実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図1及び図15(B)を用いて説明する。
本発明の一態様の発光装置は、有機EL素子と、酸化物半導体を用いた、該有機EL素子の駆動用トランジスタと、を備え、該酸化物半導体には、該有機EL素子が発する光が照射される構成である。
本発明の一態様の発光装置では、有機EL素子の駆動用トランジスタとして、ゲートに印加される電位がソースの電位よりも高い場合に、以下の2つの特性を有するnチャネル型トランジスタを用いる。1つは、閾値電圧がプラス側に変動する(閾値電圧がマイナス側に変動しない)特性である。もう1つは、酸化物半導体に有機EL素子が発する光を照射することで、光を照射しない場合に比べて該閾値電圧の変化が抑制される特性である。
上記トランジスタが備える酸化物半導体に有機EL素子が発する光を照射することで、光の照射条件によらず、光を照射しない場合に比べて、該トランジスタの閾値電圧の変化を抑制することができる。
なお、上記特性を有するトランジスタは、有機EL素子の駆動用トランジスタ以外にも適用できる。例えば、本発明の一態様の発光装置の画素部に含まれるトランジスタ(スイッチング用トランジスタ等)に上記特性を有するトランジスタを用い、有機EL素子の光を酸化物半導体に照射する構成としてもよい。また、発光装置や表示装置の駆動回路部に含まれるトランジスタに上記特性を有するトランジスタを用い、有機EL素子の光を酸化物半導体に照射する構成としてもよい。また、酸化物半導体に照射する光として、有機EL素子の光以外を用いてもよい。
図1(A)に本発明の一態様の発光装置の平面図を示す。本発明の一態様の発光装置は、基板101上に、画素部4502、信号線駆動回路4503、走査線駆動回路4504、及びFPC4505を有する。基板101及び基板115は、封止材4506で貼り合わされている。
封止材4506としては、熱硬化樹脂、又は光硬化樹脂などの有機樹脂や、低融点ガラス(ガラスフリット等)などを用いることができる。また、封止材4506に乾燥剤が含まれていてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることができる。その他の乾燥剤として、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、封止領域内の水分などの不純物を低減し、発光素子の信頼性が向上するため好ましい。
基板101上には、駆動回路に外部からの信号(ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC4505(Flexible Printed Circuit)を設ける例を示している。なお、FPC4505にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていてもよい。本明細書における発光装置は、発光装置本体だけでなく、発光装置本体にFPC又はPWBが取り付けられた状態のものも範疇に含むものとする。
信号線駆動回路4503及び走査線駆動回路4504は、トランジスタを複数有する。信号線駆動回路4503及び走査線駆動回路4504には、種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路を用いることができる。本実施の形態では、画素部が形成された基板上に駆動回路が形成されたドライバー一体型を示すが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、画素部が形成された基板とは別の基板に駆動回路を形成することもできる。
画素部4502は、スイッチング用トランジスタと、駆動用トランジスタと、該駆動用トランジスタの配線と電気的に接続された画素電極(第1の電極)を備える発光素子と、を有する。
画素部4502が備える画素構成の一例を図15(B)に示す。図15(B)では、1つの画素4501にnチャネル型のトランジスタを2つ用いる例を示す。
画素4501は、スイッチング用トランジスタ151、駆動用トランジスタ105、発光素子117、及び容量素子153を有する。
スイッチング用トランジスタ151では、ゲートが走査線157に接続され、第1の電極(ソース電極又はドレイン電極の一方)が信号線155に接続され、第2の電極(ソース電極又はドレイン電極の他方)が駆動用トランジスタ105のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ105では、ゲート電極が容量素子153を介して電源線159に接続され、第1の電極が電源線159に接続され、第2の電極が発光素子117の第1の電極(画素電極)に接続されている。発光素子117の第2の電極は共通電極158に相当する。共通電極158は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
なお、発光素子117の第2の電極(共通電極158)には低電源電位が設定されている。なお、低電源電位とは、電源線159に設定される高電源電位を基準にして低電源電位<高電源電位を満たす電位であり、低電源電位としては例えばGND、0Vなどが設定されていてもよい。この高電源電位と低電源電位との電位差を発光素子117に印加して、発光素子117に電流を流して発光素子117を発光させるため、高電源電位と低電源電位との電位差が発光素子117の順方向閾値電圧以上となるようにそれぞれの電位を設定する。
なお、容量素子153は駆動用トランジスタ105のゲート容量を代用して省略することも可能である。駆動用トランジスタ105のゲート容量については、チャネル領域とゲートとの間で容量が形成されていてもよい。
ここで、電圧入力電圧駆動方式の場合には、駆動用トランジスタ105のゲートには、駆動用トランジスタ105が十分にオンするか、オフするかのいずれかの状態となるようなビデオ信号を入力する。つまり、駆動用トランジスタ105は線形領域で動作させる。駆動用トランジスタ105は線形領域で動作させるため、電源線159の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ105のゲートにかける。なお、信号線155には、(電源線電圧+駆動用トランジスタ105の閾値電圧Vth)以上の電圧をかける。
また、上述のデジタル時間階調駆動に代えて、アナログ階調駆動を行う場合、異なる信号を入力することで、図15(B)と同じ画素構成を用いることができる。
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ105のゲートに(発光素子117の順方向電圧+駆動用トランジスタ105のVth)以上の電圧をかける。発光素子117の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向閾値電圧よりも大きい。なお、駆動用トランジスタ105が飽和領域で動作するようなビデオ信号を入力することで、発光素子117に電流を流すことができる。駆動用トランジスタ105を飽和領域で動作させるため、電源線159の電位は、駆動用トランジスタ105のゲート電位よりも高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子117にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
なお、画素構成はこれに限定されない。例えば、図15(B)に示す画素4501にさらにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ又は論理回路などを追加してもよい。
図1(A)における一点鎖線A−B間の断面図の一例を図1(B)乃至(D)に示す。
本発明の一態様の発光装置が備える有機EL素子は、駆動用トランジスタが備える酸化物半導体膜に光を照射できる構造であれば、構造は特に限定されない。例えば、図1(B)では、発光装置がボトムエミッション構造(下面射出構造)の発光素子117を備える構成を示し、図1(C)では、発光装置がトップエミッション構造(上面射出構造)の発光素子127a及びデュアルエミッション構造(両面射出構造)の発光素子127bを備える構成を示す。なお、有機EL素子の構成例は、実施の形態3で詳述する。
また、本発明の一態様の発光装置は、カラーフィルタ方式、塗り分け方式、色変換方式のいずれを適用してもよい。図1(B)では、塗り分け方式を適用した発光装置を示し、図1(C)(D)では、カラーフィルタ方式を適用した発光装置を示す。
図1(B)乃至(D)に示す発光装置は、それぞれ、基板101上に下地膜103が設けられ、下地膜103上に駆動用トランジスタ105が設けられている。駆動用トランジスタ105は、ゲート電極15、ゲート絶縁膜18、酸化物半導体膜20、及び一対の電極21(ソース電極及びドレイン電極)を有する。駆動用トランジスタ105上には、該トランジスタを覆う保護膜107及び平坦化膜109が設けられている。
図1(B)では、信号線駆動回路4503に駆動用トランジスタ105と同様の構成のトランジスタを適用する例を示すが、信号線駆動回路4503に備えるトランジスタの構成は特に限定されない。
FPC4505と電気的に接続する配線は、発光装置を構成する導電膜のいずれかと同一工程、同一材料で作製することが好ましい。図1(B)では、第1の電極131と同じ工程、同じ材料で形成された配線4507aを備える構成を示す。図1(C)では、駆動用トランジスタ105のゲート電極15と同じ工程、同じ材料で形成された配線4507bを備える構成を示す。図1(D)では、駆動用トランジスタ105の一対の電極21と同じ工程、同じ材料で形成された配線4507cを備える構成を示す。
図1(B)では、平坦化膜109上に発光素子117が設けられている。発光素子117は、第1の電極131、EL層133、及び第2の電極135を有する。第1の電極131は、一対の電極21の一方と電気的に接続している。第1の電極131の端部は隔壁111で覆われている。
発光素子117は、ボトムエミッション構造である。第1の電極131は可視光を透過する材料で形成されている。第2の電極135は、可視光を反射する材料で形成されている。
発光素子117の発光領域は、駆動用トランジスタ105が備える酸化物半導体膜20と重なる。よって、発光素子117の発する光を酸化物半導体膜20に照射することができる。
駆動用トランジスタ105は、ゲート電極15に印加される電位がソース電極の電位よりも高い場合に、閾値電圧がプラス側に変動する(閾値電圧がマイナス側に変動しない)特性を有する。かつ、駆動用トランジスタ105は、ゲート電極15に印加される電位がソース電極の電位よりも高い場合に、酸化物半導体膜20に発光素子117が発する光を照射することで、該光を照射しないときに比べて該閾値電圧の変化が抑制される特性を有する。
駆動用トランジスタ105が備える酸化物半導体膜20に発光素子117が発する光を照射することで、光の照射条件によらず、光を照射しない場合に比べて、駆動用トランジスタ105の閾値電圧の変化を抑制することができる。
上記特性を備える駆動用トランジスタ105及び該トランジスタの保護膜107の具体的な構成や作製方法の一例は、実施の形態2で詳述する。
図1(C)では、平坦化膜109上に発光素子127a及び発光素子127bが設けられている。
発光素子127aはトップエミッション構造であり、第1の電極(可視光を透過する導電膜141a及び可視光を反射する導電膜141b)、EL層143、及び第2の電極145を有する。第1の電極は、一対の電極21の一方と電気的に接続している。第1の電極の端部は隔壁111で覆われている。第2の電極145は、可視光を透過する材料で形成されている。
発光素子127bは、デュアルエミッション構造であり、第1の電極(可視光を透過する導電膜141a)、EL層143、及び第2の電極145を有する。第1の電極は、一対の電極21の一方と電気的に接続している。第2の電極145は、可視光を透過する材料で形成されている。
発光素子127bの発光領域は、駆動用トランジスタ105が備える酸化物半導体膜20と重なる。よって、発光素子127bの発する光を酸化物半導体膜20に照射することができる。
駆動用トランジスタ105は前述の特性を有するため、駆動用トランジスタ105が備える酸化物半導体膜20に発光素子127bが発する光を照射することで、光の照射条件によらず、光を照射しない場合に比べて、駆動用トランジスタ105の閾値電圧の変化を抑制することができる。
図1(C)に示す基板115上には、発光素子127a及び発光素子127bの発光領域と重なる領域に、カラーフィルタ119が設けられている。また、基板115上には、発光素子127a及び発光素子127bの発光領域と重ならない領域にブラックマトリクス118が設けられている。さらにブラックマトリクス118は信号線駆動回路4503に設けられていてもよい。
図1(C)に示す発光装置では、さらに、基板101及び基板115の間隔を調整するスペーサや、有機EL素子の上部電極(第2の電極145)と電気的に接続する補助配線を隔壁111上に設けてもよい。
また、発光素子127bの発光を取り出さない場合は、図1(D)に示すように、カラーフィルタ119を、発光素子127aの発光領域のみに重ねて形成すればよい。このとき、ブラックマトリクス118を、発光素子127bの発光領域と重ねて形成すればよい。
また、図1(D)に示すように、発光素子127bの発光領域において、第2の電極145上に接して遮光膜147を設けてもよい。遮光膜147は、少なくとも発光素子127aの発光領域と重ならなければよく、隔壁111上に形成されていてもよい。遮光膜147と第2の電極145が重なる領域では、発光素子127bの発光が、下面射出となる。
遮光膜147は、可視光の反射率が高い材料で形成することが好ましい。遮光膜147は、絶縁膜であっても導電膜であってもよいが、導電膜を用いることが好ましい。第2の電極145に比べて抵抗が低い遮光膜147を形成することで、遮光膜147を第2の電極145の補助配線として用いることができる。例えば、銀は、可視光の反射率が高く、かつ、抵抗が低いため、遮光膜147として好適に用いることができる。遮光膜は、スパッタリング法や蒸着法等を用いて形成することができる。特に、EL層へのダメージを低減できるため、蒸着法等を用いることが好ましい。
本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、前述の通り、有機EL素子、有機EL素子の駆動用トランジスタ、及び該駆動用トランジスタの保護膜については、実施の形態2、3にて詳述する。
[基板]
基板101及び基板115としては、少なくとも作製工程中の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する材料を用いる。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を用いることができる。また、シリコンや炭化シリコン等の単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能である。
また、基板101として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、下地膜103や駆動用トランジスタ105を形成してもよい。また、基板101と下地膜103の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に素子を一部あるいは全部完成させた後、基板101より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、駆動用トランジスタ105は耐熱性の劣る基板や可撓性基板にも転載できる。
[下地膜]
下地膜103は、必要で無ければ設けなくてもよいが、駆動用トランジスタ105の特性安定化等のため、設けることが好ましい。下地膜103としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜等を用いることができる。なお、窒化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化アルミニウム膜等を用いることで、基板101から不純物(代表的にはアルカリ金属、水、水素等)が酸化物半導体膜20へ拡散することを抑制できる。なお、本明細書中において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指す。
[平坦化膜]
