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JP6236830B2 - グラフェン凝集体の製造方法及びリチウムイオン電池用負極炭素材料 - Google Patents
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JP6236830B2 - グラフェン凝集体の製造方法及びリチウムイオン電池用負極炭素材料 - Google Patents

グラフェン凝集体の製造方法及びリチウムイオン電池用負極炭素材料 Download PDF

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Description

本発明は、グラフェン凝集体の製造方法、それを用いたリチウムイオン電池用の負極炭素材料、並びにその炭素材料を含むリチウムイオン電池に関する。
リチウムイオン電池(Lithium ion batteries:LIBs)は、ノート型コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末などの現代の携帯電子機器に搭載されるようになり、さらに電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)への関心の到来と共に、EVやPHEVに搭載される高入力性能の可能なLIBs開発の要望が極めて高くなっている。
LIBsの負極材料として、可逆的にリチウムイオンを出し入れ可能な黒鉛などの黒鉛系負極材料が用いられている。
従来の黒鉛系負極材料は、バルクの電極物質中へのリチウムイオンの遅い拡散性のために高入力密度のLIBsを提供することは困難である。
一方、グラフェンシートは、グラファイトの層間距離d002=0.3354nmよりも広い層間を有することで、リチウムイオンの拡散性が向上することが期待されている。
例えば、特許文献1には、従来の黒鉛系負極材料が、サイクル寿命、可逆的容量、非可逆的容量などの特性面で十分でないとし、これを改良するものとして、ナノメーターオーダーの単層グラフェンシートまたはグラフェンシートの積層であるナノグラフェンプレートレット(NGPs)が提案されている。
従来のグラフェンシートは、酸化グラファイトを熱的あるいは機械的に処理して酸化グラフェンシートに剥離し、これを化学的に還元して製造されている。
また、特許文献2には、黒鉛を酸性電解質水溶液中に浸漬し、該黒鉛を作用極(陽極)とし、対照極との間に、自然電位以外に0.6〜0.8Vの範囲の直流電圧を48時間以上、1000時間以下印加する電気化学的処理により、層間に陰イオン(硝酸アニオン)がインターカレートした膨張化黒鉛の製造方法が開示されている。また、この膨張化黒鉛に機械的剥離や超音波による剥離力を与えることで容易に剥離して、グラフェンや薄片化黒鉛を得ることができると記載されている。
特表2011−503804号公報(WO2009/061685) 特開2012−131691号公報
しかしながら、従来のグラフェンシートの製造方法では、一旦、酸化してから剥離し、その後還元処理を行う方法であり、非常に生産性が悪い。また、一旦酸化していることで、還元処理を施しても元の黒鉛等の導電性よりも低くなる。
特許文献2の電気化学的処理でも黒鉛を陽極として処理を行うため、陽極酸化を受けて酸化グラフェンとなり、上記の化学的酸化還元の手法と同様の問題がある。また、必要以上に酸化されることを避けるため、低電位で行う必要がある。そのため、陰イオンのインターカレートの効率が悪く、長時間を要する。
また、いずれの場合も機械的または熱的衝撃力により剥離を行うため、剥離したグラフェンは微粉砕され、凝集しても粒径(二次粒子径)が小さく、低密度となる。
そのため、新たな構造で低コストに炭素系負極材料が、高入力密度LIBsを構築するために求められている。
本発明者らは、酸化グラフェンを経ないグラフェンシートの製造について鋭意検討した結果、電解液中で炭素材料を陰極として電気化学的に剥離することで、密度が高く、粒径の大きなグラフェン凝集体が得られ、このようなグラフェン凝集体がリチウムイオン電池の負極材料として優れた特性を有することを見出した。
すなわち、本発明の一実施形態によれば、
電解液中で、グラフェン積層体を含む炭素材料を陰極として電気化学的にグラフェンを剥離し、前記陰極から脱離したグラフェンの凝集体を回収するグラフェン凝集体の製造方法、が提供される。
また、本発明の別の実施形態によれば、
以下の条件を満たすグラフェン凝集体が提供される。
(1)粒子径が300μm以下でかつ平均粒子径D50が1〜20μm、
(2)真密度が0.5g/cm以上、
(3)BET法による表面積が300m/g以下。
