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JP6289218B2 - PPARα活性組成物の活性化方法 - Google Patents
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本発明は、本発明は、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(peroxisome proliferator−activated receptor:PPAR)活性組成物の活性化方法として特にPPARα活性組成物の活性化方法に関する。
PPARは、ステロイド受容体、レチノイド受容体やサイロイド受容体等と同様、核内受容体スーパーファミリーに属するリガンド依存性の転写因子であり、これまでに組織分布を異にする三種のアイソフォーム(α型、δ(またはβ)型、γ型)がヒトをはじめ種々の動物種で同定されている(非特許文献1を参照)。この内PPARαは、脂肪酸の異化能の高い肝臓や腎臓、骨格筋等に発現しており、特に肝臓において高発現が認められ(非特許文献2を参照)、脂肪酸の代謝や細胞内輸送に関連する遺伝子(たとえば、アシルCoA合成酵素、脂肪酸結合タンパク質やリポ蛋白リパーゼなど)およびコレステロールや中性脂質の代謝に関連するアポリポ蛋白(AI、AII、CIII)遺伝子の発現を正または負に制御している。PPARδは、神経細胞を中心として生体内各組織に普遍的に発現している。現時点ではPPARδの生理的意義については不明である。PPARγは、脂肪細胞に高発現していて脂肪細胞の分化に関与している(非特許文献3を参照)。このようにPPARの各アイソフォームは特定の臓器や組織において特異的な機能を果たしている。
このようなPPAR活性組成物が、イネ科植物に含有されていることは知られており、具体的にモロコシ属植物に含まれているPPAR活性組成物の抽出物は特許文献1に記載されている。ところが、一般に、同じ科に属する植物であっても、属が異なる植物が、同種の活性物質を生産するとしても、その活性物質が、他の属の植物から得られた活性物質と同等の活性を有するとは限らず、また、何らかの要因で活性が阻害されている場合もありえる。そのため、このような活性物質を探索する場合には、植物ごとに特有の抽出手法、分離手法を開発しなければならないことも多く、容易に活性物質を開発することができるわけではない。
そこで、本発明者らは、簡易な手法で効率よく得ることができるペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)活性組成物を提供することを目的としてサトウキビ由来のPPAR組成物を先に見出している(特許文献2)。
特開2004−161656号公報 特開2013−193987号公報
Proceedings of the National Academy of Sciences, 1992年, 89巻, 4653〜4657頁 Endocrinology, 1996年, 137巻, 354〜366頁 Journal of Lipid Research, 1996年, 37巻, 907〜925頁
しかし、特許文献2の構成によると、上記サトウキビ由来PPAR組成物には、阻害物質が含まれることがわかっており、その阻害物質により、PPAR組成物の活性が抑制されているため、この阻害物質を有効に低減させ、PPAR組成物の活性を向上することが求められる。
そこで、本発明の目的は、上記サトウキビ等イネ科植物由来PPAR組成物に含まれる阻害物質を効率よく除去し、活性の高いPPAR組成物を得る点にある。
〔構成1〕
そこで、上記課題を解決するための本発明の特徴構成は、サトウキビ、ソルガム、トウモロコシから選ばれるいずれかのイネ科植物の梢頭部を、アセトンを含む抽出溶媒により抽出して得られるイネ科植物抽出物を主成分とするPPARα活性組成物の活性化方法であって、前記イネ科植物抽出物を炭素吸着材に接触させる工程を含む点にある。
〔作用効果1〕
上記目的のため本発明者等は、鋭意研究の結果、サトウキビおよびソルガムに充分高いPPAR活性物質が含まれていることを明らかにした(特許文献2参照)。特に、サトウキビでは、製糖過程で捨てられている梢頭部からアセトンを含む抽出溶媒により抽出した抽出液にPPARα活性を見出した。
なお、本発明でいうPPAR活性物質とは、PPARのリガンド結合領域に結合する能力(活性)を有する化合物を含む物質であり、PPAR活性組成物とは、このような物質を成分として含有し、上記活性を備えた組成物をさす。PPARリガンド活性は、たとえば、PPARリガンド結合領域とGAL4との融合タンパクに対する結合をルシフェラーゼの発現で評価するレポーター・アッセイ(Cell,1995年,83巻,803〜812頁)や、PPARリガンド結合領域を含むタンパクを用いたコンペティション・バインディング・アッセイ(Cell,1995年,83巻,813〜819頁)などにより測定することができる。これらのアッセイにおいて、サンプルの活性は一般に溶媒対照と比較し、溶媒対照よりも高い活性を示し、なおかつ用量依存性が認められるサンプルを「PPAR活性あり」と評価する。
