〔実施形態1〕
本発明の実施形態について図1から図25に基づいて説明すると以下の通りである。
〔タッチパネル装置1の構成〕
図1は、本実施形態に係るタッチパネル装置1の要部構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、タッチパネル装置1は、タッチパネル2、制御部10、記憶部5を備えている。タッチパネル装置1は、例えば、プログラマブル表示器、携帯電話機、スマートフォン、携帯音楽再生機、携帯ゲーム機、TV、PC、デジタルカメラ、デジタルビデオ等のタッチパネル2を搭載する電子機器である。
タッチパネル装置1は、ユーザによる指および導電性ペン等によるタッチ検出が可能であり、上記タッチにより指定された処理を実行する。
また、タッチパネル装置1は、タッチパネル2に導電性物質の付着物が付着した場合、タッチパネル2において、自己容量方式によりタッチ位置への付着物の有無を検出する。その後、タッチパネル装置1は、タッチを検出する方式を自己容量方式から相互容量方式に切り替える。さらに、タッチパネル装置1は、相互容量方式により、タッチパネル2へのタッチがない状態でタッチパネル2の付着物の有無の検出を行う。詳しくは後述する。
なお、タッチパネル装置1は、通信部、音声入力部、音声出力部等の部材を備えていてもよいが、発明の特徴点とは関係がないため当該部材を図示していない。また、本実施形態に係るタッチパネル装置1は、タッチパネル2への付着物が、密着性および導電性を有する付着物(切削機から出る鉄や鉛等)であれば検出できるが、便宜上以下では付着物を水として説明する。
タッチパネル2は、操作部3および表示部4を備える。
操作部3は、ユーザのタッチによりタッチパネル装置1に指示信号を入力し、タッチパネル装置1を操作するためのものである。
表示部4は、制御部10の指示に基づき画像を表示するものである。表示部4は、制御部10の指示に基づいて画像を表示するものであればよく、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどを適用することが可能である。本実施形態では、図1に示すように、操作部3と表示部4とは一体になり、タッチパネル2となっている。
記憶部5は、第1記憶部51および第2記憶部52を備える。
第1記憶部51は、後述する自己容量方式で検出した後述するタッチ位置を記憶する。
第2記憶部52は、例えば、制御部10が参照するタッチパネル装置1が有する各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムを記憶する。
制御部10は、接触位置取得部11、接触長さ判定部12、第1接触判定部13、第1方式切替部16、第1付着物判定部17、第2方式切替部14、第2付着物判定部15、および処理実行部18を備える。
接触位置取得部11(第1検出部)は、ユーザによるタッチパネル2へのタッチ(第1タッチ)を検出し、ユーザのタッチにより静電容量が変化した電極の位置(タッチ位置)を自己容量方式により取得する。また、タッチ位置を接触長さ判定部12に出力する。ユーザによるタッチパネル2へのタッチがない場合、ユーザによるタッチパネル2へのタッチがない旨を示す否タッチ信号を第1方式切替部16に出力する。
接触長さ判定部12(第1判定部)は、タッチパネル2へのユーザの指によるタッチが検出されたとき、自己容量方式を用いて、タッチパネル2により測定された接触領域がユーザの指およびタッチパネル2に接触する接触物によるものか否かを判定し、タッチパネル2への水の付着を判定する。接触領域については後述する。
詳しくは、接触長さ判定部12は、タッチ位置の電極における電流波形の第1最大電流値を取得する。電流波形とは、タッチパネルに形成されるコンデンサに対する充放電電流の波形である。また、第1最大電流値は、自己容量方式により取得された、各電極における電流波形のうちの最大値を示す。
ここで、タッチパネル2に水の付着がない状態で、タッチパネル2に例えば指でタッチをした場合、自己容量方式では、タッチ位置における電極の電流波形が、タッチがない場合の電極の電流波形よりも大きくなる(図7参照)。この、電流波形が大きくなる領域を接触領域Rとする。
さらに、自己容量方式では、タッチパネル2へのユーザのタッチ位置に水が付着している場合、タッチパネル2に水の付着がない状態でタッチパネル2にタッチする場合よりも、接触領域Rが大きくなる(図10参照)。上記の原理について、さらに詳しくは後述する。
この原理を利用し、接触長さ判定部12は、具体的には、接触位置取得部11から入力される、タッチ位置と当該各電極における電流波形の第1最大電流値とに基づき、第1最大電流値が第1電流閾値を超えている接触領域Rを求める。第1電流閾値は、例えば、自己容量方式において、タッチがない場合の電極における電流波形の最大値とすることができる。
また、接触長さ判定部12は、接触長さが第1閾値以上であるかを判定することで、ユーザのタッチ位置に水が付着しているか判定し、タッチ位置の水の付着の有無を検出する。接触長さは、接触領域Rの外周上の任意の2点間の距離のうち最大長さのことである。第1閾値は、例えば、標準的な成人の指の直径とすることができ、長さを1cmとしてもよい。ここで、タッチパネル2に接触長さが1cm以下の水が付着していた場合、接触長さ判定部12はタッチパネル2の水の付着を検出しないが、この場合、付着した水よりもタッチする指の方が大きくなるので、水の付着に起因するタッチ位置の誤検出は起こらない。
接触長さが第1閾値以上の場合、接触長さ判定部12は、処理実行部18および第1接触判定部13に、タッチパネル2のタッチ位置に水の付着がある旨を示す第1付着物信号を出力し、タッチ位置を第1記憶部51に記憶する。
接触長さが第1閾値未満場合、接触長さ判定部12は、処理実行部18にタッチパネル2のタッチ位置に水の付着がない旨を示す第1否付着物信号およびタッチ位置を出力する。
第1接触判定部13は、自己容量方式により水の付着があると判定された後のタッチパネル2に、タッチ(第2タッチ)がないかを判定する。具体的には、接触長さ判定部12からの第1付着物信号が入力されると、タッチパネル2にタッチがあるかを判定する。このとき、上記タッチパネル2にタッチがあるかの判定は自己容量方式により行われる。
接触長さ判定部12により水の付着があると判定された後のタッチパネル2にタッチがない場合、第1接触判定部13は、第2方式切替部14に、タッチパネル2のタッチ位置に水の付着があり、その後のタッチパネル2にタッチがなくなった旨を示す否接触信号を出力する。
第1方式切替部16および第2方式切替部14は、タッチパネル装置1のタッチを検出する方式(静電容量方式)を、自己容量方式または相互容量方式に切り替える。
具体的には、第1方式切替部16は、接触位置取得部11からの否タッチ信号が入力されると、タッチパネル装置1のタッチを検出する方式を、自己容量方式から相互容量方式に切り替える。このとき、第1方式切替部16は、第1付着物判定部17にタッチパネル2に第1タッチが検出されなかった後、タッチを検出する方式が相互容量方式に切り替わった旨を示す第1方式切替信号を出力する。
また、第2方式切替部14は、第1接触判定部13から否接触信号が入力されると、タッチパネル装置1のタッチを検出する方式を、自己容量方式から相互容量方式に切り替える。このとき、第2方式切替部14は、第2付着物判定部15にタッチパネル2のタッチ位置に水の付着があり、そのタッチがなくなった後、タッチを検出する方式が相互容量方式に切り替わった旨を示す第2方式切替信号を出力する。
第1付着物判定部17(第2判定部)および第2付着物判定部15は、相互容量方式により、タッチパネル2にタッチがない状態で、タッチパネル2に接触する接触物があるか否かを判定し、水の付着の有無を判定する。
ここで、相互容量方式では、タッチパネル2に水の付着がない状態で、タッチパネル2に、例えば指でタッチをした場合、タッチ位置における電極の電流波形が、タッチがない場合の電極の電流波形よりも小さくなる(図15参照)。
また、相互容量方式では、タッチパネル2に水の付着がありタッチがない場合、水が付着している領域に対向する電極の電流波形は、タッチパネル2に水の付着がなくタッチがない場合の電極の電流波形よりも大きくなる(図18参照)。さらに、水が付着している領域における電極の電流波形はおおむね一定であり、付着している水の外周付近が該外周以外(水の付着の直下)の電流波形よりも小さくなる(図18参照)。上記の原理について、さらに詳しくは後述する。
この原理を利用し、第1付着物判定部17は、具体的には、第1方式切替部16からの第1方式切替信号が入力されると、タッチパネル2全面を相互容量方式により走査する。第1付着物判定部17は、該走査により、第2最大電流値が第2電流閾値以上であるかを判定することで、タッチパネル2にタッチがない状態でタッチパネル2への水の付着の有無を検出する。ここで、第2最大電流値は、相互容量方式によりタッチがない状態で静電容量が変化した電極における電流波形のうちの最大値を示す。また、第2電流閾値は、例えば、相互容量方式において、タッチパネル2に水の付着がなくタッチがない場合の電極における電流波形の最大値とすることができる。
