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JP6251136B2 - 電池システム監視装置およびこれを備えた蓄電装置 - Google Patents
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JP6251136B2 - 電池システム監視装置およびこれを備えた蓄電装置 - Google Patents

電池システム監視装置およびこれを備えた蓄電装置 Download PDF

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Description

本発明は電池システム監視装置およびこれを備えた蓄電装置に関する。
ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)などでは、所望の高電圧を確保するため、二次電池の単電池セルを複数個直列接続したセルグループを複数個直列あるいは直並列に接続して構成される組電池(電池システム)が用いられている。このような組電池においては、各単電池セルの残存容量計算や保護管理のため、セル電圧(単電池セルの端子間電圧)の計測と、充電状態(SOC、State of Charge)すなわち残存容量の均等化(バランシング)のためのバランシング放電を行うセルコントローラを組電池の監視装置内に設けて組電池の管理を行っている。(例えば特許文献1参照)。また、このセルコントローラは複数の集積回路(セルコントローラIC)を備え、上記の複数個のセルグループの管理を行っている。
各単電池セルのSOCは、各単電池セルの開路電圧(OCV)から算出される。すなわち、電池システムが無負荷の状態(電池システムからのDC電力から三相AC電力を生成してHEVやEVの駆動用モータに供給するインバータ等が接続されていない状態)で測定された各単電池セルの端子間電圧から各単電池セルのSOCが算出される。各単電池セルの端子間電圧は、上記のセルコントローラICの電圧入力端子に各単電池セルの端子間電圧が入力されて測定される。このセルコントローラICの電圧入力端子には、電池システムの充放電に伴うノイズを除去するためにRCフィルタが設けられている。
特開2009−89484号公報
セルコントローラICの入力端子に設けられたRCフィルタのコンデンサ劣化、セルコントローラIC内に設けられたESD対策用のダイオード劣化、あるいはセルコントローラICの電圧検出端子付近の絶縁不良等の種々の原因で、電圧入力端子側で電流リークが発生する可能性がある。この電流リークが発生すると、セルコントローラICの各単電池セルの端子間電圧が正確に測定されず、各単電池セルのSOCも正しい値が得られない。このような正しくないSOCに基づいて各単電池セルのバランシング放電を行うと、過充電や過放電となる可能性がある。
しかしながら、従来のセルコントローラICを備えた電池システム監視装置では、電流リークが発生したことを検出できなかった。
本発明による電池システム監視装置は、複数の単電池セルを直列接続したセルグループを備えた電池システムを監視するものであって、前記セルグループを制御するセルコントローラICと、前記単電池セルの端子間電圧を測定するための、前記単電池セルの正極および負極のそれぞれと前記セルコントローラICとを接続する複数の電圧検出線とを備える。前記セルコントローラICは、前記単電池セルの正極に接続された電圧検出線と負極に接続された電圧検出線との間に接続された、当該単電池セルのバランシング放電を行うバランシングスイッチを前記単電池セル毎に備え、前記電圧検出線には、電圧入力抵抗が直列に設けられ、前記バランシングスイッチと当該バランシングスイッチに直列に接続されたバランシング抵抗とで構成されるバランシング放電回路が前記単電池セルの正極に接続された電圧検出線と負極に接続された電圧検出線の間に接続され、前記バランシング放電回路と前記単電池セルの正極に接続された電圧検出線との接続点および、前記バランシング放電回路と前記単電池セルの負極に接続された電圧検出線との接続点は、それぞれ前記電圧入力抵抗より前記セルグループ側に設けられ、前記セルコントローラICは、前記複数の単電池セルのそれぞれについて、前記電圧入力抵抗を経由する第1の電圧測定経路および前記バランシング抵抗を経由する第2の電圧測定経路を介して前記端子間電圧をそれぞれ測定可能であり、前記電池システム監視装置は、前記第1の電圧測定経路を介して測定された前記端子間電圧と、前記第2の電圧測定経路を介して測定された前記端子間電圧とに基づいて、前記電池システムのリークを検出する。
本発明による蓄電装置は、上記の電池システム監視装置と、複数の単電池セルを直列接続したセルグループを備え、前記電池システム監視装置により監視される電池システムとを備える。
本発明による電池システム監視装置を用いることにより、この電池システム監視装置を備えた蓄電装置では、セルコントローラICのセル電圧入力端子に設けられたRCフィルタのコンデンサ劣化、セルコントローラIC内に設けられたESD対策用のダイオード劣化、あるいはセルコントローラICの電圧検出端子付近の絶縁不良等の種々の原因によるリークを検出することができる。
一実施の形態の組電池の電池監視装置を含むハイブリッド自動車の電動駆動装置全体の構成を示す図である。 セル電圧検出のためのRCフィルタ回路と、バランシング回路の1つの例であり、2つの隣り合う電圧検出線の間にRCフィルタのコンデンサ103が接続されている構成の回路を示す図である。 セル電圧検出のためのRCフィルタ回路と、バランシング回路の他の1つの例であり、RCフィルタのコンデンサ103が電圧検出線とグランド線の間に接続されている構成の回路を示す図である。 セル電圧検出のためのRCフィルタ回路と、バランシング回路のさらに他の1つの例であり、RCフィルタのコンデンサ103の一端が電池システムの中間電位の電圧検出線に接続されている構成の回路を示す図である。 定電流でリチウムイオン電池を充電し、意図的に過充電状態とした場合の、SOCに対するセル電圧の変化とガス排出弁の動作を示す図である。 図3に示すRCフィルタ回路で、電圧検出線SL2に接続されたコンデンサ103でリークが発生した場合のリーク電流を分かり易く示して、この場合のバランシング動作を説明するための図である。 12個の単電池セルを直列接続したセルグループで、図3に示す用に接続されたRCフィルタのコンデンサ103の内最上位のセル(セル1)のコンデンサにリークが発生した場合のリーク電流を示す図である。 図7に示すRCフィルタの構成で、最下位のセル(セル12)、最下位のセルから6番目のセル(セル7)、最上位のセル(セル1)でそれぞれリークが発生した場合に検出されるセル電圧とリーク抵抗の関係を示す図である。 本発明による電池システム監視装置における、リーク検出を行うための回路構成を示す図であり、図3に示す回路で、セルコントローラIC内にリーク検出スイッチが設けられている。 図8で示す3つの曲線(セル12、セル7、セル1)で、リークによる電圧降下分をリーク抵抗RLに対してプロットした図である。 本発明による電池システム監視装置における、リーク検出を行うための回路構成を説明する図であり、図2に示す回路で、セルコントローラIC内にリーク検出スイッチが設けられている。 2つの電圧検出線間に接続されたコンデンサでリークが発生した場合のリーク電流を分かり易く示して、この場合のバランシング動作を説明するための図である。 図3に示す回路で、バランシング抵抗がバランシングスイッチの正電位側に配置される構成の回路を示す図である。 図3に示す回路で、バランシング抵抗がバランシングスイッチの正電位側と負電位側の両側に分割して配置される構成の回路を示す図である。 セルグループの単電池セルの実電圧が揃った状態で、電圧測定のための電圧入力抵抗がある1つの値のときの、リーク抵抗(RL)の抵抗値と検出されるセル電圧の関係を示す図である。 セルグループの単電池セルの検出電圧が揃った状態で、電圧測定のための電圧入力抵抗がある1つの値のときの、リーク抵抗(RL)の抵抗値と単電池セルの実電圧の関係を示す図である。 リークが発生した場合に、高い電圧が検出されたセルのバランシング放電の様子を概略的に示す図である。 リーク電流とバランシング電流の関係により、リークを発生しているセルの端子間電圧の実電圧がどの程度まで上昇する可能性があるかを示素図である。 リーク発生しているセルの実電圧を、過充電保護電圧程度の電圧以下にするための制御を説明するための図である。 本発明による電池システム監視装置でリーク検出スイッチを用いずにリーク検出を行うための回路構成を示す図である。
以下、図1〜図19を参照して本発明を実施するための形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明による電池システム監視装置を備えた蓄電装置を、ハイブリッド自動車(HEV)などに用いられる電池システムを備えた蓄電装置に対して適用した場合の例である。なお、本発明はHEVに限らず、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)や電気自動車(EV)、鉄道車両などに搭載される各種蓄電装置に対して幅広く適用可能である。
以下の実施形態では、制御の最小単位となる蓄電・放電デバイスとして3.0〜4.2V(平均出力電圧:3.6V)の範囲に電圧を持つリチウムイオン電池を想定しているが、それ以外でもSOC(State of Charge)の高すぎる場合(過充電)や低すぎる場合(過放電)に使用を制限するような、電気を蓄え放電可能なデバイスであれば何でもよく、ここでは、それらを総称して単電池あるいは単電池セルあるいは単にセルと呼ぶ。
また、以下に説明する実施形態では、単電池セルを複数個(概ね数個から十数個)直列に接続したものをセルグループと呼び、このセルグループを複数個直列に接続したものを電池モジュールと呼んでいる。更にこのセルグループあるいは電池モジュールを複数個直列または直並列に接続したものを電池システムと呼称する。セルグループ、電池モジュールおよび電池システムを総称して組電池と呼んでいる。各単電池セルのセル電圧を検出し、バランシング動作等を行いながら電池状態を監視するセルコントローラICはセルグループ毎に設けられる。
図1は、本発明による電池システム監視装置を備えた蓄電装置を搭載したハイブリッド自動車用電動駆動装置の構成例を示す。ハイブリッド自動車の電動駆動装置は、車両コントローラ400、モータコントローラ300、バッテリコントローラ200、複数のセルコントローラIC100、電池システム130、インバータ340、モーター350などを備えている。これらの内、車両コントローラ400、モータコントローラ300、バッテリーコントローラ200、セルコントローラIC100およびインバータ340は、車両内に設置される通信回路を介して互いに情報の授受を行う。なお、電池システム130は、複数のセルグループ120を直列に接続したものであり、各セルグループ120はさらに、リチウムイオン電池等の二次電池の単電池セル110が複数個直列に接続されて構成されている。また、電池システム監視装置10は、バッテリコントローラ200、セルコントローラIC100、セルコントローラIC100とセルグループ120の間に設けられた抵抗やコンデンサ等を含む接続回路を備えて構成されている。蓄電装置は、この電池システム監視装置10と電池システム130から構成される。
バッテリコントローラ200と複数のセルコントローラIC100との間の通信回路はループ状に接続されており、バッテリコントローラ200から最上位のセルコントローラIC100へシグナルアイソレータ201を介して信号が伝送され、さらに最上位のセルコントローラIC100から最下位のセルコントローラIC100まで順に直列に信号が伝送され、最後に最下位のセルコントローラIC100からバッテリコントローラ200へシグナルアイソレータ202を介して信号が伝送される。バッテリコントローラ200は、ループ状の通信回路を介してすべてのセルコントローラIC100との間で情報の授受を行うことができる。
なお、ここではループ状の通信回路を介して信号伝送を行う例を示しているが、双方向通信回路を用いて構成することも可能であり、この場合はシグナルアイソレータ202は不要となる。さらに、図示はしないが、バッテリコントローラ200からすべてのセルコントローラIC100へ並列に通信回路を接続し、パラレルに信号伝送を行うことも可能である。
車両コントローラ400は、ハイブリッド自動車の運転者が操作するアクセルペダルやブレーキペダル、あるいは変速レバーなどの車両運転操作装置からの操作信号に基づいて車両の走行速度や制駆動力などを制御する。モータコントローラ300は、車両コントローラ400からの速度指令や制駆動力指令に基づいてバッテリコントローラ200およびインバータ340を制御し、車両走行駆動用モータ350の回転速度およびトルクを制御する。
バッテリーコントローラ200は、電圧センサ210、電流センサ220、温度センサ230により検出された電池システム130の電圧、電流、温度に基づいて電池システム130の充放電とSOC(State Of Charge)を制御するとともに、セルコントローラIC100を制御して電池システム130を構成する複数の単電池セル(以下、単にセルという)110のSOCを管理し、過充電状態とならないようにSOCのばらつきを補正するための放電(以下、バランシング放電という)を行う。
なお、図1に示す一実施の形態の組電池の制御装置では、例えば4個のセル110が直列に接続されたセルグループ120が複数個直列に接続された電池システムを例示する。なお、セルグループ120を構成する単電池セル110の数は4個以上であってもよい。セルコントローラIC100はセルグループ120の仕様に合わせたものを使用する。
ハイブリッド自動車に搭載される電池システム130は多くのセルあるいはセルグループが直並列に接続され、両端電圧が数100Vの高圧、高容量とした電池システムが一般的である。もちろんこのような高圧、高容量の電池システムに対しても本発明を適用することができる。
セルコントローラIC100は、電池システムを構成する複数のセル110を所定個数ごとにグループに分け、各セルグループ120ごとに設けられる。例えば、100個のセル110が直列に接続された電池システム130を、セル4個ごとにグループ分けする場合には、25組のセルコントローラIC100が用いられる。各セルコントローラIC100は、各セルグループ120を構成するセルそれぞれの端子間電圧を検出してバッテリコントローラ200へ送信し、バッテリコントローラ200からの指令にしたがってセル110ごとにバランシング電流の通電制御を行う。バランシング抵抗102(図1参照)は、各セルのSOCのばらつきを補正するための各セルの放電(バランシング放電)の電流を制限するための抵抗であり、セル110ごとに設けられる。
