以下に添付図面を参照して、この発明に係る測色装置、画像形成装置、測色方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。
<画像形成装置の機械的構成>
まず、図1乃至図3を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の機械的構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部を透視して示す斜視図、図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部の機械的構成を示す上面図、図3は、キャリッジ5に搭載される記録ヘッド6の配置例を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動して、副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送される記録媒体Pに対して画像を形成するキャリッジ(支持体)5を備える。キャリッジ5は、主走査方向に沿って延設された主ガイドロッド3により支持されている。また、キャリッジ5には連結片5aが設けられている。連結片5aは、主ガイドロッド3と平行に設けられた副ガイド部材4に係合し、キャリッジ5の姿勢を安定化させる。
キャリッジ5には、図2に示すように、イエロー(Y)インクを吐出する記録ヘッド6y、マゼンタ(M)インクを吐出する記録ヘッド6m、シアン(C)インクを吐出する記録ヘッド6c、およびブラック(Bk)インクを吐出する複数の記録ヘッド6k(以下、記録ヘッド6y,6m,6c,6kを総称する場合は、記録ヘッド6という。)が搭載されている。記録ヘッド6は、その吐出面(ノズル面)が下方(記録媒体P側)に向くように、キャリッジ5に支持されている。
記録ヘッド6にインクを供給するためのインク供給体であるカートリッジ7は、キャリッジ5には搭載されず、画像形成装置100内の所定の位置に配置されている。カートリッジ7と記録ヘッド6とは図示しないパイプで連結されており、このパイプを介して、カートリッジ7から記録ヘッド6に対してインクが供給される。
キャリッジ5は、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に張架されたタイミングベルト11に連結されている。駆動プーリ9は、主走査モータ8の駆動により回転する。従動プーリ10は、駆動プーリ9との間の距離を調整する機構を有し、タイミングベルト11に対して所定のテンションを与える役割を持つ。キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動によりタイミングベルト11が送り動作されることにより、主走査方向に往復移動する。キャリッジ5の主走査方向の移動は、例えば図2に示すように、キャリッジ5に設けられたエンコーダセンサ13がエンコーダシート14のマークを検知して得られるエンコーダ値に基づいて制御される。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、記録ヘッド6の信頼性を維持するための維持機構15を備える。維持機構15は、記録ヘッド6の吐出面の清掃やキャッピング、記録ヘッド6からの不要なインクの排出などを行う。
記録ヘッド6の吐出面と対向する位置には、図2に示すように、プラテン16が設けられている。プラテン16は、記録ヘッド6から記録媒体P上にインクを吐出する際に、記録媒体Pを支持するためのものである。本実施形態に係る画像形成装置100は、キャリッジ5の主走査方向の移動距離が長い広幅機である。このため、プラテン16は、複数の板状部材を主走査方向(キャリッジ5の移動方向)に繋いで構成している。記録媒体Pは、図示しない副走査モータによって駆動される搬送ローラにより挟持され、プラテン16上を、副走査方向に間欠的に搬送される。
記録ヘッド6は、複数のノズル列を備えており、プラテン16上を搬送される記録媒体P上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体Pに画像を形成する。本実施形態では、キャリッジ5の1回の走査で記録媒体Pに形成できる画像の幅を多く確保するため、図3に示すように、キャリッジ5に、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6とを搭載している。また、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド6kは、カラーのインクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6cの2倍の数だけキャリッジ5に搭載している。また、記録ヘッド6y,6mは左右に分離して配置されている。これは、キャリッジ5の往復動作で色の重ね順を合わせ、往路と復路とで色が変わらないようにするためである。なお、図3に示す記録ヘッド6の配列は一例であり、図3に示す配列に限定されるものではない。
本実施形態に係る画像形成装置100を構成する上記の各構成要素は、外装体1の内部に配置されている。外装体1にはカバー部材2が開閉可能に設けられている。画像形成装置100のメンテナンス時やジャム発生時には、カバー部材2を開けることにより、外装体1の内部に設けられた各構成要素に対して作業を行うことができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送し、記録媒体Pの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ5を主走査方向に移動させながら、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列からプラテン16上の記録媒体P上にインクを吐出して、記録媒体Pに画像を形成する。
特に、画像形成装置100の色調整を行う調整時などにおいては、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列から実際にプラテン16上の記録媒体P上にインクを吐出して、多数のパッチ200が並ぶテストパターンを形成する。そして、このテストパターンに含まれる各パッチ200に対する測色を行う。テストパターンに含まれる各パッチ200は、基準色のパッチを画像形成装置100が出力することで得られる画像であり、画像形成装置100に固有の特性を反映している。したがって、これらのパッチ200の測色値を用いて、画像形成装置100に固有の特性を記述したデバイスプロファイルを生成、あるいは修正することができる。そして、このデバイスプロファイルに基づいて標準色空間と機器依存色との間の色変換を行うことで、画像形成装置100は再現性の高い画像を出力することができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体Pに形成したテストパターンに含まれる各パッチ200に対する測色を行うための測色カメラ(測色装置)20を備える。測色カメラ20は、図2に示すように、記録ヘッド6が搭載されたキャリッジ5に支持されている。そして、測色カメラ20は、キャリッジ5の移動に伴ってテストパターンが形成された記録媒体P上を移動しながら画像の撮像を行い、撮像によって得られる画像データ(動画を構成する複数フレームの画像データ)のうち、パッチ200を撮像した画像データに基づいて、パッチ200の測色値を算出する。
<測色カメラの機械的構成の具体例>
図4−1乃至図4−3は、測色カメラ20の機械的構成の一例を示す図であり、図4−1は、測色カメラ20の縦断面図(図4−2中のX1−X1線断面図)、図4−2は、測色カメラ20の内部を透視して示す上面図、図4−3は、筐体の底面部を図4−1中のX2方向から見た平面図である。
