JP6251557B2 - 化合物、熱硬化性樹脂組成物、及び熱硬化性シート - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、六フッ化アンチモン、六フッ化リンなどを対アニオンとして使用したスルホニウム塩がエポキシ樹脂のカチオン硬化触媒として有用であることが開示されている。特に六フッ化アンチモンを使用したスルホニウム塩は低温硬化触媒として市販されている。
また、特許文献2には、六フッ化アンチモンと同等の活性を有するテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンを使用したカチオン硬化触媒が開示されている。
これらのカチオン硬化触媒は低温硬化の活性を有するものの、そのままではエポキシ樹脂と配合した場合の保存安定性は極めて不十分であるという問題がある。
しかしながら、これらの技術は保存安定性を改善はするものの、カチオン硬化触媒が有する低温硬化活性を著しく低下させるため、低温硬化との両立としては不十分であるという問題がある。
しかしながら、これらの技術でも、低温硬化性と、保存安定性とを両立することはできない。
<1> カチオン硬化成分と、カチオン系硬化剤と、安定剤とを含有し、
前記安定剤が、アンモニウム塩であり、
前記アンモニウム塩におけるアニオンの共役酸の水中25℃でのpKaが、−1以上であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物である。
<2> アンモニウム塩が、下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表される化合物である前記<1>に記載の熱硬化性樹脂組成物である。
<3> 一般式(1)及び一般式(2)におけるX−が、カルボン酸のアニオンである前記<2>に記載の熱硬化性樹脂組成物である。
<4> 一般式(1)及び一般式(2)におけるX−が、安息香酸類のアニオン、ナフタレンカルボン酸類のアニオン、ジフェニル酢酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、及び2−エチルヘキサン酸アニオンのいずれかである前記<2>から<3>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物である。
<5> カチオン硬化成分が、エポキシ化合物である前記<1>から<4>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物である。
<6> カチオン系硬化剤が、下記一般式(3)で表されるスルホニウムボレート錯体である前記<1>から<5>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物である。
<7> 一般式(3)におけるY+が、下記一般式(4)で表されるスルホニウムカチオンである前記<6>に記載の熱硬化性樹脂組成物である。
<8> 更にフェノキシ樹脂を含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とする熱硬化性シートである。
<10> 下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表されることを特徴とする化合物である。
<11> 一般式(1)において、R1及びR2が、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3が、無置換のアリール基を表し、R4が、置換又は無置換のアラルキル基を表す前記<10>に記載の化合物である。
<12> 一般式(1)及び一般式(2)におけるX−が、安息香酸類のアニオン、ナフタレンカルボン酸類のアニオン、ジフェニル酢酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、及び2−エチルヘキサン酸アニオンのいずれかである前記<10>から<11>のいずれかに記載の化合物である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、カチオン硬化成分と、カチオン系硬化剤と、安定剤とを少なくとも含有し、好ましくは膜形成樹脂を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記カチオン硬化成分としては、前記カチオン系硬化剤の作用により硬化する成分であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物、及び環状エーテル化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カチオン系硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開平2−1470号公報に記載のスルホニウム塩化合物、特開平9−176112号公報に記載のスルホニウムボレート錯体、特開2008−308596号公報に記載のスルホニウムボレート錯体、特開2008−303167号公報に記載のスルホニウムボレート錯体などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記アラルキル基におけるアリール基としては、例えば、芳香族炭化水素基などが挙げられる。前記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。