電池システム130に充電された直流電力は正極側コンタクタ310、負極側コンタクタ320を介して平滑コンデンサ330およびインバータ340へ供給され、インバータ340により交流電力に変換されて交流モーター350に印加され、交流モーター350の駆動が行われる。この直流電力から交流電力への変換はインバータ340に備えられたスイッチング素子(不図示)のスイッチングによって行われる。一方、車両の制動時には、交流モータ350により発電された交流電力がインバータ340に備えられたダイオード素子(不図示)と平滑用コンデンサ330により直流電力に変換されて正極側コンタクタ310、負極側コンタクタ320を介して電池システム130に印加され、電池システム130の充電が行われる。すなわち、電池システム130とインバータ340との間で直流電力の授受が行われる。
インバータ340の動作に伴ってリプルノイズ及びスイッチングノイズが発生する。これらのノイズは、平滑用コンデンサ330によって、ある程度低減されるが、完全には除去しきれず電池システム130に流れこみ、各セルの端子間電圧にはノイズ電流に比例したノイズ電圧が重畳する。このノイズはセル電圧の検出誤差となるため、電圧を測定する電圧測定回路(不図示)に入力される電圧信号はRCフィルタ等を用いて、ノイズを抑制しなければならない。なお、電圧測定回路(不図示)は、セルコントローラIC100内に設けられており詳細は省略する。
(RCフィルタ回路及びバランシング回路の例)
図2にセルコントローラIC100を用いたセル電圧検出のためのRCフィルタ回路と、バランシング回路の例を示す。ここでは、図1に示す1つのセルグループ120で、4個の直列接続された単電池セル110の正負極端子が電圧検出線SL1〜5を介してセルコントローラIC100のセル電圧入力端子(CV端子)105に接続されている。各々の電圧検出線SL1〜5には、RCフィルタを形成するセル電圧入力抵抗(Rcv)101が設けられている。また、各々のセルの正負極端子に接続された電圧検出線、すなわち2つの隣り合う電圧検出線の間にはコンデンサ103が接続され、RCフィルタを形成している。
セルコントローラIC100はGND端子(GND)107とVcc端子(VCC)104を有している。GND端子は、直列接続された4個の単電池セルの内最低電位の単電池セルの負極とグラウンド線(GL)で接続されている。またVcc端子は、直列接続された4個の単電池セルの内最高電位の単電池セルの正極と電源線(VL)で接続されている。この電源線を介して供給されるセルグループの最高電位がセルコントローラIC100の動作電源Vccとして使用される。
なお、セル電圧入力抵抗(Rcv)101の抵抗値とバランシング抵抗(BS抵抗、Rb)の抵抗値もそれぞれRcv、Rbと表わす。
この明細書では、電圧検出線は、各単電池セルの正負極から、セルコントローラIC100内に設けられた、各単電池セルの端子間電圧を電圧測定回路(不図示)で測定するために電圧検出線を選択するマルチプレクサ(不図示)の入力までの配線を指す。
各セルには、バランシングスイッチ(BSW)108とバランシング抵抗(BS抵抗、Rb)102の直列回路が各セルと並列に接続され、バランシングスイッチ108の制御でバランシング放電が行われる。バランシングスイッチ108は、セルコントローラIC100内部に設けられており、たとえばMOSFETスイッチ等で構成されている。このバランシングスイッチ108は、バランシング端子(BS端子)106を介して、2本の配線(バランシング線BLと呼ぶ)により、このバランシングスイッチに対応したセルの正負極端子に接続された2つの電圧検出線にそれぞれ接続されている。
<RCフィルタ回路の変形例1>
図3はRCフィルタ回路の他の例であり、RCフィルタのコンデンサ103がセルコントローラIC100のGND端子107に接続されるものである。図2のRCフィルタの方式では、4個のコンデンサに同じ容量のものを用いた場合、接続されるセルに対応したRCフィルタの実効コンデンサ容量が変わるので、単電池セル毎にRCフィルタおよびカットオフ周波数特性が異なる。周波数特性を同一にするにはRCの定数を各セル毎に変更する必要があった。図3の方式では、RCの定数は同一で良いが、コンデンサ103の耐圧は単電池セル4個分の電圧に耐えるように高くする必要がある。
<RCフィルタ回路の変形例2>
図4はRCフィルタ回路のさらに他の例であり、コンデンサ103の接続点を直列電池の中点電位の電圧検出線(図4ではSL3)に接続するものである。この方式でも、各セルに接続されたRCフィルタの定数は同一となる。また、コンデンサ504の耐圧が図3のRCフィルタ回路の半分で済む利点がある。
なお、図2の電圧検出線SL5とグラウンド線(GL)の間にコンデンサ103が接続されており、図3では電圧検出線SL1〜5の各々と、グラウンド線(GL)の間にコンデンサ103が接続されており、図4では電圧検出線SL3とグラウンド線(GL)の間にコンデンサ103が接続されている。これらの電圧検出線とグラウンド線との間にコンデンサ103を接続する代わりに、これらの電圧検出線と電源線(VL)との間にコンデンサ103を接続する回路構成も可能である。
このような回路構成の動作も図2〜4に示す回路構成と同様であり、以下の図2〜4を参照した説明から容易に分かるので、電圧検出線と電源線(VL)との間にコンデンサ103を接続する回路構成の図は省略する。
<リチウムイオン電池の特性とバランシング放電の必要性>
ここで、本発明による電池システム監視装置を備えた蓄電装置で用いる単電池セルの例としてリチウムイオン電池の特性について説明する。電池システム130を構成する複数の単電池セルのSOCがばらつく原因としては、各セルの自己放電速度のばらつき、充放電効率のばらつき、制御回路の動作時消費電流および停止時暗電流のばらつきなどのいろいろな要素があるが、乗用車に搭載される電池は比較的、放置期間が長いため、自己放電(自然放電)のばらつきが主となる。リチウムイオン電池の場合は、システム起動時に各単電池セルのOCV(開路電圧)を測定して、これから各単電池セルのSOCを算出する。OCVが高いとSOCも高いので、このOCVが高いセルのバランシング放電を行ってSOCを低減し、電池システム130を構成する複数のセルのSOCを揃えるようにする。
リチウムイオン電池は、ニッケル−水素やニッケル−カドミウム電池のように過充電状態において負極に発生した酸素を吸収する反応がないため、過充電でSOCのばらつきを低減することはできない。したがって、リチウムイオン電池にとってバランシング放電機能は重要な機能であり、バランシング放電機能がないとSOCのばらつきが発生するため、バッテリすなわち電池システム(組電池)として用いるとSOCが高いセルとSOCが低いセルとが発生してしまう。電池システムでは総電圧つまり平均のSOCにより充放電を制御するため、充放電時にSOCが低いセルは過放電状態になり、SOCが高いセルは過充電状態になる可能性がある。
リチウムイオン電池では、SOCが低いと負極の集電体である銅が溶出し、デンドライトとして析出して正極と負極との間の短絡を引き起こす可能性がある。このため、各セルが過放電の状態とならないように適宜充電が行われる。また、リチウムイオン電池では、過充電状態となると電解液の分解、正極および負極活物質の分解などの反応が起こり、その反応は不可逆反応であるばかりでなく、電池内の温度と内圧が上昇する。このような過充電状態を避けるために、リチウムイオン電池では、セルにガス排出弁を設けて安全に内圧を逃がす構造を取り入れている。
多くのセルを直並列に接続したバッテリーでは、バッテリーの総電圧を総電圧検出回路で検出するとともに、すべてのセルの電圧をセルコントローラIC100内の電圧検出回路で検出し、それらの検出値によりバッテリーの充放電制御を行っているので、バッテリー全体が過充電または過放電になる可能性は低い。しかし、セルコントローラIC100の電圧入力端子への電圧入力側での不具合(RCフィルタのコンデンサ劣化、セルコントローラ内に設けられたESD対策用のダイオード(例えば特開2010−193589号公報の図5参照)の劣化、あるいはセルコントローラの電圧検出端子付近の絶縁不良等で、あるセルの電圧測定が正常に行われない場合には、正常なバランシング放電が行われず、このセルが過充電となる可能性がある。
後述するように、例えば、セルコントローラの電圧検出回路の入力側で、あるセルの電圧を低く検出するような故障が発生したとすると、当該セルの実際のOCVが低くない場合であっても低い電圧が検出されるので、当該セルがバランシング放電の対象外になり、他のセルがバランシング放電の対象となる。そのため、バランシング放電終了後は、バランシング放電を行った分だけ他のセルのSOCが低くなり、逆に当該セルのSOCがその分だけ相対的に高くなる。見掛け上OCVの高いセルのバランシング放電を行って、OCVのばらつきを低減した状態で全セル(電池システム)の充電が行われるので、このような動作が繰り返されると、電池システムの総電圧は見かけ上、正常なままで、当該セルのみ過充電状態になる。
このようなセル電圧測定回路の入力側の不具合にともなう過充電状態を防止するため、および電圧測定回路自体の故障によるセル電圧の誤測定を避けるため、従来の組電池の制御装置では、すべてのセルの電圧測定回路を二重系とするように、電圧測定回路を備えたセルコントローラIC100を2系統設け、一方のセルコントローラIC100の電圧測定機能で不具合が生じても他方のセルコントローラIC100での電圧測定機能でセル電圧を確実に検出できるようにすることが行われてきた。
<リチウムイオン電池の過充電時の挙動>
次に、リチウムイオン電池の過充電状態における挙動例を説明する。図5は、定電流でリチウムイオン電池を充電し、意図的に過充電状態とした場合の、SOCに対するセル電圧の変化とガス排出弁の動作を示す図である。図から明らかなように、SOCの上昇にともなってセル電圧が上昇し、SOCが280%程度で内圧が上昇してガス排出弁が動作している。このリチウムイオン電池では、SOCが230%以上でガス排出弁が動作する可能性があるため、SOC230%以上をガス排出弁作動領域とする。ガス排出弁作動領域の下限のSOCは、リチウムイオン電池の特性に大きく依存し、正極活物質、負極活物質、電解液組成などのいろいろな条件により異なる。図5に示すガス排出弁作動領域は一例を示したものである。
しかし、SOCが大きくなるとセル電圧が上昇してガス排出弁作動領域に近づくという特性は、すべてのリチウムイオン電池に共通の特性である。そのため、従来の電池システムの制御装置では、過充電と判断するセル電圧を、SOC100%におけるセル電圧から、ガス排出弁作動領域の下限SOCにおけるセル電圧までの間のセル電圧に設定し、冗長系の過充電検出回路の検出電圧も上記SOC範囲内のセル電圧の値に設定して、この過充電となる電圧以上に充電されないように充放電制御を行っている。
<リークの発生>
前述のように、リークはRCフィルタのコンデンサ劣化、セルコントローラIC100内に設けられたESD対策用のダイオード劣化、あるいはセルコントローラIC100の電圧検出端子付近の絶縁不良等で発生する可能性がある。以下ではこれらの中でRCフィルタのコンデンサでリークが発生したとして説明する。他の原因でリークが発生した場合も全く同様に理解することができ、以下で説明する本発明による電池システムの動作を適用することができる。
また、以下の説明では、図3に示すように、各電圧検出線SL1〜5とグラウンド線(GL)の間にRCフィルタのコンデンサ103がセルと並列に接続されている場合について説明する。なお、コンデンサ103にリークが発生したことにより検出電圧が低下したセルをリーク発生セルと呼ぶ。ただし、これはあくまで呼称であって、実際にこのセルがリークしていることを意味するものではない。
<RCフィルタのコンデンサでリークが発生した場合のセル電圧測定値>
図6では説明を簡単にするため、直列に接続された4つの単電池セル(セル1〜セル4)でセル2正極に接続された電圧検出線(図6の例ではSL2)とグラウンド配線GLとの間に接続されたコンデンサ103にリークが発生したとする。これをコンデンサ103に並列に接続されたリーク抵抗(RL)131で表わす。なお、図6は、見易いように、図3のセルコントローラIC100内に設けられたバランシングスイッチ108を外に抜き出して示し、セルコントローラの記載を省略したものでる。
セル2の実電圧をVc2とすると、セルコントローラIC100のセル2の検出電圧である、電圧検出線SL2とSL3が接続された電圧入力端子(CV端子)間の電圧V2は以下の式(1)で示される。
V2=Vc2−(Vc2+Vc3+Vc4)×Rcv/(Rcv+RL)
...(1)
リーク抵抗(RL)131に流れるリーク電流ILは、電圧検出線SL2の電圧入力抵抗Rcvにも流れ、この電圧入力抵抗Rcvによる電圧降下のため、電圧検出線SL2が接続されたCV端子の電位が低下し、電圧検出線SL2が接続されたCV端子間の電圧はセル2の実電圧より低く測定される。このため、セル2が接続された2つのCV端子間の検出電圧V2は低下する。
また、セル1の実電圧をVc1とすると、セル1の検出電圧である電圧検出線SL1とSL2が接続されたCV端子間の電圧をV1とするとV1は以下の式(2)で表わされる。
V1=Vc1+(Vc2+Vc3+Vc4)×Rcv/(Rcv+RL)
...(2)
式(2)に示されるように、セル2の正極に接続された電圧検出線SL2とグラウンド線GLとの間のリーク抵抗(RL)131で流れるリーク電流により、セル1のCV端子間電圧V1は逆に上昇し、実電圧Vc1より高い電圧値が測定される。
これは、電圧検出線SL2が接続されたCV端子での電位が、電圧検出線SL2に設けられたセル電圧入力抵抗Rcvにより低下するためである。
言い換えれば、リーク電流によりCV端子での電圧降下を生じるセル電圧入力抵抗Rcvが設けられた電圧検出線の上側のセルの検出電圧は上昇し、また、この電圧検出線の下側のセルの検出電圧が上昇することになる。
高い電圧が検出された単電池セルはこの電圧に対応して残存容量(SOC)が高くなっているので、通常、バランシングスイッチ108を閉じてバランシング放電が行われ、全てのセルのセル電圧を揃えるバランシング放電が行われる。したがって、セル1の検出電圧V1が上記のように上昇すると、セル1に対してバランシング放電が行われる。これが、図6中にバランシング放電電流(IB)133として示されている。ただし、この詳細な説明は後述するバランシング放電制御で行う。
