以下、本発明の一実施形態に係る鞍乗型電動車両及びそれが備えるバッテリについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る鞍乗型電動車両の側面図である。本明細書では、鞍乗型電動車両の一例として電動二輪車1について説明する。鞍乗型電動車両は電動二輪車に限られず、四輪の不整地走行車両であってもよい。図2は電動二輪車1が備えるフレームを示す斜視図である。図3はフレームを構成するバッテリケース50の平面図である。図4はバッテリケース50及び後述するモータケース70が構成するケースCの側面図である。図5はケースCの内部を示す側面図である。図5ではケースCを構成する左ケース半体CLが部分的に取り除かれている。
以下の説明では、図1に示すY1及びY2が前方及び後方をそれぞれ示し、Z1及びZ2が上方及び下方をそれぞれ示している。また、図3に示すX1及びX2がそれぞれ右方向及び左方向を示している。
図1に示すように、電動二輪車1の前輪2はフロントフォーク3の下端で支持されている。フロントフォーク3は、後述するヘッドパイプ41(図2参照)によって支持されているステアリングシャフトを中心にして左右に回転可能となっている。フロントフォーク3の上部にはステアリングハンドル4が取り付けられている。ステアリングハンドル4の両端部にはグリップ4aが設けられている。右側のグリップはアクセルグリップとして機能する。
図1に示すように、電動二輪車1の駆動輪である後輪5はリアアーム7によって支持されている。リアアーム7はその前端に設けられているピボット軸8によって支持されている。後輪5とリアアーム7はピボット軸8を中心にして上下動可能となっている。
電動二輪車1は後輪5を駆動する電動モータ21を含む駆動系20を有している。駆動系20は、電動モータ21の回転を減速して出力軸23に伝える減速機構を有している。減速機構は例えばギアやベルトによって構成される。図4に示すように、ここで説明する例の減速機構は、電動モータ21の回転軸21aに係合している大径ギア部22aと、出力軸23のギアに係合している小径ギア部22bとを含むギア22によって構成されている。駆動系20は後述するモータケース70に収容されている。出力軸23にはモータケース70から側方に露出している回転部材23aが設けられている。回転部材23aは、例えばスプロケットやプーリである。回転部材23aの回転は、ベルトやチェーンによって構成される動力伝達部材24を通して後輪5に伝えられる。回転部材23aはギアでもよい。この場合、伝達部材24はシャフトでもよい。
電動二輪車1は電動モータ21に電力を供給するためのバッテリ30を有している。バッテリ30は好適にはリチウムイオン電池であるが、その種類は限定されない。ここで示す例の電動二輪車1は複数のバッテリ30を有している。より具体的には、電動二輪車1は2つのバッテリ30を有している(図2参照)。バッテリ30の数はこれに限られず、電動二輪車1は例えば3つ又は4つのバッテリ30を有してもよい。バッテリ30は車体に対して脱着可能であり、ユーザはバッテリ30を車体から取り外して、充電器によって充電できる。
[バッテリケースを含むフレーム構造]
図2に示すように、電動二輪車1は、そのフレームの構成部材として、バッテリ30を収容するバッテリケース50を有している。図2に示す例のバッテリケース50は、複数のバッテリ30を収容する。バッテリケース50は上面が開口した箱状であり、バッテリ30は上下方向において車体に対して脱着可能である。バッテリケース50の開口を覆うためのケースカバー60が設けられている。ケースカバー60は好ましくはバッテリケース50の開口に対応したサイズを有し、バッテリケース50はケースカバー60によって閉じられる。
図3に示すように、バッテリケース50はその前面を構成する前壁部52と、その左右の側面を構成する側壁部53と、その後面を構成する後壁部54とを有している。これら壁部52、53、54はバッテリ30を取り囲む。これにより、バッテリ30を効果的に保護できる。バッテリケース50は金属製である。バッテリケース50の材料は、例えばアルミニウムや、鉄、マグネシウム、及びそれらの合金などである。バッテリケース50は、バッテリ30の下面を支持する底部55を有している(図5参照)。
一例では、電動二輪車1は、バッテリケース50とモータケース70とを含むケースCを有し、ケースCは左右方向(車幅方向)において互いに組み合わされる右ケース半体CRと左ケース半体CLとによって構成される(図3参照)。ケース半体CR、CLのそれぞれは一体的に成型されている。バッテリケース50の底部55は、例えばケース半体CR、CLとは別に成型された部材である。底部55はボルトや螺子などの締結部材によってケース半体CR、CLに固定されている。バッテリケース50の構造はこれに限られない。例えば底部55はケース半体CR、CLと一体的に成型されていてもよい。
図2に示すように、バッテリケース50はステアリングシャフトを支持しているヘッドパイプ41の後方に位置している。バッテリケース50の前部にヘッドパイプ41が接続されている。これにより、バッテリケース50を、バッテリ30を収容する部材としてだけでなく、フレームの一部として機能させることができる。その結果、車体の軽量化を図ったり、車幅の増大を抑えることができる。一例では、ヘッドパイプ41は図2に示すようにバッテリケース50の前壁部52に接続される。また、ヘッドパイプ41はバッテリケース50の側壁部53の前部に接続されてもよい。なお、「ヘッドパイプ41がバッテリケース50に接続される」の意味は、ヘッドパイプ41がボルトなどの締結具によってバッテリケース50に取り付けられる構造だけでなく、ヘッドパイプ41がバッテリケース50と一体的に成型されている構造も含む。
電動二輪車1は、図2に示すように、そのフレームの構成部材として、例えばヘッドパイプ41から後方に延びているフレーム最前部40を有する。図2のヘッドパイプ41はフレーム最前部40と一体的に成型されている。フレーム最前部40はボルトなどの締結部材によってバッテリケース50の前部に取り付けられている。この構造によれば、フレーム最前部40の形状やヘッドパイプ41の角度などが異なる複数の車体モデルにおいて、共通のバッテリケース50を利用できる。フレーム最前部40とバッテリケース50は以上説明したものに限られない。例えば、それらは一体的に成型されていてもよい。
図2に示すように、ここで説明する例のフレーム最前部40はバッテリケース50の前方に位置し、これらは前後方向において取り付けられている。すなわち、バッテリケース50とフレーム最前部40は前後方向において互いに接する前面と後面をそれぞれ有している。車両の走行時、ヘッドパイプ41がバッテリケース50を後方に押す力が作用する場合がある。バッテリケース50とフレーム最前部40の上述の固定構造によれば、そのような力に対するフレームの耐性を増すことができる。図2においては、フレーム最前部40は、その後部に、その前側からボルトなどの締結部材が差し込まれる取り付け箇所40cを有している。この締結部材によってフレーム最前部40とバッテリケース50とが互いに固定される。なお、フレーム最前部40とバッテリケース50の固定構造は、これに限られない。例えば、フレーム最前部40とバッテリケース50は左右方向において互いに取り付けられてもよい。具体的には、バッテリケース50の前壁部52に前方に突出する部分が形成され、この突出する部分がフレーム最前部40の後部と左右方向において固定されてもよい。また、バッテリ最前部40はバッテリケース50の側壁部53の側方に位置する部分を含み、バッテリ最前部40この部分が側壁部53の前部に左右方向において固定されてもよい。
ここで説明する例のフレーム最前部40では、その左右方向の幅はヘッドパイプ41から後方に向かって徐々に大きくなっている。フレーム最前部40のこの形状によれば、フレームの強度を増すことが可能となる。一例では、フレーム最前部40の後端はバッテリケース50の前壁部52に対応した左右方向の幅を有する。そして、フレーム最前部40の後端は、前壁部52の右端の前面と前壁部52の左端の前面とに取り付けられる。この構造によれば、ヘッドパイプ41がバッテリケース50を後方に押す力を、バッテリケース50の前壁部52だけでなく、左右の側壁部53でも受けることができる。その結果、そのような力に対するフレームの耐性をさらに増すことができる。なお、フレーム最前部40の後端は、必ずしも、バッテリケース50の前壁部52に対応した左右方向の幅を有していなくてもよい。
また、ここで説明する例のフレーム最前部40はヘッドパイプ41から二股に分かれて後方に延びている。これにより、フレーム最前部40の軽量化を図ることができる。なお、フレーム最前部40は、必ずしも、ヘッドパイプ41から二股に分かれて後方に延びていなくてもよい。
図2に示すように、ここで説明する例のフレーム最前部40では、その上下方向の幅はヘッドパイプ41から後方に向かって徐々に大きくなっている。このようなフレーム最前部40の形状によれば、フレーム最前部40とバッテリケース50の前壁部52との取り付け箇所40cの数を上下方向において増すことができる。その結果、前輪2が上下方向に動く場合にフレーム最前部40からバッテリケース50に作用する力に対するそれらの強度を増すことができる。図2に示す例のフレーム最前部40の下面40aは後方に延びるとともに上面40bよりも大きく下方に傾斜している。そして、フレーム最前部40は上下方向に並ぶ複数の取り付け箇所40c(図2の例では4つの取り付け箇所40c)でバッテリケース50の前壁部52に取り付けられている。
図2に示すように、フレームはバッテリケース50から後方に延びているシートレール59aを有している。シートレール59aはライダーが跨がって座ることのできるシート6(図1参照)を支持している。シートレール59aは、例えばバッテリケース50の後壁部54に固定される。フレームは、後壁部54の下部から後方且つ上方に延び、シートレール59aに接続されるステー59bを有している。図1に示すように、ここで説明する例の電動二輪車1では、シート6の後部はシートレール59aの上方に位置し、シート6の前部はケースカバー60の上方に位置している。シート6の前部はケースカバー60によって支持される。電動二輪車1がこのような構造を有する場合、ユーザは例えばキー操作によりシート6を取り外した後に、ケースカバー60を開けることができる。一例では、シート6の前部はケースカバー60の上面に引っ掛かるように構成されてもよい。
図2に示すように、ここで説明する例のバッテリケース50の側壁部53は、前方且つ上方に延びている上縁を有している。具体的には、側壁部53の前部の上縁53hが前方且つ上方に延びている。これによれば、バッテリケース50の後部の上縁の高さを抑えながら、バッテリケース50の最前部の上下幅を増すことができる。その結果、シート6の高さを適切に保ちながら、バッテリケース50とフレーム最前部40との接続箇所の数を上下方向に増やすことができる。
図3に示すように、ここで説明する例のバッテリケース50では、その前後方向での幅は左右方向での幅より大きい。これにより、車幅の増大を抑えながら、バッテリ30のサイズ、言い換えると、バッテリ30の充電容量を確保できる。上述したように、バッテリケース50は複数のバッテリ30を収容する。ここで説明する例のバッテリケース50は2つのバッテリ30を収容する。2つのバッテリ30は左右方向に並んでいる。図5に示すように、バッテリケース50は、その内側に、2つのバッテリ30の間に配置され、前壁部52から後方に延びている梁部51を有している。図5に示すように、梁部51は、好ましくは前壁部52から後方に延伸し後壁部54に接続される。また、梁部51は前壁部52から後方に延伸し、バッテリケース50の底部55の後部に接続されてもよい。
