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JP6260554B2 - 柱と梁の接合構造 - Google Patents
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Description

本発明は、柱と梁の接合構造に関し、特に、柱とH形鋼梁をブラケットを用いて接合する柱と梁の接合構造に関する。
一般的に、隣り合う柱のスパンが大きくなると、梁の剛性を確保するため、H形鋼梁の断面はウェブせいを大きくし、ウェブ板厚を薄くする(ウェブ幅厚比を大きくする)のが効率的となる。
しかし、ウェブ幅厚比を大きくすると、ウェブがフランジに先行して面外座屈を生じ、所定の耐力あるいは変形性能を得られない可能性がある。これを防止する手段として、例えば、特許文献1に示されるように、フランジに平行な横スチフナ、あるいはフランジに直交する縦スチフナを設置する補強工法が提案されている。
また、特許文献2には、横スチフナに相当する部分を圧延加工してなる突起付きH形鋼が提案されている。
一方、特許文献3には、H形鋼梁に設ける設備配管等の貫通孔を補強することを目的とした、ウェブの板厚が高さ中央部とフランジ接続部で異なるH形鋼が提案されている。
特開2002−220873号公報 特開昭61−162658号公報 特開2011−202423号公報
ウェブの座屈補剛として、横スチフナ、縦スチフナ、あるいはそれらを組み合せて設置することにより、面外座屈防止効果はあると考えられる。しかし、横スチフナや縦スチフナをウェブに溶接する場合、溶接時の熱影響により曲がりや反りを生じ、精度を確保するための矯正が必要となるとともに、溶接残留歪みによる応力集中なども問題となる。
また、特許文献2に開示されたように、ウェブ中央部に突起を付けると、柱あるいは隣接する梁とのボルト接合において、ウェブ部のガセットプレートを高さ方向に2分割するかあるいは板厚方向に湾曲した鋼板を用いるしかなく、耐力面で不十分であり、また製造が難しいという問題がある。
特許文献3に開示されたH形鋼梁は、梁貫通孔の補剛を目的としたものであり、本願発明が対象としている柱と梁の接合部において卓越する曲げモーメントが発生する際のウェブの面外座屈についての検討はなされていない。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、簡易な構造での接合が可能であり、かつ溶接残留歪みによる問題や、耐力面での問題のない柱と梁の接合構造を得ることを目的としている。
(1)本発明に係る柱と梁の接合構造は、柱とH形鋼梁を、ブラケットを用いて接合する柱と梁の接合構造であって、前記ブラケットはウェブとフランジを有するH形鋼からなり、該H形鋼は少なくとも前記ウェブが圧延により一体成形されており、かつ前記ウェブにおける前記フランジとの接続部分に前記ウェブの高さ方向の中央部の厚みよりも厚いウェブ厚肉部を有することを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記H形鋼梁はウェブの厚みが一定であり、かつ前記ブラケットにおける中央部の厚みが前記H形鋼梁のウェブの厚みと同厚に設定されていることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記ブラケットは、ウェブの高さ方向の中央部の板厚tw1と、前記ウェブ厚肉部の板厚tw2が下式を満たすことを特徴とするものである。
tw2/tw1≧0.7φ+2.5
但し、φ=d1/d
ここに、d1:ウェブ中央部の高さ
d:ウェブ高さ
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記柱と前記ブラケットとの接合部は、該ブラケットのウェブ高さ方向の中央部に当て板を取り付けて連続的な部分溶け込み溶接とし、かつ該当て板とウェブ中央部をすみ肉溶接としたことを特徴とするものである。