図8は、図7に示すような12個の単電池セル(セル1〜12とする)を直列接続したセルグループで、図3あるいは図6のように、各セルの正極に接続された電圧検出線とグラウンド線との間にRCフィルタのコンデンサ103が接続された場合で、これらのセルの実電圧が全て3.6Vの時に、コンデンサ103でリーク電流が流れたと仮定した場合の、このコンデンサ103のリーク抵抗と検出されるセル電圧の関係を示す図である。
ここでは説明を簡単にするため、例として、最低電位のセル(セル12)、またはこの最低電位のセルから6番目のセル(セル7)、または最高電位のセル(セル1)のいずれかがリークを発生しているとしている。すなわち、最低電位のセル(セル12)と、この最低電位のセルから6番目のセル(セル7)と、最高電位すなわち最低電位のセル12番目のセル(セル1)の、いずれかの正極に接続された電圧検出線とグラウンド線との間に接続されたコンデンサ103でリークが発生した場合の、それぞれのセルの検出電圧をコンデンサ103のリーク抵抗(RL)131に対して示している。なお、図8ではRcv=33kΩとして計算している。
それぞれのセルの正極に接続された電圧検出線とグラウンド線との間の単電池セルの個数が増えるほど、上記の式(1)、(2)で説明したように、それぞれの電圧検出線に接続されたコンデンサへの印加電圧が増加し、リーク電流が増加する。この単電池セルの個数に比例したリーク電流の増加に伴い、図8に示されるように、高電位のセルに接続された電圧検出線に接続されたコンデンサでのリーク電流は大きくなる。したがって、高電位側のセルほど、リークを発生した場合の電圧降下が大きくなり、検出電圧が低下する。
図8のセル12の曲線は単電池セル1個分(3.6V)の電圧に対して、検出されるセル電圧がリーク抵抗RLに対してどのように変化するか示している。すなわち、この場合は式(1)で、V3=V4=0とした場合の、V2を示している。
また、セル7(不図示)の曲線は単電池セル6個分の電圧(3.6×6=21.6V)に対するリーク電流による電圧降下の様子を示している。さらに、セル1の曲線は、セル1の正極に接続された電圧検出線(SL1)とグラウンド線(GL)との間の12個分の前記セルコントローラICは、前記バッテリコントローラの指令により、前記複数の電圧測定経路の選択および前記端子間電圧の測定を行って、前記複数の電圧測定経路を介した前記端子間電圧の測定結果を前記バッテリコントローラに送信し、前記バッテリコントローラは、前記セルコントローラICから送信された前記端子間電圧の測定結果に基づいて、前記電池システムのリークを検出するセルの電圧(3.6×12=43.2V)に対するリーク電流による電圧降下の様子を示している。
中間の6番目のセル(セル7、不図示)の例では、リーク抵抗が約300kΩを下回るような値まで下がると、3.6Vの実電圧は2V以下の電圧として検出される。
もしもこのリークが、ある時点で突然発生した場合、セル電圧の検出値は2V以下となって2Vの過放電検出電圧を下回り、過放電として異常を検出される可能性がある。リークが発生して電圧が低く検出されたセルの一つ上位のセルは、逆に電圧が高く検出されるので、ある時点で突然リーク発生した場合、過充電としても異常が検出される可能性がある。
<リーク検出用回路とリーク検出動作>
図9は、本発明による電池システム監視装置でリーク検出を行うための回路構成を示す図である。ここでも簡単のため、4個の単電池セルからなるセルグループの場合を例として示す。図3の回路との違いは、セルコントローラIC100内に、セル電圧入力用RCフィルタの抵抗であるセル電圧入力抵抗(Rcv)101をバイパスするリーク検出スイッチ109が内蔵されている点である。このリーク検出スイッチ109はセルコントローラIC100内で、バランシング電流を通電制御するバランシングスイッチ108に接続されている2つのバランシング線(BL)の内、このバランシングスイッチ108に対応したセルの正極側に接続されたバランシング線に接続されている。
このリーク検出スイッチ109をオンとしてセル電圧を測定するとRCフィルタの抵抗Rcvが短絡された状態でセル電圧が測定され、リーク検出スイッチ109をオフとしてセル電圧を測定すると、RCフィルタがセルの正極とセル電圧入力端子との間の電圧検出線に挿入された状態でセル電圧が測定される。したがって、このRCフィルタのコンデンサ103にリークが発生していてリーク電流が流れていれば、図8で説明したように、リーク検出スイッチ109をオフとして測定したセル電圧は、リーク電流がセル電圧入力抵抗(Rcv)101に流れて発生する電圧降下分小さくなる。
これに対し、リーク検出スイッチ109をオンとしてセル電圧を測定すると、リーク電流による電圧降下はほぼ全てリーク抵抗131(RL)で発生するので、リークが無い状態での正常なセル電圧(実電圧)にほぼ等しい電圧が検出される。これは、リークは少しずつ進行するが、そのリーク抵抗が全く0になることはないからである。もしリーク抵抗がほぼ0になったとしても、検出されるセル電圧はほぼ0Vとなるので、このような状態になる前にすでに2V以下のセル電圧が検出され、過放電状態として検出される。これは前述の式(1)、(2)でRcv=0とすると、V2=Vc2、V1=Vc1となることから分かる。
また、コンデンサ103に全くリークがない状態、すなわちコンデンサの絶縁抵抗がほぼ無限大の場合には、リーク検出スイッチ109がオン・オフの場合のどちらでもリークが無い状態での正常なセル電圧(=実電圧)が検出される。これは前述の式(1)、(2)で、RL≫Rcvとすれば、それぞれV2=Vc2、V1=Vc1となることから明らかである。
したがって、リーク検出スイッチ109のオンの時のセル電圧とオフの時のセル電圧の差(=検出電圧差)を検出することにより、リークが発生しているかどうかを判定することができる。
図10は、この検出電圧差が、リーク抵抗RLに依存してどのように変化するか示したものである。この図は、図8で示す3つの曲線(セル12、セル7、セル1)で、それぞれ、リーク電流による実電圧3.6Vからの電圧降下分をリーク抵抗RLに対してプロットしたものである。すなわち、図10に示す各セルの検出電圧差は、リーク検出スイッチ109がオンの場合の検出電圧とオフの場合の検出電圧の差を示している。
図10に示す検出電圧差は、リーク抵抗RLの抵抗値が、セル電圧入力抵抗Rcvに比べて充分大きい時には、すなわちRL≫Rcvの時には、リーク抵抗RLの抵抗値に反比例する。リーク抵抗RLが0に近づくと、検出電圧も0に近づくので、検出電圧差は単電池セルの実電圧3.6Vに近づくことになるが、これがセル12の曲線の左側に直線からの曲がりとして顕著に示されている。
以上の説明で明らかなように、この検出電圧差はリーク抵抗RLの抵抗値に依存するので、この検出電圧差から、式(1)を利用して、逆にリーク抵抗RLを求めることができる。さらに、この検出電圧差は、セル電圧入力抵抗Rcvに流れるリーク電流ILにより生じているので、このリーク電流を算出することも可能である。
尚、以上で説明した本発明による電池システム監視装置においては、リーク検出スイッチ109をオンとオフでセル電圧を測定するが、このセルの実電圧はこのセル電圧の測定の間、リーク検出スイッチ109がオンとオフとで同一でなければならない。つまり、電池システム130にインバータ340などの負荷が接続されて、電池システムの充放電電流が流れ、電池システムならびに各単電池セルの電圧が変動している間は、リーク検出スイッチ109をオンとオフの状態で測定したセル電圧検出値は共に変動しているので、電池システム130の充放電電流が流れていない、電圧が安定した状態で測定する必要がある。したがって通常、本発明による電池システム監視装置を搭載した車両の起動時、あるいは車両の停止時で、電池システム130にインバータ340等の負荷が接続されていない状態で行なわれることになる。
なお、セル電圧の測定はセルコントローラIC100で行われるが、このセル電圧の測定結果は上位のコントローラであるバッテリコントローラ200に送信され、検出電圧差の算出や、この検出電圧差に基づくリーク有無の判定、さらにはリーク抵抗やリーク電流の算出等はこのバッテリコントローラで行われる。
<リーク検出箇所の特定>
以上で本発明による電池システム監視装置を用いたリーク検出の方法について説明した。このリーク検出の方法を用いてリークが発生したコンデンサ103を特定することができる。あるいは、既に説明したように、リーク発生はコンデンサ103に限らず、セルコントローラIC100内に設けられた、各単電池セルの端子間電圧を測定するために電圧検出線を選択するマルチプレクサ(不図示)の入力端子まで配線やESD対策用ダイオード等でリークが発生した場合にも同様に検出することができる。
以下では例として、図9に示すように、RCフィルタのコンデンサ103が電圧検出線(SL1〜SL5)とグラウンド線(GL)との間に接続されている場合と、図11に示すように、単電池セルの正負極にそれぞれ接続された2つの隣り合う電圧検出線の間に、RCフィルタのコンデンサ103が接続されている場合について説明する。なお、図9に示す回路は、図3に示す回路にリーク検出スイッチ109を追加した構成であり、図11に示す回路は、図2に示す回路にリーク検出スイッチ109を追加した構成となっている。また、以下の説明では簡単のため、図9および図11に示すように、4個の単電池セルが直列に接続されたセルグループの構成の例で説明する。5個以上の単電池セルで構成されたセルグループ、たとえば図8で説明したような12個の単電池セルのセルグループであっても以下で説明するリーク検出方法は同様に適用できる。
<電圧検出線とグラウンド線との間にコンデンサが接続されている図9の場合のリーク検出>
図6で説明したように、リーク電流により電圧降下を生じるセル電圧入力抵抗Rcvが設けられた電圧検出線の上側のセルの検出電圧は上昇し、また、この電圧検出線の下側のセルの検出電圧が上昇する。
セル電圧の検出では、マルチプレクサ(不図示)を駆動して電圧を検出するセルの正負極に接続された2つの電圧検出線を選択し、この2つの電圧検出線の電位がマルチプレクサから電圧測定回路(不図示)に送られて電圧が測定される。このセル電圧の測定の際、リーク検出スイッチ109をオフにした電圧測定とオンにした電圧測定の両方を行う。この電圧測定動作をセル1〜セル4に対して行う。
たとえば、図6のように、セル2の正極に接続された電圧検出線とグラウンド線との間に接続されたコンデンサ103にリークが発生したとする。このリーク発生はリーク抵抗RLとして図示されている。なお、各セルのセル電圧V1〜V4の測定において、それぞれリーク検出スイッチ109をオフまたはオンとしたセル電圧が測定されるが、リーク検出スイッチ109がオフの場合のセル電圧をV1off〜V4offとし、リーク検出スイッチ109がオンの場合のセル電圧をV1on〜V4onとする。また、セル1〜4の実電圧をVc1〜4とする。
なお、コンデンサ103にリークがない場合、すなわち電池システムが正常な場合は、V1off〜V4offはそれぞれV1on〜V4onと等しく、それぞれセルの実電圧Vc1〜4が検出される。
実電圧は、電池システムあるいは単電池セルが通常の状態では、たとえば3.0〜4.2V(平均出力電圧:3.6V)の範囲となるように、各単電池セルは充放電されて、これらの残存容量(SOC)が管理される。したがって、検出電圧が、たとえば3.0〜4.2Vの範囲に入っていれば、正常であると判断される。
なお、リーク検出スイッチは通常の電池システムの動作状態ではオフとされている。
1)セル1のセル電圧を測定した場合:
V1off=Vc1+(Vc2+Vc3+Vc4)×Rcv/(Rcv+RL)
...(3)
V1on=Vc1 ...(4)
となる。
セル2のコンデンサ103すなわち電圧検出線SL2とグラウンド線GLとの間に接続されたコンデンサ103のリークによって、電圧検出線SL2に設けられたセル電圧入力抵抗(Rcv)101に流れるリーク電流により、電圧検出線SL2に接続された電圧入力端子(CV端子)の電位が降下している。したがって、V1offはセル1の実電圧Vc1より高い電圧が検出されることになる。
リークによる電圧降下がそれほど大きくなく、V1offが正常電圧範囲にある場合は、V1offだけでは、この検出電圧が正常かどうかの判断はできないが、V1on=Vc1となり、V1offがV1onより大きい電圧となることから、セル2のコンデンサ103でリークが発生していると判断できる。
2)セル2のセル電圧を測定した場合:
V2off=Vc2−(Vc2+Vc3+Vc4)×Rcv/(Rcv+RL)
...(5)
V2on=Vc2 ...(6)
となる。
セル2のコンデンサ103のリークにより、電圧検出線SL2のセル電圧入力抵抗(Rcv)101で電圧降下が発生し、セル2の検出電圧は実電圧Vc2より低くなる。
リークによる電圧降下がそれほど大きくなく、V2offが正常電圧範囲にある場合は、V2offだけでは、セル1の場合(上記1))と同様に、この検出電圧が正常化どうかの判断はできないが、V2on=Vc2となり、V2offがV2onより小さい電圧となることから、セル2のコンデンサ103でリークが発生していると判断できる。
3)セル3、セル4のセル電圧を測定した場合:
V3off=V3on=Vc3 ...(7)
V4off=V4on=Vc4 ...(8)
となる。
これらのセル3、セル4のセル電圧の検出には、セル2のコンデンサ103のリークは影響しない。すなわち、コンデンサ103にリークが無い場合は、これらのセルの実電圧が、リーク検出スイッチオフまたはオンで検出される。
以上の説明で分かるように、図9に示す構成のリーク検出スイッチを設けた回路を用いてセル電圧を測定することによって、リークが発生したコンデンサ103を、以下のような方法で判別することができる。
a)すなわち、あるセルでリーク検出スイッチをオフにした時の検出電圧Voffあるいはリーク検出スイッチをオンとしたときのセルの検出電圧Vonが正常電圧であっても、Voff>Vonである場合は、このセルの下位のセルの電圧検出用RCフィルタのコンデンサにリークが発生していると判断される。
b)あるいは、VoffあるいはVonが正常電圧であっても、Voff<Vonである場合は、このセルの電圧検出用RCフィルタのコンデンサにリークが発生していると判断される。
