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JP6282266B2 - 導波管、導波管の製造方法、及び、無線伝送システム - Google Patents
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JP6282266B2 - 導波管、導波管の製造方法、及び、無線伝送システム - Google Patents

導波管、導波管の製造方法、及び、無線伝送システム Download PDF

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Description

本開示は、導波管、導波管の製造方法、及び、無線伝送システムに関する。
電磁波、特に、マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波などの高周波の信号を伝送する導波管には、中空導波管や誘電体導波管がある。誘電体導波管は、中空導波管よりも屈曲性に優れている。この誘電体導波管として、伝送効率を低下させることなく、可撓性を持たせるために、誘電体棒の表面に金属テープを螺旋状に巻き付けるようにした構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−195605号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術にあっては、誘電体の周りを金属導体で隙間なく覆うのが難しいとともに、導波管を曲げると、誘電体と金属導体との間に隙間が生じる。誘電体と金属導体との間に隙間があると、誘電体導波管の伝送特性が低下する。また、特許文献1の図5には、断面が長方形の誘電体棒の外周に金属メッキ層を設ける技術的事項も記載されている。しかしながら、誘電体の周りの導体を単純に金属メッキ層としただけでは、誘電体導波管を曲げたときに、金属メッキ層にクラックが入り易い。すなわち、誘電体の周りを単純に金属メッキ層だけで覆った構造の誘電体導波管は、曲げなどの変形に対して弱い。
そこで、本開示は、曲げなどの変形に対して強い導波管、当該導波管の製造方法、及び、当該導波管を用いる無線伝送システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本開示の導波管は、
電界が交差する2面を有する誘電体と、
電界が交差する誘電体の2面を覆う金属メッキ層と、
金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体の周りを覆う保護層と、
を有する。
上記の目的を達成するための本開示の導波管の製造方法は、
電界が交差する誘電体の2面に金属メッキを施す工程と、
金属メッキが施された2面を含む誘電体の周りを保護層で覆う工程と、
の各処理を順に実行する。
上記の目的を達成するための本開示の無線伝送システムは、
高周波の信号を送信する送信部と、
高周波の信号を受信する受信部と、
送信部と受信部との間で高周波の信号を伝送する導波管と、
を備え、
導波管は、
電界が交差する2面を有する誘電体と、
電界が交差する誘電体の2面を覆う金属メッキ層と、
金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体の周りを覆う保護層と、
を有する。
誘電体を用いた導波管(誘電体導波管)において、電界が交差する誘電体の2面に金属メッキが施されていることで、誘電体の2面と金属との密着性が上がる、即ち、誘電体の2面を隙間なく金属で覆うことができる。そして、金属メッキが施された2面を含む誘電体の周りが保護層で覆われていることで、誘電体導波管を曲げたときに金属メッキ層にクラックが入るのを防ぐことができる。これにより、曲げなどの変形に対して強い導波管構造とすることができる。
本開示によれば、曲げなどの変形に対して強い構造の導波管を提供できる。
尚、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、これに限定されるものではなく、また付加的な効果があってもよい。
図1Aは、本開示の技術が適用される無線伝送システムの構成の一例を示すブロック図であり、図1Bは、無線伝送システムにおける送信部及び受信部の具体的な構成の一例を示すブロック図である。 図2Aは、本開示の実施形態に係る誘電体導波管の構成の概略を示す斜視図であり、図2Bは、本開示の実施形態に係る誘電体導波管の導波方向に垂直な断面構造を示す断面図であり、図2Cは、誘電体(誘電体素材)の断面形状の変形例を示す断面図である。 図3Aは、誘電体の長辺側の2面に隙間がある場合における、反射損失[dB]についてのシミュレーション結果を示す図であり、図3Bは、通過損失[dB]についてのシミュレーション結果を示す図である。 図4Aは、誘電体の短辺側の2面に隙間がある場合における、反射損失[dB]についてのシミュレーション結果を示す図であり、図4Bは、通過損失[dB]についてのシミュレーション結果を示す図である。 図5は、本開示の誘電体導波管の製造方法の手順を示す工程図である。
