JP6283441B2 - フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とその硬化物 - Google Patents
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Description
しかしながら、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーは、粒子同士の凝集力が強く、特に、油性溶剤などの非水系溶剤中に微粒子径で低粘度、保存安定性に優れた形で分散することは難しいという課題があった。
この特許文献4に記載の技術は、PTFE粒子と、少なくとも1つのモノ又はポリオレフィン系不飽和油又は油混合物とからなり、該オレフィン系不飽和油の分子はPTFE(一次)粒子表面上で、ラジカル反応により共有結合/化学結合されており、かつその際にPTFE粒子表面と結合された油分子との間の永久的な電荷分離、及び油又は油混合物中でのPTFE粒子の微細分散が存在する長期安定な油−PTFE分散液であり、その製法は、持続性のペルフルオロ(ペルオキシ)ラジカルを有する変性されたPTFE(エマルション)ポリマーが、少なくとも1つのオレフィン系不飽和油と一緒に、混合され、かつ次に変性されたPTFE(エマルション)ポリマーが機械的応力にかけられる方法等により得られるものであり、製法が複雑であり、また、汎用のPTFE粒子を用いるものでなく、本発明のフッ素系樹脂の非水系分散体とは、技術思想(構成及びその作用効果)が全く相違するものである。
熱硬化樹脂組成物は、優れた接着性や耐熱性の面から電気、電子分野において広く用いられているが、例えば、エポキシ樹脂は比誘電率や誘電正接が高くなるという問題点を有している。
このフッ素系樹脂の持つ低誘電率、低誘電正接といった特性を活用する方法として、例えば、各種樹脂材料中にPTFEを溶融混合することなどが提案されているが(例えば、特許文献5参照)、溶融混合は加熱して樹脂を軟化させた状態で混合するため、熱硬化型の樹脂材料や反応型の樹脂材料、PTFEよりも耐熱性の低い樹脂材料などと混合する場合には適さないものであり、エポキシ樹脂材料の比誘電率や誘電正接を下げるために添加する方法としては適さないものである。
この樹脂組成物において、実施例では、平均粒子径が3μmとなるポリテトラフルオロエチレンフィラーをエポキシ樹脂、フェノール樹脂などと共にビーズミルで分散しているが、その分散性は劣るために十分な低比誘電率、低誘電正接となるエポキシ樹脂組成物が得られていないのが現状である。
こうした中、電子材料等に広く用いられているエポキシ樹脂材料中にPTFEなどのフッ素系樹脂を均一に分散させ、低比誘電率、低誘電正接となるエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂組成物が求められている。
これらのエポキシ樹脂組成物によって形成される絶縁層については、低粗度かつめっきにより形成される導体層のピール強度が優れることが開示されているが、低誘電率や低誘電正接については全く言及されていない。
従って、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を有した電子機器の多層プリント配線板の絶縁層形成などに適したフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物と、それを硬化させたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂硬化物が切望されているのが現状である。
また、前記フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物において、上記式(I)で表される化合物は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜15質量%含まれることが好ましく、さらに、フッ素系樹脂の非水系分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下であることが好ましい。
本第1発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと下記式(I)で表される化合物と非水系溶剤を含むフッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と、を少なくとも含有することを特徴とするものである。
本第1発明に用いることができるフッ素系樹脂のマイクロパウダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシ重合体(PFA)、クロロトリフルオロエチレン共重合体(CTFE)、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(TFE/CTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)からなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素系樹脂のマイクロパウダーが挙げられる。
上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーの中でも、特に、低比誘電率、低誘電正接の材料として、樹脂材料の中で最も優れた特性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE、比誘電率2.1)の使用が望ましい。
このようなポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーは、乳化重合法により得られるものであり、例えば、ふっ素樹脂ハンドブック(里川孝臣編、日刊工業新聞社)に記載されている方法など、一般的に用いられる方法により得ることができる。そして、前記乳化重合により得られたフッ素系樹脂のマイクロパウダーは、凝集・乾燥して、一次粒子径が凝集した二次粒子として微粉末として回収されるものであるが、一般的に用いられている各種微粉末の製造方法を用いることができる。
このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの一次粒子径が1μmを超えるものであると、油性溶剤中で沈降しやすくなり、安定して分散することが難しくなる。
また、上記平均粒子径の下限値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、0.05μm以上であることが好ましい。