測色カメラ20は、枠体21と基板22とを組み合わせて構成された筐体23を備える。枠体21は、筐体23の上面となる一端側が開放された有底筒状に形成されている。基板22は、枠体21の開放端を閉塞して筐体23の上面を構成するように、締結部材24によって枠体21に締結され、枠体21と一体化されている。
筐体23は、その底面部23aが所定の間隙dを介してプラテン16上の記録媒体Pと対向するように、キャリッジ5に固定される。記録媒体Pと対向する筐体23の底面部23aには、記録媒体Pに形成されたパッチ200を筐体23の内部から撮影可能にするための開口部25が設けられている。開口部25の大きさは、パッチ200のサイズよりも小さくされている。
筐体23の内部には、画像を撮像するセンサ部26が設けられている。センサ部26は、CCDセンサまたはCMOSセンサなどの2次元イメージセンサ27と、センサ部26の撮像範囲の光学像を2次元イメージセンサ27のセンサ面に結像する結像レンズ28とを備える。2次元イメージセンサ27は、センサ面が筐体23の底面部23a側に向くように、例えば、基板22の内面(部品実装面)に実装されている。結像レンズ28は、その光学特性に応じて定められる位置関係を保つように2次元イメージセンサ27に対して位置決めされた状態で固定されている。
筐体23の底面部23aのセンサ部26と対向する内面側には、底面部23aに設けられた開口部25と隣り合うようにして、基準チャート400が配置されている。基準チャート400は、例えば、測色対象のパッチ200の比較対象として、センサ部26によりパッチ200とともに撮像されるものである。つまり、センサ部26は、筐体23の底面部23aに設けられた開口部25を介して筐体23の外部のパッチ200を撮像すると同時に、筐体23の底面部23aの内面側に配置された基準チャート400を撮像する。なお、ここでの同時に撮像とは、パッチ200と基準チャート400とを含む1フレームの画像データを取得することを意味する。つまり、画素ごとのデータ取得に時間差があっても、1フレーム内にパッチ200と基準チャート400とを含む画像データを取得すれば、パッチ200と基準チャート400とを同時に撮像したことになる。
また、筐体23の内部には、センサ部26がパッチ200と基準チャート400とを同時に撮像する際に、これらパッチ200および基準チャート400を照明する照明光源29が設けられている。照明光源29としては、例えばLED(Light Emitting Diode)が用いられる。本実施形態においては、照明光源29として2つのLEDを用いる。照明光源29として用いるこれら2つのLEDは、例えば、センサ部26の2次元イメージセンサ27とともに、基板22の内面に実装される。ただし、照明光源29は、パッチ200と基準チャート400とを照明できる位置に配置されていればよく、必ずしも基板22に直接実装されていなくてもよい。また、本実施形態では、照明光源29としてLEDを用いているが、光源の種類はLEDに限定されるものではない。例えば、有機ELなどを照明光源29として用いるようにしてもよい。有機ELを照明光源29として用いた場合は、太陽光の分光分布に近い照明光が得られるため、測色精度の向上が期待できる。
また、本実施形態では、図4−2に示すように、照明光源29として用いる2つのLEDを基板22側から筐体23の底面部23a側に垂直に見下ろしたときの底面部23a上の投影位置が、開口部25と基準チャート400との間の領域内となり、且つ、センサ部26を中心として対称となる位置となるように、これら2つのLEDが配置されている。換言すると、照明光源29として用いる2つのLEDを結ぶ線がセンサ部26の結像レンズ28の中心を通り、且つ、この2つのLEDを結ぶ線に対して線対称となる位置に、筐体23の底面部23aに設けられた開口部25と基準チャート400とが配置される。照明光源29として用いる2つのLEDをこのように配置することにより、パッチ200と基準チャート400とを、概ね同一の条件にて照明することができる。
ところで、筐体23の内部に配置された基準チャート400と同一の照明条件により筐体23の外部のパッチ200を照明するには、撮像時に外光がパッチ200に当たらないようにして、照明光源29からの照明光のみでパッチ200を照明する必要がある。パッチ200に外光が当たらないようにするには、筐体23の底面部23aと記録媒体Pとの間の間隙dを小さくし、パッチ200に向かう外光が筐体23によって遮られるようにすることが有効である。ただし、筐体23の底面部23aと記録媒体Pとの間の間隙dを小さくしすぎると、記録媒体Pが筐体23の底面部23aに接触してしまい、画像の撮像を適切に行えなくなる虞がある。そこで、筐体23の底面部23aと記録媒体Pとの間の間隙dは、記録媒体Pの平面性を考慮して、記録媒体Pが筐体23の底面部23aに接触しない範囲で小さな値に設定することが望ましい。例えば、間隙dを1mm〜2mm程度に設定すれば、記録媒体Pが筐体23の底面部23aに接触することなく、記録媒体Pに形成されたパッチ200に外光が当たることを有効に防止できる。
なお、照明光源29からの照明光をパッチ200に適切に照射するには、筐体23の底面部23aに設けた開口部25の大きさをパッチ200よりも大きくし、開口部25の端縁で照明光が遮られることで生じる影がパッチ200に映り込まないようにすることが望ましい。
また、筐体23の底面部23aと記録媒体Pとの間の間隙dを小さくすれば、センサ部26からパッチ200までの光路長と、センサ部26から基準チャート400までの光路長との差を、センサ部26の被写界深度の範囲内とすることもできる。本実施形態の測色カメラ20は、筐体23の外部のパッチ200と筐体23の内部に設けられた基準チャート400とをセンサ部26により同時に撮像する構成である。したがって、センサ部26からパッチ200までの光路長とセンサ部26から基準チャート400までの光路長との差がセンサ部26の被写界深度の範囲を超えていると、パッチ200と基準チャート400との双方に焦点の合った画像を撮像することができない。
センサ部26からパッチ200までの光路長とセンサ部26から基準チャート400までの光路長との差は、概ね、筐体23の底面部23aの厚みに間隙dを加えた値となる。したがって、間隙dを十分に小さな値とすれば、センサ部26からパッチ200までの光路長とセンサ部26から基準チャート400までの光路長との差を、センサ部26の被写界深度の範囲内として、パッチ200と基準チャート400との双方に焦点の合った画像を撮像することができる。例えば、間隙dを1mm〜2mm程度に設定すれば、センサ部26からパッチ200までの光路長とセンサ部26から基準チャート400までの光路長との差を、センサ部26の被写界深度の範囲内とすることができる。
なお、センサ部26の被写界深度は、センサ部26の絞り値や結像レンズ28の焦点距離、センサ部26と被写体との間の距離などに応じて定まる、センサ部26に固有の特性である。本実施形態の測色カメラ20においては、筐体23の底面部23aと記録媒体Pとの間の間隙dを例えば1mm〜2mm程度の十分に小さな値としたときに、センサ部26からパッチ200までの光路長と、センサ部26から基準チャート400までの光路長との差が被写界深度の範囲内となるように、センサ部26が設計されている。
<基準チャートの具体例>
次に、図5を参照しながら、測色カメラ20の筐体23の内部に配置される基準チャート400について詳細に説明する。図5は、基準チャート400の具体例を示す図である。
