオン濃度でなかった場合には、当該養液を排出部に排出することができる。
本発明の植物栽培装置は、測定部から栽培槽への養液の循環供給と測定部から排出部への養液の排出とを切り換える第2切換部を更に備えてもよい。この構成によれば、養液に含まれる所定物質のイオン濃度を検出した結果、植物の栽培に適したイオン濃度であった場合には、当該養液を栽培槽に再供給して再利用することができる。
本発明の植物栽培装置は、前記光透過領域側から前記境界面に入射する前記光の入射角を調整する入射角度調整部を更に備えてもよい。この構成によれば、境界面での反射1回あたりの吸収強度が大きい養液に対しては境界面での反射回数を減らし、境界面での反射1回あたりの吸収強度が小さい養液に対しては境界面での反射回数を増やすというように、ダイナミックレンジ及び検出感度を調整することができる。
本発明によれば、広いダイナミックレンジ及び高い検出感度を有し、養液に含まれる所定物質のイオン濃度を精度良く検出することができる植物栽培装置を提供することが可能となる。
第1実施形態の植物栽培装置の構成図である。 図1の植物栽培装置の測定セルの断面図である。 境界面での反射回数を増減させる様子を示す概念図である。 境界面での反射回数を増減させるための入射角度調整部の構成の一例図である。 図4の測定ユニットによって取得された吸収強度と測定波長との関係を示す図である。 第2実施形態の植物栽培装置の構成図である。 第3実施形態の植物栽培装置の構成図である。 測定セルの第1変形例の断面図である。 測定セルの第2変形例の断面図である。 測定セルの第3変形例の断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1に示されるように、植物栽培装置1Aは、植物栽培部20、測定装置10、養液供給部4、標準液供給部5、洗浄液供給部6及び排出部7を備えている。植物栽培部20は、循環する養液Nによって植物Pの栽培を行う。測定装置10は、植物栽培部20から養液Nの供給を受けて、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度の検出を行う。養液供給部4は、植物栽培部20に養液Nを供給する。標準液供給部5は、測定装置10に標準液を供給する。洗浄液供給部6は、測定装置10に洗浄液を供給する。排出部7には、測定装置10に供給された養液Nが排出される。
植物栽培部20は、栽培槽21、中間槽22、配管23及び配管24を有している。栽培槽21には、植物Pの根を養液Nに浸漬させた状態で植物Pを支持する植物栽培棚21aが配置されている。このように、栽培槽21では、養液Nによって植物Pが栽培される。配管23及び配管24は、栽培槽21と中間槽22とを互いに接続している。養液Nは、配管23及び配管24並びにポンプ(図示省略)によって、中間槽22から栽培槽21に循環供給される。
測定装置10は、測定ユニット11及び制御部(検出部)12を有している。測定ユニット11では、中間槽22から供給された養液Nについて、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度を検出するための吸収強度の測定が実施される。制御部12では、中間槽22から供給された養液Nについて、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度が検出される。
養液供給部4は、タンク4a及び配管4bを有しており、栽培槽21に養液Nを供給する。タンク4aには、養液Nが貯留されている。タンク4aに貯留された養液Nは、配管4b及びポンプ(図示省略)によって中間槽22に供給される。養液Nの中間槽22への供給に際しては、植物Pの栽培に好適なイオン濃度となるように、養液供給部4が制御部12によって制御される。
標準液供給部5は、タンク5a及び配管5bを有しており、後述する測定ユニット11の測定セル16に標準液を供給する。タンク5aには、標準液が貯留されている。洗浄液供給部6は、タンク6a及び配管6bを有しており、後述する測定ユニット11の測定セル16に洗浄液を供給する。タンク6aには、洗浄液が貯留されている。配管5bの下流側端部及び配管6bの下流側端部は、配管51の上流側端部に接続されている。配管51の下流側端部及び配管52の下流側端部は、配管53の上流側端部に接続されている。配管52の上流側端部は、中間槽22に接続されている。配管53の下流側端部は、後述する測定ユニット11の測定セル16に接続されている。
