JP6235313B2 - 非水電解液及び当該非水電解液を用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
〔1〕
下記一般式(1)で表される環状リン酸エステル化合物(A)と、
シュウ酸構造を有さないリチウム塩化合物(B)と、
シュウ酸構造を有するリチウム塩化合物(C)と、
非水溶媒と、を含有し、
前記環状リン酸エステル化合物(A)の含有量が、前記非水電解液の総量に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、非水電解液。
〔2〕
前記リチウム塩化合物(B)の含有量が、前記非水電解液の総量に対して、3質量%以上30質量%以下であり、
前記リチウム塩化合物(C)の含有量が、前記非水電解液の総量に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、前項〔1〕に記載の非水電解液。
〔3〕
前記リチウム塩化合物(B)が、LiPF6を含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載の非水電解液。
〔4〕
前記リチウム塩化合物(B)が、LiPF6と、LiPO2F2及び/又はLiBF4と、を含む、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の非水電解液。
〔5〕
前記リチウム塩化合物(C)が、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)、LiP(C2O4)3、LiPF2(C2O4)2及びLiPF4(C2O4)からなる群より選ばれる一種以上のリチウム塩化合物を含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の非水電解液。
〔6〕
前記環状リン酸エステル化合物(A)が、前記一般式(1)におけるR2がエチレン基又はプロピレン基である環状リン酸エステル化合物を含む、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の非水電解液。
〔7〕
正極と、負極と、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の非水電解液と、を備え、満充電時の前記正極の電位が、リチウム基準で4.4V以上5.5V以下である、リチウムイオン二次電池。
本実施形態の非水電解液は、下記一般式(1)で表される環状リン酸エステル化合物(A)と、シュウ酸構造を有さないリチウム塩化合物(B)と、シュウ酸構造を有するリチウム塩化合物(C)と、非水溶媒と、を含有する。これにより、本実施形態の非水電解液は、従来よりも高い正極電位を有するリチウムイオン二次電池に適用した場合でも、ガスの発生、すなわち電解液の分解が抑制される上、優れたサイクル特性を発現することができる。
本実施形態において、一般式(1)中、R1は、ヒドロキシ基、置換されていてもよい炭素数1以上15以下のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1以上15以下のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2以上15以下のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2以上15以下のアルキニル基、及び置換されていてもよい炭素数6以上15以下のアリール基からなる群より選ばれる一種の基を表す。
本実施形態の非水電解液は、シュウ酸構造を有さないリチウム塩化合物(B)を含有する。「シュウ酸構造」とは、下記一般式(2)で表される化学構造を指し、本実施形態においては、単に「C2O4」とも表記する。
本実施形態の非水電解液は、シュウ酸構造を有するリチウム塩化合物(C)を含有する。シュウ酸構造を有するリチウム塩化合物(C)としては、分子内にシュウ酸構造を有するリチウム塩化合物であれば、特に限定されないが、例えば、Li2(C2O4)、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)、LiAl(C2O4)2、LiAlF2(C2O4)、LiP(C2O4)3、LiPF2(C2O4)2、LiPF4(C2O4)を挙げることができる。この中でも、リチウム塩化合物(C)としては、非水溶媒への溶解性及びガス発生抑制の両面を考慮して、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)、LiP(C2O4)3、LiPF2(C2O4)2、及びLiPF4(C2O4)からなる群より選ばれる一種以上が好ましく、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)がより好ましい。
本実施形態の非水電解液は、非水溶媒を含有する。上記非水溶媒としては、特に限定されず様々なものを用いることができるが、非プロトン性極性溶媒が好ましい。非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類;γーブチロラクトン及びγーバレロラクトンなどのラクトン類;スルホランなどのスルホン類;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトンなどの亜硫酸エステル類;テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル類;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類;アセトニトリル及びプロピオニトリルなどのニトリル類;ジメチルエーテル及びジメトキシエタンなどの鎖状エーテル類;酢酸メチル及びプロピオン酸メチルなどの鎖状カルボン酸エステル類が挙げられる。これらは一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、本実施形態の非水電解液とを備え、満充電時の上記正極の電位がリチウム基準4.4V以上5.5V以下である。ここで、「満充電時の正極の電位」とは、充電電圧に満充電時の負極の電位を加えた値を指す。例えば、満充電時の電位がリチウム基準で約0.05Vになる黒鉛を負極活物質として単独で用いる場合、正極と黒鉛負極からなる電池を充電電圧4.35Vで満充電すると、満充電時の正極の電位はリチウム基準で約4.4Vとなる。満充電時の正極の電位は、三極式セルを用いて容易に測定することができる。具体的には、満充電状態の正極を作用極、リチウム金属を参照極、満充電状態の負極を対極とする構成の三極式セルを作製した場合、作用極と参照極の電位差が「満充電時の正極の電位」となる。