なお、本発明におけるフッ素系樹脂のマイクロパウダーの一次粒子径は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの乳化重合段階において測定される値(レーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって得られた値)を指し示すものであるが、乾燥して粉体状態にしたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどの場合には、一次粒子同士の凝集力が強く、容易に一次粒子径をレーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって測定することが難しいため、画像イメージング法によって得られた値を指し示すものであってもよい。測定装置としては、例えばFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法や、マイクロトラック(日機装株式会社製)によるレーザー回折・散乱法や、マックビュー(株式会社マウンテック社製)による画像イメージング法などを挙げることができる。
このPTFEなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの比表面積が15m2/g超過のものであると、非水系溶剤中で凝集し、沈降しやすくなり、安定して分散することが難しくなる。
また、上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーの比表面積の値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、2m2/g以上が好ましい。
この含有量が5質量%未満の場合には、非水系溶剤の量が多く、極端に粘度が低下するためにポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの微粒子が沈降しやすくなったり、樹脂などの材料と混合した際に非水系溶剤の量が多いことによる不具合、例えば、溶剤の除去に時間を要することになるなど好ましくない状況を生じることがある。一方、60質量%を超えて大きい場合には、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダー同士が凝集しやすくなり、微粒子の状態を安定的に、流動性を有する状態で維持することが極端に難しくなるため、好ましくない。
本第1発明に用いる上記(I)で表される化合物は、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーを非水系溶剤中に、微粒子で均一、且つ安定的に分散させることができるものである。その分子構造はビニルブチラール/酢酸ビニル/ビニルアルコールから構成される三元重合体であり、ポリビニルアルコール(PVA)をブチルアルデヒド(BA)と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造であり、これらの3種の構造の比率(l,m,nの各比率)を変化させることにより、油性溶剤への溶解性、さらには各種樹脂材料中にポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体を添加した際の化学反応性をコントロールすることが可能となる。
具体的には、積水化学工業(株)製の商品名;エスレックBM−1(水酸基量:34モル%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:4万)、同BH−3(水酸基量:34mol%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:11万)、同BH−6(水酸基量:30mol%、ブチラール化度69±3モル%、分子量:9.2万)、同BX−1(水酸基量:33±3mol%、アセタール化度66モル%、分子量:10万)、同BX−5(水酸基量:33±3mol%、アセタール化度66モル%、分子量:13万)、同BM−2(水酸基量:31mol%、ブチラール化度68±3モル%、分子量:5.2万)、同BM−5(水酸基量:34mol%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:5.3万)、同BL−1(水酸基量:36mol%、ブチラール化度63±3モル%、分子量:1.9万)、同BL−1H(水酸基量:30mol%、ブチラール化度69±3モル%、分子量:2万)、同BL−2(水酸基量:36mol%、ブチラール化度63±3モル%、分子量:2.7)、同BL−2H(水酸基量:29mol%、ブチラール化度70±3モル%、分子量:2.8万)、同BL−10(水酸基量:28mol%、ブチラール化度71±3モル%、分子量:1.5万)、同KS−10(水酸基量:25mol%、アセタール化度65±3モル%、分子量:1.7万)などや、クラレ(株)製の商品名;モビタール
B145(水酸基量:21〜26.5モル%、アセタール化度67.5〜75.2モル%)、同B16H(水酸基量:26.2〜30.2モル%、アセタール化度66.9〜73.1モル%、分子量:1〜2万)などが挙げられる。
これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
さらに、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂前駆体材料などの各種熱硬化樹脂材料やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料などに、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体を添加した際の特性を考慮すれば、0.1〜10質量%が望ましく、さらに0.1〜5質量%が望ましく、特に0.1〜3質量%が最も好ましい。
例えば、フッ素系や非フッ素系に関わらず、ノニオン系、アニオン系、カチオン系などの界面活性剤や分散剤、ノニオン系、アニオン系、カチオン系などの高分子界面活性剤や高分子分散剤などを挙げることができるが、これらに限定されることなく使用することができる。
本第1発明に用いられる非水系溶剤としては、例えば、例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2−ヘプタノン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジオキサン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルモノグリシジルエーテル、エチルモノグリシジルエーテル、ブチルモノグリシジルエーテル、フェニルモノグリシジルエーテル、メチルジグリシジルエーテル、エチルジグリシジルエーテル、ブチルジグリシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、メチルフェノールモノグリシジルエーテル、エチルフェノールモノグリシジルエーテル、ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ミネラルスピリット、2−ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−ビニルピリジン、N−メチル−2−ピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキソラン、各種シリコーンオイル、からなる群から選ばれる1種類の非水系溶剤、またはこれらの非水系溶剤を2種以上含んでいるものが挙げられる。