配管5bの下流側端部及び配管6bの下流側端部が配管51の上流側端部に接続された部分には、第1電磁弁54が設けられている。配管51の下流側端部及び配管52の下流側端部が配管53の上流側端部に接続された部分には、第2電磁弁55が設けられている。第1電磁弁54及び第2電磁弁55は、制御部12からの制御によって、配管接続の切り替えを行う。第1電磁弁54及び第2電磁弁55によって、第1切換部50が構成されている。第1切換部50は、栽培槽21から後述する測定ユニット11の測定セル16への養液Nの供給と、標準液供給部5から後述する測定ユニット11の測定セル16への前記標準液の供給と、洗浄液供給部6から後述する測定ユニット11の測定セル16への洗浄液の供給と、を切り換える。
つまり、第1切換部50によって、配管52と配管53との接続が遮断されると、養液Nの測定ユニット11への供給が停止する。その一方で、第1切換部50によって、配管51が配管53と接続されると、標準液又は洗浄液が測定ユニット11に供給されるようになる。配管5bが配管51に接続される場合には、標準液が測定ユニット11に供給され、配管6bが配管51に接続される場合には、洗浄液が測定ユニット11に供給される。
排出部7は、排出タンク7aを有しており、排出部7には、植物栽培部20,標準液供給部5,洗浄液供給部6から後述する測定ユニット11の測定セル16に供給された養液N,標準液,洗浄液が排出される。配管61の下流側端部は、配管62の上流側端部及び配管63の上流側端部に接続されている。配管61の上流側端部は、後述する測定ユニット11の測定セル16に接続されている。配管62の下流側端部は、排出タンク7aに接続されている。配管63の下流側端部は、中間槽22に接続されている。
配管61の下流側端部が配管62の上流側端部及び配管63の上流側端部に接続された部分には、第3電磁弁64が設けられている。第3電磁弁64は、制御部12からの制御によって、配管接続の切り替えを行う。第3電磁弁64によって、第2切換部60が構成されている。第2切換部60は、後述する測定ユニット11の測定セル16から植物栽培部20への養液Nの供給と、後述する測定ユニット11の測定セル16から排出部7への養液N,標準液,洗浄液の排出と、を切り換える。
つまり、第2切換部60によって、配管61が配管62に接続される場合には、養液Nは、排出タンク7aに排出される。配管61が配管63に接続される場合には、養液Nは、中間槽22に戻されて、再び植物Pの養液栽培に利用される。植物栽培装置1Aは、養液Nが循環する循環式タイプを構成している。
図2に示されるように、測定ユニット11は、測定セル(測定部)16、発光部14及び受光部15を有している。測定セル16は、光透過性を有する材料によって矩形筒状に形成されている。測定セル16の一部は、測定光Lを伝播する光透過領域17となっている。測定セル16の内側は、配管53の下流側端部と配管61の上流側端部とを結ぶ流路18となっている(図1参照)。このように、測定セル16は、養液Nが流れる流路18、及び流路18に接する光透過領域17を有している。なお、図2では、測定セル16が、養液Nの流れる方向に垂直な断面図として表されている。
発光部14は、光透過領域17の入射面17aを介して、光透過領域17側から光透過領域17と流路18との境界面Aに入射する測定光Lを発する。発光部14は、例えば、重水素ランプ又はハロゲンランプ等の光源を含んでいる。
受光部15は、境界面Aで光透過領域17側に少なくとも1回反射した測定光Lを、光透過領域17の出射面17bを介して受ける。受光部15は、例えば小型分光器等の受光素子を含んでいる。
光透過領域17は、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度を検出するための波長域において光透過特性を有する材料によって形成されている。また、光透過領域17は、境界面Aにおいて全反射が起こるように、養液N、洗浄液及び標準液と比べて、高い屈折率を有する材料によって形成されている。例として、光透過領域17の材料は、石英又は蛍石等である。
流路18の幅は、例えば10μm程度以上である。流路18の幅は、望ましくは100μm程度以上であり、更に望ましくは1mm程度以上である。境界面Aには、汚れ等が付き難くなるようなコーティング処理等が施されていてもよい。測定セル16の形状は、例えば上下端がねじ状になっているもの等、取り外しや交換が簡便に行える構造であることが好ましい。
光透過領域17においては、入射面17a、反射面17c及び出射面17bを有する。発光部14から出射されて入射面17aを通過した測定光Lは、境界面Aにおいて全反射を起こすように境界面Aに入射される。測定光Lは、境界面Aで全反射を起こした後、境界面Aと対向する反射面17cにおいても全反射を起こすように反射面17cに入射される。反射面17cで全反射を起こした測定光Lは、再び境界面Aで全反射を起こすように、境界面Aに入射される。境界面Aでの2回目の全反射を起した測定光Lは、出射面17bを通過して、受光部15によって受光される。