平坦化膜109としては、トランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を有する絶縁膜を選択するのが好適である。例えば、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン系樹脂等の有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化膜109を形成してもよい。
[隔壁]
隔壁111としては、有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
[空間]
空間113は、希ガスもしくは窒素ガスなどの不活性ガス、又は有機樹脂などの固体で充填されていてもよく、減圧雰囲気であってもよい。また、空間113に、乾燥剤を有していてもよい。
[カラーフィルタ、ブラックマトリクス]
カラーフィルタは、有機EL素子からの発光色を調色する目的で設けられる。例えば、白色発光の発光素子を用いてフルカラーの発光装置とする場合には、それぞれ異なる色のカラーフィルタと重なる複数の有機EL素子を用いる。その場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色を用いてもよいし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもできる。
ブラックマトリクスは、隣接するカラーフィルタの間に設けられている。ブラックマトリクスは、有機EL素子からの発光を遮光する材料を用いることができ、金属や、有機樹脂などの材料を用いて形成することができる。なお、ブラックマトリクスは、駆動回路部などの画素部以外の領域に設けてもよい。
また、カラーフィルタ及びブラックマトリクスを覆うオーバーコート層を設けてもよい。オーバーコート層を設けることで、カラーフィルタに含有された不純物等の有機EL素子への拡散を防止することができる。オーバーコート層は、有機EL素子からの発光を透過する材料から構成され、例えば窒化シリコン、酸化シリコン等の無機絶縁膜や、アクリル、ポリイミド等の有機絶縁膜を用いることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置に用いることができる駆動用トランジスタ及び該トランジスタの保護膜について図2乃至図4を用いて説明する。
本実施の形態で示すトランジスタは、ゲートに印加される電位がソースの電位よりも高い場合に、以下の2つの特性を有するnチャネル型トランジスタである。1つは、閾値電圧がプラス側に変動する(閾値電圧がマイナス側に変動しない)特性である。もう1つは、酸化物半導体に有機EL素子が発する光を照射することで、光を照射しない場合に比べて該閾値電圧の変化が抑制される特性である。
図2(A)にトランジスタの平面図を示す。図2(A)の一点鎖線C−D間の断面図を図2(B)に示し、一点鎖線E−F間の断面図を図2(C)に示す。なお、図2(A)では、明瞭化のため、トランジスタの構成要素の一部(ゲート絶縁膜18等)や、トランジスタを覆う絶縁膜等を省略している。
図2(B)では、基板101上に下地膜103が設けられ、下地膜103上に駆動用トランジスタ105が設けられている。駆動用トランジスタ105は、下地膜103上に設けられたゲート電極15、ゲート電極15を覆うゲート絶縁膜18、ゲート絶縁膜18を介してゲート電極15と重なる酸化物半導体膜20、並びに酸化物半導体膜20に接する一対の電極21(ソース電極及びドレイン電極)を有する。また、駆動用トランジスタ105上には、絶縁膜23及び絶縁膜24で構成される保護膜107が設けられている。
絶縁膜23は、酸化物半導体膜20に接するように設けられている。絶縁膜23は、酸素が拡散する酸化絶縁膜である。なお、ここでの酸素の拡散とは、絶縁膜23を通過して酸化物半導体膜20に酸素が移動することのほか、絶縁膜23に留まる酸素の移動も含まれる。
絶縁膜23として酸素が拡散する酸化絶縁膜を形成すると、絶縁膜23上に設けられる化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜(絶縁膜24)から放出される酸素を、絶縁膜23を介して酸化物半導体膜20に拡散させることができる。
絶縁膜23としては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、好ましくは10nm以上30n以下の酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。
絶縁膜23に接するように絶縁膜24が形成されている。絶縁膜24は化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜である。
絶縁膜24としては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは150nm以上400nm以下の、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。
化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜は、加熱処理により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜である。このため、加熱処理により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜を絶縁膜24として絶縁膜23上に設けることで、酸化物半導体膜20に酸素を拡散させ、酸化物半導体膜20に含まれる酸素欠損を補填することが可能である。又は、基板を加熱しながら絶縁膜24を絶縁膜23上に形成することで、酸化物半導体膜20に酸素を拡散させ、酸化物半導体膜20に含まれる酸素欠損を補填することが可能である。又は、絶縁膜23上に絶縁膜24を形成した後、加熱処理をすることにより、酸素を酸化物半導体膜20に拡散させ、酸化物半導体膜20に含まれる酸素欠損を補填することが可能である。この結果、酸化物半導体膜20に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
酸化物半導体膜20のバックチャネル(酸化物半導体膜20において、ゲート電極15と対向する面と反対側の面)に、酸素が拡散する酸化絶縁膜を介して、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜を設けることで、酸化物半導体膜20のバックチャネル側に酸素を拡散させることが可能であり、当該領域の酸素欠損を低減することができる。
このような構造を有するトランジスタは、ゲート電極に印加される電位がソースの電位よりも高い場合に、閾値電圧がプラス側に変動する(閾値電圧がマイナス側に変動しない)。かつ、ゲート電極に印加される電位がソースの電位よりも高い場合に、酸化物半導体に光を照射することで、光の照射条件によらず、光を照射しない場合に比べて該閾値電圧の変化が抑制される特性を有する。
なお、絶縁膜24の形成工程において、酸化物半導体膜20にダメージが入らない場合は、絶縁膜23を設けず、加熱処理により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜である絶縁膜24のみを保護膜107として設けてもよい(図4(A)のトランジスタ60参照)。
さらに、絶縁膜24上に、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を設けることで、酸化物半導体膜20からの酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜20への水素、水等の侵入を防ぐことができる。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜としては、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化窒化ガリウム膜、酸化イットリウム膜、酸化窒化イットリウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化窒化ハフニウム膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等がある。
ここで、プラスBTストレス試験及び光プラスBTストレス試験おける閾値電圧の変動量が少ないトランジスタの電気特性を、図2(D)を用いて説明する。
BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(即ち、経年変化)を、短時間で評価することができる。特に、BTストレス試験前後におけるトランジスタの閾値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。BTストレス試験前後において、閾値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。
次に、具体的なBTストレス試験方法について説明する。はじめに、トランジスタの初期特性を測定する。次に、トランジスタが形成されている基板の温度(基板温度)を一定に維持し、トランジスタのソース電極及びドレイン電極として機能する一対の電極を同電位とし、該一対の電極とは異なる電位をゲート電極に一定時間印加する。基板温度は、試験目的に応じて適宜設定すればよい。次に、基板の温度を、初期特性を測定したときと同様の温度とし、トランジスタの電気特性を測定する。この結果、初期特性における閾値電圧、及びBTストレス試験後の電気特性における閾値電圧の差を、閾値電圧の変動量として得ることができる。
BTストレス試験の試験強度は、基板温度、ゲート絶縁膜に加えられる電界強度、電界印加時間により決定することができる。ゲート絶縁膜に加えられる電界強度は、ゲートと、ソース及びドレインとの電位差をゲート絶縁膜の厚さで除して決定される。例えば、厚さが100nmのゲート絶縁膜に印加する電界強度を3MV/cmとしたい場合は、ゲートと、ソース及びドレインとの電位差を30Vとすればよい。
図2(D)はトランジスタの電気特性を示す図であり、横軸がゲート電圧、縦軸がドレイン電流である。トランジスタの初期特性が破線41であり、プラスBTストレス試験後の電気特性が実線43である。本実施の形態に示すトランジスタは、閾値電圧がプラス側に変動する(閾値電圧がマイナス側に変動しない)という特性を有する。このため、本実施の形態に示すトランジスタは、プラスBTストレス試験後の電気特性において、閾値電圧がマイナス側に変動しない。即ち、例えば、長期間使用しても、ノーマリーオフのトランジスタがノーマリーオンのトランジスタにはならない。この結果、本実施の形態に示す駆動用トランジスタ105は、信頼性が高いことが分かる。
なお、本明細書において、本発明の一態様で適用する有機EL素子の駆動用トランジスタは、nチャネル型トランジスタであるため、ゲート電圧が0Vの場合、ドレイン電流が流れていないとみなすことができるトランジスタを、ノーマリーオフのトランジスタと定義する。また、ゲート電圧が0Vの場合、ドレイン電流が流れているとみなすことができるトランジスタを、ノーマリーオンのトランジスタと定義する。
さらに、本実施の形態に示すトランジスタは、ゲート電極に印加される電位がソースの電位よりも高い場合、酸化物半導体膜に光を照射することで、光を照射しない場合に比べて該閾値電圧の変化が抑制される。
本実施の形態に示すトランジスタは、nチャネル型トランジスタであるため、有機EL素子の駆動用トランジスタとして用いる場合、有機EL素子が発光するときの該トランジスタのゲート電極に印加される電位はソースの電位よりも高い。よって、酸化物半導体膜に有機EL素子が発する光を照射することで、光の照射条件によらず、光を照射しない場合に比べて、該トランジスタの閾値電圧の変化を抑制することができる。
以下に駆動用トランジスタ105の他の構成の詳細について説明する。
〈ゲート電極〉
ゲート電極15は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、上述した金属元素を成分とする合金、又は上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて単層構造又は積層構造で形成することができる。また、マンガンやジルコニウムを用いてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜又は窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を成膜する三層構造等が挙げられる。
また、ゲート電極15は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
また、ゲート電極15とゲート絶縁膜18との間に、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜、In−Sn系酸窒化物半導体膜、In−Ga系酸窒化物半導体膜、In−Zn系酸窒化物半導体膜、Sn系酸窒化物半導体膜、In系酸窒化物半導体膜、金属窒化膜(InN膜、ZnN膜等)等を設けてもよい。これらの膜の仕事関数は5eV以上(好ましくは5.5eV以上)で、酸化物半導体の電子親和力よりも大きい値であるため、酸化物半導体を用いたトランジスタの閾値電圧をプラスにシフトすることができ、所謂ノーマリーオフの素子を実現できる。例えば、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体膜20より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上のIn−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる。
〈ゲート絶縁膜〉
ゲート絶縁膜18としては、例えば酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化ガリウム膜又はGa−Zn系金属酸化物膜等を単層又は積層することができる。また、ゲート絶縁膜18として、加熱処理により酸素が脱離する酸化絶縁膜を用いてもよい。ゲート絶縁膜18に加熱処理により酸素が脱離する膜を用いることで、酸化物半導体膜20及びゲート絶縁膜18の界面における界面準位を低減することが可能であり、電気特性の劣化の少ないトランジスタを得ることができる。また、ゲート絶縁膜18に、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を設けることで、酸化物半導体膜20からの酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜20への水素、水等の侵入を防ぐことができる。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜としては、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化窒化ガリウム膜、酸化イットリウム膜、酸化窒化イットリウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化窒化ハフニウム膜等が挙げられる。
また、ゲート絶縁膜18として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)膜、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz)膜、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜などのhigh−k材料を含む膜を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
ゲート絶縁膜18の厚さは、5nm以上400nm以下、より好ましくは10nm以上300nm以下、より好ましくは50nm以上250nm以下とするとよい。
〈酸化物半導体膜〉
酸化物半導体膜20に用いる酸化物半導体は、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。又は、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーの一又は複数を有することが好ましい。