これらの非水系溶剤の中で、好ましくは、各用途(接着性樹脂種などの樹脂種、回路基板の用途)等により変動するものであるが、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキソランが挙げられる。
本第1発明(後述する実施例等を含む)においては、カールフィッシャー法による水分量の測定は、JIS K 0068:2001に準拠するものであり、MCU−610(京都電子工業社製)により行った。
用いる非水系溶剤の極性によっては水との相溶性が高いものが考えられるが、8000ppm以上の水分量を有するとポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系溶剤中への分散性を著しく阻害したり、上記(I)で表される化合物の非水系溶剤中への溶解性を阻害するなどし、粘度上昇や粒子同士の凝集を引き起こす要因になる。
本第1発明においては、非水系溶剤中の水分量を8000ppm以下にすることで、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体とすることができるものである。更に好ましくは、非水系溶剤の水分量を5000ppm以下、より好ましくは、3000ppm以下、特に好ましくは、2500ppm以下とすることが望ましい。
非水系溶剤に含まれる水分量のほかに、フッ素系樹脂のマイクロパウダーや上記(I)で表される化合物などの材料自体に含まれる水分や、フッ素系樹脂のマイクロパウダーを非水系溶剤中に分散する製造工程における外部からの水分の混入(空気中の水分、装置壁面の結露水など)が考えられるが、最終的にフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体の水分量を8000ppm以下にすることで、より保存安定性に優れたフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体を得ることができる。更に好ましくは、非水系分散体の水分量を5000ppm以下、より好ましくは、3000ppm以下、特に好ましくは、2500ppm以下とすることが望ましい。
さらに、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体を作製した後に、モレキュラーシーブスや膜分離法などを用いて水分除去することも可能であるが、上記した方法以外であっても、非水系分散体の水分量を下げることができるものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
用いる非水系溶剤の含有量は、上記フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記(I)で表される化合物などの残部となるものである。
一次粒子径が1μm以下のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの二次粒子を1μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、超音波分散機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができるものである。
より安定に分散させる上では、望ましくは、0.5μm以下、さらに望ましくは、0.3μm以下とすることにより、さらに均一な分散体となる。
これらの各種撹拌機、分散機は、各種材料の種類、配合比率、上記撹拌混合した非水系分散体の粘度などにより最適なものが選定されるものである。
また、本第1発明の上記非水系分散体は、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下となるものが好ましい。
このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの含有量を1質量部以上とすることにより、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物の硬化後における比誘電率や誘電正接を下げることができ、一方、100質量部以下とすることにより、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物やその硬化物の各種特性や安定性を損なうことなく、本発明の効果を発揮せしめることができる。
また、上記フッ素系樹脂の非水系分散体は、分散状態における平均粒子径が1μm以下のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを含むものとなるので、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れており、長期保存後でも再分散性に優れるものとなる。
本第1発明において用いる樹脂組成物としては、少なくとも、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、熱硬化樹脂組成物のベース樹脂となるものであり、電子機器における絶縁性や接着性など、使用に適するものであれば特に限定されることなく用いることができる。
本第1発明に用いることができるシアン酸エステル樹脂(シアネートエステル樹脂)としては、例えば、少なくとも2官能性の脂肪族シアン酸エステル、少なくとも2官能性の芳香族シアン酸エステル、またはこれらの混合物が挙げられ、例えば、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、および2,7−ジシアナトナフタレンから選択された少なくとも1種の多官能シアン酸エステルの重合体、ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂またはこれらに水素を添加したもの、ビスフェノールF型シアン酸エステル樹脂またはこれらに水素を添加したもの、6FビスフェノールAジシアン酸エステル樹脂、ビスフェノールE型ジシアン酸エステル樹脂、テトラメチルビスフェノールFジシアン酸エステル樹脂、ビスフェノールMジシアン酸エステル樹脂、ジシクロペンタジエンビスフェノールジシアン酸エステル樹脂、またはシアン酸ノボラック樹脂などの少なくとも1種が挙げられる。また、これらのシアン酸エステル樹脂の市販品も用いることができる。
これらのエポキシ樹脂は1種類、または2種類以上を併用して用いることもできるものである。
本第1発明に用いることができるエポキシ樹脂は、1分子中に1個以上のエポキシ基があれば上記樹脂に限定されるものではないが、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、クレゾールノボラック系等が好適である。
本第1発明において、上記シアン酸エステル樹脂(シアネートエステル樹脂)、エポキシ樹脂はそれぞれ単独で、または、これらを併用することができ、併用の場合は質量比で1:10〜10:1の範囲で併用することができる。
用いることができる活性エステル化合物としては、一般に1分子中に2個以上の活性エステル基を有する化合物が好ましく、例えば、カルボン酸化合物、フェノール化合物又はナフトール化合物などが挙げられる。カルボン酸化合物としては、例えば、酢酸、安息香酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