本発明のさらに別の実施形態によれば、上記グラフェン凝集体を負極材料に用いたリチウムイオン電池が提供される。リチウムイオン電池の負極材料として使用するに際して、グラフェン凝集体表面に0.5〜500nm径の細孔が形成されていることが好ましく、又、リチウム吸蔵物質による修飾が施されていることが好ましい。さらにこれらの負極材料はアモルファスカーボンで被覆されていることが好ましい。
本発明の一実施形態によれば、グラフェン積層体を含む炭素材料から酸化処理を経ることなくグラフェンの凝集体が得られるため、導電性の高いリチウムイオン電池用負極材料が提供でき、入出力特性が向上したリチウムイオン電池を提供できる。
本発明の一実施形態に係る陰極剥離に使用する電気化学セルの構成を説明する概念図である。 本発明の一実施形態に係る陰極剥離のメカニズムを説明する概念図である。 本発明の別の実施形態に係る陰極剥離のメカニズムを説明する概念図である。 実施例1で得られたグラフェン凝集体のX線回折(XRD)図を、従来の黒鉛と共に示す。 実施例1で得られたグラフェン凝集体のSEM像(500倍)を示す。 実施例1で得られたグラフェン凝集体のSEM像(1万倍)を示す。
以下、本発明の実施形態例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態例のみに限定されるものではない。
〔1.グラフェン凝集体の製造方法〕
本発明におけるグラフェン凝集体の製造方法は、電解液中でグラフェン積層体を含む炭素材料を陰極として電気化学的にグラフェンを剥離(以下、陰極剥離という)し、陰極から脱離し、凝集したグラフェン凝集体を回収するものである。
(1A.炭素材料)
本発明の陰極剥離に供される炭素材料は、グラフェン積層体を含むものであり、天然または人造黒鉛などの高結晶性炭素材料と、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)及び難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)などの低結晶性炭素材料とがある。使用する炭素材料によって、得られるグラフェン凝集体の特性は異なる。詳細については後述する。これらの炭素材料は、電極形状に成形して使用する。電極形状としては、ロッド状(棒状)、プレート状(板状)などいずれの形状でも良く、特に限定されない。
(1B.陰極剥離)
炭素材料の陰極剥離は、例えば、図1に示すような電気化学セルを用いて行う。図1において、電気化学セルの筐体1中に電解液2が入れられており、電解液2中に作用極(陰極)として炭素材料3、対照極(陽極)として、酸化に強い貴金属電極や貴金属酸化物電極などの不溶性陽極4を用い、電源5より所定の電圧を印加して炭素材料3の陰極剥離を行う。陰極の炭素材料3上でグラフェン6の剥離が生じる電圧以上とすることで剥離が開始される。電圧を調整することで剥離速度を制御することができる。凝集体の大きさ(二次粒子径)は電圧及び浴組成によって0.1〜500μmの範囲に制御できる。リチウムイオン電池の負極材料として使用する場合は、300μm以下とすることが好ましい。電圧が高いほど、剥離が速く進行し、密度が大きく、大きな粒径を有するグラフェン凝集体7を製造できる。時間を長くして電圧を下げるほど、低密度で小さな粒径のグラフェン凝集体7を製造することができる。電気化学セルは、陽極−陰極間に隔壁を設け、それぞれの電極上で発生するガスが混合しないようにすることが好ましい。
(1C.電解液)
本発明の陰極剥離に使用する電解液は、グラフェン層間にインターカレートする陽イオンを含むものであり、グラフェン間の層間距離(黒鉛では0.34nm程度)よりも大きいイオン種を含む。このようなイオン種として、アルカリ金属イオンと有機溶媒との溶媒和物が好ましく、特に、ナトリウムイオンとジメチルスルフォキシド(DMSO)との溶媒和物(Na:DMSOということがある)がより好ましい。例えば、NaClをDMSOに容量比1:50〜1:1で混合することで所望の溶媒和物が得られる。さらに得られた溶媒和物を水と混合し、電解液を得ることができる。電解液中でのNaの濃度が0.1M〜1Mとなるように調節する。また、イオン液体をそのまま電解液として用いることもできる。イオン液体は常温で液状を呈するものが好ましく、例えば、イミダゾリウム塩、ピロリジウム塩、ピペリジニウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム・ホスホニウム・スルホニウム塩などが挙げられる。