前記アラルキル基におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、o−メチルベンジル基、(1−ナフチル)メチル基、ピリジルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げられる。
これらの中でも、良好な速硬化性及び入手容易性の点で(1−ナフチル)メチル基が好ましい。
そのようなフェニル基としては、mが1の場合、4−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基などが挙げられる。mが2の場合、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,5−ジヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基などが挙げられる。mが3の場合、2,4,6−トリヒドロキシフェニル基、2,4,5−トリヒドロキシフェニル基、2,3,4−トリヒドロキシフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、良好な速硬化性及び入手容易性の点で4−ヒドロキシフェニル基が好ましい。
前記安定剤は、アンモニウム塩である。
前記アンモニウム塩におけるアニオンの共役酸の水中25℃でのpKaは、−1以上である。
前記安定剤は、前記熱硬化性樹脂組成物の保存性を確保し、更に対アニオンの共役酸のpKaが−1以上であることにより、保存性と低温硬化性との両立が可能となる。
前記pKaの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記pKaは、9以下であることが好ましい。
http://www.chem.wisc.edu/areas/organic/index−chem.htm
前記アラルキル基におけるアリール基としては、例えば、芳香族炭化水素基などが挙げられる。前記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。前記置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられる。前記炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、o−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、2,5−ジメチルベンジル基、(1−ナフチル)メチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記一般式(1)及び前記一般式(2)におけるX−は、共役酸の水中25℃でのpKaが−1以上であるアニオンである。
前記不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。
前記脂環構造を有するカルボン酸としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸などが挙げられる。
前記芳香環を有するカルボン酸としては、例えば、安息香酸、2−メチルベンゼンカルボン酸、2−フェニルベンゼンカルボン酸、2,6−ジメチルベンゼンカルボン酸、2−ヒドロキシベンゼンカルボン酸等の置換、又は無置換の安息香酸類(置換基を有していてもよい安息香酸);1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、2−ヒドロキシ−1−ナフタレンカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸等のナフタレンカルボン酸類;ナフタレン酢酸、フェニルプロピオン酸、ジフェニル酢酸、トリフェニル酢酸などが挙げられる。
前記膜形成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製膜性、加工性の点からフェノキシ樹脂が特に好ましい。
使用される2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルジグリシジルエーテル、メチル置換ビフェニルジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また、2官能フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン、メチル置換ビスフェノールフルオレン、ジヒドロキシビフェニル、メチル置換ジヒドロキシビフェニル等のビスフェノール類などが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チキソトロピー剤、充填剤、レベリング剤、酸化防止剤、着色剤、導電性付与剤、接着付与剤などが挙げられる。