これらの活性エステル化合物は1種類、または2種類以上を併用して用いることもできるものである。市販の活性エステル化合物としては、例えば、EXB−9451、EXB−9460(DIC株式会社製)、DC808、YLH1030(ジャパンエポキシレジン株式会社製)などを挙げることができる。
これらの活性エステル化合物の使用量は、用いる熱硬化樹脂組成物のベース樹脂と用いる活性エステル化合物の種類により決定されるものである。
更に、前記活性エステル化合物には、必要に応じて、活性エステル化合物硬化促進剤を用いることができる。
この活性エステル化合物硬化促進剤としては、有機金属塩または有機金属錯体が使用され、例えば、鉄、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、スズなどを含む有機金属塩または有機金属錯体が使用される。具体的には、前記活性エステル化合物硬化促進剤は、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸鉄、オクチル酸銅、オクチル酸亜鉛、オクチル酸コバルトなどの有機金属塩;アセチルアセトネート鉛、アセチルアセトネートコバルトなどの有機金属錯体が挙げられる。
これらの活性エステル化合物硬化促進剤は、金属の濃度を基準として、反応性および硬化性、成形性の点から、前記用いる樹脂100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部で含ませることができる。
これらの硬化剤の使用量は、用いるエポキシ樹脂と用いる硬化剤の種類により決定されるものである。
本第1発明の樹脂組成物においては、さらに無機充填剤、熱可塑性樹脂成分、ゴム成分、難燃剤、着色剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、密着性付与材など、電子機器向けの熱硬化樹脂組成物において一般的に用いられている材料を組み合わせて用いることもできる。
本第1発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダー及び上記式(I)で表される化合物と非水系溶剤を含む(上記本第1発明の)フッ素系樹脂の非水系分散体に、更に、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と、を少なくとも含有するものであり、上記フッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物を混合等して、ディスパーやホモジナイザーなどによる撹拌のほか、超音波分散機、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの各種撹拌機、分散機を用いることにより調製することができる。
本第1発明では、最終的なフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物で必要とされるシアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂などの総樹脂濃度となるように調整することにより、フッ素系樹脂パウダーが凝集することなく均一に存在させることが可能となり、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を発揮できるようになるものである。
本第1発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダー及び上記式(I)で表される化合物と非水系溶剤を含むフッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と、を少なくとも含有するものであり、公知のエポキシ樹脂組成物などの熱硬化樹脂組成物と同様な方法により成型、硬化して硬化物とすることができる。成型方法、硬化方法は公知のエポキシ樹脂組成物などの熱硬化樹脂組成物と同様の方法をとることができ、本第1発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物固有の方法は不要であり、特に限定されるものでない。
本第1発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなる硬化物(本第5発明)は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。
本第1発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物、及びその硬化物は、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂の持つ接着性や耐熱性を損なうことなく、低比誘電率で低誘電正接という電気特性に優れているので、電子基板材料や絶縁材料、接着材料などに好適であり、例えば、電子部品に用いられる封止材、銅張り積層板、絶縁塗料、複合材、絶縁接着剤等の材料として有用であり、特に、電子機器の多層プリント配線板の絶縁層形成に適したものとなる。
本第2発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、エラストマー成分と、非水系溶剤とを少なくとも含有するフッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物とを、少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
本第2発明に用いるフッ素系樹脂の非水系分散体は、上記本第1発明で用いたフッ素系樹脂のマイクロパウダー、式(I)で表される化合物、非水系溶剤を用いると共に、更に、エラストマー成分を少なくとも含有するものであり、これらの成分を含むものであれば、特に限定されるものではない。
本第2発明に用いるフッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記(I)で表される化合物、非水系溶剤、これらの各成分の好適な含有量の各範囲、非水系溶剤及びフッ素系樹脂の非水系分散体の各水分量などは、上述の第1発明と同様であるので、その詳述は省略する。
これらのエラストマー成分は、1種または2種以上を組み合わせて用いることもできるものである。
上記エラストマー成分を非水系分散体中の非水系溶剤全量100質量部に対して、1質量部以上含有させることにより、後からの配合で用いられるシアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と混合して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とした場合のフッ素系樹脂同士の凝集を抑制することができる。一方で、150質量部を超えて含有させると非水系分散体の粘度が上昇し、分散性が悪くなるといった不具合を生じやすくなる。
これらの各種撹拌機、分散機は、各種材料の種類、配合比率、上記撹拌混合した組成物の粘度などにより最適なものが選定されるものである。