また、第2付着物判定部15は、第2方式切替部14からの第2方式切替信号が入力されると、第1記憶部51に記憶されているタッチ位置に基づき、タッチパネル2を相互容量方式により部分的に走査する。このとき、走査される部分は、自己容量方式により水の付着が検出されたタッチ位置付近である。具体的には、自己容量方式によって算出した指の座標を中心として、指の太さを考慮した電極交点を網羅する範囲を走査する。さらに、実用的には、電気的な影響範囲を含めた周辺を走査してもよく、また、新たな水の付着の可能性も考慮して、タッチパネル2全面を走査してもよい。第2付着物判定部15は、該走査により、タッチ位置に位置する電極の第2最大電流値が第2電流閾値以上であるかどうかを判定することで、タッチパネル2にタッチがない状態でタッチパネル2への水の付着の有無を検出する。
第1付着物判定部17は、第1方式切替信号が入力された後、水の付着が検出されなかった場合、タッチパネル2に第1タッチが検出されず、かつタッチパネル2に水の付着がない旨を示す第2否付着物信号を処理実行部18に出力する。
また、第1付着物判定部17は、第1方式切替信号が入力された後、水の付着が検出された場合、タッチパネル2に第1タッチが検出されず、かつタッチパネル2に水の付着がある旨を示す第2付着物信号を処理実行部18に出力する。
また、第2付着物判定部15は、第2方式切替信号が入力された後、水の付着が検出されなかった場合、タッチパネル2のタッチ位置に水の付着があり、その後タッチパネル2にタッチがなくなった状態においてタッチパネル2に水の付着がない旨を示す第3否付着物信号を処理実行部18に出力する。
また、第2付着物判定部15は、第2方式切替信号が入力された後、水の付着が検出された場合、タッチパネル2のタッチ位置に水の付着があり、その後タッチパネル2にタッチがなくなった状態においてタッチパネル2に水の付着がある旨を示す第3付着物信号を処理実行部18に出力する。
処理実行部18は、(1)接触長さ判定部12からの第1付着物信号、(2)第1付着物判定部17からの第2付着物信号、(3)第2付着物判定部15からの第3付着物信号、により、表示部4に警告を表示する。警告の表示は、例えば、タッチパネル2に付着物があることを知らせる表示であってもよく、ライトを点灯させてもよい。
また、処理実行部18は、第1付着物判定部17からの第2否付着物信号により、処理を終了する。
また、処理実行部18は、第2付着物判定部15からの第3否付着物信号により、表示部4の警告の表示を消す。
さらに、処理実行部18は、接触長さ判定部12から第1否付着物信号が入力された場合、通常処理を行う。通常処理は、例えば、相互容量方式により第1記憶部51に記憶されているタッチ位置のタッチ座標を確定し、該座標および第2記憶部52に記憶されているアプリケーションプログラムに基づき、ユーザの所望の処理を実行し、表示部4に表示する。
〔水検出処理の流れ(誤検出防止方法)〕
図25および図26に基づき、タッチパネル装置1が実行する水検出処理の流れについて説明する。図25は、本発明の実施形態1に係るタッチパネル装置1において、水の付着を検出する処理のフローチャートの一例である。図26は、タッチパネル装置1において、水の除去を検出する処理のフローチャートの一例である。
図25を参照して、接触位置取得部11は、操作部3すなわちタッチパネル2からユーザのタッチ(第1タッチ)を検出する(S1:第1検出ステップ)。接触位置取得部11は、上記タッチを検出すると(S1でYES)、タッチ位置と該タッチ位置の電極における第1最大電流値とを、自己容量方式により取得する(S2)。接触位置取得部11は、取得したタッチ位置と当該各座標の電極における第1最大電流値とを接触長さ判定部12に出力する。
接触長さ判定部12は、接触位置取得部11から入力される、タッチ位置と該タッチ位置の電極における第1最大電流値とに基づき、第1最大電流値が第1電流閾値以上となる接触領域Rを求め、さらに、接触長さが第1閾値以上であるかを判定する(S3:第1判定ステップ)。
接触長さが第1閾値未満の場合(S3でNO)、接触長さ判定部12は、タッチパネル2に水の付着はないと判定し、処理実行部18に第1否付着物信号およびタッチ位置を出力する。処理実行部18は、接触長さ判定部12から第1否付着物信号およびタッチ位置が入力されると、通常処理を実行する(S4)。
また、接触長さが第1閾値以上である場合(S3でYES)、接触長さ判定部12は、タッチパネル2に水の付着があると判定する。このとき、接触長さ判定部12は、処理実行部18に第1付着物信号を出力し、処理実行部18は表示部4に警告を表示する(S5)。また、接触長さ判定部12は、第1接触判定部13に第1付着物信号を出力し、第1記憶部51にタッチ位置を記憶させる。
S5において表示部4に警告を表示した後、図26を参照し、第1接触判定部13は、第1付着物信号が入力されると、タッチパネル2にタッチ(第2タッチ)があるか否かを判定する(S11:第2検出ステップ)。タッチパネル2にタッチがない場合(S11でYES)、第1接触判定部13は、第2方式切替部14に否接触信号を出力する。
第2方式切替部14は、第1接触判定部13から否接触信号が入力されると、タッチパネル装置1のタッチを検出する方式を、自己容量方式から相互容量方式に切り替える(S12:第2方式切替ステップ)。また、第2方式切替部14は、第2付着物判定部15に第2方式切替信号を出力する。
第2付着物判定部15は、第2方式切替部14から第2方式切替信号が入力されると、第1記憶部51に記憶されているタッチ位置に基づき、相互容量方式によりタッチパネル2を部分的に走査する。これにより、タッチ位置付近に位置する電極の第2最大電流値が第2電流閾値以上である領域があるか否かを判定し、その判定結果に基づきタッチパネル2に付着物があるか否かを判定する(S13:第3判定ステップ)。
第2最大電流値が第2電流閾値以上となる領域がない場合(S13でNO)、第2付着物判定部15は、タッチパネル2に水の付着がないと判定し、処理実行部18に、第3否付着物信号を出力する。
処理実行部18は、第2付着物判定部15から第3否付着物信号が入力されると、表示部4に警告を消す(S14)。
タッチパネル2にタッチがある場合(S11でNO)、第1接触判定部13は、タッチパネル2へのタッチがなくなるまで判定を継続する。
ここで、図25を参照し、接触位置取得部11が、タッチパネル2からユーザのタッチを検出しない場合(S1でNO)、接触位置取得部11は、第1方式切替部16に否タッチ信号を出力する。第1方式切替部16は、接触位置取得部11からの否タッチ信号が入力されると、タッチパネル装置1のタッチを検出する方式を、自己容量方式から相互容量方式に切り替える(S6:第1方式切替ステップ)。また、第1方式切替部16は、第1付着物判定部17に第1方式切替信号を出力する。第1付着物判定部17は、第1方式切替部16から第1方式切替信号が入力されると、相互容量方式によりタッチパネル2全面を走査する。これにより、タッチパネル2全面においてタッチパネル2にタッチがない状態で、第2最大電流値が第2電流閾値以上となる領域があるか否かを判定し、その判定結果に基づきタッチパネル2に水の付着があるか否かを判定する(S7:第2判定ステップ)。
第2最大電流値が第2電流閾値未満である場合(S7でNO)、第1付着物判定部17は、処理実行部18に第2否付着物信号を出力する。処理実行部18は、第1付着物判定部17から第2否付着物信号が入力されると処理を終了する。また、第2最大電流値が第2電流閾値以上である場合(S7でYES)、第1付着物判定部17は、処理実行部18に第2付着物信号を出力する。処理実行部18は、第1付着物判定部17から第2否付着物信号が入力されると警告を表示する(S8)。
S8において表示部4に警告を表示した後、図26を参照し、第1付着物判定部17はタッチパネル2への水の付着がなくなるまで、つまり、第2最大電流値が第2電流閾値以上となる領域がなくなるまで判定を継続する(S15でYES)。第2最大電流値が第2電流閾値以上となる領域がなくなった場合(S15でNO)、第1付着物判定部17は、タッチパネル2に水の付着がないと判定し、処理実行部18に、第2否付着物信号を出力する。
処理実行部18は、第1付着物判定部17から第2否付着物信号が入力されると、表示部4の警告を消す(S16)。
上記構成によれば、本実施形態に係るタッチパネル装置1は、自己容量方式により接触距離が、指およびタッチパネルに接触する接触物によるものか否か判定することで、タッチ位置における水の付着を検出する。このため、水が付着した領域をタッチしたときに、即座に水の付着を検出することができる。その場合、水検出にタッチパネル2全面の走査が不要となるので、大型パネルなどにも適応できる。
また、タッチパネル装置1は、自己容量方式においてタッチパネル2へのタッチが検出されないときに、タッチの検出方式を相互容量方式に切り替える。また、タッチパネル装置1は、タッチがない状態においてタッチパネルに接触する接触物があるか否かを判定することにより、タッチパネル2への水の付着を検出できる。そのため、自己容量方式では検出できないタッチパネル2への水の付着がある場合であっても、タッチパネル2の水の付着を検出できる。さらに、水の付着の検出に自己容量方式と相互方式を状況によって選択することができるので、常に相互容量方式により水の付着を検出する場合と比較し、少ない走査処理で水の付着を検出できる。