境界面Aでは、測定光Lの全反射に伴って、境界面Aから養液N側に向かって染み出すエバネッセント光が発生する。養液Nによってエバネッセント光が吸収されると、合計2回の全反射を受けた測定光Lの光強度が減衰する。このため、測定光Lの吸収強度を取得することにより、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度を検出することができる。エバネッセント光が養液N内で到達する距離は、境界面Aから数十〜数百ナノメートル程度である。
図2では、測定光Lの境界面Aでの反射回数は2回であるが、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度の高低によって、精度良い検出のために反射回数を増減させることができる。つまり、検出すべきイオン濃度が高く、反射1回あたりの吸収強度が大きいときは、例えば、境界面Aでの反射回数を1回とすることができる。一方、検出すべきイオン濃度が低く、反射1回あたりの吸収強度が小さいときは、例えば、境界面Aでの反射回数を複数回とすることができる。
図3は、境界面Aでの反射回数を増減させる様子を示す概念図である。図3に示されるように、境界面Aでの反射回数は、境界面Aに対する測定光Lの入射角の調整によって増減させることができる。図3では、測定光Lは、例えば、入射面17aにおいて3つの入射角θ1,θ2,θ3を有している。入射角θ1,θ2,θ3は、それぞれ、測定光Lの光路R1,R2,R3に対応する。光路R1,R2,R3を通過した測定光Lは、境界面Aにおいて、それぞれ、1回、2回、3回の全反射を起こす。検出すべきイオン濃度が高いときは、例えば入射角θ1が選択されて、境界面Aでの反射回数は1回となる。イオン濃度が低いときは、例えば入射角θ2又はθ3が選択されて、境界面Aでの反射回数は2回又は3回となる。植物栽培装置1Aは、入射角θ1,θ2,θ3の選択によって、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度の高低に対応することができる。出射面17bでは、入射角θ1,θ2,θ3に対応して、それぞれ、出射角θ4,θ5,θ6で測定光Lが出射される。
図4は、境界面Aでの反射回数を増減させるための入射角度調整部30の構成の一例図である。図4に示されるように、測定ユニット11は、入射角度調整部30及び出射光学系40を有している。入射角度調整部30は、光透過領域17の入射面17aを介して、光透過領域17側から境界面Aに入射する測定光Lの入射角を調整する。より具体的には、入射角度調整部30は、発光部14からの測定光Lを受けて、入射面17aへの入射角を変えながら、測定光Lを光透過領域17の入射面17aに入射させる。出射光学系40は、出射面17bからの測定光Lを受けて、受光部15に測定光Lを導く。
入射角度調整部30は、入射レンズ系31及び走査ミラー系34を有している。入射レンズ系31は、集光レンズ32及び集光レンズ33を含んでいる。入射レンズ系31は、測定光Lを集光して光透過領域17に入射させる。走査ミラー系34は、ミラー制御部35及び走査ミラー36を含んでいる。ミラー制御部35は、走査ミラー36の偏向角を調整する。走査ミラー36は、測定光Lのための3つの偏向角Φ1,Φ2,Φ3を有している。偏向角Φ1,Φ2,Φ3は、それぞれ、測定光Lの光路R1,R2,R3を作り出す。光路R1,R2,R3は、それぞれ、入射角θ1,θ2,θ3で入射面17aに導かれる。入射角θ1,θ2,θ3で光透過領域17に入射された測定光Lは、それぞれ、光透過領域17内の光路R1,R2,R3を通過する。測定光Lは、境界面Aにおいて、それぞれ、1回、2回、3回の全反射を起こす。光透過領域17を通過した測定光Lは、入射角φ1,φ2,φ3に対応して出射角φ4,φ5,φ6で出射面17bから出射される。出射面17bを出射した測定光Lは、出射光学系40によって集光された後、受光部15によって受光される。出射光学系40は、集光レンズ41及び集光レンズ42を含んでいる。測定ユニット11では、走査ミラー36の偏向角Φ1,Φ2,Φ3が、それぞれ、境界面Aでの1回、2回、3回の反射回数に対応している。