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料などは例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示の導波管、導波管の製造方法、及び、無線伝送システム、全般に関する説明
2.本開示の技術が適用される無線伝送システム
3.実施形態に係る導波管
3−1.誘電体導波管の構成
3−2.誘電体の断面形状の変形例
3−3.誘電体導波管の製造方法
4.本開示の構成
<本開示の導波管、導波管の製造方法、及び、無線伝送システム、全般に関する説明>
電磁波、特に、マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波などの高周波の信号を、導波管を媒体として伝送する無線伝送システムは、電子機器、情報処理装置、半導体装置などの各種の装置相互間の信号の伝送や、1つの装置(機器)における回路基板相互間の信号の伝送などに用いて好適なものである。この無線伝送システムにおいて、高周波の信号を伝送する導波管は、装置相互間や回路基板相互間を接続するケーブルとしての機能を持つことから、導波管ケーブルと呼称される場合もある。
高周波のうち、例えばミリ波は、周波数が30[GHz]〜300[GHz](波長が1[mm]〜10[mm])の電波である。ミリ波帯で信号伝送を行うことで、Gbpsオーダー(例えば、5[Gbps]以上)の高速な信号伝送を実現することができるようになる。Gbpsオーダーの高速な信号伝送が求められる信号としては、例えば、映画映像やコンピュータ画像などのデータ信号を例示することができる。また、ミリ波帯での信号伝送は、耐干渉性に優れており、装置相互間のケーブル接続における他の電気配線に対して妨害を与えずに済むという利点もある。
高周波の信号、例えばミリ波帯の信号を伝送する無線伝送システムにおいて、導波管としては、中空導波管であってもよいし、誘電体導波管であってもよいが、中空導波管よりも屈曲性に優れている誘電体導波管を用いるのが好ましい。誘電体導波管において、電磁波は、波長(周波数)等に応じた電磁界を形成しながら誘電体の中を伝播する。
本開示の導波管は、電界が交差する2面を有する誘電体と、電界が交差する誘電体の2面を覆う金属メッキ層と、金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体の周りを覆う保護層と、を有する。この導波管、即ち、誘電体導波管にあっては、保護層を、金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体に巻き付けられたシート状の導体から成る構成とすることができる。このとき、シート状の導体として、好ましくは、金属テープを用いるとよい。
上述した好ましい構成を含む本開示の導波管、導波管の製造方法、及び、無線伝送システムにあっては、金属メッキ層と金属テープとを、同じ金属材料から成る構成とすることができる。あるいは又、金属メッキ層については、保護層を形成する金属テープよりも導電率が高い金属材料から成る構成とすることができる。
また、上述した好ましい構成を含む本開示の導波管、導波管の製造方法、及び、無線伝送システムにあっては、誘電体について、導波方向に垂直な断面形状が矩形であり、断面の長辺側の2面が、電界が交差する2面である構成とすることができる。このとき、誘電体は、矩形断面の角部が円弧状に形成されていてもよいし、矩形断面の短辺側の2面が円弧状に形成されていてもよい。ここに、「導波方向」とは、電磁波が誘電体の中を伝播する方向である。
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示の導波管、導波管の製造方法、及び、無線伝送システムにあっては、誘電体について、導波方向に垂直な断面形状が楕円形状であり、断面の長辺側の2面が、電界が交差する2面である構成とすることができる。
本開示の導波管の製造方法は、誘電体の電界が交差する2面に金属メッキを施す工程と、金属メッキが施された2面を含む誘電体の周りを保護層で覆う工程と、の各処理を順に実行する製造方法である。この製造方法にあって、誘電体はシート状の形状を有し、金属メッキを施す工程では、シート状の誘電体の両面に金属メッキを施す構成とすることができる。