また、タッチパネル装置1は、自己容量方式によりユーザのタッチがないこと確認した後に相互容量方式による水の検出処理を実施するので、水の付着の検出に近接センサなどの新たなセンサを設ける必要はなく、製造コストの増大を回避することができる。
また、タッチパネル装置1は、自己容量方式によりタッチ位置における水の付着を検出し、そのタッチがなくなった後、タッチを検出する方式を自己容量方式から相互容量方式に切り替える。さらにその後、タッチパネル装置1は、水の付着が検出された領域において、相互容量方式によりタッチパネル2に接触する接触物があるか否かを判定する。これにより、タッチパネル装置1は、自己容量方式により水が付着を検出した領域への水の付着の有無を、タッチパネル2にタッチがない状態で相互容量方式により検出できる。その結果、タッチがない状態でタッチパネルへの水の付着を検出することができるので、警告の表示によって水を拭き取ったとき、自動的に水の付着がなくなったことを検出することができる。したがって、タッチパネル2から確実に水の付着を除去できる。
また、タッチパネル装置1は、タッチパネル2において、自己容量方式により水の付着を検出した領域を部分的に相互容量方式により走査するので、少ない走査処理で水の付着の検出が可能となる。このため、相互容量方式よるパネル全面の走査が不要となるので、大型パネルなどにも適応することができる。
また、タッチパネル装置1は、水が取り除かれるまで水の付着の有無の判定処理を継続しているため、水の充分な拭き取りを容易にすることができる。
〔各方式による水検出〕
図2〜図19を参照して、自己容量方式および相互容量方式による水検出について説明する。タッチパネル装置1は、タッチを検出する方法において、自己容量方式と相互容量方式とを切り替え可能であり、図2の(a)〜図2の(c)に示すように、フロントカバー21、X軸電極22、Y軸電極23、絶縁層24、および基板25を備える。図2の(a)はタッチパネル装置1の概略構成を示す斜視図であり、図2の(b)は図2の(a)をA方向から見た正面図であり、図2の(c)は図2の(a)をB方向から側面図である。
基板25は、絶縁物からなる基板であり、基板25上には、Y軸電極23、絶縁層24、X軸電極22およびフロントカバー21がこの順で積層されている。
フロントカバー21は、X軸電極22、絶縁層24およびY軸電極23を介して、基板25と対向するように配置されており、タッチパネル2の最外層に配置されている。ユーザがタッチパネル2に対する操作を行うときには、このフロントカバー21に指または導電性ペン等を接触させることにより操作が行われる。フロントカバー21の材質は、適切な強度を有する透明な材質であれば特に限定されるものではないが、例えばガラスを用いることができる。
Y軸電極23は、基板25上に形成されている。詳しくは、図2の(a)に示すように、基板25に平行な面においてY方向に延伸するように、複数のY軸電極23が設けられている。
X軸電極22は、Y軸電極23上に絶縁層24を介してフロントカバー21側に形成されている。詳しくは、図2の(a)に示すように、基板25に平行な面においてX方向に延伸するように、複数のX軸電極22が設けられている。
X軸電極22およびY軸電極23はそれぞれ、端子を介し信号源V(図3の(a)参照)によりパルス信号(印加電圧)が印加される。
なお、X軸電極22は、X方向に相互に接続された複数のひし形電極で形成され、Y軸電極23は、Y方向に相互に接続された複数のひし形電極によって形成されてもよい。また、X軸電極22およびY軸電極23は、図19に示すように、例えば、電極間は各電極の辺に隣接、もしくは交差部分が線状になっていてもよく、互いに交差するように形成されてもよい(ダイヤモンドパターン)。図19はタッチパネル装置1の電極の形状および配置の一例を示す図である。このとき、X軸電極22とY軸電極23とはマトリクス状に配置されるが、相互に接続はされない。また、X軸電極22およびY軸電極23の材質は、例えばITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)などを用いることができる。
〔自己容量方式による水検出〕
図3〜図11を参照して、自己容量方式による水検出について説明する。自己容量方式は、1つの電極に対して電圧を印加したときに、当該電極に流れる電流の電流波形の最大値を測定する。
〔水の付着がなく、タッチがない場合〕
図3を参照し、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合の自己容量方式による電流波形の測定結果について説明する。図3は自己容量方式において、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22x1の状態を説明するための図である。図3の(a)は該状態における図2の(b)を模式的に示した図であり、図3の(b)はX軸電極22x1に印加する印加電圧を示すグラフであり、図3の(c)はX軸電極22x1に対する電流波形を示すグラフである。
図3の(a)に示すように、自己容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合、タッチパネル2には、絶縁層24とフロントカバー21との間にコンデンサC1を有し、フロントカバー21とアースE1との間にコンデンサC2が存在する。
このとき、X軸電極22x1の面積は、数平方cmから数十平方cm程度であり、コンデンサC2は、コンデンサC1と比較して静電容量が極めて小さいため無視できる。また、X軸電極22x1に図3の(b)で示すように、パルス波形の電圧(印加電圧)を印加すると、図3の(c)に示すように、X軸電極22x1に対する充放電電流(電流波形)が得られる。なお、以下の説明で用いる印加電圧は、共通の大きさである。
〔水の付着がなく、タッチがある場合〕
図4〜図7を参照し、タッチパネル2に水Wの付着がなく指Tのタッチがある場合の自己容量方式による測定結果について説明する。図4〜6はそれぞれ自己容量方式において、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合である。図4は、該タッチ位置の最近傍のX軸電極22a1の状態を説明するための図である。図5は、該タッチ位置の前方のX軸電極22b1の状態を説明するための図であり、図6は、該タッチ位置の後方のX軸電極22c1の状態を説明するための図である。図4〜図6の(a)は、それぞれの状態における図2の(b)を模式的に示した図である。図4〜図6の(b)はX軸電極22a1・22b1・22c1に印加する印加電圧を示すグラフである。図4〜図6の(c)はX軸電極22a1・22b1・22c1に対する電流波形を示すグラフである。また、図4の(d)は比較のために示した図3の(c)のグラフであり、図5の(d)は比較のために示した図4の(c)のグラフであり、図6の(d)は比較のために示した図4の(c)のグラフである。
また、図7は、自己容量方式において、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合のX軸電極22の状態を説明するための図である。図7の(a)は該状態における図2の(b)を模式的に示した図であり、図7の(b)は測定された各X軸電極22の電流波形の最大値を示すグラフであり、図7の(c)は比較のために示した、タッチパネルに水の付着がなくタッチがない場合に測定された各X軸電極22の電流波形の最大値を示すグラフである。
自己容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合、タッチ位置の最近傍のX軸電極22a1に注目すると、タッチパネル2には、図4の(a)に示すように、絶縁層24とフロントカバー21との間のコンデンサC11、および人体を介したフロントカバー21とアースE2との間のコンデンサC3を有する回路i1が存在する。このとき、図4の(a)に図示されているコンデンサC2は、上述したように静電容量が極めて小さいため無視できる。
人体はX軸電極22a1に比べて大きい表面積を持つので、コンデンサC3はコンデンサC11と比較して静電容量が大きい。また、人体がアースE2との間に導電性を有している場合もある。さらに、コンデンサC3とコンデンサC11とが直列に接続されるので、回路i1は、X軸電極22a1とアースE2との間に大きな静電容量を有することになる。
これにより、タッチ位置の最近傍のX軸電極22a1に印加電圧を印加したときのX軸電極22a1に対応する電流波形は、図4の(c)および図4の(d)に示すように、自己容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22x1の電流波形と比較して大きい値を示す。
なお、図4の(a)には、電流が流れていることを説明するために、仮想的に抵抗を記している。以下、図5、図6、図8、図9、図11〜14、図16および図17についても同様である。また、静電容量が極めて小さいく無視できるためコンデンサC2の図示は以降省略する。
タッチ位置の前方のX軸電極22b1に注目すると、タッチパネル2において、図5の(a)に示すように、回路i1がコンデンサC12を有する点が、最近傍のX軸電極22a1に注目した場合のタッチパネル2と異なる。
