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JP6286059B2 - イオンビーム装置および試料観察方法 - Google Patents
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Description

本発明はイオンビーム装置および試料観察方法に関する。
電子を走査しながら試料に照射して、試料から放出される二次電子荷電粒子を検出すれば、試料表面の微細な構造を観察することができる。これを走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下SEMと略記)と呼ぶ。
SEMは微細な表面の構造を観察するその他の技術、例えば原子間力顕微鏡、または走査型トンネル顕微鏡に比べて簡便かつスループットよく観察像を得ることができることが広く知られている。SEMに用いられる電子を放出する電子源は、安定化のために一般的には超高真空に保つ必要があり、その理由から、試料への照射の際に、試料を保持する試料室も真空に保たれることが通常である。
このため、真空に保持をすると性質が変化してしまう試料(例えば生体試料や有機試料)を観察することが困難である。もしこのような試料を観察しようと試料室の真空度を下げた場合、電子源から放出される電子ビームを試料室に通すための経路(孔)を通じ、気体分子が電子源側に流入してしまう。このことより、電子源側の真空度が低下してしまう。
このため従来は、半導体の観察検査に代表されるように、試料の性質が真空下でも大きく変化しない試料にSEMの用途が限定されていた。
一方、近年医学生物学での試料表面の観察のニーズの高まりから、環境制御型SEM、低気圧SEMまたは大気圧SEMと呼ばれる装置の重要性が増してきている。
これらの装置は、電子源を超高真空に保持しつつ、試料室を大気圧もしくはそれに準ずる圧力にするために、電子ビームが試料室に到達するまでの経路の真空コンダクタンスを小さくする必要がある。
例えば、特許文献1には、真空筐体に電子透過膜(例えば、コロジオン膜)付きの微小なオリフィスを設けて差動排気を行う。また、電子線を走査する代わりに、可動ステージを動かして試料を走査する電子顕微鏡の例が記載されている。
特開2006-147430 特開平06-236744 特表2002-516018
しかしながら、特殊な薄膜を用い試料室と電子源を隔離するタイプのSEM(すなわち、特許文献1に記載の電子顕微鏡の構成)では、試料室を高真空に保つ一般的なSEMに比べ、薄膜を通過する際の一次電子線の散乱による分解能劣化や、薄膜の耐久性に課題がある。また試料観察を高分解能で行いたい場合は、別のSEMを別途購入する必要があり、コストの面で課題がある。
一方、経路にコンダクタンスを制限する孔、つまり差動排気孔を一つまたは複数設けることにより、試料室と電子源との間に圧力差を生むことが理論上は可能である。しかしながら、本願発明者が検討した結果、差動排気孔によって電子線に回折現象を生じるため、プローブ径を細束化した電子ビームは一定値以上のアスペクト比の孔は通過できないという課題が生じることを発見した。
ここで、発明者は上記課題をさらに検討した。その結果、イオンビームを用いると電子ビームを用いる場合に比べて差動排気孔のアスペクト比を大きくすることができる事を見出した。具体的なアスペクト比としては200以上、さらには400以上の差動排気孔である。
このようなアスペクト比の大きい孔で差動排気を行うとアスペクト比が低い差動排気孔に比べて、試料室とイオン源との間の差圧を大きくすることが可能なため、試料室の圧力を高めることが可能である。上記のようにプローブ径を細束化した電子ビーム及びそれを適用した装置はこのような大きなアスペクト比の孔は通過できないため、これまで想定されていない。
例えば、特許文献2には、真空室と試料室とが圧力制御アパーチャを介して接している電子顕微鏡において、圧力制限アパーチャから試料直上までの間に電子ビームの通路を形成する細管が設けられている例が記載されている。
しかしながら、この細管(17)は1次の電子ビームの散乱を減少させ、試料上に留まる余分な正イオンを吸収し試料が正にチャージアップすることを防止するためのものである。すなわち、特許文献2のように、試料と対物レンズの主面からの距離が長くなると、一般的にはレンズの収差の影響が大きくなり分解能が悪くなるので、このような構成が必要になると思われる。