c)言い換えれば、セル1〜4のセル電圧を上記のように連続して検出すると、あるセルでVoff<Vonとなり、このセルの次のセルでVoff>Vonとなる場合は、この2つの連続したセルの間の電圧検出線に接続されたコンデンサにリークが発生していると判断される。
また、VoffとVonが共に正常電圧であり、かつ等しい電圧が検出された場合、このセルの電圧検出用RCフィルタのコンデンサは正常であり、リークは発生していないと判断できる。
なお、上記で既に説明したように、リークの発生はRCフィルタのコンデンサだけでなく、電圧検出線などの配線の絶縁不良や、セルコントローラIC100内のESD対策用のダイオードの劣化などによっても発生する。これらの場合も上記と同様に検出できるが、ここでは説明のため、コンデンサのリークをこれらのリーク発生の原因として代表させている。
<2つの隣り合う電圧検出線の間にコンデンサが接続されている図11の場合のリーク検出>
たとえば、図11のように、セル2の正負極それぞれに接続された2つの隣り合う電圧検出線の間に接続されたコンデンサ103にリークが発生したとする。図9の場合と同様に、このリーク発生はリーク抵抗RLとして図示されている。また、図9の場合と同様に、各セルのセル電圧V1〜V4の測定において、それぞれリーク検出スイッチ109をオフまたはオンとしたセル電圧が測定されるが、リーク検出スイッチ109がオフの場合のセル電圧をV1off〜V4offとし、リーク検出スイッチ109がオンの場合のセル電圧をV1on〜V4onとする。また、セル1〜4の実電圧をVc1〜4とする。
なお、セル2のコンデンサ103にリークがない場合、すなわち電池システムが正常な場合は、上記で説明した図9の場合と同様に、V1off〜V4offはそれぞれV1on〜V4onと等しく、それぞれセルの実電圧Vc1〜4が検出される。
図11に示すような構成の回路で、電圧検出線SL2とSL3の間に接続されたコンデンサ103にリークが発生した場合、リーク検出スイッチ109がオフの時のセル2の検出電圧Voffは低下し、セル2の上下のセル(セル1、セル3)ではVoffが上昇する。
この理由を図12を参照して説明する。
図12は、図11のセル1〜3の部分のみを抜き出して簡略化して示したものである。また、リーク検出スイッチは省略されており(すなわちV1off〜V3offのみ測定する構成となっている)、また、見易いように、図6、図8と同様に、バランシングスイッチ(BSW)108は、セルコントローラIC100から外部に引き出した状態で示してある。
電圧検出線SL2が接続されたCV端子での電位が、電圧検出線SL2に設けられたセル電圧入力抵抗Rcvにより低下し、また電圧電出線SL3が接続されたCV端子での電位が、電圧検出線SL3に設けられたセル電圧入力抵抗Rcvにより上昇する。
言い換えれば、リーク電流によりCV端子での電圧降下を生じるセル電圧入力抵抗Rcvが設けられた電圧検出線の上側のセルの検出電圧は上昇し、リーク電流でCV端子での電圧上昇を生じるセル電圧入力抵抗Rcvが設けられた電圧検出線の下側のセルの検出電圧とは共に上昇することになる。
この結果、図11に示す構成の回路でのセル電圧の検出結果は以下のようになる。
1)セル1のセル電圧を測定した場合:
V1off=Vc1+Vc2×Rcv/(2×Rcv+RL) ...(9)
V1on=Vc1 ...(10)
すなわち、V1off>V1onとなる。
2)セル2のセル電圧を測定した場合:
V2off=Vc2×RL/(2×Rcv+RL) ...(11)
V2on=Vc2 ...(12)
すなわち、V2off<V2onとなる。
3)セル3のセル電圧を測定した場合:
V3off=Vc3+Vc2×Rcv/(2×Rcv+RL) ...(13)
V3on=Vc3 ...(14)
すなわち、V3off>V3onとなる。
4)セル4のセル電圧を測定した場合:
V4off=V4on=Vc4 ...(15)
となる。
リークによる電圧降下や電圧上昇がそれほど大きくなく、V1off、V2off、V3offがそれぞれ正常電圧範囲にある場合は、これらだけでは、検出電圧が正常化どうかの判断はできない。しかし、V1on、V2on、V3onと比較して、上記のような電圧差が検出された場合は、セル2のコンデンサ103でリークが発生していると判断できる。この判断は以下のいずれか方法で行うことができる。
a)ある2つの連続して接続されたセルの内の上位のセルで、リーク検出スイッチをオフにした時の検出電圧Voffあるいはリーク検出スイッチをオンとしたときのセルの検出電圧Vonが正常電圧であっても、Von>Voffであり、このセルの下位のセルでVon<Voffである場合は、下位のセルの電圧検出用RCフィルタのコンデンサにリークが発生していると判断される。
b)ある2つの連続して接続されたセルの内の上位のセルで、リーク検出スイッチをオフにした時の検出電圧Voffあるいはリーク検出スイッチをオンとしたときのセルの検出電圧Vonが正常電圧であっても、Von<Voffであり、このセルの下位のセルでVon>Voffである場合は、上位のセルの電圧検出用RCフィルタのコンデンサにリークが発生していると判断される。
c)ある3つの連続して接続されたセルの内の最上位および最下位のセルで、リーク検出スイッチをオフにした時の検出電圧Voffあるいはリーク検出スイッチをオンとしたときのセルの検出電圧Vonが正常電圧であっても、それぞれVon>Voffであり、また、中央のセルでVon<Voffである場合は、中央のセルの電圧検出用RCフィルタのコンデンサにリークが発生していると判断される。
なお、VoffとVonの差の検出は、これらの電圧差が所定の大きさ以上であった場合に検出電圧差があると判断される。
この所定の大きさは、電圧測定回路の測定分解能、測定電圧に重畳しているノイズの大きさ、および、このノイズを除去するRCフィルタのフィルタ定数、さらには電圧測定回路でもノイズ除去を行う場合はこのフィルタ定数等によって決定されるが、詳細は省略する。
以上説明したように、本発明による電池システム監視装置を用いて、リーク検出スイッチ109をオフまたはオンにした時のセル電圧を、2つあるいは3つ連続したセルで測定して比較することにより、コンデンサ103のリークを検出することができるだけでなく、どのコンデンサ103でリークが発生しているか判定することができる。
なお、RCフィルタのコンデンサ103が、図4に示すように接続されている場合も、上記と同様にリーク検出およびリーク箇所の特定を行うことができるが、説明は省略する。さらに、図3、図4でコンデンサ103の一方の接続先がグラウンド線(GL)となっているものを電源線(VL)に接続した回路の場合であっても、上記と同様にリーク検出およびリーク箇所の特定を行うことができるが、説明は省略する。
なお、上記で説明したリーク検出およびリーク箇所の特定は、セルコントローラIC100で測定された、リーク検出スイッチのオフ/オンでのセル電圧の測定結果に基づき、バッテリコントローラで行われる。
さらに、以上で説明したリーク検出スイッチ109のオフ/オンでの検出電圧差を用いて、車両が稼働中においても検出電圧を補正して実電圧を算出することができる。
後述するが、単電池セル110の端子間電圧が正確に測定されないと、電池システムの充放電や各単電池セルのバランシング放電が正常に行われず、電池システムの複数の単電池セルの残存容量(SOC)のばらつきが解消されないだけでなく、単電池セルの過充電や過放電が発生する可能性がある。したがって、前述のように、電池システムを効率良く充放電することができないだけでなく、過充電の場合には単電池セルの発熱等を発生する可能性がある。
以下では特に過充電を避ける方法について説明するが、まずその1つとして、上記で説明したリーク検出スイッチを利用した、車両の稼働中における単電池セルの端子間電圧(セル電圧)を補正する方法を説明する。セル電圧は、車両の稼働中でも適宜測定され、バランシング電流の算出およびこのバランシング電流の積算によるSOCの算出に用いられるだけなく、電池システムおよび電池監視装置を含む蓄電装置が正常に動作しているかどうかの各種診断で用いられるので、できるかぎり正確な電圧であることが必要である。
このリーク検出スイッチ109のオフ/オンでの検出電圧差を用いた実電圧の算出は、リークが徐々に進行するということを利用している。本発明による電池システム監視装置を搭載した車両の起動時に、電池システム130にインバータ340等の負荷が接続されていない状態で測定された上記の検出電圧差を利用して、その後の車両の稼働中に測定された単電池セルの端子間電圧(セル電圧)を補正して、実際のセル電圧(実電圧)とするものである。車両の稼働中では、リーク検出スイッチはオフとされるため、このような補正によりセルの実電圧を算出することは有用である。
ここでも、電圧検出線とグラウンド線との間にコンデンサが接続されている場合と、2つの隣り合う電圧検出線の間にコンデンサが接続されている場合のちらでも実電圧の算出が可能である。
なお、このようなセル電圧の補正は、あくまでもリークが徐々に進行する場合であるので、上記のリーク検出によって、リークが発生していると判断される場合は、アラーム等を発生して車両の運転者に通知することや、後述するリークによる過充電対策など、あるいはリークが大きい場合は、正極側コンタクタ310および負極側コンタクタ320(図1参照)をオフとして、電池システムとインバータとの接続を遮断する等の保護動作を行う。ただし、これらの説明はここでは省略する。
<電圧検出線とグラウンド線との間にコンデンサが接続されている図9の場合の検出電圧差を用いた実電圧の算出方法>
この方法は、上記の式(3)〜(8)を用いて、車両の稼働中での、たとえばリークが発生したコンデンサ103のリーク電流によってセルの検出電圧と実電圧に差が生じるセルでの実電圧の算出を行うものである。ここでも図6、図9で説明したように、電圧検出線SL2とグラウンド線(GL)の間に接続されたコンデンサ103にリークが発生しているとして説明する。この場合、このコンデンサ103のリークによって検出電圧と実電圧とで差が生じるセルはセル1とセル2である。これ以外のセルは、リーク検出スイッチのオフ/オンに拘わらず、検出電圧と実電圧は等しくなる。
したがって、以下ではセル1およびセル2の実電圧を算出する方法を説明する。まず、リークが発生しているコンデンサ103に対応したセル2(リーク発生セル)の実電圧を算出し、この結果を用いてセル1の実電圧を算出する。
式(5)、(6)で車両の始動時に、電池システムとインバータが接続されていない状態で測定されたセル電圧V2off、V2on、Vc2、Vc3、Vc4の右肩に(0)を付けて表わす。
V2off (0)=Vc2(0)
(Vc2(0)+Vc3(0)+Vc4(0))×Rcv/(Rcv+RL) ...(16)
V2on (0)=Vc2(0) ...(17)
V3off (0)=V3on (0)=Vc3(0) ...(18)
V4off (0)=V4on (0)=Vc4(0) ...(19)
なお、上記で説明したように、リークは急激に進行しないので、リーク抵抗RLはここで一定としている。
式(16)〜(19)の各セル電圧は、それぞれ測定された値であるので、上記式(16)、(17)からRcv/(Rcv+RL)を算出することができる。なお、簡単のため、R=Rcv/(Rcv+RL)として表わす。
=(V2on (0)−V2off (0)
/(V2on (0)+V3on (0)+V4on (0)) ...(20)
=Rcv/(Rcv+RL) ...(21)
なお、式(20)、(21)を用いてリーク抵抗RLを算出することができる。またリーク電流ILは、式(16)から以下のように求めることができる。
IL=(Vc2(0)+Vc3(0)+Vc4(0))/(Rcv+RL)
=(V2on (0)−V2off (0))/Rcv ...(22)
(車両稼働中のセル2の実電圧の算出)
電池システムにインバータ等の負荷が接続された、車両の稼働状態では、リーク検出スイッチ109はオフとされるので、式(5)に対応する電圧測定のみ行われる。この車両が稼働状態で算出されるセル電圧V2off、Vc2、Vc3、Vc4の右肩に(t)を付けて表わす。
V2off (t)=Vc2(t)
(Vc2(t)+Vc3(t)+Vc4(t))×R ...(23)
上記の説明で分かるように、コンデンサ103にリークが発生していない場合は、リーク検出スイッチ109がオフまたはオンのどちらでも、セルの実電圧と検出電圧は等しくなるので、Vc3(t)、Vc4(t)はそれぞれV3(t)、V4(t)と記し、さらに、電圧検出が全てリーク検出スイッチオフで行われるので、添字offを省略する。
V2(t)=Vc2(t)
(Vc2(t)+V3(t)+V4(t))×R ...(24)
すなわち、式(24)でV2(t)、V3(t)、V4(t)は、リーク検出スイッチ109がオフの状態で測定される実測値であり、Vc2(t)はV2(t)に対応するセル2の実電圧である。この式(24)から、セル2の実電圧Vc2(t)は以下の式(25)で求められる。
Vc2(t)=(V2(t)+(V3(t)+V4(t))×R)/(1−R
...(25)
(車両稼働中のセル1の実電圧の算出)
セル1の検出電圧V1(t)と実電圧Vc1(t)の関係は、式(3)、(4)から上記と同様に、式(26)で表わされる。
V1(t)=Vc1(t)+(Vc2(t)+V3(t)+V4(t))×R
...(26)
これを変形した式(27)で、実電圧Vc1(t)を算出することができる。
Vc1(t)=V1(t)−(Vc2(t)+V3(t)+V4(t))×R
...(27)
式(27)ではV1(t)、V3(t)、V4(t)が測定値(セル電圧の検出値)であり、Vc2(t)は上記の式(25)で求められる値であるので、これらによりセル1の実電圧Vc1(t)が求められる。
<2つの隣り合う電圧検出線の間にコンデンサが接続されている場合の検出電圧差を用いた実電圧の算出方法>
この方法も、上記の電圧検出線とグラウンド線との間にコンデンサが接続されている図11の場合と同様に、車両の稼働中でのセル1〜3の実電圧を算出するものである。ここでも、図11、図12で説明したように、電圧検出線SL2とSL3の間に接続されたコンデンサ103にリークが発生しているとして説明する。この場合に検出電圧が実電圧と異なるのは、この2つの電圧検出線SL2とSL3を電圧検出線として用いているセル1〜セル3であり、これ以外のセルの検出電圧は、リーク検出スイッチのオフ/オンに関係無く実電圧と等しくなる。
まず、リークが発生しているコンデンサ103に対応したセル2(リーク発生セル)の実電圧を算出し、この結果を用いてセル1の実電圧を算出する。
式(11)、(12)で、車両の始動時に、電池システムとインバータが接続されていない状態で測定されたセル電圧V2off、V2on、Vc2の右肩に(0)を付けて表わす。