このとき、前方のX軸電極22b1と指Tとの距離が、最近傍のX軸電極22a1と指Tとの距離よりも長くなるため、コンデンサC12はコンデンサC11よりも静電容量が小さくなる。これにより、タッチ位置の前方のX軸電極22b1に印加電圧を印加したときのX軸電極22b1に対応する電流波形は、図5の(c)および図5の(d)に示すように、タッチ位置の最近傍のX軸電極22a1の電流波形と比較し小さい電流波形を示す。また、該電流波形は自己容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22x1と比較して大きい値を示す。
タッチ位置の後方のX軸電極22c1に注目すると、タッチパネル2において、図6の(a)に示すように、回路i1がコンデンサC13を有する点が最近傍のX軸電極22a1に注目した場合のタッチパネル2と異なる。
このとき、後方のX軸電極22c1と指Tとの距離が、最近傍のX軸電極22a1と指Tとの距離よりも長くなるため、コンデンサC13はコンデンサC11よりも静電容量が小さくなる。これにより、タッチ位置の後方のX軸電極22c1に印加電圧を印加したときのX軸電極22c1に対応する電流波形は、図6の(c)および図6の(d)に示すように、タッチ位置の最近傍のX軸電極22a1の電流波形と比較し小さい値を示す。また、該電流波形は自己容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22x1と比較して大きい値を示す。
上述した原理に基づき、図7の(a)に示すように、自己容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合に得られるX軸電極22の電流波形の測定結果は、以下のようになる。該電流波形は、図7の(b)および図7の(c)に示すように、タッチしている指Tを中心としてX座標の前後数電極にわたり、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22x1の電流波形よりも大きい値を示す。
〔水の付着があり、タッチがない場合〕
次に、図8を参照し、タッチパネル2に水Wの付着があり、タッチしていないときの自己容量方式による測定結果について説明する。図8は自己容量方式において、タッチパネル2に水Wの付着がありタッチがない場合のX軸電極22x11の状態を説明するための図である。図8の(a)は該状態における図2の(b)を模式的に示した図であり、図8の(b)はX軸電極22x11に印加する印加電圧を示すグラフであり、図8の(c)はX軸電極22x11に対応する電流波形を示すグラフである。
自己容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がありタッチがない場合、タッチパネル2には、図8の(a)に示すように、フロントカバー21とアースE3との間にコンデンサC4およびコンデンサC14が存在する。
このとき、水Wが付着している状態であっても、水Wの面積は人体の表面積に比べて極めて小さい。したがって、コンデンサC14はコンデンサC1と、コンデンサC4はコンデンサC2と同じ条件となる。そのため、X軸電極22x11に図8の(b)で示す印加電圧を印加すると、図8の(c)および図3の(c)に示すように、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22x1と同じ電流波形が得られる。すなわち、タッチパネル2にタッチがない状況において、X軸電極22x11は水Wの存在によって、測定される電流波形が変化することはない。
〔水の付着があり、タッチがある場合〕
図9を参照し、タッチパネル2に水Wの付着があり、指Tのタッチがある場合での自己容量方式による測定結果について説明する。図9は自己容量方式において、タッチパネル2上のタッチ位置に水Wが付着している場合のタッチ位置の前方のX軸電極22b11の状態を説明するための図である。図9の(a)は該状態における図2の(b)を模式的に示した図であり、図9の(b)はX軸電極22b11に印加する印加電圧を示すグラフであり、図9の(c)はX軸電極22b11に対応するに対する電流波形を示すグラフであり、図9の(d)は比較のために示した図5の(c)のグラフである。
自己容量方式においてタッチパネル2上のタッチ位置に水Wが付着している場合、タッチ位置の前方のX軸電極22b11では、水Wの導電性により、水Wがフロントカバー21を短い経路で介するコンデンサを形成するように働く。そのため、コンデンサC15は、自己容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなく指Tのタッチがある場合のコンデンサC12よりも静電容量が大きくなる。
これにより、タッチ位置の前方のX軸電極22b11に印加電圧を印加したときの電流波形は、図9の(c)および図9の(d)に示すように、自己容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合のX軸電極22b1の電流波形と比較し大きい値を示す。また、タッチ位置の後方のX軸電極22c1でも同様の測定結果が得られる。したがって、自己容量方式においてタッチパネル2上のタッチ位置に水Wが付着している場合、タッチした位置の最近傍ではない電極(X軸電極22b11およびX軸電極22c11)の電流波形は、タッチパネル2上に水Wの付着がなくタッチがある場合のタッチした位置の最近傍ではない各電極(X軸電極22b1およびX軸電極22c1)の電流波形よりも大きくなる。
上述した原理に基づき、図10の(a)に示すように、自己容量方式においてタッチパネル2上のタッチ位置に水Wが付着している場合において得られるX軸電極22の電流波形の測定結果は、以下のようになる。該測定結果は、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合よりも大きい電流波形が得られる範囲が、図10の(b)および図10の(c)に示すように、タッチしている指Tを中心として前後に広がる。具体的には、前方のX軸電極22b11および後方のX軸電極22c11の電流波形が、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合の前方のX軸電極22b1および後方のX軸電極22c1の電流波形よりも大きくなる。また、最近傍のX軸電極22a11とX軸電極22a1との電流波形は同じとなる。
図10は、自己容量方式において、タッチパネル2上のタッチ位置に水Wが付着している場合のX軸電極22の状態を説明するための図である。図10の(a)は該状態における図2の(b)を模式的に示した図であり、図10の(b)は測定された各X軸電極22の電流波形の最大値を示すグラフであり、図10の(c)は比較のために示した、図7の(b)のグラフである。
なお、タッチパネル2に水Wが付着している場合であっても、タッチパネル2の水Wのない場所をタッチした場合は、水Wの存在による影響を受けず、水Wが付着していないときと同じ測定結果が得られる。
以上の原理により、接触長さ判定部12が、タッチ位置と当該タッチ位置の各座標の電極における第1最大電流値とに基づき、第1最大電流値が第1電流閾値以上となる接触領域Rを求め、さらに、接触長さが第1閾値以上であるかを判定することで、タッチ位置に水Wの付着があるかを判定することができる。
〔相互容量方式による水検出〕
図11〜図18を参照して、相互容量方式による水検出について説明する。相互容量方式は、1つの電極に対して電圧を印加したときに、異なる電極に流れる電流の電流波形の最大値を測定する。
〔水の付着がなく、タッチがない場合〕
図11を参照し、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合の相互容量方式による電流波形の測定結果について説明する。図11は相互容量方式において、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22x2の状態を説明するための図である。図11の(a)は該状態における図2の(b)を模式的に示した図であり、図11の(b)はX軸電極22x2に印加する印加電圧を示すグラフであり、図11の(c)はX軸電極22x2およびY軸電極23間に対する電流波形を示すグラフである。
図11の(a)に示すように、相互容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合、タッチパネル2には、X軸電極22x2とY軸電極23との間にコンデンサC5を有する回路k1が存在する。
また、X軸電極22に図11の(b)で示すように、パルス波形の電圧(印加電圧)を印加すると、図11の(c)に示すように、X軸電極22x2およびY軸電極23間に充放電電流(電流波形)が流れる。
〔水の付着がなく、タッチがある場合〕