ここで、陰極剥離のメカニズムについて概念図を参照して説明する。図2は黒鉛について、NaとDMSOの溶媒和物を用いて陰極剥離を実施した例を示している。まず、図2(a)はグラフェン12が層状に積み重なった黒鉛11を示し、図2(b)に示すようにNaとDMSOの溶媒和物13を用いた陰極剥離を開始すると、グラフェン12の層間に溶媒和物13がインターカレートする。インターカレートする溶媒和物13の応力及び陰極発生ガス(例えば水素ガス)によりグラフェン12の層間が押し広げられて、陽陰極間に印加する電圧が3V以上になると剥離が生じる。剥離したグラフェン12は、陰極より脱離して電解液中で凝集してグラフェン凝集体14となる(図2(c))。本発明の陰極剥離では酸化反応が生じないことから、良好な導電性を有する単層または数層グラフェン材料を製造するための新規かつ低コストな方法である。ハードカーボンやソフトカーボンなどの低結晶性炭素材料、例えば、図3に示すソフトカーボン21の場合、グラフェン12’のクラスター22のサイズは小さい(図3(a))、溶媒和物13がインターカレートし(図3(b))、さらに剥離電圧を超えると、クラスター間の結合が弱いため、クラスター22間の分離と共にグラフェン12’の剥離が生じる(図3(c))。この結果、黒鉛などの高結晶性炭素材料の場合と比較すると粒径の小さいグラフェン凝集体14’が得られやすい(図3(d))。なお、必ずしも全てのグラフェン間で剥離が生じるわけではなく、複層グラフェンとして剥離するものがあり、通常は単層グラフェンと複層グラフェンの混合物として凝集体を構成する。また、クラスター同士が繋がったまま剥離する場合もある。
(1D.グラフェン凝集体の構造)
従来の化学的酸化還元法によって合成された単層または数層グラフェンは、凝集体を形成しても0.01−0.5g/cm程度の密度のものしか得られなかった。これに対し、本発明に係るグラフェン凝集体は、陰極剥離条件を調節することで従来よりも高密度(0.5−2g/cm)品を提供することが可能である。このような高密度品は、リチウムイオン電池の負極材料に適している。又、本発明に係るグラフェン凝集体は、酸化グラフェンから化学還元して得られる従来のグラフェン(100−300 S/m)よりも良好な導電性(<500 S/m)を有している。陰極剥離で、原料炭素材料、剥離時間及び設定電圧で5nm−50μmサイズ(Lc(002))の単層または複層グラフェン(2−200層)に調整できる。グラフェン凝集体の比表面積は凝集体の大きさに依存して1−500m/gにできる。300m/g以下であることがリチウムイオン電池の負極材料に適している。酸化の指標となるカルボキシル基、ヒドロキシル基及びその他の官能基はFTIRによって特徴付けることができる。本発明のグラフェン凝集体は、従来の酸化グラフェンからの還元体に比較して、これら酸化の指標となる官能基は僅かである。また、本発明に係るグラフェン凝集体は、黒鉛(0.3354nm)よりも大きい格子間隔(d002:0.3355−0.4nm)を有する複層グラフェンを含む。
〔2.リチウムイオン電池用負極材料〕
本発明に係るリチウムイオン電池用負極材料は、上記のグラフェン凝集体を含む。そのまま用いることもできるが、さらに、細孔形成(賦活処理)、各種リチウム吸蔵物質による修飾、被覆処理などを行うことが好ましい。
(2A.賦活処理)
炭素材料の賦活処理としては、ガス賦活と化学賦活とが知られているが、本発明に係るグラフェン凝集体では、化学賦活、特にナノ結晶(KOH、NaOH,ZrOまたはその他の水酸化物または酸化物)を用いた賦活処理が好ましく使用できる。賦活処理により0.5〜500nmの細孔を形成することができる。このように賦活による炭素材料上の細孔はリチウムイオンの拡散経路を短縮し、またリチウムイオン保持のためのより多くの活性サイトを提供する。細孔の大きさは、ナノ結晶の大きさに依存することから、これらの析出条件(例えばKOH溶液の濃度や乾燥時間)を適宜変更してある程度の範囲に調整することができる。特に、20〜100nmの細孔を形成することが好ましい。複層グラフェンが含まれる場合、細孔は表層のグラフェンのみに限定されず、2層以上にわたって形成されることがあるが、ここでの細孔径は表層のグラフェン、特に凝集体表面に観察される細孔の大きさを示す。
また、賦活処理の際の加熱温度は、特に限定されないが、その下限は、通常500℃、好ましくは600℃であり、上限は通常1200℃、好ましくは900℃、特に好ましくは800℃である。賦活処理は不活性ガス雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で実施される。
(2B.リチウム吸蔵物質による修飾)
本発明のグラフェン凝集体は、黒鉛よりも大きな層間距離を有しているため、黒鉛の理論容量(LiC)の372mAh/gよりも大きな容量を得ることができるが、リチウム吸蔵物質により修飾することで容量値の更なる増大が可能となる。このようなリチウム吸蔵物質としては、公知の材料が使用でき、例えば、SiOx(x<2),TiO,Co,SnOなどのリチウムイオン活性遷移金属酸化物またはSi,Ge,Sn,Pb,Al,Ga,In,Mgなどのリチウムと合金形成可能な金属が挙げられる。