V2off (0)=Vc2(0)×RL/(2×Rcv+RL) ...(28)
V2on (0)=Vc2(0) ...(29)
ここでR=Rcv/RL(上記の式(21)とは異なる)とすると、式(28)は、
V2off (0)=V2on (0)/(2×R+1) ...(30)
=Rcv/RL ...(31)
となり、式(30)から、
=(V2on (0)−V2off (0))/V2off (0) ...(32)
としてRが求められる。
なお、式(30)、(31)を用いてリーク抵抗RLを算出することができる。またリーク電流ILは、式(28)から以下のように求めることができる。
IL=Vc2(0)/(2×Rcv+RL)
=V2off/RL ...(33)
(車両稼働中のセル2の実電圧の算出)
電池システムにインバータ等の負荷が接続された、車両の稼働状態では、リーク検出スイッチ109はオフとされるので、式(11)に対応する電圧測定のみ行われる。この車両が稼働状態でのセル電圧V2off、Vc2を右肩に(t)を付けて表わし、式(31)のRを代入すると、
V2off (t)=Vc2(t)/(2×R+1) ...(34)したがって、
さらに、電圧検出が全てリーク検出スイッチオフで行われるので、添字offを省略して、
V2(t)=Vc2(t)/(2×R+1) ...(35)
となるので、セル2の実電圧Vc2(t)は Vc2(t)=V2(t)×(2×R+1) ...(36)
として求められる。
(車両稼働中のセル1の実電圧の算出)
セル1の検出電圧V1(t)と実電圧Vc1(t)の関係は、式(9)、(10)から上記と同様に、式(31)のRを用いて、以下の式(37)で表わされる。
V1(t)=Vc1(t)+Vc2(t)×R/(2×R+1) ...(37)
これを変形した式(38)により、セル1の実電圧Vc1(t)を算出することができる。
Vc1(t)=V1(t)−Vc2(t)×R/(2×R+1) ...(38)
なお、Vc2(t)は式(36)で算出されている。
(車両稼働中のセル3の実電圧の算出)
式(9)、(10)と式(13)、(14)は実質的に同等であるので、セル3の実電圧Vc1(t)も、式(38)と同等の式(39)で算出できる。
Vc3(t)=V3(t)−Vc2(t)×R/(2×R+1) ...(39)
なお、セル1の場合と同様に、Vc2(t)は式(36)で算出されている。
なお、RCフィルタのコンデンサ103が、図4に示すように接続されている場合も、上記と同様にリークによる実電圧からの検出電圧のずれを補正することができるが、説明は省略する。さらに、図3、図4でコンデンサ103の一方の接続先がグラウンド線(GL)となっているものを電源線(VL)に接続した回路の場合であっても、上記と同様にリークによる実電圧からの検出電圧のずれを補正することができるが、説明は省略する。
また、以上で説明したリーク検出スイッチ109のオフ/オンでの検出電圧差を用いて、車両が稼働中における検出電圧を補正して実電圧を算出する動作は、バッテリコントローラ200で行われる。
<その他のバランシング抵抗の設置例>
また、実際の回路では、図13に示されるような、バランシング抵抗102がバランシングスイッチ108の正電位側に配置される場合、あるいは、図14に示されるような、バランシング抵抗102がバランシングスイッチ108の正電位側と負電位側の両側に分割して配置される場合も考えられる。
通常、バランシング抵抗102は最大で数〜数十mAオーダーの電流を流すために、数十Ωオーダーの抵抗値が用いられる。また、10kHzオーダーのインバーターノイズを充分に減衰させるため、セル電圧入力用のRCフィルタのカットオフ周波数は100Hz以下に設定される。RCフィルタのコンデンサの容量を大きくすると、コストが高くなり面積も増えるので、RCフィルタの抵抗値は一般的にkΩオーダーの値が設定される。従って、バランシング抵抗102はRCフィルタの抵抗(Rcv)101に比べて十分小さい。よって、リーク検出スイッチ109をオフとして測定したセル電圧測定値と、リーク検出スイッチ109をオンとして測定したセル電圧測定値の差が、リーク電流により発生する電圧検出誤差と見てもかまわない。
したがって、図13あるいは図14のような回路の場合でも、電圧検出誤差を発生させるレベルのリーク電流が流れているかどうか、リーク検出スイッチ109をオンとオフの状態で測定したセル電圧値から判断する事ができる。
<リーク発生によるセルの過充電とこの過充電を避けるためのバランシング放電制御>
上記で説明したように、セルコントローラIC100のセル電圧入力端子に設けられたRCフィルタのコンデンサ劣化、セルコントローラIC100内に設けられたESD対策用のダイオード劣化、あるいはセルコントローラIC100の電圧検出端子付近の絶縁不良等の種々の原因によるリークが発生すると、セル電圧は実電圧からずれた電圧値がセル電圧としてセルコントローラIC100の電圧測定回路(不図示)で検出される。すなわちセル電圧の誤検出が発生する。
上記では、図3あるいは図2に示すRCフィルタ回路を備えた構成の電池システム監視装置に対し、図9および図11に示す構成を備えた本発明による電池システム監視装置のように、さらにリーク検出スイッチ109をセルコントローラIC100内に設けることにより、このセル電圧が誤検出されていること、すなわちリークが発生していることを検出することが可能な電池システム監視装置について説明した。また、このリーク検出が可能な本発明による電池システム監視装置を用いて、車両稼働中の誤検出されたセル電圧の補正方法について説明した。
−他の実施形態−
リークが発生すると、セル電圧の誤検出だけでなく、この誤検出されたセル電圧を上記で説明したように補正を行わないと、単電池セルが過充電となる可能性がある。特に、たとえば、リークは進行してくると、そのリーク抵抗の低下速度は大きくなることがあり、また環境温度によっても低下することがある。このような場合、車両の始動時でのリーク抵抗から車両の稼働中のリーク抵抗が低下する可能性がある。
この場合は、車両の始動時でのリーク検出スイッチ109のオフ/オンでの検出電圧差を用いたセル電圧の補正量が不足する可能性がある。セル電圧の補正量が不足すると、検出されるセル電圧は実電圧より高くなるので、この検出されたセル電圧に基づくバランシング放電量が不足する。このバランシング放電電流の不足分は検出されないので、電池システムの充放電動作が行われると過充電となる可能性がある。
この過充電を避けるために、単電池セルのバランシング放電でのバランシング抵抗の実効抵抗値を制御する方法がある。本発明による電池監視装置のリーク検出機能を利用して、このバランシング抵抗の実効抵抗値の制御を切り替えることにより、効率よく単電池セルの過充電を避ける電池監視装置とすることができる。
以下では、図2に示す回路構成を備えた電池監視装置に、さらにリーク検出スイッチを設けた構成(図11)を備えた本発明による電池監視装置を例にして、本発明による電池監視装置を用いたバランシング放電制御について説明する。
なお、上記の説明で分かるように、この方法は、前述のセル電圧の補正を行わない場合や、セル電圧の補正が不足すると思われる場合に適用すると、過充電を避ける有効な方法となる。以下では、前述のセル電圧の補正を行わないことを前提に説明する。
(リーク発生によるセル電圧の誤検出)
図12は、図2に示す回路構成の一部を分かり易く示したものである。バランシングスイッチ(BSW)は、見易いようにセルコントローラIC100から引き出されて示してある。
図15は、簡単のため、たとえば、Vc1=Vc2=Vc3=3.6V、Rcv=30kΩとした場合に、リーク抵抗(RL)の抵抗値と検出されるセル電圧の関係を示す。図15に示すように、リーク抵抗が小さくなるほど、リークが発生したセル(セル2)の検出電圧が低くなる。逆に、リークが発生したセルの上下のセル(セル1、セル3)では、セルの検出電圧は高くなる。この例では、リーク抵抗(RL)131の抵抗値が100kΩまで低下した場合、3.6Vの実電圧はリークを発生したセルの端子間電圧の検出値は2.25Vとなり、リークを発生したセル(セル2)の上下のセル(セル2、3)での端子間電圧の検出値は4.2Vを超える電圧として検出される。
後述の説明から分かるように、RCフィルタのコンデンサやセルコントローラIC100内のESD対策ダイオード等、またセルコントーラIC100のCV端子付近の配線パターン等の絶縁不良は、通常徐々に進行する。何らかのノイズ等の影響で、もしもこのリークが、ある時点で突然増大した場合、セル電圧の検出値は4.2Vを超えて4.35Vの過充電保護電圧を上回り、過充電として異常を検出される可能性がある。
なお、過充電保護電圧は、これ以上充電させない電圧である。また、図5で説明したように、リチウムイオン電池はある電圧以上では発熱が増加し、さらに電圧が上昇すると電極や電解液の劣化(化学変化)が起こり、不可逆的に電池が劣化し、一旦電圧は低下する。その後、さらに充電を続けると、図5で説明したように、電解液が分解してガスが発生し、ガス排出弁が作動する。
したがって、この過充電保護電圧は、発熱の問題が起きないような余裕をもった電圧に設定する。この電圧はリチウム電池の組成や構造によって異なるので、上記の4.35Vはあくまであるリチウムイオン電池での例である。また同様に過放電保護電圧もあるが、ここでは説明は省略する。
図16は、図15とは逆に、各単電池セルで検出された端子間電圧が、V1=V2=V3=3.6Vの場合に、各々のセルの実電圧とリーク抵抗(RL)131の抵抗値の関係を示したものである。ここでもRcv=30kΩとしている。
リーク抵抗(RL)131の抵抗値が300kΩの場合、端子間電圧の測定で3.6Vが検出されていても、リークの発生しているセルの実電圧は4.35Vとなっている。さらにリーク抵抗RLが100kΩまで低下した場合には、リーク発生セルの実電圧は約5.8Vに達する可能性がある。
しかしながら、バランシング抵抗102とセル電圧入力抵抗101が適切な値に設定された、本発明による組電池の監視装置を用いることにより、セルの実電圧が過充電保護電圧以上とならないようにすることができる。以下、このバランシング抵抗102とセル電圧入力抵抗101の抵抗値の設定について説明する。
(リーク発生時のバランシング電流の計算値と実際の電流値)
図12、図15、図17を参照してリーク発生時のバランシング放電について説明する。
図15は、たとえば、図12のセル2の電圧検出線SL2、SL3が接続された、2つのセル電圧入力端子105の間でリークが発生し、その上下のセル1、セル3で高い電圧が検出された場合を示している。ただし、ここではセル1〜3は、全て同程度の実電圧(=3.6V)になっているとする。またRcv=30kΩとして計算してある。
式(2)、(3)で説明したように、セル1、セル3では実電圧が3.6Vであるが、リーク抵抗(RL)131の抵抗値が小さくなると、検出される電圧は高くなる。またセル2の検出電圧は逆に低くなるが、セル2での検出電圧の低下の大きさはセル1、セル3での検出電圧の増加の大きさより大きい。検出電圧があまりに低い場合には、過放電状態であるとして判断されて警告が発せられ、電池システムの使用停止等の対応が行われる。しかし、過放電の場合は過充電の場合のような発熱やセル内部の圧力増大等の問題は発生しない。ここでは過充電となるような動作とこれを防ぐための本発明による電池システム監視装置の動作について説明する。
図15で、リーク抵抗RLが300kΩの場合を考える。リークが発生したセル2の上下のセル1、3では実電圧3.6Vより高い3.9Vがセルの端子間電圧(セル電圧)として検出される。電池システムの複数の単電池セルでこのようにセル電圧にばらつきが発生すると、高いセル電圧の単電池セルで、検出された電圧を下げる動作すなわちバランシング放電が行われる。このバランシング放電は、図12に示すように、バランシングスイッチ(BSW)108をオンとして行う。これによりバランシング放電電流(IB)133が流れる。
バランシング放電時間は、検出されたセル電圧とバランシング抵抗で算出されるバランシング電流とこのセルのSOCに基づいて算出される。なお、算出方法については種々の方法があるが、ここでは説明は省略する。ただし、上記で簡単に説明したバランシング電流を積算するような方法のように、端子間電圧は正確に求める必要がある。
バランシング放電がセルの実電圧でなく、検出された電圧に基づいて行われるので、算出されたバランシング電流は、実電圧に基づくものに比べ、約8.3%(3.9V/3.6V=1.083)大きくなる。この状態で放電を行うと、予定した電流量が放電されないので、放電終了後のこのセルの電圧は当初予定した電圧まで低下せず、放電終了後に検出される電圧は、バランシング未達の状態であるやや高めの電圧となる。この高めの電圧が検出されると、再度バランシング放電が行われ、結局検出された電圧ばらつきを解消するようなバランシング放電が行われる。
図17は、このバランシング放電の様子を概略的に示したものである。直線Aはセルの端子間電圧のばらつきで放電対象となるものの大きさΔVが実電圧と検出電圧とで一致することを示し、直線Bは、上記の理由によってこのΔVが解消されず実電圧が予定していた電圧まで低下しないことを示している。
当初検出されたセル電圧で1回目のバランシング放電を行っても、実電圧のΔVは直線A(ΔV1)から直線B(ΔV2)までしか低下しない。バランシング放電未達となった電圧(ΔV2)分は、次回のセルの端子間電圧測定時に検出され、さらにバランシング放電される(2回目のバランシング放電)。このようにして、検出電圧に基づくバランシング放電が行われ、結局検出電圧に基づくセル電圧のばらつきΔVだけ実電圧も低下することになる。
このように、バランシング放電によって、複数のセルの端子間電圧のばらつきが解消されるが、この端子間電圧は実電圧にもとづくものではなく、検出電圧に基づくものである。バランシング放電によって、全てのセルの電圧は一旦低い電圧に揃えられ、さらに充電されるか、あるいは、バランシング放電と充電を交互に行ってもよい。充電後に全てのセルの検出電圧が3.6Vに揃えられたとすると、セルの実電圧は図16に示すグラフに基づきリーク抵抗に応じた値となる。たとえば、リーク抵抗300kΩで、セル1、3は3.25V、セル2は4.35Vとなる。
なお、前述のように、バランシング抵抗(Rb)102は、数十Ω〜数百Ωであるが、バランシングスイッチ(BSW)108のオン/オフの切り替え制御(デューティ制御)により、平均電流を適宜低減できる。すなわち、BSW108のデューティ制御によって、抵抗値が実効的に可変なバランシング抵抗Rbefとすることができる。以下の説明でも、バランシング抵抗はデューティ制御を含む実効的なバランシング抵抗Rbefとする。