図12〜図15を参照し、タッチパネル2に水Wの付着がなく、指Tのタッチがある場合での相互容量方式による測定結果について説明する。図12〜図15はそれぞれタッチ相互容量方式において、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合のものである。図12は、タッチ位置の最近傍のX軸電極22a2の状態を説明するための図であり、図13は、タッチ位置の前方のX軸電極22b2の状態を説明するための図であり、図14は、タッチ位置の後方のX軸電極22c2の状態を説明するための図である。図12〜図14の(a)は、それぞれの状態における図2の(b)を模式的に示した図である。図12〜図14の(b)はX軸電極22a2・22b2・22c2に印加する印加電圧を示すグラフである。図12の(c)は、X軸電極22a2およびY軸電極23間の電流波形を示すグラフであり、図13の(c)は、X軸電極22b2およびY軸電極23間の電流波形を示すグラフであり、図14の(c)は、X軸電極22c2およびY軸電極23間の電流波形を示すグラフである。また、図12の(d)は比較のために示した図11の(c)のグラフであり、図13の(d)は比較のために示した図12の(c)のグラフであり、図14の(d)は比較のために示した図12の(c)のグラフである。
相互容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合、タッチ位置の最近傍のX軸電極22a2に注目すると、タッチパネル2には、図12の(a)に示すように、(1)回路k1と、(2)X軸電極22a2とY軸電極との間に指T(人体)、コンデンサC61、コンデンサC7およびコンデンサC3を有する回路k2と、が存在する。
このとき、人体はX軸電極22a2に比べて大きい表面積を持つので、コンデンサC3は、コンデンサC5、コンデンサC7およびコンデンサC61と比較して静電容量が大きい。コンデンサC5、コンデンサC7およびコンデンサC61は、同程度の静電容量である。また、人体がアースE2との間に導電性を有している場合もある。これにより、指Tのタッチパネル2へのタッチにより、コンデンサC61と人体とが直列に接続されると、指Tを介したX軸電極22a2から人体へ電流が大きく分流されるので、X軸電極22aおよびY軸電極23間の電流波形は小さくなる。
したがって、タッチ位置の最近傍のX軸電極22a2に印加電圧を印加したときの電流波形は、図12の(c)および図12の(d)に示すように、相互容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22に印加電圧を印加したときの電流波形と比較し小さい値を示す。
タッチ位置の前方のX軸電極22b2に注目すると、タッチパネル2において、図13の(a)に示すように、回路k2にコンデンサC62を有する点が最近傍のX軸電極22a2に注目した場合のタッチパネル2と異なる。
このとき、前方のX軸電極22b2と指Tとの距離が、最近傍のX軸電極22a2とY軸電極23との距離よりもよりも長くなるため、コンデンサC62の静電容量はコンデンサC61よりも小さくなり、X軸電極22a2から人体への電流の分流が減少する。
これにより、タッチ位置の前方のX軸電極22b2に印加電圧を印加したときの電流波形は、図13の(c)および図13の(d)に示すように、タッチ位置の最近傍のX軸電極22a2に印加電圧を印加したときの電流波形と比較して大きい値を示す。また、該電流波形は、相互容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22x2の電流波形と比較して小さい値を示す。
タッチ位置の後方のX軸電極22c2に注目すると、タッチパネル2において、図14の(a)に示すように、回路k2にコンデンサC63を有する点がX軸電極22a2に注目した場合のタッチパネル2と異なる。
このとき、後方のX軸電極22c2と指Tとの距離が、最近傍のX軸電極22a2とY軸電極23との距離よりもよりも長くなるため、コンデンサC63の静電容量はコンデンサC61よりも小さくなり、X軸電極22a2から人体への電流の分流が減少する。
これにより、タッチ位置の前方のX軸電極22b2に印加電圧を印加したときの電流波形は、図14の(c)および図14の(d)に示すように、タッチ位置の最近傍のX軸電極22a2に印加電圧を印加したときの電流波形と比較して大きい値を示す。また、該電流波形は、相互容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22x2の電流波形と比較し小さい値を示す。
上述した原理に基づき、図15の(a)に示すように、相互容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合に得られるX軸電極22の電流波形の測定結果は、以下のようになる。該電流波形は、タッチしている指Tを中心としてX座標の前後数電極にわたり、図15の(b)および図15の(c)に示すように、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22の電流波形と比較して小さい値を示す。図15は、相互容量方式において、タッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがある場合のX軸電極22の状態を説明するための図である。図15の(a)は該状態における図2の(b)を模式的に示した図であり、図15の(b)は測定された各X軸電極22およびY軸電極23間の電流波形の最大値を示すグラフであり、図15の(c)は比較のために示した、水の付着がなくタッチがない場合に測定された各X軸電極22およびY軸電極23間の電流波形の最大値を示すグラフである。
〔水Wの付着があり、タッチがない場合〕
次に、図16を参照し、タッチパネル2に水Wの付着がありタッチがない場合の相互容量方式による測定結果について説明する。図16は相互容量方式において、タッチパネル2に水Wの付着がありタッチがない場合のタッチパネル2に付着した水Wの直下のX軸電極22dの状態を説明するための図である。図16の(a)は該状態における図2の(b)を模式的に示した図であり、図16の(b)はX軸電極22dに印加する印加電圧を示すグラフであり、図16の(c)はX軸電極22dおよびY軸電極23間の電流波形を示すグラフであり、図15の(d)は比較のために示した図11の(c)のグラフである。
相互容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がありタッチがない場合、タッチパネル2には、図16の(a)に示すように、(1)回路k1と、(2)X軸電極22dとY軸電極との間に、コンデンサC64およびコンデンサC7を有する回路k2と、が存在する。
さらに、タッチパネル2に水Wが付着している状況は、指Tでタッチパネル2をタッチしたときと異なり、水Wにはアースに対する電気的な接続がない。そのため、水Wを介して回路k1と回路k2とが並列に接続される。これにより、X軸電極22dおよびY軸電極23間の静電容量が大きくなる。その結果、X軸電極22dおよびY軸電極23間の電流波形は大きくなる。
したがって、X軸電極22dに図16の(b)で示す印加電圧を印加すると、図16の(c)および図16の(d)に示すように、X軸電極22dおよびY軸電極23間の電流波形は、相互容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22dの電流波形と比較して大きくなる。これは、水の直下に位置する各X軸電極22d(図18参照)において、同様に測定結果が得られる。
また、タッチ位置の一方の外周付近のX軸電極22eに注目すると、タッチパネル2は、図17の(a)に示すように、回路k2がコンデンサC65を有し、X軸電極22dに注目した場合と異なる。図17は、相互容量方式において、タッチパネル2に水Wの付着がありタッチがない場合のタッチパネル2に付着した水Wの外周付近のX軸電極22eの状態を説明するための図である。図17の(a)は該状態における図2の(b)を模式的に示した図であり、図17の(b)はX軸電極22eに印加する印加電圧を示すグラフであり、図17の(c)はX軸電極22eおよびY軸電極23間の電流波形を示すグラフであり、図17の(d)は比較のために示した図16の(c)のグラフである。
また、図18は、相互容量方式において、タッチパネル2に水Wの付着がありタッチがない場合のX軸電極22の状態を説明するための図である。図18の(a)は該状態における図2の(b)を模式的に示した図であり、図18の(b)は測定された各X軸電極22およびY軸電極23間の電流波形の最大値を示すグラフであり、図18の(c)は比較のために示した、水の付着がなくタッチがない場合に測定された各X軸電極22およびY軸電極23間の電流波形の最大値を示すグラフである。
外周付近のX軸電極22eは、水Wにより生じる静電容量が減少する。すなわちコンデンサC65はコンデンサC64よりも静電容量が小さくなる。これにより、タッチ位置の外周付近のX軸電極22eに印加電圧を印加したときのX軸電極22eおよびY軸電極23間の電流波形は、図17の(c)および図17の(d)に示すように、タッチ位置の水Wの直下のX軸電極22dに印加電圧を印加したときの電流波形と比較し小さい値を示す。また、該電流波形は、相互容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がなくタッチがない場合のX軸電極22x2と比較して大きい値を示す。これは、タッチ位置の他方の外周付近のX軸電極22eにおいても、同様の測定結果が得られる。
上述した原理に基づき、図18の(a)に示すように、相互容量方式においてタッチパネル2に水Wの付着がありタッチがない場合に得られる測定結果は以下のようになる。