本発明における柱と梁の接合構造においては、柱とH形鋼梁を、ブラケットを用いて接合するに際して、前記ブラケットは圧延により一体成形されたウェブを備えたH形鋼からなり、該H形鋼はウェブにおけるフランジとの接続部分に前記ウェブの高さ方向の中央部の厚みよりも厚いウェブ厚肉部を有するようにしたので、ウェブに発生する面外座屈を効率的に防止することが可能となる。ブラケットのウェブ部である厚肉部と薄肉部とが圧延により一体成形されているため、スチフナ等の溶接手間、材料、および溶接による反りや曲がりといった製造上の問題もない。
本発明の一実施の形態に係る柱と梁の接合構造の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る柱と梁の接合構造に用いるブラケットの説明図である。 図2の矢視A−A´断面図である。 本発明の一実施の形態に係る柱と梁の接合構造におけるブラケットと角柱の接合方法の説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係る柱と梁の接合構造におけるブラケットと角柱の接合方法の説明図である(その2)。 図5の矢視C−C´断面図である。 図5の矢視D−D´断面図である。 図1の矢視B−B´断面図である。 本発明の一実施の形態に係る柱と梁の接合構造におけるブラケットとH形梁の接合方法の説明図である。 図9の矢視E−E´断面図である。 従来のスチフナ補剛方法における座屈耐力の計算方法の説明図である。 本発明のブラケットを用いた柱と梁の接合方法における座屈耐力の計算方法の説明図である。
本実施の形態に係る柱と梁の接合構造は、図1に示すように、角柱1とH形鋼梁3を、ブラケット5を用いて接合する柱梁接合構造であって、ブラケット5は圧延により一体成形されたH形鋼からなる。ブラケット5を構成するH形鋼は、図2に示すように、ウェブ7におけるフランジ9との接続部分にウェブ7の高さ方向の中央部7aの厚みよりも厚いウェブ厚肉部7bを有している。
ウェブ7の板厚が高さ方向の中央部7aとウェブ厚肉部7bで異なるH形鋼は、フランジ接続部の板厚を十分厚くすることにより、従来例における横スチフナ23による補剛と同様の効果を得られると考えられる。
この点の詳細は後述する。
角柱1とブラケット5は溶接接合され、ブラケット5とH形鋼梁3とはボルト接合されている。
角柱1とブラケット5との溶接は、図4に示すように、ウェブ中央部7aの高さに相当し、組立て溶接で用いられる裏当て金と同等の幅を持ち、かつウェブ7と同形状の開先を取った当て板11をウェブ7側とすみ肉溶接する。当て板11を溶接した状態で、図5に示すように、ブラケット5の端部を角柱1に当接させ、これにより、図6、図7に示すように、柱側と高さ方向に連続した部分溶け込み溶接が可能となる。
フランジ9と角柱1のダイアフラム13の溶接は、図5に示すように、フランジ9との接続部のウェブ7にスカラップ15を設けることで、通常の完全溶け込み溶接とすることが出来る。あるいはスカラップを設けないノンスカラップ工法を採用することも可能である。
H形鋼梁3は、図8に示すように、梁ウェブ3aと梁フランジ3bを備えている。梁ウェブ3aの厚みが一定であり、かつ梁ウェブ3aの厚みは、ブラケット5における中央部7aの厚みと同厚に設定されている。このような、H形鋼梁3とブラケット5の接合は、ガセットプレート19を用いて接続する。せん断力が小さい場合には、ウェブ中央部7aのみを用いて通常と同じ接合工法が可能である。
また、せん断力が大きく、接合部分の高さが必要となる場合は、図9、図10に示すように、T字形のフィラープレート17を、T字の縦辺側がブラケット5の中央部7aに配置されるように挿入し、フィラープレート17の上にブラケット5のウェブ厚肉部7bも含むようにガセットプレート19を配置してボルト21によって接合することで、ガセットプレート19を分割することなく接続することが可能となる。