測定ユニット11を用いて養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度が検出されると、図5に示されるような吸収スペクトルSが得られる。吸収スペクトルSでは、測定波長域において吸収を有する所定物質のイオンに基づく吸収強度が変化している。測定ユニット11において、走査ミラー36の偏向角が、例えば、偏向角Φ1から偏向角Φ2,Φ3になるように調整されると、境界面Aでの反射回数が、それぞれ1回から2回、3回へと変更される。反射回数が増えると、測定光Lのエバネッセント光が養液Nの所定物質のイオンに光吸収される量が多くなり、吸収強度が増大する。その結果、吸収スペクトルSが、S1からS2,S3へと変化する。
制御部12は、全反射された測定光Lの吸収強度に基づいて、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度を検出し、検出したイオン濃度に基づいて、イオン濃度が所定濃度となるように養液供給部4を制御する。
再び図1を用いて、標準液供給部5及び洗浄液供給部6について詳しく説明する。測定ユニット11の測定セル16への洗浄液及び標準液の供給時に行われる際の配管の切り替えは、例えば以下のように行われる。測定セル16の洗浄が行われるときには、初めに、第2電磁弁55が操作されて、測定セル16と配管52との接続が遮断される。次に、第1電磁弁54が操作されて、配管6bが配管51に接続される。その後、配管51が第2電磁弁55を介して配管53に接続されて、洗浄液が測定セル16に供給される。
測定セル16の洗浄が終了すると、第1電磁弁54が操作されて、洗浄液の供給が停止される。次に、第1電磁弁54によって、配管5bが配管51に接続される。標準液が測定セル16に供給されて、標準液を使用した校正が行われる。即ち、制御部12は、第1切換部50を制御し、標準液供給部5から測定セル16への標準液の供給が行われているときに、測定セル16における測定光Lの吸収強度に基づいて校正を行う。第1実施形態では、例えば養液Nのイオン濃度の検出前または一定期間ごとに、制御部12は、第1切換部50を制御し、洗浄液供給部6から測定セル16への洗浄液の供給が行われた後に校正を行う。より厳密な校正のためには、複数種類の濃度を有する標準液が順番に測定セル16に供給された後に、標準液の吸収強度が取得されて、それら複数のデータによる校正がなされてもよい。
第1実施形態では、例えば、標準液の水流によって測定セルの汚れが除去されて、洗浄液による洗浄は省略されてもよい。養液Nに含まれる所定物質のイオンの吸収測定に影響を及ぼさない程度の洗浄液が標準液に混ぜられて、洗浄と校正とが同時に行われてもよい。また、校正が終了した後に、標準液を洗い流すために、再び洗浄液による測定セルの洗浄が行われてもよい。洗浄液による洗浄が終了した後には、例えば水等によって、洗浄液が測定セル16から排出されてもよい。養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度が検出された後は、再び測定セル16の洗浄と校正がなされる。この洗浄と校正とは、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度の検出ごとに行われるほか、複数回の検出が行われた後に行われてもよい。
植物Pの養液栽培では、1回の栽培のために、例えば数十日から数か月程度の期間を要することがあるので、発光部14の光源等が劣化する場合があり、また、気温等の環境変化によって、養液Nの吸収強度の値が変化する場合がある。更に、長期間の使用によって流路18の境界面に汚れ等が付着する場合もある。養液Nについての吸収強度が正確に取得されるためには、測定セル16の洗浄及び標準液を用いた校正が重要である。
なお、洗浄液には、例えば、塩素剤、過酸化水素水、或いは二酸化塩素水等が用いられる。また、洗浄液には、例えば特殊な洗浄成分が含まれていない水道水等も用いられる。水道水等であっても、例えば水流によって汚れを落とすことが可能である。標準液には、例えば、測定の目的となっている所定物質のイオンを含まない液体、又は、測定の目的となっている所定物質のイオンが含まれていても、そのイオン濃度が明らかな液体等が用いられる。標準液には、測定の目的となっているイオンが含まれていなくても、吸収極大波長等のスペクトル特性が明らかになっているイオンを含む液体が用いられてもよい。
第1の実施形態の植物栽培装置1Aによって得られる効果について説明する。この植物栽培装置1Aでは、境界面Aでの反射1回あたりの吸収強度が大きい養液Nに対しては境界面Aでの反射回数を減らし、境界面Aでの反射1回あたりの吸収強度が小さい養液に対しては境界面Aでの反射回数を増やすことで、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度の検出において、広いダイナミックレンジ及び高い検出感度を実現することができる。また、検出対象は、光反射によって生じたエバネッセント光が到達する領域の養液Nに限られるので、流路18の幅を、植物体断片等による目詰まり等が発生しないように拡大することができる。更に、植物体断片等の光路への混入による光散乱等も発生し難くなる。養液N内でのイオン濃度の大きな変化に対応して、イオン濃度の検出を精度良く行うことができる。よって、この植物栽培装置1Aによれば、広いダイナミックレンジ及び高い検出感度を有し、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度を精度良く検出することができる。