このようなリチウム吸蔵物質による修飾は、in-situ法にて行うことができ、例えば、リチウムイオン活性遷移金属酸化物に関しては、2種類の異なるタイプの溶液(NaSO及びX(CHCOO)、XCl、XSO、またはXNOなど、XはSn、Ti、Coなど)の混合物からナノ構造活物質が陽極電着される。修飾はまた、CVD、PVD、マグネトロンスパッタリングで行うことができる。金属は、マグネトロンスパッタや電気めっき等でグラフェン凝集体を被覆して修飾することができる。
リチウム吸蔵物質の含有量は、本発明に係るグラフェン凝集体に対して0.1〜30質量%が好ましい。この含有量が少なすぎると十分な含有効果がなく、この含有量が多すぎると、金属または金属酸化物の充放電時の体積膨張収縮の影響が大きく、グラフェン凝集体が劣化しやすくなる。
(2C.被覆処理)
以上の賦活処理及び/又は修飾処理の施されたグラフェン凝集体は、1−500nm厚のアモルファスカーボン膜で被覆できる。アモルファスカーボン膜の被覆処理はCVD法、ゾル−ゲル法、ボールミル法、in-situ重合、乾式混合、スプレー熱分解、熱分解に続く湿式混合、熱蒸着、レオロジー相反応、液系合成、水熱法などによる。このような被覆処理を施すことで、グラフェン凝集体と電解質に用いられる非水溶媒との反応性が抑制され、使用できる溶媒の範囲が広がる。また、充放電効率が向上し、反応容量が増大する。
(2D.材料特性)
黒鉛などの高結晶性炭素材料から得られたグラフェン凝集体は、平均粒子径D50が10〜20μmと比較的狭い範囲で得られ、高密度な凝集体となる。一方、ソフトカーボンなどの低結晶性炭素材料から得られたグラフェン凝集体は、平均粒子径D50が1〜20μmと比較的広い範囲で得られる。また、両者を比べると、高結晶性炭素材料から得られたグラフェン凝集体は放電容量の高いリチウムイオン電池の提供に有利であり、低結晶性炭素材料から得られたグラフェン凝集体は充電レート特性に優れたリチウムイオン電池の提供に有利である。賦活処理、修飾処理、アモルファスカーボン被覆したグラフェン凝集体は、さらに容量に優れたリチウムイオン電池の提供に有利となる。これらのグラフェン凝集体は、一種を単独で、または粒径の異なる二種以上を組み合わせて使用することができる。原料炭素材料の異なるグラフェン凝集体を組み合わせて使用することもできる。
〔3.リチウムイオン電池〕
本発明の実施形態によるリチウムイオン電池は、上記リチウムイオン電池用負極材料を含む負極と正極と電解質を含む。本発明に係るリチウムイオン電池は主に二次電池として使用できる。
(3A.負極)
本実施形態例に係るリチウムイオン電池用負極材料は、リチウムイオン電池の負極活物質に適用でき、この負極材料を負極活物質として用いることにより、特に入力特性が改善されたリチウムイオン電池を提供することができる。
リチウムイオン電池用の負極は、例えば、負極集電体上に、上記の負極材料を含む負極活物質と結着剤を含む負極活物質層を形成することで作製することができる。負極活物質には、必要に応じて本発明に係る負極材料以外の公知の負極活物質を添加しても良い。この負極活物質層は、一般的なスラリー塗布法で形成することができる。具体的には、負極活物質、結着剤および溶媒を含むスラリーを調製し、これを負極集電体上に塗布し、乾燥し、必要に応じて加圧することで、負極を得ることができる。負極スラリーの塗布方法としては、ドクターブレード法、ダイコーター法、ディップコーティング法が挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法で金属薄膜を集電体として形成して、負極を得ることもできる。
負極用の結着剤としては、特に制限されるものではないが、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムが挙げられる。スラリー溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水を用いることができる。水を溶媒として用いる場合、さらに増粘剤として、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコールを用いることができる。
この負極用の結着剤の含有量は、トレードオフの関係にある結着力とエネルギー密度の観点から、負極活物質100質量部に対して0.1〜30質量部の範囲にあることが好ましく、0.5〜25質量部の範囲がより好ましく、1〜20質量部の範囲がさらに好ましい。
負極集電体としては、特に制限されるものではないが、電気化学的な安定性から、銅、ニッケル、ステンレス、モリブデン、タングステン、タンタルおよびこれらの2種以上を含む合金が好ましい。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。
