JP6255986B2 - 水性顔料組成物、捺染方法及びインクジェット捺染方法 - Google Patents
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Description
スクリーン紗による捺染加工では、これら高分子量のバインダー樹脂を十分量添加していても、問題なく印刷は可能である。しかしバインダー樹脂は皮膜化しやすいために、時として、該バインダー樹脂が乾燥固着して、水に不溶性の樹脂膜が張り、スクリーン紗の目詰まりなどの問題を引き起こすことがあった。特に、細かい絵柄(網点又は線)のある写真調の図柄に適用すると、乾燥が早いためハイライト部が目詰りし易い。また、版上にインクが残っている状態で印刷作業を停止した時には、版上でインクが乾燥し、印刷作業を再開した際、乾燥固着したインクが容易に再溶解せず(これを、以後再溶解性と称す)にインク転移がしづらく、印刷ができない問題があった。
汎用の紙用印刷に使用されるインクジェット記録用水性インクは、この影響を考慮した設計が既に行われており、例えば、乾燥固着によりノズルを詰まらせないことに配慮したインクや、印字の長期休止後にノズル詰まりが発生しても、クリーニング操作で吐出可能となるインクの開発が進んでいる。(例えば特許文献3〜5参照)
しかしながら、これらの紙への印字を主目的として開発されたインクは、布への適用を考慮したものではないため、該インクを捺染用のインクジェット記録用インクとして布帛への印捺に適用した場合、堅牢性を得ることが困難であった。
堅牢性を得るために、スクリーン記録法と同等にバインダー樹脂を配合したインクは、インク粘度が高くなりすぎて吐出自体が困難であったり保存安定性が悪化する、という問題や、また前記特許文献3〜5に記載の方法であってもノズル詰まりが解消できないという場合が生じてしまう。
特許文献6に開示されたインクは、連続吐出試験法による吐出安定性に優れる旨が開示されている(例えば段落0087参照)。しかしながら、印字の長期休止後のノズル詰まりに対する知見については、なんら開示されていなかった。
本発明で使用する顔料は特に限定はなく、通常、スクリーン記録用インクや水性インクジェット記録用インクの顔料として使用されているものを着色剤として使用できる。具体的には、水や水溶性有機溶剤に分散可能な公知の無機顔料や有機顔料が使用できる。無機顔料としては例えば、酸化チタン、酸化鉄、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラック等がある。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
イエローインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、168、176、184、185、202、209、等が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:3、 15:4、16、22、60、63、66等が挙げられる。
本発明で使用する水溶性溶媒及び/または水は、従来よりインクジェット記録用水性インクの調製に用いられているものをいずれも使用できる。
水溶性溶媒としては、例えば、1価又は多価のアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、環状エーテル類、グリコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類,エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類および多価アルコールアラルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類、1,3−ジメチルイミダゾリジノンアセトン、N−メチルー2−ピロリドン、m−ブチロラクトン、グリセリンのポリオキシアルキレン付加物、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルスルホキシド、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどである。これらは、単独で用いても、又は2種以上を併用してもよい。
本発明で使用するウレタン樹脂は、特に制限はなく、ジイソシアネート化合物とジオール化合物とを反応して得られる水溶性または水分散性のポリウレタン樹脂を使用することができる。
ポリウレタン樹脂としては、望ましくは、ジオール化合物としてポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のジオールを用いて得られるポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。