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、又はジルコニウム(Zr)等が挙げられる。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が挙げられる。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属酸化物であるIn−Zn系金属酸化物、Sn−Zn系金属酸化物、Al−Zn系金属酸化物、Zn−Mg系金属酸化物、Sn−Mg系金属酸化物、In−Mg系金属酸化物、In−Ga系金属酸化物、In−W系金属酸化物、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn系金属酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系金属酸化物、In−Sn−Zn系金属酸化物、Sn−Ga−Zn系金属酸化物、Al−Ga−Zn系金属酸化物、Sn−Al−Zn系金属酸化物、In−Hf−Zn系金属酸化物、In−La−Zn系金属酸化物、In−Ce−Zn系金属酸化物、In−Pr−Zn系金属酸化物、In−Nd−Zn系金属酸化物、In−Sm−Zn系金属酸化物、In−Eu−Zn系金属酸化物、In−Gd−Zn系金属酸化物、In−Tb−Zn系金属酸化物、In−Dy−Zn系金属酸化物、In−Ho−Zn系金属酸化物、In−Er−Zn系金属酸化物、In−Tm−Zn系金属酸化物、In−Yb−Zn系金属酸化物、In−Lu−Zn系金属酸化物、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系金属酸化物、In−Hf−Ga−Zn系金属酸化物、In−Al−Ga−Zn系金属酸化物、In−Sn−Al−Zn系金属酸化物、In−Sn−Hf−Zn系金属酸化物、In−Hf−Al−Zn系金属酸化物を用いることができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系金属酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、酸化物半導体として、InMO3(ZnO)m(m>0、かつ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素又は複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、In2SnO5(ZnO)n(n>0、かつ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)、あるいはIn:Ga:Zn=3:1:2(=1/2:1/6:1/3)の原子数比のIn−Ga−Zn系金属酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn−Sn−Zn系金属酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、閾値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性及び電気特性を得るために、キャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
例えば、In−Sn−Zn系金属酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系金属酸化物でも、バルク内欠陥密度を低くすることにより移動度を上げることができる。
また、酸化物半導体膜20に形成することが可能な金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
酸化物半導体膜20は、非晶質構造、単結晶構造、又は多結晶構造であってもよい。
酸化物半導体膜20は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部の一以上を有する。非晶質部は、微結晶、CAACよりも欠陥準位密度が高い。また、微結晶は、CAACよりも欠陥準位密度が高い。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。酸化物半導体膜20は、例えばCAAC−OSを有してもよい。CAAC−OSは、例えば、c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃っていない。
酸化物半導体膜20は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を、微結晶酸化物半導体と呼ぶ。微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満のサイズの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を膜中に含む。
酸化物半導体膜20は、例えば非晶質部を有してもよい。なお、非晶質部を有する酸化物半導体を、非晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質酸化物半導体膜は、例えば、完全な非晶質であり、結晶部を有さない。
なお、酸化物半導体膜20が、CAAC−OS、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体の混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、を有する。また、混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、の積層構造を有してもよい。
なお、酸化物半導体膜20は、例えば、単結晶を有してもよい。
酸化物半導体膜は、複数の結晶部を有し、当該結晶部のc軸が被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っていることが好ましい。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。そのような酸化物半導体膜の一例としては、CAAC−OS膜がある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる結晶部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には明確な粒界(グレインバウンダリー)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、例えばc軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向から見て金属原子が三角形状又は六角形状の配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状又は金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸及びb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−10°以上10°以下、好ましくは−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部の結晶性が低下することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状又は表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。また、結晶部は、成膜したとき、又は成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行ったときに形成される。従って、結晶部のc軸は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃う。
CAAC−OS膜は、例えば、多結晶である酸化物半導体スパッタリングターゲットを用い、スパッタリング法によって成膜する。当該ターゲットにイオンが衝突すると、ターゲットに含まれる結晶領域がa−b面から劈開し、a−b面に平行な面を有する平板状又はペレット状のスパッタリング粒子として剥離することがある。この場合、当該スパッタリング粒子が、結晶状態を維持したまま基板に到達することで、CAAC−OS膜を成膜することができる。
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素、及び窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
また、成膜時の基板加熱温度を高めることで、基板到達後にスパッタリング粒子のマイグレーションが起こる。具体的には、基板加熱温度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下として成膜する。成膜時の基板加熱温度を高めることで、平板状のスパッタリング粒子が基板に到達した場合、基板上でマイグレーションが起こり、平らな面が基板に付着する。
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージを軽減することが好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体積%とする。
スパッタリングターゲットの一例として、In−Ga−Zn−O化合物ターゲットについて以下に示す。
InOX粉末、GaOY粉末、及びZnOZ粉末を所定のmol数比で混合し、加圧処理後、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn−Ga−Zn−O化合物ターゲットとする。なお、X、Y及びZは任意の正数である。ここで、所定のmol数比は、例えば、InOX粉末、GaOY粉末、及びZnOZ粉末が、2:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3又は3:1:2である。なお、粉末の種類、及びその混合するmol数比は、作製するスパッタリングターゲットによって適宜変更すればよい。
また、酸化物半導体膜20は、複数の酸化物半導体膜が積層された構造でもよい。例えば、酸化物半導体膜20を、第1の酸化物半導体膜(第1のOS膜)と第2の酸化物半導体膜(第2のOS膜)の積層として、第1のOS膜と第2のOS膜に、異なる組成の金属酸化物を用いてもよい。例えば、第1のOS膜に二元系金属酸化物乃至四元系金属酸化物の一を用い、第2のOS膜に第1の酸化物半導体膜と異なる二元系金属酸化物乃至四元系金属酸化物を用いてもよい。
また、第1のOS膜と第2のOS膜の構成元素を同一とし、両者の組成を異ならせてもよい。例えば、第1のOS膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1とし、第2のOS膜の原子数比をIn:Ga:Zn=3:1:2としてもよい。また、第1のOS膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2とし、第2のOS膜の原子数比をIn:Ga:Zn=2:1:3としてもよい。
この時、第1のOS膜と第2のOS膜のうち、ゲート電極に近い側(チャネル側)の酸化物半導体膜のInとGaの含有率をIn>Gaとするとよい。またゲート電極から遠い側(バックチャネル側)の酸化物半導体膜のInとGaの含有率をIn≦Gaとするとよい。
また、酸化物半導体膜20を3層構造とし、第1の酸化物半導体膜(第1のOS膜)乃至第3の酸化物半導体膜(第3のOS膜)の構成元素を同一とし、かつそれぞれの組成を異ならせてもよい。例えば、第1のOS膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2とし、第2のOS膜の原子数比をIn:Ga:Zn=3:1:2とし、第3のOS膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1としてもよい。
Ga及びZnよりInの原子数比が小さい酸化物半導体膜は、Ga、Zn、及びInの原子数比が同じ酸化物半導体膜及びGa及びZnよりInの原子数比が大きい酸化物半導体膜と比較して、絶縁性が高い。つまり、先に例示した原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2である第1のOS膜は、原子数比がIn:Ga:Zn=3:1:2である第2のOS膜及び原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1である第3のOS膜と比較して、絶縁性が高いといえる。
また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2である第1のOS膜が非晶質構造であると、さらに絶縁性が高まる。これにより、第2のOS膜及び第3のOS膜がチャネル領域として機能し、第1のOS膜はゲート絶縁膜として機能する。
また、第1のOS膜及び第2のOS膜の構成元素は同一であるため、第1のOS膜は、第2のOS膜との界面におけるトラップ準位が少ない(第2のOS膜及び第3のOS膜についても同様である)。このため、酸化物半導体膜20を上記構造とすることで、トランジスタの経時変化や光BTストレス試験による閾値電圧の変動量を低減することができる。
酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、In>Gaの組成となる酸化物はIn≦Gaの組成となる酸化物と比較して高い移動度を備える。また、GaはInと比較して酸素欠損の形成エネルギーが大きく酸素欠損が生じにくいため、In≦Gaの組成となる酸化物はIn>Gaの組成となる酸化物と比較して安定した特性を備える。
チャネル側にIn>Gaの組成となる酸化物半導体を適用し、バックチャネル側にIn≦Gaの組成となる酸化物半導体を適用することで、トランジスタの電界効果移動度及び信頼性をさらに高めることが可能となる。
また、第1のOS膜乃至第3のOS膜に、結晶性の異なる酸化物半導体を適用してもよい。すなわち、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体、又はCAAC−OSを適宜組み合わせた構成としてもよい。また、第1のOS膜乃至第3のOS膜のいずれか一に非晶質酸化物半導体を適用すると、酸化物半導体膜20の内部応力や外部からの応力を緩和し、トランジスタの特性ばらつきが低減され、また、トランジスタの信頼性をさらに高めることが可能となる。
酸化物半導体膜20の厚さは、1nm以上100nm以下、更に好ましくは1nm以上50nm以下、更に好ましくは1nm以上30nm以下、更に好ましくは3nm以上20nm以下とすることが好ましい。
酸化物半導体膜20において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度は、1×1018atoms/cm3以下であることが好ましく、2×1016atoms/cm3以下であることがさらに好ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流の上昇の原因となるためである。
また、酸化物半導体膜20において、二次イオン質量分析法により得られる水素濃度は、5×1018atoms/cm3未満であることが好ましく、1×1018atoms/cm3以下であることがより好ましく、5×1017atoms/cm3以下であることがさらに好ましく、1×1016atoms/cm3以下であることが特に好ましい。
酸化物半導体膜20に含まれる水素が金属原子と結合する酸素と反応して水となると共に、酸素が脱離した格子(あるいは酸素が脱理した部分)には欠損が形成されてしまう。また、水素の一部が酸素と結合することで、キャリアである電子が生じてしまう。これらのため、酸化物半導体膜の成膜工程において、水素を含む不純物を極めて減らすことにより、酸化物半導体膜の水素濃度を低減することが好ましい。水素をできるだけ除去し、高純度化させた酸化物半導体膜をチャネル領域とすることにより、閾値電圧のマイナスシフトを低減することができ、またトランジスタのソース及びドレインにおけるリーク電流を低減することができ、トランジスタの電気特性を向上させることができる。代表的には、オフ電流(オフ電流をトランジスタのチャネル幅で除した数値)を数yA/μm〜数zA/μmにまで低減することが可能である。
酸化物半導体膜20には、5×1018atoms/cm3以下の窒素が含まれてもよい。
〈一対の電極〉