また、上述した好ましい構成を含む本開示の導波管の製造方法にあっては、金属メッキを施す工程及び保護層で覆う工程に加えて、両面に金属メッキが施されたシート状の誘電体を所定の幅で短冊状にカットする工程を有する構成とすることができる。このとき、保護層で覆う工程では、金属メッキが施され、短冊状にカットされた誘電体にシート状の導体を巻き付ける構成とすることができる。
<本開示の技術が適用される無線伝送システム>
本開示の技術が適用される無線伝送システムの構成の一例について、図1A及び図1Bを用いて説明する。図1Aは、本開示の技術が適用される無線伝送システムの構成の一例を示すブロック図であり、図1Bは、無線伝送システムにおける送信部及び受信部の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本適用例に係る無線伝送システム1は、高周波の信号を送信する送信部10と、高周波の信号を受信する受信部20と、送信部10と受信部20との間で高周波の信号を伝送する誘電体導波管(誘電体導波管ケーブル)30と、を備える構成となっている。
ここでは、高周波の信号として例えばミリ波帯の信号を、誘電体導波管を用いて伝送する無線伝送システムを例に挙げて説明する。
因みに、高周波の信号がミリ波帯の信号(ミリ波通信)であることで、次のような利点がある。
a)ミリ波通信は通信帯域を広く取れるため、データレートを大きくとることが簡単にできる。
b)伝送に使う周波数が他のベースバンド信号処理の周波数から離すことができ、ミリ波とベースバンド信号の周波数の干渉が起こり難い。
c)ミリ波帯は波長が短いため、波長に応じて決まる導波構造を小さくできる。加えて、距離減衰が大きく回折も少ないため電磁シールドが行ない易い。
d)通常の無線通信では、搬送波の安定度については、干渉などを防ぐために厳しい規制がある。そのような安定度の高い搬送波を実現するためには、高い安定度の外部周波数基準部品と逓倍回路やPLL(位相同期ループ回路)などが用いられ、回路規模が大きくなる。これに対して、ミリ波通信では、容易に外部に漏れないようにできるとともに、安定度の低い搬送波を伝送に使用することができ、回路規模の増大を抑えることができる。
ミリ波の信号を伝送する、本適用例に係る無線伝送システム1において、送信部10は、伝送対象の信号をミリ波の信号に変換し、誘電体導波管30へ出力する処理を行う。受信部20は、誘電体導波管30を通して伝送されるミリ波の信号を受信し、元の伝送対象の信号に戻す(復元する)処理を行う。
本適用例にあっては、送信部10は、第1の通信装置100内に設けられ、受信部20は、第2の通信装置200内に設けられる。この場合、誘電体導波管30は、第1の通信装置100と第2の通信装置200の間で高周波の信号を伝送するということもなる。誘電体導波管30を通して信号の送受信を行う各通信装置100,200においては、送信部10と受信部20とが対となって組み合させて配置される。第1の通信装置100と第2の通信装置200との間の信号の伝送方式については、片方向(一方向)の伝送方式であってもよいし、双方向の伝送方式であってもよい。
送信部10(第1の通信装置100)と受信部20(第2の通信装置200)とは、予め定められた範囲内に配置される。ここで、「予め定められた範囲」とは、高周波の信号がミリ波の信号であるから、ミリ波の伝送範囲を制限できる限りにおいてであればよい。典型的には、放送や一般的な無線通信で使用される通信装置相互間の距離に比べて距離が短い範囲が「予め定められた範囲」に該当する。
送信部10と受信部20とが予め定められた範囲内に配置される形態としては、図1Aに示すように、別々の通信装置(電子機器)、即ち、第1の通信装置100と第2の通信装置200とに配置される形態の他、次のような形態を例示することができる。例えば、1つの電子機器内において別々の回路基板に送信部10と受信部20とが配置される形態で考えられる。この形態の場合、一方の回路基板が第1の通信装置100に相当し、他方の回路基板が第2の通信装置200に相当することになる。
その他に、1つの電子機器内において別々の半導体チップに送信部10と受信部20とが配置される形態が考えられる。この形態の場合、一方の半導体チップが第1の通信装置100に相当し、他方の半導体チップが第2の通信装置200に相当することになる。更に、同一の回路基板上における別々の回路部に送信部10と受信部20とが配置される形態が考えられる。この形態の場合、一方の回路部が第1の通信装置100に相当し、他方の回路部が第2の通信装置200に相当することになる。但し、これらの形態に限られるものではない。