上述したように、車両の走行時、前輪2の上下動に起因してヘッドパイプ41がバッテリケース50の前壁部52を押す力が作用する場合がある。この場合、バッテリケース50の剛性によっては、左右の側壁部53がそれぞれ左右方向に膨らむように変形する。特にここで説明する例のバッテリケース50では、その前後方向での幅は左右方向での幅より大きいため、側壁部53についてそのような変形が生じ易い。梁部51によれば、そのような変形を抑え、バッテリケース50の剛性、すなわちフレームの剛性を確保できる。
図5に示すように、梁部51は、好ましくは前壁部52と後壁部54だけでなく、底部55にも接続される。梁部51のこの構造によれば、バッテリケース50の剛性をさらに向上できる。図5に示す例の梁部51は、底部55の一部(具体的には前後方向の中心部)に接続されている。なお、梁部51の形状はこれに限られず、例えば梁部51は、側面視においてバッテリケース50の内面に対応した矩形であってもよい。すなわち、梁部51の下縁は底部55の最前部から最後部まで延びていてもよい。
図5に示す例の梁部51は、車体の側面視において互いに傾斜している少なくとも2方向に、それぞれ延びている部分を有している。具体的には、梁部51は、第1延伸部51aと第2延伸部51bと第3延伸部51cとを有している。第1延伸部51aは、好ましくは、前後方向において延び、バッテリケース50の前壁部52の上部と後壁部54の上部とに掛け渡される。第2延伸部51bと第3延伸部51cは車体の側面視において第1延伸部51aの下方に位置し、第1延伸部51aに対して傾斜した方向に延びている。具体的には、第2延伸部51bは前壁部52の上部から後方かつ下方に延び、バッテリケース50の底部55に取り付けられている。図5の例では、第2延伸部51bの前端は第1延伸部51aの前端に繋がっている。第3延伸部51cは後壁部54の上部から前方かつ下方に延び、バッテリケース50の底部55に取り付けられている。図5の例では、第3延伸部51cの後端は第1延伸部51aの後端に繋がっている。梁部51のこの形状によれば、梁部51の軽量化を図りながら、バッテリケース50の剛性を向上できる。3つの延伸部51a、51b、51cの内側には開口51dが形成されている。また、第1延伸部51aと第3延伸部51cとの間には開口51eが形成されている。開口51d,51eにより梁部51の軽量化や低廉化を図ることができる。
なお、梁部51の形状は、これに限られない。例えば、第2延伸部51bは前壁部52の上部から後壁部54の下部に向かって延びてもよい。第3延伸部51cは、例えば、後壁部54の上部から前壁部52の下部に向かって延びてもよい。この場合、梁部51は第1延伸部51aを有していなくてもよい。すなわち、梁部51はX字状であってもよい。また、梁部51は必ずしも第2延伸部53及び/又は第3延伸部54を有していなくてもよい。図5に示す例では、底部55に取り付けられる第2延伸部51bの下端と、底部55に取り付けられる第3延伸部51cの下端は一体化しているが、これらは前後方向において互いに離れていてもよい。
梁部51は板状である。すなわち、第1延伸部51aの平面視での厚さは側面視での上下幅Wa(図5参照)よりも小さい。同様に、第2延伸部51b及び第3延伸部51cの平面視での厚さは側面視での幅はよりも小さい。これにより、バッテリケース50の変形を効果的に抑えながら、バッテリ30を収容するスペースの左右方向での幅が確保し易くなる。
図6は梁部51のバッテリケース50への取付構造を示す図であり、図5に示すVI−VI線を切断面とするバッテリケース50の断面を模式的に示している。梁部51は、その前端に、右方向及び左方向にそれぞれ延びている取付部51fを有している。図6に示す例では、取付部51fは第1延伸部51aの前端から右方向及び左方向にそれぞれ延びている。取付部51fは前後方向においてバッテリケース50の前壁部52に取り付けられている。すなわち、取付部51fと前壁部52は、それらの前側又は後側から差し込まれるボルトなどの締結部材51kによって互いに固定されている。この取付構造によれば、第1延伸部51aと前壁部52との間にクリアランスが生じることを抑えることができる。その結果、フレーム最前部40が前壁部52を押したときに、その力を梁部51で受け易くなる。
梁部51は、その後端に、右方向及び左方向にそれぞれ延びている取付部51gを有している。図6に示す例では、取付部51gは第1延伸部51aの後端から右方向及び左方向にそれぞれ延びている。取付部51gは左右方向においてバッテリケース50の後壁部54に取り付けられている。詳細には、後壁部54には凸部が形成され、取付部51gと凸部は、それらの右側又は左側から差し込まれるボルトなどの締結部材51mによって互いに固定されている。
梁部51の取付構造は以上説明したものに限られない。例えば、梁部51の前端は左右方向において前壁部52に取り付けられてもよい。また、梁部51の後端は前後方向において後壁部54に取り付けられてもよい。また、梁部51はバッテリケース50と一体的に成型されもよい。
図6に示すように、梁部51は、好ましくは、バッテリ30の前後方向での動きを規制するための規制部51h、51jを有する。ここで示す例の梁部51は、その前部に、右方向及び左方向にそれぞれ延びる2つの規制部51hを有している。また、ここで示す例の梁部51は、その後部に、右方向及び左方向にそれぞれ延びる2つの規制部51jを有している。前側の規制部51hと後側の規制部51jとの距離はバッテリ30の前後方向の幅に対応している。図5に示す梁部51は、その上部に、規制部51h、51jを有している。ここで示す例の規制部51h、51jは第1延伸部51aから左方向及び右方向にそれぞれ延びている。梁部51は、その後端に、上下に離れている2つの取付部51gを有している。後側の規制部51jは、2つの取付部51gに掛け渡されている。これによれば、取付部51gから前方に離れた位置に規制部51jを形成する場合に比べて、バッテリ30の前後方向での幅を拡大できる。
梁部51の材料は、例えばバッテリケース50とは異なる材料である。また、梁部51の材料はバッテリケース50と同じ材料でもよい。梁部51の材料は一例では金属(アルミニウムや鉄、それらの合金など)であるが、カーボン繊維を含む複合材料でもよい。
上述したように、バッテリケース50に収容されるバッテリ30の数は2つより多くてもよい。この場合、全てのバッテリ30の間に梁部51が設けられてもよいし、いずれか2つのバッテリ30の間にだけ梁部51が設けられてもよい。また、梁部51の右側及び左側に、前後方向に並ぶ複数のバッテリが配置されてもよい。
上述したように、バッテリケース50は左右の側壁部53を有している。側壁部53は、その外面に沿った方向に延びている段差を有している。図2に示すように、側壁部53は、好ましくは、後方かつ下方に延びる段差53a、53b、53c、53dを有する。これによれば、フレーム最前部40からバッテリケース50に力が作用したときに、左右の側壁部53が変形することを抑えることができる。後輪5を支持するリアアーム7のピボット軸8は、バッテリケース50の前壁部52に対して後方かつ下方に位置している(図1参照)。したがって、上述の段差53a、53b、53c、53dによれば、バッテリケース50の前壁部52からピボット軸8に向かう方向の力に対する側壁部53の強度を増すことができる。なお、段差53a、53b、53c、53dの延伸方向はこれに限られない。例えば、段差53a、53b、53c、53dは前後方向に延びてもよいし、後方かつ上方に延びてもよい。この場合でも、左右の側壁部53の変形を抑え、フレームの剛性を向上できる。
図2に示すように、側壁部53は、好ましくは、上下方向において並ぶ複数の段差53a、53b、53c、53dを有する。これによれば、側壁部53の剛性をさらに増すことができる。なお、側壁部53に形成される段差の数はこれに限られず、1つでもよい。
図2に示す例の側壁部53は、複数の段差53a、53b、53c、53dのうち最も高い位置に形成されている段差として、段差53aを有している。段差53aの後部よりも上側の部分53eは段差53aよりも下側の部分53fよりも車幅方向の中心寄りに位置している。ライダーはシート6に座っている際、バッテリケース50の後部を左右の足で挟む。上述の段差53aによれば、バッテリケース50の後部の左右幅が小さくなる。その結果、ライダーは快適にバッテリケース50を挟むことができる。
図2に示す例の側壁部53は、その外面に凹部53gを有している。凹部53gの縁が段差53b、53cとなっている。なお、段差53a、53b、53c、53dを設けるために側壁部53に形成される凹凸は図2に示すものに限られず、適宜変更されてよい。
図7はバッテリケース50の側壁部53とケースカバー60の断面図である。図7(a)は図2に示すVIIa−VIIa線で示される切断面で得られる断面図である。図7(b)は図2に示すVIIb−VIIb線で示される切断面で得られる断面図である。図7に示すように、バッテリケース50の壁部52、53、54は、好ましくは、その上縁に、バッテリケース50の内側又は外側に向かって張り出しているオーバーハング部50aを有する。バッテリケース50の上面は、上述したように、開口している。そのため、バッテリケース50の上縁は変形し易い(すなわち撓みやすい)。バッテリケース50の上縁に形成されているオーバーハング部50aによれば、そのようなバッテリケース50の上縁の変形を抑えることができる。好ましくは、オーバーハング部50aは上縁の全周に亘って形成されるが、必ずしもこれに限定されない。例えば、側壁部53の上縁にだけオーバーハング部50aは形成されてもよい。
図7に示すように、オーバーハング部50aは、好ましくはバッテリケース50の内側に向かって張り出す。ケースカバー60の下縁は、オーバーハング部50aの外側を取り囲むように形成される。この構造によれば、バッテリケース50の上縁の剛性を確保しながら、ケースカバー60に掛かった水がバッテリケース50内に浸入することを抑えることができる。
図7に示す例では、オーバーハング部50aには、オーバーハング部50aとケースカバー60との間をシールするシール部材50bが取り付けられている。バッテリケース50の一例では、シール部材50bは、バッテリケース50の上縁の全周に亘って設けられるが、必ずしもそれに限定されない。ここで説明する例のバッテリケース50においては、前壁部52の上縁、側壁部53の上縁、及び後壁部54の上縁の一部にシール部材50bが取り付けられている。後壁部54の上縁におけるシール部材50bが設けられていない部分(以下では開口部と称する)からは、バッテリケース50内の空気が排出され得る。バッテリ30によって暖められたバッテリケース50内の空気はこの開口部から外部に放出され得る。
図7(a)に示すように、側壁部53の段差53aは、好ましくは、ケースカバー60の下縁の下側に位置し、且つケースカバー60の下縁に沿って形成される。これによれば、段差53aはバッテリケース50の強度を確保するとともに、ケースカバー60を支持する部分としても機能する。ここで説明する例の段差53aは、その前部に後部よりも大きな左右方向の幅(W1)有している。段差53aの前部はケースカバー60の下縁の下側に位置し、且つケースカバー60の下縁に沿って形成され、ケースカバー60の下縁の前部を支持する。なお、段差53aは必ずしもケースカバー60を支持する機能を有していなくてもよい。
