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JP6285367B2 - 風雑音検出のための方法および装置 - Google Patents
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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2011年12月22日出願のオーストラリア仮特許出願第2011905381号明細書、および2012年7月17日出願のオーストラリア仮特許出願第2012903050号明細書の利益を主張し、これらを本願明細書に援用する。
本発明は、マイクロホンや他のそのようなトランスデューサからの信号のデジタル処理に関し、特に、例えば風雑音の補償を開始または制御できるようにするために、そのような信号における風雑音などの存在を検出するための装置および方法に関する。
本明細書では、風雑音は、遠距離場の木に風が吹きつけると得られる葉の音などの、他の物体に吹きつける風の音とは対照的に、マイクロホンポートを流れ過ぎる気流中の乱流から生じるマイクロホン信号であると定義する。風雑音は、使用者にとって好ましくない可能性がある、および/または対象となる他の信号をマスクし得る。デジタル信号処理装置は、信号品質に対する風雑音の悪影響を改善する対策を講じるように構成されていることが望ましい。そのようにするために、実際には他の要因が信号に影響を及ぼしているときに風雑音であると誤って検出することなく、風雑音が発生するときにそれを確実に検出するための好適な手段が必要とされている。
風雑音検出(WND)への従来の取り組みでは、遠距離場において風ではない音が生成されるため、風雑音はマイクロホン間では実質的に無相関であるのに、各マイクロホンにおいては同様の音圧レベル(SPL)および位相を有すると、仮定している。しかしながら、遠距離場において生成された、風ではない音に関し、マイクロホン間のSPLは、局所的な音響反射、室内反響、および/またはマイクロホンの覆いの違い、障害物、または位置ゆえに、実質的に異なり得る。マイクロホン間のSPLのかなりの違いはまた、マイクロホンの近くで使用されている電話機のハンドセットなどの、近距離場において発生した、風ではない音によって生じることがある。マイクロホン出力信号の違いはまた、マイクロホンの感度の違い、すなわち不整合のマイクロホンゆえに生じることがあり、これは、マイクロホンの所与のモデルに対する製造公差が緩いこと、またはシステムにおいて異なるモデルのマイクロホンを使用していることに起因し得る。
音が、両マイクロホンに同時に到達する方向から届かない限り、マイクロホン間の間隔によって、風ではない音の位相が、各マイクロホンの音導入部において異なるものとなる。指向性のマイクロホンの応用では、マイクロホン配列の軸は、通常、所望の音源の方へ向いており、これは、最悪な時間遅延を生じさせ、それゆえ、マイクロホン間に最大の位相差を与える。
受信した音の波長が、マイクロホン間の間隔をはるかに上回るとき、マイクロホン信号は、かなり良く相関しており、かつ従来のWND方法は、低周波数の風を誤って検出しないであろう。しかしながら、受信した音の波長が、マイクロホンの間隔に到達するとき、位相差がマイクロホン信号の相関を弱くしており、かつ風ではない音を風として誤って検出し得る。マイクロホンの間隔が広いほど、風ではない音が風として誤って検出される周波数は低くなる、すなわち、誤検出が発生する可聴音域の部分が広くなる。ハードウェア構成および風速に依存して、補聴器のマイクロホンにおける風雑音が100Hz未満〜8000Hz超に及び得ることを考えれば、風雑音検出を、可聴音域の全てではないがほとんどにわたって満足のいくように動作させることが望ましいため、風雑音が問題となる副帯域においてのみ、風雑音を検出でき、かつ好適な抑圧手段を作動させるようにする。誤検出はまた、マイクロホン信号間の位相差の他の原因、例えば局所的な音響反射、室内反響、および/またはマイクロホンの位相応答または導入口の長さの違いに起因して発生し得る。
WNDへの既存の取り組みは、本明細書において相関法、差分法、および差分−和(difference−sum)法と称する3つの技術を含む。下記でこれらを簡潔に説明する。
第1に、米国特許第7,340,068号明細書において提示されている相関法では、2つのマイクロホン信号が低域フィルタリング(fc=1kHz)されてから、以下の式:
(式中、x(n)およびy(n)は、それぞれ、マイクロホンxおよびyの出力のサンプルであり、ゼロ相関ラグではl=0、および単一サンプル相関ではk=0、またはサンプルブロックにわたる相関ではk>0である)
を用いて、相互相関および自己相関が計算される。検出器の出力Dは、理論上は、風ではない音では1に到達する必要があり、ここでは、x(n)およびy(n)は同様である必要があり、および風雑音では0に向かう傾向を有する必要があり、ここでは、x(n)およびy(n)は似ていない必要がある。検出器の出力は、低域平滑フィルターを通過し、および風は、平滑化された出力D<0.67であるとき、および好ましくは平滑化された出力D<0.5であるとき、検出される。
第2に、米国特許第6,882,736号明細書で説明されているWNDの差分法では、2つのマイクロホン信号間の差の絶対値は、式:
D=|x(n)−y(n)| (2)
(式中、x(n)およびy(n)は、それぞれ、マイクロホンxおよびyの出力のサンプルである)
を使用して、計算される。検出器の出力Dは、理論上、非風の音源では0に到達する必要があり、ここでは、x(n)およびy(n)は高度に相関している必要があり、および風雑音が増大すると、x(n)およびy(n)はあまり似ていない必要がある。Dの値は、低域平滑フィルターを通過し、かつ平滑値が閾値を上回るときに風が検出される。
第3に、米国特許第7,171,008号明細書において説明されている差分−和法では、2つのマイクロホン信号の差の累乗値と和の累乗値との比を、式:
(式中、x(n)およびy(n)は、それぞれ、1つのサンプルまたはサンプルブロックとし得るある期間にわたる、マイクロホンxおよびyの出力のサンプルである)
を使用して計算する。検出器の出力Dは、理論上は、遠距離場音源では0に達する必要があり、ここでは、x(n)およびy(n)は同様である必要があり、およびDは、風雑音では1に向かう傾向を有する必要があり、ここでは、x(n)およびy(n)は似ていない必要がある。
本明細書に含まれた文献、行為、材料、装置、物品などのいずれの議論も、本発明の背景をもたらすためのものにすぎない。これらの事項のいずれかまたは全てが従来技術の基礎を形成すると、または、本出願の各特許請求事項の優先日以前に存在するとして、本発明が関係する分野の一般知識であったと、自認したとみなされるべきではない。
本明細書を通して、語「含む(comprise)」、または「含む(comprisesまたはcomprising)」などの変形は、述べた要素、整数またはステップ、または要素、整数またはステップの群を含むが、任意の他の要素、整数またはステップ、または要素、整数またはステップの群を排除しないことを暗示することを理解されたい。
第1の態様によれば、本発明は、風雑音を検出するためにデジタル化マイクロホン信号データを処理する方法であって、
第1のマイクロホンから第1の組の信号サンプルを得るステップと;
第2のマイクロホンから、実質的に第1の組と同時期に生じる第2の組の信号サンプルを得るステップと;
第1の組の中の、第1の予め定義した比較閾値を上回るサンプルの第1の数を決定し、かつ第1の組の中の、第1の予め定義した比較閾値を下回るサンプルの第2の数を決定するステップと;
第2の組の中の、第2の予め定義した比較閾値を上回るサンプルの第3の数を決定し、かつ第2の組の中の、第2の予め定義した比較閾値を下回るサンプルの第4の数を決定するステップと;
第1の数および第2の数が、第3の数および第4の数から、予め定義した検出閾値を上回る程度に、異なるかどうかを判断し、かつもしそうであれば、風雑音が存在するという指示(indication)を出力するステップと
を含む方法を提供する。
第1および第2の組の信号サンプルは、それぞれのマイクロホンから実質的に直接得られた広帯域の時間領域サンプルを含み得る。あるいは、第1および第2の組の信号サンプルは、例えばマイクロホン信号の低域、高域または帯域通過フィルタリングによって得られ得るような、広帯域のマイクロホン信号の特定のスペクトル帯域を反映する副帯域の時間領域サンプルを含み得る。一部の実施形態では、第1および第2の組の信号サンプルは、例えばマイクロホン信号にフーリエ変換、例えば高速フーリエ変換を実施することによって得られるような、スペクトルの大きさのデータを含み得る。さらに別の実施形態では、第1および第2の組の信号サンプルは、パワーデータ、複合信号データまたは他の形式の信号データを含み、これらデータでは、風雑音がデータ値に検出閾値超の差を生じて、第1および第2の組を発生させる。
多くの実施形態において、第1の予め定義した比較閾値は、第2の予め定義した比較閾値と同じである。一部の実施形態では、第1および第2の予め定義した比較閾値は、それぞれ、ゼロとし得る。他の実施形態では、第1および第2の予め定義した比較閾値は、デジタル量子化レベル間にある、ある1つの値またはそれぞれの値に設定されてもよいため、サンプル値は比較閾値に等しくならない。別の実施形態では、第1および第2の予め定義した比較閾値は、それぞれ、選択した過去および/または現在の信号サンプルの平均値とし得る。さらに別の実施形態では、第1および第2の予め定義した比較閾値は、信号サンプル中のDC成分(連続的なDC成分であろうが断続的なDC成分であろうが)を構成する所与の値とし得る。他の実施形態では、第1および第2の予め定義した比較閾値は、FFTデータの1つまたは複数のフレームの各ビン(bin)の平均に等しいとし得る。さらに別の実施形態では、第1および第2の予め定義した比較閾値は、得られたデータサンプルの任意の他の好適な値とし得る。本発明の代替的な実施形態では、第1の予め定義した比較閾値は、第2の予め定義した比較閾値から異なり得る。例えば、そのような代替的な実施形態では、第1の予め定義した比較閾値は、ゼロと評価されたサンプルを正の数として計数するように構成し得る一方、第2の予め定義した比較閾値は、ゼロと評価されたサンプルを負の数として計数するように構成し得るか、または適用および/またはインプリメンテーションプラットフォームにより適切および/または有益である場合には、その逆である。
本明細書を通して、「正」のサンプルの数に関しては、対応する予め定義した比較閾値を上回るサンプル、すなわちそれに対して正であるサンプルを指すと理解されたい。対応する意味が、「負」のサンプルの数に関して与えられる。それゆえ、対応する予め定義した比較閾値がゼロに等しいとき、従来の意味の正および負が当てはまる。