本発明の前記熱硬化性シートは、本発明の前記熱硬化性樹脂組成物を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記熱硬化性シートは、保管性、使用時のハンドリング性などの観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム等に必要に応じてシリコーン等で剥離処理した基材フィルムに、前記熱硬化性樹脂組成物からなる熱硬化性接着層が10μm〜50μmの平均厚みで形成されていることが好ましい。
本発明の化合物は、下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表される。前記化合物は、低温でカチオン硬化する熱硬化性樹脂組成物の保存安定性を向上させる安定剤として有用である。
前記アラルキル基におけるアリール基としては、例えば、芳香族炭化水素基などが挙げられる。前記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。前記置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基などが挙げられる。前記炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
前記アラルキル基におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基などが挙げられる。
前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、o−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、2,5−ジメチルベンジル基、(1−ナフチル)メチル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記一般式(1)及び前記一般式(2)におけるX−は、共役酸の水中25℃でのpKaが−1以上であるアニオンである。
前記pKaの上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記pKaは、9以下であることが好ましい。
前記不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。
前記脂環構造を有するカルボン酸としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸などが挙げられる。
前記芳香環を有するカルボン酸としては、例えば、安息香酸、2−メチルベンゼンカルボン酸、2−フェニルベンゼンカルボン酸、2,6−ジメチルベンゼンカルボン酸、2−ヒドロキシベンゼンカルボン酸等の置換、又は無置換の安息香酸類(置換基を有していてもよい安息香酸);1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、2−ヒドロキシ−1−ナフタレンカルボン酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸等のナフタレンカルボン酸類;ナフタレン酢酸、フェニルプロピオン酸、ジフェニル酢酸、トリフェニル酢酸などが挙げられる。
<ジフェニル酢酸銀の合成>
攪拌器、及び温度計を設置した5L三口フラスコに水酸化ナトリウム 10.0g(0.25mol)とメタノール1,000gとを入れて撹拌後、さらにジフェニル酢酸(東京化成工業株式会社製)53.05g(0.25mol)を入れ、室温にて固形分が無くなるまで撹拌した。そこに、別途調製した硝酸銀(和光純薬工業株式会社製)5質量%水溶液849.35g(硝酸銀として0.25mol)をフラスコを遮光状態にしてから室温にて撹拌しながら10分間で滴下した。滴下直後より白色の析出物が生成した。滴下終了後さらに30分間撹拌を行った後、析出物を濾別し、メタノールで洗浄を行った後、24時間減圧乾燥することでジフェニル酢酸銀の白色結晶76.9g(収率96.4%)を得た。
<1−ナフタレンカルボン酸銀の合成>
合成例1において、ジフェニル酢酸を1−ナフタレンカルボン酸(東京化成工業株式会社製)43.05g(0.25mol)に変えた以外は、実施例1と同様にして、1−ナフタレンカルボン酸銀の白色結晶66.1g(収率94.7%)を得た。
<アンモニウム塩(安定剤)A1の合成>
撹拌器を設置した100mL三口フラスコにトリメチルフェニルアンモニウムクロリド(東京化成工業株式会社製)3.000g(0.01748mol)、アセトニトリル30g、及びメタノール10gを入れ室温で撹拌し均一溶液とした。フラスコを遮光状態とした後、そこに、合成例1で合成したジフェニル酢酸銀 5.577g(0.01748mol)を添加しさらに1時間撹拌した。撹拌後、遮光下でフィルターリングを行い、析出した塩化銀を除去し、濾液を減圧濃縮して透明粘調液を得た。これをさらに24時間減圧乾燥し、固化させた後、酢酸エチルで洗浄後、ろ過し、再度24時間減圧乾燥することで、下記構造式(A1)で表されるアンモニウム塩(安定剤)A1の白色結晶 5.758g(収率94.8%)を得た。
<アンモニウム塩(安定剤)A2の合成>
実施例1において、ジフェニル酢酸銀を合成例2で合成した1−ナフタレンカルボン酸銀4.877g(0.01748mol)に変えた以外は、実施例1と同様にして、下記構造式(A2)で表されるアンモニウム塩(安定剤)A2の白色結晶 5.169g(収率96.2%)を得た。
<アンモニウム塩(安定剤)A3の合成>