ウレタンプレポリマーは、ジメチロールアルカン酸に由来する酸基を中和した後または中和しながら水延長またはジ若しくはトリアミン延長することが出来る。アミン延長の際に使用するポリアミンとしては、通常ジアミン又はトリアミンが挙げられる。また、その具体例としてはヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン等が挙げられる。上記の中和の際に使用する塩基としては、例えば、ブチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、アンモニア、水酸化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。
なお、ここでいう重量平均分子量(GPC−Mw)は、下記の条件でGPC測定により求めたものとする。
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「SuperHZ−L」(内径4.6mm×2cm)
+東ソー株式会社製「TSKgel SuperHZ4000」(内径4.6mm×15cm)
+東ソー株式会社製「TSKgel SuperHZ3000」(内径4.6mm×15cm)
+東ソー株式会社製「TSKgel SuperHZ2000」(内径4.6mm×15cm)
+東ソー株式会社製「TSKgel SuperHZ1000」(内径4.6mm×15cm)
測定条件:カラム温度 40℃
流速 0.35ml/分
試料:樹脂水溶液を乾燥固化し、樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(10μl)。
校正曲線:単分散標準ポリスチレンSTK standardポリスチレン(東ソー株式会社製)分子量4000000〜250までのサンプルによる校正曲線を使用した。
市販品としては、DIC社製のハイドランシリーズ、三洋化成工業社製のパーマリンシリーズ、三洋化成工業社製のユーコートシリーズ、アデカ社製のアデカボンタイターHUXシリーズ、バイエル社製のインプラニールシリーズ等を使用できる。
堅牢性は前述の通り使用するウレタン樹脂の分子量が寄与し、高い分子量であるほど高い堅牢性を与えるが、この他に、バインダーの使用量も堅牢性に寄与する。従って、より高い堅牢性を得るためには、バインダーの使用量は多いほうが好ましく、本発明のウレタン樹脂においては、例えば1:1〜8:1であると、より高い堅牢性を与える。但し高分子量のバインダー樹脂の過剰な使用は、高粘度化につながるため、インクジェット記録用インクに適用する場合は、粘度とのバランスを考慮してバインダーの使用量を決定することが好ましい。
本発明で使用する1,2−アルカンジオールやグリコールエーテルは、いずれも、浸透剤としてインクジェットインク用の添加剤としては公知の化合物である。
具体的には、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のように、炭素数が5または6の1,2−アルカンジオールが好ましい。これらの中でも、炭素数が6の1,2−ヘキサンジオールおよび4−メチル−1,2−ペンタンジオールがより好ましい。1,2−アルキレングリコールの添加量は、インク全体に対し0.3〜30質量%が好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。
本発明のインクは、前記顔料の分散液(顔料ペースト)を作成し、それを水溶性溶媒及び/または水で希釈し、前記ウレタン樹脂、グリコールエーテルと、1,2−アルカンジオール、必要に応じてその他の添加剤を添加して、インクを調製することができる。
前記顔料分散剤としては水性樹脂がよく、好ましい例としては、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、及び該水性樹脂の塩が挙げられる。
前記共重合体の塩を形成するための化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ金属類、およびジエチルアミン、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリンなどが挙げられる。これらの塩を形成するための化合物の使用量は、前記共重合体の中和当量以上であることが好ましい。
また市販品を使用することも勿論可能である。市販品としては、味の素ファインテクノ(株)製品)のアジスパーPBシリーズ、ビックケミー・ジャパン(株)のDisperbykシリーズ、BYK−シリーズ、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のEFKAシリーズ等を使用できる。
(1)顔料分散剤及び水を含有する水性媒体に、顔料を添加した後、攪拌・分散装置を用いて顔料を該水性媒体中に分散させることにより、顔料ペーストを調製する方法。
(2)顔料、及び顔料分散剤を2本ロール、ミキサー等の混練機を用いて混練し、得られた混練物を、水を含む水性媒体中に添加し、攪拌・分散装置を用いて顔料ペーストを調製する方法。