本実施形態において、満充電時の正極の電位としてリチウム基準4.4V以上の十分高い水準を確保する観点から、正極は、リチウム基準4.4V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵、放出する正極活物質を単独で、又は二種以上を組み合わせて含有することが好ましい。
リチウム基準4.4V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵、放出する正極活物質としては、特に限定されないが、正極活物質の構造安定性の観点から、好ましくは、一般式LiNixCoyMa1−x−yO2〔Maは、Mn及びAlからなる群より選ばれる一種以上を表し、0≦x≦1であり、0≦y≦1であり、x+y≦1である。〕で示される層状酸化物正極活物質;一般式LiMn2−xMbxO4〔Mbは遷移金属からなる群より選ばれる一種以上を表し、0.2≦x≦0.7である。〕で示されるスピネル型酸化物正極活物質;Li2McO3とLiMdO2〔Mc及びMdは、各々独立して、遷移金属からなる群より選ばれる一種以上を表す。〕との複合酸化物であって、一般式zLi2McO3−(1−z)LiMdO2〔0.05≦z≦0.95である。〕で示されるLi過剰層状酸化物正極活物質;LiMe1−xFexPO4〔MeはMn及びCoからなる群より選ばれる一種以上を表し、0≦x≦1である。〕で示されるオリビン型正極活物質、及びLi2MfPO4F〔Mfは遷移金属からなる群より選ばれる一種以上を示す。〕からなる群より選ばれる一種以上の正極活物質などが挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池に用いる負極は、負極活物質を含む。
本実施形態において、リチウムイオン二次電池を構成するための負極に用いることができる負極活物質としては、リチウムやリチウムイオンの吸蔵、放出が可能な化合物を使用することができる。上記負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、Al、Si、Snなどの合金化合物;CuO、CoOなどの金属酸化物;チタン酸リチウムなどのリチウム含有化合物;及び炭素材料などを用いることができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正負極の短絡防止などの安全性付与の観点から、正極と負極の間にセパレータを備えることが好ましい。上記セパレータとしては、特に限定されず、従来公知のリチウムイオン二次電池で採用されている各種セパレータを用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタラートなどのポリエステル系樹脂;ポリアラミドなどのポリアミド樹脂に代表される樹脂類を成形した微多孔膜又は不織布などが好適に用いられる。安全性付与の観点から、セパレータの厚みは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。一方、電池の入出力特性を維持する観点から、セパレータの厚みは、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
1:正極の製造
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(日本化学工業社製)と、導電助剤としてアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製)とを、90:6:4の固形分質量比で混合し、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分40質量%となるように添加してさらに混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して正極とした。
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製)及びグラファイト粉末(TIMCAL社製)と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロース水溶液を、90:10:1.5:1.8の固形分質量比で混合し、分散溶媒として水を固形分45質量%となるように添加してさらに混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して負極とした。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートを0.3質量%と、LiPF6を12.1質量%と、LiB(C2O4)2を1質量%と、を添加、混合して非水電解液を調製した。
上述のようにして作製した正極と負極とを、ポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、アルミニウム箔(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正負極の端子を突設させながら挿入した後、上述のようにして調製した非水電解液を袋内に注入し、真空封止を行って、シート状リチウムイオン二次電池を作製した。
5−1:初充放電
得られたシート状電池を、25℃の環境下、0.05Cの定電流で4.35Vの電圧に達するまで充電後(満充電時の正極電位=4.4V)、4.35Vの定電圧で2時間充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。これを3サイクル繰り返した。なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.05Cとはその1/20の電流値を表す。
初充放電後の電池を、50℃の環境下、1Cの定電流で4.35Vの電圧に達するまで充電後、4.35Vの定電圧で1時間充電し、1Cの定電流で3.0Vまで放電した。上記一連の充放電を1サイクルとして、これを100サイクル実施し、100サイクル後容量維持率を測定した。その結果、100サイクル後容量維持率は90%と高かった。なお、100サイクル後容量維持率は、以下の式で求めた。
100サイクル後容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
初充放電後の電池を、水浴中に浸して体積を測定した後、50℃の環境下、1Cの定電流で4.35Vの電圧に達するまで充電後、4.35Vの定電圧で一週間連続充電し、1Cの定電流で3.0Vまで放電した。