(バランシング放電によるリーク発生セルの過充電)
図18は、リーク電流とバランシング電流の関係により、リークが発生しているセルの端子間電圧の実電圧がどの程度まで上昇する可能性があるかを示している。ただし、ここでは最初全てのセルの端子間電圧が実電圧で4.1V、すなわち通常100%のSOCに対応する電圧になっているとしている。また、セル電圧入力抵抗(Rcv)101は、100kΩとしている。
図12での記載に合わせて、リーク電流(IL)132は、以下の式(40)で算出される。
IL=Vc2/(2×Rcv+RL) ...(40)
なお、これは、上記の式(33)と等価であり、式(33)の添え字(0)とoffを省略したものである。
ただし、リーク電流を算出するために、図18の横軸は純粋なリーク抵抗RLでなく、リーク放電抵抗2×Rcv+RLとしているので、横軸が200kΩの所で、RL=0Ωとなり、これが最大のリーク電流となる。
実効バランシング抵抗Rbefが約512kΩであるとすると、上記で説明したように、バランシング電流IBは実電圧で考えてよいので、IB=4.1V/512kΩ=0.008mAとなる。
リーク電流ILは、リーク抵抗RLが小さいほど増加し、リーク放電抵抗2×Rcv+RLが512kΩの所でバランシング電流と交差する。リーク抵抗(RL)131は、この交差点で約312kΩとなる。
図18で、リーク放電抵抗が512kΩより大きい所ではバランシング電流の方がリーク電流より大きい。電池システムでは、バランシング放電だけでなく、全セルの充電も適宜行われる。このような状態では、リークが発生している単電池セルではバランシング放電が行われないので、このバランシング放電の分だけ充電され、その実セル電圧は増加する。このリークを起こしているセルの実電圧が図18の「実セル電圧」の曲線として示されている。
上記の説明を言い換えると、実効バランシング抵抗Rbefとリーク放電抵抗が一致すればバランシング電流とリーク電流が一致するので、リーク発生後のバランシング放電と充電により、全セル電圧の検出電圧がSOC=100%の電圧に対応する電圧V(F、D)(Fはフル充電、Dは検出電圧を意味する)に揃えられた場合、リークが発生しているセルの実電圧V(F、R)(Fはフル充電、Rは実電圧を意味する)は、以下の式(41)で表わされる電圧まで上昇する可能性がある。
V(F、R)=V(F、D)×(Rbef+Rcv)/Rbef ...(41)
ここでRbef=2×Rcv+RLとなっている。
図18および図19に示されている、リーク発生セルの実電圧はこの式(39)で表わされるものである。
リークは、通常、最初わずかなリークから始まり、次第にリーク電流が増加する。すなわち、リーク発生当初はリーク抵抗は大きいが、次第にリーク抵抗が小さくなり、リーク電流が増加する。
図18では、リーク抵抗は図右側の大きな値から始まり、左側に進んでゆくが、リーク放電抵抗が512kΩまでは、リークが発生しているセルの実電圧が増加する。512kΩ以下になるとリーク電流の方が、バランシング電流より大きいので、リーク発生しているセルの実電圧は逆に低下する。
したがって最も高い実電圧が発生する可能性のある場合は、リーク抵抗が312kΩ(リーク放電抵抗が512kΩ)となる場合で、この場合は図18の上側に示す電圧到達可能限界まで電圧が上昇する可能性がある。
図19は、リーク発生しているセルの実電圧を、上記の過充電保護電圧程度の電圧である4.30V以下にするための制御を説明するための図である。図11でも図18の場合と同様に、最初全てのセルの実電圧が4.1Vであったとする。
上記の説明で分かるように、リークが発生したセルの実電圧の最大到達電圧を4.30Vとするには、最大到達電圧が4.30Vとなるリーク放電抵抗4000kΩでリーク電流ILの直線とバランシング電流の直線が交差するようにすればよい。
バランシングスイッチ108に実効抵抗値Refが、このリーク放電抵抗4000kΩとなるように、バランシングスイッチのデューティを制御すればよいことになる。
以上で説明したリーク発生時のバランシング放電において、さらに分かり易くまとめ直すと以下のようになる。
式(41)のV(F、D)は、単電池セルがSOC=100%の時の電圧になるので、これをさらにVとする。またV(F、R)は、それ以上の電圧とならないようにするための、図18、19に示す到達最大電圧であり、これをVmaxとする。すなわち式(41)をこれ等価な式(42)で表わす。
max=V×(Rbef+Rcv)/Rbef ...(42)
ただし、ここでVmax=V(F、R)、V=V(F、D)、Rbef=実効バランシング抵抗である。
式(42)を変形すると、RbefとRcvの関係が明瞭になる。
Rbef=Rcv×V/(Vmax−V) ...(43)
maxは前述の過充電保護電圧、VはSOC100%のセル電圧、Rbefは実効バランシング電圧すなわちRbef=Rb×デューティ比である。
通常、セル電圧入力端子(CV端子)105に入力される各単電池セルの端子電圧に重畳するノイズを除去するために、セル電圧入力抵抗(Rcv)101とコンデンサ103とで構成されるRCフィルタの定数がまず設定される。
このRcvの抵抗値に対応する実効バランシング抵抗をRbef式(43)から求められる値以上とすれば、リーク発生したセルにおける実電圧を過充電保護電圧Vmax以下とすることができる。
(リーク発生時の実効バランシング抵抗の切り替え)
また、通常、バランシング抵抗は、電池システムを構成する複数の単電池セルの端子間電圧のばらつきを速やかに揃えられるようにできる限り大きなバランシング電流となるように設定される。また、同時にこのバランシング電流によるバランシング抵抗やバランシングスイッチでの発熱によるセルコントローラC100の温度上昇が所定の温度以下となるように設定される。さらに、環境温度も考慮して、バランシングスイッチのオン/オフのデューティ比を変更し実効バランシング抵抗Rbefを可変とすることも可能である。
ここで、上記で説明したように、セルコントローラIC100の電圧測定回路の入力側のどこかでリークが発生した場合、高い端子間電圧が検出されたセルのデューティ比を上記で説明したように変更して、上記の式(43)で設定される実効バランシング抵抗の値に設定することにより、リーク発生時の過充電を避けることができる。
すなわち、リーク発生がない場合のバランシングスイッチのデューティ制御と、リーク発生した場合のバランシングスイッチのデューティ制御を切り替えることで、単電池セルの過充電を避け、電池システムの安全かつ安定した稼働を実現することができる。
上記の説明では、1つのセルグループ120とこのセルグループ120を監視するセルコントローラIC100の例について本発明による組電池の監視装置の動作について説明した。また、この組電池の監視装置でのバランシング放電動作について、3つの単電池セルの中央のセルでリークが発生したとして説明した。
セルグループ120の複数の単電池セル110の最上位(高電位側)あるいは最下位(低電位側)でリークが発生した場合には、最上位のセルの隣の下位のセル、あるいは最下位のセルの隣の上位のセルに対して、上記の説明と同様な方法が適用できることは、式(2)あるいは(3)の説明で明らかである。
(RCフィルタ回路の変形例1、2でのバランシング放電)
尚、上記のバランシング放電の説明では、RCフィルタのコンデンサは図2に示すようにセルコントローラIC100の電圧検出端子(CV端子)間に接続されると想定されているが、RCフィルタのコンデンサがセルコントローラIC100のグラウンド(GND)に接続される場合(RCフィルタ回路の変形例1、図3)、あるいはセルグループの中間電位の電圧検出線に接続される場合(RCフィルタ回路の変形例2、図4)あるいは別の個所に接続される場合がある。その場合でも、コンデンサにリーク電流が流れることにより、RCフィルタのR(Rcv)で電圧降下が発生し、セル電圧検出値の低下は発生するので、同様に考えることができる。
すなわち、リーク放電電流が流れる電圧検出線をセル電圧の電圧検出線として用いているセルの検出電圧がリークによって影響を受け、上昇する。検出電圧の低下したセルがバランシング電流分過充電されるので、その過充電の到達電圧は、バランシング電流値と同一のリーク電流が流れた場合に発生する誤差と、電池の使用上限電圧の和となる。
これらのRCフィルタ回路の変形例においても、上記で説明したような、リーク放電電流とバランシング放電電流が同じ大きさとなる条件の、セル電圧入力抵抗Rcvと実効バランシング電流Rbefの関係を同様に求めることができる。
説明を簡単にするため、リーク発生が検出されたときの全単電池セルの実電圧は同じとなっており、充放電後の全単電池セルの検出電圧が同じになるとする。これは上記の図2のRCフィルタ回路での説明と同等の条件である。
図2ではRCフィルタ回路のコンデンサの印加電圧が、単電池セル1個分となっているが、図3、図4の場合は、図2の場合と比較して、コンデンサが接続される2つの電圧検出線の間の電池の個数分だけ印加電圧が増えることになる。
したがって、リーク放電電流も電池の個数分だけ増加する。これと同じバランシング放電電流を流すには、上記の図2のRCフィルタ回路での説明の場合と比較して、実効バランシング抵抗を電池の個数分だけ小さい値とすればよい。
たとえば、図3のRCフィルタ回路で、電圧検出線SL2とグラウンド線(GL)との間に接続されたコンデンサ103にリークが発生した場合(図9参照)、リーク放電電流によって、電圧検出線SL2が接続されたCV端子の電位が低下し、電圧検出線SL2の上側のセル(セル1)の検出電圧が上昇する。
この検出電圧の上昇の大きさは、電圧検出線SL2とSL5の間に3個の単電池セルがあるので、図2の場合に比べ3倍となる。これに対応してリーク放電電流は3倍となり、またこれにバランスするための実効バランシング抵抗は1/3になる。
また、前述のように、リーク検出スイッチのオフ/オンでのセル電圧の検出電圧差から、リーク抵抗を算出できるので、これを考慮して式(41)から、Rbefを可変に調整することも可能である。
通常リークの進行は遅いので、このようにRbefを可変に調整してバランシング放電を行うことで効率よく安全に充放電制御を行うことができる。
なお、以上で説明したバランシング放電でのバランシングスイッチのデューティ制御では、実効バランシング抵抗はバッテリコントローラ200で算出され、この実効バランシング抵抗となるようなバランシングスイッチ制御指令がバッテリコントローラ200からセルコントローラIC100に送信され、セルコントローラIC100でバランシングスイッチのオンオフのデューティ制御が行われる。
しかしながら、リークの進行が早い場合は、電池システムの使用停止や、メンテナンスを早急に行う必要がある。したがって、リークが発生した時には、アラームを発生して速やかに運転者に通報することが必要である。さらに、リーク抵抗の抵抗値を適宜モニターし、たとえばそのリーク電流の増大が顕著になった場合はこれを運転者に通報することも可能である。
また、1つのコンデンサ103でリーク発生が検出された時には、他のコンデンサにおいても、劣化が始まっている可能性がある。あるいは、コンデンサ以外の部分、たとえばセルコントローラIC100のセル電圧入力端子(CV端子)105付近の配線パターンでも絶縁の劣化が始まっている可能性がある。安全性の観点からは、たとえば上記のように電圧検出線SL2とグラウンド線(GL)の間でのリークの場合であっても(図6参照)、セル1のバランシングスイッチのデューティ比を1/3にせず、たとえば式(43)で算出される、セル電圧1個分の場合の実効バランシング抵抗として車両の稼働を継続するが、早急にメンテナンス等の対策を行うことが望ましい。
なお、上記で説明した他の実施形態(リーク発生時のバランシング放電でのデューティ比制御)は、セル電圧入力抵抗Rcvを低めの値、たとえば300Ω程度とする構成の電池システム監視装置で特に有効な過充電回避の方法となる。セル電圧入力抵抗Rcvを小さめにするとRCフィルタとしてのカットオフ周波数が高くなるので、このような構成ではセルコントローラIC100の電圧測定回路(不図示)に二重積分型のノイズに強いAD変換回路が用いられる。
セル電圧入力抵抗が小さいと、リーク検出スイッチのオフ/オンでリークが検出された時のリーク抵抗も上記の値より小さくなる。これは、リーク検出スイッチのオフ/オンでのセル電圧の検出値VoffとVonの差が検出できる所定の大きさ以上となるリーク抵抗も小さくなるためである。詳細な説明は省略するが、リーク抵抗はある程度小さくなると進行が早くなるので、測定されたセル電圧の補正を行うより、このようなバランシング放電でのデューティ比制御を行った方が有効な場合がある。
さらに、リークが発生した場合は、電池システムを用いないで車両を稼働することも考えられる。このような場合は、リークが検出された時に、バッテリコントローラ200が正極側コンタクタ310および負極側コンタクタ320をオフとして、インバータ340と電池システム130の接続を切り離すことが可能である。あるいは、リークの発生を運転者に通知して、運転者の指示によりインバータ340と電池システム130の接続を切り離すことも可能である。
以上の説明は、RCフィルタ回路のコンデンサ103が図2〜4に示すように接続されている場合について説明した。前述のように、グラウンド線(GL)にコンデンサ103の一端を接続する回路構成の代わりに、電源線(VL)にコンデンサ103の一端を接続する回路構成であっても上記と同様なバランシング動作が可能であることは明白であり、この詳細な説明は省略する。ただし、この場合でも、上記の説明と同様に、リーク電流によりCV端子での電圧上昇を生じるRcvが設けられた電圧検出線の上側のセルの検出電圧は低下し、また、リーク電流によりCV端子での電圧降下を生じるRcvが設けられた電圧検出線の上側のセルの検出電圧が上昇することになる。
なお、図3あるいは図7に示すように、コンデンサ103の一端がグラウンド線(GL)に接続されている場合で、最上位電位のセルであるセル1のRCフィルタのコンデンサ103にリークが発生した場合は、電圧降下はセル1の端子間電圧でのみ発生し、他のセルでは発生しない。
このような場合は、セル1以外のセルでリーク検出スイッチがオフとオンでの検出電圧差がないことを確認して、電圧検出線SL1に接続されたコンデンサ103にリークが発生していると判断する。
なお、この際の検出電圧補正の方法は、上記の式(20)、(21)で説明した補正方法で同様に補正できる。