第1の組のうちの正および負のサンプルの数が、第2の組のうちの正および負のサンプルの数から、予め定義した検出閾値を上回る程度に、異なるかどうかを判断するステップは、カイ二乗検定を適用することによって実施され得る。そのような実施形態では、カイ二乗計算が、ゼロに近い値、または予め定義した検出閾値を下回る値を与える(return)場合、風雑音がないという表示が出力され得る一方、カイ二乗計算が、検出閾値以上の値を与える場合、風雑音が存在するという表示が出力され得る。そのような実施形態では、サンプルブロックサイズ16およびマイクロホンの間隔12mmに関して、検出閾値は、0.5〜約4の範囲にある、一層好ましくは1〜2.5の範囲にあるとし得る。サンプルブロックサイズ16およびマイクロホンの間隔120mmに関して、検出閾値は、約2〜約10の範囲にある、一層好ましくは3〜8の範囲にある、または一層好ましくは約5〜7の範囲にあるとし得る。しかしながら、異なるブロックサイズおよび/またはマイクロホンの間隔および/または装置を有する他の実施形態では、適切な検出閾値はかなり異なり得る。検出閾値は、控えめであるとみなされる微風、例えば1または2m.s−1を下回る風によってはトリガされないレベルに設定され得る。さらに、そのような実施形態では、カイ二乗計算の出力、またはより一般的に、第1の数および第2の数が第3の数および第4の数から異なる程度を使用して、そうでなければ静寂である条件における風の強さ、または他の音を上回る風雑音が占める程度を推定し得る。
代替的な実施形態では、第1の組のうちの正および負のサンプルの数が、第2の組のうちの正および負のサンプルの数から、予め定義した検出閾値を上回る程度に、異なるかどうかを判断するステップが、複数の組のバイナリまたは分類データを比較するために、任意の他の好適な統計的検定、例えばマクネマー(McNemar)検定またはスチュアート−マックスウェル(Stuart−Maxwell)検定などによって、実施され得る。
第1および第2のマイクロホンは、耳かけ型(BTE:behind−the−ear)の装置、人工内耳BTEユニットのシェル、またはBTE型、耳穴型、外耳道挿入(in−the−canal)型、完全外耳道挿入型、または他のスタイルの補聴器などに装着され得る。あるいは、第1および第2のマイクロホンは、電話機のヘッドセットまたはハンドセット、または他のオーディオ装置、例えばカメラ、ビデオカメラ、タブレット型コンピュータなどの一部とし得る。信号は、例えば、8kHz、16kHzまたは48kHzでサンプリングされ得る。一部の実施形態は、より高いサンプリングレートに対してはより長いブロック長を使用し得るため、単一のブロックが同様の時間フレームを網羅する。あるいは、風雑音検出器への入力はダウンサンプリングされ得るため、風雑音が、より高いサンプリングレートの全帯域幅にわたって検出される必要がない適用では、より短いブロック長を使用できる(必要な場合には)。ブロック長は、16サンプル、32サンプル、または他の好適な長さとし得る。
一部の実施形態では、この方法は、さらに、第3のマイクロホンまたは追加的なマイクロホンから、それぞれの組の信号サンプルを得ることを含み得る。そのような実施形態では、3つ以上のマイクロホンから得られたそれぞれのサンプルの組における正および負のサンプルの数の比較がなされ得る。例えば、カイ二乗検定は、適切な3×2、または4×2またはそれよりも大きい観測マトリックスおよび予測値マトリックスを使用することによって、3つ以上のマイクロホン信号サンプルの組に適用され得る。
別の態様によれば、本発明は、第1の態様の方法を実施するように構成された計算装置を提供する。
別の態様によれば、本発明は、風雑音を検出するために、コンピュータに、デジタル化マイクロホン信号データを処理する手順を実行させるコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品であって、第1の態様の方法を実施するコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品を提供する。
本発明の好ましい実施形態では、各マイクロホン信号は、いずれのDC成分も除去するために、例えば前置増幅器またはADCによって好ましくは高域フィルタリングされ、本方法によって動作されたサンプル値が、一般に、正の数と負の数を混ぜ合わせたものを含むようにする。しかしながら、サンプル値が非ゼロのゼロ入力値を有する代替的な実施形態では、本発明は、比較閾値をゼロ入力値にすることによって、すなわち、(a)ゼロ入力値を上回るサンプルの数、および(b)ゼロ入力値を下回るサンプルの数を決定することによって、適用され得る。本発明は、処理中のサンプリングされたデータに好適な任意の選択した比較閾値に委ねることによって、同様に適用され得る。
比較値に対して、大きさではなく各サンプルの符号のみを考慮することによって、本発明の方法は、マイクロホン信号間の大きさの差を効果的に無視するので、これは、そのような差の非風の原因、例えば近距離場の音源、局所的な音響反射、室内反響、およびマイクロホンの覆いの違い、障害物、位置、または感度などに対してロバスト(robust)である。信号間のサンプルごとの相関を計算しかつマイクロホン信号間の位相および振幅の差に感度の高い他の方法とは対照的に、信号当たりの正および負のサンプル数をサンプルブロックにわたって数えるため、マイクロホン信号間の位相差もほとんど無視する。
本発明の一部の実施形態では、各マイクロホンからの各サンプルの組内での単一の計数が実施され得る。例えば、各サンプルの組に関して、以下のうちの1つが数えられ得る:
サンプルのうちいくつが正であるか、
サンプルのうちいくつが負であるか、
サンプルのうちいくつが閾値を上回るか、または
サンプルのうちいくつが閾値を下回るか。
そのような実施形態では、第1の組の信号サンプルの単一の計数が第2の組の信号サンプルの単一の計数から異なる程度を使用して、風雑音が存在するという表示の出力をトリガし得る。例えば、これは、計数を、事前に計算したカイ二乗値のルックアップテーブルのインデックスとして、特定の適用例に公知の定数を利用し得る単純化されたカイ二乗式への入力として、または別の好適な統計的検定への入力、例えば2項検定として使用することによって、なされ得る。
マイクロホン間の位相差に依存して、およそ、サンプルブロックにおいて奇数個の半周期または一周期あたり奇数個のサンプルを生成する周波数にある非風雑音の音の存在は、風雑音がない場合でもかなりの程度で第3および第4の数とは異なる第1および第2の数を生じ得ることに留意されたい。それゆえ、そのようなシナリオは、使用される検出閾値に依存して、風雑音の誤検出を生じ得る。しかしながら、一部の実施形態では、そのような誤検出の危険性は、第1の数および第2の数がそれぞれ第4の数および第3の数から異なるかどうかを判断し、かつ、この差も予め定義した検出閾値を上回る場合にのみ、風雑音が存在するという表示を出力することによって、対処され得る。第3の数の値と第4の数の値を交換することによって、またはサンプルの組の1つにデータまたはサンプルの計数の等価の反転(inversion)を行うことによって、そのような実施形態は、そのような問題のある周波数における非風雑音の音に対するロバストネスを改善する。本明細書では、そのような実施形態を、「最小」技術、例えば「最小カイ二乗風雑音検出」技術と呼ぶ。代替的な実施形態は、2回のカイ二乗計算を回避し、選択的に第3の数を第2の組の負のサンプルの数に等しくし、かつ選択的に第4の数を第2の組の正のサンプルの数に等しくしてから、第1の数の値から最も差が小さい第3の数の値(すなわち元の値または代替的な値)を用いて一回のカイ二乗計算を実施することにより、より計算効率良く行われてもよい。これらの差は、第1の数から、第3の数の元の値または代替的な値の各々を引くことによって、計算される。第3の数の元の値または代替的な値は、第1の数および元の第3の数が双方とも各ブロックにおけるサンプル数の半分に等しいときと同程度、第1の数から異なり得るにすぎず、その場合、差はゼロであり、およびカイ二乗値もゼロであることに留意されたい。
以下、添付図面を参照して本発明の例を説明する。
時間領域で動作する本発明の一実施形態のカイ二乗風雑音検出器を示すシステムの概略図である。 本発明の別の実施形態による整合時間領域フィルターの出力で動作するカイ二乗WND方法の副帯域インプリメンテーションを示すシステムの概略図である。 本発明のさらに別の実施形態によるFFT出力データで動作するカイ二乗WND方法の副帯域インプリメンテーションを示すシステムの概略図である。 それぞれの事前に記録した入力信号に対して図1の実施形態によって生成されたカイ二乗WNDスコアを示す。 事前に記録した入力信号に関して、従来技術の相関法によって生成されたWNDスコアを示す。 事前に記録した入力信号に対して従来技術のDiff/Sum WND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 事前に記録した段階的なトーン(音調)スイープ(tone sweep)入力に応答する、図1の実施形態および従来技術のWND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 両マイクロホンが同相であるが9.5dBの近距離場効果が存在する場合の、10Hzから10Hz段階で、サンプリングレートの半分まで、シミュレーションしたトーン入力に応答する、図1の実施形態のシミュレーションおよび従来技術のWND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 典型的な補聴器に関する、10Hzから10Hz段階で、サンプリングレートの半分まで、シミュレーションした遠距離場トーン入力に応答する、図1の実施形態のシミュレーションおよび従来技術のWND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 1つの信号に対して正および負の計数を逆にしたシミュレーションによって得られたスコアによって改善されたときの、図9のWNDスコアを示す。 典型的な補聴器に関する、10Hzから10Hz段階で、サンプリングレートの半分まで9.5dBだけ変動する、シミュレーションした近距離場トーン入力に応答した、図1の実施形態のシミュレーションおよび従来技術のWND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 典型的なBluetooth(登録商標)ヘッドセットに関する、10Hzから10Hz段階で、サンプリングレートの半分まで、シミュレーションした遠距離場トーン入力に応答した、図1の実施形態のシミュレーションおよび従来技術のWND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 典型的なBluetooth(登録商標)ヘッドセットに関する、10Hzから10Hz段階で、サンプリングレートの半分まで9.5dBだけ変動する、シミュレーションした近距離場トーン入力に応答した、図1の実施形態のシミュレーションおよび従来技術のWND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 ブロック当たり16サンプルの典型的なスマートフォンのハンドセットに関する、10Hzから10Hz段階で、サンプリングレートの半分まで、シミュレーションした遠距離場トーン入力に応答した、図1の実施形態のシミュレーションおよび従来技術のWND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 ブロック当たり16サンプルの典型的なスマートフォンのハンドセットに関する、10Hzから10Hz段階で、サンプリングレートの半分まで9.5dBだけ変動する、シミュレーションした近距離場トーン入力に応答した、図1の実施形態のシミュレーションおよび従来技術のWND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 ブロック当たり32サンプルの典型的なスマートフォンのハンドセットに関する、10Hzから10Hz段階で、サンプリングレートの半分までシミュレーションした遠距離場トーン入力に応答する、図1の実施形態のシミュレーションおよび従来技術のWND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 ブロック当たり32サンプルの典型的なスマートフォンのハンドセットに関する、10Hzから10Hz段階で、サンプリングレートの半分まで9.5dBだけ変動する、シミュレーションした近距離場トーン入力に応答する、図1の実施形態のシミュレーションおよび従来技術のWND方法によって生成されたWNDスコアを示す。 