図5に示す基準チャート400は、測色用のパッチを配列した複数の基準パッチ列401〜404、ドット径計測用パターン列406、距離計測用ライン405およびチャート位置特定用マーカ407を有する。
基準パッチ列401〜404は、YMCKの1次色のパッチを階調順に配列した基準パッチ列401と、RGBの2次色のパッチを階調順に配列した基準パッチ列402と、グレースケールのパッチを階調順に配列した基準パッチ列(無彩色の階調パターン)403と、3次色のパッチを配列した基準パッチ列404と、を含む。ドット径計測用パターン列406は、大きさが異なる円形パターンが大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列であり、記録媒体Pに記録された画像のドット径の計測に用いることができる。
距離計測用ライン405は、複数の基準パッチ列401〜404やドット径計測用パターン列406を囲む矩形の枠として形成されている。チャート位置特定用マーカ407は、距離計測用ライン405の四隅の位置に設けられていて、各パッチ位置を特定するためのマーカとして機能する。測色カメラ20の撮像により得られる基準チャート400の画像データから、距離計測用ライン405とその四隅のチャート位置特定用マーカ407を特定することで、基準チャート400の位置及び各パターンの位置を特定することができる。
測色用の基準パッチ列401〜404を構成する各パッチは、測色カメラ20が撮像を行う際の撮像条件を反映した色味の基準として用いられる。なお、基準チャート400に配置されている測色用の基準パッチ列401〜404の構成は、図5に示す例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を適用することが可能である。例えば、可能な限り色範囲が広く特定できるパッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色の基準パッチ列401や、グレースケールの基準パッチ列403は、画像形成装置100に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、RGBの2次色の基準パッチ列402は、画像形成装置100で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、Japan Color等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
なお、本実施形態では、一般的なパッチ(色票)の形状の基準パッチ列401〜404を有する基準チャート400を用いているが、基準チャート400は、必ずしもこのような基準パッチ列401〜404を有する形態でなくてもよい。基準チャート400は、測色に利用可能な複数の色が、それぞれの位置を特定できるように配置された構成であればよい。
基準チャート400は、測色カメラ20の筐体23の底面部23aに、開口部25と隣り合うように配置されているため、センサ部26によってパッチ200と同時に撮像することができる。
なお、以上説明した測色カメラ20の機械的構成はあくまで一例であり、この構成に限られるものではない。本実施形態の測色カメラ20は、少なくとも2次元イメージセンサ27を用いて画像を撮像する構成であればよく、上記の構成に対して様々な変形や変更が可能である。
<画像形成装置の制御機構の概略構成>
次に、図6を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の制御機構の概略構成について説明する。図6は、画像形成装置100の制御機構の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図6に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106、制御用FPGA(Field-Programmable Gate Array)110、記録ヘッド6、測色カメラ20、エンコーダセンサ13、主走査モータ8、および副走査モータ12を備える。CPU101、ROM102、RAM103、記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106、および制御用FPGA110は、メイン制御基板120に搭載されている。記録ヘッド6、エンコーダセンサ13、および測色カメラ20は、上述したようにキャリッジ5に搭載されている。
CPU101は、画像形成装置100の全体の制御を司る。例えば、CPU101は、RAM103を作業領域として利用して、ROM102に格納された各種の制御プログラムを実行し、画像形成装置100における各種動作を制御するための制御指令を出力する。
記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106は、それぞれ、記録ヘッド6、主走査モータ8、副走査モータ12を駆動するためのドライバである。
制御用FPGA110は、CPU101と連携して画像形成装置100における各種動作を制御する。制御用FPGA110は、機能的な構成要素として、例えば、CPU制御部111、メモリ制御部112、インク吐出制御部113、センサ制御部114、およびモータ制御部115を備える。
CPU制御部111は、CPU101と通信を行って、制御用FPGA110が取得した各種情報をCPU101に伝えるとともに、CPU101から出力された制御指令を入力する。
メモリ制御部112は、CPU101がROM102やRAM103にアクセスするためのメモリ制御を行う。
インク吐出制御部113は、CPU101からの制御指令に応じて記録ヘッドドライバ104の動作を制御することにより、記録ヘッドドライバ104により駆動される記録ヘッド6からのインクの吐出タイミングを制御する。
センサ制御部114は、エンコーダセンサ13から出力されるエンコーダ値などのセンサ信号に対する処理を行う。
モータ制御部115は、CPU101からの制御指令に応じて主走査ドライバ105の動作を制御することにより、主走査ドライバ105により駆動される主走査モータ8を制御して、キャリッジ5の主走査方向への移動を制御する。また、モータ制御部115は、CPU101からの制御指令に応じて副走査ドライバ106の動作を制御することにより、副走査ドライバ106により駆動される副走査モータ12を制御して、プラテン16上の記録媒体Pの副走査方向への移動を制御する。
なお、以上の各部は、制御用FPGA110により実現する制御機能の一例であり、これら以外にも様々な制御機能を制御用FPGA110により実現する構成としてもよい。また、上記の制御機能の全部または一部を、CPU101または他の汎用のCPUにより実行されるプログラムにより実現する構成であってもよい。また、上記の制御機能の一部を、制御用FPGA110とは異なる他のFPGAやASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアにより実現する構成であってもよい。
記録ヘッド6は、CPU101および制御用FPGA110により動作制御される記録ヘッドドライバ104により駆動され、プラテン16上の記録媒体Pにインクを吐出し、画像の形成を行う。
測色カメラ20は、上述したように、記録媒体Pに形成されたテストパターンに含まれる各パッチ200の測色を行う際に、記録媒体P上を移動しながら画像の撮像を行う。そして、測色カメラ20は、撮像により得られた複数フレームの画像データのうち、パッチ200を撮像した画像データを選択し、選択した画像データに基づいて、パッチ200の測色値(標準色空間における表色値であり、例えばL*a*b*色空間におけるL*a*b*値(以下、L*a*b*をLabと表記する。))を算出する。測色カメラ20が算出したパッチ200の測色値は、制御用FPGA110を介してCPU101に送られる。