図18の(b)および図18の(c)に示すように、水Wが付着している領域と対向しているX軸電極22dおよびX軸電極22eの電流波形は、タッチパネル2に水Wが付着していないときのX軸電極22の電流波形と比較し、大きい値を示す。さらに、水が付着している領域におけるX軸電極22dの電流波形はおおむね一定であり、付着している水の外周付近のX軸電極22eが該外周以外(X軸電極22d)の電流波形よりも小さくなる。
以上により、第1付着物判定部17および第2付着物判定部15が、相互容量方式によりタッチパネル2を部分的に走査し、タッチ位置付近に位置する電極の第2最大電流値が第2電流閾値以上の領域があるかどうかを判定することにより、タッチパネル2にタッチがない状態においてタッチパネル2に水の付着があるかどうかを判定することができる。
また、上述したように、付着物の導電性を利用した検出方法であるため、本実施形態に係るタッチパネル装置1は、水以外の付着物であっても検出することができる。水以外の付着物としては、例えば、密着性および導電性を有する付着物(切削機から出る鉄や鉛等)が挙げられる。
なお、上記水Wの付着検出ついて、各方式においてX軸電極22のみについて説明したが、Y軸電極23についても同じことがいえる。
〔自己容量方式と相互容量方式との切り替え方法〕
図20〜図24を参照して、自己容量方式と相互容量方式との切り替え方法の例について説明する。図20はタッチパネル装置1の回路50の一例を示す図である。図21は、タッチパネル装置1において、自己容量方式実施時の回路50の一例を示す図である。図22は、タッチパネル装置1において、自己容量方式実施時の回路50の他の例を示す図である。図23は、タッチパネル装置1において、相互容量方式実施時の回路50の一例を示す図である。図24は、タッチパネル装置1において、相互容量方式実施時の回路50の他の例を示す図である。
回路50は、タッチを検出する回路を自己容量方式または相互容量方式に切り替えるための回路である。回路50は、図20に示すように、X軸電極22a1〜22g、Y軸電極23a〜23e、スイッチSW−Y、スイッチSW−X、スイッチSW−XY、スイッチSW−M、電流検出計、信号源V、およびそれぞれの接続端子を備える。
X軸電極22a1〜22gは、それぞれ、端子X1〜X7を有する。Y軸電極23a〜23eは、それぞれ、端子Y1〜Y5を有する。
スイッチSW−Mは、タッチパネル装置1のタッチ検出方式を、自己容量方式もしくは相互容量方式に切り替える。例えば、自己容量方式のときは端子A1および端子B1を端子Saおよび端子Sb側に接続する。また、相互容量方式のときは端子A1および端子B1を端子Maおよび端子Mb側に接続する。
スイッチSW−XYは、X軸電極22の測定とY軸電極23の測定とを切り替える。例えば、X軸電極22を測定するときは端子A2および端子B2を端子Xa2および端子Xb2側に接続する。また、Y軸電極23を測定するときは端子A2および端子B2を端子Ya2および端子Yb2側に接続する。
スイッチSW−Xは、X軸電極22において測定する各X軸電極22a1〜22gを切り替える。例えば、X軸電極22a1を測定するときは端子X1に接続する。他のX軸電極22を測定するときは、同様に対応する端子に接続する。
スイッチSW−Yは、Y軸電極23において測定する各Y軸電極23a〜22eを切り替える。例えば、Y軸電極23aを測定するときはY1に接続する。他のY軸電極23を測定するときは、同様に対応する端子に接続する。なお、スイッチはアナログスイッチ、もしくは、トランジスタ回路であってもよい。
信号源Vは、パルスドライブ回路であり、X軸電極22またはY軸電極23に印加電圧を印加する。
電流検出計は、X軸電極22またはY軸電極23に印加電圧を印加したときの電流値を検出する。また、小さな抵抗を入れて該電流計の両端の電圧をOP−AMP(演算増幅器)で取り込み、ADコンバーター等でデジタル値にして処理してもよい。
ここで、タッチパネル2にタッチがある際は、相互容量方式の場合は、電流検出計にすべての電流が流れず、人の指を介して流れる電流を除いたものを測る。それに対して、自己容量方式の場合は、人の指を介してほとんど全ての電流がグランドおよび電流検出計に流れる。
〔自己容量方式実施時の接続例〕
図21および図22を参照し、自己容量方式実施時の接続の一例を説明する。
例えば、自己容量方式においてX軸電極22aの測定を行うときは、図21に示すように、スイッチSW−Xを端子X1に接続し、スイッチSW−XYの端子A2を端子Xa2に接続し、スイッチSW−Mの端子A1を端子Saに接続し、スイッチSW−Yの接続は任意とする。
また、自己容量方式においてY軸電極23bの測定を行うときは、図22に示すように、スイッチSW−Yを端子Y2に接続し、スイッチSW−XYの端子A2を端子Ya2に接続し、スイッチSW−Mの端子A1を端子Saに接続し、スイッチSW−Xの接続は任意とする。
これにより、自己容量方式による電極の電流波形(電流値)の検出が可能となる。
〔相互容量方式実施時の接続例〕
図23および図24を参照し、相互容量方式実施時の接続の一例を説明する。
例えば、相互容量方式においてY軸電極23aに電圧を供給してX軸電極22bの測定を行うときときは、図23に示すように、スイッチSW−Xを端子X2に接続し、スイッチSW−XYの端子A2を端子Xa2に接続し、スイッチSW−XYの端子B2を端子Xb2に接続し、スイッチSW−Mの端子A1を端子Maに接続し、スイッチSW−Mの端子B1を端子Mbに接続し、スイッチSW−Yを端子Y1に接続する。
また、相互容量方式においてX軸電極22bに電圧を供給してY軸電極23aの測定を行うときときは、図24に示すように、スイッチSW−Xを端子X2に接続し、スイッチSW−XYの端子A2を端子Ya2に接続し、スイッチSW−XYの端子B2を端子Yb2に接続し、スイッチSW−Mの端子A1を端子Maに接続し、スイッチSW−Mの端子B1を端子Mbに接続し、スイッチSW−Yを端子Y1に接続する。
これにより、相互容量方式による電流波形(電流値)の検出が可能となる。
〔変形例〕
本発明の実施形態1の変形例について説明すれば以下のとおりである。なお説明の便宜上、先の実施形態で説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
〔変形例1〕
実施形態1の変形例1に係るタッチパネル装置1は、自己容量方式による測定の結果、タッチ位置に水の付着が検出されなかった場合(接触長さが第1閾値未満の場合)であっても、第2タッチを検出し(第2検出ステップ)、第2タッチがない場合、静電容量方式を自己容量方式から相互容量方式に切り替え(第2方式切替ステップ)、自己容量方式によりタッチが検出されなかった領域(接触領域以外)について、相互容量方式による測定を行い(第4判定ステップ)、水の付着を検出してもよい。
上記構成によれば、実施形態1の変形例1に係るタッチパネル装置1は、自己容量方式によりタッチ位置に水の付着が検出されなかった場合(接触長さが第1閾値未満の場合)であっても、自己容量方式によりタッチが検出されなかった領域において、相互容量方式により水の付着の検出ができる。このため、タッチパネル2における水の付着を確実に検出できる。また、水の付着の検出にタッチパネル2全面の走査が不要となるので、大型パネルなどにも適応できる。
〔変形例2〕
実施形態1の変形例2に係るタッチパネル装置1は、自己容量方式による測定の結果、タッチ位置に水の付着が検出された場合(接触長さが第1閾値以上であった場合)、自己容量方式により水の付着を検出した領域以外(接触領域以外)の領域について、相互容量方式による測定を行い(第5判定ステップ)、水の付着を検出してもよい。
上記構成によれば、実施形態1の変形例2に係るタッチパネル装置1は、タッチ位置における水の付着を自己容量方式により検出し、タッチ位置以外の水の付着を相互容量方式により検出できる。そのため、タッチパネル2における水の付着を確実に検出できる。また、水の付着の検出にタッチパネル2全面の走査が不要となるので、大型パネルなどにも適応できる。
〔変形例3〕
実施形態1の変形例3に係るタッチパネル装置1は、タッチパネル2への水の付着を検出した場合、水が付着している状態において、タッチパネル2上のタッチの検出を停止してもよい。また、付着している水の除去により、タッチパネル2上のタッチの検出を再開してもよい。また、タッチパネル2上の水の付着位置でのタッチの検出を再開する際は、相互容量方式による水の除去の検出後、水の拭き取り後の余裕を考慮して再開することが望ましい。
上記構成によれば、実施形態1の変形例3に係るタッチパネル装置1は、水の付着している状態において、タッチパネル2上へのタッチの検出を停止しているので、タッチパネル2に付着した水を除去する行為等によるタッチ位置の誤検出を防ぐことができる。また、タッチパネル装置1は、水が除去されたことによって、タッチパネル2へのタッチの検出を再開するので、水の付着が確実に除去してから、タッチパネル2へのタッチの検出ができ、水の付着によるタッチ位置の誤検出を確実に防ぐことができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図27〜図31に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。図27は、本発明の実施形態2に係るタッチパネル装置1Aの要部構成を示す機能ブロック図である。