一方、第1の通信装置100と第2の通信装置200との組み合わせとしては、一例として、次のような組み合わせが考えられる。但し、以下に例示する組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
第2の通信装置200が携帯電話機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ゲーム機、リモートコントローラなどのバッテリ駆動機器である場合には、第1の通信装置100は、そのバッテリ充電器や画像処理などを行う、所謂ベースステーションと称される装置となる組み合わせが考えられる。また、第2の通信装置200が比較的薄いICカードのような外観を有する装置である場合には、第1の通信装置100は、そのカード読取/書込装置となる組み合わせが考えられる。カード読取/書込装置は更に、例えば、デジタル記録/再生装置、地上波テレビジョン受像機、携帯電話機、ゲーム機、コンピュータなどの電子機器本体と組み合わせて使用される。また、撮像装置への適用であれば、例えば、第1の通信装置100がメイン基板側で第2の通信装置200が撮像基板側になり、1つの装置(機器)内での信号伝送を行うことになる。
次に、図1Bを用いて、送信部10及び受信部20の具体的な構成の一例について説明する。
送信部10は、例えば、伝送対象の信号を処理してミリ波の信号を生成する信号生成部11を有している。信号生成部11は、伝送対象の信号をミリ波の信号に変換する信号変換部であり、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying:振幅偏移)変調回路から成る構成となっている。具体的には、信号生成部11は、発振器111から与えられるミリ波の信号と伝送対象の信号とを乗算器112で乗算することによってミリ波のASK変調波を生成し、バッファ113を介して出力する構成を採っている。送信部10と誘電体導波管30との間には、コネクタ装置40が介在している。コネクタ装置40は、例えば、容量結合、電磁誘導結合、電磁界結合、共振器結合などによって、送信部10と誘電体導波管30とを結合する。
一方、受信部20は、例えば、誘電体導波管30を通して与えられるミリ波の信号を処理して元の伝送対象の信号を復元する信号復元部21を有している。信号復元部21は、受信したミリ波の信号を、元の伝送対象の信号に変換する信号変換部であり、例えば、自乗(二乗)検波回路から成る構成となっている。具体的には、信号復元部21は、バッファ211を通して与えられるミリ波の信号(ASK変調波)を乗算器212で自乗することによって元の伝送対象の信号に変換し、バッファ213を通して出力する構成を採っている。誘電体導波管30と受信部20との間には、コネクタ装置50が介在している。コネクタ装置50は、例えば、容量結合、電磁誘導結合、電磁界結合、共振器結合などによって、誘電体導波管30と受信部20とを結合する。
誘電体導波管30は、ミリ波を誘電体内に閉じ込めつつ伝送する導波構造で構成し、ミリ波帯域の電磁波を効率よく伝送させる特性を有するものとする。例えば、一定範囲の比誘電率と一定範囲の誘電正接を持つ誘電体素材を含んで構成された誘電体導波管30にするとよい。
ここで、「一定範囲」については、誘電体素材の比誘電率や誘電正接が、所望の効果が得られる程度の範囲であればよく、その限りにおいて予め定めた値のものとすればよい。但し、誘電体導波管30の特性については、誘電体素材そのものだけで決められるものではなく、伝送路長やミリ波の周波数(波長)も特性を決めるのに関係してくる。従って、必ずしも、誘電体素材の比誘電率や誘電正接について明確に定められるものではないが、一例としては、次のように設定することができる。
誘電体導波管30内にミリ波の信号を高速に伝送させるためには、誘電体素材の比誘電率は、2〜10(好ましくは、3〜6)程度とし、その誘電正接は0.00001〜0.01(好ましくは、0.00001〜0.001)程度とするのが望ましい。このような条件を満たす誘電体素材としては、例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、シリコーン系、ポリイミド系、シアノアクリレート樹脂系から成るものを例示することができる。
<実施形態に係る導波管>
上記の構成の無線伝送システム1において、送信部10と受信部20との間で高周波の信号を伝送する誘電体導波管(誘電体導波管ケーブル)30として、以下に説明する、本開示の実施形態に係る誘電体導波管を用いることとする。そして、本実施形態に係る誘電体導波管を誘電体導波管30として用いる無線伝送システムが、本開示の無線伝送システムということになる。