エンコーダセンサ13は、エンコーダシート14のマークを検知して得られるエンコーダ値を制御用FPGA110に出力する。このエンコーダ値は制御用FPGA110からCPU101へと送られて、例えば、キャリッジ5の位置や速度を計算するために用いられる。CPU101は、このエンコーダ値から計算したキャリッジ5の位置や速度に基づき、主走査モータ8を制御するための制御指令を生成して出力する。
<測色カメラの制御機構の構成>
次に、図7を参照しながら、測色カメラ20の制御機構について具体的に説明する。図7は、測色カメラ20の制御機構の一構成例を示すブロック図である。
測色カメラ20は、図7に示すように、2次元イメージセンサ27、インターフェース部30、選択部31、フレームメモリ32、平均化処理部33、測色値演算部34、不揮発性メモリ35、タイミング信号発生部36、光源駆動制御部37、および照明光源29を備える。これらの各部は、例えば、測色カメラ20の筐体23の上面部を構成する基板22に実装されている。
2次元イメージセンサ27は、結像レンズ28を介して入射した撮像範囲からの光を電気信号に変換し、撮像範囲の画像データを出力する。特に本実施形態の測色カメラ20では、記録媒体Pに形成されたテストパターンに含まれる各パッチ200の測色を行う場合に、2次元イメージセンサ27が、キャリッジ5の移動に伴って記録媒体P上を主走査方向に移動しながら撮像を行い、動画を構成する複数フレームの画像データを出力する。
図8は、2次元イメージセンサ27の動作を説明するタイミングチャートである。図8に示すように、2次元イメージセンサ27は、キャリッジ5の移動開始とともに撮像を開始し、CPU101により設定されたシャッタスピード(電子シャッタの本数)に応じて露光を行って画像データを出力する。2次元イメージセンサ27は、キャリッジ5が主走査方向に移動している間、上記の処理を繰り返し、動画を構成する複数フレームの画像データを出力する。したがって、2次元イメージセンサ27が出力する画像データには、テストパターンに含まれるパッチ200を撮像した画像データのほか、主走査方向に並ぶパッチ200間の隙間の領域を撮像した画像データも含まれる。
2次元イメージセンサ27は、露光により得られた画像データに対して、AD変換、シェーディング補正、ホワイトバランス補正、γ補正、画像データのフォーマット変換などの各種の画像処理を行う画像処理部27aを内蔵している。2次元イメージセンサ27は、この画像処理部27aにおいて各種の画像処理が行われた画像データを出力する。なお、画像データに対する各種の画像処理は、その一部あるいは全部を2次元イメージセンサ27の外部で行うようにしてもよい。
インターフェース部30は、2次元イメージセンサ27から画像データを出力し、また、CPU101から制御用FPGA110を介して送られた各種設定信号やタイミング信号発生部36が生成したタイミング信号を2次元イメージセンサ27に入力するためのインターフェースである。各種設定信号は、2次元イメージセンサ27の動作モードを設定する信号や、上述したシャッタスピード、AGCのゲインなどの撮像条件を設定する信号を含む。
選択部31は、2次元イメージセンサ27から出力された複数フレームの画像データのうち、パッチ200を撮像した画像データを選択する。
2次元イメージセンサ27は、上述したように、テストパターンが形成された記録媒体P上を主走査方向に移動しながら画像を動画として撮像するため、2次元イメージセンサ27から出力される複数フレームの画像データには、パッチ200間の隙間の領域を撮像した画像データも含まれる。そこで、選択部31が、2次元イメージセンサ27から出力される複数フレームの画像データのうち、パッチ200を撮像した画像データを、パッチ200の測色に使用する画像データとして選択する。選択部31により選択された画像データはフレームメモリ32に保存され、それ以外の画像データは破棄される。
図9は、選択部31が選択する画像データを説明する説明図である。図9では、主走査方向(図の横方向)に移動する2次元イメージセンサ27が、パッチ200上を通過する際に出力する7フレームの画像データi1〜i7を示している。画像データi1〜i7は、それぞれ、2次元イメージセンサ27のセンサ面の中心が、図中のp1〜p7の位置にあるときに出力が開始される画像データである。なお、ここでは、キャリッジ5の移動速度(つまり2次元イメージセンサ27が主走査方向に移動する速度)が50mm/sec、パッチ200の大きさが7×7mmであり、2次元イメージセンサ27は30f/sec(1秒間に30フレーム)の画像を撮像するものとしている。
2次元イメージセンサ27から出力される7フレームの画像データi1〜i7のうち、画像データi1,i7は、主走査方向に並ぶパッチ200間の隙間の領域を撮像した画像データである。また、画像データi2,i6は、パッチ200のエッジ部分を撮像した画像データである。これらの画像データi1,i2,i6,i7は、パッチ200の測色値を算出するために利用することができない。そこで、選択部31が、これらの画像データi1,i2,i6,i7を除いた残りの画像データi3〜i5を、パッチ200の測色に使用する画像データとして選択して、画像データi3〜i5をフレームメモリ32に格納する。この選択部31による画像データの選択は、例えば、記録媒体Pの下地の色のRGB値を記憶しておき、このRGB値に近い画素値を多く持つ画像データを除外する、あるいは、画像データに対して既知のエッジ検出処理を行って、エッジが検出された画像データを除外するといった処理により実現することができる。
なお、以上の説明では、選択部31が、パッチ200の測色に使用する画像データとして複数フレームの画像データを選択するようにしているが、選択部31は、パッチ200を撮像した1フレームの画像データを、パッチ200の測色に使用する画像データとして選択するように構成してもよい。また、選択部31が1フレームの画像データを選択する場合は、AGCのゲインを低くしてシャッタスピードを長くし、長時間露光によりパッチ200を撮像した1フレームの画像データが得られるようにしてもよい。
パッチ200の測色に複数フレームの画像データを用いる場合も、長時間露光によりパッチ200を撮像した1フレームの画像データを用いる場合も、2次元イメージセンサ27を停止させた状態でパッチ200を撮像した画像データを用いる場合と比較して、パッチ200内の広い領域の画像データを測色に用いることを意味する。これは、測色に用いる画像データにおいて、網点印刷で形成されたパッチ200のドット数が増加し、また、後段の平均化処理部33で平均化される画素データの数が増加することにつながり、結果的に、測色の精度を高める効果がある。また、本実施形態では、2次元イメージセンサ27が移動しながら画像を撮像するため、画像データに含まれる各画素データは、移動に伴って平均化されたものになり、測色の精度を高める効果がある。
図10は、パッチ200内の広い領域の画像データを測色に用いることで、網点印刷で形成されたパッチ200のドット数が増加することを説明する説明図である。図10(a)は、2次元イメージセンサ27が停止した状態で画像を撮像した場合に測色に用いられるパッチ200の領域を示し、図10(b)は、2次元イメージセンサ27が移動しながら画像を撮像した場合に測色に用いられるパッチ200の領域を示している。なお、図中の丸が網点のドットを示し、Yはイエローのインクのドット、Mはマゼンタのインクのドット、Cはシアンのインクのドットを示している。