また、得られたイネ科植物抽出液には、活性阻害物質を含有していることがわかっている。PPAR活性物質については、物質として構造決定されているものもあるが、実際には活性だけが確認され、構造不明なものも多く、活性阻害物質についても、どのようなPPAR活性物質に対して、どのような構造の物質が活性阻害物質として働くのかは明らかになっていない。
しかし本発明者らが鋭意研究した結果、PPARα活性物質が活性阻害物質と共存するPPARα活性組成物に炭素吸着材を作用させると、PPARα活性組成物のPPARα活性が向上することを見出した。これは、活性阻害物質が炭素吸着材に対して不安定であるか、吸着性が高いのに対し、PPARα活性物質が活性阻害物質に比べて炭素吸着材に対して安定で、吸着しにくいという性質を有していることによると考えられる。この性質を利用することにより、イネ科植物抽出液中から活性阻害物質を除去することができるので、PPARα活性物質の活性が有効に引き出せる。
尚、炭素吸着材としては、多孔質グラファイトカーボン、活性炭、炭素分子ふるい等の種々公知の炭素系材料が利用でき、PPAR活性物質、活性阻害物質に対して同様に作用するものと考えられる。
ネ科植物として、サトウキビ、ソルガム、トウモロコシを対象としてPPAR活性物
質を抽出する場合、その梢頭部を抽出することによってPPAR活性物質が有効に抽出で
きる。この梢頭部は、たとえばサトウキビにおいては精糖工程で最初に廃棄される部分で
あり、資源としては容易に確保することができるものである。また、単純に廃棄される廃
棄物から、PPAR活性組成物を抽出することができれば、廃棄物の有効利用を図ること
ができるとともに、廃棄にかかるエネルギーコストの節約につながる。
なお、梢頭部とは、植物の成長する尖端部で、サトウキビであれば、先端から二節程度の糖度の低い部分をさす。サトウキビの梢頭部は、通常廃棄処分されている。
上記PPAR活性物質は、PPARα、PPARβ、PPARγいずれも含むが、現状で最も用途が確立している物質がPPARα活性物質である。そこで、後述の実施形態より、サトウキビ、ソルガム、トウモロコシから選ばれるいずれかのイネ科植物の梢頭部をアセトンを含む抽出溶媒により抽出した場合に、特にPPARα活性物質が効率よく抽出される。
PPARα活性を有する画分を得ることにより、PPARα活性物質を単離同定し、より活性を高めて利用することができる可能性があり、物質単位にまで単離するまでもなく、PPAR活性組成物として、より活性の高い状態で使用することが可能となる。
〔構成
また、前記イネ科植物抽出物をクロマトグラフ法により分離し、PPARα活性阻害物質を除去する工程を含むことが好ましい。
〔作用効果
前記抽出物のPPARα活性を有する画分を、クロマトグラフ法により分離することにより、PPARα活性組成物を活性阻害のない高活性な状態で利用することができるようになる。
なお、クロマトグラフ法によりPPAR活性阻害物質を除去する工程は、炭素吸着材に接触させる工程に先立って行ってもよいし、炭素吸着材に接触させる工程の後に行ってもよい。いずれの場合であってもPPAR活性阻害物質を除去してPPAR活性組成物を高活性な状態とすることができる。
したがって、サトウキビ等の廃材から少量で有効となるPPARα活性成分を得ることができ、メタボリックシンドローム改善の健康食品や飲料および医薬品としての活用が可能となる。
カラム分離工程後の各画分のPPARα活性を示すグラフ
以下に、本発明のPPAR活性組成物を説明する。なお、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
〔PPAR活性組成物の抽出〕
サトウキビの梢頭部を、アセトンを含む抽出溶媒により抽出し(抽出工程)、得られた抽出成分を炭素吸着材に接触させる(吸着工程)さらに、クロロホルム、メタノール混合溶媒を溶出液としたクロマトグラフ法により分離する(カラム分離工程)。これにより、高メタノール溶媒抽出画分として、PPAR活性組成物を抽出することができる。
<抽出工程>
サトウキビ梢頭部を選別し、十分に乾燥させたものを細断、粉砕して抽出用試料を得た。試料20gを70%アセトン400mLに懸濁し、室温で16時間撹拌した後遠心分離して上清を回収した。さらに70%アセトン200mLに懸濁し、遠心分離して上清を回収する操作を10回繰り返し、すべての上清を併せて抽出液とした。抽出液は減圧下で濃縮し、10回分(サトウキビ梢頭部200g分)をまとめて300mlまで濃縮し、アセトンを除去した後、ジエチルエーテル200mlで2回抽出し、減圧下で濃縮乾固させ、2.43gの抽出物(イネ科植物抽出物)を得た。抽出物をクロロホルム20mLに溶解し、PPAR活性組成物を含有する抽出液を得た。
<吸着工程>
得られた抽出液0.5mlを下記グラファイトカーボンカラムに添加した後、さらにメタノール20mLにて溶出させ、溶出液を濃縮乾固して抽出物を得た。
得られた抽出物を、使用した抽出液0.5mLあたり5mLのクロロホルムに溶解し、PPAR活性組成物を含有する抽出液とした。
(グラファイトカーボンカラム)
カラムサイズ:φ12mm × 0.5cm、
充填剤:SampliQ Carbon SPE(アジレント社製炭素吸着材)
性状:非多孔質
比表面積:100m2/g
粒径:37〜125μm