[誘電体導波管の構成]
図2Aは、本開示の実施形態に係る誘電体導波管の構成の概略を示す斜視図であり、図2Bは、本開示の実施形態に係る誘電体導波管の導波方向に垂直な断面構造を示す断面図である。ここに、「導波方向」とは、電磁波が誘電体の中を伝播する方向である。
図2A及び図2Bに示すように、誘電体導波管30において、誘電体(誘電体素材)31は、導波方向に垂直な断面形状が矩形であり、当該誘電体31の中を電磁波が伝播する際に、図中矢印で示す電界Eが交差する(例えば、直交する)2面と、電界Eと平行な2面とを有する。そして、電界Eが交差する2面が断面の長辺側の互いに対向する2面となり、電界Eと平行な2面が断面の短辺側の互いに対向する2面となる。
本実施形態に係る誘電体導波管30は、誘電体(誘電体素材)31の他、電界Eが交差する誘電体31の2面を覆う金属メッキ層32と、金属メッキ層32で覆われた2面を含む誘電体31の周りを覆う保護層33と、を有する構成となっている。金属メッキ層32を形成する金属材料としては、金、アルミニウム、銅等を例示することができる。但し、これらの金属材料に限定されるものではない。
保護層33は、金属メッキ層32で覆われた2面を含む誘電体31に、例えば螺旋状に巻き付けられたシート状の導体から成る構成となっている。シート状の導体としては、例えば、金属テープを例示することができる。但し、これは一例であって、金属テープに限られるものではない。金属テープの金属材料としては、金属メッキ層32と同じ金属材料であってもよいし、金属メッキ層32と異なる金属材料であってもよい。尚、導電率の観点からすると、金属メッキ層32は、保護層33を形成する金属テープよりも導電率が高い金属材料から成るのが好ましい。
[誘電体の断面形状の変形例]
図2Cは、誘電体(誘電体素材)の断面形状の変形例を示す断面図である。誘電体31の導波方向に垂直な断面形状については、矩形の形状の他、矩形断面の角部が円弧状に形成された断面形状(変形例1)や、矩形断面の短辺側の2面が円弧状に形成された断面形状(変形例2)であってもよい。また、誘電体31の導波方向に垂直な断面形状が楕円形状(変形例3)であってもよい。断面形状が楕円形状の場合、断面の曲率が大きい側の2面が、電界Eが交差する2面となる。
上述したように、本実施形態に係る誘電体導波管30にあっては、電界Eが交差する誘電体31の2面、即ち、長辺側の2面が金属メッキ層32で覆われている。すなわち、長辺側の2面に金属メッキが施されている。金属メッキが施されていることで、誘電体31の長辺側の2面と金属(金属メッキ層32)との密着性が上がる、即ち、誘電体31の長辺側の2面を隙間なく金属で覆うことができる。これにより、誘電体導波管30を曲げても、長辺側の2面と金属との間に隙間が生じないため、誘電体導波管30の伝送特性の向上を図ることができる。因みに、短辺側の2面に隙間が生じても、伝送特性に大きな影響はない。
ここで、誘電体31の長辺側の2面に隙間がある場合と、短辺側の2面に隙間がある場合とのシミュレーション結果を比較する。図3Aに、誘電体31の長辺側の2面に隙間がある場合における、反射損失[dB]についてのシミュレーション結果を、図3Bに、通過損失[dB]についてのシミュレーション結果をそれぞれ示す。また、図4Aに、誘電体31の短辺側の2面に隙間がある場合における、反射損失[dB]についてのシミュレーション結果を、図4Bに、通過損失[dB]についてのシミュレーション結果をそれぞれ示す。
これらは、次のような条件下におけるシミュレーション結果である。その条件とは、誘電体31の材料が、比誘電率2.1、誘電正接0.0002のPTFE(polytetrafluoroethylene:四フッ化エチレン樹脂)であり、誘電体31のサイズが幅3[mm]、高さ1.5[mm]である。また、金属メッキ層32等の外部導体の材料が厚さ0.1[mm]の銅であり、誘電体導波管30の長さが5[cm]であるとする。そして、長辺側の2面及び短辺側の2面の隙間を0.3[mm]としている。
誘電体31の長辺側の2面に隙間がある場合には隙間がない場合に比べて、図3Aから明らかなように反射損失[dB]が増大するし、図3Bから明らかなように、通過損失[dB]も増えてリップルも増える。一方、誘電体31の短辺側の2面に隙間がある場合には長辺側の2面に隙間がある場合に比べて、図3A及び図3Bと図4A及び図4Bとの対比から明らかなように、反射損失[dB]及び通過損失[dB]への影響が少ないことがわかる。