実施例1において、ジフェニル酢酸銀を安息香酸銀(メルク社製)4.002g(0.01748mol)に変えた以外は、実施例1と同様にして、下記構造式(A3)で表されるアンモニウム塩(安定剤)A3の白色結晶 3.850g(収率85.6%)を得た。
<アンモニウム塩(安定剤)A4の合成>
実施例1において、ジフェニル酢酸銀をトリフルオロ酢酸銀(東京化成工業株式会社製)3.860g(0.01748mol)に変えた以外は、実施例1と同様にして、下記構造式(A4)で表されるアンモニウム塩(安定剤)A4の白色結晶 4.060g(収率93.2%)を得た。
<アンモニウム塩(安定剤)A5の合成>
実施例1において、ジフェニル酢酸銀を2−ヒドロキシ安息香酸銀(サリチル酸銀、和光純薬工業株式会社製)4.283g(0.01748mol)に変えた以外は、実施例1と同様にして、下記構造式(A5)で表されるアンモニウム塩(安定剤)A5の白色結晶 4.419g(収率92.5%)を得た。
<アンモニウム塩(安定剤)A6の合成>
撹拌器、冷却管、及び温度計を設置した100mL三口フラスコに、N,N−ジメチル−p−トルイジン(東京化成工業株式会社製)5.0g(0.03698mol)、ベンジルクロライド(東京化成工業株式会社製)5.149g(0.04068mol)、及びメタノール30gを入れ、50℃にて5時間撹拌して反応させた。冷却後、減圧によりメタノールを留去することで赤褐色の粘調液状物を得た。これに、酢酸エチル100gを撹拌しながらゆっくり加え、白色結晶を析出させた。減圧濾過によりこの結晶を取り出し、酢酸エチルで洗浄した後、再度、減圧濾過をし、更に24時間減圧乾燥し、N−ベンジル−N,N−ジメチル−4−メチルアニリニウムクロリドの白色結晶 8.249g(収率85.2%)を得た。
<アンモニウム塩(安定剤)A7の合成>
撹拌器を設置した100mL三口フラスコに、テトラエチルアンモニウムクロリド(東京化成工業株式会社製)3.0g(0.01811mol)、アセトニトリル30g、及びメタノール10gを入れ室温で撹拌し均一溶液とした。フラスコを遮光状態とした後、そこに合成例1で合成したジフェニル酢酸銀5.778g(0.01811mol)を添加しさらに1時間撹拌した。撹拌後、遮光下でフィルターリングを行い、析出した塩化銀を除去し、濾液を減圧濃縮して透明粘調液を得た。これをさらに24時間減圧乾燥し、固化させた後、酢酸エチルで洗浄後、ろ過し、再度24時間減圧乾燥することで、下記構造式(A7)で表されるアンモニウム塩(安定剤)A7の白色結晶 4.904g(収率79.3%)を得た。
<アンモニウム塩(安定剤)A8の合成>
撹拌器を設置した100mL三口フラスコに、テトラエチルアンモニウムクロリド(東京化成工業株式会社製)3.0g(0.01811mol)、アセトニトリル30g、及びメタノール10gを入れ室温で撹拌し均一溶液とした。フラスコを遮光状態とした後、そこに2−エチルヘキサン酸銀(和光純薬工業株式会社製)4.546g(0.01811mol)を添加しさらに1時間撹拌した。撹拌後、遮光下でフィルターリングを行い、析出した塩化銀を除去し、濾液を減圧濃縮して透明粘調液を得た。これをさらにへキサンで洗浄後、デカンテーションを行い、再度24時間減圧乾燥することで、下記構造式(A8)で表されるアンモニウム塩(安定剤)A8の透明粘調液 3.734g(収率75.4%)を得た。
<アンモウニウム塩(安定剤)A9の合成>
撹拌器を設置した100mL三口フラスコに、1−メチルピリジニウムクロリド(東京化成工業株式会社製)3.0g(0.02315mol)、アセトニトリル30g、及びメタノール10gを入れ室温で撹拌し均一溶液とした。フラスコを遮光状態とした後、そこに合成例1で合成したジフェニル酢酸銀7.388g(0.02315mol)を添加しさらに1時間撹拌した。撹拌後、遮光下でフィルターリングを行い、析出した塩化銀を除去し、濾液を減圧濃縮して透明粘調液を得た。これをさらに24時間減圧乾燥し、固化させた後、酢酸エチルで洗浄後、ろ過し、再度24時間減圧乾燥することで、下記構造式(A9)で表されるアンモウニウム塩(安定剤)A9の白色結晶 6.391g(収率90.4%)を得た。
<アンモウニウム塩(安定剤)A10の合成>
実施例9において、1−メチルピリジニウムクロリドを1−エチルピリジニウムクロリド(東京化成工業株式会社製)3.325g(0.02315mol)に変えた以外は、実施例9と同様にして、下記構造式(A10)で表されるアンモウニウム塩(安定剤)A10の白色結晶6.115g(収率82.7%)を得た。
<アンモウニウム塩B1の合成>
撹拌器、冷却管、及び温度計を設置した100mL三口フラスコに、N,N−ジメチルアニリン(東京化成工業株式会社製)5.0g(0.04126mol)、及びトルエン20gを入れ、撹拌しながら80℃に昇温した。そこに、硫酸ジメチル(和光純薬工業株式会社製)5.204g(0.04126mol)を滴下し、さらに3時間撹拌した。その後冷却、減圧ろ過し、24時間減圧乾燥することで、下記構造式(B1)で表されるアンモウニウム塩B1の白色結晶 7.071g(収率69.3%)を得た。
<アンモウニウム塩B3の合成>