ただし、図3の場合は以下の式(44)、図7の場合は以下の式(45)となる。
Vc1(t)=(V1(t)+(V1(t)+・・・+V4(t))×R
/(1−R) ...(44)
Vc1(t)=(V1(t)+(V1(t)+・・・+V12(t))×R
/(1−R) ...(45)
ただしRは、式(21)で示すものである。
また、図3あるいは図7に示す回路とは逆に、コンデンサ103の一端が電源線(VL)に接続されている場合(不図示)で、最下位電位のセル(図3のセル4または図7のセル12)のRCフィルタのコンデンサ103にリークが発生した場合は、電圧降下はこの最下位電位のセルの端子間電圧でのみ発生し、他のセルでは発生しない。
このような場合は、この最下位電位のセル以外のセルでリーク検出スイッチがオフとオンでの検出電圧差がないことを確認して、この最下位電位のセルの負極側に接続された電圧検出線(図3のSL5または図7のSL13)に接続されたコンデンサ103にリークが発生していると判断する。
なお、この際の検出電圧補正の方法は、上記の式(25)で説明した補正方法で同様に補正でき、その補正式は上記の式(44)あるいは(45)と同じである。
以上の説明では、リークがRCフィルタのコンデンサ103で発生するとして説明したが、これ以外の原因、たとえば電圧入力端子(CV端子間)での配線基板の絶縁不良や、セルコントローラIC100内のESD対策用ダイオードの絶縁不良等でもリークが発生する可能性がある。しかし、これらの場合も上記のコンデンサでのリークの場合と全く同様に理解することができるので、これらの説明も省略する。
<リーク検出スイッチを用いないリーク検出の例>
図20は、本発明による電池システム監視装置でリーク検出スイッチを用いずにリーク検出を行うための回路構成を示す図である。以下では、図20の回路構成を参照して、図9等に示したリーク検出スイッチ109を用いずにリーク検出を行う方法を説明する。なお、図20においても、図9等と同様に、4個の単電池セルからなるセルグループの場合を例として示している。
図20の回路構成では、前述の実施形態における図9に示した回路構成と比較して、セル電圧入力端子(CV端子)105とバランシング端子(BS端子)の間にリーク検出スイッチ109が設けられていない点と、セルコントローラIC100内に、マルチプレクサ1201および1202、選択スイッチ1203、コンパレータ1204およびAD変換器1205が設けられている点とが異なっている。なお、図9等では図示を省略しているが、マルチプレクサ1201、コンパレータ1204、AD変換器1205等は、図9の回路構成においても、各単電池セル110のセル電圧(端子間電圧)を測定するためにセルコントローラIC100内に設けられていても構わない。
セルコントローラIC100において、各セル電圧入力端子(CV端子)105は、マルチプレクサ1201に接続されている。マルチプレクサ1201は、セルグループ120を構成する4つの単電池セル110(セル1〜セル4)について、各単電池セルの正極と負極にそれぞれ接続されている電圧検出線と接続された2つのCV端子105を順次選択し、当該CV端子105の電圧を、選択スイッチ1203に設けられた4つの入力端子のうち2つ(第1入力端子)にそれぞれ出力する。
セルコントローラIC100において、各バランシング端子(BS端子)106は、マルチプレクサ1202に接続されている。マルチプレクサ1202は、セルグループ120を構成する4つの単電池セル110(セル1〜セル4)について、各単電池セルの正極と負極にそれぞれ接続されている電圧検出線の間に設けられたバランシング線BLと接続された2つのBS端子106を順次選択し、当該BS端子106の電圧を、選択スイッチ1203に設けられた4つの入力端子のうち上記とは別の2つ(第2入力端子)にそれぞれ出力する。
選択スイッチ1203は、マルチプレクサ1201につながる2つの入力端子(第1入力端子)と、マルチプレクサ1202につながる2つの入力端子(第2入力端子)とを有している。選択スイッチ1203は、これらの入力端子の組み合わせを順次選択し、選択した2つの入力端子の電圧をコンパレータ1204に出力する。
コンパレータ1204は、選択スイッチ1203により選択された2つの入力端子間の電圧を測定し、その測定結果に応じた電圧をAD変換器1205に出力する。
AD変換器1205は、コンパレータ1204からの出力電圧をデジタル値に変換することで、セル電圧(端子間電圧)の測定結果をデジタル値に変換する。AD変換器1205によりデジタル値に変換されたセル電圧(端子間電圧)の測定結果は、セルコントローラIC100において一時的に記憶され、リーク検出などに利用される。
セルコントローラIC100は、以上説明したような回路動作により、4つの単電池セル110(セル1〜セル4)のそれぞれについて、互いにインピーダンスが異なる2つの電圧測定経路のそれぞれを介してセル電圧(端子間電圧)を測定することができる。具体的には、セルコントローラIC100は、マルチプレクサ1201と接続されている第1入力端子を選択スイッチ1203において選択することで、各単電池セルの正極側の電圧検出線と負極側の電圧検出線にそれぞれ設けられているセル電圧入力抵抗101を経由して2つのCV端子105につながる電圧測定経路(第1の電圧測定経路)を介して、各単電池セルのセル電圧(端子間電圧)を測定する。また、マルチプレクサ1202と接続されている第2入力端子を選択スイッチ1203において選択することで、各単電池セルの正極側の電圧検出線と負極側の電圧検出線の間に設けられているバランシング抵抗102を経由して2つのBS端子106につながる電圧測定経路(第2の電圧測定経路)を介して、各単電池セルのセル電圧(端子間電圧)を測定する。これによりセルコントローラIC100は、リークが発生した場合に、そのリークによる電圧降下の影響を変化させて、各単電池セルのセル電圧(端子間電圧)を2回ずつ測定することができる。
たとえば、上位から2番目に接続された単電池セル110(セル2)の正極と負極の間に接続されたコンデンサ103にリークが発生した場合を考える。この場合、図20に示すように、コンデンサ103に並列にリーク抵抗131が存在することになり、このリーク抵抗131をリーク電流が流れることで電圧降下が生じる。上記の第1の電圧測定経路にはリーク抵抗131が含まれており、リーク抵抗131での電圧降下(リーク抵抗131の両端電圧)が第1の電圧測定経路を介したセル2の端子間電圧として測定される。ここで、上記のリーク電流は、セル2の正極と負極にそれぞれ接続されているセル電圧入力抵抗101を経由してリーク抵抗131に流れる。そのため、リーク抵抗131の両端電圧は、実際のセル2の端子間電圧よりも低くなる。したがって、第1の電圧測定経路を介した測定では、実際のセル2の端子間電圧よりも低い値が測定される。
一方、第2の電圧測定経路にはリーク抵抗131が含まれていないため、第2の電圧測定経路を介して測定されるセル2の端子間電圧は、リークが発生していないときと同じであり変化しない。したがって、第2の電圧測定経路を介した測定では、実際のセル2の端子間電圧が測定される。
以上説明したように、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間には、リーク電流に応じた差異が生じる。この差異を観測することで、リークを検出することができる。
また、セル2の正極に接続された電圧検出線SL2において、たとえば電圧入力端子(CV端子)での配線基板の絶縁不良や、セルコントローラIC100内のESD対策用ダイオードの絶縁不良等の原因により、リークが発生した場合を考える。この場合、電圧検出線SL2上にリーク抵抗が存在することになり、このリーク抵抗やセル電圧入力抵抗101をリーク電流が流れることで、電圧検出線SL2と接続された電圧入力端子(CV端子)の電位が低下する。そのため、第1の電圧測定経路を介して測定されるセル2の端子間電圧は、コンデンサ103にリークが発生した場合と同様に、実際のセル2の端子間電圧よりも低くなる。一方、第2の電圧測定経路にはリーク抵抗が含まれないため、第2の電圧測定経路を介して測定されるセル2の端子間電圧は、リークが発生していないときと同じであり変化しない。したがって、コンデンサ103にリークが発生した場合と同様に、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間には、リーク電流に応じた差異が生じる。この差異を観測することで、リークを検出することができる。
さらに、セル2の負極に接続された電圧検出線SL3においてリークが発生した場合を考える。この場合、電圧検出線SL3上にリーク抵抗が存在することになり、このリーク抵抗やセル電圧入力抵抗101をリーク電流が流れることで、電圧検出線SL3と接続された電圧入力端子(CV端子)の電位が低下する。そのため、第1の電圧測定経路を介して測定されるセル2の端子間電圧は、コンデンサ103にリークが発生した場合とは反対に、実際のセル2の端子間電圧よりも高くなる。一方、第2の電圧測定経路にはリーク抵抗が含まれないため、第2の電圧測定経路を介して測定されるセル2の端子間電圧は、リークが発生していないときと同じであり変化しない。したがってこの場合にも、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間には、リーク電流に応じた差異が生じる。この差異を観測することで、リークを検出することができる。
さらに、セル2の正極と負極の間に設けられたバランシングスイッチ108にリークが発生した場合を考える。この場合、バランシングスイッチ108に並列にリーク抵抗が存在することになり、このリーク抵抗をリーク電流が流れることで電圧降下が生じる。第2の電圧測定経路にはこのリーク抵抗が含まれており、リーク抵抗での電圧降下(リーク抵抗の両端電圧)が第2の電圧測定経路を介したセル2の端子間電圧として測定される。ここで、上記のリーク電流は、バランシング抵抗102を経由してリーク抵抗に流れる。そのため、リーク抵抗の両端電圧は、実際のセル2の端子間電圧よりも低くなる。したがって、第2の電圧測定経路を介した測定では、実際のセル2の端子間電圧よりも低い値が測定される。一方、第1の電圧測定経路にはリーク抵抗が含まれないため、第1の電圧測定経路を介して測定されるセル2の端子間電圧は、リークが発生していないときと同じであり変化しない。したがってこの場合にも、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間には、リーク電流に応じた差異が生じる。この差異を観測することで、リークを検出することができる。
なお、以上説明したような異なる電圧測定経路を介したセル電圧の測定結果に基づくリーク検出は、セルコントローラIC100において行うことができる。あるいは、図1に示したバッテリコントローラ200において行ってもよい。すなわち、セルコントローラIC100は、バッテリコントローラ200の指令により、前述のような動作を各回路において行うことで電圧測定経路を選択し、第1の電圧測定経路を介した各単電池セル110の端子間電圧の測定と、第2の電圧測定経路を介した各単電池セル110の端子間電圧の測定とを行う。そして、これらの端子間電圧の測定結果を上位のコントローラであるバッテリコントローラ200に送信する。バッテリコントローラ200は、セルコントローラIC100から送信された各単電池セル110の端子間電圧の測定結果をそれぞれ比較することで、セルコントローラIC100と接続された電池システムに生じたリークを検出することができる。
さらに図20の回路構成では、互いに隣接し合う2つの単電池セル110に対する端子間電圧の測定結果に基づいて、以下で説明するような方法により、リークの発生箇所を判断することができる。
たとえば前述のように、コンデンサ103にリークが発生することで、上位から2番目に接続された単電池セル110(セル2)の正極に接続された電圧検出線SL2と負極に接続された電圧検出線SL3の間にリーク抵抗131が生じた場合を考える。この場合、セル2については、リーク抵抗131での電圧降下により、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間には、前述のような差異が生じる。一方、セル2に隣接するセル1およびセル3については、第1の電圧測定経路内にリーク抵抗131が存在しないため、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間には差異が生じない。
次に、セルコントローラIC100内での前述のような原因により、セル2の正極およびセル1の負極に接続された電圧検出線SL2や、セル2の負極およびセル3の正極に接続された電圧検出線SL3に対してリークが発生した場合を考える。この場合、電圧検出線SL2にリークが発生したのであれば、前述のように電圧検出線SL2上に存在するリーク抵抗での電圧降下により、セル2については、第1の電圧測定経路を介して測定される端子間電圧が実際のセル2の端子間電圧よりも低くなることで、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間に差異が生じる。またセル1については、第1の電圧測定経路を介して測定される端子間電圧が実際のセル1の端子間電圧よりも高くなることで、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間に差異が生じる。
一方、電圧検出線SL3にリークが発生したのであれば、電圧検出線SL3上に存在するリーク抵抗での電圧降下により、セル2については、第1の電圧測定経路を介して測定される端子間電圧が実際のセル2の端子間電圧よりも高くなることで、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間に差異が生じる。またセル3については、第1の電圧測定経路を介して測定される端子間電圧が実際のセル3の端子間電圧よりも低くなることで、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間に差異が生じる。
以上説明したように、セル2のみについて、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間に差異があり、セル2に隣接するセル1やセル3では差異がない場合は、セル2の正極と負極にそれぞれ接続された2つの電圧検出線SL2、SL3の間でリークが発生したと判断することができる。一方、互いに隣接し合うセル1とセル2、またはセル2とセル3の両方について、第1の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果と、第2の電圧測定経路を介した端子間電圧の測定結果との間に差異がある場合は、セルコントローラIC100内でリークが発生したと判断することができる。このようにして、リークの発生箇所を判断することができる。