上記のシミュレーション結果から明らかなように、誘電体31の長辺側の2面と金属との間に隙間が生じないこと、即ち、密着性に優れていることが重要である。従って、誘電体31の長辺側の2面に金属メッキを施し、長辺側の2面と金属との間に隙間が生じないようにすることで、誘電体導波管30の伝送特性の向上を図ることができるのである。また、誘電体31の長辺側及び短辺側の4面を金属メッキする場合に比べて、材料費や工程数の削減を図ることができるため、誘電体導波管30のコストを低減できる利点もある。
また、金属メッキが施された長辺側の2面を含む誘電体31の周りが保護層33で覆われていることで、誘電体導波管30を曲げたときに、保護層33の作用によって金属メッキ層32にクラックが入るのを防ぐことができる。従って、曲げなどの変形に対して強い構造の誘電体導波管30を実現することができる。
[誘電体導波管の製造方法]
次に、本開示の誘電体導波管の製造方法、即ち、上記の構成の誘電体導波管30の製造方法の一例について、図5の工程図を用いて説明する。
先ず、厚みHのシート状の誘電体素材(誘電体)300を用意し、当該誘電体素材300の両面に対し、金、アルミニウム、銅等の金属材料によって金属メッキを施す(図5の工程1)。次に、金属メッキが施されたシート状の誘電体素材300を、所定の幅Wで短冊状にカットする(図5の工程2)。最後に、2面に金属メッキが施され、短冊状にカットされた誘電体31に対して、シート状の導体、例えば金属テープを、例えば螺旋状に巻き付けることによって、金属メッキが施された2面を含む誘電体31の周りを導体シートで覆う(図5の工程3)。
上記の工程1〜工程3の各処理を順に実行する製造方法によれば、幅W、高さHの誘電体31の2面が金属メッキ層32で覆われ、当該2面を含む誘電体31の周りが保護層33で覆われた誘電体導波管30を作製することができる。この製造方法では、誘電体31の2面に金属メッキを施すだけなので、4面に金属メッキを施す場合に比べて、材料費や工程数の削減を図ることができる。従って、誘電体導波管30のコストの低減に寄与できる。しかも、金属メッキが施されたシート状の誘電体素材300を短冊状にカットするだけでよいため、量産性に優れている。
この製造方法では、シート状の誘電体素材300の両面に金属メッキを施し、しかる後短冊状にカットするとしたが、原理的には、幅W、高さHの誘電体素材の2面に金属メッキを施すようにすることも可能である。
尚、上記の実施形態では、本開示の誘電体導波管について、導波方向に垂直な断面形状が矩形の導波管あるいは楕円の導波管を例に挙げて説明したが、これらに限られるものではなく、導波管の内側に導波方向(長手方向)に沿ってリッジが設けられたリッジ導波管であってもよい。
<本開示の構成>
尚、本開示は以下のような構成を取ることもできる。
[1]電界が交差する2面を有する誘電体と、
電界が交差する誘電体の2面を覆う金属メッキ層と、
金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体の周りを覆う保護層と、
を有する導波管。
[2]保護層は、金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体に巻き付けられたシート状の導体から成る上記[1]に記載の導波管。
[3]シート状の導体は、金属テープである上記[2]に記載の導波管。
[4]金属メッキ層と金属テープとは、同じ金属材料から成る上記[3]に記載の導波管。
[5]金属メッキ層は、金属テープよりも導電率が高い金属材料から成る上記[3]に記載の導波管。
[6]誘電体は、導波方向に垂直な断面形状が矩形であり、断面の長辺側の2面が、電界が交差する2面である上記[1]乃至上記[5]のいずれかに記載の導波管。
[7]誘電体は、矩形断面の角部が円弧状に形成されている上記[6]に記載の導波管。
[8]誘電体は、矩形断面の短辺側の2面が円弧状に形成されている上記[6]に記載の導波管。
[9]誘電体は、導波方向に垂直な断面形状が楕円形状であり、断面の曲率が大きい側の2面が、電界が交差する2面である上記[1]乃至上記[5]のいずれかに記載の導波管。
[10]高周波の信号を伝送する上記[1]乃至上記[9]のいずれかに記載の導波管。
[11]高周波の信号は、ミリ波帯の信号である上記[10]に記載の導波管。
[12]電界が交差する誘電体の2面に金属メッキを施す工程と、
金属メッキが施された2面を含む誘電体の周りを保護層で覆う工程と、
の各処理を順に実行する導波管の製造方法。
[13]誘電体はシート状の形状を有し、
金属メッキを施す工程では、シート状の誘電体の両面に金属メッキを施す上記[12]に記載の導波管の製造方法。
[14]両面に金属メッキが施されたシート状の誘電体を所定の幅で短冊状にカットする工程を有する上記[13]に記載の導波管の製造方法。