バッテリケース50は、好ましくは、ボルトなどの締結部材によって左右方向において組み合わされる右ケース半体と左ケース半体とによってそれぞれ構成される。右ケース半体と左ケース半体のそれぞれは一体的に成型されている。ここで右ケース半体はバッテリケース50の右部を構成し、左ケース半体はバッテリケース50の左部を構成する。これによれば、車体に対して上下方向に作用する力に対するバッテリケース50の剛性を向上できる。また、バッテリケース50のこの構造によれば、各ケース半体を鋳造成型する場合に金型を左右方向にスライドさせることとなる。そのため、上述のオーバーハング部50aや、段差53a、53b、53c、53dを比較的容易に形成することが可能となる。また、バッテリケース50が右ケース半体と左ケース半体とを有する場合、右ケース半体と左ケース半体との取り付け位置(締結部材の差し込み位置)がバッテリケース50の側面には設けられない。そのため、バッテリケース50の左右方向の幅、すなわち車幅を低減できる。なお、バッテリケース50の構造はこれに限られない。例えば、バッテリケース50は、その前部を構成するケース半体と、その後部を構成するケース半体とを有してもよい。上述したように、ここで説明する例の電動二輪車1は、上部にバッテリケース50を有し、下部にモータケース70を有するケースCを有している。ケースCは左右方向において組み合わされる右ケース半体CRと左ケース半体CLとによってそれぞれ構成されている。バッテリケース50とモータケース70とが別個に成型される構造においても、バッテリケース50は左右方向において組み合わされる右ケース半体と左ケース半体とを有してもよい。この場合でも、車体に対して上下方向に作用する力に対するバッテリケース50の剛性を向上できる。
上述したように、図7に示すバッテリケース50のオーバーハング部50aはバッテリケース50の内側に向かって張り出している。そのため、バッテリ30の前後方向の幅はバッテリケース50の前壁部52と後壁部54との間の距離よりも小さくする必要がある。また、バッテリ30の左右方向の幅は梁部51から側壁部53までの距離よりも小さくする必要がある。このような構造においては、図6に示すように、バッテリケース50の内面に、バッテリ30の前後方向での動きを規制するための規制部58a、58bが形成されることが好ましい。前側の規制部58aと後側の規制部58bの間隔はバッテリ30の前後方向の幅に対応している。バッテリケース50の内面に、バッテリ30の左右方向の動きを規制するための規制部58c、58dが設けられることが好ましい。梁部51から規制部58c、58dまでの距離はバッテリ30の左右方向の幅に対応している。これら規制部58a,58b、58c、58d及び梁部51の規制部51h、51jはオーバーハング部50aよりも低い位置に設けられている。
図5に示すように、規制部58a,58b、58c、58dは、好ましくは、バッテリケース50の上部と下部とに設けられる。この図に示す例では、バッテリケース50は、前側の規制部58aと規制部58cとを含みバッテリケース50の前部の位置を規定する前部材58Fu、58FLを有している。前部材58Fuはバッテリケース50の上部の内面に取り付けられ、前部材58FLはバッテリケース50の下部の内面に取り付けられている。また、バッテリケース50は、後側の規制部58bと規制部58cとを含みバッテリケース50の後部の位置を規定する後部材58Ru、58RLを有している。後部材58Ruはバッテリケース50の下部の内面に取り付けられ、後部材58RLはバッテリケース50の下部の内面に取り付けられている。
規制部58a,58b、58c、58dの材料は、例えば樹脂である。これによれば、バッテリ30が規制部58a,58b、58c、58dに当たったときにバッテリ30に作用する力を緩和できる。規制部58a,58b、58c、58dの材料はこれに限られず、金属でもよい。
図1に示す電動二輪車1では、バッテリケース50の後方にリアサスペンション9が配置されている。リアサスペンション9の上端は、例えばバッテリケース50の後壁部54に形成されている取付部54b(図2参照)に取り付けられる。リアサスペンション9の下端は、例えばリンク機構を介してモータケース70に支持される。なお、リアサスペンション9の配置は以上説明したものに限られない。例えば、リアサスペンション9はモータケース70の下方に配置されてもよい。
[ばねによるバッテリの支持構造]
上述したように、電動二輪車1は、バッテリケース50の蓋として機能する、開閉可能なケースカバー60を有している。図4に示すように、ケースカバー60には、ケースカバー60を開閉可能に支持する軸部60aが設けられている。また、ケースカバー60には、ケースカバー60を閉じた状態でこれをロックするための係合部材62が設けられている。車体には係合部材62が引っ掛かるための被係合部50cが設けられている。一例では、軸部60aはケースカバー60の最後部に設けられ、係合部材62はケースカバー60の最前部に設けられる。こうすることにより、ケースカバー60を開けたときにケースカバー60がステアリングハンドル4に緩衝しないので、バッテリケース50のサイズを前方に拡大し易くなる。軸部60aと係合部材62の位置はこれに限定されない。例えば、軸部60aはケースカバー60の最前部に設けられ、係合部材62はケースカバー60の最後部に設けられてもよい。
図3に示すように、係合部材62が引っ掛かるための被係合部50cと、軸部60aを支持する支持部50dは、例えば、バッテリケース50に形成される。詳細には、被係合部50cと支持部50dはバッテリケース50を構成するケース半体CR、CLと一体的に成型される。これによれば、被係合部50cと支持部50dとの距離の公差を低減できる。その結果、ケースカバー60の下縁とバッテリケース50の上縁との間のクリアランスを低減できる。なお、被係合部50cと支持部50dの位置はこれに限られない。例えば、被係合部50cはフレーム最前部40に形成されてもよい。
電動二輪車1はバッテリ30の下面を支持する底部を有している。ここで説明する例の電動二輪車1では、底部55はバッテリケース50に設けられている。図3及び図5に示すように、底部55にはばね57が設けられている(以下において、ばね57を下ばねと称する)。底部55は下ばね57を介してバッテリ30の下面を支持している。電動二輪車1はバッテリ30の上面を覆うカバーを有している。電動二輪車1は、このカバーとして、ケースカバー60を有している。図4に示すように、ケースカバー60は、下ばね57とともにバッテリ30を上下方向において挟むばね61を有している(以下において、ばね61を上ばねと称する)。ケースカバー60が閉じられ且つバッテリ30がバッテリケース50に収容されている状態で、下ばね57はバッテリ30の下面を支持するとともに伸長方向及び圧縮方向への弾性変形が可能である。また、上ばね61は、上述の状態で、バッテリ30の上面を押すとともに伸長方向及び圧縮方向への弾性変形が可能である。すなわち、バッテリ30が振動していない状態においても、ばね57、61からバッテリ30にはバッテリ30を挟む力が作用し、且つ、ばね57、61の双方は収縮できる。このような下ばね57及び上ばね61によれば、車両の走行時における車体の振動に起因してバッテリ30が車体に対して振動する場合でも、そのバッテリ30の振動がライダーに伝わることを抑えることができる。また、バッテリ30に加わる衝撃を緩和できる。
図3に示すように、好ましくは、底部55には前後方向に分散して配置される複数の下ばね57が設けられる。また、図4に示すように、好ましくは、ケースカバー60には前後方向に分散して配置されている複数の上ばね61が設けられる。バッテリ30の前後方向の幅は左右方向での幅よりも大きい。複数の下ばね57と複数の上ばね61は、このような形状のバッテリ30にとって特に有効である。
ここで説明する例の電動二輪車1は左右方向において並ぶ複数のバッテリ30を有している。底部55は、各バッテリ30について、前後方向に並ぶ複数の下ばね57を有している。具体的には、底部55には、各バッテリ30について、4つの下ばね57が設けられている。なお、各バッテリ30に設けられる下ばね57の数はこれに限定されない。
図3に示すように、複数の下ばね57は、好ましくは左右方向においても分散して配置される。すなわち、複数の下ばね57はバッテリ30の下面の右側部分を支持する下ばね57と、バッテリ30の下面の左側部分を支持する下ばね57とを含む。これによれば、下ばね57によるバッテリ30の支持安定性をさらに増すことができる。なお、下ばね57の配置はここで説明したものに限られず、種々の変更がなされてよい。
図3に示すように、バッテリケース50の底部55には、後述するバッテリ30のコネクタ32(図15及び図16参照)と電気的に接続するためのコネクタ71が配置されている。複数の下ばね57は、コネクタ71に対して右方向又は左方向に位置している下ばね57を有している。これによれば、コネクタ71の近くでバッテリ30を安定的に支持できる。コネクタ71はバッテリケース50の底部55の前部に設けられている。図3に示す例では、複数の下ばね57のうち最前に位置する下ばね57がコネクタ71に対して右方向に位置している。
ケースカバー60は、複数のバッテリ30のそれぞれについて、前後方向に分散して配置される複数の上ばね61を有している。具体的には、ケースカバー60は、各バッテリ30について、前後方向に並ぶ2つの上ばね61を有している。なお、各バッテリ30に設けられる上ばね61の数は2つより多くてもよい。また、ケースカバー60は、複数のバッテリ30のそれぞれについて、左右方向において分散して配置される複数の上ばね61を有してもよい。すなわち、複数の上ばね61はバッテリ30の上面の右側部分を押す上ばね61と、バッテリ30の上面の左側部分を押す上ばね61と、を含んでもよい。これによれば、上ばね61及び下ばね57のによるバッテリ30の支持安定性をさらに増すことができる。
上述したように、ここで説明する例のバッテリケース50は、その内面にバッテリ30の前後方向での動きを規制するための規制部58a、58bを有している(図6参照)。また、バッテリケース50は、その内面にバッテリ30の左右方向での動きを規制するための規制部58c、58dを有している。さらに、梁部51は規制部51h、51jを有している。これら規制部によれば、上ばね61及び下ばね57の伸縮によりバッテリ30が揺れる場合でも、その揺れ方向を上下方向に制限できる。
電動二輪車1には、好ましくは、上ばね61と下ばね57とがバッテリ30を挟む力を調整するためのアジャスター機構が設けられる。このアジャスター機構によれば、ばね61、57の弾性力によりバッテリ30に過剰な負荷が作用することを抑えることができ、また、ばね61、57がバッテリ30を挟む力を適正化でき、走行時のバッテリ30のがたつきを抑えることが容易となる。
上述したように、ケースカバー60には、ケースカバー60を開閉可能に支持する軸部60aが設けられている(図4参照)。また、ケースカバー60には、ケースカバー60を閉じた状態でこれをロックするための係合部材62が設けられている(図2参照)。車体には係合部材62が引っ掛かるための被係合部50cが設けられている(図2参照)。アジャスター機構は、好ましくは、軸部60a、係合部材62、被係合部50cの少なくとも1つの高さを調整する。これによれば、アジャスター機構が比較的高い位置に設けられることとなるため、ユーザがアジャスター機構にアクセスし易くなる。