網点印刷で形成されたパッチ200は、網点のドット位置が領域により異なるため、図10(a)のように、測色に用いる画像データに反映されたドット数が少ないと、正しい測色値を算出できない懸念がある。これに対して、図10(b)のように、パッチ200内の広い領域の画像データを測色に用いることで、測色に用いる画像データに反映されるドット数が増加し、測色の精度を高めることができる。
図11は、パッチ200内の広い領域の画像データを測色に用いることで、パッチ200内で局所的に色味が変化している異常部分の影響が緩和されることを説明する説明図である。図10(a)は、2次元イメージセンサ27が停止した状態で画像を撮像した場合に測色に用いられるパッチ200の領域を示し、図10(b)は、2次元イメージセンサ27が移動しながら画像を撮像した場合に測色に用いられるパッチ200の領域を示している。
図11(a)のように、測色に用いられるパッチ200の領域が小さいと、パッチ200内に異常部がある場合に、領域全体における異常部の割合が比較的大きくなるため、測色に与える影響が大きい。これに対して、図11(b)のように、パッチ200内の広い領域の画像データを測色に用いることで、領域全体における異常部の割合が小さくなり、測色に与える異常部の影響が緩和される。
図7に戻り、フレームメモリ32は、2次元イメージセンサ27から出力された複数フレームの画像データのち、選択部31により選択された画像データを一時的に格納する。
平均化処理部33は、選択部31により選択されてフレームメモリ32に格納された画像データを平均化して、パッチ200の測色値の演算に用いるパッチ200のRGB値を得る。具体的には、平均化処理部33は、例えば、選択部31により複数フレームの画像データが選択された場合、まず、これら複数フレームの画像データ間で、画素ごとに画素データ(RGB値)の平均化を行って、画素データが平均化された1フレーム分の画像データを得る。
図12は、選択部31により3フレームの画像データi3〜i5が選択された場合の平均化処理部33による処理を説明する説明図である。図12の例では、平均化処理部33は、3フレームの画像データi3〜i5間で同じ位置の画素データ同士を平均化し、平均化された画素データの集合である1フレーム分の画像データi_aveを得る。なお、選択部31により1フレームの画像データのみが選択されている場合は、この処理は省略される。
次に、平均化処理部33は、得られた画像データi_aveに含まれる各画素データを所定の閾値と比較し、閾値を超える画素データを除外する。この処理は、画像データからノイズ成分などを除去するための処理である。そして、平均化処理部33は、残った画素データを平均化することにより、最終的にパッチ200の測色値を算出するために用いるRGB値を得る。
測色値演算部34は、平均化処理部33による処理によって得られたパッチ200のRGB値と、測色カメラ20によりパッチ200と同時に撮像された基準チャート400のRGB値とに基づいて、パッチ200の測色値を算出する。測色値演算部34が算出したパッチ200の測色値は、制御用FPGA110を介してCPU101へと送られる。なお、測色値演算部34による処理の具体例については、詳細を後述する。
不揮発性メモリ35は、測色値演算部34がパッチ200の測色値を算出するために必要な各種データを格納する。
タイミング信号発生部36は、2次元イメージセンサ27による撮像開始のタイミングを制御するタイミング信号を生成し、インターフェース部30を介して2次元イメージセンサ27に入力する。本実施形態では、キャリッジ5が移動している間に2次元イメージセンサ27が画像を動画として撮像するので、タイミング信号はキャリッジ5の移動を開始させる駆動信号に同期した信号となる。
光源駆動制御部37は、照明光源29を駆動するための光源駆動信号を生成して、照明光源29に供給する。
<測色時の動作の概要>
次に、以上のように構成される本実施形態の画像形成装置100により、パッチ200の測色を行う際の動作の概要を説明する。
まず、画像形成装置100は、測色対象のパッチ200を並べたテストパターンの形成を行う。すなわち、画像形成装置100は、CPU101および制御用FPGA110による制御のもとで、主走査モータ8、副走査モータ12、および記録ヘッド6を駆動して、プラテン16上にセットされた記録媒体Pに、多数のパッチ200が並んだテストパターンを形成する。
図13は、記録媒体Pに形成されたテストパターンの一例を示す図である。図13に示すように、テストパターンは、測色対象のパッチ200を主走査方向に沿って複数個並べたパッチ列を、副走査方向に複数列並べた構成である。テストパターンに含まれる各パッチ200のサイズは、2次元イメージセンサ27が主走査方向に移動しながらパッチ200を撮像できる大きさであればよい。つまり、パッチ200の最小サイズは、キャリッジ5の移動速度と2次元イメージセンサ27が撮像する動画のフレーム周期によって定まる。一例として、各パッチ200のサイズは、例えば7×7mmの大きさとされる。
ただし、パッチ200の主走査方向の長さを、キャリッジ5の移動に伴う周期的な変動成分の1周期分が含まれる大きさにすれば、上述した平均化処理によって、この周期的な変動成分が測色に与える影響を緩和することができる。すなわち、パッチ200は、キャリッジ5が主走査方向に移動しながら記録ヘッド6からインクを吐出することで形成される。この際、キャリッジ5を移動させる移動機構の特性によって、キャリッジ5の移動に周期的な変動成分が生じる場合がある。例えば、キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動により移動するが、この主走査モータ8のコギングにより、キャリッジ5の移動速度に周期的な変動が生じる。そして、このキャリッジ5の移動に伴う周期的な変動成分により、パッチ200に主走査方向に沿った周期的な色ムラが生じる場合がある。ここで、パッチ200の主走査方向の長さが、周期的な変動成分の1周期分の長さに満たないと、上述した平均化処理を行ってもパッチ200の色ムラの影響をなくすことはできず、測色精度の低下が懸念される。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置100においては、キャリッジ5の移動に伴う周期的な変動成分がパッチ200の色ムラとなって現れる場合には、制御用FPGA110のインク吐出制御部113が、CPU101の指令に従って、キャリッジ5の移動に伴う周期的な変動成分の1周期分が含まれる大きさのパッチ200が形成されるように、記録ヘッドドライバ104を駆動して、記録ヘッド6によるインクの吐出を制御することが望ましい。例えば、主走査モータ8のコギングによる周期的な変動成分の1周期分が含まれるようにするには、主走査方向の長さが20〜30mmのパッチを形成すればよい。
図13に示すようなテストパターンが形成された記録媒体Pがプラテン16上にセットされると、画像形成装置100は、テストパターンに含まれる各パッチ200に対する測色を行う。すなわち、画像形成装置100は、CPU101および制御用FPGA110による制御のもとで、主走査モータ8および副走査モータ12を駆動するとともに測色カメラ20を制御して、キャリッジ5が主走査方向に移動している間に測色カメラ20の2次元イメージセンサ27により撮像を行う。そして、2次元イメージセンサ27から出力される複数フレームの画像データのうち、パッチ200を撮像した画像データを選択部31が選択する。そして、選択された画像データから平均化処理部33による処理によってパッチ200のRGB値が求められ、測色値演算部34が、このパッチ200のRGB値を用いてパッチ200の測色値を算出する。
<パッチの測色方法>