また、特許文献3には、電界放出銃と試料との間に約10トールまでの圧力差を与えるため、差動的に吸引された4個の真空ゾーンを含み、差動ポンプ式システムは、差動的に吸引された真空ゾーンを画成する少なくとも4個の圧力制限アパーチャを更に有し、かつ圧力制限アパーチャの中の一つは、複数の積み重ねられた環状アパーチャを含む圧力制限アパーチャ組立体から形成される電子顕微鏡の例が記載されている。このように、電子ビームが通過可能な差動排気孔を複数設置し、電子源と試料室の間に中間室を設けることによって、電子源の圧力と試料室の差圧を大きくすることができる。
しかしながら、中間室を設けることによる事自体のコスト増や、中間室を排気するための真空排気手段を新たに設けるコスト増といった別の課題を生じさせる。また、中間室の真空度は試料室と電子源の中間の圧力となるから、場合によっては電子ビームが中間室に存在するガス分子によって散乱され分解能が劣化することになり、本質的な解決法ではない。
上記の課題を解決するため、本願発明に係るイオンビーム装置は、イオンビームを生成するイオン源と、前記イオン源が設置された真空室と、前記真空室を減圧する排気部と、前記減圧された第1の真空度よりも低い第2の真空度において、前記イオンビームが照射される試料を設置する試料室と、を有し、前記真空室から前記試料室へ前記イオンビームが通過し、かつ前記第1の気圧から前記第2の気圧へ変化する経路上に、アスペクト比200以上の孔が形成されたことを特徴とする。
また、上記の課題を解決するため、本願発明に係る試料観察方法は、観察する試料を容器に密閉するステップと、容器に封入された観察試料を試料室に導入する導入ステップと、前記容器の一部を加工し孔を作製する作製ステップと、イオンビームを前記作製した孔を通して前記観察試料に照射するステップと、前記観察試料に起因する荷電粒子を検出する検出ステップと、を含む。
本願発明は、上記の構成を有することで、薄膜または真空度の低い領域を通過することによる照射ビームの劣化を低減することができる。
電子ビームとイオンビームのプローブ径を比較した例である。 イオンビーム装置の全体像を示す図である。 イオンビーム装置における試料室の位置移動を示す図である。 イオンビーム装置における試料室の位置移動を示す図である。 イオンビーム装置における対物レンズ近傍の図である。 イオンビーム装置における、試料室近傍において電磁界印加を行った図の例である。
SIMではイオン源から放出されるイオンビームを走査しながら照射して、試料から放出される二次荷電粒子を検出して、試料表面の構造を観察する。なおSIMにおいてはイオン源を安定化のため超高真空に保たなければならない。
また、前提として、試料に照射された電子(またはイオン)ビームはある一定の開き角を持つ。開き角とは電子ビームが試料上で集束している点から対物レンズを見込んだ角度である。ビームの開き角に対応するアスペクト比以上を持つ孔をビームが通過することは不可能である。また、ビームを細束化する最適の開き角は、集束レンズや対物レンズの種類や、その幾何学な位置、また光源の位置や、試料の位置などの条件により変化するが、基本的には開き角を大きくすればレンズの球面収差と色収差が増大し、開き角を小さくすれば回折収差が増大する。適切な照射ビーム条件はこのバランスで決定される。
発明者は同一の電圧で加速された電子ビームに比べ、イオンビームの方が回折収差の影響が小さいため、概して電子ビームよりイオンビームの方が小さい最適開き角を持ち、アスペクト比の高い差動排気孔を通過させる上で好適であることを発見した。
この考えを適用すると、照射ビームが通過する経路の真空コンダクタンスを制限する差動排気孔については、その径が小さければ小さいほど、またはその孔の長さが長ければ長いほど、つまり孔の長さを径で除算したアスペクト比が大きければ大きいほど試料室側の圧力と電子源側の差圧を大きくすることが可能になる。
また、更なる効果として、作動排気孔の径を小さくする分、作動排気孔の長さを短くし、上記の対物レンズと試料の距離を小さくすることができる。これにより、対物レンズの主面からの距離を短くでき、レンズの収差の影響を低減し分解能を向上させることが実現できる。