一対の電極21(ソース電極及びドレイン電極)は、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、又はタングステンからなる単体金属、又はこれを主成分とする合金を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜又は窒化チタン膜上にアルミニウム膜又は銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜又は窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜又は窒化モリブデン膜上にアルミニウム膜又は銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜又は窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫又は酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
次に、駆動用トランジスタ105及び保護膜107の作製方法について図3を用いて説明する。
まず、基板101上に下地膜103及びゲート電極15を形成し、ゲート電極15上にゲート絶縁膜18を形成する(図3(A))。
下地膜103は、スパッタリング法、CVD法等により形成する。ここでは、厚さ100nmの酸化窒化シリコン膜をCVD法により形成する。
ゲート電極15の形成方法としては、はじめに、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等により導電膜を形成し、導電膜上にフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成する。次に、該マスクを用いて導電膜の一部をエッチングして、ゲート電極15を形成する。この後、マスクを除去する。
なお、ゲート電極15は、上記形成方法の代わりに、電解メッキ法、印刷法、インクジェット法等で形成してもよい。
ここでは、厚さ100nmのタングステン膜をスパッタリング法により形成する。次に、フォトリソグラフィ工程によりマスクを形成し、当該マスクを用いてタングステン膜をドライエッチングして、ゲート電極15を形成する。
ゲート絶縁膜18は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で形成する。
ゲート絶縁膜18として酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、又は窒化酸化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
また、ゲート絶縁膜18として窒化シリコン膜を形成する場合、2段階の形成方法を用いることが好ましい。はじめに、シラン、窒素、及びアンモニアの混合ガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により、欠陥の少ない第1の窒化シリコン膜を形成する。次に、原料ガスをシラン及び窒素の混合ガスに切り替えて、水素濃度が少なく、かつ水素をブロッキングすることが可能な第2の窒化シリコン膜を成膜する。このような形成方法により、ゲート絶縁膜18として、欠陥が少なく、かつ水素ブロッキング性を有する窒化シリコン膜を形成することができる。
また、ゲート絶縁膜18として酸化ガリウム膜を形成する場合、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成することができる。
次に、ゲート絶縁膜18上に酸化物半導体膜19を形成する(図3(B))。
酸化物半導体膜19の形成方法について以下に説明する。ゲート絶縁膜18上にスパッタリング法、塗布法、パルスレーザー蒸着法、レーザーアブレーション法等により酸化物半導体膜を形成する。次に、酸化物半導体膜上にフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成した後、該マスクを用いて酸化物半導体膜の一部をエッチングすることで、図3(B)に示すように、ゲート絶縁膜18上であって、ゲート電極15の一部と重なるように素子分離された酸化物半導体膜19を形成する。この後、マスクを除去する。
また、酸化物半導体膜19として印刷法を用いることで、素子分離された酸化物半導体膜19を直接形成することができる。
スパッタリング法で酸化物半導体膜を形成する場合、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。
スパッタリングガスは、アルゴンガス、酸素ガス、希ガス(アルゴン等)及び酸素の混合ガス等を適宜用いる。なお、希ガス及び酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。
また、ターゲットは、形成する酸化物半導体膜の組成にあわせて、適宜選択すればよい。
なお、酸化物半導体膜を形成する際に、例えば、スパッタリング法を用いる場合、基板温度を150℃以上750℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下、さらに好ましくは200℃以上350℃以下として、酸化物半導体膜を成膜することで、CAAC−OS膜を形成することができる。
ここでは、スパッタリング法により、厚さ35nmの酸化物半導体膜を形成した後、当該酸化物半導体膜上にマスクを形成し、酸化物半導体膜の一部を選択的にエッチングすることで、酸化物半導体膜19を形成する。
次に、一対の電極21を形成する。一対の電極21の形成方法としては、はじめに、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で導電膜を形成する。次に、該導電膜上にフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成する。次に、該マスクを用いて導電膜をエッチングして、一対の電極21を形成する。この後、マスクを除去する。
ここでは、厚さ50nmのタングステン膜、厚さ400nmのアルミニウム膜、及び厚さ100nmのチタン膜を順にスパッタリング法により積層する。次に、チタン膜上にフォトリソグラフィ工程によりマスクを形成し、当該マスクを用いてタングステン膜、アルミニウム膜、及びチタン膜をドライエッチングして、一対の電極21を形成する。
なお、一対の電極21を形成した後、エッチング残渣を除去するため、洗浄処理をすることが好ましい。この洗浄処理を行うことで、一対の電極21の短絡を抑制することができる。当該洗浄処理は、TMAH(Tetramethylammonium Hydroxide)溶液などのアルカリ性の溶液、希フッ酸、シュウ酸などの酸性の溶液、又は水を用いて行うことができる。
次に、図3(C)に示すように、酸化物半導体膜19を酸化雰囲気で発生させたプラズマに曝し、酸化物半導体膜19に酸素22を供給して、図3(D)に示す酸化物半導体膜20を形成してもよい。酸化雰囲気としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等の雰囲気がある。さらに、プラズマ処理において、基板101が搭載される下部電極にバイアスを印加しない状態で発生したプラズマに酸化物半導体膜19を曝すことが好ましい。この結果、酸化物半導体膜19にダメージを与えず、かつ酸素を供給することが可能であり、酸化物半導体膜20に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
ここでは、プラズマCVD装置の処理室に一酸化二窒素を導入し、処理室に設けられる上部電極に27.12MHzの高周波電源を用いて150Wの高周波電力を供給して発生させた酸素プラズマに酸化物半導体膜19を曝し、酸化物半導体膜20を形成する。
酸化物半導体膜19の表面を酸化雰囲気で発生させたプラズマに曝すことで、酸化物半導体膜19に酸素を供給することが可能であり、酸化物半導体膜に含まれる酸素欠損量を低減することができる。また、エッチング処理により酸化物半導体膜19の表面に残存する不純物、例えば、フッ素、塩素等のハロゲン等を除去することができる。
次に、酸化物半導体膜20及び一対の電極21上に、絶縁膜23を形成する。次に、絶縁膜23上に絶縁膜24を形成する。上記プラズマ処理によって酸化物半導体膜20を形成した後、大気に曝すことなく絶縁膜23を形成することで、酸化物半導体膜20及び絶縁膜23の界面における不純物濃度を低減することが可能である。
また、絶縁膜23を形成した後、大気に曝すことなく、連続的に絶縁膜24を形成することが好ましい。絶縁膜23を形成した後、大気開放せず、原料ガスの流量、圧力、高周波電力及び基板温度の一以上を調整して、絶縁膜24を連続的に形成することで、絶縁膜23及び絶縁膜24における界面の不純物濃度を低減することができると共に、絶縁膜24に含まれる酸素を酸化物半導体膜20に拡散することが可能であり、酸化物半導体膜20の酸素欠損量を低減することができる。
プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上400℃以下、さらに好ましくは200℃以上370℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を30Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは40Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に高周波電力を供給する条件により、絶縁膜23として酸化シリコン膜又は酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜23の原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
上記条件を用いることで、絶縁膜23として酸素が拡散する酸化絶縁膜を形成することができる。また、絶縁膜23を設けることで、後に形成する絶縁膜24の形成工程において、酸化物半導体膜20へのダメージ低減が可能である。
なお、シリコンを含む堆積性気体に対する酸化性気体量を100倍以上とすることで、絶縁膜23に含まれる水素含有量を低減することが可能である。この結果、酸化物半導体膜20に混入する水素量を低減できるため、トランジスタの閾値電圧のマイナスシフトを抑制することができると共に、トランジスタのソース及びドレインにおけるリーク電流を低減することができ、トランジスタの電気特性を向上させることができる。代表的には、オフ電流(オフ電流をトランジスタのチャネル幅で除した数値)を数yA/μm〜数zA/μmにまで低減することが可能である。
ここでは、絶縁膜23として、流量20sccmのシラン及び流量3000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室の圧力を40Pa、基板温度を220℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて100Wの高周波電力を平行平板電極の上部電極に供給したプラズマCVD法により、厚さ10nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。当該条件により、酸素が拡散する酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
絶縁膜24は、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上250℃以下、さらに好ましくは180℃以上230℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.26W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜又は酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁膜24の成膜条件として、上記圧力の処理室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、絶縁膜24中における酸素含有量が化学量論的組成よりも多くなる。しかしながら、基板温度が、上記温度であると、シリコンと酸素の結合力が弱いため、加熱処理により酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱処理により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜を形成することができる。また、酸化物半導体膜20上に絶縁膜23が設けられている。このため、絶縁膜24の形成工程において、絶縁膜23が酸化物半導体膜20の保護膜となる。この結果、酸化物半導体膜20へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁膜24を形成することができる。
ここでは、絶縁膜24として、流量160sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室の圧力を200Pa、基板温度を220℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1500Wの高周波電力を平行平板電極の上部電極に供給したプラズマCVD法により、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。なお、本実施の形態で用いたプラズマCVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のプラズマCVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると0.25W/cm2である。
なお、絶縁膜24は、スパッタリング法を用いて形成してもよい。例えば、基板101の温度を室温以上300℃以下とし、アルゴンガス、酸素ガス、希ガス(アルゴン等)及び酸素の混合ガス等をスパッタリングガスとして用い、ターゲットとして酸化シリコンターゲット又はシリコンターゲットを用いることで、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱処理により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜を形成することができる。
次に、加熱処理を行う。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450℃以下とする。
該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱処理時間を短縮することができる。
加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気)、又は希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、又は希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。
ここでは、窒素及び酸素雰囲気下で、350℃、1時間の加熱処理を行う。
以上の工程により、ゲートに印加される電位がソースの電位よりも高い場合に、閾値電圧がプラス側に変動する(閾値電圧がマイナス側に変動しない)特性、及び、酸化物半導体膜に光を照射することで、該光を照射しない場合に比べて該閾値電圧の変化が抑制される特性を有するnチャネル型トランジスタを作製することができる。
<トランジスタの変形例>
有機EL素子の駆動用トランジスタとして用いることができるトランジスタの別の構成として、図4(B)に示すトランジスタ70が挙げられる。トランジスタ70は、酸化物半導体膜を介して対向する複数のゲート電極を有することを特徴とする。
図4(B)では、基板101上に下地膜103が設けられ、下地膜103上にトランジスタ70が設けられ、トランジスタ70上に、絶縁膜23及び絶縁膜24で構成される保護膜107が設けられている。トランジスタ70は、下地膜103上に設けられたゲート電極15、ゲート電極15を覆うゲート絶縁膜18、ゲート絶縁膜18を介してゲート電極15と重なる酸化物半導体膜20、酸化物半導体膜20に接する一対の電極21(ソース電極及びドレイン電極)、並びに保護膜107を介して酸化物半導体膜20と重なるゲート電極61を有する。