次に、図14乃至図20を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100によるパッチ200の測色方法の具体例について詳細に説明する。以下で説明する測色方法は、画像形成装置100が初期状態のとき(製造やオーバーフォールなどによって初期状態となっているとき)に実施される前処理と、画像形成装置100の色調整を行う調整時に実施される測色処理とを含む。
図14は、基準測色値および基準RGB値を取得する処理と基準値線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図である。図14に示すこれらの処理は、前処理として実施される。前処理では、複数の基準パッチKPが配列形成された基準シートKSが用いられる。基準シートKSの基準パッチKPは、測色カメラ20が備える基準チャート400のパッチと同等のものである。
まず、基準シートKSの複数の基準パッチKPの測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図14の例では、Lab値とXYZ値の双方)が、それぞれのパッチ番号に対応させて、例えば測色カメラ20の基板22に実装された不揮発性メモリ35などに設けられるメモリテーブルTb1に格納される。基準パッチKPの測色値は、分光器BSなどを用いた測色により事前に得られる値である。基準パッチKPの測色値が既知であれば、その値を用いればよい。以下、メモリテーブルTb1に格納された基準パッチKPの測色値を「基準測色値」という。
次に、基準シートKSがプラテン16上にセットされ、キャリッジ5の移動を制御することで、基準シートKSの複数の基準パッチKPを被写体として、測色カメラ20による撮像が行われる。そして、測色カメラ20の撮像により得られた基準パッチKPのRGB値が、不揮発性メモリ35のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応して格納される。つまり、メモリテーブルTb1には、基準シートKSに配列形成された複数の基準パッチKPそれぞれの測色値とRGB値が、各基準パッチKPのパッチ番号に対応して格納される。以下、メモリテーブルTb1に格納された基準パッチKPのRGB値を「基準RGB値」という。基準RGB値は、測色カメラ20の特性を反映した値である。
画像形成装置100のCPU101は、基準パッチKPの基準測色値および基準RGB値が不揮発性メモリ35のメモリテーブルTb1に格納されると、同じパッチ番号の基準測色値であるXYZ値と基準RGB値との対に対して、これらを相互に変換する基準値線形変換マトリックスを生成し、不揮発性メモリ35に格納する。メモリテーブルTb1に基準測色値としてLab値のみが格納されている場合は、Lab値をXYZ値に変換する既知の変換式を用いてLab値をXYZ値に変換した後に、基準値線形変換マトリックスを生成すればよい。
また、測色カメラ20が基準シートKSの複数の基準パッチKPを撮像する際には、測色カメラ20に設けられた基準チャート400も同時に撮像される。この撮像により得られた基準チャート400の各パッチのRGB値も、パッチ番号に対応させて、不揮発性メモリ35のメモリテーブルTb1に格納される。この前処理によりメモリテーブルTb1に格納された基準チャート400のパッチのRGB値を「初期基準RGB値」という。図15は、初期基準RGB値の一例を示す図である。図15(a)は初期基準RGB値(RdGdBd)をメモリテーブルTb1に格納した様子を示し、初期基準RGB値と(RdGdBd)ともに、初期基準RGB値(RdGdBd)をLab値に変換した初期基準Lab値(Ldadbd)やXYZ値に変換した初期基準XYZ値(XdYdZd)も対応付けて格納されることを示している。また、図15(b)は基準チャート400の各パッチの初期基準RGB値をプロットした散布図である。
以上の前処理が終了した後、画像形成装置100は、外部から入力される画像データや印刷設定等に基づいて、CPU101による制御のもとで、主走査モータ8や副走査モータ12、記録ヘッド6を駆動して、記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送させつつ、キャリッジ5を主走査方向に移動させながら、記録ヘッド6からインクを吐出させて、記録媒体Pに画像を形成する。このとき、記録ヘッド6からのインクの吐出量が、機器固有の特性や経時変化などによって変化することがあり、このインクの吐出量が変化すると、ユーザが意図する画像の色とは異なった色で画像形成されることとなって、色再現性が劣化する。そこで、画像形成装置100は、色調整を行う所定のタイミングで、記録媒体Pに形成されたパッチ200の測色値を求める測色処理を実施する。そして、測色処理により得られたパッチ200の測色値に基づいてデバイスプロファイルの生成あるいは修正を行って、このデバイスプロファイルに基づいて色調整を行うことにより、出力画像の色再現性を高める。
図16は、測色処理の概要を説明する図である。画像形成装置100は、色調整を行う調整時に、まず、プラテン16上にセットされた記録媒体P上に記録ヘッド6からインクを吐出して、多数のパッチ200が並んだテストパターン形成する。以下、テストパターンが形成された記録媒体Pを「調整シートCS」という。この調整シートCSには、画像形成装置100の調整時における出力特性、特に、記録ヘッド6の出力特性を反映したパッチ200が形成されている。なお、テストパターンを形成するための画像データは、不揮発性メモリ35などに予め格納されている。
次に、画像形成装置100は、図16に示すように、この調整シートCSがプラテン16上にセットされるか、調整シートCSを作成した段階で排紙することなくプラテン16上に保持された状態において、この調整シートCS上でキャリッジ5を主走査方向に移動させながら、測色カメラ20の2次元イメージセンサ27で画像の撮像を行う。そして、2次元イメージセンサ27から出力される複数フレームの画像データのうち、パッチ200を撮像した画像データを選択部31が選択する。そして、選択された画像データから平均化処理部33による処理によってパッチ200のRGB値が求められる。また、2次元イメージセンサ27は、測色対象のパッチ200と同時に基準チャート400を撮像しているため、基準チャート400に含まれる各パッチのRGB値も得られる。以下、測色対象のパッチ200のRGB値を「測色対象RGB値」といい、基準チャート400のパッチのRGB値を「測色時基準RGB値(RdsGdsBds)」という。「測色時基準RGB値(RdsGdsBds)」は、不揮発性メモリ35などに格納される。
測色カメラ20の測色値演算部34は、後述する基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換する処理を行う(ステップS10)。初期化測色対象RGB値(RsGsBs)は、測色対象RGB値から、前処理を行った初期状態のときから測色処理を行う調整時に至るまでの間に生じる測色カメラ20の撮像条件の経時変化、例えば、照明光源29の経時変化や2次元イメージセンサ27の経時変化の影響を排除したものである。
その後、測色値演算部34は、測色対象RGB値から変換された初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を対象として、後述する基本測色処理を実行することにより(ステップS20)、測色対象のパッチ200の測色値であるLab値を取得する。