波形がハンドセットのマイクロホンから記録される、図19〜22のHATS実験において使用されたハンドセットの男性および女性音声の刺激の例を示す。 波形がハンドセットのマイクロホンから記録される、図19〜22のHATS実験において使用されたハンドセットの男性および女性音声の刺激の例を示す。 ブロックサイズが16サンプルのHATSからのBluetooth(登録商標)のヘッドセットの記録のそれぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが16サンプルのHATSからのBluetooth(登録商標)のヘッドセットの記録のそれぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが16サンプルのHATSからのBluetooth(登録商標)のヘッドセットの記録のそれぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが16サンプルのHATSからのBluetooth(登録商標)のヘッドセットの記録のそれぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが16サンプルのHATSからのBluetooth(登録商標)のヘッドセットの記録のそれぞれのWND方法の出力を示す。 最小カイ二乗方法を適用するときの図19の記録に関するカイ二乗方法の出力を示す。 最小カイ二乗方法を適用するときの図19の記録に関するカイ二乗方法の出力を示す。 最小カイ二乗方法を適用するときの図19の記録に関するカイ二乗方法の出力を示す。 ブロックサイズが16サンプルのHATSからのスマートフォンの記録に関する、それぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが16サンプルのHATSからのスマートフォンの記録に関する、それぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが16サンプルのHATSからのスマートフォンの記録に関する、それぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが16サンプルのHATSからのスマートフォンの記録に関する、それぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが16サンプルのHATSからのスマートフォンの記録に関する、それぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが32サンプルのHATSからのスマートフォンの記録に関する、それぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが32サンプルのHATSからのスマートフォンの記録に関する、それぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが32サンプルのHATSからのスマートフォンの記録に関する、それぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが32サンプルのHATSからのスマートフォンの記録に関する、それぞれのWND方法の出力を示す。 ブロックサイズが32サンプルのHATSからのスマートフォンの記録に関する、それぞれのWND方法の出力を示す。 1000Hzおよび5000Hzの時間領域の副帯域フィルターによって処理された、事前に記録した入力信号に関するカイ二乗方法の出力を示す。 1000Hzおよび5000Hzの時間領域の副帯域フィルターによって処理された、事前に記録した入力信号に関するカイ二乗方法の出力を示す。 1000Hzおよび5000Hzの時間領域の副帯域フィルターによって処理された、事前に記録した入力信号に関するカイ二乗方法の出力を示す。 250、750、1000、4000および7000HzのFFTビンによって処理された、事前に記録した入力信号に関するカイ二乗方法の出力を示す。 250、750、1000、4000および7000HzのFFTビンによって処理された、事前に記録した入力信号に関するカイ二乗方法の出力を示す。 250、750、1000、4000および7000HzのFFTビンによって処理された、事前に記録した入力信号に関するカイ二乗方法の出力を示す。 250、750、1000、4000および7000HzのFFTビンによって処理された、事前に記録した入力信号に関するカイ二乗方法の出力を示す。 250、750、1000、4000および7000HzのFFTビンによって処理された、事前に記録した入力信号に関するカイ二乗方法の出力を示す。 1000、4000および7000HzFFTビンによって処理された、事前に記録した入力の段階的なトーンスイープ信号に関する、カイ二乗方法の出力を示す。
略語:
ADC:アナログデジタル変換器
BTE:耳かけ型
CI:人工内耳
DC:直流
FIR:有限インパルス応答
HA:補聴器
HATS:ヘッドアンドトルソシミュレータ
IIR:無限インパルス応答
SNR:信号対雑音比
SPL:音圧レベル
WND:風雑音検出
カイ二乗(χ)WND方法と称する本実施形態のWND方法は、統計的検定を応用して、2つ以上の音声信号間の独立レベルを確立する。この実施形態のカイ二乗方法は、3つのステップを含む:1)各マイクロホン信号の複数のサンプルのブロックからの観測データマトリックスの構成;2)予測データマトリックスの構成;および3)観測および予測データマトリックスからのカイ二乗統計量の計算。これらのステップを、2つのマイクロホンの場合について図1に示す。単純にするために、図1のカイ二乗WND方法は2つのマイクロホンの場合について説明するが、代替的な実施形態では、この方法は、3つ以上のマイクロホン信号に適用できることに留意されたい。
入力データは、以下:
X=[x ・・・ x
Y=[y ・・・ y] (4)
(式中、XおよびYは、それぞれ前方および後方マイクロホンのサンプルのブロックであり、長さmのサンプルである)
のような各マイクロホン信号の、複数のサンプルのブロックである。ブロックベースの処理のためのサンプルのバッファリングは、DSPシステムではよくみられるため、好都合なことには、カイ二乗WND方法は、任意の追加的なバッファリング動作を必要としない可能性があり、かつ広範囲のバッファ長で作用し得る。前置増幅器またはADCは、一般に、マイクロホン信号を高域フィルタリングしていずれのDC成分も除去するため、サンプル値は、一般に、正の数と負の数とが混ざり合ったものであり、音響レベルが低下するにつれ、ゼロに向かう傾向がある。
観測データマトリックスOは、以下の式のように構成され、かつ以下のように各マイクロホン信号のサンプルブロック内に正の値および負の値の数を含む:
(式中、POSは、正のサンプルの数(値≧0)に応じる(return)関数であり、およびNEGは、負のサンプルの数(値<0)に応じる関数である)
実際に、2つの相補的なDSPシステムでは、ゼロの値は、正の符号ビットを有するため、最も容易に正の値に分類され得る。ゼロの値は、その定義が所与のインプリメンテーションで一貫しているという条件で、カイ二乗WND方法を目的として、正の値または負の値のいずれかであると定義できる。式(5)から分かるように、観測マトリックスOの各行は異なるマイクロホンに対応し、一方、列1および2は、それぞれ、正および負のサンプルの数を示す。
予測データマトリックスEは、観測データマトリックスOのデータから、以下の式:
(式中、rおよびcは、それぞれ、観測データマトリックスOの行および列の数であり、およびNは、観測データマトリックスOの全要素の和である)
の通り計算される。それゆえ、Nは、マイクロホンの数にブロック長を乗じたものに等しい定数である。
観測および予測マトリックスを使用して、カイ二乗統計量χを、以下の式:
(式中、χは、観測および予測データマトリックスの要素の間の差の二乗を正規化したものの和である)
の通り計算する。χの値は、風ではない音を用いて近似される正のサンプル対負のサンプルの比が両マイクロホンで同じであるときに、ゼロである。χの値は、正のサンプル対負のサンプルの比がマイクロホンで異なるときにゼロ超に増加し、これは、風雑音の結果、マイクロホン信号が似なくなるにつれて、発生する。
大きさではなく、各サンプルの符号のみを考慮することによって、本実施形態のカイ二乗方法は、マイクロホン信号間の大きさの差を事実上無視するため、そのような差の、近距離場音源、局所的な音響反射、室内反響、およびマイクロホンの覆いの違い、障害物、位置、または感度(不整合のマイクロホン)などの非風の原因に対してロバストである。
この実施形態のカイ二乗方法はまた、サンプルごとにマイクロホン信号を比較しようと試みるものではないため、位相差に対しても大部分はロバストである。風ではない音の場合、ロバストネスは、波長と、位相シフトの大きさと、適用例で使用されたブロック長との関係に依存する。従来の方法と対照的に、位相差に対するロバストネスは、高周波数において、ブロック長とマイクロホンの間隔との間の関係に依存して、増大し得る。例えば、ブロック長が、定常正弦波信号の波長の整数倍である場合、正および負のサンプルの数は、整数個のサンプルのどの位相シフトでも同じである。波長がブロック長を上回るとき、位相差の効果はブロックごとに異なり、かつゼロ交差辺りで効果が最大となり、かつゼロ交差間では効果がゼロとなり得る。それゆえ、そのような効果を補償するために、平滑フィルターを使用して、風スコアの出力におけるブロックごとの変化を一様にし得る。
位相差に対するロバストネスの実例として、補聴器での適用例では、20mmまでの典型的なマイクロホンの間隔は、マイクロホン間に59μ秒までの遅延を生じ(音速が340m/秒であると仮定する)、これは、典型的なサンプリングレート16kHzで、0.94サンプルまでの位相差につながる。そのような位相差は、典型的なブロック長16〜64サンプルで、χ統計量への効果が最小である。
以下の例は、この実施形態のカイ二乗WND方法が実際のどのように働くかについてのさらなる理解をもたらすために提供される。例は、風雑音を経験し、かつブロック長が16サンプルの2つのマイクロホンについてである。以下に、各マイクロホンに対するサンプルのブロックを示す。
上記の式(5)のように、各ブロック内の正および負のサンプルの数を計数し、観測データマトリックスOを構成するために使用する:
(式中、正および負のサンプルの数を、各マイクロホンに対し1つの行を備え、それぞれ第1および第2の列に示す)
定義により、各行の和は、ブロック長に等しい(この場合16)。上記の式(6)のように、予測マトリックスEは観測データマトリックスOから計算される。
予測マトリックスEは、観測データマトリックスOと同じ構造を有し、かつ、上記式(7)のように、両マトリックスを使用してカイ二乗統計量χを計算する。
カイ二乗統計量χの値は実質的にゼロを上回り、風雑音が存在することを示す。
本発明の好ましい実施形態では、公知の定数に基づいて、いくつかの計算ステップを単純化する。例えば、予測マトリックスEは、観測データマトリックスOの行の和と列の和との積の計算を必要とする。観測データマトリックスOの行の和は常にブロック長Bに等しく、およびNは、常に、ブロック長を乗じたマイクロホンMの数に等しいため、予測マトリックスEの計算は、以下の式:
の通り単純に計算され得る。
従来のカイ二乗の例は、予測マトリックスEの行が互いに同一であり、それにより、予測マトリックスEのj列の各々に対し1つの値を計算するための計算条件を少なくすることを示す。
χ値の計算はまた単純にでき、および予測マトリックスEの計算は、以下の式
の通り、この計算に組み込むことができる。
それゆえ、観測データマトリックスOの各要素に関し、各要素とその列平均との差の二乗が、その列平均によって割られている。所与の列では、差の二乗は、両行に対して同じであり、これは、さらに、χ統計量を計算するために必要な計算負荷を小さくする。上記は、適用に対して計算負荷を最適にし得る方法の一例にすぎず、および他の実施形態においてさらなる最適化を達成し得る。一部の適用では、各マイクロホン信号の正または負のサンプルカウント値で表示できる、事前に計算したχ値のルックアップテーブルを使用することが望ましいとし得る。さらに別の実施形態では、式13は、2つのマイクロホンの場合には以下の式の通りさらに単純にできる。
別の実施形態では、本発明の方法は、副帯域ベースで実施される。上述のカイ二乗WND方法を使用して、帯域通過、低域、または高域フィルターとし得る時間領域デジタルフィルターのバッファリングされた出力を処理する。図2は、時間領域フィルターバンクを備える副帯域WNDの例を示す。各副帯域内で、この方法の動作は、図1の実施形態において上述した通りであるため、ここでは繰り返さない。最も好適な比較および/または検出閾値は、異なる副帯域においておよび異なる適用に対して異ってもよく、これは、マイクロホンのポジショニング、間隔、および/または位相整合、および/または風雑音および異なる周波数の他の音の特徴などの要因によるもとのし得ることに留意されたい。
図3に示すさらに他の実施形態では、カイ二乗WND方法は、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)データで動作する。この実施形態では、FFTは、各マイクロホン信号のサンプルのブロックで実行され、その後、FFT出力データは、各FFTビン(bin)の複数のブロックにわたってバッファリングされる。バッファリングされたFFT出力データは、複合FFT出力の大きさ、パワー、または実および/または虚数成分とし得る。大きさまたはパワーのデータは、一部の適用例ではdB単位とし得る。ブロック中の正および負のサンプルの数を計数する代わりに、FFT出力データバッファにおけるブロックにわたって、正および負のFFT出力値の数を計数する。この点において、FFT出力は、マイクロホン信号の周波数領域サンプルとして扱われる。生のFFTの大きさまたはパワーの値は負であり得ないため、これら値を結果的に正の値または負の値を生じ得るように処理される必要がある。例えば、FFT出力バッファのデータは:1)各バッファのデータがゼロ平均値を有するように調整されたFFTの大きさまたはパワーのデータ;または2)連続するFFT間の差分値を示すFFTの大きさまたはパワーの差分データとなるように、処理できた。上記の1)の代替として、各FFTビンおよびマイクロホンの比較閾値は、過去または現在のバッファリングされたFFTの大きさまたはパワーのデータの平均(または他の好適な値)に適応的に設定され得る。生のFFTデータの実または虚数成分は、さらに処理することなく正の値および負の値を有し得るが、上述の処理オプション1)および2)の適用例は、これらの構成成分がマイクロホン信号間の振幅および位相差に対してより感度が高いため、有益とし得る。これらの例示的な代替例は、経時的な音響レベルの変化を示すデータを生じる(1つのブロックの分解能)。それゆえ、データは、マイクロホンの感度、近距離場効果、またはマイクロホン信号間のレベルの差に起因する任意の他の定数(すなわち実際にゆっくりと時間的に変化する)の違いによる、マイクロホン間のレベルの差を示さない。
時間領域サンプルと比較すると、FFTデータは、サンプルにブロックにわたる平均的な大きさまたはパワーを表すため、マイクロホン信号間の位相差に対して比較的感度が低い。位相は、波長がブロック長(すなわち分析窓)を著しく上回るときに、FFTのパワー推定値に最も大きな影響を有し、および波長がブロック長よりもはるかに小さいときに、その影響は最小である。観測データマトリックスOを構成するために使用されたFFTデータのこれらの有益な特性は、マイクロホン信号間の大きさおよび位相差に対するカイ二乗WND方法の固有のロバストネスの追加である。風ではない音に関し、経時的なFFTビンレベルの短期間の変動は、マイクロホン間で同様に生じ、これは、約ゼロのカイ二乗値を生じる(すなわち風が検出されない)。風雑音に関し、短期間のレベルの変動はマイクロホン間で異なり、これは、カイ二乗統計量に、より大きな値を生じる(すなわち風が検出される)。FFTビンは、より広い帯域幅を形成するようにグループ化されてもよく、その後、各帯域に対し計算された大きさまたはパワーの値を使用してその帯域の風雑音を検出する。
図1の実施形態の有効性を示すために、その実施形態の方法について、いくつもの代表的な記録を検定するためにそれを使用することによって、評価を行った。記録は、ある範囲の入力刺激によって、耳かけ型(BTE)の装置から得られたマイクロホン出力信号であった。刺激は、遠距離場の拡声器、近距離場の電話機のハンドセット、またはウィンドマシンから生成された。装置は、市販の人工内耳(CI)および補聴器(HA)製品のBTE型シェルであり、各々、約10〜15mm離間する2つのマイクロホンを含んでいた。マイクロホンは、完全に整合されてはいなかったが、不整合は、これらのタイプのマイクロホン(1〜3dB)では常である。装置は、近距離場を除いた全ての記録用の音響ブースに配置されたヘッドアンドトルソシミュレータ(HATS)の耳介(外耳)に装着された。近距離場の記録は、静寂なオフィスの自由空間にあるBTE装置において電話機のハンドセットを保持することによって、得られた。マイクロホン信号は、高SNRの32ビットのサウンドカードによって、サンプリングレート約16kHzで記録された。表1は、刺激、装置、設備および記録条件を要約している。
記録は、遠距離場の段階的なトーンスイープ(tone sweep)を除いて、持続期間が各約10秒であった。遠距離場の段階的なトーンスイープは、トーンごとに持続期間が4秒で、1.0〜7.664kHzの31の純音からなった(1.0718の乗法(multiplicative)ステップで)。段階的なトーンスイープはまた、10dBまでのマイクロホン信号間に、局所的な耳介の反射および/または室内反射による意図的でないレベルの差を含み、かつ図7に示すデータにある程度滑らかでない状態をもたらした。近距離場の1kHzのトーンは、マイクロホン信号間に12.2dBレベルの差をもたらした。音声は、70dBA(耳で測定した)で表された。風速は、風雑音レベルの12−dBステップに理論的に等しいため、2つの要因で増した。12m/秒の記録は、両マイクロホンの電気クリッピングレベルにおいてマイクロホン出力が明白に飽和された例として選択された。なぜなら、この極値が、WNDアルゴリズムの潜在的な失敗のモードとなり得るためである。
図1の実施形態のWNDアルゴリズムは、Matlab/Simulinkにインプリメンテーションされ、かつ各マイクロホン記録の16のサンプルの、重なりのない連続的なブロックを処理するために使用された。WNDアルゴリズムの出力は、IIRフィルター(b=[0.004];a=[1−0.996]、他のフィルタータイプおよび係数を使用し得ることに留意されたい)によって処理されて、1つのブロックから別のブロックに存在し得る、WNDアルゴリズム出力におけるいずれのジッターのような変化も取り除き、それゆえ、一定の入力刺激に、より一貫性のある出力を与える。図4は、このシステムにおける事前に記録した各入力信号に対するカイ二乗WND方法の出力を示す。
図4では、風刺激WNDスコア(410にグループ分けされた)と非風刺激WNDスコア420との間が明確に分離されていることが分かる。グループ420では、本発明のこの実施形態の方法によって生成されたWND出力は、音声および近距離場刺激に対しては0.5未満であり、かつ相関関係のないマイクロホン雑音に対しては1.5未満である。平滑フィルターを確定させた後、グループ410では、風雑音のWND出力スコアが、非常に微風(1.5m/秒)では一貫して2.5〜3.0を上回り、かつ風速が増すにつれて5または6まで大きくなることが分かる。それゆえ、好適な検出閾値(これを上回るとWNDスコアは風雑音が存在することを示すとみなされる)は、1.5m/秒以上の風が検出される必要がある適用では2.5とし得るか、または、3m/秒以上の風が検出される必要がある適用では3.5とし得る。風速1.5m/秒は、一般に、ほとんど風雑音の原因とならず、および聞こえない可能性があるため、多くの適用例では、そのような微風を検出も抑制もしないことが望ましいとし得る。WNDスコアの絶対値、それゆえ、適切な1つまたは複数の閾値は、異なるサンプルブロックサイズで変化することに留意されたい。風ではない音と混合された風雑音のWNDスコアは、410および420にグループ分けされたものの間にあるとしてもよく、これは、検出閾値が、風雑音と適用の他の音との最も適切な比に対応するように設定され得、これは、他の音を上回る風雑音の知覚、または風雑音抑圧手段に続く処理の必要性などの要因に基づき得るという点で好都合であることも留意されたい。さらに、閾値はまた、異なる平滑フィルターのために改善できる。なぜなら、より厳しい平滑化はより一貫性のあるWND出力スコアを生じ、これは、風条件の変化に応答するフィルターの、よりゆっくりとした反応時間を犠牲にしても、検出閾値を大きくすることができるためである。マイクロホン雑音ではカイ二乗方法の出力は低い(ゼロに近い)ため、他のいくつかの方法のように、入力レベル閾値は、必ずしもWNDには必要ではないことも留意されたい。それにもかかわらず、代替的な実施形態は、入力レベル閾値と相俟って、比較的低いカイ二乗閾値を使用して低速の風を確実に検出でき、SPL(これを上回る風を検出することが望ましい)を設定した。そのような実施形態では、入力レベル閾値を使用することによって、風雑音の音の大きさにより密接に関連した検出を可能にする。なぜなら、所与の風速での風雑音レベルは、風の入射角(示されるデータの全ては前からの風である)、装置の機械設計、マイクロホンの位置、風防の機能を果たし得るマイクロホン(例えば外耳)付近の障害物の位置、または風雑音発生源などの要因による影響を受けるためである。そのような実施形態では、風を検出するためには、カイ二乗閾値および入力レベル閾値の双方を上回る必要がある。
本発明のこの実施形態の性能と比較するために、上記で説明した従来技術の相関法および差分−和法のWNDアルゴリズムを、Matlab/Simulinkにインプリメンテーションし、かつ同様に使用して、上記の表1に示す各マイクロホン記録の16サンプルの、重なりのない連続的なブロックを処理した。各WNDアルゴリズムの出力は、IIRフィルター(b=[0.004];a=[1−0.996])によって再度処理された。