また、植物栽培装置1Aでは、植物体断片等による目詰まり等が防止できるので、流路に対する大規模な濾過装置が不要となり、目詰まりが起きた際に濾過装置を交換する労力が低減する。植物栽培装置1Aは、長期的な装置の運用及び維持も簡便である。
また、植物栽培装置1Aでは、栽培種、栽培量或いは植物Pの成長度合い等に応じた所望のイオン濃度に、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度を調整することができる。また、制御部12によって校正が行われるので、植物栽培装置1Aでは各部の経年変化又は環境変化等が起こり易いものの、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度を精度良く検出することができる。また、植物栽培装置1Aでは、測定セル16に付着した汚れ等が除去された状態で、制御部12による校正の正確性を向上させることができる。
また、植物栽培装置1Aでは、養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度を検出した結果、植物Pの栽培に適したイオン濃度でなかった場合には、当該養液Nを排出部7に排出することができる。養液Nに含まれる所定物質のイオン濃度を検出した結果、植物Pの栽培に適したイオン濃度であった場合には、当該養液Nを栽培槽21に再供給して再利用することができる。
また、植物栽培装置1Aでは、境界面Aでの反射1回あたりの吸収強度が大きい養液Nに対しては境界面Aでの反射回数を減らし、境界面Aでの反射1回あたりの吸収強度が小さい養液Nに対しては境界面Aでの反射回数を増やすというように、ダイナミックレンジ及び検出感度を調整することができる。
なお、植物栽培装置1Aでは、中間槽22が設けられることによって、栽培槽21の養液Nに含まれるイオン濃度が好適な値に保たれることができる。例えば、植物栽培装置1Aのメンテナンス時等に、栽培槽21が中間槽22から切り離されると、栽培槽21の養液Nはメンテナンスの影響を受けないので、好適なイオン濃度がほぼ維持される。一方、中間槽22は、養液供給部4及び測定セル16に対して養液Nの供給及び排出を行えるので、メンテナンスにも支障が生じない。
[第2実施形態]
図6に示されるように、第2実施形態の植物栽培装置1Bは、第2切換部60、配管61及び配管63が設けられていない点で、第1実施形態の植物栽培装置1Aと相違している。植物栽培装置1Bでは、測定装置10によって所定物質のイオン濃度が検出された養液Nは、排出部7に排出される。植物栽培装置1Bは、第1実施形態の植物栽培装置1Aと異なる湛水式タイプである。植物栽培装置1Bでは、検出に使われた養液Nが排出部7に排出される一方で、養液供給部4から好適なイオン濃度を有する養液Nが供給されるので、栽培槽21の養液Nに含まれるイオン濃度が植物栽培に適した値を維持する。
[第3実施形態]
図7に示されるように、第2切換部60、配管61及び配管63が設けられていない点で、更に、中間槽22、配管23及び配管24が設けられていない点で、第1実施形態の植物栽培装置1Aと相違している。植物栽培装置1Cでは、測定装置10によってイオン濃度が検出された養液Nは、排出部7に排出される。植物栽培装置1Cは、第1実施形態に係る植物栽培装置1Aと異なる湛水式タイプである。植物栽培装置1Cには、中間槽22が設けられないので、植物栽培装置1Cは、栽培槽21に対して、養液供給部4から直接に養液Nを供給することができる。
以上、本発明による植物栽培装置について、詳細に説明したが、本発明による植物栽培装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、下記の通り、他に様々な変形が可能である。
[第1変形例]
図8に示されるように、第1の変形例では、測定セル16は、例えば台形状の光透過領域17を内包することができる。図8において、測定セル16は、養液Nの流れる方向に沿った断面図として表されている。光透過領域17は、全反射のために、測定セル16内の光透過領域17以外の領域よりも高い屈折率を有している。光透過領域17内では、測定光Lは、図2に示されたような反射を行うことができる。光透過領域17は、台形状のほか、例えば直方形のような形状を有していてもよい。第1変形例によれば、測定セル16にコンパクトに内包された光透過領域17によって、測定光Lが全反射を受けることができる。