図17は、基準RGB間線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図であり、図18は、初期基準RGB値と測色時基準RGB値との関係を示す図である。測色値演算部34は、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換する処理(ステップS10)を行う前に、この変換に用いる基準RGB間線形変換マトリックスを生成する。すなわち、測色値演算部34は、図17に示すように、画像形成装置100が初期状態のときに前処理として得られた初期基準RGB値(RdGdBd)と、調整時において得られる測色時基準RGB値(RdsGdsBds)とを不揮発性メモリ35から読み出し、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを生成する。そして、測色値演算部34は、生成した基準RGB間線形変換マトリックスを不揮発性メモリ35に格納する。
図18において、図18(a)で薄く描かれている点が初期基準RGB値RdGdBdをrgb空間でプロットした点であり、塗りつぶし点が、測色時基準RGB値RdsGdsBdsをrgb空間でプロットした点である。図18(a)から分かるように、測色時基準RGB値RdsGdsBdsの値が初期基準RGB値RdGdBdの値から変動しており、これらのrgb空間上での変動方向は、図18(b)に示すように概ね同じであるが、色相によってずれの方向が異なる。このように、同じ基準チャート400のパッチを撮像してもRGB値が変動する要因としては、照明光源29の経時変化、2次元イメージセンサ27の経時変化などがある。
このように、測色カメラ20による撮像によって得られるRGB値が変動している状態で、パッチ200を撮像することで得られる測色対象RGB値を用いて測色値を求めると、変動分だけ測色値に誤差が発生する虞がある。そこで、初期基準RGB値RdGdBdと測色時基準RGB値RdsGdsBdsとの間で、最小2乗法などの推定法を用いて、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求め、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、測色カメラ20でパッチ200を撮像することにより得られる測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換し、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを対象として、後述する基本測色処理を実行することで、測色対象のパッチ200の測色値を精度よく取得できるようにしている。
この基準RGB間線形変換マトリックスは、1次だけでなく、さらに高次の非線形マトリックスであってもよく、rgb空間とXYZ空間間で非線形性が高い場合には、高次のマトリックスとすることで、変換精度を向上させることができる。
測色値演算部34は、上述したように、パッチ200の撮像により得られる測色対象RGB値を、基準RGB間線形変換マトリックスを用いて初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換した後(ステップS10)、この初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を対象として、ステップS20の基本測色処理を行う。
図19および図20は、基本測色処理を説明する図である。測色値演算部34は、まず、前処理において生成して不揮発性メモリ35に格納した基準値線形変換マトリックスを読み出し、基準値線形変換マトリックスを用いて初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を第1XYZ値に変換し、不揮発性メモリ35に格納する(ステップS21)。図19では、初期化測色対象RGB値(3、200、5)が基準値線形変換マトリックスにより第1XYZ値(20、80、10)に変換された例を示している。
次に、測色値演算部34は、ステップS21で初期化測色対象RGB値(RsGsBs)から変換された第1XYZ値を、既知の変換式を用いて第1Lab値に変換し、不揮発性メモリ35に格納する(ステップS22)。図19では、第1XYZ値(20、80、10)が既知の変換式により第1Lab値(75、−60、8)に変換された例を示している。
次に、測色値演算部34は、前処理において不揮発性メモリ35のメモリテーブルTb1に格納された複数の基準測色値(Lab値)を検索し、該基準測色値(Lab値)のうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い基準測色値(Lab値)を持つ複数のパッチ(近傍色パッチ)の組を選択する(ステップS23)。距離の近いパッチを選択する方法としては、例えば、メモリテーブルTb1に格納されたすべての基準測色値(Lab値)に対して、第1Lab値との距離を算出し、第1Lab値に対して距離の近いLab値(図19では、ハッチングの施されているLab値)を持つ複数のパッチを選択するといった方法を用いることができる。
次に、測色値演算部34は、図20に示すように、メモリテーブルTb1を参照して、ステップS23で選択した近傍色パッチのそれぞれについて、Lab値と対になっているRGB値(基準RGB値)とXYZ値を取り出して、これら複数のRGB値とXYZ値のなかから、RGB値とXYZ値との組み合わせを選択する(ステップS24)。そして、測色値演算部34は、選択した組み合わせ(選択組)のRGB値をXYZ値に変換するための選択RGB値線形変換マトリックスを、最小二乗法などを用いて求め、求めた選択RGB値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ35に格納する(ステップS25)。
次に、測色値演算部34は、ステップS25で生成した選択RGB値線形変換マトリックスを用いて、初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を第2XYZ値に変換する(ステップS26)。さらに、測色値演算部34は、ステップS26で求めた第2XYZ値を、既知の変換式を用いて第2Lab値に変換し(ステップS27)、得られた第2Lab値を、測色対象のパッチ200の最終的な測色値とする。画像形成装置100は、以上の測色処理により得られた測色値に基づいてデバイスプロファイルを生成あるいは修正し、このデバイスプロファイルに基づいて色調整を行うことにより、出力画像の色再現性を高めることができる。
なお、上述した測色カメラ20は、筐体23に基準チャート400を設けて、センサ部26の2次元イメージセンサ27によって測色対象のパッチ200と基準チャート400とを同時に撮像する構成となっている。しかし、上述したように、基準チャート400の撮像により得られる初期基準RGB値や測色時基準RGB値は、測色対象のパッチ200の撮像により得られる測色対象RGB値に対して、測色カメラ20の撮像条件の経時変化、例えば、照明光源29の経時変化や2次元イメージセンサ27の経時変化の影響を排除するために用いられる。つまり、基準チャート400の撮像により得られる初期基準RGB値や測色時基準RGB値は、上述した基準RGB間線形変換マトリックスを算出し、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換するために用いられる。