図8はアジャスター機構の一例を説明するための斜視図である。この図では、ケースカバー60の前側に設けられている係合部材62と被係合部50cとが示されている。この図で示す例のアジャスター機構はケースカバー60に設けられている。詳細には、ケースカバー60の前面には、ボルトなどの締結部材63によって支持部材64が取り付けられている。係合部材62は、被係合部50cに係合するフック部62aと、ユーザが操作するための操作部62cとを有している。係合部材62は、支持部材64によって支持され、且つ操作部62cとフック部62aとの間に差し込まれている軸66を中心にして回転できる。支持部材64はケースカバー60の前面に対して相対的に上下動可能となっている。具体的には、支持部材64とケースカバー60の前面とには締結部材63が差し込まれる穴が形成されている。この穴は上下方向に細長い。したがって、締結部材63を緩めることにより、支持部材64はケースカバー60の前面に対して相対的に上下動可能となる。支持部材64の位置を動かすことにより、係合部材62の高さを調整できる。
図8に示す例の支持部材64は、ケースカバー60の上面の上方に位置する延伸部64aを有している。延伸部64aには、延伸部64aとケースカバー60の上面との距離を規定するための部材が取り付けられている。具体的には、延伸部64aとケースカバー60とには、ケースカバー60の下側からボルト64bが差し込まれている。ボルト64bには延伸部64aの上側に配置されているナット64cが取り付けられている。ナット64cを回転させることにより、延伸部64aとケースカバー60の上面との距離を規定できる。
ケースカバー60に設けられている係合部材62の高さの調整作業は例えば次のようになされる。最初に、係合部材62とバッテリケース50の被係合部50cとの係合を解消する。このとき、上ばね61の弾性力により、ケースカバー60はバッテリケース50から離れる。作業者は締結部材63を緩めた後、ナット64cの回転により支持部材64の位置を上下方向に変えながら、支持部材64からバッテリケース50までの距離を予め定められた適正距離に一致させる。その後、ユーザは締結部材63を固定する。
なお、アジャスター機構は以上説明したものに限られない。例えば、支持部材64に延伸部64aは設けられていなくてもよい。また、バッテリケース50に被係合部50cがボルトなどの締結部材によって取り付けられ、この被係合部50cの位置を上下方向に動かすことができてもよい。また、ケースカバー60の後側に設けられている軸部60aを支持するバッテリケース50の支持部50d(図2参照)がボルトなどの締結部材によって取り付けられ、この支持部50dの位置を上下方向に動かすことができてもよい。また、ケースカバー60の係合部材62に替えて、バッテリケース50の被係合部50cにフックが形成され、被係合部50cが回転可能に支持されてもよい。
上述したように、バッテリケース50には複数のバッテリ30が収容され、ケースカバー60は複数のバッテリ30を覆っている。アジャスター機構(支持部材64、締結部材63、締結部材63が差し込まれる長穴)は、ケースカバー60に設けられている。このため、ケースカバー60の係合部材62の高さを調整することにより、上ばね61と下ばね57とから全てのバッテリ30に作用する力を調整できる。その結果、調整の作業性を向上できる。
係合部材62には、その動き(係合部材62と被係合部50cとの係合状態)を検出するスイッチが設けられてもよい。そして、バッテリ30から車体への電力供給は、係合部材62と被係合部50cとの係合が解除されたときに、停止されてもよい。
上述したように、バッテリケース50の底部55にはコネクタ71が配置されている。コネクタ71は、後において詳説するように、好ましくは上ばね61と下ばね57との間でバッテリ30が揺れる場合でも、コネクタ32と一体的に動くように支持される。具体的には、コネクタ71は好ましくは上下動可能に支持される。これによれば、上ばね61と下ばね57との間でバッテリ30が揺れる場合でも、コネクタ71はコネクタ32の動きに追従でき、その結果、コネクタ71の端子とコネクタ32の端子とが摩耗することを抑えることができる。
[電動モータ及びモータ制御ユニットのレイアウト]
電動モータ21はバッテリ30の下方に配置されている。ここで説明する例の電動二輪車1は上述したようにバッテリケース50を有している。図5に示すように、電動モータ21はバッテリケース50の下方に配置されている。電動二輪車1は電動モータ21を収容している収容部としてモータケース70を有している。電動モータ21はその回転軸が左右方向に向くように配置されている。減速機構(ギア22)及び出力軸23もバッテリケース50の下方に配置され、モータケース70は、電動モータ21、減速機構及び出力軸23を含む駆動系20を収容している。モータケース70は電動モータ21の回転軸、減速機構の軸、及び出力軸23を回転可能に支持している。
上述したように、電動二輪車1の一例では、モータケース70はバッテリケース50と一体的に成型される。ここで説明する例の電動二輪車1は、上述したようにケースCを有している。ケースCはその上部にバッテリケース50を有し、その下部にモータケース70を有している。図4に示すように、ケースCは右ケース半体CRと左ケース半体CLとによって構成されている。右ケース半体CRは、バッテリケース50の右部とモータケース70の右部とを構成している。左ケース半体CLは、バッテリケース50の左部とモータケース70の左部とを構成している。このように、モータケース70とバッテリケース50とを一体的に成型することにより、バッテリケース50の剛性をモータケース70によって向上できる。
また、モータケース70は左右方向において組み合わされる2つの部材(ここで説明する例では右ケース半体と左ケース半体)とによって構成される。車体フレームの左右方向の幅(ここで説明する電動二輪車の例ではバッテリケース50の幅)を抑えながら、電動モータ21の軸方向(左右方向)の寸法を拡大し、電動モータ21の径方向のサイズを低減できる。その結果、後述するモータ制御ユニット29、及び電動モータ21を含む駆動系20の前後方向でのサイズを低減できる。
バッテリケース50とモータケース70の構造は必ずしもこれに限定されない。例えば、後において詳説するように、バッテリケース50とモータケース70は別個に成型され、モータケース70はバッテリケース50にボルトなどの締結部材によって固定されてもよい。この場合、モータケース70の構造が異なる複数の車体モデルにおいて、共通のバッテリケース50を利用できる。図2に示すように、モータケース70の後部の右側及び左側にはピボット支持部材78が取り付けられている。ピボット支持部材78はリアアーム7のピボット軸8を支持している。
電動二輪車1は電動モータ21を制御するモータ制御ユニット29(図5参照)を有している。モータ制御ユニット29はバッテリ30の直流電流を電動モータ21を駆動する交流電流に変換するインバーターを含んでおり、バッテリ30の電力を受けてその電力を電動モータ21に供給する。また、モータ制御ユニット29はインバーターを制御する制御装置を含んでいる。制御装置には、例えばアクセルグリップの操作量を検知するセンサの信号が入力される。制御装置はセンサを通して検知したアクセルグリップの操作量に基づいてインバーターを制御する。
図5に示すように、モータ制御ユニット29は電動モータ21の前方に配置されている。このレイアウトによれば、車両の走行時、モータ制御ユニット29に風が当たりやすくなるので、モータ制御ユニット29の冷却性を向上できる。
電動二輪車1はモータ制御ユニット29を収容する収容部を有している。ここで説明する例の電動二輪車1は、図5に示すように、収容部としてケース28を有している。ケース28は、好ましくは、その前面に複数の放熱用のフィン28aを有する。図5に示す例のケース28はモータケース70とは別個に成型された部材であり、モータケース70に取り付けられている。なお、ここで「収容部」はモータ制御ユニット29を収容する部分を意味し、必ずしも箱状のケース28に限られない。例えば、モータ制御ユニット29が配置される部分がモータケース70と一体的に成型され、この部分が収容部として機能してもよい。この場合、収容部は必ずしも完全に閉じていなくてもよい。また、モータ制御ユニット29の収容部はモータケース70に支持されるのではなく、バッテリケース50によって支持されてもよい。
ここで説明する例のモータケース70は、その最前部に前方に開いた凹部を有し、この凹部にケース28が嵌められている。この場合、ケース28の右側及び左側は、好ましくは、モータケース70の側壁部によって覆われる。また、ケース28の下側も、好ましくは、モータケース70の下壁部によって覆われる。その結果、ケース28をモータケース70によって効果的に保護できる。ケース28の取付構造はこれに限られない。例えば、ケース28はモータケース70の前面に取り付けられてもよい。
ケース28は、その一例では、図5に示すように、前方に開いた箱状のケース本体28bと、ケース本体28bの前側に取り付けられるとともに、フィン28aを有するカバー28cとを有する。
後において詳説するように、バッテリ30は車体に設けられているコネクタ71と電気的に接続するためのコネクタ32を有している。ここで示す例のコネクタ32はバッテリ30の前部に設けられている。言い換えると、コネクタ71はバッテリケース50の前部に位置している。これにより、コネクタ32,71とモータ制御ユニット29との距離を小さくでき、バッテリ30からモータ制御ユニット29に至る経路での電力損失を低減できる。図5に示すように、コネクタ71はモータ制御ユニット29の上方に配置されている。このレイアウトによれば、コネクタ71とモータ制御ユニット29との距離を小さくできる。その結果、コネクタ71とモータ制御ユニット29とを繋ぐハーネス(不図示)を短くでき、電力損失を低減できる。
図5に示すように、ケース28は、その一例では、車体の側面視において、上下方向に立てた姿勢で配置されている。言い換えると、ケース28は、その上下方向の幅が前後方向の幅より大きくなる姿勢で配置されている。ケース28のこの配置によれば、ケース28(モータ制御ユニット29)と電動モータ21を含む駆動系20を前後方向においてコンパクトにレイアウトできる。また、ケース28のこの配置によれば、ケース28の前面のサイズを大きくでき、モータ制御ユニット29の冷却性を向上できる。また、前輪2からケース28の前面までの距離を確保し易くなり、車両の走行時に泥や水がケース28に当たることを抑えることができる。
上述したように、ここで示す例のケース28は、その前面に、放熱用の複数のフィン28aを有している。ケース28の上述の配置によると、ケース28の前面のサイズを大きくできるので、フィン28aも設け易くなる。複数のフィン28aは、好ましくは、図2に示すように、左右方向に並ぶように形成される。これよれば、ケース28の前面に泥や水が当たった場合でも、フィン28aの間に泥や水が溜まることを抑えることができる。
図5に示す例のケース28は、その下部が上部よりも後方に位置するように斜めに配置されている。ケース28のこの配置によれば、車両の走行時に泥や水がケース28に当たることをさらに効果的に抑えることができる。また、車体に対して前輪2が相対的に上下動した場合でも、前輪2とケース28との干渉を避けながら、ケース28を前方に配置し易くなる。なお、ケース28の前面には、泥や水などがケース28に当たることを抑えるとともに風がケース28の前面に向かって流れることを許容するルーバーが取り付けられてもよい。