次に図1に同一の加速条件で、同一の電磁レンズ系を用いた場合、あるアスペクト比の差動排気孔に対応する開き角を持つビームのプローブ径を電子ビームとイオンビームで計算した結果を示す。この例では、(1)の矢印で示したアスペクト比200以上からヘリウムイオンビームの方が分解能の面で有利になり始めることが分かる。また、(2)の矢印で示したアスペクト比400以上では電子ビームとイオンビームのプローブ径に顕著な差がついている。電子ビームはアスペクト比300〜400付近でプローブ径がそれ以上小さくならず、逆に、回折収差により径が増大していくこともわかった。ちなみに本例では、イオンビームのガス種にヘリウムを用いた。
ここで、差動排気の差圧の観点のみであれば、この範囲の中でもプローブ径の差が顕著に表れるアスペクト比400以上の領域が有利である。しかし、開き角を小さくしプローブ径を細束化すると、プローブ電流もそれに従い小さくなる。なので、観察像のシグナルノイズ比を重視する場合には、プローブ径だけでなくプローブ電流をも考慮し、アスペクト比200を超える領域を使用してもよい。従って、アスペクト比400未満の領域も、実際の利用において有用な領域となる。
差動排気孔は上記に説明したアスペクト比を持つ孔が好適といえるが、それに制限されるものではない。特に、(1)電子線においては回折効果により十分に通過できず、(2)イオンビームにおいては通過できる程度、すなわち(1)(2)を満たす径と高さで制約されたアスペクト比を有する孔が、本願の技術的思想の最低限の範囲に含まれる形状となると考えることが可能である。
また、試料やその他の領域を加工するイオンビームと試料を観察するイオンビームとは必ずしも同一のイオン源を用いる必要はなく、また、ガス種を切り替えることも可能である。
特に、イオンビームを放出するイオン源に電界電離型のものを用いれば、イオン源に導入するイオン化ガスを切り替えるだけで、イオンビームを切り替える事が容易に行える。また、イオン化するガス種は、イオンビームの特性(高分解能)を生かすガス種であれば、ヘリウムに限定されず、水素やアルゴンなども含まれる。また、イオンビームによる加工と観察という用途によって、ガス種を使い分けることも有効である。
本発明により、イオンビームの安定性を損なうことなく試料の大気圧またはそれに準ずる圧力下での観察が可能となる。また試料の高分解能の観察と大気圧またはそれに準ずる圧力下での観察を同一の装置にて行うことが可能となる。
ところで、本発明における高アスペクトの孔に代えて、特許文献1に記載の薄膜を使用し試料室とイオン源を真空的に遮断する手法を用いることは不可能である。イオンビームは電子ビームに比べ概して照射する物質をスパッタにより加工する特性が大きいため、薄膜に加工作用を生じさせてしまうためである。
発明者はこのイオンビームが持つ物質を加工する特性に着目し、逆に、試料の高分解能観察と、試料の大気圧またはそれに準ずる圧力下での観察を同一の装置で行えるユーザビリティの高い荷電粒子顕微鏡を構成できることを見出した。
具体的には、大気圧、もしくはそれに準ずる圧力で観察したい試料を密閉した容器を走査イオン顕微鏡装置の試料室に導入し、その容器の上面にイオンビームを照射し差動排気孔を作製した後、その差動排気孔にイオンビームを通過させ、試料を観察する手法である。この手法によると通常の観測を行いたいときは容器ごと試料室から試料を排出し、新たに試料を導入するだけで、他の装置を準備することなく、高分解能の観察が可能になる。
また、本願発明で示すアスペクト比は径と高さで定義されるが、高さにより途中の径が変わっているような場合(すなわち、理想的な円柱形状の孔でない場合)でも程用できるのは言うまでもない。上述した課題が解決できるような孔であり、実質的に高アスペクトの孔として作用するならば、本願発明の範囲に属していると判断することができる。
図2を参照して本発明による荷電粒子線装置の例を説明する。以下に、イオンビーム装置として、走査イオン顕微鏡装置の第1の例を説明する。本例の走査イオン顕微鏡は、ガス電界電離イオン源1、イオンビーム照射系カラム2、試料室3、及び冷凍機構4を有する。ここで、ガス電界電離イオン源1、イオンビーム照射系カラム2、試料室3、冷却機構4は真空容器に内包されている。
ガス電界電離イオン源1は針状のエミッタティップ11、前記エミッタティップ11に対向して設けられ、イオンが通過する開口部12を有する引き出し電極13が含まれる。このエミッタティップ11を含む空間、すなわちイオン化室17は真空ポンプ16によって真空排気される。