さらに、本第2発明の上記フッ素系樹脂パウダー非水系分散体は、分散された状態のフッ素系樹脂パウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下となるものが好ましい。
一次粒子径が1μm以下のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの二次粒子を1μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、ディスパー、超音波分散機、3本ロールミル、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができ、さらに樹脂組成物との均一な混合も可能とするものである。望ましくは、0.5μm以下、さらに望ましくは、0.3μm以下とすることにより、さらに均一な分散体となる。
また、フッ素系樹脂の非水系分散体は、加熱や減圧などによる脱水を行うことで充分に水分量を下げた状態で使用することもできる。さらに、フッ素系樹脂パウダー非水系分散体を作製した後に、モレキュラーシーブスや膜分離法などを用いて水分除去することも可能であるが、上記した方法以外であっても、フッ素系樹脂パウダー非水系分散体の水分量を下げることができるものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
さらに、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、エラストマー成分と、非水系溶剤とを少なくとも配合して行うフッ素系樹脂の非水系分散体の調整においては、これらの他に、シアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂などを適宜添加することもできるものであり、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物の粘度や硬化後の物性を考慮して、選択、調整されることとなる。
本第2発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、上記フッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物とを、少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
上記非水系分散体の作製段階に、エラストマー成分を配合することなく分散し(フッ素系樹脂のマイクロパウダーと分散剤と非水系溶剤からなる分散体)、後からエラストマー成分を配合する場合には、フッ素系樹脂のマイクロパウダーやエラストマー成分が凝集しやすくなり、均一にフッ素系樹脂パウダーを分散させた状態のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得ることが難しくなる。
エラストマー成分を含んだフッ素系樹脂の非水系分散体を作製した後、さらに、最終的なフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物で必要とされるシアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂等濃度となるように調整することにより、フッ素系樹脂パウダーが凝集することなく均一に存在させることが可能となり、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を発揮できるようになるものである。
このフッ素系樹脂パウダーの含有量を1質量部以上とすることにより、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物の硬化後における比誘電率や誘電正接を下げることができ、一方、100質量部以下とすることにより、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物やその硬化物の各種特性や安定性を損なうことなく、本発明の効果を発揮せしめることができる。
本第2発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなる硬化物(本第5発明)は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。
本第2発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物、及びその硬化物は、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂の持つ接着性や耐熱性を損なうことなく、低比誘電率で低誘電正接という電気特性に優れているので、電子基板材料や絶縁材料、接着材料などに好適であり、例えば、電子部品に用いられる封止材、銅張り積層板、絶縁塗料、複合材、絶縁接着剤等の材料として有用であり、特に、回路基板の製造に使用される回路基板用接着剤組成物、およびそれを用いた回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグ、電子機器の多層プリント配線板の絶縁層などに適したものとなる。
本第3発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、及び非水系溶剤を少なくとも含有するフッ素系樹脂の非水系分散体と、エラストマー成分とを、少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
本第3発明に用いるフッ素系樹脂の非水系分散体としては、フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、及び非水系溶剤を少なくとも含有するものであり、これらの成分を含むものであれば、特に限定されるものではない。
本第3発明に用いるフッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、及び非水系溶剤、これらの各成分の好適な含有量の各範囲、非水系溶剤及びフッ素系樹脂の非水系分散体の各水分量などは、上述の第2発明と同様であるので、その詳述は省略する。
これらの各種撹拌機、分散機は、各種材料の種類、配合比率、上記撹拌混合した組成物の粘度などにより最適なものが選定されるものである。
一次粒子径が1μm以下のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの二次粒子を1μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、ディスパー、超音波分散機、3本ロールミル、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができ、さらに樹脂組成物との均一な混合も可能とするものである。望ましくは、0.5μm以下、さらに望ましくは、0.3μm以下とすることにより、さらに均一な分散体となる。