タッチパネル装置1Aは、自己容量方式による測定の結果、タッチパネル2のタッチ位置に水の付着があると判定され、タッチパネル2の水の拭き取りを開始するタッチ操作がされた場合、タッチパネル2のタッチ検出を一定時間停止する。
上記構成によれば、水を拭き取っている間に、誤って水の付着のない領域をタッチしたとしてもタッチを検出されないため、拭き取り中の誤操作を回避することができる。
〔タッチパネル装置1Aの構成〕
タッチパネル装置1Aは制御部10Aを備え、制御部10Aは実施形態1に係るタッチパネル装置1の制御部10と構成が異なる。
タッチパネル装置1Aが備える制御部10Aは、接触位置取得部11、接触長さ判定部12、ボタン表示指示部30、第3方式切替部31、第2接触判定部32、検出停止部33、第1方式切替部16、第1付着物判定部17、および処理実行部18を備える。接触位置取得部11、第1方式切替部16、および第1付着物判定部17は、実施形態1と同じ機能を有する。
接触長さ判定部12は、実施形態1とおおむね同じ機能を備えるが、自己容量方式によりタッチ位置に水の付着があると判定された場合、第1接触判定部13の代わりにボタン表示指示部30にタッチパネル2のタッチ位置に水の付着がある旨を示す第1付着物信号を出力する。
ボタン表示指示部30は、自己容量方式によりタッチ位置に水の付着があると判定されたとき、タッチパネル2の水の付着がない領域に水の拭き取りを開始する旨を示すボタンを表示する。具体的には、ボタン表示指示部30は、接触長さ判定部12からの第1付着物信号が入力されると、タッチパネル2の水の付着がない領域に水の拭き取りを開始することを示すボタンを表示する。ボタン表示指示部30は、タッチパネル2に上記ボタンを表示すると上記ボタンを表示した旨を示すボタン表示信号を第3方式切替部31に出力する。
第3方式切替部31は、タッチパネル装置1Aの静電容量方式を、自己容量方式または相互容量方式に切り替える。具体的には、第3方式切替部31は、ボタン表示指示部30からのボタン表示信号が入力されると、タッチパネル装置1Aの静電容量方式を、自己容量方式から相互容量方式に切り替える。このとき、第3方式切替部31は、上記ボタンが表示された後、静電容量方式が自己容量方式から相互容量方式に切り替わった旨を示す第3方式切替信号を第2接触判定部32出力する。
第2接触判定部32は、上記ボタンにタッチがあるか否かを判定する。具体的には、第3方式切替部31からの第3方式切替信号が入力されると、相互容量方式により上記ボタンの表示位置にタッチ(第3タッチ)があるか否かを判定する。第2接触判定部32は、上記ボタンの表示位置にタッチがある場合、上記ボタンの表示位置にタッチがある旨を示すボタンタッチ信号を検出停止部33に出力する。
検出停止部33は、第2接触判定部32からのボタンタッチ信号が入力されると、タッチパネル2へのタッチの検出を一定時間停止する指示信号を処理実行部18に出力する。
処理実行部18は、実施形態1とおおむね同じ機能を備えるが、さらに、検出停止部33からタッチパネル2へのタッチの検出を一定時間停止する指示信号が入力される。処理実行部18は、上記指示信号が入力されると、タッチパネル2へのタッチの検出を一定時間停止する。
〔ボタンへのタッチの検出〕
図28〜図29に基づき、自己容量方式によりタッチ位置の水の付着を検出した後の、タッチパネル2における上記タッチ以外のタッチの検出について説明する。
図28は、タッチパネル装置1Aを説明するためのタッチパネル2および各電極の電流波形の一例を示す図である。図29および図30は、タッチパネル装置1Aを説明するためのタッチパネル2および各電極の電流波形の他の例を示す図である。
図28〜図30に示すように、タッチパネル2において、指Bのタッチ(タッチt2)のタッチ位置への水Wの付着の検出後に、指Aがタッチパネル2の水Wの領域以外でタッチ(タッチt1)している場合について説明する。なお、図28〜図30においてタッチパネル2の上側(図28〜図30基準)のグラフは、タッチパネル2の各X軸電極の電流波形の最大値を示し、タッチパネル2の右側(図28〜図30基準)のグラフは、タッチパネル2の各Y軸電極の電流波形の最大値を示す。
タッチパネル2において、タッチt2のタッチ位置に水Wが付着している状態で、タッチパネル2全体へのタッチ検出を可能とすると、水をふき取る際のタッチパネル2への不当なタッチも検出してしまい、誤動作につながる危険性がある。したがって、タッチt1の検出は、水Wを拭き取る際の誤操作が起こらないように検出する必要がある。
具体的には、例えば、タッチt2のタッチ位置に水Wの付着があった場合、アプリケーションプログラム等が、タッチパネル2上の水Wの付着領域を判別し、タッチパネル2において水Wの付着領域以外に、水の拭き取りを開始する旨を示すボタンを表示してもよい。上記構成によれば、水の拭き取りを開始する旨を示すボタンを表示することにより、タッチt1は、上記ボタン付近に導かれる。そのため、ボタンの座標付近を相互容量方式により走査することで、タッチt1の座標を特定することができ、上記ボタンへのタッチの有無が判定できる。
相互容量方式によれば、タッチt2のタッチ位置に水Wの付着がありさらにタッチt1される状態において、タッチt1およびタッチt2のX軸座標およびY軸座標が下記の場合でもボタンの座標付近を走査することで、タッチt1の座標を特定することができる。(1)タッチt1およびタッチt2のX軸座標およびY軸座標がそれぞれことなる場合(図28参照)。(2)タッチt1およびタッチt2のY軸座標が異なり、X軸座標が重複する場合(図29参照)。(3)タッチt1およびタッチt2のX軸座標が異なり、Y軸座標が重複する場合(図30参照)。
また、ユーザが上記ボタンにタッチt1することで、タッチパネル装置1Aはタッチパネル2へのタッチの検出を一定時間停止してもよい。上記構成によれば、タッチパネル2へのタッチ検出が無条件に停止されるので、タッチ検出を停止している間アプリケーションプログラムからの詳細な処理の制御はできないが、水Wを拭き取る際にタッチパネル2に不当なタッチをしても検出されないため、水Wの拭き取り中の誤操作を単純に回避することができる。
〔水検出処理の流れ〕
図31に基づき、タッチパネル装置1Aが実行する水検出処理の流れについて説明する。図31は、タッチパネル装置1Aにおいて、水の付着を検出する処理のフローチャートの一例である。本実施形態に係る水検出処理の流れは、実施形態1とS5以降の処理が異なる。
図25参照を参照して、タッチパネル2のタッチ位置に水の付着があると判定され、表示部4に警告を表示した(S5)後、図31を参照して、ボタン表示指示部30は、タッチパネル2の水の付着がない領域に水の拭き取りを開始する旨を示すボタンを表示する(S21)。その後、第3方式切替部31により、タッチパネル装置1Aの静電容量方式を自己容量方式から相互容量方式に切り替え(S22:第3方式切替ステップ)、相互容量方式によりタッチパネル2の上記ボタンの表示付近を部分的に走査する。これにより、上記ボタンにタッチ(第3タッチ)があるか否かを判定する(S23:第3検出ステップ)。
上記ボタンへのタッチがある場合(S23でYES)、検出停止部33からタッチパネル2へのタッチの検出を一定時間停止する指示信号が処理実行部18に出力され、処理実行部18は、タッチパネル2へのタッチの検出を一定時間停止する(S24)。また、処理実行部18は、上記一定時間経過後、タッチパネル2へのタッチの検出を再開する(S25)。
上記ボタンへのタッチがない場合(S23でNO)、タッチの検出を継続する。
〔ソフトウェアによる実現例〕
タッチパネル装置1の制御ブロック(特に接触位置取得部11、接触長さ判定部12、第1方式切替部16、第1付着物判定部17、第1接触判定部13、第2方式切替部14、第2付着物判定部15、ボタン表示指示部30、第3方式切替部31、第2接触判定部32、検出停止部33、および処理実行部18)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、タッチパネル装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る誤検出防止方法は、自己容量方式および相互容量方式によるタッチ検出が可能なタッチパネル(2)における誤検出を防止する誤検出防止方法であって、上記自己容量方式を用いて、上記タッチパネルへのユーザの指による第1タッチを検出する第1検出ステップ(S1)と、上記第1タッチが検出されたとき、上記タッチパネルにより測定された接触領域(R)が上記指および上記タッチパネルに接触する接触物によるものか否かを判定する第1判定ステップ(S3)と、上記第1タッチが検出されないとき、上記タッチパネルの静電容量方式を上記自己容量方式から上記相互容量方式へ切り替える第1方式切替ステップ(S6)と、上記相互容量方式を用いて、上記タッチパネルに接触する接触物があるか否かを判定する第2判定ステップ(S7)と、を含む。