次に、ブラケット5における、ウェブ7の高さ方向の中央部7aの板厚tw1と、ウェブ厚肉部7bの板厚tw2の好ましい関係について説明する。
H形鋼梁3の端部には曲げとせん断力が発生するが、一般的な梁長さにおいては曲げが卓越すること、また、ウェブ7のフランジ接続部に近い位置ではより曲げ応力の影響が大きいことから、ここでは簡略的に曲げによる座屈耐力を考える。
図11は、従来のスチフナ補剛方法における座屈耐力の計算方法の説明図であり、図11(a)が柱梁接合部の側面図であり、角柱1にH形鋼梁3が接合され、H形鋼梁3の梁ウェブ3aに横スチフナ23によって補剛されている。図11(b)は柱梁接合部近傍の断面図であり各部の厚み及び長さを付記した図であり、図11(c)が図11(a)の破線で示した部位の境界条件の説明図である。
図11(b)に示すように、梁ウェブ3aの高さをd、梁フランジ3bから横スチフナ23までの距離をd2、横スチフナ23と横スチフナ23で挟まれた梁ウェブ3aの高さをd1、梁ウェブ3aの厚みをtw1とし、横スチフナ23が柱からの長さdの範囲において十分な剛性をもつと仮定すると、横スチフナ23よりフランジ側のパネル部(図11(a)、図11(c)参照)における座屈耐力は、四周回転端とした圧縮+曲げの座屈耐力式として下式(1)で近似できる。
図12は、本発明のブラケット5を用いた角柱1と梁の接合方法における座屈耐力の計算方法の説明図であり、図12(a)が柱梁接合部の側面図、図12(b)がブラケット5の断面図であり各部の厚み及び長さを付記した図、図12(c)が図12(a)の破線で示した部位の境界条件の説明図である。
図12(b)に示すように、ウェブ7の高さをd、ウェブ厚肉部7bの長さをd2、中央部7aの長さをd1、中央部7aの厚みをtw1、ウェブ厚肉部7bの厚みをtw2とし、上記の図11に示した従来例の場合と同様に、上記パネル部に相当する部分を板厚の厚いパネル部とすると、座屈耐力は3辺回転端、1辺自由端の座屈耐力式として、下式(2)で近似できる。
図12に示した本発明のパネル部に相当する部位の座屈耐力が、図11に示したスチフナ設置のパネル部の座屈耐力以上を確保することを条件とすると、フランジ接合部の板厚と中央部7aの板厚の比(tw2/tw1)は上記(1)式、(2)式から以下で表現できる。
σcr2≧σcr1
tw2/tw1≧(k1/k21/2≒0.7φ+2.5
但し、φ=d1/d
ここに、d1:中央部7aの高さ
d:ウェブ高さ
よって、例えば、ブラケット5における中央部7aの高さを全高の1/3と仮定すると、tw2>2.73tw1とすることで、従来例のスチフナ設置と同等の座屈耐力を得ることができる。
なお、上記の実施の形態では、角柱1とブラケット5との接合部は、ブラケット5のウェブ7の高さ方向の中央部7aに当て板11を取り付けて連続的な部分溶け込み溶接としたが、柱側にブラケット5に向けて突出するシアプレートを取り付け、シアプレートとブラケット5をボルト接合するようにしてもよい。
また、上記の実施の形態では、ブラケット5とH形鋼梁3を、ガセットプレート19を用いてボルト接合する例を示したが、両者を溶接によって接合してもよい。
本実施の形態においては、角柱1とH形鋼梁3を、ブラケット5を用いて接合するに際して、ブラケット5として圧延により一体成形されたH形鋼を用い、該H形鋼はウェブ7におけるフランジ9との接続部分にウェブ7の高さ方向の中央部7aの厚みよりも厚いウェブ厚肉部7bを有するようにしたので、ウェブ7に発生する面外座屈を効率的に防止することが可能となる。ブラケット5のウェブである厚肉部と薄肉部とが圧延により一体成形されているため、スチフナ等の溶接手間、材料、および溶接による反りや曲がりといった製造上の問題もない。
また、ウェブ厚肉部7bを有するH形鋼をブラケット5に用い、発生する曲げ応力分布に応じた座屈耐力式からブラケット5の断面形状を決定する方法を提案したことにより、ブラケット5における必要板厚の算定が可能となる。