図5は、上記で説明した米国特許第7,340,068号明細書の従来技術の相関WND方法の結果を示す。音声の出力は、予測通り1.0に近く、および風雑音は、一般的により低い(520で示すように約0.5)。しかしながら、マイクロホンを飽和させる12m/秒の風は、音声に関して同様の出力を生じさせる傾向があり、これが、強風を検出できない相関WND方法をもたらし得る。さらに、相関関係のないマイクロホン雑音の出力および530で示す近距離場トーンの出力は、風の範囲の値にあるため、間違って風に分類され得たが、マイクロホン雑音は、入力レベル閾値の追加的なステップを適用することによって、風雑音と区別され得た。
図6は、上記で説明した米国特許第7,171,008号明細書の従来技術のDiff/Sum(差分/和) WND方法の出力を示す。Diff/Sum WND出力は、音声に関し、予測通り約ゼロであり、および出力は、風速とともに増大する。しかしながら、610で示す領域では、近距離場トーンおよび1.5m/秒の風は区別できず、また、相関関係のないマイクロホン雑音は3.0m/秒の風と区別できない。後者の2つの入力は、入力レベル閾値の追加的なステップを適用することによって、互いに区別できそうであった。
図7は、図1の実施形態のWND方法と従来技術の相関および差分/和WND方法とを比較し、かつ段階的なトーンスイープ入力に関してマイクロホン出力信号に応答してMatlab/SimulinkにインプリメンテーションされたWND方法の出力を示す。カイ二乗方法は、トーンに対してロバストであり、出力値は、検定される全帯域にわたって1.0未満であり、かつ主に0.25未満である。これらの値は、図4に示す1.5m/秒の弱風の出力の通り、2.5〜4.0の範囲をはるかに下回るため、図1のWND方法を、そのようなトーン入力と風雑音とを区別できるようにする。
対照的に、図7は、相関WND方法が、一般的に、その非風の出力(値が約1)から、周波数の増大につれて風出力(値が0.67または0.5未満)へと逸れていき、これにより、そのようなトーンに応答して風雑音の誤検出を生じることを示す。同様に、差分/和WND方法は、一般的に、その非風の出力(値が約0)から、周波数の増大につれて風出力(値は1に向かう)へと逸れていき、これにより、また、そのようなトーンに応答して風雑音の誤検出を生じる。
本発明の前述した実施形態は、カイ二乗検出器にいくつかの閾値を提案するが、適切な閾値の設定には、ある程度の柔軟性および変動性があることに留意されたい。これは、カイ二乗WNDの出力が、ブロックサイズが大きくなるにつれて高まり、かつマイクロホンの間隔および位置決めによる影響を受けること、および閾値が、適用例に望まれる場合には、所望の風速、または風雑音と他の音とのレベルの比で、WNDをトリガさせるために、かなり任意に設定され得ることのためである。
図7の全帯域にわたる本発明の有効性は、図2または図3のような副帯域風雑音検出器に特に好都合であり、ナイキスト速度(一般に8〜12kHzまで)の補聴器の帯域幅における全周波数において他の入力から風雑音を区別することにおいて、好ましくは適切に機能する必要がある。
音声信号は、一般に、マイクロホン出力信号であるが、任意の他の音源を使用し得た。典型的な適用は、補聴器、人工内耳、ヘッドセット、ハンドセット、ビデオカメラ、または風雑音を検出する必要がある任意の他の医療機器や消費者機器である。そのような他のハードウェアデバイスにおける図1の実施形態の性能を評価するために、純音を風と誤って検出する上述のWND方法の感度が調査された。各方法がMATLAB刺激にインプリメンテーションされ、かつ2つのマイクロホンの正弦波入力刺激がMATLABにおいて生成された。後方マイクロホン信号の位相は、特定のマイクロホンの間隔に従って前方マイクロホンに対して遅延された(音速は340m/秒であると仮定する)。表2に示すように、リアルタイムのDSPオーディオ製品の典型例をモデルにした。
WND出力は、10Hzから10Hz段階で、サンプリングレートの半分まで周波数に対し計算された。各周波数に関し、各WND方法の平均的な出力を、100の連続的なサンプルのブロックにわたって計算した。平均値を図8〜図17に示す。平均は、一般にWND方法の出力におけるブロックごとの変動を取り除くためにインプリメンテーションされる低域フィルターを近似させる。
さらに、上述の分析を、マイクロホン間のレベル差9.5dB(後方マイクロホン信号が低い)に対し繰り返した。音源からの距離から、音響パワーにおいて1/rの関係であると仮定すると、この音源は、一方のマイクロホンからの方が他方のマイクロホンからよりも3倍離れた近距離場音源に近似していた。
0mmのマイクロホンの間隔(すなわち両マイクロホンが同相である)の理想的な場合には、WND方法は、いずれの周波数でもトーンを風と誤って検出せず、従来技術の差分−和法、差分法、および相関法の出力は、それぞれ0、0、および1に等しく(風雑音がないことを正しく示す)、かつ現在のカイ二乗WND方法の出力はゼロに等しい(風雑音がないことを正しく示す)。
しかしながら、0mmのマイクロホンの間隔(すなわち両マイクロホンが同相である)であるが、上述した9.5dBの近距離場効果が存在する場合には、カイ二乗WND方法の出力は、マイクロホン間のレベル差による影響を全く受けない一方で、他の方法は、図8に示すようにこのシミュレーションにおいて著しく影響を受けるため、風雑音という間違った表示を生じ得る。この場合の差分法の出力は、>4であったため、図8では分からない。
図9は、典型的な補聴器のシミュレーションしたWND出力値を示す(表2のように)。従来のWND方法は、高周波数においてトーンを風と誤って検出することが分かる。図1の実施形態のカイ二乗方法は、よりロバストであるが、約5.4kHzのその出力は比較的高いものの、必ずしも、公称風検出閾値(一部の実施形態では、図4に示すように、約3.5程度の高さに選択され得る)を上回るわけではない。5.4kHzにおけるカイ二乗WNDスコアの振る舞いは、約3サンプルの期間を有するトーン、および約0.56サンプルの位相シフトを引き起こすマイクロホンの間隔によるものである。その結果、前方マイクロホンのサンプルの約3分の2が正となる一方、後方マイクロホンのサンプルの約3分の2が負となり、これは、約5.4kHzのカイ二乗WND方法の比較的高い出力を説明する。約5.4kHzまたはそれよりもずっと前に、3つ全ての従来技術の方法もまた著しい低下を被っていることに留意されたい。
図9から分かる現在のカイ二乗方法における5.4kHzにおける人工物は、前方または後方マイクロホン信号を反転してWND処理を繰り返すことによって相殺でき、これにより、マイクロホン信号間の位相関係を変化させ、その後、2つのWND出力大きさの値の低い値をWND出力として受け取って、平滑フィルターを通過させることにさらに留意されたい。この手法は、4つ全ての方法のシミュレーションに適用され、図10のグラフを生成した。このグラフでは、従来のWND方法の比較的劣ったロバストネスにおいてほとんど変化がない一方で、高周波数トーンに対するカイ二乗WND方法のロバストネスが著しく増大したことが分かる。それゆえ、この手法は、本発明の一部の実施形態では、追加的な計算負荷が正当化される適用例において、有益とし得る。計算負荷は、1つのマイクロホン信号に関する正および負のサンプルカウント値を、反転された信号で再び計数する代わりに、これら正および負のサンプルカウント値を交換し、かつスコアが小さくなる場合(すなわちマイクロホン間のサンプル計数がより同じようになる場合)に2回目のχ計算のみを行うことによって、さらに削減し得る。計算負荷は、第2の比較閾値に対する負および正のサンプルの数に対応する代替的な第3および第4の数を計算し、かつ第1の数から最小差の、第3の数(すなわち元のまたは代替的な)のバージョンに関して単一のχ計算を行うことによって、前述のようにさらに削減し得る。
図11は、表2に設定されたような補聴器によって適用されたとき、および9.5dBの削減が後方マイクロホン信号レベルに適用されるときの、3つの従来技術のWND方法、および本発明のWND方法のシミュレーションした出力スコアを示す。カイ二乗WND出力は、マイクロホン信号間のレベル差による影響を受けないが、他の方法は、明らかに悪影響を受ける。ここでも、カイ二乗WNDスコアにおける約5.4kHzの人工物は、検出閾値を下回り得ること(それゆえ、誤検出をトリガしない)、および/または図10を参照して既に説明したような対応する方法で、反転された信号を使用してスコア計算を繰り返すことによって対処され得ることに留意されたい。
表2のような典型的なBluetooth(登録商標)ヘッドセットのシミュレーションした例に関する、従来技術のWND方法および図1の実施形態のWND方法のロバストネスを、図12に示す。ここでも、図1の実施形態のカイ二乗方法は、Bluetooth(登録商標)ヘッドセットのより低いサンプリングレートに起因して半分にした周波数目盛以外は、トーン入力に対して同様にロバストである。ここでも、3つのサンプル期間を有する純音刺激によるマイクロホン間の半サンプル遅延に起因するカイ二乗WNDスコアにおける約2.7kHzの人工物は、検出閾値を下回り得る(それゆえ、誤検出をトリガしない)、および/または図10を参照して既に説明したような対応する方法で、反転された信号を使用してスコア計算を繰り返すことによって対処され得ることに留意されたい。
入力信号間に9.5dBのレベル差を備える、表2のような典型的なBluetooth(登録商標)ヘッドセットのシミュレーションした例に関する、従来技術のWND方法、および図1の実施形態のWND方法のロバストネスを、図13に示す。ここでも、図1の実施形態のカイ二乗方法は、トーン入力に対してロバストである。ここでも、カイ二乗WNDスコアにおける約2.7kHzの人工物は、検出閾値を下回り得ること(それゆえ、誤検出をトリガしない)、および/または図10を参照して既に説明したような対応する方法で、反転された信号を使用してスコア計算を繰り返すことによって対処され得ることに留意されたい。
それゆえ、図13のBluetooth(登録商標)ヘッドセットの例では、カイ二乗WND方法は、マイクロホン間のレベル差の影響を受けない一方、他の方法は、明らかに悪影響を受け、かつ純音入力によって風を誤って検出し得る。
表2のようにブロック当たり16サンプルを備える典型的なスマートフォンのハンドセットのシミュレーションした例に関する、従来技術のWND方法、および図1の実施形態のWND方法のロバストネスを、図14に示す。150mmの比較的大きなマイクロホンの間隔は、一般的に、従来のWND方法がトーンに対してロバストである周波数範囲を実質的に小さくすることにより、性能を悪化させる。2kHzを下回るカイ二乗WNDスコアのピークは、ブロック長(すなわち250Hz、750Hz、1250Hzなど)において約N+0.5期間(N=0、1、2など)である周波数にある。これは、ブロックが正弦波期間の最初の半分全体を含む場合(すなわち全てのサンプルが正である)、位相シフトが正のサンプル対負のサンプルの比に対して最大の効果を有するからである。正のサンプル対負のサンプルの比に対する位相シフトの効果は、ブロック長における周期の数が増えるにつれて、小さくなる傾向がある。マイクロホンの間隔150mmおよびサンプリングレート8kHzでは、2つのスマートフォンのハンドセットマイクロホン間の位相遅延は3.5サンプルまでである(音の方向に依存する)。これは、典型的な補聴器およびBluetooth(登録商標)ヘッドセットでの適用例の1つのサンプル未満の遅延に匹敵する。なお、この遅延は、2kHz未満の正のサンプル対負のサンプルの比に対してより小さな影響を有した。位相遅延の影響は、より長いブロックサイズを使用することによって、異なる適用例では低減され得るか、または調整され得る。なぜなら、これによって、マイクロホン間の遅延を、ブロック中のサンプルの割合をより少なくするためである。さらに、カイ二乗WNDスコアのサブ−2kHzピークのほとんどは、約2.0の値にのみ到達し、これは、上述の通り、検出閾値未満とし得るため、そのようなピークは、カイ二乗WND検出器における風雑音の誤検出をトリガしない可能性がある。さらに、カイ二乗WND検出器のピークは、図10を参照して上記で説明したような対応する方法で、反転された信号を使用するスコア計算を繰り返すことによって小さくされ得る。