図4(B)に示すトランジスタを用いた本発明の一態様の発光装置では、ゲート電極61を介して有機EL素子の光を酸化物半導体膜20に照射する。したがって、ゲート電極61は、有機EL素子の発光を透過する層とする。具体的には、ゲート電極61は、ゲート電極15に用いることができる透光性を有する導電性材料と同様の材料、作製方法で形成することができる。
本実施の形態に示すトランジスタ70は、酸化物半導体膜20を介して対向するゲート電極15及びゲート電極61を有する。ゲート電極15とゲート電極61に異なる電位を印加することで、トランジスタ70の閾値電圧を制御し、好ましくは、閾値電圧のマイナスシフトを抑制することができる。又は、ゲート電極15及びゲート電極61に同電位を印加することで、トランジスタ70のオン電流を増加させることができる。また、酸化雰囲気で発生したプラズマに表面が曝された酸化物半導体膜20と、当該プラズマ処理の後連続的に形成された絶縁膜23を有することで、酸化物半導体膜20及びゲート電極61の間における不純物を低減することが可能であり、トランジスタ70の閾値電圧のばらつきを低減することができる。また、酸素欠損量が低減された酸化物半導体膜20を用いることで、閾値電圧のマイナスシフトを抑制したトランジスタとなる。また、経時変化や光BTストレス試験によって、閾値電圧の変動が少なく、優れた電気特性を有するトランジスタとなる。
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置に適用できる発光素子の一例について図5を用いて説明する。
本発明の一態様の発光装置に適用する発光素子は、該発光素子の駆動用トランジスタの酸化物半導体膜に光を照射する構成である。このような構成の発光素子を用い、発光素子が発した光を該駆動用トランジスタに照射することで、光の照射条件によらず、光が照射されない場合に比べて、該トランジスタの閾値電圧の変化を抑制することができる。
本実施の形態で例示する発光素子は、一対の電極(第1の電極及び第2の電極)と、該一対の電極間に設けられたEL層と、を有する。該一対の電極は、一方が陽極、他方が陰極として機能する。該EL層は、少なくとも発光層を有する。
図5(A)に示す発光素子は、第1の電極201及び第2の電極205の間にEL層203を有する。本実施の形態では、第1の電極201が陽極として機能し、第2の電極205が陰極として機能する。
第1の電極201と第2の電極205の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層203に第1の電極201側から正孔が注入され、第2の電極205側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層203において再結合し、EL層203に含まれる発光物質が発光する。
EL層203は、上述の通り、少なくとも発光層を有する。EL層203は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
EL層203には公知の物質を用いることができる。低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。
EL層203の具体的な構成例を、図5(B)に示す。図5(B)に示すEL層203では、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、電子輸送層304及び電子注入層305が、第1の電極201側からこの順に積層されている。
図5(C)に示す発光素子は、第1の電極201及び第2の電極205の間にEL層203を有し、さらに、EL層203及び第2の電極205の間に、中間層207を有する。
中間層207の具体的な構成例を、図5(D)に示す。中間層207は、電荷発生領域308を少なくとも有する。中間層207は、電荷発生領域308以外の層として、電子リレー層307や、電子注入バッファー層306をさらに有していてもよい。
第1の電極201と第2の電極205の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、電荷発生領域308において、正孔と電子が発生し、正孔は第2の電極205へ移動し、電子は電子リレー層307へ移動する。電子リレー層307は電子輸送性が高く、電荷発生領域308で生じた電子を電子注入バッファー層306に速やかに受け渡す。電子注入バッファー層306はEL層203に電子を注入する障壁を緩和し、EL層203への電子注入効率を高める。従って、電荷発生領域308で発生した電子は、電子リレー層307と電子注入バッファー層306を経て、EL層203のLUMO準位に注入される。
また、電子リレー層307は、電荷発生領域308を構成する物質と電子注入バッファー層306を構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまう等の相互作用を防ぐことができる。
図5(E)(F)に示す発光素子のように、第1の電極201及び第2の電極205の間に複数のEL層が積層されていてもよい。この場合、積層されたEL層の間には、中間層207を設けることが好ましい。例えば、図5(E)に示す発光素子は、第1のEL層203aと第2のEL層203bとの間に、中間層207を有する。また、図5(F)に示す発光素子は、EL層をn層(nは2以上の自然数)有し、各EL層の間には、中間層207を有する。
EL層203(m)とEL層203(m+1)の間に設けられた中間層207における電子と正孔の挙動について説明する。第1の電極201と第2の電極205の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層207において正孔と電子が発生し、正孔は第2の電極205側に設けられたEL層203(m+1)へ移動し、電子は第1の電極201側に設けられたEL層203(m)へ移動する。EL層203(m+1)に注入された正孔は、第2の電極205側から注入された電子と再結合し、当該EL層203(m+1)に含まれる発光物質が発光する。また、EL層203(m)に注入された電子は、第1の電極201側から注入された正孔と再結合し、当該EL層203(m)に含まれる発光物質が発光する。よって、中間層207において発生した正孔と電子は、それぞれ異なる発光ユニットにおいて発光に至る。
なお、EL層同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合は、発光ユニット同士を接して設けることができる。例えば、EL層の一方の面に電荷発生領域が形成されている場合、その面に接してEL層を設けることができる。
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つ以上のEL層を有する発光素子の場合でも同様である。
図5(A)乃至(F)は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、図5(F)の第2の電極205とEL層203(n)の間に中間層207を設けることもできる。
以下に、それぞれの層に用いることができる材料を例示する。なお、各層は、単層に限られず、二層以上積層してもよい。
〈陽極〉
陽極として機能する電極(第1の電極201)は、導電性を有する金属、合金、導電性化合物等を一種又は複数種用いて形成することができる。特に、仕事関数の大きい(4.0eV以上)材料を用いることが好ましい。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素もしくは酸化珪素を含有したインジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、グラフェン、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
なお、陽極が電荷発生領域と接する場合は、仕事関数の大きさを考慮せずに、様々な導電性材料を用いることができ、例えば、アルミニウム、銀、アルミニウムを含む合金等も用いることができる。
〈陰極〉
陰極として機能する電極(第2の電極205)は、導電性を有する金属、合金、導電性化合物などを1種又は複数種用いて形成することができる。特に、仕事関数が小さい(3.8eV以下)材料を用いることが好ましい。例えば、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素(例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム等)、これら元素を含む合金(例えば、Mg−Ag、Al−Li)、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類金属、これら希土類金属を含む合金、アルミニウム、銀等を用いることができる。
なお、陰極が電荷発生領域と接する場合は、仕事関数の大きさを考慮せずに、様々な導電性材料を用いることができる。例えば、ITO、珪素若又は酸化珪素を含有したインジウムスズ酸化物等も用いることができる。
発光素子は、陽極又は陰極の一方が可視光を透過する導電膜であり、他方が可視光を反射する導電膜である構成としてもよいし、陽極及び陰極の両方が可視光を透過する導電膜である構成としてもよい。
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、ITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる。また、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、又はこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる。また、グラフェン等を用いてもよい。
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、又は、銀と銅の合金等の銀を含む合金を用いて形成することができる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。また、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。
電極は、それぞれ、真空蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。また、銀ペースト等を用いる場合には、塗布法やインクジェット法を用いればよい。
〈正孔注入層301〉
正孔注入層301は、正孔注入性の高い物質を含む層である。
正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物や、また、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)などの高分子化合物や、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
また、正孔注入層301を、電荷発生領域としてもよい。陽極と接する正孔注入層301が電荷発生領域であると、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を該陽極に用いることができる。電荷発生領域を構成する材料については後述する。
〈正孔輸送層302〉
正孔輸送層302は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。
正孔輸送性の高い物質としては、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であればよく、特に、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)等のカルバゾール誘導体、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)等の芳香族炭化水素化合物、PVK、PVTPA等の高分子化合物など、種々の化合物を用いることができる。
〈発光層303〉
発光層303は、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
発光層303に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、ルブレン等が挙げられる。
また、発光層303に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)2(acac))等の有機金属錯体が挙げられる。
なお、発光層303は、上述した発光性の有機化合物(発光物質、ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、ゲスト材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層303の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
ホスト材料としては、上述の正孔輸送性の高い物質(例えば、芳香族アミン化合物やカルバゾール誘導体)や、後述の電子輸送性の高い物質(例えば、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体や、オキサゾール系配位子又はチアゾール系配位子を有する金属錯体)等を用いることができる。具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)などの金属錯体、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、CzPA、DNA、t−BuDNA、DPAnthなどの縮合芳香族化合物、NPB等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率よく行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
また、発光層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光層を2つ有する発光素子において、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。また、発光層を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
〈電子輸送層304〉
電子輸送層304は、電子輸送性の高い物質を含む層である。
電子輸送性の高い物質としては、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であればよく、特に、10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質であることが好ましい。
電子輸送性の高い物質としては、例えば、Alq、BAlqなど、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などを用いることができる。また、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。
〈電子注入層305〉
電子注入層305は、電子注入性の高い物質を含む層である。
電子注入性の高い物質としては、例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層304を構成する物質を用いることもできる。
〈電荷発生領域〉
正孔注入層を構成する電荷発生領域や、電荷発生領域308は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質(電子受容体)を含む領域である。アクセプター性物質は、正孔輸送性の高い物質に対して質量比で0.1以上4.0以下の比率で添加されていることが好ましい。
また、電荷発生領域は、同一膜中に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含有する場合だけでなく、正孔輸送性の高い物質を含む層とアクセプター性物質を含む層とが積層されていてもよい。但し、電荷発生領域を陰極側に設ける場合には、正孔輸送性の高い物質を含む層が陰極と接する構造となり、電荷発生領域を陽極側に設ける積層構造の場合には、アクセプター性物質を含む層が陽極と接する構造となる。