本例ではイオン化室外壁が真空容器の外壁と共通になるように構成されているが、イオン化室外壁を別途備え、イオン化室17が真空容器に内包されるよう構成することも可能である。ビーム照射系カラム2には上記ガス電界電離イオン源1から放出されたイオンを集束する集束レンズ21、集束レンズ21を通過したイオンビーム15を制限する可動なアパーチャ22、該アパーチャ22を通過したイオンビーム15を走査あるいはアライメントする第1偏向器23、該アパーチャ22を通過したイオンビーム14を偏向する第2偏向器24、該アパーチャ22を通過したイオンビーム15を試料31上に集束する対物レンズ26から構成される。ビーム照射系カラム2の内部の空間は真空ポンプ27によって排気される。
また、試料室3内には試料31を内包する真空容器35を載置する試料ステージ32が設けられている。試料室3は真空ポンプ34によって真空排気される。ガス電界電離イオン源1からのイオンビーム15はイオンビーム照射系カラム2を経由して試料室3に至る。イオンビーム15は真空容器35の上部の隔壁351に設けられた差動排気孔352を通って試料31に照射される。イオンビーム15が照射された試料31からの二次粒子は、二次粒子検出器33によって検出される。
試料31は試料室3に導入される前に、真空容器35に封入される。この際、隔壁351を取り外し、試料を設置し、その後再度隔壁351を用いて試料31を封入するよう構成してもよい。また封入の際、試料31を大気圧下もしくはそれに準ずる圧力下で観測するために、所望のガスを真空容器35内に充満させてから、試料室3に試料31を含む容器35を導入してもよい。
試料31を含む真空容器35は試料室3に導入の際、いったん試料準備室36に導入される。その後試料準備室36を図示していない真空ポンプで真空排気する。この際真空容器35内に充満させたガスは真空排気されないように接続孔353は閉じておく。試料準備室36が十分真空排気された後、ゲートバルブ361をあけ直線導入機362を用い試料31を含む真空容器35は試料室3に導入される。
試料31を含む真空容器35を導入した後、真空容器35に所望のガスを容器35内部に後から導入できるよう、ガス導入機構37を備えてもよい。差動排気孔352を加工した後、試料室3を真空排気することで、差動排気孔352を通じて真空容器35の内部も真空排気され、容器35内部の圧力が低下する。ガス導入機構37を用いることによって、定常的に一定圧力下の試料の状態を観測することができる。ガス導入機構37はガスボンベ371、ガスライン372、弁373、流量調整手段374を備える。
イオンビームによって加工された差動排気孔352の排気コンダクタンスや、真空ポンプ34の排気速度によって、容器内部のガスが排気される速度は変化する。流量調整手段374を用い試料雰囲気が一定圧力になるようガスの流量を調整してもよい。ガスライン372は試料ステージ32を介し、真空容器35の接続孔353に接続されるよう構成してもよい。真空容器35を試料ステージ32に搭載すると同時にガスライン372と真空容器35の接続孔353が真空的に接続するようにすれば、試料31と真空容器35を交換し他の試料を観察する際、作業が簡便となる。
冷却機構4は、電界電離イオン源1の内部、エミッタティップ11、引き出し電極12、イオン化室などを冷却する。冷却機構4は例えばギフォードマクマホン型(GM型)やパルスチューブ型などの冷凍機、または液体ヘリウムや液体窒素、固体窒素などの冷媒を用いることができる。または上記の冷凍機や冷媒を用いて冷却したガスを循環、または導入することで、装置本体からは隔離された冷凍機からの冷却能を装置に伝達することも可能である。
また、隔壁351の差動排気孔352は後からイオンビームで加工し形成することもできる。隔壁351の材料を光が透過するものとすれば、上面から容器35内に封入された試料31の表面の状態が観察可能となる。例えば表面を光学顕微鏡で確認し差動排気孔352を加工する個所を決定してもよい。上記の用途のため図示はしていないが試料室3に光学顕微鏡を備えてもよい。
また容器の上面を加工するイオンビームと試料を観察するイオンビームは必ずしも同一のイオンビームを用いる必要はなく、切り替えることも可能である。イオンビームを放出するイオン源に電界電離型のものを用いれば、イオン源に導入するイオン化ガスを切り替えるだけで、イオンビームを切り替える事が容易に行える。