[15]保護層で覆う工程では、金属メッキが施され、短冊状にカットされた誘電体にシート状の導体を巻き付ける上記[14]に記載の導波管の製造方法。
[16]シート状の導体は、金属テープである上記[15]に記載の導波管の製造方法。
[17]高周波の信号を送信する送信部と、
高周波の信号を受信する受信部と、
送信部と受信部との間で高周波の信号を伝送する導波管と、
を備え、
導波管は、
電界が交差する2面を有する誘電体と、
電界が交差する誘電体の2面を覆う金属メッキ層と、
金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体の周りを覆う保護層と、
を有する無線伝送システム。
[18]高周波の信号は、ミリ波帯の信号である上記[17]に記載の無線伝送システム。
1・・・無線伝送システム、10・・・送信部、11・・・信号生成部、20・・・受信部、21・・・信号復元部、30・・・誘電体導波管、31・・・誘電体、32・・・金属メッキ層、33・・・保護層、40,50・・・コネクタ装置、100・・・第1の通信装置、111・・・発振器、112,212・・・乗算器、113,211,213・・・バッファ、200・・・第2の通信装置、300・・・シート状の誘電体素材

Claims (17)

  1. 電界が交差する2面を有する誘電体と、
    電界が交差する誘電体の2面を覆う金属メッキ層と、
    金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体の周りを覆う保護層と、
    を有し、
    保護層は、金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体に巻き付けられたシート状の導体から成る導波管。
  2. シート状の導体は、金属テープである請求項1に記載の導波管。
  3. 金属メッキ層と金属テープとは、同じ金属材料から成る請求項3に記載の導波管。
  4. 金属メッキ層は、金属テープよりも導電率が高い金属材料から成る請求項3に記載の導波管。
  5. 誘電体は、導波方向に垂直な断面形状が矩形であり、断面の長辺側の2面が、電界が交差する2面である請求項1に記載の導波管。
  6. 誘電体は、矩形断面の角部が円弧状に形成されている請求項6に記載の導波管。
  7. 誘電体は、矩形断面の短辺側の2面が円弧状に形成されている請求項6に記載の導波管。
  8. 誘電体は、導波方向に垂直な断面形状が楕円形状であり、断面の曲率が大きい側の2面が、電界が交差する2面である請求項1に記載の導波管。
  9. 高周波の信号を伝送する請求項1に記載の導波管。
  10. 高周波の信号は、ミリ波帯の信号である請求項10に記載の導波管。
  11. 電界が交差する誘電体の2面に金属メッキを施す工程と、
    シート状の導体から成る保護層を金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体に巻き付け、以て、金属メッキが施された2面を含む誘電体の周りを保護層で覆う工程と、
    の各処理を順に実行する導波管の製造方法。
  12. 誘電体はシート状の形状を有し、
    金属メッキを施す工程では、シート状の誘電体の両面に金属メッキを施す請求項12に記載の導波管の製造方法。
  13. 両面に金属メッキが施されたシート状の誘電体を所定の幅で短冊状にカットする工程を有する請求項13に記載の導波管の製造方法。
  14. 保護層で覆う工程では、金属メッキが施され、短冊状にカットされた誘電体にシート状の導体を巻き付ける請求項14に記載の導波管の製造方法。
  15. シート状の導体は、金属テープである請求項15に記載の導波管の製造方法。
  16. 高周波の信号を送信する送信部と、
    高周波の信号を受信する受信部と、
    送信部と受信部との間で高周波の信号を伝送する導波管と、
    を備え、
    導波管は、
    電界が交差する2面を有する誘電体と、
    電界が交差する誘電体の2面を覆う金属メッキ層と、
    金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体の周りを覆う保護層と、
    を有し、
    保護層は、金属メッキ層で覆われた2面を含む誘電体に巻き付けられたシート状の導体から成る無線伝送システム。
  17. 高周波の信号は、ミリ波帯の信号である請求項17に記載の無線伝送システム。
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