使用量:500mg、
充填溶媒:メタノール
尚、ここでは、グラファイトカーボンは非多孔質のものを採用している。この場合、比表面積は十分大きく、多孔質のものを用いるのに比べてPPAR活性組成物の低分子量化合物の非特異的吸着が排除される点で好ましいと考えられる。
また、グラファイトカーボンの粒径は、小さすぎると、圧力損失が大きくなり溶出速度が遅くなり、大きすぎると溶出速度が速くなり除去効率が落ちるから、30〜400μmが好ましい。
<カラム分離工程>
前記抽出液1.0mLを10倍希釈した後、1.0mLを下記シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて表1記載の溶媒を用いて21画分に分離した。各画分は濃縮乾固後、DMS0100μLに溶解し、抽出液とした。
(シリカゲルカラム)
カラムサイズ:φ12mm × 3cm、
充填剤:シリカゲル 60N(関東化学社製シリカゲル)
性状:球状、中性、
粒径:40−50μm
使用量:2.0g、
充填溶媒:クロロホルム
Figure 0006289218
〔PPAR活性〕
各画分についてPPARα活性を調べた結果を図1(グラファイトカーボンカラム処理)に示す。併せて、吸着工程を行うことなく、カラム分離工程を行って得られた抽出液(未処理)についての各画分のPPARα活性を示す。活性はEnBio RCAsforppARa(藤倉化成製)を用いて測定した。結合活性は、陽性対照物質GW7467(終濃度 500nM)の活性を100とした場合の相対活性(%)で表した。
その結果、第11画分(図中Fr.11、以下同様に対応して記載する)付近でPPARα活性が高く、表2に示す濃縮乾固された各画分の重量分布からも、活性の高い物質は、主に第7画分〜第15画分付近で溶出していることがわかる。
Figure 0006289218
ここで、図1を参照すると、第13〜第15画分のPPARα活性が、吸着工程により、大きく向上していることがわかる。全体としては、吸着工程の有無でPPARα活性が約3倍に向上していることが別途確認されている。すなわち、重量分布からはPPARα活性の高い物質が存在すると推定されるにもかかわらずPPARα活性が低い第13〜第15画分については、吸着工程を行わない場合に、何らかの物質による活性阻害が生じていることが予想され、吸着工程により、その物質が除去されているものと考えられる。また、同様に、他の画分にも活性阻害物質が含まれていることが考えられるが、他の画分に活性阻害物質が含まれていたとしても、その阻害物質が、カラム分離工程により有効に除去されることが明らかである。
したがって、イネ科植物抽出物をクロマトグラフ法により分離するカラム分離工程だけでは分離できない溶出成分を、炭素吸着材に接触させる吸着工程により有効に除去することができることがわかった。
なお、吸着工程後の第11画分のLC/MS分析を行ったところ、既知のPPARα活性物質から生じるフラグメントピークが観測されないことから、今般抽出されたPPARα活性物質は、PPARα活性物質としては未知の物質であることが明らかになっている。また、阻害物質も未知であることから、炭素吸着材による吸着工程が活性向上に有用であることを見出した点については、今後イネ科植物抽出物を主成分とするPPAR活性組成物を利用するうえで有用である。
〔その他〕
上記実施例においては、吸着工程を行う場合にグラファイトカーボンを用いたが、一般的にグラファイトカーボンはカラムの充填剤として用いられ、種々物質に対する吸脱着性能を発揮するものと考えられる炭素質材料であるから、これに限らずグラファイトカーボンと同様の吸脱着性能を発揮するたとえば活性炭、モレキュラーシーブカーボン等の炭素質材料からなる炭素吸着材を用い、イネ科植物抽出物を炭素吸着材に接触させる吸着工程を行うことで同様の効果が期待できることが明らかである。
また、イネ科植物としてサトウキビを用いたが同じイネ科の植物であれば同様のPPAR活性物質および阻害物質を含有していることが明らかであるので、ソルガム等他のイネ科植物を利用することも有効である。
また、イネ科植物抽出物を炭素吸着材に接触させる吸着工程はクロマトグラフ法により分離し、PPAR活性阻害物質を除去するカラム分離工程の前に行ったが、吸着工程とカラム分離工程とは必ずしもこの順で行う必要はなく、逆に行ってもよい。また更に、本発明は、その他の分離工程を含むことを妨げるものではない。
したがって、サトウキビ廃材等からより活性の高いPPARα活性成分を得ることができ、たとえば、メタボリックシンドローム改善の健康食品や飲料および医薬品としての活用が可能となる。

Claims (2)

  1. サトウキビ、ソルガム、トウモロコシから選ばれるいずれかのイネ科植物の梢頭部を、アセトンを含む抽出溶媒により抽出して得られるイネ科植物抽出物を主成分とするPPARα活性組成物の活性化方法であって、前記イネ科植物抽出物を炭素吸着材に接触させる工程を含むPPARα活性組成物の活性化方法。
  2. 前記イネ科植物抽出物をクロマトグラフ法により分離し、PPARα活性阻害物質を除去する工程を含む請求項1に記載のPPARα活性組成物の活性化方法。
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