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JP6294040B2 - スチレン系樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents
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JP6294040B2 - スチレン系樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents

スチレン系樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体 Download PDF

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本発明は、スチレン系樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体に関する。更に詳しくは、本発明は、少ない蒸気量で成形可能であり、かつ機械的強度(曲げ強度、圧縮強度等)に優れた発泡成形体を与え得るスチレン系樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体に関する。
従来、発泡成形体は軽量かつ、断熱性や機械的強度に優れることから魚箱や食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に使用されている。その中でも発泡性粒子を原料として製造される型内発泡成形体は所望の形状を得やすい等の利点から多く使用されている。
発泡成形体を製造するための原料である発泡性粒子として、発泡性スチレン樹脂粒子が汎用されており、例えば次のようにして発泡成形体が得られている。即ち、発泡性スチレン樹脂粒子のような発泡性粒子を蒸気で加熱して予備発泡させて発泡粒子(予備発泡粒子)を得る。得られた予備発泡粒子を金型のキャビティ内に充填する。次いで、充填された予備発泡粒子を蒸気で二次発泡させつつ、予備発泡粒子同士の熱融着により一体化させることで発泡成形体を得ることができる。近年、省エネルギーの観点から蒸気をボイラー等で生成する際に必要な重油量の削減が求められており、少ない蒸気量で発泡成形体を製造できる発泡性スチレン系樹脂粒子が要望されている。
一般に、上記方法で得られた発泡成形体は、予備発泡粒子同士を熱融着により一体化させているため、融着面の強度が融着面以外の部分より弱かった。この融着面の強度の弱さは、機械的強度を劣らせるという短所につながっている。特に少ない蒸気量で成形した場合、予備発泡粒子同士の熱融着の強度が劣る傾向にあり、その結果、十分な機械的強度を有する発泡成形体が得られない場合が多い。従って、機械的強度の向上した発泡成形体を提供すること望まれている。
蒸気量を低減する観点から、特開2011−26508号公報(特許文献1)において、少ない蒸気量で外観、融着に優れた発泡成形体を提供可能な発泡性スチレン系樹脂粒子が提案されている。
特開2011−26508号公報
上記公報に記載された技術でも、十分な機械的強度を有する発泡成形体を省エネルギーで得ることができる。しかし、更なる省エネルギー性向上の観点から、より少ない蒸気量でも成形性を維持したままで、機械的強度(曲げ強度、圧縮強度等)を有する発泡成形体の提供が望まれていた。
本発明の発明者は、発泡成形体の機械的強度を向上するために、スチレン系樹脂粒子のガラス転移温度について見直した。その結果、中心部のガラス転移温度が全体のガラス転移温度より低いことで、少ない蒸気量でも発泡成形体に優れた機械的強度を与えうるスチレン系樹脂粒子を提供できることを見出し、本発明に至った。
かくして本発明によれば、単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分を含むスチレン系樹脂粒子であり、
前記スチレン系樹脂粒子は、全体のガラス転移温度より2〜5℃低い中心部のガラス転移温度を有することを特徴とするスチレン系樹脂粒子が提供される。
本発明によれば、上記スチレン系樹脂粒子と発泡剤とを含む発泡性粒子が提供される。更に、本発明によれば、上記発泡性粒子を発泡させて得られた発泡粒子が提供される。また、本発明によれば、上記発泡粒子を発泡成形させて得られた発泡成形体が提供される。
本発明によれば、少ない蒸気量でも、機械的強度に優れた発泡成形体を与えうる、スチレン系樹脂粒子、発泡性粒子及び発泡粒子を提供できる。この効果は、中心部のガラス転移温度が全体のガラス転移温度より低いことにより奏されると発明者は考えている。本発明の機械的強度に優れた発泡成形体により、成形時の省エネルギー化を維持しつつ、曲げ強度、圧縮強度等が向上できる。
本発明の発泡成形体は、従来の発泡成形体より薄くても、同程度の機械的強度を得ることができる。そのため原料であるスチレン系樹脂粒子の使用量を削減できる。発泡成形体の軽量化による輸送コストの削減も可能となる。
また、(1)スチレン系樹脂粒子は、全体のガラス転移温度より5〜20℃高い表層のガラス転移温度を有する場合、
(2)中心部が炭素数1〜10のアルキル基を有する単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分を含み、表層が炭素数1〜10のアルキル基を有する単官能メタクリル酸エステル又はα−メチルスチレン由来の樹脂成分を含む場合、
(3)単官能アクリル酸エステルがアクリル酸ブチルであり、単官能メタクリル酸エステルがメタクリル酸メチルである場合、
(4)表層が、70万〜200万のZ平均分子量を有する場合
のいずれかであれば、より機械的強度に優れた発泡成形体をより省エネルギーで与えうる樹脂粒子を提供できる。
中心部のガラス転移温度Tgの測定前後の発泡成形体の断面図の写真である。
(スチレン系樹脂粒子)
(1)構成成分
スチレン系樹脂粒子は、全体のガラス転移温度より2〜5℃低い中心部のガラス転移温度を有している。中心部のガラス転移温度が低いことにより、スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子とし、発泡性粒子を発泡させて発泡粒子とする際に、発泡性粒子に加えられる熱量が少なくても(蒸気量が少なくても)、所望の倍率の発泡粒子を得ることができる。中心部のガラス転移温度を下げる方法は種々あるが、その一方法としてスチレン系樹脂粒子を構成する樹脂の存在位置を調整する方法がある。例えば、本発明のスチレン系樹脂粒子は、単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分を含んでいるが、この樹脂成分を中心部に多く含ませることで、中心部のガラス転移温度を下げることができる。