電池を室温まで冷却させた後、水浴中に浸して体積を測定し、連続充電前後の電池の体積変化から、連続充電後発生ガス量を求めた。その結果、連続充電後発生ガス量は0.17mLと少なかった。
実施例1の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートの代わりに、エチレン(2−プロピニル)フォスフェートを用いた以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は89%と高く、連続充電後発生ガス量は0.21mLと少なかった。
実施例1の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートの代わりに、エチレン(3−ブテニル)フォスフェートを用いた以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は90%と高く、連続充電後発生ガス量は0.17mLと少なかった。
実施例1の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートの代わりに、エチレンヘキシルホスホネートを用いた以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は88%と高く、連続充電後発生ガス量は0.27mLと少なかった。
実施例1の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートの代わりに、エチレンオクチルフォスフェートを用いた以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は89%と高く、連続充電後発生ガス量は0.23mLと少なかった。
実施例1の非水電解液の調製において、混合溶媒に、さらにLiBF4を0.5質量%添加した以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は91%と高く、連続充電後発生ガス量は0.17mLと少なかった。
実施例1の非水電解液の調製において、混合溶媒に、さらにLiPO2F2を0.5質量%添加した以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は92%と高く、連続充電後発生ガス量は0.15mLと少なかった。
実施例1の非水電解液の調製において、LiB(C2O4)2の代わりに、LiPF2(C2O4)2を用いた以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は89%と高く、連続充電後発生ガス量は0.19mLと少なかった。
実施例1の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートを0.3質量%添加する代わりに、1質量%添加した以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は88%と高く、連続充電後発生ガス量は0.15mLと少なかった。
実施例1の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートを0.3質量%添加する代わりに、3質量%添加した以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は86%と高く、連続充電後発生ガス量は0.11mLと少なかった。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%添加して非水電解液とした。実施例1の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は76%と低く、連続充電後発生ガス量は0.54mLと多かった。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%と、LiB(C2O4)2を1質量%と、を添加して非水電解液とした。実施例1の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は88%と低く、連続充電後発生ガス量は0.34mLと多かった。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートを0.3質量%と、LiPF6を12.1質量%と、を添加して非水電解液とした。実施例1の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は82%と低く、連続充電後発生ガス量は0.28mLと多かった。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%と、LiBF4を0.5質量%と、LiB(C2O4)2を1質量%と、を添加して非水電解液とした。実施例1の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は84%と低く、連続充電後発生ガス量は0.32mLと多かった。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%と、LiPO2F2を0.5質量%と、LiB(C2O4)2を1質量%と、を添加して非水電解液とした。実施例1の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は88%と低く、連続充電後発生ガス量は0.28mLと多かった。
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と2,2,2−トリフルオロエチルエチレンフォスフェートを体積比42.5:42.5:15で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%添加して非水電解液とした。実施例1の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は79%と低く、連続充電後発生ガス量は0.31mLと多かった。
2−メトキシ−1,3,2−ジオキサフォスフォラン−2−オキサイドとジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%添加して非水電解液とした。実施例1の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例1と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は58%と非常に低く、連続充電後発生ガス量は0.21mLと少なかった。
1:正極活物質の製造