正孔輸送性の高い物質としては、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であればよく、特に、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する有機化合物であることが好ましい。
具体的には、NPB、BPAFLP等の芳香族アミン化合物、CBP、CzPA、PCzPA等のカルバゾール誘導体、t−BuDNA、DNA、DPAnth等の芳香族炭化水素化合物、PVK、PVTPA等の高分子化合物など、正孔輸送層302に用いることができる物質として例示した正孔輸送性の高い物質を用いることができる。
アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物、遷移金属酸化物、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。特に、酸化モリブデンは、大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため、好ましい。
〈電子注入バッファー層306〉
電子注入バッファー層306は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入バッファー層306は、電荷発生領域308からEL層203への電子の注入を容易にする。電子注入性の高い物質としては、前述の材料を用いることができる。また、電子注入バッファー層306は、前述の電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含む構成としてもよい。
〈電子リレー層307〉
電子リレー層307では、電荷発生領域308においてアクセプター性物質が引き抜いた電子を速やかに受け取る。
電子リレー層307は、電子輸送性の高い物質を含む。該電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
該フタロシアニン系材料としては、具体的にはCuPc、PhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)等が挙げられる。
該金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。
また、該金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、フタロシアニン系材料が好ましい。
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶であるため、発光素子を形成する上で扱いやすい、かつ、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易であるという利点を有する。
電子リレー層307は、上述のドナー性物質をさらに含んでいてもよい。電子リレー層307にドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
該電子輸送性の高い物質や該ドナー性物質のLUMO準位は、電荷発生領域308に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層304に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位(又は電子リレー層307が(電子注入バッファー層306を介して)接するEL層203のLUMO準位)の間となるようにする。LUMO準位は、−5.0eV以上−3.0eV以下とするのが好ましい。なお、電子リレー層307にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質として、電荷発生領域308に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。
なお、上述したEL層203及び中間層207を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例について、図19及び図20を参照して説明する。なお、以下では、上記実施の形態で説明した内容と重複する部分については説明を省略するか、または簡略化して説明する場合がある。
本発明の一態様の表示装置は、表示素子と、酸化物半導体膜を用いた、該表示素子のスイッチング用トランジスタ(トランジスタA)と、該酸化物半導体膜に光を照射する発光素子と、を有する。
また、本発明の一態様の表示装置は、表示素子及び表示素子のスイッチング用トランジスタを有する表示部と、酸化物半導体膜を用いたトランジスタ(トランジスタB)及び該酸化物半導体膜に光を照射する発光素子を有する駆動回路部とを備える。
また、本発明の一態様の表示装置は、表示素子と、酸化物半導体膜を用いた、該表示素子のスイッチング用トランジスタ(トランジスタC)と、該スイッチング用トランジスタの酸化物半導体膜に光を照射する発光素子と、を有する表示部と、酸化物半導体膜を用いたトランジスタ(トランジスタD)及び該トランジスタの酸化物半導体膜に光を照射する発光素子を有する駆動回路部とを備える。
上記表示装置が備える、酸化物半導体膜を用いたトランジスタ(トランジスタA、トランジスタB、トランジスタC、又はトランジスタD)としては、ゲートに印加される電位がソースの電位よりも高い場合に、以下の2つの特性を有するnチャネル型トランジスタを用いる。1つは、閾値電圧がプラス側に変動する(閾値電圧がマイナス側に変動しない)特性である。もう1つは、酸化物半導体に発光素子が発する光を照射することで、光を照射しない場合に比べて該閾値電圧の変化が抑制される特性である。
上記トランジスタが備える酸化物半導体に発光素子が発する光を照射することで、光の照射条件によらず、光を照射しない場合に比べて、該トランジスタの閾値電圧の変化を抑制することができる。
上記トランジスタの詳細については、先の実施の形態(実施の形態2等)を参酌できる。
図19は、表示装置1350の上面概略図である。表示装置1350は、基板1301と、基板1301に対向するように設けられたフロントライト基板1310と、を有する。表示装置1350は、フロントライト基板1310側から基板1301に入射する光を反射して、表示を行う反射型の表示装置である。
基板1301には、複数の画素を備える表示部1201、表示部1201を駆動する走査線駆動回路1203、信号線駆動回路1205、及び外部入力端子1211が設けられている。
フロントライト基板1310には、発光素子1340が、基板1301に設けられたトランジスタに重なるように設けられている。また、透光性を有するスペーサ1315(図20(A)(B)参照)を、基板1301とフロントライト基板1310の間に、トランジスタに重なるように設けてもよい。このような構成とすることで、発光素子の発する光が、表示材料により遮られることなくトランジスタに到達する。
また、表示材料(例えば、液晶や電子インク)が、基板1301とフロントライト基板1310の間に挟持され、表示部1201の画素には、反射型の表示素子が構成される。
フロントライト基板1310に設けられた発光素子が、表示部を照明するため、外光の弱い環境においても表示内容を視認できる。
発光素子1340は、基板1301の表示部1201だけでなく、走査線駆動回路1203および信号線駆動回路1205に重なるように設けられている。
フロントライト基板に設けられた発光素子が、上記に挙げたトランジスタA、トランジスタB、トランジスタC、又はトランジスタDに相当するトランジスタに光を照射できるため、該トランジスタの閾値電圧の変化を抑制することができる。
<横電界方式>
図20(A)は、基板面に対して横方向に電界を発生させる方式の液晶素子が適用された表示装置1350の断面概略図である。図20(A)には外部入力端子1211、走査線駆動回路1203、及び画素1202を含む領域における断面概略図を示す。
表示装置1350は、基板1301上に走査線駆動回路1203、画素1202を有し、これらと重なるフロントライト基板1310が基板1301と対向して設けられ、その周囲がシール材1303によって封止されている。また、封止された領域(封止領域)よりも外側の領域に外部入力端子1211が設けられ、当該外部入力端子1211を介して電源電位や駆動信号などの信号を入力することができる。
シール材1303としては、熱硬化樹脂、又は光硬化樹脂などの有機樹脂や、低融点ガラス(ガラスフリット等)等を用いることができる。
外部入力端子1211は、表示装置1350内のトランジスタを構成する導電層で構成される。本構成では、トランジスタの第1のゲートを構成する導電層及び電極を構成する導電層を積層して用いる。このように、導電層を積層して外部入力端子1211を構成することにより、強度を高めることができるため好ましい。また、外部入力端子1211に接して接続体1307が設けられ、接続体1307を介してFPC1305と外部入力端子1211とが電気的に接続している。接続体1307としては、熱硬化性の樹脂に金属粒子を混ぜ合わせたペースト状又はシート状の材料を用い、熱圧着によって異方性の導電性を示す材料を用いることができる。金属粒子としては、例えばNi粒子をAuで被覆したものなど、2種類以上の金属が層状となった粒子を用いることが好ましい。
また、発光素子1340は、接続体1317を介してFPC1325と電気的に接続している。
走査線駆動回路1203は、トランジスタ1311及びトランジスタ1312を有する。トランジスタ1311及びトランジスタ1312は、上記トランジスタBやトランジスタDに相当する。
トランジスタ1311、トランジスタ1312及びトランジスタ1351は下地膜103上に設けられている。また、トランジスタ1311、トランジスタ1312及びトランジスタ1351は保護膜107に覆われている。下地膜103及び保護膜107の詳細な構成は、先の実施の形態を参酌できる。
表示部1201は、複数の画素1202を有する。図20(A)には、1つの画素1202の断面構造を示している。画素1202には少なくとも1つのスイッチング用のトランジスタ1351を有する。トランジスタ1351は、上記トランジスタAやトランジスタCに相当する。
トランジスタ1351の電極(ソース電極またはドレイン電極)には、絶縁層1139上に設けられたくし状の画素電極1353が電気的に接続されている。また、画素電極1353と同一平面上に、くし状の共通電極1355が配置されている。
画素電極1353または共通電極1355には、透光性の導線性材料を用いると、開口率が向上するため好ましい。
なお、図20(A)では、明瞭化のため画素電極1353と共通電極1355とで異なるハッチングパターンを用いて明示しているが、これらは同一の導電層を用いて形成してもよい。また、本実施の形態において、画素電極1353と共通電極1355を同一平面上に設ける構成としたが、それぞれの電極を、絶縁層を介して異なる平面上に設けてもよい。その場合は、下層に配置される電極と上層に配置される電極とが重ならない領域を設ける。また、これらを異なる平面上に設ける構成とする場合、下層に配置される電極の形状をくし状ではなく面状の形状としてもよい。
また、封止領域下において、少なくとも画素電極1353及び共通電極1355とフロントライト基板1310との間には液晶1357が封入されている。ここで、画素電極1353、共通電極1355、及び液晶1357により液晶素子1360が構成されている。
表示装置1350は、画素電極1353と共通電極1355との間に電圧を印加することにより、横方向に電界が生じ、当該電界によって液晶1357の配向が制御される。
液晶1357と接する面には、液晶1357の配向を制御するための配向膜を設けてもよい。配向膜には透光性の材料を用いる。
フロントライト基板1310の液晶素子1360と重なる位置には、カラーフィルタ1329が形成されている。カラーフィルタ1329を用いることにより、フルカラーの画像表示を実現できる。
また、隣接するカラーフィルタ1329の間にはブラックマトリクス1331が設けられている。ブラックマトリクス1331は隣接する画素の液晶素子1360からの光を遮光し、隣接画素間における混色を抑制する。ここで、カラーフィルタ1329の端部を、ブラックマトリクス1331と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。なお、ブラックマトリクス1331は、走査線駆動回路1203などの表示部1201以外の領域に設けてもよい。
また、カラーフィルタ1329及びブラックマトリクス1331を覆うオーバーコート1333が形成されている。オーバーコート1333は、発光素子1320からの発光を透過する材料から構成され、例えば無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。なお、オーバーコート1333は不要なら設けなくてもよい。
液晶1357としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、強誘電液晶、反強誘電液晶などを用いることができる。また、ブルー相を示す液晶を使用すると、配向膜が不要であり、且つ広い視野角が得られるため好ましい。
<縦電界方式>
図20(B)は、基板面に対して垂直方向に電界を発生させる方式の液晶素子が適用された表示装置1370の断面概略図である。表示装置1370は、主に画素電極1373と共通電極1375とが対向して設けられている点で、上記表示装置1350と異なる。
画素1202において、スイッチング用のトランジスタ1351の電極には、絶縁層1139上に設けられた画素電極1373が電気的に接続されている。また、画素電極1373と対向して共通電極1375がフロントライト基板1310上に設けられている。
また、封止領域内において、少なくとも画素電極1373と共通電極1375との間には液晶1377が封入されている。ここで、画素電極1373、共通電極1375、及び液晶1377により液晶素子1380が構成されている。なお、液晶1377が封入されている領域には、基板1301とフロントライト基板1310とのギャップを調整するためのスペーサが封入されていてもよい。
表示装置1370は、画素電極1373と共通電極1375との間に電圧を印加することにより基板に対して垂直方向に電界が生じ、当該電界によって液晶1377の配向が制御される。
封止領域内において、共通電極1375は、接続体1379を介して基板1301上に形成された接続配線と電気的に接続されている。
接続体1379には、例えば導電膜が被膜された樹脂材料でなる球体が分散された有機樹脂を用いることができる。接続体1379は、異方性の導電物として機能し、共通電極1375と接続配線とを電気的に接続することができる。球体に被膜する導電物としては金属を用いることが好ましく、特に金(Au)などの化学的に安定で且つ低抵抗な金属材料を用いると、信頼性が向上するとともに抵抗率や接触抵抗が低減できるため好ましい。
<表示材料>
なお、表示素子に用いる表示材料は、液晶に限られない。例えば、液晶1357や液晶1377に変えて、電気泳動方式の電子インクなども適用できる。
<発光素子>
本実施の形態のフロントライト基板1310に設ける発光素子1340は、光を基板1301側に向けて射出するものであれば特に限定されない。例えば、有機EL素子はフロントライト基板の厚さを薄くできるため好適である。
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様を適用した電子機器の一例について、図6を用いて説明する。
本発明の一態様の発光装置は電子機器等に適用することができる。本発明の一態様の発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図6に示す。
図6(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7102が組み込まれている。表示部7102では、映像を表示することが可能である。本発明の一態様の発光装置は、表示部7102に用いることができる。また、ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。リモコン操作機7111が備える操作キーにより、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7102に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7111に、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図6(B)は、コンピュータの一例を示している。コンピュータ7200は、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、本発明の一態様の発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