本第3発明におけるフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、上記フッ素系樹脂の非水系分散体と、エラストマー成分とを、少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
上記非水系分散体の作製段階に、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物を添加することなく分散し(フッ素系樹脂パウダーと分散剤と非水系溶剤からなる分散体)、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂、エラストマー成分と配合する場合には、フッ素系樹脂パウダーやエラストマー成分が凝集しやすくなり、均一にフッ素系樹脂パウダーを分散させた状態のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得ることが難しくなる。
フッ素系樹脂の非水系分散体と、さらに、エラストマー成分とを配合する方法としては、ディスパーやホモジナイザーなどによる撹拌のほか、超音波分散機、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの各種撹拌機、分散機を用いることができるものである。
エラストマー成分の含有量は、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物中の固形分全量(非水系溶剤以外の成分合計)を100質量部とした場合に、エラストマー固形分として1〜150質量部含有されるものであることが好ましく、より好ましくは、5〜100質量部、さらに好ましくは10〜80質量部含有されることが望ましい。
上記エラストマー成分の含有量をエラストマー固形分として1質量部以上含有させることにより、樹脂硬化物に弾性や密着性を付与することができるようになり、一方で、150質量部を超えると、粘度が上昇したり、フッ素系樹脂が凝集しやすくなる。
本第3発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなる硬化物(本第5発明)は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。
本第3発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物、及びその硬化物は、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂の持つ接着性や耐熱性を損なうことなく、低比誘電率で低誘電正接という電気特性に優れているので、電子基板材料や絶縁材料、接着材料などに好適であり、例えば、電子部品に用いられる封止材、銅張り積層板、絶縁塗料、複合材、絶縁接着剤等の材料として有用であり、特に、回路基板の製造に使用される回路基板用接着剤組成物、およびそれを用いた回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグ、電子機器の多層プリント配線板の絶縁層形成などに適したものとなる。
本第4発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、及び非水系溶剤を含有するフッ素系樹脂の非水系分散体と、さらに、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物とを少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
本第4発明に用いるフッ素系樹脂パウダー非水系分散体としては、少なくとも、フッ素系樹脂パウダーと、上記式(I)で表される化合物と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と、非水系溶剤とを含有するものであれば、特に限定されるものではない。
本第4発明に用いるフッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、及び非水系溶剤、これらの各成分の好適な含有量の各範囲、非水系溶剤及びフッ素系樹脂の非水系分散体の各水分量などは、上述の第2発明、第3発明と同様であるので、その詳述は省略する。
さらに、本第4発明の上記フッ素系樹脂の非水系分散体は、分散された状態のフッ素系樹脂パウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下となるものが好ましい。
一次粒子径が1μm以下のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの二次粒子を1μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、ディスパー、超音波分散機、3本ロールミル、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができ、さらに樹脂組成物との均一な混合も可能とするものである。望ましくは、0.5μm以下、さらに望ましくは、0.3μm以下とすることにより、さらに均一な分散体となる。
さらにまた、本第4発明の上記フッ素系樹脂の非水系分散体は、上記第3発明と同様に、カールフィッシャー法による水分量が、8000ppm以下〔0≦水分量≦8000ppm〕となることが好ましい。
本第4発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、上記のフッ素系樹脂の非水系分散体と、さらに、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物とを少なくとも配合してなるものである。
フッ素系樹脂パウダー非水系分散体に添加されるシアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂は、上記したシアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂組成物を用いることが可能であるが、フッ素系樹脂パウダー非水系分散体に含まれるシアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂と同種であっても、異種であっても、本発明の特性を得ることができる範囲において、様々な組み合わせを用いることができるものであり、1種または2種以上を組み合わせて用いることもできるものである。
本第4発明では、上述のシアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含んだフッ素系樹脂の非水系分散体を作製した後、さらに最終的なフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物で必要とされるシアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂濃度となるように調整することにより、フッ素系樹脂パウダーが凝集することなく均一に存在させることが可能となり、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を発揮できるようになるものである。