図5に示すように、ケース28は、その一例では、電動モータ21に対して上方にずれて配置されている。言い換えると、ケース28の上下方向の中心C1は電動モータ21の中心よりも高い位置に位置している。ケース28のこのレイアウトによると、車両の走行時に泥や水がケース28に当たることを抑えることができる。図5に示す例においては、ケース28の下面は、モータケース70における電動モータ21を収容している部分の下面70aよりも高い位置に位置している。
図5に示すように、バッテリケース50は、その前部が後部よりも高くなるように水平方向(路面と平行な方向)に対して傾斜している。言い換えると、バッテリケース50の底部55はその前部が後部よりも高くなるように水平方向に対して傾斜している。ケース28はバッテリケース50の前部の下方に位置している。このレイアウトによれば、ケース28の位置を高くし易くなる。その結果、ケース28の前面に泥や水などが当たることを抑えやすくなる。
図4において、直線L1はバッテリケース50の底部55に沿った方向、すなわちバッテリ30の下面に沿った方向の直線である。ここで説明する例の電動二輪車1では、電動モータ21の回転中心(軸心)C1は、車体の側面視において出力軸23の回転中心(軸心)C2を通り且つ直線L1と平行な直線L2に対して上下方向にずれて配置されている。言い換えると、出力軸23の軸心C2は、車体の側面視において電動モータ21の軸心C1を通り且つバッテリ30の下面に沿った直線に対して、上下方向にずれて配置されている。図4の例では、電動モータ21の回転中心C1は直線L2よりも下方に位置している。出力軸23と電動モータ21をこのようにレイアウトすることにより、電動モータ21の回転軸と出力軸23との距離を確保しながら、電動モータ21の回転中心C1を通る直線L3と出力軸23との距離を小さくできる(ここで直線L3は電動モータ21の回転中心C1を通り且つ直線L1に垂直な直線である)。すなわち、直線L1に沿った方向での電動モータ21と出力軸23との距離を小さくできる。その結果、駆動系20をコンパクトに配置でき、電動モータ21の前方且つバッテリケース50の前部の下方に、モータ制御ユニット29を配置するためのスペースを確保し易くなる。
また、図4に示す例では、駆動系20を構成するギア22の回転中心C3は、電動モータ21の回転中心C1と出力軸23の回転中心C2とを結ぶ直線よりも下方に位置している。これにより駆動系20をさらにコンパクトに配置でき、電動モータ21の前方且つバッテリケース50の前部の下方に、モータ制御ユニット29を配置するためのスペースを確保し易くなる。
電動二輪車1は、ライト(例えば、ヘッドライトやテールライトなど)や、各種センサー、メータなどの電装品に電力を供給するバッテリ81を有している(以下においてはバッテリ81を電装品バッテリと称する)。電装品バッテリ81は、バッテリ30よりも低い電圧の電力を出力する。図5に示すように、電装品バッテリ81は、その一例では駆動系20とバッテリ30との間に配置される。電装品バッテリ81はケースC内に配置されている。電装品バッテリ18は、バッテリ30から供給される電力によって充電される。そのため、電装品バッテリ81のこのレイアウトによれば、バッテリ30と電装品バッテリ18との距離も小さくできる。
電装品バッテリ81は、その一例では、電動モータ21の上方に配置されている。つまり、電装品バッテリ81は、上述の直線L2よりも下方に電動モータ21を配置することにより形成される電動モータ21の上方のスペースに配置されている。なお、電装品バッテリ81のレイアウトは必ずしも以上説明したものに限られない。また、電動モータ21の上方のスペースには、電装品バッテリ81に替えて又は電装品バッテリ81とともに、他の電装品(例えば、電装品バッテリ81からライトなどの電装品への通電を制御するリレーやヒューズ)が配置されもよい。
図5に示すように、ここで説明するバッテリケース50の底部55は部品収容部材55bを有している。部品収容部材55bはその一部に箱状の収容部55cを有している。電装品バッテリ81はこの収容部55cに配置されている。収容部55cは上方に開いた箱状である。底部55は収容部55cの開口を覆うカバープレート55aを有している。部品収容部材55bはバッテリケース50及びモータケース70を構成するケースCの内面に固定されている。
収容部55cからは電装品に接続されるハーネスが延びている。図5においては、収容部55cから後方に延びているハーネス82が示されている。上述したように、ここで説明する例のバッテリケース50は、後壁部54の上縁に、シール部材50bが設けられていない部分(開口部)を有している。ハーネス82は、例えばバッテリケース50内を上方の延びた後に、開口部を通ってバッテリケース50の後方に延びる。
電動二輪車1は、バッテリ30の電圧を電装品バッテリ81の充電電圧に下げるDCDCコンバータや、バッテリ30からモータ制御ユニット29への通電を制御するリレーを有している。これらの部品もモータケース70に収容され、底部55の下方に配置される。これらの部品は、例えば底部55が含むカバープレート55aによって覆われる。
[コネクタのロック/アンロック構造]
上述したように、バッテリ30にはコネクタ32(図15及び図16参照)が設けられ、バッテリケース50の底部55にはコネクタ32と電気的に接続するためのコネクタ71が設けられている。コネクタ71は複数の端子を有している。図5に示すように、ここで説明する例のコネクタ71は上方に突出するピン状の端子71a、71bを有している。端子71aは電動モータ21を駆動する電力を電動モータ21に供給するための電力端子である。端子71bは、バッテリ30が内蔵するコントローラ34(図16参照)と車体に設けられているモータ制御ユニット29との間の通信に利用するための信号端子である。コネクタ32には端子71a、71bがそれぞれ嵌まる端子32a、32b(図15参照)が設けられている。なお、コネクタ32にピン状の端子が設けられ、コネクタ71にこのピン状の端子が嵌まる端子が設けられてもよい。また、ここで説明する例のコネクタ71は上方に伸びるガイド71fを有している。ガイド71fはコネクタ32に形成されている凹部に嵌まり、コネクタ71に対するコネクタ32の位置を案内する。ガイド71fは必ずしも設けられていなくてもよい。
バッテリ30は弾性部材によって支持されている。弾性部材は、例えば、ばねやゴムなど、バッテリ30の揺動を可能とし車体からバッテリ30に伝わる振動を緩和する部材である。ここで説明する例のバッテリ30は、上述したように、弾性部材として下ばね57を有している。バッテリ30は車体に対して上下方向に脱着可能であり、車体に搭載されているときには下ばね57によって支持される。そのため、車両の走行時、バッテリ30は上下に揺れる。コネクタ71はバッテリ30の揺れに追従する動きが許容される状態(以下、アンロック状態)と、コネクタ71のその動きが規制される状態(以下、ロック状態)との間で切り換えることができるように構成されている。ここで説明する例のコネクタ71はアンロック状態において上下動が許容され、ロック状態において上下動が規制される。車両の走行時にコネクタ71がアンロック状態に配置されることにより、端子71a、71bと端子32a、32bとの間に負荷が作用すること、具体的には端子71a、71bと端子32a、32bが摩耗することを抑えることができる。また、ユーザがバッテリ30を車体に搭載する際にコネクタ71がロック状態に配置されることにより、端子71a、71bと端子32a、32bとをスムーズに嵌合させることができる。
好ましくは、電動二輪車1にユーザが操作可能な部材(以下、操作部材)が設けられ、コネクタ71は操作部材の動きに応じてロック状態とアンロック状態との間で切り換えられる。これによれば、ユーザが意図したときにコネクタ71の状態を切り換えることができる。
コネクタ71の状態の切り換えは種々の方法により行うことができる。例えば、アクチュエータによってコネクタ71の状態の切り換えを行うことができる。この場合、例えばアクチュエータを制御するコントローラに接続されるスイッチが操作部材として設けられてもよい。なお、アクチュエータが設けられる場合には、操作部材は必ずしも設けられていなくてもよい。例えば、アクチュエータを制御するコントローラは、バッテリ30の脱着が行われる蓋然性が高い場合、例えばモータ制御ユニットの電源がオフされる時に、コネクタ71をロック状態に配置してもよい。また、コントローラはモータ制御ユニットの電源がオンされたときに、コネクタ71をアンロック状態に配置してもよい。
また、ユーザが操作可能な操作部材の動きをコネクタ71に伝える機構(以下において伝達機構)が設けられ、ユーザが操作部材を動かすことによりコネクタ71の状態が切り換えられてもよい。この場合、操作部材は予め設定した2つの位置の間で動くように設けられ、操作部材が第1の位置にあるときにコネクタ71はロック状態に配置され、操作部材が第2の位置にあるときにコネクタ71はアンロック状態に配置される。このような操作部材の一例はコネクタ71に直接的或いは間接的に連結されているレバーである。ここで説明する電動二輪車1においては、後において詳説するように、操作部材としてケースカバー60が設けられている。ユーザが操作するこのような操作部材は、好ましくはバッテリ30よりも上方に配置される。これによれば、ユーザは容易に操作部材にアクセスできる。
図9はコネクタ71及び操作部材であるケースカバー60の動きをコネクタ71に伝える伝達機構の例を示す図である。図10は図9に示す矢印Xの方向に伝達機構を見た図である。図11及び図12はコネクタ71と伝達機構を構成するロック部材79の斜視図である。
コネクタ71は上下動可能に支持されており、バッテリ30の上下動に追従して上下動できる。このようなコネクタ71の支持は種々の方法により行うことができる。例えば、底部55の下方にコネクタ71を支持するための支持台(不図示)が設けられ、コネクタ71は、予め設定した範囲で上下動可能となるように支持台に取り付けられてもよい。また、コネクタ71は上述のカバープレート55aによって上下動可能に支持されてもよい。例えば、図9に示すように、カバープレート55aにコネクタ71に対応したサイズの開口が形成され、コネクタ71は開口に嵌められる。コネクタ71は上下方向において離れて配置されている2つのフランジ72a、73aを有している。この2つのフランジ72a、73aの間にプレート55aの開口の縁が位置している。フランジ72a、73a間の距離はプレート55aの厚さよりも大きい。これにより、コネクタ71はカバープレート55aに対して上下動可能とされてもよい。なお、コネクタ71を上下動可能に支持する構造はこれに限られず、種々の変更がなされてよい。
ここで説明する例のコネクタ71は、端子71a、71bが固定されているベース72と、ベース72の外周に取り付けられている外周部材73とを有している。ベース72の下端にフランジ72aが形成されている。外周部材73にフランジ73aが形成されている。