ガス電界電離イオン源1に導入されるイオン化ガスはガスボンベ431からガスライン43を通じてエミッタティップ11近傍に供給される。ガス圧はガスライン43に備えられた流量調整手段434を用いて調節される。ガス電界電離イオン源1から放出されるイオンビームの種類を切り替える際にはガスボンベ431からのイオン化ガスの供給を止め、異なる第二のガスボンベ441からのイオン化ガスの供給を開始する。異なるイオン化ガスはガスボンベ441からガスライン43を通じてエミッタティップ11近傍に供給される。ガス圧はガスライン43に備えられた流量調整手段434を用いて調節される。さらに異なるイオンビームに切り替える際には図示していない同様の構成を用いてガス電界電離イオン源に異なるガスを導入することも可能である。
また、ガスライン43は真空ポンプ432により真空排気が可能なように構成してもよい。イオン化ガス導入前、またはイオン化ガス切り替え時ガスライン43の予備排気を行うことで、イオン化ガスの純度を上げることが可能となる。
そして、差動排気孔352のアスペクト比は200以上もしくは400以上になるように加工してもよい。アスペクト比が大きければ大きいほど真空容器35と試料室3もしくはイオン源1の真空度との差は大きくなるが、上記のようなアスペクト比を持つ孔を通過できるようなビームの開き角は、電子ビームにおける最適の開き角よりも小さい。イオンビームであれば上記のようなアスペクト比の孔も分解能を犠牲にすることなく、通過させることが可能となる。
観察像の視野は差動排気孔352の径で制限される場合があるが、必要となる観察像の視野によって隔壁351の厚みを変えてもよい。同じアスペクト比を持つ孔でも長さを変更することにより孔の径が変化する。より大きい観察像の視野を必要とする場合は隔壁351の厚みを大きくする。厚みが小さい場合に比べて、イオンビーム15による差動排気孔352の加工時間が長くなるが、その分同じアスペクト比でも差動排気孔352の径を大きくし、その結果観察像の視野を広げる事が出来る。
図3は、イオンビーム装置の真空室とその近傍を拡大した図面である。図3のように、差動排気孔352の径を小さく保ったまま、観察像の視野を広げたい場合は、図示したように、相対位置が移動可能な試料室3及び真空容器35を構成してもよい。この場合、相対位置を制御する移動制御部を有する。イオンビーム15を用い隔壁351に差動排気孔352を加工した後、隔壁351及び差動排気孔352をイオンビーム15に対して、すなわちガス電界電離イオン源1、及びビーム照射系カラムに対して隔壁固定機構354を用いて固定し、試料31のほうを動かして走査(矢印38)することにより、イオンビームの照射点と試料の観察・加工位置との相対位置を移動させることができる。そして、試料に起因する荷電粒子を検出することにより観察像を得れば差動排気孔352の径の大きさにかかわらず観察像の視野を広げる事が出来る。
隔壁351を固定し試料31を走査するために、図3のように容器35の側壁を可動性のある部材355で構成してもよい。可動性のある部材355の具体的な例として例えば金属製のベローズがあげられる。また図4のように、真空容器下部を隔壁351との間の真空シール面358で滑らすことにより内部の気密を保ちながら走査を実行してもよい。
差動排気孔の径を小さく保ったまま、観察像の視野を広げる方法は図3と図4を用いて説明したが、図5に説明する方法を用いてもよい。第2偏向器24で偏向されるイオンビームは偏向時にほとんど位置を変えない支点を持つ。第2偏向器24を上下2段の電極を持つ偏向器とすれば、上記の支点を第2偏向器の内部ではなく下部とすることも可能である。
図5のように差動排気孔356をイオンビームの走査の支点357の近傍に置けば差動排気孔356の径以上の観察像の視野359を得る事ができる。イオンビーム走査の支点は対物レンズ26の主面近傍に置くとビーム偏向による収差を低減することができる。
この手法によると二次粒子検出器33を含む試料室3の圧力を増大させることになるが、例えばイオンビーム照射によって試料31から放出される二次電子が試料表面の放出点から、二次粒子検出器33にいたる経路でガス分子に衝突することによって検出される電子の量が増幅されるように、試料31と二次粒子検出器33との距離や、試料室3内に導入するガス種などを構成してもよい。