本第4発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物、及びその硬化物は、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂の持つ接着性や耐熱性を損なうことなく、低比誘電率で低誘電正接という電気特性に優れているので、電子基板材料や絶縁材料、接着材料などに好適であり、例えば、電子部品に用いられる封止材、銅張り積層板、絶縁塗料、複合材、絶縁接着剤等の材料として有用であり、特に、回路基板の製造に使用される回路基板用接着剤組成物、およびそれを用いた回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグ、電子機器の多層プリント配線板の絶縁層などに適したものとなる。
(フッ素系樹脂の非水系分散体の調製:分散体1〜5)
下記表1に示す配合処方にて、非水系溶剤中に前記式(I)で表される化合物を充分に撹拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに撹拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体1〜5を得た。なお、分散体4においては、配合時に水分を添加することで水分量の調整を行った。
得られた分散体1〜5におけるPTFEの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。また、各分散体1〜5のカールフィッシャー法による水分量を測定した。
下記表1に分散体1〜5の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径、水分量を示す。
得られた分散体1〜5を用い、下記表2に示す配合処方にてフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を作製した。
実施例1〜5及び比較例1〜2に示す配合比で混合した後、ディスパーを用いてPTFE分散体と樹脂類が均一に混ざるように撹拌して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得た。
ここで、分散体1〜5を用いて作製した各フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物となる実施例1〜5は、非常に均一な状態を示した。なお、分散体4を用いて作製したフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物となる実施例4は、PTFE粒子の凝集が若干見られ、粒状のものが壁面に若干観察された。また、分散体5を用いて作製したフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物となる実施例5は、長期間保存した際に粒子の沈降分離が若干見られた。
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例1〜5、比較例1〜2によって得られたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を、乾燥後の厚さが約25μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布し、約120℃で約10分間乾燥した後、これを180℃で60分間加熱して硬化させることにより、評価サンプルを作製した。
上記で得た実施例6〜10、比較例3〜4の評価サンプルを用い、下記のような物性評価を行った。
比誘電率と誘電誘電正接は、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて1GHzで測定した結果を下記表3に示す。
実施例9、10においては、実施例6〜8に較べ効果が若干低いが、PTFEが含まれているため、比較例3〜4に較べ、より良好な効果が得られていることが判った。
(フッ素系樹脂の非水系分散体の調製:分散体6〜9)
下記表4に示す配合処方にて、溶媒中に前記式(I)で表される化合物を充分に撹拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに撹拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体6〜9を得た。
得られた分散体6〜9におけるPTFEの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。
下記表4に分散体6〜9の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径を示す。また、得られた分散体6〜9の水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による各水分量は、それぞれ、800〜1800ppmの範囲内であった。
得られた分散体6〜9を用い、下記表5に示す配合処方にてフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を作製した。
実施例11〜14及び比較例5〜7に示す配合比で混合した後、ディスパーを用いてPTFE分散体と樹脂類が均一に混ざるように撹拌して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得た。
ここで、実施例11〜14においては、非常に均一な状態を示し、粒子径の変化も見られなかった。一方で、比較例5、6においては、凝集したPTFEと思われる粒状物が複数観察され、粒子径も大きくなる傾向が見られた。
なお、表4の分散体6、分散体7の平均粒子径が0.3μmよりも小さく出ているのは、エラストマー成分であるゴム粒子の粒子径が0.1μm程度と小さいため、測定上の数値として小さく表れたものと考えられる。
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例11〜14、比較例5〜7によって得られたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を、乾燥後の厚さが約25μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布し、約120℃で約10分間乾燥した後、これを180℃で60分間加熱して硬化させることにより、評価サンプルを作製した。
上記で得た実施例15〜18、比較例8〜10の評価サンプルを用い、下記のような物性評価を行った。
比誘電率と誘電正接は、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて1GHzで測定した結果を下記表6に示す。
一方で、比較例8、9においては、PTFEが含まれているものであるため、比較例10よりも比誘電率と誘電正接を下げる効果は優れているが、硬化物の表面が若干荒れており、実施例15〜18よりも十分に比誘電率と誘電正接を下げる効果を得ることはできなかった。
(フッ素系樹脂の非水系分散体の調製:分散体10〜13〕