(3)メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等のような水と相溶性を有する有機溶剤中に顔料分散剤を溶解して得られた溶液に顔料を添加した後、攪拌・分散装置を用いて顔料を有機溶液中に分散させ、次いで水性媒体を用いて転相乳化させた後、前記有機溶剤を留去し顔料ペーストを調製する方法。
また、攪拌・分散装置としても特に限定されることなく、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザー等を挙げられる。
これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法で得た水性顔料組成物を各種インクとして使用する際は、紙等の汎用の被着体はもちろん、布帛、人工皮革、天然皮革等に対しても印字することができる。特に布帛に対しての印捺に特に優れる。
本発明で使用する布帛は、繊維で構成される媒体であることが好ましく、織物の他不織布でもよい。素材は綿、絹、羊毛、麻、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、レーヨン等の任意の天然・合成繊維からなる布帛を用いることができる。
スチレン−マレイン酸ハーフエステル((株)岐阜セラック製造所製の製品名「DSS−25」、酸価:116mgKOH/g、重量平均分子量:42,000、SP:11.0)15部、水酸化カリウム1.57部(スチレン−マレイン酸ハーフエステル中の酸性基の総量に対して0.90当量に相当する量)及び水83.43部を、撹拌機を用いて、70℃で混合撹拌することにより、半透明の樹脂分散液を得た。前記樹脂分散液85部及び銅フタロシアニン顔料(PB15:3、DIC社製の製品名FASTOGEN BLUE 5327 WET)15部(固形分換算)を混合撹拌し、この混合物に0.3mmφセラミックビーズ500部を加えた後、6筒式サンドグラインダーで6時間摩砕した。摩砕終了後、セラミックビーズを分離して、ミルベースを得た。上記で得たミルベース70部、水30部を混合撹拌し、出力600Wで超音波ホモジナイザーを用いて、3時間細分化処理して、顔料ペーストを得た。
前記顔料ペースト17.14部と、溶媒(水、水溶性溶媒、油溶性溶媒等)、バインダー樹脂としてポリウレタン樹脂(DIC(株)製 ハイドランWLS−213 重量平均分子量150,000)8.57部を添加して、実施例の水性顔料組成物を得た。各水性顔料組成物の組成は別表に示した。各例の添加時に分散攪拌機(特殊機化工業(株)製のTKホモディスパー L)にて十分攪拌した。その後、再溶解性の評価を実施した。
前記顔料ペースト17.14部と、溶媒(水、水溶性溶媒、油溶性溶媒等)、バインダー樹脂としてポリウレタン樹脂(DIC(株)製 ハイドランWLS−213 重量平均分子量150,000)8.57部を添加して、比較例の水性顔料組成物を得た。各水性顔料組成物の組成は別表に示した。各例の添加時に分散攪拌機(特殊機化工業(株)製のTKホモディスパー L)にて十分攪拌した。その後、実施例と同様の方法で、再溶解性の評価を実施した。
得られた実施例及び比較例の水性顔料組成物30μLをスライドガラス上に塗布し、実験室温で24時間および50℃にて7分間放置し、試験板を作成した。その後、室温の水に30秒間浸漬し、再び溶解するかを目視で確認した。30秒間浸漬し、取り出した後にスライドガラス上に着色成分が確認されず、かつ浸漬液に粒状の未溶解分が確認されなかったものを「良好」、スライドガラスもしくは浸漬液に若干の溶け残りが確認されたものを「やや良好」、スライドガラスもしくは浸漬液に著しく未溶解物があるものを「不良」と判定した。表中では、この判定基準を基に、下記の表1のように評価した。
なお、本実験において「良好」と判定のでる水性顔料組成物は、スクリーン記録法で再溶解性を示し、あるいはインクジェット記録法において、印字の長期休止後のクリーニング操作で、容易に吐出可能となる。
Claims (5)
- 顔料と、水溶性溶媒及び/または水と、重量平均分子量100,000〜200,000の範囲であるウレタン樹脂と、炭素数が5または6の1,2−アルカンジオールを組成物全量に対し10〜20質量%含有し、グリコールエーテルを組成物全量に対し7質量%を超えない量で含有することを特徴とする水性顔料組成物。
- 前記グリコールエーテルの含有量が、前記組成物全量に対し2.38質量%以上、かつ、7質量%を超えない量である請求項1に記載の水性顔料組成物。
- 前記ウレタン樹脂と顔料との比率が1:3〜8:1の範囲である請求項1または2に記載の水性顔料組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性顔料組成物を布帛に印捺することを特徴とする捺染方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性顔料組成物を布帛に印捺することを特徴とするインクジェット捺染方法。
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