撹拌器を設置した100mL三口フラスコに、トリメチルフェニルアンモニウムクロリド(東京化成工業株式会社製)3.0g(0.01748mol)、アセトニトリル30g、及びメタノール10gを入れ室温で撹拌し均一溶液とした。フラスコを遮光状態とした後、そこに過塩素酸銀(和光純薬工業株式会社製)3.623g(0.01748mol)を添加しさらに1時間撹拌した。撹拌後、遮光下でフィルターリングを行い、析出した塩化銀を除去し、濾液を減圧濃縮して透明粘調液を得た。これをさらに24時間減圧乾燥し、固化させた後、酢酸エチルで洗浄後、ろ過し、再度24時間減圧乾燥することで、下記構造式(B3)で表されるアンモウニウム塩B3の白色結晶 3.637g(収率88.3%)を得た。
<アンモウニウム塩B4の合成>
撹拌器、冷却管、温度計を設置した100mL三口フラスコに、ピリジン 3.0g(0.03793mol)、及びトルエン 20gを入れ、撹拌しながら70℃に昇温した。そこに、硫酸ジメチル(和光純薬工業株式会社製)4.784g(0.03793mol)を滴下し、さらに5時間撹拌した。その後冷却、減圧ろ過し、24時間減圧乾燥することで、下記構造式(B4)で表されるアンモウニウム塩B4の白色結晶 4.850g(収率62.3%)を得た。
表1−1及び表1−2に示す配合にしたがって熱硬化性樹脂組成物を作製した。
作製した熱硬化性樹脂組成物をシリコーン系離型処理された剥離PET(ポリエチレンテレフタレート)にコーティングし、60℃に設定された熱風循環オーブン中で5分間乾燥することにより、平均厚み15μmの熱硬化性シートを作製した。
また、構造式(1A)〜(A10)、(B1)〜(B4)で表される化合物のアニオンの共役酸の水中25℃でのpKaを表2に示した。
なお、表1における各材料は、以下のとおりである。
YP70:新日鐵住金化学株式会社製、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂
FX−316:新日鐵住金化学株式会社製、ビスF型フェノキシ樹脂
YL980:三菱化学株式会社製、ビスAタイプエポキシ樹脂
YL983U:三菱化学株式会社製、ビスFタイプエポキシ樹脂
作製した実施例11〜25及び比較例4〜10の熱硬化性シート(平均厚み15μm)の初期の低温硬化性及び保存安定性を、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の示差走査熱量測定装置DSC6200により評価した。
保存安定性は25℃/65%Rhの暗所環境下にて2週間放置前後のDSCにおける発熱量変化から減少率を算出することで評価した。
本発明では、硬化開始温度としてDSCチャートにおけるトータル発熱の2%に到達する温度、及び硬化終了温度はDSCチャートにおけるトータル発熱の95%に到達する温度を指標として低温硬化性を評価した。いずれも、より低温である方が低温硬化活性を有することになる。
また、放置前後の発熱量の変化量は放置中での反応進行量を反映する。放置前後で発熱量の変化が少ないほど保存安定性が高いと言える。エポキシ樹脂を用いた場合、具体的には放置前後の発熱量の変化量をトータル発熱の5%以下に抑えることで熱硬化性シートとしての機能は維持できる。
<測定条件>
昇温速度 10℃/min
N2ガス 100ml/min
サンプル重量 約10mg
作製した実施例11〜25及び比較例4〜10の熱硬化性シート(平均厚み15μm)の短時間硬化性を以下の方法により確認した。
<短時間硬化性の評価>
各熱硬化性シート1.5mgをエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の示差走査熱量測定装置DSC6200用の直径5mmのアルミ容器に入れ、クランプカバーをして、評価用サンプルを作製した。本サンプルをヒーター板に各々5秒間押し付けた後、示差走査熱量測定を行い、その発熱量と押し付ける前の発熱量から反応率を算出した。ヒーター板の温度は120℃及び130℃とした。
<測定条件>
昇温速度 10℃/min
N2ガス 100ml/min
サンプル重量 約1.5mg
さらに、実施例11〜20、及び比較例4〜7の結果より、本発明の安定剤を用いた本発明の熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性シートは、比較例(構造式(B1)〜(B4))の熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性シートに対し、放置前後の発熱減少率が抑えられており、保存安定性が優れているといえる。また、硬化開始及び硬化終了のいずれの温度も本発明の安定剤を添加したものが、より低温であることもわかる。さらに、短時間硬化性の評価においては、本発明の安定剤を添加したものが反応率が高いこともわかる。
また、実施例11、21〜23、比較例4、8、9の結果より、本発明の熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性シートは、本発明の安定剤の添加量を変えても保存性と低温短時間硬化性とにおいて両立が図れるのに対し、比較例の熱硬化性樹脂組成物及び熱硬化性シートは両立が困難であることがわかる。
また、本発明の安定剤及び比較化合物のアニオンの共役酸のpKa値より、pKaが−1以上で本発明の効果が得られることがわかる。
以上のことより、本発明の有用性が証明された。
Claims (9)