下記表7に示す配合処方にて、非水系溶剤中に前記式(I)で表される化合物を充分に撹拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに撹拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体10〜13を得た。
得られた分散体10〜13におけるPTFEの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。
下記表7に分散体10〜13の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径を示す。また、得られた分散体10〜13の水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による各水分量は、それぞれ、800〜1800ppmの範囲内であった。
得られた分散体10〜13を用い、下記表8に示す配合処方にてフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を作製した。
実施例19〜21及び比較例11〜13に示す配合比で混合した後、ディスパーを用いてPTFE分散体と樹脂類が均一に混ざるように撹拌して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得た。
ここで、実施例19〜21においては、非常に均一な状態を示し、粒子径の変化も見られなかった。一方で、比較例13においては、凝集したPTFEと思われる粒状物が複数観察され、粒子径も大きくなる傾向が見られた。
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例19〜21、比較例11〜13によって得られたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を、乾燥後の厚さが約25μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布し、約120℃で約10分間乾燥した後、これを180℃で60分間加熱して硬化させることにより、評価サンプルを作製した。
上記で得た実施例22〜24、比較例14〜16の評価サンプルを用い、下記のような物性評価を行った。
比誘電率と誘電正接は、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて1GHzで測定した結果を下記表9に示す。
一方で、比較例16においては、PTFEが含まれているものであるため、比較例14、15よりも比誘電率と誘電正接を下げる効果は優れているが、硬化物の表面が若干荒れており、実施例22〜24よりも十分に比誘電率と誘電正接を下げる効果を得ることはできなかった。
(フッ素系樹脂の非水系分散体の調製:分散体14〜17)
下記表10に示す配合処方にて、非水系溶剤中に前記式(I)で表される化合物を充分に撹拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに撹拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体14〜17を得た。
得られた分散体14〜17におけるPTFEの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。
下記表10に分散体14〜17の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径を示す。また、得られた分散体14〜17の水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による各水分量は、それぞれ、800〜1800ppmの範囲内であった。
得られた分散体14〜17を用い、下記表11に示す配合処方にてフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を作製した。
実施例25〜27及び比較例17〜19に示す配合比で混合した後、ディスパーを用いてPTFE分散体と樹脂類が均一に混ざるように撹拌して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得た。
ここで、実施例25〜27においては、非常に均一な状態を示し、粒子径の変化も見られなかった。一方で、比較例19においては、凝集したPTFEと思われる粒状物が複数観察され、粒子径も大きくなる傾向が見られた。
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例25〜27、比較例17〜19によって得られたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を、乾燥後の厚さが約25μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布し、約120℃で約10分間乾燥した後、これを180℃で60分間加熱して硬化させることにより、評価サンプルを作製した。
上記で得た実施例28〜30、比較例20〜22の評価サンプルを用い、下記のような物性評価を行った。
比誘電率と誘電誘電正接は、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて1GHzで測定した結果を下記表12に示す。
一方で、比較例22においては、PTFEが含まれているものであるため、比較例20、21よりも比誘電率と誘電正接を下げる効果は優れているが、硬化物の表面が若干荒れており、実施例28〜30よりも十分に比誘電率と誘電正接を下げる効果を得ることはできなかった。
Claims (7)
- 前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる1種以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物。
- 前記式(I)で表される化合物が、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜15質量%含まれることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物。
- 前記フッ素系樹脂の非水系分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物。
- 請求項1乃至5の何れか一つに記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなることを特徴とするフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂硬化物。
- 請求項1乃至5の何れか一つに記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物が回路基板用接着剤組成物に用いられることを特徴とするフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物。
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