したがって、要求される測色の精度に対して測色カメラ20の撮像条件の経時変化が無視できるレベルであれば、基準チャート400が省略された構成の測色カメラ20を用いてパッチ200の測色値を算出するようにしてもよい。この場合、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値に変換する処理(図16のステップS10)が省略され、測色対象RGB値を対象として、基本測色処理(図16のステップS20、図19および図20)が行われる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態に係る画像形成装置100では、キャリッジ5に取り付けられた測色カメラ20の2次元イメージセンサ27が、キャリッジ5の移動に伴って、テストパターンが形成された記録媒体P上を主走査方向に移動しながら撮像を行う。そして、選択部31が、2次元イメージセンサ27から出力される複数フレームの画像データのうち、パッチ200を撮像した画像データを選択する。そして、測色値演算部34が、選択部31により選択された画像データに基づいて、パッチ200の測色値を算出する。したがって、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、テストパターンに含まれるパッチ200の測色を短時間で行うことができる。
すなわち、従来の方法では、テストパターンに含まれる各パッチ200の画像を撮像してパッチ200の測色値を算出する場合に、パッチ200ごとにキャリッジ5の移動を停止させ、2次元イメージセンサ27が静止した状態でパッチ200の画像を撮像していた。このため、パッチ200ごとにキャリッジ5の減速や加速が生じ、テストパターンに含まれるパッチ200の数が多い場合は特に、すべてのパッチ200の測色を完了するまでに長い時間を要するという問題があった。これに対して、本実施形態に係る画像形成装置100では、測色カメラ20の2次元イメージセンサ27が移動しながら画像を動画として撮像し、得られた複数フレームの画像データの中からパッチ200を撮像した画像データを選択して、パッチ200の測色に用いるようにしている。したがって、キャリッジ5が定速で主走査方向に移動している間に、主走査方向に並ぶすべてのパッチ200の撮像が終了することになり、パッチ200の測色に要する時間を大幅に短縮できる。
例えば、主走査方向の長さが500mmの記録媒体Pに、50個のパッチ200が主走査方向に並ぶテストパターンが形成されているものとする。また、キャリッジ5の移動速度が50mm/secであり、パッチ200ごとにキャリッジ5を停止させる場合は、キャリッジ5がパッチ200間を移動するのに、減速および加速に要する時間も含めて、およそ0.8secかかるとする。この場合、従来の方法では、主走査方向に並ぶ50個のパッチ200の画像をすべて撮像するのに、2次元イメージセンサ27の露光時間を無視したとしても、0.8sec×50=40secかかっていた。これに対し、本実施形態では、キャリッジ5が50mm/secの速度で500mm移動するのに要する10secの間に、50個のパッチ200の画像をすべて撮像することができる。つまり、本実施形態では、従来の方式と比べて、キャリッジ5の主走査方向への移動ごとに30secの時間短縮を図ることができる。
<変形例>
上述した実施形態では、パッチ200の測色値を算出する機能を測色カメラ20に持たせるようにしているが、測色カメラ20の外部でパッチ200の測色値を算出するようにしてもよい。例えば、画像形成装置100のメイン制御基板120に実装されたCPU101や制御用FPGA110が、測色対象のパッチ200の測色値を算出するように構成することができる。この場合、測色カメラ20は、パッチ200の測色値の代わりに、パッチ200や基準チャート400のRGB値を、CPU101や制御用FPGA110に送る構成となる。
また、上述した実施形態では、測色カメラ20が画像形成装置100の機構を利用してテストパターンが形成された記録媒体P上を移動するようにしているが、測色カメラ20を画像形成装置100から分離して、独自の移動機構によりテストパターンが形成された記録媒体P上を移動する構成としてもよい。つまり、上述した実施形態は、画像形成装置100に測色装置としての機能を持たせた例であるが、測色装置を画像形成装置100とは異なる独立した装置として構成し、この測色装置により、画像形成装置100が形成したテストパターンに含まれるパッチ200の測色値を算出するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、パッチ200の測色値を算出する機能を、測色カメラ20を含む画像形成装置100に持たせるようにしているが、パッチ200の測色値の算出は、必ずしも画像形成装置100内部で実行する必要はない。例えば、図21に示すように、画像形成装置100と外部装置500とが通信可能に接続された画像形成システム(測色システム)を構築し、パッチ200の測色値を算出する測色値演算部34の機能を外部装置500に持たせて、外部装置500において測色値の算出を行うようにしてもよい。つまり、測色システムは、画像形成装置100に設けられた測色カメラ20と、外部装置500に設けられた測色値演算部34と、これら測色カメラ20と測色値演算部34(画像形成装置100と外部装置500)とを接続する通信手段600と、を備えた構成となる。外部装置500は、例えば、DFE(Digital Front End)と呼ばれるコンピュータを用いることができる。また、通信手段600は、有線や無線によるP2P通信のほか、LANやインターネットなどのネットワークを利用した通信などを利用することができる。
上記の構成の場合、例えば、画像形成装置100は、測色カメラ20の撮像により得られたパッチ200および基準チャート400のRGB値を、通信手段600を利用して外部装置500に送信する。外部装置500は、画像形成装置100から受信したパッチ200や基準チャート400のRGB値を用いてパッチ200の測色値を算出し、算出したパッチ200の測色値に基づいて、画像形成装置100の特性を記述したデバイスプロファイルを生成あるいは修正する。そして、外部装置500は、このデバイスプロファイルを、通信手段600を利用して画像形成装置100に送信する。画像形成装置100は、外部装置500から受信したデバイスプロファイルを保持し、画像形成を行う際には、このデバイスプロファイルに基づいて画像データを補正し、補正後の画像データに基づいて画像形成を行う。これにより、画像形成装置100は色再現性の高い画像形成を行うことができる。
また、外部装置500が、パッチ200の測色値に基づいて生成した画像形成装置100のデバイスプロファイルを保持し、外部装置500において画像データの補正を行うようにしてもよい。すなわち、画像形成装置100は、画像形成を行う際に、画像データを外部装置500に送信する。外部装置500は、画像形成装置100から受信した画像データを、自身が保持する画像形成装置100のデバイスプロファイルに基づいて補正し、補正した画像データを画像形成装置100に送信する。画像形成装置100は、外部装置500から受信した補正後の画像データに基づいて画像形成を行う。これにより、画像形成装置100は色再現性の高い画像形成を行うことができる。
なお、上述した本実施形態に係る画像形成装置100や測色カメラ20を構成する各部の制御機能は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実現することができる。本実施形態に係る画像形成装置100や測色カメラ20を構成する各部の制御機能をソフトウェアにより実現する場合は、画像形成装置100や測色カメラ20が備えるプロセッサが処理シーケンスを記述したプログラムを実行する。プロセッサにより実行されるプログラムは、例えば、画像形成装置100や測色装置内部のROMなどに予め組み込まれて提供される。また、プロセッサが実行するプログラムを、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するようにしてもよい。
また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。