表2のようにブロック当たり16サンプルを備え、かつ信号間が9.5dBレベル差である典型的なスマートフォンのハンドセットのシミュレーションした例に関する、従来技術のWND方法、および図1の実施形態のWND方法のロバストネスを、図15に示す。前例に関しては、カイ二乗WND方法は、マイクロホン間のレベル差の影響を受けないが、他の方法は、明らかに影響を受ける。
表2のようにブロック当たり32サンプルを備える典型的なスマートフォンのハンドセットのシミュレーションした例に関する、従来技術のWND方法、および図1の実施形態のWND方法のロバストネスを、図16に示す。ブロックサイズを16から32サンプルに大きくすることは、カイ二乗WNDに対して以下の影響を有する:
1.より多くのサンプルの数が数えられているため、それに従って風検出閾値を調整する必要があるため、出力が増大する。
2.出力の計算頻度が低く、これは、カイ二乗WND方法の初期の計数ステップ中の、より多数のサンプルの処理を補償する以上のものである。
3.サンプルでは、図14と比較して図16のカイ二乗WNDスコアにおけるピーク高さを約1kHz未満に低くしていることからも明らかなように、マイクロホン間の位相遅延は、ブロック長のよりわずかな割合に対応しているため、純音に関するカイ二乗WND方法の出力に対する影響がより小さい。
16サンプルのブロックサイズと比較すると、カイ二乗WND出力の低周波数ピークは、実質的に低くされる。その理由は、マイクロホン間の3.5サンプル遅延は、32サンプルブロック内でのサンプル数の割合としてよりわずかであるためである。約2.7kHzのピークは、ブロック長、従ってカイ二乗WND方法の入力におけるサンプル計数が大きくなることに起因して数字上の出力が大きくなるゆえに、より大きい。しかしながら上記の項目(1)のように、WND検出閾値も上るため、2.7kHzにおけるピークは、依然として、風雑音の検出を誤ってトリガしないとし得る。さらに、カイ二乗WND検出器のピークは、図10を参照して上記で説明したような対応する方法で、反転された信号を使用するスコア計算を繰り返すことによって、小さくされ得る。
表2のようにブロック当たり32サンプルを備え、かつ入力信号間に9.5dBのレベル差がある、典型的なスマートフォンのハンドセットのシミュレーションした例に関する、従来技術のWND方法、および図1の実施形態のWND方法のロバストネスを、図17に示す。ここでも、前例に関しては、カイ二乗WND方法は、マイクロホン間のレベル差の影響を受けないが、他の方法は明らかに影響を受ける。図16の場合に関しては、2.7kHzにおけるピークは、場合によっては、風雑音の検出を誤ってトリガしないとし得、およびカイ二乗WND検出器のピークは、図10を参照して上記で説明したような対応する方法で、反転された信号を使用するスコア計算を繰り返すことによって、任意選択的に小さくされ得る。
図14〜17に関して、スマートフォンに対する150mmのマイクロホンの間隔は、おそらく、最悪の事態のシナリオであること、および図1の方法の性能を付随して改善して、著しく小さなマイクロホンの間隔がそのような装置に存在し得ることに留意されたい。さらに、150mmのマイクロホンの間隔に関するこれらの結果はまた、同様のマイクロホンの間隔を有する可能性のあるビデオカメラなどの他の装置にも当てはまり得ることに留意されたい。
それゆえ、サンプリングされた入力データをサンプルブロック全体にわたる各音声チャンネルに対する正および負の符号値の和へと単純化することは、いくつもの利点をもたらす。符号値を使用することによって、近距離場の音や不整合のマイクロホンなどの風以外の理由で信号に発生し得る大きさの差に対して、ロバストネスを提供する。サンプルごとの相関とは反対に時間のブロックにわたって符号値を照合することは、マイクロホンの間隔または位相応答から生じる典型的な位相差に対するロバストネスを改善する。サンプルデータをゼロまたは他の好適な閾値に関してバイナリ値に単純化することによって、カイ二乗検定、または他の手法を使用できるようにする。
代替的な実施形態では、カイ二乗計算は、事前に計算したカイ二乗値のルックアップテーブルによる影響を受けてもよく、これにより、例えば計算効率が良くなるか、またはブロック当たりのマイクロホン当たりの全サンプル数などといった定数を利用するカイ二乗方程式を単純にする。サンプルの2つのブロックの比較は、例えば信号をプレフィルタリングすることによって、可聴周波数範囲のサブセットにおいて実施され得る。WNDスコアは、好ましくは、好適なFIR、IIRまたは他のフィルターによって平滑化されて、定常状態の入力音に関して、カイ二乗WNDスコアにおけるフレームごとの変動を小さくする。
電話機のハンドセットおよびヘッドセットに適用されたときの本発明のWND方法の有効性を、さらに調査した。図18〜22は、音響ブースのヘッドアンドトルソシミュレータ(HATS)に配置されたヘッドセットおよびハンドセット(各装置は典型的な使用位置にある)に送られた音刺激を使用して、本発明のカイ二乗WND方法の出力を、前述した相関、および差分−和の風雑音検出(WND)法のそれぞれの出力と比較する。
図18〜22に反映される実験は、以下のハードウェア/処理ケースを評価した:
ブロックサイズ=16または32サンプルの電話機のハンドセット(120mmのマイクロホンの間隔);
ブロックサイズ=16サンプルのBluetooth(登録商標)ヘッドセット(21mmのマイクロホンの間隔)。
より詳細には、図19および図20の結果を得るために、Bluetooth(登録商標)ヘッドセットを修正したため、そのマイクロホン信号は、耳(すなわちマイクロホン導入口から離れた)付近の装置から出るワイヤを介してアクセス可能であった。2つのマイクロホンは、Bluetooth(登録商標)ヘッドセットの典型的な位置にあり、かつ21mm離間していた(典型的な間隔)。図21および図22の結果を得るために、ワイヤがマイクロホンの近くに行かないようにワイヤが出ており、それゆえ、マイクロホンに到達する風雑音を生成しない状態に、ダミーのスマートフォンのハンドセットを同様に修正した。2つのマイクロホンは、ハンドセットの上部(耳付近)端部および底部(口付近)端部にあり、かつこれによって、マイクロホンの間隔を120mmにし、これは、このタイプの装置のマイクロホン信号間のレベルおよび位相差に関して典型的な最悪の事態の間隔であるとみなされた。
各ヘッドセットおよびハンドセットの実験に関し、装置は、各装置が典型的な使用位置にある状態で、音響ブースにあるヘッドアンドトルソシミュレータ(HATS)に配置された。各装置に関し、両マイクロホン信号が高品質サウンドカードによって同時に記録された一方、様々な音入力刺激を示した(下記の表3に示すように)。記録は、サンプリングレート8kHzで、WAVファイルとして記憶された。HATSは、全記録に関して音源の刺激に対面し(すなわち、HATSの前に直接示された刺激)、これは、マイクロホン間の刺激の位相差に関し最悪の事態の向きである。
表3の最後の2つの行で述べたトーンスイープでは、それぞれ、時間が経つにつれて対数的に大きくなる、円滑に変化するトーンの周波数を有した。表3の行4〜9で述べた音声は、約3秒の刺激で開始された、1.3秒の無言(すなわちマイクロホン雑音が占める静寂)によって分離された、話された2つの文章からなり、かつ音声は、典型的な遠距離場および近距離場の音響レベルで示された。音声刺激の始めおよび最後にも、短期間の静寂があった。風速は、風雑音レベルが音声レベルに到達したおよび/またはそれを超えた関連範囲を網羅するように選択された。風刺激はウィンドマシンから生成された。
表1に示した補聴器および人工内耳装置の評価に関して、本発明および従来技術のWNDアルゴリズムは、Matlab/Simulinkにインプリメンテーションされ、かつ表3の刺激から得られた、各マイクロホン記録のサンプルの重なりのない連続的なブロックを処理するために使用された。ヘッドセットおよびハンドセットの適用に関し、処理は、これらの装置では典型的なように、サンプリングレート8kHzで実行された。各WNDアルゴリズムの出力は、ここでも、IIRフィルター(b=[0.004];a=[1−0.996])によって処理され、ブロックごとに存在し得る、WNDアルゴリズム出力におけるいずれの雑音のような変化も取り除いたため、一定の入力刺激に対し、より一貫性のある出力を与えた。
ハンドセットの男性および女性の音声記録の例を、音声間隙をより明白に示すために、図18aおよび図18bに示す。
図19a〜19eは、ブロックサイズ16サンプルのBluetooth(登録商標)ヘッドセット記録に関して適用されたWND方法の出力を示す。初期応答は、平滑IIRフィルターの初期化ゆえに、全ての場合において0から開始する。図19aに見られるように、本発明のカイ二乗WND方法は、風雑音を音声から明らかに分離する。約3〜4秒間の音声の文章間の無言の最中、相関関係のないマイクロホン雑音は、カイ二乗WND方法によって戻される風のような値を生じる。しかしながら、マイクロホン雑音はレベル(振幅)において風雑音よりも遥かに低いため、単純なレベル閾値を使用して、マイクロホンと風雑音とを区別できた。
図19bは、従来技術の相関WND方法が、音声および風雑音に同様の値を与えることができ、それゆえ、音声を風雑音として誤って検出することを明らかにする。図19cは、従来技術のDiff/Sum WND方法は、音声に約0、および風雑音およびマイクロホン雑音に1以上の値を与えることを示す。図19dは、遠距離場トーンスイープに応答する出力値を示す。遠距離場トーンのためのカイ二乗WND方法の出力は、全周波数において1.5未満であり、これは、音声の値と同様であり、かつ風雑音の値よりも明らかに低い。それゆえ、遠距離場トーンは、本発明のカイ二乗方法によって風雑音から明らかに分離される。対照的に、遠距離場トーンの相関WND方法の出力は、一部の周波数では約1(風がない)、および他の周波数では約0(風雑音)とし得る。それゆえ、遠距離場トーンは、相関WND方法によって風雑音と誤って検出され得る。遠距離場トーンのDiff/Sum WND方法の出力は、一部の周波数では約0(風がない)、および他の周波数では1超(風雑音)とし得る。それゆえ、遠距離場トーンは、Diff/Sum WND方法により風雑音と誤って検出され得る。図19eは、近距離場(口)のトーンスイープに応える出力値を示す。遠距離場トーンのカイ二乗WND方法の出力は、全周波数において2.0未満であり、これは、音声の値と同様であり、かつ風雑音の値よりも明らかに低い。それゆえ、近距離場トーンは、本発明のカイ二乗方法によって風雑音から明らかに分離される。対照的に、近距離場トーンの相関WND方法の出力は、一部の周波数では約1(風がない)、および他の周波数では約0(風雑音)とし得る。それゆえ、近距離場トーンは、相関WND方法により風雑音と誤って検出され得る。近距離場トーンのDiff/Sum WND方法の出力は、一部の周波数では約0(風がない)、および他の周波数では1超(風雑音)とし得る。それゆえ、近距離場トーンは、Diff/Sum WND方法により風雑音と誤って検出され得る。