なお、上記の例では、セルコントローラIC100において、マルチプレクサ1201、1202および選択スイッチ1203を用いて、互いにインビーダンスが異なる第1の電圧測定経路または第2の電圧測定経路を選択することを説明したが、本発明はこれに限定されず、様々な方法で電圧測定経路を選択することができる。また、セル電圧入力抵抗101を経由する電圧測定経路を第1の電圧測定経路とし、バランシング抵抗102を経由する電圧測定経路を第2の電圧測定経路として、これらの電圧測定経路を介してそれぞれ測定された各単電池セル110のセル電圧(端子間電圧)を比較することでリークを検出することを説明したが、本発明はこれに限定されない。互いにインピーダンスが異なる複数の電圧測定経路を有しており、その複数の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された各単電池セル110のセル電圧(端子間電圧)に基づいて電池システムのリークを検出できるものであれば、本発明を適用可能である。
以上での説明を簡単にまとめると、本発明による電池システム監視装置は、以下のような特徴を有する。
(1)本発明による電池システム監視装置は、複数の単電池セルを有する電池システムを監視し、単電池セルの端子間電圧であるセル電圧を測定するための電圧測定部と、この電圧測定部にセル電圧を入力するための電圧入力抵抗と、当該電圧入力抵抗と共にRCフィルタを構成するコンデンサと、当該電圧入力抵抗をバイパスするリーク検出スイッチとを各単電池毎に備え、リーク検出スイッチをオフとした時のセル電圧である第1のセル電圧とオフとした時のセル電圧である第2のセル電圧とを測定し、第1のセル電圧と第2のセル電圧の差を検出して、コンデンサのリークの有無を判定することが可能である。
(2)また本発明による電池システム監視装置は、コンデンサにリークがあると判定された場合に、この電池システム監視装置を備えた車両の始動時に測定した上記の第1のセル電圧および第2のセル電圧を用いて、電池システム監視装置を備えた車両の稼働時に当該コンデンサに対応する単電池セルの第1のセル電圧を補正することが可能である。この第1のセル電圧を補正することにより、単電池セルの過充電を回避することができるとともに、第1のセル電圧を用いた、電池システムおよび電池監視装置を含む蓄電装置の種々の診断を正確に行うことができる。
(3)また本発明による電池システム監視装置は、バランシング放電抵抗と、バランシング放電電流のオンオフを制御するスイッチング素子とを備えた、複数の単電池セルの充電状態を揃えるためのバランシング放電を行うバランシング放電回路を更に備え、コンデンサにリークがあると判定された場合に、この電池システム監視装置を備えた車両の始動時に測定した第1のセル電圧および第2のセル電圧に基づいて、バランシング放電回路の実効抵抗値を制御するように当該スイッチング素子を制御することが可能である。これにより単電池セルの過充電を回避することができる。
(4)さらに本発明による電池システム監視装置を用いて、コンデンサにリークがあると判定された場合に、電池システムと直流電力の授受を行うインバータとの接続を遮断することが可能である。
(5)本発明による電池システム監視装置は、複数の単電池セル110を直列接続したセルグループ120を制御するセルコントローラIC100と、単電池セル110の端子間電圧を測定するための、単電池セル110の正極および負極のそれぞれとセルコントローラIC100とを接続する複数の電圧検出線SL1〜SL5とを備える。セルコントローラIC100は、複数の単電池セル110のそれぞれについて、互いにインビーダンスが異なる複数の電圧測定経路のそれぞれを介して端子間電圧を測定可能である。電池システム監視装置は、複数の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された単電池セル110の端子間電圧に基づいて、電池システムのリークを検出する。このようにしたので、種々の原因によるリークを検出することができる。
(6)セルコントローラIC100は、複数の電圧測定経路のそれぞれを介して単電池セル110の端子間電圧を測定することにより、リークによる電圧降下の影響を変化させて単電池セル110の端子間電圧を複数回測定する。このようにしたので、リークを確実に検出することができる。
(7)セルコントローラIC100は、複数の単電池セル110のそれぞれについて、セル電圧入力抵抗101を経由する第1の電圧測定経路およびバランシング抵抗102を経由する第2の電圧測定経路を介して端子間電圧をそれぞれ測定可能である。電池システム監視装置は、第1の電圧測定経路を介して測定された単電池セル110の端子間電圧と、第2の電圧測定経路を介して測定された単電池セル110の端子間電圧とに基づいて、電池システムのリークを検出する。このようにしたので、各単電池セル110についてリークを容易かつ確実に検出することができる。
(8)電池システム監視装置は、互いに隣接し合う2つの単電池セル110のうち上位の単電池セルについて複数の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された端子間電圧と、2つの単電池セル110のうち下位の単電池セルについて複数の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された端子間電圧とに基づいて、リークの発生箇所を判断することができる。具体的には、セル1とセル2の組み合わせ、またはセル2とセル3の組み合わせについて、上位のセル1またはセル2について複数の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された端子間電圧の間に差異があり、かつ下位のセル2またはセル3について複数の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された端子間電圧の間に差異がある場合は、セルコントローラIC100内でリークが発生したと判断する。一方、セル3に対して上位のセル2、またはセル1に対して下位のセル2のみについて、複数の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された端子間電圧の間に差異があり、セル3またはセル1については差異がない場合は、セル2の正極と負極にそれぞれ接続された2つの電圧検出線SL2、SL3の間でリークが発生したと判断する。このようにしたので、リークの発生箇所を確実に判断することができる。その結果、リークの発生箇所に応じた適切な処置をとることができる。
(9)セルコントローラIC100は、複数の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された各単電池セル110の端子間電圧に基づいて、電池システムのリークを検出する。または、セルコントローラIC100は、バッテリコントローラ200の指令により、複数の電圧測定経路の選択および各単電池セル110の端子間電圧の測定を行って、複数の電圧測定経路を介した各単電池セル110の端子間電圧の測定結果をバッテリコントローラ200に送信する。バッテリコントローラ200は、セルコントローラIC100から送信された各単電池セル110の端子間電圧の測定結果に基づいて、電池システムのリークを検出する。このようにしたので、電池システム監視装置においてリーク検出を実現することができる。
以上の説明は本発明の実施形態の例であり、本発明はこれらの実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の特徴を損なわずに様々な変形実施が可能である。したがって、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
10:電池システム監視装置
100:セルコントローラIC
101:セル電圧入力抵抗(Rcv)
102:バランシング抵抗(Rb)
103:コンデンサ
104:Vcc端子(VCC)
105:電圧入力端子(CV)
106: バランシング端子(BS端子)
107:グラウンド端子(GND端子)
108:バランシングスイッチ(BSW)
109:リーク検出スイッチ
110:単電池セル
120:セルグループ
130:電池システム
131:リーク抵抗(RL)
132:リーク放電電流(IL)
200:バッテリコントローラ
201、202:シグナルアイソレータ
210:電圧センサ
220:電流センサ
300:モータコントローラ
310:正極側コンタクタ
320:負極側コンタクタ
330:平滑コンデンサ
340:インバータ
350:モータ
400:車両コントローラ
1201、1202:マルチプレクサ
1203:選択スイッチ
1204:コンパレータ
1205:AD変換器
SL1〜5:電圧検出線
BL:バランシング線
GL:グラウンド線
VL:電源線

Claims (7)

  1. 複数の単電池セルを直列接続したセルグループを備えた電池システムを監視する電池システム監視装置であって、
    前記セルグループを制御するセルコントローラICと、
    前記単電池セルの端子間電圧を測定するための、前記単電池セルの正極および負極のそれぞれと前記セルコントローラICとを接続する複数の電圧検出線とを備え、
    前記セルコントローラICは、前記単電池セルの正極に接続された電圧検出線と負極に接続された電圧検出線との間に接続された、当該単電池セルのバランシング放電を行うバランシングスイッチを前記単電池セル毎に備え、
    前記電圧検出線には、電圧入力抵抗が直列に設けられ、
    前記バランシングスイッチと当該バランシングスイッチに直列に接続されたバランシング抵抗とで構成されるバランシング放電回路が前記単電池セルの正極に接続された電圧検出線と負極に接続された電圧検出線の間に接続され、
    前記バランシング放電回路と前記単電池セルの正極に接続された電圧検出線との接続点および、前記バランシング放電回路と前記単電池セルの負極に接続された電圧検出線との接続点は、それぞれ前記電圧入力抵抗より前記セルグループ側に設けられ、
    前記セルコントローラICは、前記複数の単電池セルのそれぞれについて、前記電圧入力抵抗を経由する第1の電圧測定経路および前記バランシング抵抗を経由する第2の電圧測定経路を介して前記端子間電圧をそれぞれ測定可能であり、
    前記第1の電圧測定経路を介して測定された前記端子間電圧と、前記第2の電圧測定経路を介して測定された前記端子間電圧とに基づいて、前記電池システムのリークを検出する電池システム監視装置。
  2. 請求項1に記載の電池システム監視装置において、
    前記セルコントローラICは、前記第1の電圧測定経路および前記第2の電圧測定経路のそれぞれを介して前記端子間電圧を測定することにより、前記リークによる電圧降下の影響を変化させて前記端子間電圧を複数回測定する電池システム監視装置。
  3. 請求項1または2に記載の電池システム監視装置において、
    互いに隣接し合う2つの単電池セルのうち上位の単電池セルについて前記第1の電圧測定経路および前記第2の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された前記端子間電圧と、前記2つの単電池セルのうち下位の単電池セルについて前記第1の電圧測定経路および前記第2の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された前記端子間電圧とに基づいて、前記リークの発生箇所を判断する電池システム監視装置。
  4. 請求項に記載の電池システム監視装置において、
    前記上位の単電池セルについて前記第1の電圧測定経路および前記第2の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された前記端子間電圧の間に差異があり、かつ前記下位の単電池セルについて前記第1の電圧測定経路および前記第2の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された前記端子間電圧の間に差異がある場合は、前記セルコントローラIC内で前記リークが発生したと判断し、
    前記上位の単電池セルまたは前記下位の単電池セルのいずれか一方のみについて、前記第1の電圧測定経路および前記第2の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された前記端子間電圧の間に差異がある場合は、当該単電池セルの正極と負極にそれぞれ接続された2つの前記電圧検出線の間で前記リークが発生したと判断する電池システム監視装置。
  5. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の電池システム監視装置において、
    前記セルコントローラICは、前記第1の電圧測定経路および前記第2の電圧測定経路のそれぞれを介して測定された前記端子間電圧に基づいて、前記電池システムのリークを検出する電池システム監視装置。
  6. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の電池システム監視装置において、
    前記セルコントローラICを制御するバッテリコントローラをさらに備え、
    前記セルコントローラICは、前記バッテリコントローラの指令により、前記第1の電圧測定経路または前記第2の電圧測定経路の選択および前記端子間電圧の測定を行って、前記第1の電圧測定経路および前記第2の電圧測定経路を介した前記端子間電圧の測定結果を前記バッテリコントローラに送信し、
    前記バッテリコントローラは、前記セルコントローラICから送信された前記端子間電圧の測定結果に基づいて、前記電池システムのリークを検出する電池システム監視装置。
  7. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の電池システム監視装置と、
    複数の単電池セルを直列接続したセルグループを備え、前記電池システム監視装置により監視される電池システムとを備える蓄電装置。
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