[第2変形例]
第2変形例では、測定セル16は、図9に示されるような台形状の光透過領域17を備えている。図9において、測定セル16は、養液Nの流れる方向に垂直な断面図として表されている。第2変形例では、流路18は、測定セル16内を光透過領域17に向かって延び、光透過領域17に接すると、光透過領域17に沿う方向に延びる。その後、再び光透過領域17から離れる方向に沿って延びている。このような構成の流路18であっても、光透過領域17によって、イオン濃度の精度良い検出が行われる。
[第3変形例]
図10に示されるように、第3変形例では、例えば、測定セル16の外周回りの全域に光透過領域17が延在する。測定セル16は、例えば八角形のような形状をとることができる。図10において、測定セル16は、養液Nの流れる方向に垂直な断面図として表されている。図10に示される第3変形例では、入射面17aを通過した測定光Lは、その部分のみ最適な角度に調整された入射面から、境界面Aにおいて全反射を起こすように境界面Aに入射される。測定光Lは、境界面Aにおいて6回目の全反射を受けたのち、入射面と同様に最適な角度に調整された出射面17bを通過して、測定セル16から取り出される。この構成によれば、境界面Aでの6回の反射回数では、精度良くイオン濃度の検出が行えない場合には、測定光Lが流路に沿って進行するように立体的に浅い角度をつけて入射させることにより、光透過領域17内での周回を増やすことが可能である。このため、第3変形例では、広いダイナミックレンジ及び高い検出感度が得られるので、所定物質のイオン濃度が微量であるときでも、イオン濃度の精度良い検出が行われる。
1A、1B、1C…植物栽培装置、4…養液供給部、5…標準液供給部、6…洗浄液供給部、7…排出部、10…測定装置、11…測定ユニット、12…制御部(検出部)、14…発光部、15…受光部、16…測定セル(測定部)、17…光透過領域、18…流路、20…植物栽培部、21…栽培槽、30…入射角度調整部、50…第1切換部、60…第2切換部、A…境界面、L…測定光(光)、N…養液、P…植物。

Claims (7)

  1. 養液によって植物が栽培される栽培槽と、
    前記養液が流れる流路及び前記流路に接する光透過領域を有する測定部と、
    前記光透過領域側から前記光透過領域と前記流路との境界面に入射する光を発する発光部と、
    前記境界面で前記光透過領域側に反射した前記光を受ける受光部と、
    前記測定部における前記光の吸収強度に基づいて、前記養液に含まれる所定物質のイオン濃度を検出する検出部と、を備える、植物栽培装置。
  2. 前記栽培槽に前記養液を供給する養液供給部を更に備え、
    前記検出部は、検出した前記イオン濃度に基づいて、前記イオン濃度が所定濃度となるように前記養液供給部を制御する、請求項1記載の植物栽培装置。
  3. 前記測定部に標準液を供給する標準液供給部と、
    前記栽培槽から前記測定部への前記養液の供給と前記標準液供給部から前記測定部への前記標準液の供給とを切り換える第1切換部と、を更に備え、
    前記検出部は、前記第1切換部を制御し、前記標準液供給部から前記測定部への前記標準液の供給が行われているときに、前記測定部における前記光の吸収強度に基づいて、校正を行う、請求項1又は2記載の植物栽培装置。
  4. 前記測定部に洗浄液を供給する洗浄液供給部を更に備え、
    前記第1切換部は、前記栽培槽から前記測定部への前記養液の供給と前記標準液供給部から前記測定部への前記標準液の供給と前記洗浄液供給部から前記測定部への前記洗浄液の供給とを切り換え、
    前記検出部は、前記第1切換部を制御し、前記洗浄液供給部から前記測定部への前記洗浄液の供給が行われた後に、前記校正を行う、請求項3記載の植物栽培装置。
  5. 前記栽培槽から前記測定部に供給された前記養液が排出される排出部を更に備える、請求項1〜4のいずれか一項記載の植物栽培装置。
  6. 前記測定部から前記栽培槽への前記養液の供給と前記測定部から前記排出部への前記養液の排出とを切り換える第2切換部を更に備える、請求項5記載の植物栽培装置。
  7. 前記光透過領域側から前記境界面に入射する前記光の入射角を調整する入射角度調整部を更に備える、請求項1〜6のいずれか一項記載の植物栽培装置。
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