ここで説明する例の伝達機構は、図9に示すように、コネクタ71の下方に配置されるロック部材79を有している。ロック部材79は係合位置と解放位置との間で動くことができる。係合位置は、図9において実線で示され、図10において二点鎖線で示されるロック部材79の位置である。解放位置は、図9において二点鎖線で示され、図10において実線で示されるロック部材79の位置である。ロック部材79は係合位置にあるとき、コネクタ71に係合しコネクタ71をロック状態とする。すなわち、ロック部材79は係合位置にあるとき、コネクタ71を上方に付勢する。これにより、ユーザがバッテリ30をバッテリケース50に入れる際、コネクタ71がバッテリ30のコネクタ32に押されて下方に移動することを防ぐことができる。その結果、コネクタ71、32をスムーズに接続させることができる。ロック部材79は解放位置にあるとき、コネクタ71から離れコネクタ71をアンロック状態とする。すなわち、ロック部材79は解放位置にあるとき、コネクタ71から下方に離れている。そのため、コネクタ71は予め設定された範囲(例えば2つのフランジ72a、73aの間隔によって許容される範囲)で上下動できる。このように、ここで説明する例のロック部材79は係合位置から下方に動くことで解放位置に配置される。
ユーザの操作を受けて動く上述の操作部材はロック部材79に連結されている。操作部材が第1の位置にあるときにロック部材79は解放位置に配置され、操作部材が第2の位置にあるときにロック部材79は係合位置に配置される。図9に示すように、好ましくは、操作部材としてケースカバー60が利用される。ケースカバー60はワイヤー78を通してロック部材79に連結されている。ケースカバー60は、閉位置(上述の第1の位置)と開位置(上述の第2の位置)との間で軸部60aを中心にして動くことができる。開位置は、図9において二点鎖線で示されるケースカバー60の位置である。閉位置は図9において実線で示されるケースカバー60の位置である。ケースカバー60が閉位置にあるとき、ロック部材79は解放位置に配置される。ケースカバー60が開位置にあるとき、ロック部材79はワイヤー78を介して上方に引き上げられ、係合位置に配置される。この構造によれば、ライダーがバッテリ30の脱着のためにケースカバー60を開けたときに、コネクタ71はロック状態となる。また、ライダーが車両を走行させるためにケースカバー60を閉じたときに、コネクタ71はアンロック状態となる。
ワイヤー78のチューブ78bは、例えばバッテリケース50の内面に取り付けられる。図9及び図10に示す例では、ワイヤー78の一方の端部は上下方向に延びているロッド78bを介してロック部材79の端部に取り付けられている。ワイヤー78とロック部材79の連結構造はこれに限られず、適宜変更されてよい。
上述したように、ここで説明する例のバッテリケース50には複数のバッテリ30が配置される。バッテリケース50の底部55には、複数のバッテリ30のコネクタ32にそれぞれ接続するための複数のコネクタ71が設けられている。伝達機構は、ケースカバー60の動きを複数のコネクタ71に伝える。すなわち、伝達機構はケースカバー60が開位置に配置されるときに複数のコネクタ71をロック状態とし、ケースカバー60が閉位置に配置されるときに複数のコネクタ71をアンロック状態とする。
ここで説明する例のバッテリケース50には左右方向に並ぶ2つのバッテリ30が配置される。バッテリケース50の底部55には左右方向に並ぶ2つのコネクタ71が設けられている(図3参照)。図10に示すように、ロック部材79は2つのコネクタ71の下方に位置している。ロック部材79は左右方向に延びるように形成され、ロック部材79の両端部に2つのワイヤー78がそれぞれ連結されている。2つのワイヤー78はケースカバー60に取り付けられている。この構造によれば、ケースカバー60が開位置に配置され、ロック部材79が係合位置に配置されると、ロック部材79は2つのコネクタ71を上方に付勢する。その結果、2つのコネクタ71の双方がロック状態とされる。また、ケースカバー60が閉位置に配置され、ロック部材79が解放位置に配置されると、ロック部材79は2つのコネクタ71から下方に離れる。その結果、2つのコネクタ71の双方がアンロック状態とされる。このように、2つのコネクタ71の下方に1つのロック部材79を配置することにより、ケースカバー60の動きを2つのコネクタ71に伝えることができる。なお、伝達機構は必ずしもロック部材79を有していなくてもよい。この場合、コネクタ71自体が、ワイヤー78が連結される部分を有してもよい。
ロック部材79は、好ましくは、バッテリ30の揺れに起因するコネクタ71の動きの方向に対して直交する方向でのコネクタ71の動きを規制するように形成される。ここで説明する例では、コネクタ71はバッテリ30の揺れに起因して上下方向において動く。したがって、ロック部材79は、好ましくはコネクタ71の前後方向及び左右方向での動きを規制するように形成される。この構造によれば、コネクタ71の端子71a、71bとバッテリ30のコネクタ32の端子32a、32bとの嵌合をよりスムーズに行うことができる。
ここで説明する例のコネクタ71は、図11に示すように、その下部に係合部材74を有している。係合部材74は、前後方向において対向する2つの対向面74bを有している。2つの対向面74bはそれらの間隔が下方に向かって徐々に大きくなるように傾斜している。一方、ロック部材79は、図12に示すように、2つの対向面74bの間に嵌まる嵌合部79bを有している。嵌合部79bは2つの対向面74bに合わせて傾斜した外面を有している。ロック部材79が係合位置に配置されているとき、この嵌合部79bと対向面74bによりコネクタ71の前後方向での動きが規制される。なお、ロック部材79と係合部材74の形状はこれに限られない。例えば、ロック部材79に2つの対向面が形成され、係合部材74にその対向面の間に嵌まる嵌合部が形成されてもよい。
また、ここで説明する例のロック部材79は、図11に示すように、嵌合部79bの前側と後側のそれぞれに、左右方向において対向する2つの対向面79aを有している。2つの対向面79aはそれらの間隔が下方に向かって小さくなるように傾斜している。一方、係合部材74は2つの対向面79aの間に嵌まる嵌合部74aを有している。嵌合部74aは2つの対向面79aに合わせて傾斜した外面を有している。この嵌合部74aと対向面79aにより、ロック部材79が係合位置に配置されているときコネクタ71の左右方向での動きが規制される。なお、ロック部材79と係合部材74の形状はこれに限られない。例えば、係合部材74に2つの対向面が形成され、ロック部材79にその対向面の間に嵌まる部分が形成されてもよい。
図11に示すように、電力端子71aの下部71cはベース72を超えて下方に延びている。下部71cにはボルト71dによってモータ制御ユニット29に接続される電線が接続される。信号端子71bにからは電線71eがベース72を超えて下方に延びている。この電線71eもモータ制御ユニット29に接続される。
上述したように、ケースカバー60は軸部60aを中心にして開位置と閉位置との間で動くことができる。ワイヤー78の端部78aはケースカバー60の内面に接続されている。図9に示すように、ワイヤー78の端部78aは、例えばケースカバー60の内面に固定されている取付部材65に取り付けられている。ケースカバー60が閉位置にあるとき、ワイヤー78の端部78aとケースカバー60との接続位置(P1)は軸部60aよりも前方に位置する。そして、ワイヤー78は接続位置(P1)から、軸部60aの前方に位置を通って下方に延びている。このため、ケースカバー60を閉位置から開位置に向けて移動させると、ワイヤー78は上方に引っ張られる。その結果、ロック部材79は解放位置から係合位置に移動する。一方、ケースカバー60が開位置にあるとき、ワイヤー78の端部78aとケースカバー60との接続位置(P2)は軸部60aよりも後方に位置する。そして、ワイヤー78は接続位置(P2)から軸部60aの下方の位置を通って前方且つ下方に延びている。つまり、接続位置(P1、P2)は、ケースカバー60が開位置と閉位置との間で動くときにワイヤー78が軸部60aの位置を超えるように設定されている。このような接続位置(P2)によれば、ケースカバー60が開位置にあるときに、ワイヤー78を引っ張る力に起因してケースカバー60を閉じる方向の力が生じることを防ぐことができる。
上述したように、バッテリ30は車体に対して上下方向において脱着可能となっている。コネクタ71の端子71a、71bとバッテリ30のコネクタ32の端子32a、32bは上下方向において嵌合するように構成されている。好ましくは、コネクタ71とバッテリ30のうち一方には、コネクタ71とコネクタ32の上下方向での相対動を規制する係合部材が設けられる。この係合部材は、コネクタ71とバッテリ30のうち他方に係合しバッテリ30がコネクタ71から上方に離れるのを規制する係合位置と、コネクタ71とバッテリ30のうち前記他方を解放し、バッテリ30がコネクタ71から上方に離れるのを許容する解放位置との間で移動可能となっている。このような係合部材によれば、車両の走行時にコネクタ71とコネクタ32の接続安定性を向上できる。
図9に示す例では、コネクタ71に係合部材75が設けられている。係合部材75は上下方向に対して直交する方向に動くことができる。図9に示す例の係合部材75は、その下部に位置する軸部75aを中心にして前後方向に動くことができる。一方、バッテリ30の前面には係合部材75が嵌まる被係合部32d(図9の二点鎖線、及び図16参照)が形成されている。これにより、係合部材75が被係合部32dに嵌まる係合位置に配置されるとき、バッテリ30がコネクタ71から上方に離れることが規制される。係合部材75が被係合部32dから前方に離れ、解放位置に配置されるとき、バッテリ30がコネクタ71から上方に離れることができる。
電動二輪車1には、係合部材75を前後方向に動かすための操作部材76が設けられる。操作部材76は例えばユーザが操作できる部材である。図9に示す例の操作部材76は、その上部にユーザが操作する被操作部76aを有している。被操作部76aは、好ましくは、バッテリ30の上面よりも上方に配置される。これによれば、ユーザは容易に被操作部76aにアクセスできる。操作部材76は、その下部に、係合部材75を前後方向に動かすことができるように係合部材75と係合している係合部76bを有している。操作部材76の一例はレバーであり、係合部76bと被操作部76aとの間に軸部76cを有している。したがって、被操作部76aが前方に動かされると、係合部76bは軸部76cを中心にして後方に移動し、係合部材75をバッテリ30の被係合部32dに嵌める。反対に、被操作部76aが後方に動かされると、係合部76bは軸部76cを中心にして前方に移動し、係合部材75をバッテリ30の被係合部32dから離す。軸部76cは例えばバッテリケース50の内面に設けられた支持部材によって支持される。
係合部材75は必ずしも以上説明したものに限られない。例えば、係合部材75はバッテリ30の側面や後面に係合するように配置されてもよい。操作部材76は必ずしもレバーでなくてもよい。
上述したように、ここで説明する例の電動二輪車1では、左右方向に並ぶ複数のコネクタ71が設けられている。図10に示すように、複数のコネクタ71のそれぞれに係合部材75が設けられている。操作部材76は、その下部に、複数のコネクタ71の係合部材75にそれぞれ係合する複数の係合部76bを有している。ここで説明する例の電動二輪車1には、2つのコネクタ71が設けられている。図10に示す操作部材76は軸部76cから下方に延びるロッド76dの下端から右方向及び左方向にそれぞれ延びる2つの係合部76bを有している。
バッテリ30のコネクタ71に対する動きを規制する構造は必ずしも上述のものに限られない。例えば、バッテリ30に、上下方向に対して直交する方向に動くことができる係合部材が設けられてもよい。図13はこのような形態のバッテリ130を示す概略図である。図13(a)はバッテリ130の正面図であり、図13(b)は図13(a)に示すb−b線での断面図である。