遷移金属元素のモル比として1:3の割合の硫酸ニッケルと硫酸マンガンとを、水に溶解し、金属イオン濃度の総和が2mol/Lになるようにニッケル−マンガン混合水溶液を調製した。次いで、このニッケル−マンガン混合水溶液を、70℃に加温した濃度2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液1650mL中に、12.5mL/minの添加速度で120分間滴下した。なお、滴下時には、撹拌の下、200mL/minの流量の空気を水溶液中にバブリングしながら吹き込んだ。これにより析出物質が発生し、得られた析出物質を蒸留水で十分洗浄し、乾燥して、ニッケルマンガン化合物を得た。得られたニッケルマンガン化合物と粒径2μmの炭酸リチウムとを、リチウム:ニッケル:マンガンのモル比が1:0.5:1.5になるように秤量し、1時間乾式混合した後、得られた混合物を酸素雰囲気下において1000℃で5時間焼成し、LiNi0.5Mn1.5O4で表される正極活物質を得た。
上述のようにして得られた正極活物質と、導電助剤としてアセチレンブラックの粉末(電気化学工業社製)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製)とを、88:6:6の固形分質量比で混合し、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分40質量%となるように添加してさらに混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して正極とした。
負極活物質としてのグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製)及びグラファイト粉末(TIMCAL社製)と、バインダーとしてのスチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、90:10:1.5:1.8の固形分質量比で混合し、分散溶媒として水を固形分45質量%となるように添加してさらに混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延して負極とした。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートを0.3質量%と、LiPF6を12.1質量%と、LiB(C2O4)2を1質量%と、を添加して非水電解液とした。
上述のようにして作製した正極と負極とを、ポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、アルミニウム箔(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正負極の端子を突設させながら挿入した後、上述のようにして調製した非水電解液を袋内に注入し、真空封止を行って、シート状リチウムイオン二次電池を作製した。
6−1:初充放電
得られたシート状電池を、25℃の環境下、0.05Cの定電流で4.8Vの電圧に達するまで充電後(満充電時の正極電位=4.85V)、4.8Vの定電圧で2時間充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。これを3サイクル繰り返した。なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.05Cとはその1/20の電流値を表す。
初充放電後の電池を、50℃の環境下、1Cの定電流で4.8Vの電圧に達するまで充電後、4.8Vの定電圧で1時間充電し、1Cの定電流で3.0Vまで放電した。上記一連の充放電を1サイクルとして、これを100サイクル実施し、100サイクル後容量維持率を測定した。その結果、100サイクル後容量維持率は74%と高かった。なお、100サイクル後容量維持率は、以下の式で求めた。
100サイクル後容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
初充放電後の電池を、水浴中に浸して体積を測定した後、50℃の環境下、1Cの定電流で4.8Vの電圧に達するまで充電後、4.8Vの定電圧で一週間連続充電し、1Cの定電流で3.0Vまで放電した。
電池を室温まで冷却させた後、水浴中に浸して体積を測定し、連続充電前後の電池の体積変化から、連続充電後発生ガス量を求めた。その結果、連続充電後発生ガス量は1.16mLと少なかった。
実施例11の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートの代わりに、エチレン(2−プロピニル)フォスフェートを用いた以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は70%と高く、連続充電後発生ガス量は1.23mLと少なかった。
実施例11の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートの代わりに、エチレン(3−ブテニル)フォスフェートを用いた以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は76%と高く、連続充電後発生ガス量は1.14mLと少なかった。
実施例11の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートの代わりに、エチレンヘキシルホスホネートを用いた以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は69%と高く、連続充電後発生ガス量は1.31mLと少なかった。
実施例11の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートの代わりに、エチレンオクチルフォスフェートを用いた以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は71%と高く、連続充電後発生ガス量は1.27mLと少なかった。
実施例11の非水電解液の調製において、混合溶媒に、さらにLiBF4を0.5質量%添加した以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は75%と高く、連続充電後発生ガス量は1.15mLと少なかった。
実施例11の非水電解液の調製において、LiB(C2O4)2の代わりに、LiPF2(C2O4)2を用いた以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は72%と高く、連続充電後発生ガス量は1.18mLと少なかった。