上記の構成によれば、本実施形態に係るタッチパネル装置は、自己容量方式により接触距離が、指およびタッチパネルに接触する接触物によるものか否か判定することによりタッチ位置における水の付着を検出できる。このため、水が付着した領域をタッチしたときに、即座に水の付着を検出することができる。また、その場合、上記水の付着の検出にタッチパネル全面の走査が不要となるので、大型パネルなどにも適応できる。
また、タッチパネル装置は、第1タッチが検出されなかったときに、自己容量方式を相互容量方式に切り替える。また、タッチパネル装置は、タッチがない状態において相互容量方式によりタッチパネルに接触する接触物があるか否かを判定することによりタッチパネルへの水の付着を検出できる。そのため、自己容量方式では検出できないタッチパネルへの水の付着がある場合であっても、タッチパネルの水の付着を検出できる。
また、タッチパネル装置は、水の付着の検出に自己容量方式と相互方式を状況によって選択することができる。その結果、常に相互容量方式により水の付着を検出する場合と比較し、少ない走査処理で水の付着を検出できる。
また、タッチパネル装置は、自己容量方式によりユーザのタッチがないこと確認した後に相互容量方式による水の検出処理を実施するので、水の付着の検出に近接センサなどの新たなセンサを設ける必要はなく、製造コストの増大を回避することができる。
本発明の態様2に係る誤検出防止方法は、上記態様1において、上記第1判定ステップ(S3)にて上記接触領域(R)が上記指および上記タッチパネルに接触する接触物によるものであると判定されたとき、上記自己容量方式を用いて上記タッチパネルへのユーザの指による第2タッチを検出する第2検出ステップ(S11)と、上記第2タッチが検出されないとき、上記タッチパネルの静電容量方式を上記自己容量方式から上記相互容量方式へ切り替える第2方式切替ステップ(S12)と、上記相互容量方式を用いて、上記タッチパネルに接触する接触物があるか否かを判定する第3判定ステップ(S13)と、を含んでもよい。
上記の構成によれば、タッチパネル装置は、自己容量方式によりタッチ位置における水の付着を検出し、第2タッチが検出されないとき、自己容量方式を相互容量方式に切り替える。その後、タッチパネルに接触する接触物があるか否かを判定する。これにより、タッチパネル装置は、タッチパネルへの水の付着の有無を、タッチパネルにタッチがない状態で相互容量方式により検出できる。その結果、自己容量方式で検出されたタッチ位置への新たな水の付着を含め、タッチパネルへの水の付着を相互容量方式により検出することができる。
また、タッチパネル装置は、相互容量方式によりタッチパネルにタッチがない状態で水の付着を検出するため、付着した水を拭き取ったとき、自動的に水の付着がなくなったことを検出することができる。そのため、タッチパネルから確実に水を取り除くことができる。
さらに、タッチパネル装置は、水が取り除かれるまで水の付着の有無の判定処理を継続している。そのため、タッチパネル上のタッチを伴う拭き取り操作があっても、安易に水の付着を解除しないので、水の充分な拭き取りを容易にすることができる。
本発明の態様3に係る誤検出防止方法は、上記態様2において、上記第3判定ステップ(S13)は、上記接触領域(R)において上記タッチパネル(2)に接触する接触物があるか否かを判定してもよい。
上記の構成によれば、タッチパネル装置は、接触領域においてタッチパネルに接触する接触物があるか否かを相互容量方式により判定する。これにより、自己容量方式で検出された水の付着を確実に取り除くことができる。また、相互容量方式の走査は、接触領域のみの部分的な走査となるので、少ない走査処理で水の付着の検出が可能となる。このため、パネル全面の走査が不要となるので、大型パネルなどにも適応することができる。
本発明の態様4に係る誤検出防止方法は、上記態様1において、上記第1判定ステップ(S3)にて上記接触領域(R)が上記指および上記タッチパネルに接触する接触物によるものではないと判定されたとき、上記自己容量方式を用いて上記タッチパネルへのユーザの指による第2タッチを検出する第2検出ステップ(S11)と、上記第2タッチが検出されないとき、上記タッチパネルの静電容量方式を上記自己容量方式から上記相互容量方式へ切り替える第2方式切替ステップ(S12)と、上記相互容量方式を用いて、上記タッチパネルのうちの上記接触領域以外において上記タッチパネルに接触する接触物があるか否かを判定する第4判定ステップと、を含んでもよい。
上記の構成によれば、タッチパネル装置は、自己容量方式により、タッチ位置に水の付着があると判定されなかったとき、相互容量方式によりタッチパネルのうちの接触領域以外において接触する接触物があるか否かを判定する。このため、自己容量方式により水の付着がない(接触領域がユーザの指およびタッチパネルに接触する接触物によるものではない)と判定された場合であっても、自己容量方式によりタッチが検出されなかった領域(接触領域以外)において、相互容量方式により水の付着の検出ができる。このため、タッチパネルにおける水の付着を確実に検出できる。また、水検出にタッチパネル全面の走査が不要となるので、大型パネルなどにも適応できる。
本発明の態様5に係る誤検出防止方法は、上記態様1において、上記第1判定ステップ(S3)にて上記接触領域(R)が上記指および上記タッチパネルに接触する接触物によるものであると判定されたとき、上記自己容量方式を用いて上記タッチパネルへのユーザの指による第2タッチを検出する第2検出ステップ(S11)と、上記第2タッチが検出されないとき、上記タッチパネルの静電容量方式を上記自己容量方式から上記相互容量方式へ切り替える第2方式切替ステップ(S12)と、上記相互容量方式を用いて、上記タッチパネルのうちの上記接触領域以外において上記タッチパネルに接触する接触物があるか否かを判定する第5判定ステップと、を含んでもよい。
上記の構成によれば、タッチパネル装置は、自己容量方式により、タッチ位置に水の付着があると判定されたとき、相互容量方式によりタッチパネルのうちの接触領域以外において接触する接触物があるか否かを判定する。このため、自己容量方式によりタッチ位置に水の付着があると判定された場所以外も、自己容量方式によりタッチが検出されなかった領域(接触領域以外)において、相互容量方式により水の付着の検出ができる。そのため、タッチパネルにおける水の付着を確実に検出できる。また、水検出にタッチパネル全面の走査が不要となるので、大型パネルなどにも適応できる。
本発明の態様6に係る誤検出防止方法は、上記態様1において、上記第1判定ステップ(S3)にて上記接触領域(R)が上記指および上記タッチパネル(2)に接触する接触物によるものであると判定されたとき、上記タッチパネルの静電容量方式を上記自己容量方式から上記相互容量方式へ切り替える第3方式切替ステップ(S22)と、上記相互容量方式を用いて、上記接触領域以外において上記タッチパネルへのユーザの指による第3タッチを検出する第3検出ステップ(S23)と、を含んでもよい。
上記の構成によれば、タッチパネル装置は、自己容量方式により、タッチ位置に水の付着があると判定されたとき、静電容量方式を自己容量方式から相互容量方式に切り替え、相互容量方式により、タッチパネルにおいて接触領域以外への第3タッチを検出する。これにより、水の付着箇所以外へのタッチのみを検出するので、タッチパネルに水の付着がある場合であっても、水による誤操作を避けることができる。
本発明の態様7に係るタッチパネル装置(1)は、自己容量方式および相互容量方式によるタッチ検出が可能なタッチパネル(2)を有するタッチパネル装置であって、上記自己容量方式を用いて、上記タッチパネルへのユーザの指による第1タッチを検出する第1検出部(接触位置取得部11)と、上記第1タッチが検出されたとき、上記タッチパネルにより測定された接触領域(R)が上記指および上記タッチパネルに接触する接触物によるものか否かを判定する第1判定部(接触長さ判定部12)と、上記第1タッチが検出されないとき、上記タッチパネルの静電容量方式を上記自己容量方式から上記相互容量方式へ切り替える第1方式切替部(16)と、上記相互容量方式を用いて、上記タッチパネルに接触する接触物があるか否かを判定する第2判定部(第1付着物判定部17)と、を備える。
上記の構成によれば、タッチパネル装置は、態様1と同様の効果を奏する。
本発明の態様8に係る制御プログラムは、上記態様7のタッチパネル装置(1)としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各部として機能させてもよい。
上記の構成によれば、コンピュータで上記ステップを実現することにより、コンピュータ上でタッチパネル装置を実現することができる。
本発明の態様9に係る記録媒体は、上記態様8の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能であってもよい。
上記の構成によれば、記録媒体から読み出される制御プログラムを、汎用のコンピュータ上で実現することができる。
本発明の各態様に係るタッチパネル装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記タッチパネル装置が備える各手段として動作させることにより上記タッチパネル装置をコンピュータにて実現させるタッチパネル装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。