図20a〜20cは、カイ二乗計算が、図10を参照して説明したように反転された2つのマイクロホン信号の一方によって繰り返されるときの結果を示す。2つのカイ二乗値のうちの低い値は出力であり、かつ平滑フィルターを通過する。トーンスイープのシミュレーションでは、これは、本発明のカイ二乗WND方法をトーンに対してよりロバストにした。図19a、図19dおよび図19eは、実際のトーンスイープ記録ではこれを必要としないかもしれないことを示すが、図20a〜20cは、風およびマイクロホン雑音に関してカイ二乗WND出力を分離する方がよいことを示し、これは、入力レベル閾値をこれら2つのタイプの雑音間で識別する必要性を減らすのに有用とし得る。実際のトーンスイープ記録は、反響、マイクロホン雑音、および純粋/理想的な正弦波刺激のシミュレーションではなかった他の効果を含み、これは、シミュレーションでの結果と実際のマイクロホン信号での結果との間の違いを説明し得る。
図20aは、各ブロックの2つのカイ二乗値の最小値を取ることによって、期間3〜4秒の間のマイクロホン雑音の出力が、音声の出力値とより同様となり、かつ風雑音の値とは明らかに分離されることを示す。それゆえ、このシナリオでは、レベル閾値は、最小アプローチが適用される場合、相関関係のないマイクロホン雑音を風雑音から分離するために必要ではない。
上述の通りおよび図19dに示すように、遠距離場トーンスイープに応えるカイ二乗WND値の出力は十分に低く、2つのカイ二乗値のうちの最小値を取ることなく、トーンを風から識別した。それにもかかわらず、図20bは、最小値を取ることによって、遠距離場トーンのカイ二乗WND値を低下(改善)し得ることを示す。
上述の通りおよび図19eに示すように、近距離場(口)トーンに応えるカイ二乗WND値の出力は十分に低く、2つのカイ二乗値のうちの最小値を取ることなく、近距離場トーンを風から識別した。それにもかかわらず、図20cは、最小値を取ることによって、近距離場(口)トーンのカイ二乗WND値も低下(改善)され得ることを示す。
図21a〜21eは、ブロックサイズが16サンプルのスマートフォンの異なるWND方法の出力を示す。以前の通り、初期応答は、平滑IIRフィルターの初期化ゆえに、全ての場合において0から開始する。図21aは、本発明のカイ二乗WND方法が、約3〜4秒の音声間隙の最中に風雑音を音声およびマイクロホン雑音から明らかに分離するため、風雑音をマイクロホン雑音から区別するのを支援するためにレベル閾値が必要ないことを示す。ヘッドセットと比較して、ハンドセットによるより大きな平均的なカイ二乗値は、おそらく、マイクロホンの間隔がより大きいことに起因し、これは、局所的に生成された風雑音をマイクロホン間であまり似なくする。
図21bは、相関WND方法は風雑音を非風刺激から辛うじて分離するにすぎないことを示す。図21cは、Diff/Sum WND方法が風雑音を音声から分離したが、約3〜4秒の音声間隙においては風雑音をマイクロホン雑音からは分離しなかったことを示す。図21dは、本発明のカイ二乗WND方法が、他の非風刺激の値と同様の遠距離場トーンの出力値を与え、かつこれらが、風雑音に典型的な値(図21aに示すように約9〜12の値)をはるかに下回ることを示す。それゆえ、遠距離場トーンは、本発明のカイ二乗WND方法によって風雑音から明らかに分離される。対照的に、遠距離場トーンの相関WND方法の出力は、一部の周波数では風雑音の値と同じとし得る。それゆえ、遠距離場トーンは、相関WND方法によって風雑音と誤って検出され得る。遠距離場トーンのDiff/Sum WND方法の出力は、一部の周波数では風雑音の値と同じとし得る。それゆえ、遠距離場トーンは、Diff/Sum WND方法によって風雑音と誤って検出され得る。
図21eは、近距離場(口で生成された)トーンのカイ二乗WND方法の出力が、他の非風刺激の値と同様の出力であり、かつ風雑音に典型的な値をはるかに下回ることを示す。それゆえ、近距離場(口で生成された)トーンは、風雑音から明らかに分離される。近距離場の(口で生成された)トーンの相関WND方法の出力は、一部の周波数では風雑音の値と同じ値とし得る。それゆえ、近距離場(口で生成された)トーンは、相関WND方法によって風雑音と誤って検出され得る。近距離場(口で生成された)トーンのDiff/Sum WND方法の出力は、一部の周波数では風雑音の値と同じ値とし得る。それゆえ、近距離場(口で生成された)トーンは、Diff/Sum WND方法によって風雑音と誤って検出され得る。
16サンプルのブロックサイズを使用するスマートフォンのハンドセットと比較すると(図21a〜eに示すような)、32サンプルのブロックサイズは、風雑音を遠距離場および近距離場トーンから区別するときに、本発明のカイ二乗WND方法をさらによりロバストにする。これを図22a〜eに示す。図22aでは、カイ二乗WND方法は、風雑音入力を提示された他の刺激から明らかに区別する。図22bおよび図22cは、相関WND方法およびDiff/Sum WND方法も、より大きなブロックサイズにより改善されるが、他の刺激からの風雑音の識別は、本発明のカイ二乗WND方法ではあまり決定的でないことを示す。
図22dは、遠距離場トーンのカイ二乗WND出力は、ブロックサイズが32サンプルの風雑音の値をはるかに下回る一方、相関WND方法およびDiff/Sum WND方法は、一部の周波数では遠距離場トーンと風雑音とを正しく区別できないことを示す。図22eは、近距離場トーン(口からの)のカイ二乗WND出力は、ブロックサイズが32サンプルの風雑音の値をはるかに下回る一方、相関WND方法およびDiff/Sum WND方法は、一部の周波数では近距離場トーンと風雑音とを正しく区別できないことを示す。
図23a〜cは、図2に示すカイ二乗WNDの副帯域の時間領域のインプリメンテーションによって得られた風雑音検出器の結果を示す。この副帯域の時間領域のインプリメンテーションの性能は、前述の表1に示す刺激に応答して評価された。二次フィルター、四次フィルター、IIRフィルター、1オクターブフィルター、帯域通過フィルターを、Matlab/Simulinkに組み込み、かつ事前に記録したマイクロホン信号を副帯域へフィルタリングし、その後、副帯域マイクロホン信号をカイ二乗WNDによって処理した。これらの例示的なIIRフィルターは、典型的なDSP処理装置におけるそれらのインプリメンテーションの容易さおよび効率ゆえに選択されたが、異なる遮断周波数を備える異なる数次およびタイプのフィルターを、この適用例および他の適用例に適切であるとして、使用してもよい。全帯域のインプリメンテーションに関しては、WNDアルゴリズムの出力は、IIRフィルター(b=[0.004];a=[1−0.996]、他のフィルターのタイプおよび係数を使用し得ることに留意されたい)によって処理され、ブロックごとに存在し得る、WNDアルゴリズム出力中のいずれのジッターのような変化も取り除いたため、一定の入力刺激に、より一貫性のある出力を与えた。
図23aは、1kHzを中心とする1オクターブの帯域通過二次IIRフィルターによって処理された風、音声、マイクロホン雑音(静寂)、および1kHzの近距離場トーン刺激の平滑化されたカイ二乗WND出力を示す。近距離場トーンは、この帯域通過フィルターの中心周波数にある。風雑音の平滑化されたWND出力(まとめて、2320)と音声刺激の平滑化された出力(まとめて、2330)との間には明確な分離がある。マイクロホン雑音の出力2310は、風の出力と音声の出力との間にある。音声刺激のピークは、マイクロホン雑音が占める音素間の間隙に起因する。上記の通り、SPL閾値の使用は、風雑音とマイクロホン雑音とをより明白に区別する必要性があった場合に使用でき、かつこれがまた、音声刺激の音素間のピークの高さを低くする。この副帯域の中心周波数における近距離場トーンの平滑化されたWND出力2340は、音声よりも低く、かつほとんどゼロであり、それにより、風がないことを正しく示す。
図23bは、5kHzを中心とする1オクターブの帯域通過二次IIRフィルターによって処理された風、音声、マイクロホン雑音、および1kHzの近距離場トーンの刺激の平滑化されたカイ二乗WND出力を示す。かなりの量の風雑音がそのような高周波数で存在することがあり、および先に示した通り、他のWND方法は、風雑音とそのような高周波数の他の音とを信頼性高く識別しない可能性がある。音声、マイクロホン雑音(静寂)、および1kHzの近距離場トーン(まとめて、2410)の平滑化されたカイ二乗WND出力は、0.5をはるかに下回る。3〜12m/秒の風からの平滑化されたWND出力(まとめて、2420)は、全て、約1.0を上回る。この場合に評価された5kHzの帯域に関して、1.5m/秒における風の平滑化されたWND出力2430は0.5〜1.0にあり、これは、風雑音が、この風速ではより低い周波数に集中しているためである。それゆえ、カイ二乗WNDは、低速の風に対し、その出力が正しく低減され、これにより、約5kHzの風雑音がほとんどなくなり、かつ5kHz帯域にある1.5m/秒の風を検出しないために約1.0のカイ二乗閾値を使用できた。より急な低周波数ロールオフを有する、より高次の帯域通過フィルターは、より低い周波数の風雑音をあまり検出せず、かつ1.5m/秒の風に、さらに低い平滑化されたWND出力を生じる。
図23cは、図23aおよび図23bの結果を生成するために使用されたのと同じ、1kHzおよび5kHzを中心とする1オクターブの帯域通過の二次IIRフィルターによって処理された、段階的なトーンスイープの平滑化されたカイ二乗WND出力を示す。どちらの場合も、平滑化されたカイ二乗WND出力は1.0を下回り、かつ図7に見られるカイ二乗WNDの全帯域インプリメンテーションの平滑化されたWND出力とよく似ており、これは、カイ二乗WNDのこれらの例示的な副帯域インプリメンテーションのロバストネスを裏付ける。
図24a〜eは、カイ二乗WNDによって処理される前に、周波数領域においてFFTによって処理された刺激のデータを示す。図3に示すカイ二乗WNDのFFTインプリメンテーションは、図1に示す全帯域の時間領域バージョンと同じ事前に記録したマイクロホン信号および方法によって評価された。これらの刺激は、上記の表1にリストする。
周波数領域におけるカイ二乗WNDの動作は、16kHzのレートでサンプリングされた、事前に記録したマイクロホン信号を用いて、Matlab/Simulinkにおいて評価された。各マイクロホンに関し、64サンプルの重なり合うブロックは、64点のハニング窓および64点の高速フーリエ変換(FFT)によって処理された。FFTは、32サンプルごと、または2ミリ秒ごと(すなわちFFTフレーム間で50%の重なり)に計算され、かつ各ビンに対する複合FFTデータを大きさの値に変換し、および大きさの値は、dB単位に変換された。このFFT処理はDSP補聴器適用において例示的とし得るが、これは、サンプリングレート、窓、FFTサイズ、および生の複合FFT出力データの、他の値または単位への処理の他の組み合わせを排除するものではない。
各対のFFTを計算後(すなわち2つのマイクロホンの各々に対して1回)、dB値は、最も近い16の値のバッファ(図3に示すようにマイクロホンとFFTビンの各組み合わせに対して1つのバッファ)に記憶された。その後、各FFTビンに対し、対応する第1および第2のマイクロホンのバッファにおける値の平均を計算し、かつそれぞれ第1および第2の比較閾値として使用した。しかしながら、バッファのdB値がその対応する入力レベル閾値を下回る場合、両マイクロホンの比較閾値を設定し、それらが対応するバッファにおけるdB値を全て上回るようにした。これは、カイ二乗値0を生じた。入力レベル閾値を、各FFTビンに対し、最大マイクロホン雑音レベルを上回る5dBに設定し、およびこれは、カイ二乗WNDのこのFFTインプリメンテーションによってマイクロホン雑音が風雑音として間違って検出されないようにするために必要であった。より高い入力レベル閾値を使用して、聞き取れないまたは使用者にとって控えめな風を確実に検出しないようにし得る。