(3B.正極)
正極は、例えば、正極活物質、結着剤及び溶媒(さらに必要により導電補助材)を含むスラリーを調製し、これを正極集電体上に塗布し、乾燥し、必要に応じて加圧することにより、正極集電体上に正極活物質層を形成することにより作製できる。負極と同様に正極活物質層を形成した後、集電体用の薄膜を形成してもよい。
正極活物質としては、特に制限されるものではないが、例えば、リチウム複合酸化物やリン酸鉄リチウムなどを用いることができる。リチウム複合酸化物としては、マンガン酸リチウム(LiMn);コバルト酸リチウム(LiCoO);ニッケル酸リチウム(LiNiO);これらのリチウム化合物のマンガン、コバルト、ニッケルの部分の少なくとも一部をアルミニウム、マグネシウム、チタン、亜鉛など他の金属元素で置換したもの;マンガン酸リチウムのマンガンの一部を少なくともニッケルで置換したニッケル置換マンガン酸リチウム;ニッケル酸リチウムのニッケルの一部を少なくともコバルトで置換したコバルト置換ニッケル酸リチウム;ニッケル置換マンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の金属(例えばアルミニウム、マグネシウム、チタン、亜鉛の少なくとも一種)で置換したもの;コバルト置換ニッケル酸リチウムのニッケルの一部を他の金属元素(例えばアルミニウム、マグネシウム、チタン、亜鉛の少なくとも一種)で置換したものが挙げられる。これらのリチウム複合酸化物は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。正極活物質の平均粒径については、電解液との反応性やレート特性等の観点から、例えば平均粒径が0.1〜50μmの範囲にある正極活物質を用いることができ、好ましくは平均粒径が1〜30μmの範囲にある正極活物質、より好ましくは平均粒径が5〜25μmの範囲にあるものを用いることができる。ここで、平均粒径は、レーザー回折散乱法による粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒径(メジアン径:D50)を意味する。
正極用の結着剤としては、特に制限されるものではないが、負極用結着剤と同様のものを用いることができる。中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。正極用の結着剤の含有量は、トレードオフの関係にある結着力とエネルギー密度の観点から、正極活物質100質量部に対して1〜25質量部の範囲が好ましく、2〜20質量部の範囲がより好ましく、2〜10質量部の範囲がさらに好ましい。ポリフッ化ビニリデン(PVdF)以外の結着剤としては、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミドが挙げられる。スラリー溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることができる。
正極集電体としては、特に制限されるものではないが、電気化学的な安定性の観点から、例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、タンタル、ステンレス鋼(SUS)、その他のバルブメタル、又はそれらの合金を用いることができる。その形状としては、箔、平板状、メッシュ状が挙げられる。特にアルミニウム箔を好適に用いることができる。
正極の作製に際して、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
(3C.電解質)
電解質としては、1種又は2種以上の非水溶媒に、リチウム塩を溶解させた非水系電解液を用いることができる。非水溶媒としては、特に制限されるものではないが、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル;γ−ブチロラクトンなどのγ−ラクトン;1,2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)などの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテルが挙げられる。その他、非水溶媒として、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ジオキソラン誘導体、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性有機溶媒を用いることもできる。
非水溶媒に溶解させるリチウム塩としては、特に制限されるものではないが、例えば、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(CFSO、LiN(CFSO、リチウムビスオキサラトボレートなどが挙げられる。これらのリチウム塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。また、非水系電解液の代わりにポリマー電解質を用いてもよい。