図6(C)は、携帯型ゲーム機の一例を示している。携帯型ゲーム機7300は、筐体7301a及び筐体7301bの2つの筐体で構成されており、連結部7302により、開閉可能に連結されている。筐体7301aには表示部7303aが組み込まれ、筐体7301bには表示部7303bが組み込まれている。また、図6(C)に示す携帯型ゲーム機は、スピーカ部7304、記録媒体挿入部7305、操作キー7306、接続端子7307、センサ7308(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、LEDランプ、マイクロフォン等を備えている。もちろん、携帯型ゲーム機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7303a、筐体7301bの両方、又は一方に本発明の一態様の発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図6(C)に示す携帯型ゲーム機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型ゲーム機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図6(C)に示す携帯型ゲーム機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
図6(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、本発明の一態様の発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
図6(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
図6(E)は、2つ折り可能なタブレット型端末(開いた状態)の一例を示している。タブレット型端末7500は、筐体7501a、筐体7501b、表示部7502a、表示部7502bを有する。筐体7501aと筐体7501bは、軸部7503により接続されており、該軸部7503を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体7501aは、電源7504、操作キー7505、スピーカ7506等を備えている。なお、タブレット型端末7500は、本発明の一態様の発光装置を表示部7502a、表示部7502bの両方、又は一方に用いることにより作製される。
表示部7502aや表示部7502bは、少なくとも一部をタッチパネルの領域とすることができ、表示された操作キーにふれることでデータ入力をすることができる。例えば、表示部7502aの全面にキーボードボタンを表示させてタッチパネルとし、表示部7502bを表示画面として用いることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
本実施例は、本発明の一態様で有機EL素子の駆動用トランジスタとして適用できるトランジスタのプラスBTストレス試験及び光プラスBTストレス試験の測定結果について、図7乃至図10を用いて説明する。具体的には、該トランジスタの閾値電圧の変動量について説明する。
はじめに、本実施例の試料A1乃至試料A4の作製工程について図7を用いて説明する。
まず、ガラス基板である基板101上にゲート電極15を形成した。次に、ゲート電極15上に絶縁膜16及び絶縁膜17で構成されるゲート絶縁膜18を形成した(図7(A))。
ゲート電極15は、スパッタリング法で厚さ100nmのタングステン膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により該タングステン膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該タングステン膜の一部をエッチングすることで形成した。
絶縁膜16としては、厚さ50nmの窒化シリコン膜を形成し、絶縁膜17としては、厚さ200nmの酸化窒化シリコン膜を形成した。該窒化シリコン膜は、シラン50sccm、窒素5000sccmをプラズマCVD装置の処理室に供給し、処理室内の圧力を60Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて150Wの電力を供給して形成した。該酸化窒化シリコン膜は、シラン20sccm、窒素3000sccmをプラズマCVD装置の処理室に供給し、処理室内の圧力を40Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて100Wの電力を供給して形成した。なお、該窒化シリコン膜及び該酸化窒化シリコン膜を形成する際の基板温度は、いずれも350℃とした。
次に、ゲート絶縁膜18を介してゲート電極15に重なる酸化物半導体膜19を形成した(図7(B))。
ここでは、ゲート絶縁膜18上にCAAC−OS膜であるIGZO膜をスパッタリング法で形成し、フォトリソグラフィ工程により該IGZO膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該IGZO膜の一部をエッチングした。その後、エッチングされたIGZO膜に加熱処理を行い、酸化物半導体膜19を形成した。なお、本実施例では厚さ35nmのIGZO膜を形成した。
IGZO膜は、スパッタリングターゲットをIn:Ga:Zn=1:1:1(原子数比)のターゲットとし、スパッタリングガスとして50sccmのアルゴンと50sccmの酸素をスパッタリング装置の処理室内に供給し、処理室内の圧力を0.6Paに制御し、5kWの直流電力を供給して形成した。なお、IGZO膜を形成する際の基板温度は170℃とした。
加熱処理としては、窒素雰囲気で、450℃、1時間の加熱を行った後、窒素及び酸素雰囲気で、450℃、1時間の加熱を行った。
次に、酸化物半導体膜19に接する一対の電極21(ソース電極及びドレイン電極)を形成した(図7(C))。
ゲート絶縁膜18及び酸化物半導体膜19上に導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程により該導電膜上にマスクを形成し、該マスクを用いて該導電膜の一部をエッチングし、一対の電極21を形成した。なお、該導電膜としては、厚さ50nmのタングステン膜上に厚さ400nmのアルミニウム膜を形成し、該アルミニウム膜上に厚さ100nmのチタン膜を形成した。
次に、一酸化二窒素が充填された処理室に基板を移動させた。そして、処理室に設けられる上部電極に27.12MHzの高周波電源を用いて150Wの高周波電力を供給して発生させた酸素プラズマに酸化物半導体膜19を曝して図7(D)に示す酸化物半導体膜20を形成した。
上記プラズマ処理の後、大気に曝すことなく、連続的に酸化物半導体膜20及び一対の電極21上に絶縁膜23を形成した。
試料A1乃至A3における絶縁膜23としては、流量30sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室の圧力を40Pa、基板温度を220℃とし、150Wの高周波電力を平行平板電極の上部電極に供給したプラズマCVD法により、酸化窒化シリコン膜を形成した。絶縁膜23の厚さが20nmの試料を試料A1、50nmの試料を試料A2、100nmの試料を試料A3とする。なお、本工程において基板温度が220℃と比較的低いため、酸化窒化シリコン膜に窒素が含まれず、酸化シリコン膜が形成される場合がある。また、本工程において基板温度が220℃と比較的低いため、350℃における成膜と比較して成膜過程における水素脱離が少なく、酸化窒化シリコン膜(酸化シリコン膜)に水素が含まれる場合がある。
試料A4における絶縁膜23としては、流量20sccmのシラン及び流量3000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室の圧力を200Pa、基板温度を350℃とし、100Wの高周波電力を平行平板電極の上部電極に供給したプラズマCVD法により、厚さ20nmの酸化窒化シリコン膜を形成した。
次に、絶縁膜23上に絶縁膜24を形成した。
絶縁膜24としては、流量160sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室の圧力を200Pa、基板温度を220℃とし、1500Wの高周波電力を平行平板電極の上部電極に供給したプラズマCVD法により、酸化窒化シリコン膜を形成した。当該条件により、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱処理により酸素の一部が脱離する酸化窒化シリコン膜を形成することができる。なお、酸化窒化シリコン膜の厚さは、試料A1乃至試料A3では400nmとし、試料A4では380nmとした。
次に、加熱処理を行った。当該加熱処理は、温度を350℃とし、酸素及び窒素を含む雰囲気で1時間行った。
次に、絶縁膜24上に絶縁膜26を形成した。ここでは、絶縁膜26として厚さ1.5μmのアクリル樹脂を形成した。こののち、加熱処理を行った。当該加熱処理は、温度を250℃とし、窒素を含む雰囲気で1時間行った。
以上の工程により、試料A1乃至試料A4を作製した。
次に、試料A1乃至試料A4のプラスBTストレス試験及び光プラスBTストレス試験を行った。ここでは、プラスBTストレス試験として、基板温度を80℃、ゲート絶縁膜に印加する電界強度を1.28MV/cm、印加時間を2000秒とし、ゲート電極に電圧を印加するプラスBTストレス試験を行った。
また、上記プラスBTストレス試験と同様の条件を用い、3000lx(照射強度は約0.22mW/cm2)の白色LEDをトランジスタに照射してゲート電極に電圧を印加する光プラスBTストレス試験を行った。なお、白色LEDの分光照射強度を図8に示す。
図8に示すように、光プラスBTストレス試験で照射した光は、エネルギーの高い光(低波長側の光、青色側の光)を含んでいる。また、上述の通り、照射強度は、有機EL素子の発光の照射強度と同程度である(有機EL素子の発行の照射強度の一例については、実施例4を参照できる)。
ここで、プラスBTストレス試験の測定方法について説明する。プラスBTストレス試験の対象となるトランジスタの初期特性を測定するため、基板温度を25℃とし、ソース−ドレイン間電圧(ドレイン電圧)を1V、10Vとし、ソース−ゲート電極間電圧(ゲート電圧)を−30Vから+30Vまで変化させたときのソース−ドレイン電流(ドレイン電流)の変化特性、すなわちVg−Id特性を測定した。
次に、基板温度を80℃まで上昇させた後、トランジスタのソース及びドレインの電位を0Vとした。続いて、ゲート絶縁膜へ印加される電界強度が1.28MV/cmとなるようにゲート電極に電圧を印加し、2000秒保持した。
プラスBTストレス試験では、ゲート電極に30Vを印加した。また、光プラスBTストレス試験では、3000lxの白色LED光を照射しつつ、ゲート電極に30Vを印加した。
次に、ゲート電極、ソース及びドレインへ電圧を印加したまま、基板温度を25℃まで下げた。基板温度が25℃になった後、ゲート電極、ソース及びドレインへの電圧の印加を終了させた。
次に、初期特性の測定と同じ条件でVg−Id特性を測定し、プラスBTストレス試験及び光プラスBTストレス試験のVg−Id特性を得た。初期特性の閾値電圧と試験後の閾値電圧の差(即ち、閾値電圧の変動量(ΔVth))を図9に示す。縦軸にΔVthを示す。
ここで、本明細書における閾値電圧について図10を用いて説明する。
本明細書中において、閾値電圧(Vth)は、ゲート電圧(Vg[V])を横軸、ドレイン電流の平方根(Id1/2[A])を縦軸としてプロットした曲線312において、最大傾きであるId1/2の接線314を外挿したときの、接線314とVg軸(即ち、Id1/2が0A)との交点のゲート電圧で定義する。なお、本明細書中においては、ドレイン電圧Vdを10Vとして、閾値電圧を算出する。
図9より、試料A1乃至試料A4は、いずれも閾値電圧の変動量(ΔVth)がプラスの値であった。さらに、試料A1乃至試料A4では、その変動量が小さく、具体的には3.0V以下であった。
また、試料A1乃至試料A4は、いずれもプラスBTストレス試験におけるΔVthに比べて、光プラスBTストレス試験におけるΔVthの方が小さい値であった。
このことから、トランジスタの保護膜として、酸素が拡散する酸化絶縁膜及び化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜を積層することで、プラスBTストレス試験及び光プラスBTストレス試験におけるトランジスタの閾値電圧の変動量を抑制できることがわかった。特に、光を照射することで、該変動量をより抑制できることがわかった。
本実施例では、実施の形態2に示す絶縁膜23における酸素の拡散において図11を用いて説明する。本実施例では、SSDP−SIMS(裏面からのSIMS(SecondaryIonMassSpectrometry)測定)を用いて酸素の濃度を測定することで、酸素の拡散について説明する。
はじめに、試料B1及び試料B2の作製方法について説明する。
実施の形態2に示す絶縁膜23の形成条件を用いてシリコンウェハ上に厚さ100nmの酸化窒化シリコン(SiON)膜を形成した。ここでは、シリコンウェハをプラズマCVD装置の処理室内に設置し、処理室内に原料ガスである流量30sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を供給し、処理室内の圧力を200Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて150Wの電力を供給して酸化窒化シリコン膜を形成した。また、酸化窒化シリコン膜を形成する際のシリコンウェハの温度を220℃とした。なお、本実施例で用いたプラズマCVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のプラズマCVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると0.025W/cm2である。
次に、酸化窒化シリコン膜上にスパッタリング法により厚さ100nmの酸化シリコン(SiOx)膜を形成した。ここでは、シリコンウェハをスパッタリング装置の処理室内に設置し、処理室内に原料ガスである流量300sccmの18O(16Oの同位体)を供給し、処理室内の圧力を0.7Paに制御し、高周波電源を用いて8000Wの電力を供給して18Oを含む酸化シリコン膜を形成した。当該試料を試料B1とする。
次に、試料B1を350℃で1時間加熱した。当該試料を試料B2とする。
次に、試料B1及び試料B2に含まれる18Oの濃度プロファイルをSSDP−SIMS(裏面からの測定、ここではシリコンウェハからの測定)を用いて測定した。
ところで、酸素には主要核種である16Oの他、17O及び18Oといった同位体が微量に存在する。自然界における17O及び18Oの存在比率はそれぞれ、酸素原子全体の0.038%程度、0.201%程度であることが知られている。つまり、酸化窒化シリコン膜における16Oの濃度をSIMSで測定することで、17O及び18Oの濃度を見積ることができる。ここで、酸化窒化シリコン膜中に含まれる18Oの濃度と、16Oに対する存在比率から見積られる18Oの濃度を比較することで、酸化窒化シリコン膜中に18Oが拡散したか否かを判別することができる。
ここで、酸化窒化シリコン膜における18Oの濃度測定を行う。なお、一次イオン種にはセシウム一次イオン(Cs+)を用いればよい。
図11はSSDP−SIMSの測定により得られた18Oの濃度プロファイルである。
図11(A)は、試料B1の測定結果である。曲線801はSSDP−SIMSによって測定された16Oの濃度プロファイルを元に、自然界における18Oの存在比率を用いて算出された18Oの濃度プロファイルであり、曲線803は、SSDP−SIMSによって測定された18Oの濃度プロファイルである。
図11(B)は、試料B2の測定結果であり、曲線811はSSDP−SIMSによって測定された16Oの濃度プロファイルを元に算出された18Oの濃度プロファイルであり、曲線813は、SSDP−SIMSによって測定された18Oの濃度プロファイルである。