次いで、バッファのデータを、対応する比較閾値と比較して、比較閾値に対して正の値および負の値の数を計数した。対応する比較閾値の0.5dB以内の値は、その比較閾値と等しいとして処理されたため、正の値として数えられた。これは、カイ二乗WNDのこのFFTインプリメンテーションが上手に一定の純音入力を取り扱う方法を改善し、これにより、マイクロホンにわたって同じとは限らないパターンで、0.1dB未満などの非常に小さな程度で比較閾値のいずれかの側に切り替え、かつトーンを風雑音とする間違った検出をもたらした。次いで、正および負の値の計数を上記の通り処理してカイ二乗WND出力を計算し、これは、既に説明したIIR平滑フィルター(b=[0.004];a=[1−0.996])によって処理された。
図24aは、250HzFFTビンに対する風、音声、マイクロホン雑音(静寂)、および1kHzの近距離場トーンの刺激の平滑化されたカイ二乗WND出力を示す。近距離場トーンおよびマイクロホン雑音の出力はゼロであり、および音声の値と風雑音の値との間には明確な分離があり、250Hzにおける風雑音の正しい検出を示す。好適な風検出閾値は、約0.1〜0.2にあり得る。概して、風雑音および音声の平滑化されたカイ二乗出力値は、カイ二乗WNDの時間領域のインプリメンテーションよりも低い。
図24bは、750HzのFFTビンの平滑化されたカイ二乗WND出力を示す。平滑化されたカイ二乗WND出力は、明らかに、音声では0.1未満であり、およびマイクロホン雑音ではゼロ、および1kHzの近距離場トーンではゼロ付近である。1.5m/秒の風の平滑値は最も低く、かつ約0.1〜0.2で変動する一方、3m/秒の風の平滑値はわずかに高く、および約0.2変動する。これは、1.5m/秒の風雑音のレベルが、750HzのFFTビンのマイクロホン雑音を上回る約12dBにすぎず、かつ聞こえないかもしれず、および任意選択的には検出される必要がないため、正しい振る舞いである。250HzのFFTビンと比較しておよび風雑音の一貫性に依存して依然として0.2超を保つ傾向のある平滑化されたカイ二乗値がより少なく低減された状態で、3m/秒の風雑音のレベルも低減される(しかし、より少ない程度である)。6および12m/秒の風雑音のレベルは、マイクロホン雑音がほとんどなく、および明らかにより高い平滑化されたカイ二乗値を有し、風雑音と適切に分類される。
図24cは、1000HzのFFTビンの平滑化されたカイ二乗WND出力を示す。近距離場トーンは、この帯域通過フィルターの中心周波数にある。平滑化されたカイ二乗WND出力は、明らかに、音声では0.1未満であり、およびマイクロホン雑音ではゼロであり、および1kHzの近距離場トーンではゼロ付近である。風雑音レベルはこのFFTビンではマイクロホン雑音レベルに近いため、1.5および3m/秒の風雑音の平滑値はゼロに近い。それゆえ、カイ二乗WNDは、正しく、風雑音を、1kHzにおいてはかなりの量の風雑音を生じない風速において、検出しなかった。風雑音が、これらの風速において、1kHzにおいて大きなエネルギーを有し、そのため、1kHzのFFTビンにおいてこれらの風速の風雑音を正しく検出できるため、6および12m/秒の風の平滑化されたカイ二乗値は、音声のものよりも明らかに高い。
図24dは、4000HzのFFTビンの平滑化されたカイ二乗WND出力を示す。この周波数では、12m/秒の風雑音のみが大きなエネルギーを有したため、平滑化されたカイ二乗WND出力から風として正しく分類され得る。全ての他の刺激の平滑化された出力は0.1未満であり、これは、より低い風速および非風刺激では適切である。
図24eは、7000HzのFFTビンの平滑化されたカイ二乗WND出力を示す。この周波数では、12m/秒の風雑音のみが大きなエネルギーを有するため、平滑化されたカイ二乗WND出力から風として正しく分類され得る。全ての他の刺激の平滑化された出力は、0.1未満である傾向を有し、これは、より低い風速および非風刺激では適切である。それゆえ、カイ二乗WNDのこの例示的なFFTインプリメンテーションは、非常に高い周波数で存在する風雑音を正しく検出でき、および風雑音と風ではない音とを識別する。副帯域の時間領域のインプリメンテーションと比較すると、カイ二乗WNDのFFTインプリメンテーションは、より狭い周波数帯域で動作し、かつ、より長い時間を網羅するがサンプルのブロックをRMS入力レベル推定値に変換したゆえに時間分解能が低下したデータを処理する。これらの差は、これらのインプリメンテーションに関するカイ二乗WND出力間に示される差を説明する。
図24fは、それぞれ1000Hz、4000Hz、および7000HzのFFTビンの遠距離場の段階的なトーンスイープの平滑化されたカイ二乗WND出力2462、2464、2466を示す。平滑化された出力は、一般的にゼロであり、一般的に0.1未満のスパイクを備え、かつ急な過渡を生じるトーン周波数における階段状の変化に対応する。スパイクは、各FFTビンの中心周波数付近の周波数に対する傾向がある。これは、非風刺激を風雑音と誤って検出することに対する、カイ二乗WNDのこのFFTインプリメンテーションのロバストネスを裏付ける。
当業者には、広範に説明されるような本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに、特定の実施形態に示すような本発明に多数の変形および/または修正を行ってもよいことが認識される。それゆえ、本実施形態は、あらゆる点で、説明であり、限定ではないとみなされる。

Claims (20)

  1. 計算装置によって実施される、風雑音を検出するためにデジタル化マイクロホン信号データを処理する方法であって、
    第1のマイクロホンから第1の組の信号サンプルを得るステップと;
    第2のマイクロホンから、実質的に前記第1の組と同時期に生じる第2の組の信号サンプルを得るステップと;
    前記第1の組の中の、第1の予め定義した比較閾値を上回るサンプルの第1の数を決定し、かつ前記第1の組の中の、前記第1の予め定義した比較閾値を下回るサンプルの第2の数を決定するステップと;
    前記第2の組の中の、第2の予め定義した比較閾値を上回るサンプルの第3の数を決定し、かつ前記第2の組の中の、前記第2の予め定義した比較閾値を下回るサンプルの第4の数を決定するステップと;
    前記第1の数および第2の数が前記第3の数および第4の数から、予め定義した検出閾値を上回る程度に、異なるかどうかを判断し、かつもしそうであれば、風雑音が存在するという表示を出力するステップと
    を含む、方法。
  2. 前記第1の予め定義した比較閾値が前記第2の予め定義した比較閾値と同じである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の予め定義した比較閾値がゼロである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第2の予め定義した比較閾値がゼロである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第1の予め定義した比較閾値が、選択した過去の信号サンプルの平均である、請求項1、または2に記載の方法。
  6. 前記第2の予め定義した比較閾値が、選択した過去の信号サンプルの平均である、請求項1、2または5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記第1の組のうちの正および負のサンプルの数が前記第2の組のうちの正および負のサンプルの数から、予め定義した検出閾値を上回る程度に、異なるかどうかを判断する前記ステップが、カイ二乗検定を適用することによって行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. カイ二乗計算が、前記予め定義した検出閾値を下回る値を与える場合、前記風雑音がないという表示が出力され、および前記カイ二乗計算が、前記検出閾値を上回る値を与える場合、前記風雑音が存在するという表示が出力される、請求項7に記載の方法。
  9. サンプルブロックサイズ16、およびマイクロホンの間隔12mmに関し、前記検出閾値が0.5〜約4の範囲にある、請求項8に記載の方法。
  10. 前記検出閾値が1〜2.5の範囲にある、請求項9に記載の方法。
  11. 前記検出閾値が、控えめとみなされる微風によってはトリガされないレベルに設定される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記第1の数および第2の数が前記第3の数および第4の数から異なる前記程度を使用して、風の強さを推定する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記第1の組のうちの前記サンプルの数が、前記第2の組のうちの前記サンプルの数から、予め定義した検出閾値を上回る程度に、異なるかどうかを判断する前記ステップが、マクネマー検定およびスチュアート−マックスウェル検定の一方によって行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  14. さらに、第3のマイクロホンから、それぞれの組の信号サンプルを得ることを含み、
    前記カイ二乗検定が、3×2の観測マトリックスおよび予測値マトリックスを使用することによって、前記第1から第3のマイクロホン信号サンプルの組に適用される、請求項7に記載の方法。
  15. 前記カイ二乗検定が、適切な4×2またはそれよりも大きい観測マトリックスおよび予測値マトリックスを使用することによって、4つ以上のマイクロホン信号サンプルの組に適用される、請求項14に記載の方法。
  16. 各マイクロホンからの各サンプルの組内の計数が行われ、各サンプルの組に対して、以下:
    前記サンプルのうちいくつが正であるか、
    前記サンプルのうちいくつが負であるか、
    前記サンプルのうちいくつが第1の閾値を上回るか、および
    前記サンプルのうちいくつが第2の閾値を下回るか
    のうちの少なくとも1つが数えられる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. さらに、前記第1の数および第2の数が、前記第4の数および第3の数から異なるかどうかを判断し、かつこの差も前記予め定義した検出閾値を上回る場合に、前記風雑音が存在するという表示を出力することを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された計算装置。
  19. 人工内耳BTEユニット、補聴器、電話機のヘッドセットまたはハンドセット、カメラ、ビデオカメラ、またはタブレット型コンピュータのうちの1つである、請求項18に記載の装置。
  20. 風雑音を検出するために、コンピュータデジタル化マイクロホン信号データを処理する手順を実行させるコンピュータプログラムコード手段として機能させるための、コンピュータプログラムであって、請求項18または19に記載の装置、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法を実施させるコンピュータプログラムコード手段として機能させるための、コンピュータプログラム。
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