(3D.電池構成)
以上の正極及び負極はそれぞれの活物質層を対向させ、これらの間に上記電解質を充填することで電池を構成することができる。また、正極と負極との間にはセパレータを設けることができる。このセパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリイミド等からなる多孔性フィルムや織布、不織布を用いることができる。
電池形状としては、円筒形、角形、コイン型、ボタン型、ラミネート型などが挙げられる。ラミネート型の場合、正極、セパレータ、負極および電解質を収容する外装体としてラミネートフィルムを用いることが好ましい。このラミネートフィルムは、樹脂基材と、金属箔層、熱融着層(シーラント)を含む。樹脂基材としては、ポリエステルやポリアミド(ナイロン)などが挙げられ、金属箔層としては、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン箔などが挙げられる。熱溶着層の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性高分子材料が挙げられる。また、樹脂基材層や金属箔層はそれぞれ1層に限定されるものではなく2層以上であってもよい。汎用性やコストの観点から、アルミニウムラミネートフィルムが好ましい。
正極と負極とこれらの間に配置されたセパレータは、ラミネートフィルム等からなる外装容器に収容され、非水系電解液を用いる場合にはさらに電解液が注入され、封止される。複数の電極対が積層された電極群が収容された構造とすることもできる。
以下、実施例を挙げて具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、各種測定方法は以下による。
・密度(真密度)
JIS K2151に準拠して測定した。
・比表面積
BET法による(ISO 9277:2010, JIS Z8830)。
・結晶子径(Lc)、格子間隔(d002
XRD測定による[002]主ピークに基づく学振法に準拠した手法により求められる。
・最大粒子径、平均粒子径(D50
レーザー回折散乱法による粒度分布(体積基準)における最大値と積算値50%での粒径(メジアン径:D50)を測定した。
実施例1(黒鉛からのグラフェン凝集体の製造)
図1に示すような電気化学セルを用意し、陰極(作用極)に市販のグラファイト棒(ニラコ製グラファイトロッドC−072561)、陽極(対照極)に白金電極を用いた。電解液として、塩化ナトリウム1gをDMSO 20ml溶解させた後、脱イオン水5mlに添加したものを用いた。陰極剥離は電圧15V、電流密度10mA/cmで行った。24時間処理した後、セル底部に沈降したグラフェン凝集体を濾過により回収した。脱イオン水で洗浄した後、真空デシケーター中で80℃、4時間乾燥した。
得られたグラフェン凝集体について、各種物性を測定した。結果を表1に示す。また得られたグラフェン凝集体のXRD分析結果を未処理の黒鉛と共に図4に示す。さらに、得られたグラフェン凝集体のSEM像を図5(500倍),図6(1万倍)に示す。
実施例2(ソフトカーボンからのグラフェン凝集体の製造)
陰極としてソフトカーボン(ピッチコークス)をメッシュ状の袋に詰めて端子としてステンレス棒を挿したものを用意して、陰極剥離を実施した以外は実施例1と同様にしてグラフェン凝集体を得た。各種物性の測定結果を表1に示す。
実施例3
実施例1で得られたグラフェン凝集体を、KOHを用いて賦活処理したリチウムイオン電池用の負極活物質を調製した。具体的には、まずグラフェン凝集体を7M KOH水溶液に12時間浸漬し、真空ろ過により粉末を分離後、窒素雰囲気下で800℃、1時間熱処理し、水洗後70℃、24時間乾燥して賦活処理した負極活物質を調製した。
実施例4
実施例1で得られたグラフェン凝集体に酸化スズを修飾したリチウムイオン電池用の負極活物質を調製した。具体的には、まずグラフェン凝集体を200mlの水に分散させた溶液に、0.1−0.5M塩化スズ、20mlのエタノール、5mlの界面活性剤(Triton X100)を加え、220℃で4時間水熱合成した。これをPTFEフィルターに通して濾過し、得られたスラリーを真空中で80℃12時間乾燥した。乾燥粉末は真空中で800℃3時間熱処理した後、脱イオン水でpHが7になるまで洗浄した。その後、真空中で80℃4時間乾燥し、酸化スズを修飾した負極活物質を調製した。
実施例5