バッテリ130はその下部に係合部材131を有している。係合部材131はフック部131aを有している。係合部材131は軸部131bを中心にしてフック部131aが前後方向に移動可能となるように構成されている。この図においては、バッテリケース50にコネクタ171が設けらている。コネクタ171には係合部材131のフック部131aが嵌まることのできる凹部や穴である被係合部171aが形成されている。
バッテリ130の係合部材131は、好ましくは、バッテリ130の脱着作業を行う際に作業者が操作する操作部材と連動するように設けられる。操作部材は、コネクタ171の被係合部171aに係合する係合位置と、係合を解消する解放位置との間で移動可能に構成される。これによれば、簡素な操作で、バッテリ130の係合部材131とコネクタ171の被係合部171aとの係合及びその解消を行うことができる。
例えば、バッテリ130に操作部材としてユーザが把持するための取っ手133が設けられ、この取っ手133の動きと係合部材131の動きとが連動するように、それらが連結される。
図13に示す例では、取っ手133は軸部133aを有している。取っ手133は軸部133aを中心にして回転できる。具体的には、取っ手133は、バッテリ130の上面に対して立った姿勢(図13の実線で示される取っ手133の姿勢、以下において使用姿勢)とバッテリ130の上面に対して寝た姿勢(図13(b)で二点鎖線で示される取っ手133の姿勢、以下において非使用姿勢)との間で動くことができる。軸部133aと係合部材131はワイヤーなどの連結部材134を介して係合部材131の操作部131cに連結されている。具体的には、それらは、取っ手133が使用姿勢にあるときに係合部材131が解放位置に配置され、取っ手133が非使用姿勢にあるときに係合部材131が係合位置に配置されるように、互いに連結されている。一例では、軸部133aの端部133bは連結部材134を介して係合部材131の操作部131cに連結されている。操作部131cは軸部133aからその半径方向(図13では後方)に延びている。連結部材134と軸部133aとの連結位置は軸部133aの回転中心から離れている。この構造では、取っ手133が使用姿勢にあるときに、操作部131cが連結部材134によって引っ張り上げられ、係合部材131は解放位置に配置される。反対に、取っ手133が非使用姿勢にあるときに、操作部131cは下ろされ、係合部材131は係合位置に配置される。このような構造においては、係合部材131は例えばばねなどによって係合位置に付勢される。
[バッテリの構造]
図14はバッテリ30の平面図である。図15はバッテリ30の側面図である。図16はバッテリ30の分解斜視図である。図14及び図15に示すように、ここで説明する例のバッテリ30は前後方向に細長い略直方体である。バッテリ30はハウジング31を有している。ハウジング31内には、バッテリセル33が配置されている。また、ハウジング31内には、バッテリセル33を管理するバッテリマネージメントコントローラ34が配置されている(以下においてバッテリマネージメントコントローラは単にコントローラと称する)。コントローラ34は、具体的には、電圧や温度などバッテリセル33の状態を監視したり、バッテリ30の充電/放電制御を行う。また、コントローラ34はバッテリセル33の状態を車体に搭載されているモータ制御ユニット29に送信するための通信モジュールを有している。
コントローラ34はバッテリセル33の前方又は後方に配置される。図14及び図15に示す例では、コントローラ34はバッテリセル33の前方に配置されている。ハウジング31は、図16に示すように、その右部及び左部をそれぞれ構成し、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング半体31Rと左ハウジング半体31Lとを有している。コントローラ34がバッテリセル33の前方又は後方に配置されることにより、バッテリ30の左右方向(車幅方向)の幅を低減できる。また、ハウジング31は、左右方向において互いに組み合わされる右ハウジング半体31Rと左ハウジング半体31Lとによって構成されている。そのため、ハウジング半体31R、31Lを互いに固定するボルトなどの締結部材31dをバッテリ30の左右には設ける必要が無いため、バッテリ30の左右方向の幅をさらに低減できる。
図16に示すように、右ハウジング半体31Rは左方向に開いた箱状であり、左ハウジング半体31Lは右方向に開いた箱状である。右ハウジング半体31Rと左ハウジング半体31Lは、それらの互いに向き合う縁に、フランジ31a、31bをそれぞれ有している。フランジ31a、31bは締結部材31dによって互いに固定されている。図15に示すように、フランジ31a、31bは、好ましくはハウジング半体31R、31Lの全周に亘って形成される。すなわち、フランジ31a、31bはハウジング半体31R、31Lの前側、上側、後側、及び下側に形成されるのが好ましい。上述したように、バッテリ30はケースカバー60の上ばね61と下ばね57とによって挟まれている。フランジ31a、31bにより、ハウジング31の上面が上ばね61から受ける力、及びハウジング31の下面が下ばね57から受ける力に対するハウジング31の強度を増すことができる。なお、ハウジング半体31R、31Lには必ずしもフランジ31a、31bは設けられていなくてもよい。
上述したように、バッテリ30は車体に対して上下方向に脱着可能となっている。すなわち、ここで説明する例の電動二輪車1は、上方に開口しているバッテリケース50を有し、これによりバッテリ30は車体に対して上下方向に脱着可能となっている。ハウジング半体31R、31Lは左右方向において互いに組み合わされている。そのため、バッテリケース50の左右方向の幅、すなわち車幅を低減できる。ハウジングが上下方向において組み合わされる2つのハウジング半体によって構成される場合、バッテリケース50の開口は、2つのハウジング半体を互いに固定する締結部材が通過できるだけの左右方向の幅を有する必要がある。ハウジング半体31R、31Lは左右方向において組み合わされるので、そのような締結部材が通過できるだけの幅がバッテリケース50の開口に必要とされない。その結果、バッテリケース50の左右方向の幅を低減できる。
図16に示すように、コントローラ34はバッテリ30の充電/放電を制御するための複数のスイッチング素子(例えば、FET(Field Effect Transistor))34aを有している。バッテリ30は、好ましくはスイッチング素子34aを冷却するための放熱部材35を有する。また、バッテリ30は上述したコネクタ32を有している。図16に示すように、ここで示す例のコネクタ32では、端子32a、32bはインシュレータ32cによって保持されている。放熱部材35とコネクタ32とコントローラ34は、バッテリセル33に対して同じ方向に位置している。ここで説明する例のバッテリ30では、放熱部材35とコネクタ32とコントローラ34は、バッテリセル33に対して前方に位置している。
好ましくは、右ハウジング半体31Rと左ハウジング半体31Lのうち一方のハウジング半体は、左右方向での幅に関して他方のハウジング半体よりも大きい。そして、大きな幅を有する一方のハウジング半体に、放熱部材35とコネクタ32のうち少なくとも一方が配置される。これにより、放熱部材35とコネクタ32のレイアウトの自由度を増すことができる。ここで説明する例のバッテリ30においては、左ハウジング半体31Lの幅WLが右ハウジング半体31Rの幅Wrよりも大きい(図14参照)。図16に示すように、バッテリ30の一例では、左ハウジング半体31Lにコネクタ32が設けられ、右ハウジング半体31Rに放熱部材35が設けられている。
図15に示すように、コネクタ32の端子32a、32bは好ましくは前後方向において並んで配置される。これによれば、バッテリ30の左右方向の幅を低減し易くなる。なお、放熱部材35とコネクタ32のレイアウトはこれに限られない。例えば、大きな幅を有する一方のハウジング半体に放熱部材35が配置され、他方のハウジング半体にコネクタ32が配置されてもよい。この場合、放熱部材35のサイズを増し易くなる。また、大きな幅を有する一方のハウジング半体に放熱部材35とコネクタ32の双方が配置されてもよい。
図16に示すように、バッテリ30の一例では、左ハウジング半体31Lの下部に凹部31cが形成される。そして、コネクタ32は凹部31cに嵌められ、左ハウジング半体31Lに取り付けられる。凹部31cはコネクタ32に対応したサイズを有している。凹部31cは左ハウジング半体31Lの下部の角に形成されており、コネクタ32はバッテリ30の前面、下面及び側面を構成している。上述したコネクタ71の係合部材75が嵌まる被係合部32dはコネクタ32に形成されている。これにより、コネクタ32とコネクタ71の接続安定性を向上できる。図15に示すように、フランジ31a、31bは、好ましくはコネクタ32の下面(端子32a、32bが露出する面)よりも下方に突出する部分を有する。これによれば、コネクタ32をフランジ31a、31bによって保護できる。
上述したように、ここで説明する例のバッテリ30においては、コントローラ34はバッテリセル33の前方に配置されている。この例においては、複数のスイッチング素子34aは、図16に示すように、基板34bの最前部に取り付けられるのが好ましい。これにより、バッテリセル33とスイッチング素子34aとの間の距離を確保できる。なお、コントローラ34はバッテリセル33の後方に配置されてもよい。この場合、複数のスイッチング素子34aは例えば基板34bの最後部に取り付けられるのが好ましい。
図16に示すように、複数のスイッチング素子34aは、その一例では上下方向に並んで配置される。下部に位置するスイッチング素子34aは、好ましくはコネクタ32と左右方向に並んで配置される。このレイアウトによれば、バッテリ30の上下方向の幅を抑えることができる。
図16に示すように、ここで説明する例の放熱部材35はスイッチング素子34aの前方に配置される部分35aを有している。放熱部材35は複数のスイッチング素子34aに沿って上下方向において延びている。ハウジング31の前面には開口31eが形成され、放熱部材35はハウジング31の開口31eに嵌められている。これにより、放熱部材35をバッテリ30の前面において熱的に露出させることができる。また、放熱部材35のこのレイアウトによれば、バッテリケース50のサイズを前方に拡大することにより、車幅の増大を抑えながら放熱部材35を冷却するためのスペースをバッテリケース50内に確保できる。放熱部材35は金属によって形成される。放熱部材35には保護シールが貼られたり、塗装がなされてもよい。ここで保護シールや塗装は絶縁性を有してもよい。この場合でも、放熱部材35はバッテリ30の前面において熱的に露出する。そのようなシールや塗装は必ずしも設けられていなくてもよい。この場合でも、放熱部材35の前面はバッテリ30の前面において露出することとなる。なお、コントローラ34は上述したようにバッテリセル33に対して後方に配置されてもよい。この場合、ハウジング31の後面に開口が形成され、放熱部材35はハウジング31の開口に嵌められる。これにより、放熱部材35をバッテリ30の後面において熱的に露出させることができる。
開口31eは、好ましくは、2つのハウジング半体31R、31Lのうち一方のハウジング半体に形成される。すなわち、他方のハウジング半体は開口31eの縁を構成しない。これによれば、開口31eと放熱部材35の公差を低減でき、ハウジング31の密閉性を向上できる。図16に示すように、バッテリ30の一例においては、開口31eは右ハウジング半体31Rに形成される。左ハウジング半体31Lは開口31eの縁を構成していない。なお、開口31eは必ずしもこれに限定されない。例えば、2つのハウジング半体31R、31Lの縁に凹部が形成され、2つの凹部が組み合わさることにより開口31eが形成されてもよい。