さらに、各柱とウェブ厚肉部7bを有するH形鋼からなるブラケット5の接合部において、ブラケット5の中央部7aに当て板11を取り付けるようにしたので、ブラケット5の高さ方向に連続した部分溶け込み溶接とすることが可能となり、効率的な施工が可能となる。
また、ブラケットとの接合部は、該ブラケットのウェブ高さ方向の中央部に当て板を取り付けて連続的な部分溶け込み溶接とし、かつ該当て板とウェブ中央部をすみ肉溶接としたことで、厚肉部から薄肉部への効率的なせん断力の伝達が可能となる。
なお、上記の説明では、柱として角柱1を例示したが、柱は角柱に限定されるものではなく、円柱も含み、この場合にも、柱側にブラケット5に向けて突出するシアプレートを取り付けるようにしてもよい。
また、上記の本実施の形態では、ブラケット5を構成するH形鋼として圧延により一体成形されたものを例示したが、本発明のブラケットはこれに限定されず、少なくともウェブが圧延により一体成形されておればよく、フランジをウェブに溶接して形成された溶接組立H形鋼であってよい。
1 角柱
3 H形鋼梁
3a 梁ウェブ
3b 梁フランジ
5 ブラケット
7 ウェブ
7a 中央部
7b ウェブ厚肉部
9 フランジ
11 当て板
13 ダイアフラム
15 スカラップ
17 フィラープレート
19 ガセットプレート
21 ボルト
23 横スチフナ

Claims (5)

  1. 柱とH形鋼梁を、ブラケットを用いて接合する柱と梁の接合構造であって、
    前記H形鋼梁はウェブの厚みが一定であり、
    前記ブラケットはウェブとフランジを有するH形鋼からなり、該H形鋼は少なくとも前記ウェブが圧延により一体成形されており、かつ前記ウェブにおける前記フランジとの接続部分に前記ウェブの高さ方向の中央部の厚みよりも厚いウェブ厚肉部を有し、中央部の厚みが前記H形鋼梁のウェブの厚みと同厚に設定されていることを特徴とする柱と梁の接合構造。
  2. 柱とH形鋼梁を、ブラケットを用いて接合する柱と梁の接合構造であって、
    前記ブラケットはウェブとフランジを有するH形鋼からなり、該H形鋼は少なくとも前記ウェブが圧延により一体成形されており、かつ前記ウェブにおける前記フランジとの接続部分に前記ウェブの高さ方向の中央部の厚みよりも厚いウェブ厚肉部を有し、
    前記ブラケットは、ウェブの高さ方向の中央部の板厚t w1 と、前記ウェブ厚肉部の板厚t w2 が下式を満たすことを特徴とする柱と梁の接合構造。
    tw2/tw1≧0.7φ+2.5
    但し、φ=d1/d
    ここに、d1:ウェブ中央部の高さ
    d:ウェブ高さ
  3. 柱とH形鋼梁を、ブラケットを用いて接合する柱と梁の接合構造であって、
    前記ブラケットはウェブとフランジを有するH形鋼からなり、該H形鋼は少なくとも前記ウェブが圧延により一体成形されており、かつ前記ウェブにおける前記フランジとの接続部分に前記ウェブの高さ方向の中央部の厚みよりも厚いウェブ厚肉部を有し、
    前記柱と前記ブラケットとの接合部は、該ブラケットのウェブ高さ方向の中央部に当て板を取り付けて連続的な部分溶け込み溶接とし、かつ該当て板とウェブ中央部をすみ肉溶接としたことを特徴とする柱と梁の接合構造。
  4. 前記ブラケットは、ウェブの高さ方向の中央部の板厚tw1と、前記ウェブ厚肉部の板厚tw2が下式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の柱と梁の接合構造。
    tw2/tw1≧0.7φ+2.5
    但し、φ=d1/d
    ここに、d1:ウェブ中央部の高さ
    d:ウェブ高さ
  5. 前記柱と前記ブラケットとの接合部は、該ブラケットのウェブ高さ方向の中央部に当て板を取り付けて連続的な部分溶け込み溶接とし、かつ該当て板とウェブ中央部をすみ肉溶接としたことを特徴とする請求項1、2、4のいずれか一項に記載の柱と梁の接合構造。
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