図11(A)に示すSiONにおいて、曲線801及び曲線803は一致している。即ち、試料B1のSiONにおいて、SiOxに含まれる18OがSiONに拡散していないことがわかる。
一方、図11(B)に示すSiONでは、曲線811に比べて曲線813の方が高い値を示している。即ち、加熱処理により、SiOxに含まれる18OがSiONに拡散し、SiONにおける18Oの濃度が増加していることがわかる。
以上のことから、実施の形態2に示す絶縁膜23の条件を用いて形成される酸化窒化シリコン膜では、酸素が膜内に拡散する。即ち、当該酸化窒化シリコン膜に接する絶縁膜に含まれる過剰な酸素を、酸化窒化シリコン膜に拡散させることができる。
本実施例は、実施の形態2に示す絶縁膜23及び絶縁膜24の形成と共に生じる酸化物半導体膜の欠陥の変化について図12乃至図14を用いて説明する。本実施例では、酸化物半導体膜の酸素欠損酸素量について、ESR(電子スピン共鳴)測定結果を用いて説明する。
はじめに図12に示す試料C1乃至試料C3の作製方法について説明する。
図12(A)に示す試料C1の作製方法について説明する。
石英基板971上に厚さ100nmのCAAC−OS膜であるIGZO膜973aをスパッタリング法で形成した。ここでは、IGZO膜は、スパッタリングターゲットをIn:Ga:Zn=1:1:1(原子数比)のターゲットとし、スパッタリングガスとして50sccmのアルゴンと50sccmの酸素をスパッタリング装置の処理室内に供給し、処理室内の圧力を0.6Paに制御し、5kWの直流電力を供給して形成した。なお、IGZO膜を形成する際の基板温度は170℃とした。
次に、IGZO膜973a上に、実施の形態2に示す絶縁膜23の条件を用いて酸化窒化シリコン膜975(1st−SiON)を形成した。ここでは、石英基板をプラズマCVD装置の処理室内に設置し、処理室内に原料ガスである流量30sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を供給し、27.12MHzの高周波電源を用いて150Wの電力を供給して酸化窒化シリコン膜975を形成した。また、酸化窒化シリコン膜を形成する際の石英基板の温度を220℃とした。なお、本実施例で用いたプラズマCVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のプラズマCVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると0.025W/cm2である。
また、処理室内の圧力を40Pa、120Pa、200Paと制御し、酸化窒化シリコン膜975の厚さを20nm、50nm、100nmとして複数の試料C1を作製した。
次に、図12(B)に示す試料C2の作製方法について説明する。
各試料C1上に、実施の形態2に示す絶縁膜24の条件を用いて酸化窒化シリコン膜977を形成した。ここでは、石英基板をプラズマCVD装置の処理室内に設置し、処理室内に原料ガスである流量160sccmのシラン及び流量4000sccmの一酸化二窒素を供給し、処理室の圧力を200Pa、基板温度を220℃とし、1500Wの高周波電力を平行平板電極の上部電極に供給したプラズマCVD法により、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜977を形成した。
なお、このときのCAAC−OS膜であるIGZO膜を図12(B)においてIGZO膜973bと示す。
次に、図12(C)に示す試料C3の作製方法について説明する。
各試料C2を350℃で1時間加熱して試料C3を作製した。なお、このときのCAAC−OS膜であるIGZO膜を図12(C)においてIGZO膜973cと示す。
次に、試料C1乃至試料C3についてESR測定を行った。ESR測定は、所定の温度で、マイクロ波の吸収の起こる磁場の値(H0)から、式g=hv/βH0を用いてg値というパラメータが得られる。なお、vはマイクロ波の周波数である。hはプランク定数であり、βはボーア磁子であり、どちらも定数である。
ここでは、下記の条件でESR測定を行った。測定温度を室温(25℃)とし、9.4GHzの高周波電力(マイクロ波パワー)を20mWとし、磁場の向きは作製した試料の膜表面と平行とした。なお、IGZO膜に含まれる酸素欠損に由来するg(g値)=1.93に現れる信号のスピン密度の検出下限は2.2×1016spins/cm3である。
g(g値)=1.93に現れる信号のスピン密度を図13に示す。図13(A)は試料C1におけるスピン密度を示し、図13(B)は試料C2におけるスピン密度を示し、図13(A)は試料C3におけるスピン密度を示す。
また、図13に示す試料C2の一試料、及び試料C3の一試料、それぞれに含まれるIGZO膜をESR測定して得られた1次微分曲線を図14に示す。
曲線981は、試料C2において、酸化窒化シリコン膜975の成膜条件の圧力を40Paとし、酸化窒化シリコン膜975の厚さを50nmとした一試料を測定した1次微分曲線である。
曲線983は、試料C3において、酸化窒化シリコン膜975の成膜条件の圧力を40Paとし、酸化窒化シリコン膜975の厚さを50nmとした一試料を測定した1次微分曲線である。
図14より、g値が1.93において、試料C2では、酸素欠損に起因する対称性を有する信号が検出されており、IGZO膜中に酸素欠損が含まれることが分かる。一方、試料C3では酸素欠損に起因する対称性を有する信号が検出されず(即ち、検出下限以下であり)、IGZO膜中に含まれる酸素欠損の量が検出できないことが分かる。これは、酸化窒化シリコン膜975の厚さが厚い程、実施の形態2に示す絶縁膜24の条件を用いて形成した酸化窒化シリコン膜977に含まれる過剰酸素がIGZO膜に移動しにくくなるためである。また、酸化窒化シリコン膜975の成膜条件において、成膜圧力が低いほど酸化物半導体膜にダメージが入り、酸素欠損量が増加するためである。
図13(B)より、酸化窒化シリコン膜975上に酸化窒化シリコン膜977を形成することで、一部の試料においては酸素欠損量が増加するが、ほとんどの試料において、IGZO膜973bに含まれる酸素欠損量が検出下限以下となることが分かる。
これは、酸化窒化シリコン膜975上に化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜である酸化窒化シリコン膜977を形成することで、酸化窒化シリコン膜977に含まれる過剰酸素が酸化窒化シリコン膜975を介してIGZO膜973cに拡散し、IGZO膜973cに含まれる酸素欠損を補填することで、酸素欠損が低減するためである。
図13(C)より、酸化窒化シリコン膜975上に酸化窒化シリコン膜977を形成した後、加熱処理を行うことで、IGZO膜973cに含まれる酸素欠損量が検出下限以下となることが分かる。
これは、酸化窒化シリコン膜975上に化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜である酸化窒化シリコン膜977を形成し加熱することで、酸化窒化シリコン膜977に含まれる過剰酸素が酸化窒化シリコン膜975を介してIGZO膜973に拡散し、酸素欠損が低減するためである。
以上のことから、酸化物半導体膜上に酸化窒化シリコン膜を積層することで、酸化物半導体膜の酸素欠損量を低減することができる。また、当該構造をトランジスタに用いることで、実施例1に示すように、閾値電圧の変動量がプラス方向に変動する(マイナス方向に変動しない)トランジスタを作製することができる。
本実施例では、本発明の一態様の発光装置に用いることができる発光素子の特性について図15(A)、図16乃至図18を用いて説明する。本実施例でEL層2003に用いた材料の構造式を以下に示す。
本実施例では、本発明の一態様の発光装置において赤色の画素に用いることができる発光素子Rと、緑色の画素に用いることができる発光素子Gと、青色の画素に用いることができる発光素子Bを作製した。
以下に、本実施例の発光素子の作製方法を示す。
まず、ガラス基板上にアルミニウム−チタン合金膜及びチタン膜を順にスパッタリング法で成膜し、第1の電極2001を形成した。その膜厚は6nmとし、電極面積は2mm×mmとした。本実施例において、第1の電極2001は、陽極として用いた。
発光素子R及び発光素子Gについては、第1の電極2001上に酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法で成膜し、導電層を形成した。各発光素子において、それぞれマイクロキャビティ効果を奏するために、発光素子Rにおいては導電層の膜厚を80nmとし、発光素子Gにおいては導電層の膜厚を40nmとし、発光素子Bにおいては導電層を設けない構造とした。
次に、第1の電極2001及び導電層が形成された面が下方となるように、第1の電極2001及び導電層が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2001又は導電層上に、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、第1の正孔注入層2011aを形成した。PCzPAと酸化モリブデンの比率は、重量比で1:0.5(=PCzPA:酸化モリブデン)となるように調節した。第1の正孔注入層2011aの膜厚は、発光素子Rにおいては10nmとし、発光素子G及び発光素子Bにおいては13nmとした。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、第1の正孔注入層2011a上に、3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPPn)を膜厚20nmとなるように成膜し、第1の正孔輸送層2012aを形成した。
第1の正孔輸送層2012a上に、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)及びN’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス〔3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル〕−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)を、CzPA:1,6mMemFLPAPrn=1:0.05(重量比)となるように共蒸着することにより、第1の発光層2013aを形成した。膜厚は30nmとした。
第1の発光層2013a上に、CzPAを膜厚5nmとなるように成膜し、さらに、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚15nmとなるように成膜することで、第1の電子輸送層2014aを形成した。
第1の電子輸送層2014a上に、酸化リチウム(Li2O)を0.1nmの膜厚となるように蒸着し、さらに、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)を2nmの膜厚となるように蒸着し、中間層2015を形成した。
中間層2015上に、PCzPAと酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、第2の正孔注入層2011bを形成した。PCzPAと酸化モリブデンの比率は、重量比で1:0.5(=PCzPA:酸化モリブデン)となるように調節し、その膜厚は、13nmとした。
第2の正孔注入層2011b上に、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を膜厚20nmとなるように成膜し、第2の正孔輸送層2012bを形成した。
第2の正孔輸送層2012b上に、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、4、4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、及び(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(acac)])を、2mDBTBPDBq−II:PCBNBB:[Ir(tBuppm)2(acac)]=0.8:0.2:0.6(重量比)となるように共蒸着することにより、第2の発光層2013bを形成した。膜厚は20nmとした。
第2の発光層2013b上に、2mDBTBPDBq−II及びIr(tppr)2(dpm)を、2mDBTBPDBq−II:Ir(tppr)2(dpm)=1:0.06(重量比)となるように共蒸着することにより、第3の発光層2013cを形成した。膜厚は20nmとした。
第3の発光層2013c上に、2mDBTBPDBq−IIを膜厚15nmとなるように成膜し、さらに、BPhenを膜厚15nmとなるように成膜することで、第2の電子輸送層2014bを形成した。
第2の電子輸送層2014b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層2016を形成した。
電子注入層2016上に銀とマグネシウムを銀:マグネシウム=10:1(体積比)で膜厚15nmとなるように成膜し、銀及びマグネシウムを含む導電層を形成した。さらに、インジウム錫酸化物をスパッタリング法によって膜厚70nmとなるように成膜し、第2の電極2005を形成した。
以上の工程によって、本実施例の発光素子を作製した。
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bを、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないようにガラス基板により封止する作業を行った後、それぞれの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bの電流密度−輝度特性を図16に示す。図16において、横軸は電流密度(mA/cm2)を表し、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。また、電圧−輝度特性を図17に示す。図17において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。また、発光スペクトルを、図18に示す。図18において、横軸は波長(nm)を表し、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。
発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bは、反射性を有する電極である第1の電極2001と、透光性を有する電極である第2の電極2005との光学距離をマイクロキャビティ効果が得られるように調整されているため、それぞれ所望のスペクトルが増強され、色純度が高い。
図18に示すように、発光素子Rからは、604nm付近にピークを有する良好な赤色発光が得られている。また、発光素子Gからは、534nm付近にピークを有する良好な緑色発光が得られている。また、発光素子Bからは、458nm付近にピークを有する良好な青色発光が得られている。
輝度約1000cd/m2が得られる条件で、発光素子R、発光素子G、及び発光素子Bのそれぞれにおいて、電流効率、CIE色度座標(x、y)、電圧、及び電流密度を測定した。測定結果を表1に示す。
ある輝度における電圧と電流密度の積を求めることで、エネルギー効率100%のときのその輝度における照射強度を把握することができる。発光素子からトランジスタに照射される光の実際の照射強度は、エネルギー効率を考慮することでおおよそ予測できる。
発光装置に適用した際に、各発光素子では0〜300cd/m2程度までの輝度が得られる条件を用いると想定すると、例えば、図16及び図17から、発光素子Rでは、輝度約300cd/m2における電圧が5.7V、電流密度が0.70mA/cm2である。したがって、発光素子Rでは、輝度300cd/m2におけるエネルギー効率100%のときの照射強度は、約4mW/cm2と見積もれる。例えば、エネルギー効率が20%であった場合、発光素子Rからトランジスタに照射される光の照射強度は、約0.8mW/cm2と見積もれる。これは、実施例1にてトランジスタに照射した光の照射強度と同程度である。
本実施例で示した発光素子の光を本発明の一態様に適用するトランジスタの酸化物半導体膜に照射することで、光の照射条件によらず、光を照射しない場合に比べて該トランジスタの閾値電圧の変化を抑制することができる。