実施例1で得られたグラフェン凝集体をアモルファスカーボン膜で被覆したリチウムイオン電池用の負極活物質を調製した。具体的には、まずグラフェン凝集体を0.1Mスクロース溶液の中に分散し、220℃で6時間水熱合成した。これをPTFEフィルターに通して濾過し、得られたスラリーを真空中で80℃、12時間乾燥した。乾燥粉末は真空中で800℃、3時間熱処理した後、脱イオン水でpHが7になるまで洗浄した。その後、真空中で80℃、4時間乾燥し、アモルファスカーボンを被覆した負極活物質を調製した。
比較例
平均粒径10μm、比表面積7m/gの黒鉛粉末を用意し、そのまま負極材料として用いた。
(充放電試験)
実施例1〜5及び比較例の負極活物質と導電剤(カーボンブラック)と結着剤(PVdF)を、負極活物質:導電剤:結着剤=92:1:7の質量比率で混合し、NMPに分散させてスラリーを作製した。このスラリーを銅箔上に塗布し、乾燥、圧延した後、22×25mmに切り出して電極を得た。この電極を作用極とし、セパレータを挟んで対極のLi箔と組み合わせて積層体を得た。この積層体と電解液(1MのLiPFを含むECとDECの混合溶液、容量比EC/DEC=3/7)をアルミラミネート容器内に封入し、電池を作製した。
所定の電流値で、対極に対する作用極の電位が0Vまで充電(作用極にLiを挿入)し、1.5Vまで放電(作用極からLiを脱離)した。この充放電時の電流値は、作用極の放電容量を1時間で流す電流値を1Cとし、1サイクル目および2サイクル目の充放電は0.1C充電−0.1C放電とし、3サイクル目は0.5C充電−0.1C放電とした。
充放電特性として、初期放電容量(1サイクル目の放電容量)、充電レート特性(3サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)を求めた。結果を表2に示す。
1 電気化学セル筐体
2 電解液
3 炭素材料
4 不溶性陽極
5 電源
6 グラフェン
7 グラフェン凝集体
11 黒鉛
21 ソフトカーボン
12、12’ グラフェン
13 溶媒和物
14、14’ グラフェン凝集体
22 クラスター

Claims (11)

  1. 溶媒和した陽イオンと水を含む電解液中で、グラフェン積層体を含む炭素材料を陰極として電気化学的にグラフェンを剥離し、前記陰極から脱離したグラフェンの凝集体を回収するグラフェン凝集体の製造方法であって、
    前記電解液組成及び電気化学的剥離時の電圧を調整することによって、
    (1)粒子径が300μm以下でかつ平均粒子径D 50 が1〜20μm、
    (2)密度が0.5g/cm 以上、
    (3)BET法による比表面積が300m /g以下、
    の条件を満たすグラフェン凝集体を得ることを特徴とする方法
  2. 前記溶媒和した陽イオンは、ナトリウムイオンにジメチルスルホキシドが溶媒和したものである請求項に記載のグラフェン凝集体の製造方法。
  3. 前記電気化学的剥離時の電圧が3V以上である請求項1又は2に記載のグラフェン凝集体の製造方法。
  4. 前記陰極として用いる炭素材料が、天然黒鉛または人造黒鉛を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載のグラフェン凝集体の製造方法。
  5. 前記陰極として用いる炭素材料が、難黒鉛化性または易黒鉛化性炭素を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載のグラフェン凝集体の製造方法。
  6. 以下の条件を満たすグラフェン凝集体であって、
    (1)粒子径が300μm以下でかつ平均粒子径D50が1〜20μm、
    (2)密度が0.5g/cm以上、
    (3)BET法による比表面積が300m/g以下
    前記グラフェン凝集体は、単層グラフェン、グラフェンが複数積層された複層グラフェン、又はこれらの混合物が凝集して為るグラフェン凝集体
  7. 前記単層グラフェンは、結晶子径Lc(002)0.005〜50μmの範囲の単層グラフェンであり前記複層グラフェンは、前記結晶子径を有するグラフェンが0.3355nm以上の格子間隔(d002)で積層された複層グラフェンである請求項6に記載のグラフェン凝集体。
  8. 請求項6又は7に記載のグラフェン凝集体を負極材料に用いたリチウムイオン電池。
  9. 前記グラフェン凝集体は、表面に0.5〜500nm径の細孔を有する請求項に記載のリチウムイオン電池。
  10. 前記グラフェン凝集体は、リチウム吸蔵物質で修飾されて為る請求項又はに記載のリチウムイオン電池。
  11. 前記グラフェン凝集体は、その表面がアモルファスカーボン膜で被覆されて為る請求項乃至10のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
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