実施例11の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートを0.3質量%添加する代わりに、1質量%添加した以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は73%と高く、連続充電後発生ガス量は1.09mLと少なかった。
実施例11の非水電解液の調製において、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートを0.3質量%添加する代わりに、3質量%添加した以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は68%と高く、連続充電後発生ガス量は1.01mLと少なかった。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%添加して非水電解液とした。実施例11の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は32%と低く、連続充電後発生ガス量は4.32mLと多かった。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%と、LiB(C2O4)2を1質量%と、を添加して非水電解液とした。実施例11の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は64%と低く、連続充電後発生ガス量は2.62mLと多かった。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、エチレン(3−ブチニル)フォスフェートを0.3質量%と、LiPF6を12.1質量%と、を添加して非水電解液とした。実施例11の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は52%と低く、連続充電後発生ガス量は1.38mLと多かった。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%と、LiBF4を0.5質量%と、LiB(C2O4)2を1質量%と、を添加して非水電解液とした。実施例11の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は65%と低く、連続充電後発生ガス量は2.61mLと多かった。
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と2,2,2−トリフルオロエチルエチレンフォスフェートを体積比42.5:42.5:15で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%添加して非水電解液とした。実施例11の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は50%と低く、連続充電後発生ガス量は1.32mLと多かった。
2−メトキシ−1,3,2−ジオキサフォスフォラン−2−オキサイドとジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1で混合した混合溶媒に、LiPF6を12.1質量%添加して非水電解液とした。実施例11の試験用電池の作製において、上記非水電解液を用いたこと以外、実施例11と同様にしてシート状電池を作製し、上記サイクル試験及びガス発生試験を行った。その結果、100サイクル後容量維持率は4%と非常に低く、連続充電後発生ガス量は2.21mLと多かった。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表される環状リン酸エステル化合物(A)と、
(式(1)中、R1は、ヒドロキシ基、置換されていてもよい炭素数1以上15以下のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数1以上15以下のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2以上15以下のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2以上15以下のアルキニル基、及び置換されていてもよい炭素数6以上15以下のアリール基からなる群より選ばれる一種の基であり、R2は、置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキレン基である。)
シュウ酸構造を有さないリチウム塩化合物(B)と、
シュウ酸構造を有するリチウム塩化合物(C)と、
非水溶媒と、を含有し、
前記環状リン酸エステル化合物(A)の含有量が、前記非水電解液の総量に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、非水電解液。 - 前記リチウム塩化合物(B)の含有量が、前記非水電解液の総量に対して、3質量%以上30質量%以下であり、
前記リチウム塩化合物(C)の含有量が、前記非水電解液の総量に対して、0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の非水電解液。 - 前記リチウム塩化合物(B)が、LiPF6を含む、請求項1又は2に記載の非水電解液。
- 前記リチウム塩化合物(B)が、LiPF6と、LiPO2F2及び/又はLiBF4と、を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水電解液。
- 前記リチウム塩化合物(C)が、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)、LiP(C2O4)3、LiPF2(C2O4)2及びLiPF4(C2O4)からなる群より選ばれる一種以上のリチウム塩化合物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水電解液。
- 前記環状リン酸エステル化合物(A)が、前記一般式(1)におけるR2がエチレン基又はプロピレン基である環状リン酸エステル化合物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水電解液。
- 正極と、負極と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の非水電解液と、を備え、満充電時の前記正極の電位が、リチウム基準で4.4V以上5.5V以下である、リチウムイオン二次電池。
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