試料から放出される二次粒子は二次粒子検出器33で検出するが、検出する前に、隔壁351や差動排気孔352の側壁に二次粒子が衝突し検出が阻害される可能性がある。これを防止し二次粒子の検出効率を良好に保つために試料31や隔壁351、もしくは差動排気孔352の周辺に電場、または磁場を発生させる構成にしてもよい。
例えば図6のように、容器35の側壁に電磁コイル39を設置し、磁力線391が差動排気孔の孔の方向に水平になるよう磁場を発生させれば、二次粒子として想定される二次電子はその磁力線に巻きつくように上方に上がっていくため、差動排気孔の側壁に衝突する二次電子の量を減少させることが可能である。また補助的に試料ステージ32に電圧を印加できるように構成し試料31付近に電場を発生させてもよい。
1…ガス電界電離イオン源、11…エミッタティップ、12…イオンが通過する開口部、13…引出電極、14…イオン化室外壁、15…イオンビーム、16…イオン源真空排気用ポンプ、17…イオン化室、2…ビーム照射系カラム、21…集束レンズ、22…アパーチャ、23…第1偏向器、24…第2偏向器、26…対物レンズ、27…真空ポンプ、3…試料室、31…試料、32…試料ステージ、33…二次粒子検出器、34…真空ポンプ、35…真空容器、351…隔壁、352…差動排気孔、353…接続孔、354…隔壁固定機構、355…可動性のある部材、356…差動排気孔、357…イオンビーム走査の支点、358…真空シール面、359…観察像の視野、36…試料準備室、361…ゲートバルブ、362…直線導入機、37…ガス導入機構、371…ガスボンベ、372…ガスライン、373…弁、374…流量調整手段、38…走査、39…電磁コイル、391…磁力線、4…冷却機構、41…冷凍機本体、411…圧縮機ユニット、42…冷凍機用の配管、43…ガスライン、431…ガスボンベ、432…真空ポンプ、433…弁、434…流量調整手段、44…ガスライン、441…ガスボンベ、443…弁、6…装置架台、61…防振機構、62…ベースプレート

Claims (10)

  1. イオンビームを生成するイオン源と、
    前記イオン源が設置された真空室と、
    前記真空室を減圧する排気部と、
    前記減圧された第1の真空度よりも低い第2の真空度において、前記イオンビームが照射される試料を設置する試料室と、を有し、
    前記真空室から前記試料室へ前記イオンビームが通過し、かつ前記第1の気圧から前記第2の気圧へ変化する経路上に、アスペクト比200以上の孔が形成されたことを特徴とするイオンビーム装置。
  2. 請求項1に記載のイオンビーム装置において、
    前記孔はアスペクト比400以上であることを特徴とするイオンビーム装置。
  3. 請求項1に記載のイオンビーム装置において、
    前記孔は前記イオン源によるイオンビームの照射によって形成された孔であることを特徴とするイオンビーム装置。
  4. 請求項1に記載のイオンビーム装置において、
    前記試料室を移動させ、前記孔に対する相対位置を制御する移動制御部を有することを特徴とするイオンビーム装置。
  5. 請求項1に記載のイオンビーム装置において、
    前記イオン源は電界電離イオン源であることを特徴とするイオンビーム装置。
  6. 請求項1に記載のイオンビーム装置において、
    前記イオンビームの走査支点は前記孔の近傍であることを特徴とするイオンビーム装置。
  7. 請求項1に記載のイオンビーム装置のうち、
    前記試料室の隔壁の一部が紫外光、可視光、赤外光いずれかの領域の電磁波を透過可能な膜で構成され、前記試料の表面が光学的に前記試料室の外側から観測可能であることを特徴とするイオンビーム装置。
  8. 請求項1に記載のイオンビーム装置において、
    前記試料近傍に磁界、または電界を印加する印加部を有するイオンビーム装置。
  9. 観察する試料を容器に密閉するステップと、
    容器に封入された観察試料を試料室に導入する導入ステップと、
    前記容器の一部を加工し孔を作製する作製ステップと、
    イオンビームを前記作製した孔を通して前記観察試料に照射するステップと、
    前記観察試料に起因する荷電粒子を検出する検出ステップと、を含む試料観察方法。
  10. 請求項9に記載の試料観察方法において、
    前記観察試料近傍に磁界、または電界を印加する印加ステップを有する試料観察方法。
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