- フェノキシ樹脂と、カチオン硬化成分と、カチオン系硬化剤と、安定剤とを含有し、
前記安定剤が、アンモニウム塩であり、
前記アンモニウム塩におけるアニオンの共役酸の水中25℃でのpKaが、−1以上であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。 - フェノキシ樹脂と、カチオン硬化成分と、カチオン系硬化剤と、安定剤とを含有し、
前記安定剤が、アンモニウム塩であり、
前記アンモニウム塩が、下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表される化合物であり、
前記アンモニウム塩におけるアニオンの共役酸の水中25℃でのpKaが、−1以上であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
ただし、前記一般式(1)中、R1〜R4は、以下の(A)、(B)、及び(C)のいずれかを表す。X−は、アニオンを表す。
(A)R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3は、置換又は無置換のアリール基を表し、R4は、置換又は無置換のアラルキル基を表す。
(B)R1〜R4は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表す。
(C)R1〜R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R4は、置換又は無置換のアリール基を表す。
ただし、前記一般式(2)中、R1は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、それぞれ独立して、R2とR3、R3とR4、R4とR5、及びR5とR6は、一緒になって芳香環を形成してもよい。X−は、アニオンを表す。 - 一般式(1)及び一般式(2)におけるX−が、カルボン酸のアニオンである請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 一般式(1)及び一般式(2)におけるX−が、安息香酸類のアニオン、ナフタレンカルボン酸類のアニオン、ジフェニル酢酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、及び2−エチルヘキサン酸アニオンのいずれかである請求項2から3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- カチオン硬化成分が、エポキシ化合物である請求項1から4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- カチオン系硬化剤が、下記一般式(3)で表されるスルホニウムボレート錯体である請求項1から5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
前記一般式(3)中、Y+は、スルホニウムカチオンを表し、Zは、ハロゲン原子を表す。 - 一般式(3)におけるY+が、下記一般式(4)で表されるスルホニウムカチオンである請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
前記一般式(4)中、R11は、アラルキル基を表し、R12は、分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは、1〜3の整数である。 - 請求項1から7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とする熱硬化性シート。
- 下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表され、
前記一般式(1)及び前記一般式(2)におけるX − が、下記構造式(I)〜下記構造式(VI)のいずれかで表されることを特徴とする化合物。
ただし、前記一般式(1)中、R 1 〜R 4 は、以下の(A)、(B)、及び(C)のいずれかを表す。
(A)R 1 及びR 2 は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R 3 は、無置換のアリール基を表し、R 4 は、置換又は無置換のアラルキル基を表す。
(B)R 1 〜R 4 は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基を表す。
(C)R 1 〜R 3 は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R 4 は、無置換のアリール基を表す。
ただし、前記一般式(2)中、R 1 は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R 2 〜R 6 は、それぞれ独立して、水素原子、及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。それぞれ独立して、R 2 とR 3 、R 3 とR 4 、R 4 とR 5 、及びR 5 とR 6 は、一緒になって芳香環を形成してもよい。
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