図16に示す例では、開口31eはハウジング31の前面と、前面に交差する別の面とに形成されている。具体的には、開口31eはハウジング31の前面とハウジング31の側面とに形成されている。そして、放熱部材35は、バッテリ30の前面と側面とにおいて熱的に露出している。この構造によれば、バッテリ30の左右方向の幅を増すこと無く、放熱部材35の露出面積を増すことができる。図16に示すように、バッテリ30の一例では、開口31eは幅の小さい右ハウジング半体31Rの前面と側面とに形成されている。このように、ここで示すバッテリ30においては、幅の小さい右ハウジング半体31Rに放熱部材35を取り付けているものの、その前面と側面とを利用することにより、放熱部材35の露出面積を確保している。放熱部材35はバッテリ30の前面と右側面とを構成している。
ここで説明する例の放熱部材35は断面L字形状を有している。すなわち、放熱部材35はバッテリ30の前面を構成する部分35aと、部分35aに対して屈曲し、バッテリ30の側面を構成する部分35bとを有している。放熱部材35の外周部は開口31eの縁に固定されている。この放熱部材35によれば、ハウジング31内のスペースにおいて放熱部材35が占めるスペースを小さくできる。その結果、他の部品をハウジング31内に配置し易くなる。
コントローラ34は、スイッチング素子34aなどの部品が実装される基板34bを有している。図16に示すように、基板34bは好ましくはバッテリ30の側面に沿って配置される。言い換えると、基板34bは好ましくはハウジング31の側壁部の内面に沿って配置される。基板34bのこのレイアウトによれば、バッテリ30の左右方向の幅を増すこと無く、基板34bのサイズを確保できる。図16に示す例では、基板34bは右ハウジング半体31Rの側壁部に沿って配置されている。スイッチング素子34aは基板34bに対して立つように取り付けられ、バッテリ30の前面に沿って上下方向に並んでいる。
ここで説明する例のハウジング半体31R、31Lは樹脂によって成型されている。ハウジング半体31R、31Lを成型する際、成型機の金型は左右方向にスライドする。図14及び図15に示すように、ここで説明する例のハウジング31では、その左右方向の幅は前後方向の幅と上下方向の幅よりも小さい。これによれば、金型のスライド量を小さくできるので、金型を成型品(すなわち、ハウジング半体31R、31L)から分離する工程が円滑になされ得る。
図14及び図15に示すように、ハウジング31の上面には、ユーザが持つための取っ手36が取り付けられている。上述したように、ここで説明する例のバッテリ30では、コントローラ34はバッテリセル33の前方に配置されている。この例では、取っ手36は好ましくはバッテリ30の前後方向の中心Cbに対して後方にずれて配置される。こうすることにより、ユーザがバッテリ30を持ち上げるときに、バッテリ30の傾きを抑えることができる。なお、コントローラ34はバッテリセル33の後方に配置されてもよい。この場合、取っ手36は好ましくはバッテリ30の前後方向の中心Cbに対して前方にずれて配置される。
[変形例]
本発明は以上説明した電動二輪車1に限られず、種々の変更が可能である。例えば、バッテリケース50とモータケース70は別個に成型されてもよい。図17は互いに別個に成型されているバッテリケース150及びモータケース170の例を示す図である。図17(a)は側面図であり、図17(b)は図17(a)のb−b線で示す断面図である。この図において、モータケース170はバッテリケース150にボルトなどの複数の締結部材177によって上下方向で固定されている。この図の例のモータケース170はバッテリケース150の下縁に沿って前後方向に延びている上縁170bを有している。上縁170bはバッテリケース150の下縁に締結部材177によって固定されている。このような上縁170bによれば、モータケース170とバッテリケース150との間の固定箇所を増すことができ、それらの剛性を向上できる。また、図17に示す例では、バッテリケース50と同様に、2つのバッテリ30がバッテリケース150に収容されている。2つのバッテリ30の間には梁部51が配置されている。
このように、図17の例では、電動モータ21の収容部であるモータケース170はバッテリケース150の下側に取り付けられている。上述したように、バッテリケース150は車体フレームとして機能している。つまり、モータケース170は車体フレームの下側に取り付けられている。モータケース170の下側にこれを支持するフレームは設けられていない。モータケース170のこの取付構造によれば、車体フレームの左右方向の幅(ここで説明する電動二輪車の例ではバッテリケース150の幅)を抑えながら、電動モータ21の軸方向の寸法を拡大し、電動モータ21の径方向のサイズを低減できる。その結果、上述のモータ制御ユニット29、及び電動モータ21を含む駆動系20の前後方向でのサイズを低減できる。
バッテリケース50に収容されるバッテリ30の数は2つよりも多くてもよい。図18は3つのバッテリ30を収容可能なバッテリケース150Aを示す図である。図18(a)は側面図であり、図18(b)は図18(a)のb−b線で示す断面図である。バッテリケース150Aにおいて、3つのバッテリ30は左右方向において並んでいる。この図のバッテリケース150Aとモータケース170は、図17の例と同様に、別個に成型されている。そして、モータケース170はバッテリケース150Aに締結部材177によって上下方向において固定されている。この図に示す例でも、モータケース170の上縁170bはバッテリケース150Aの下縁に沿って前後方向に延びている。上縁170bはバッテリケース150Aの下縁に締結部材177によって固定されている。この図においては、締結部材177はバッテリケース150の内側に設けられている。締結部材177の位置はこれに限られない。例えば、図17で示すように締結部材177はバッテリケース150の外側に設けられてもよい。また、図18に示すように、3つのバッテリ30を有する形態では、好ましくはバッテリケース150Aは2つの梁部51を有し、それらは隣接する2つのバッテリ30の間に配置される。
図19は本発明に係る電動二輪車100を示す側面図である。この図においてこれまで説明した箇所と実質的に同一箇所には同一符合を付している。以下では、主として電動二輪車1とは異なる点について説明し、その他の点は電動二輪車1と同様である。
電動二輪車100は、電動二輪車1と同様に、バッテリケース50を有している。バッテリケース50には複数のバッテリ30が収容されている。また、電動二輪車100はモータケース70を有している。モータケース70は例えばバッテリケース50と一体的に成型される。また、上述したように、モータケース70とバッテリケース50は別個に成型されてもよい。
電動二輪車100はリアサスペンション109を有している。リアサスペンション109はモータケース70の下方に配置されている。リアサスペンション109の前端は例えばモータケース70の下面によって支持されている。リアサスペンション109の後端は例えばリンク機構を介してリアアーム107に連結される。
電動二輪車100は、ケースカバー60の上方に配置され、ケースカバー60を覆う上カバー169を有している。上カバー169は、好ましくは上方に膨らむように形成されている。シート106は上カバー169の後方に配置されている。上カバー169のこのような形状及びレイアウトによれば、ライダーは自身の体を上カバー169に載せることができる。上カバー169は、例えばエンジンを搭載する自動二輪車の燃料タンクを模した形状を有している。
上カバー169は、好ましくはケースカバー60をバッテリケース50にロックするための係合部材62を介してケースカバー60に連結され、係合部材62の軸66(図8参照)を中心にして回転可能となるように構成される。こうすることにより、係合部材62を軸66を中心にして回転させ易くなる。すなわち、係合部材62のフック部62aをバッテリケース50に設けられている被係合部50cに係合させたり、その係合を解消し易くなる。例えば、上カバー169は係合部材62の操作部62c(図8参照)に取り付けられたり、操作部62cと一体的に成型される。
図20は上カバー169とケースカバー60との連結構造の例を示す図である。図21は上カバー169とケースカバー60の動きを示す図である。上述したように、係合部材62はケースカバー60の前端に設けられている。一例では、上カバー169の前部は係合部材62の操作部62cにボルトなどの締結部材によって取り付けられる取付部169aを有する。これにより、上カバー169は係合部材62の軸66を中心にして係合部材62とともに回転可能となっている。上カバー169の構造はこれに限られない。例えば上カバー169は軸66を中心にして回転できるように係合部材62と一体的に成型されてもよい。上カバー169は、例えばその後部に車体に対してロック/アンロックが可能な係合部169bを有する。係合部169bは、例えばライダーのキー操作によりロック/アンロックの切り替えが可能となるように構成される。図20に示す上カバー169の下縁169cは上方に膨らむように湾曲しており、ケースカバー60が部分的に露出している。上カバー169の形状はこれに限られず、種々の変更がなされてよい。
ケースカバー60の開閉は例えば次のように行われる。上カバー169の係合部169bのロックをキー操作により解除し、アンロック状態とする。そして、図21(a)に示すように、上カバー169を軸66を中心にして上方且つ前方に回転させる。これにより、係合部材62のフック部62aはバッテリケース50の被係合部50cから外れる。その後、ケースカバー60を上カバー169とともに、ケースカバー60の後部に設けられている軸部60aを中心にして上方且つ後方に回転させる。
なお、上カバー169は必ずしも上述の構造を有していなくてもよい。すなわち、上カバー169はボルトなどの締結部材によってケースカバー60に取り付けられ、軸部60aを中心にして動くように構成されてもよい。
また、バッテリケース50には必ずしも複数のバッテリ30が配置されていなくてもよい。図22は1つのバッテリ30を収容可能なバッテリケース150Bを示す断面図である。この図のバッテリケース150Bとモータケース170は、図17の例と同様に、別個に成型されている。そして、モータケース170はバッテリケース150Bに締結部材177によって上下方向において固定されている。この図に示す例でも、モータケース170の上縁170bはバッテリケース150Bの下縁に沿って前後方向に延び、バッテリケース150Aの下縁に締結部材177によって固定されている。
また、電動二輪車1では車体フレームの構成部材としてバッテリケース50が設けられているが、必ずしもバッテリケース50は設けられていなくてもよい。すなわち、バッテリ30を収容するバッテリ収容部は、必ずしもフレームを構成していなくてもよい。この場合、バッテリ30はバッテリ30の左右に配置され前後方向に延伸する左右のフレームの間に配置されてもよい。また、バッテリ30は左右のフレームによって支持される支持部やモータケース70上に配置され、モータケース70は左右のフレームの下側に取り付けられてもよい。この場合でも、左右のフレームの幅を抑えながら、電動モータ21の軸方向の寸法(左右方向のサイズ)を拡大できる。