ここで、スチレンホモポリマーのガラス転移温度は100℃であり、単官能アクリル酸エステルの内、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル及びアクリル酸ブチル、アクリル酸オクチルのホモポリマーのガラス転移温度は、それぞれ6℃、−24℃、−48℃、−55℃、及び−65℃である。このようなガラス転移温度を参考に、所望する省エネルギー性及び機械的強度が得られるように単官能アクリル酸エステルの選択、その含有量及び存在位置を調整すればよい。単官能アクリル酸エステルは、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチル、アクリル酸ブチルが好ましい。ここで、相溶性の観点から、単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分は、スチレン系モノマーとの共重合体の形態で、スチレン系樹脂粒子中に存在することが好ましい。
また、スチレン系樹脂粒子は、全体のガラス転移温度より5〜20℃高い表層のガラス転移温度を有することが好ましい。このような表層を有することで、省エネルギー性を保ったまま、より機械的強度の高い発泡成形体を与え得るスチレン系樹脂粒子を提供できる。これは次の理由によると発明者は考えている。即ち、発泡成形体の製造時にスチレン系樹脂粒子は、直接高温の金型と接することで耐熱性が低下する。また、スチレン系樹脂粒子の製造時に使用された可塑剤や溶剤が表層に局在化することでも耐熱性が低下する。この耐熱性の低下は、発泡成形体の機械的強度の低下につながるが、これを表層のガラス転移温度を上げることで抑制できる。
表層のガラス転移温度を上げる方法は種々あるが、その一方法としてスチレン系樹脂粒子を構成する樹脂の存在位置を調整する方法がある。例えば、単官能メタクリル酸エステル及びα−メチルスチレン由来の樹脂成分を表層に多く含ませることで、表層のガラス転移温度を上げることができる。単官能メタクリル酸エステルの内、メタクリル酸メチル、α−メチルスチレンのホモポリマーのガラス転移温度は、それぞれ105℃、及び180℃である。このようなガラス転移温度を参考に、所望する省エネルギー性及び機械的強度が得られるように単官能メタクリル酸エステル及びα−メチルスチレンの選択、その含有量及び存在位置を調整すればよい。
本明細書において、中心部とは、スチレン系樹脂粒子の中心から半径の約30%以内を意味し、表層とは、表面から半径の約20%以内を意味する。また、中心部及び表層のガラス転移温度は、スチレン系樹脂粒子が微小なためそのものから測定するのは困難であるから、所定の倍数に発泡させた発泡成形体を介して測定している。即ち、発泡成形体の表層を薄く剥いだ物から表層のガラス転移温度を、発泡成形体を構成する融着した発泡粒子の中心部をくり抜いた物から中心部のガラス転移温度を、それぞれスチレン系樹脂粒子の表層と中心部のガラス転移温度と見なしている。なお、スチレン系樹脂粒子全体のガラス転移温度は、発泡成形体の全体のガラス転移温度とほぼ一致している。
スチレン系樹脂粒子は、スチレン系モノマー由来の樹脂成分を含む。スチレン系モノマーとしては、特に限定されず、公知のモノマーをいずれも使用できる。例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらスチレン系モノマーは、一種類でも、複数種の混合物であってもよい。好ましいスチレン系モノマーは、スチレンである。
スチレン系樹脂粒子は、スチレン系モノマーと共重合可能な多官能ビニル系モノマー由来の樹脂成分を含んでいてもよい。多官能性ビニル系モノマーは、発泡成形体の発泡成形性向上の観点から、ビニル基を2〜15個有するモノマーであることが好ましい。このような特定数のビニル基を有する多官能性ビニル系モノマーに由来する樹脂成分を含む樹脂粒子は、より機械的強度に優れた発泡成形体を提供可能である。具体的な多官能性ビニル系モノマーとしては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート等の3官能モノマーが挙げられる。多官能性ビニル系モノマーは、1種のみ使用しても、複数種使用してもよい。
スチレン系樹脂粒子を構成するスチレン系モノマー由来の樹脂成分と単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分と単官能メタクリル酸エステル及びα−メチルスチレン由来の樹脂成分との割合は、1:0.005〜0.1:0〜1.0(質量比)の範囲であることが好ましい。
単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分の割合が0.005より少ない場合、所望の強度の発泡成形体を得るには発泡成形時の蒸気圧を高く維持する必要があり、省エネルギー性に劣ることがある。0.1より多い場合、発泡成形体の強度が低下することがある。
単官能メタクリル酸エステル及びα−メチルスチレン由来の樹脂成分の割合が1.0より多い場合、低い成形蒸気圧で良好な発泡成形体が得られないことがある。
より好ましい割合は1:0.01〜0.08:0.05〜0.8の範囲であり、更に好ましい割合は1:0.01〜0.05:0.1〜0.6の範囲である。
また、単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分中、スチレン系モノマーと共重合した成分が占める割合は、70質量%以上であることが好ましい。一方、単官能メタクリル酸エステル及びα−メチルスチレン由来の樹脂成分中、スチレン系モノマーと共重合した成分が占める割合は、50質量%以上であることが好ましい。
なお、上記モノマー由来の樹脂成分の割合は、原料としてのモノマーの割合と実質的に一致している。更に、得られたスチレン系樹脂粒子に単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分及び単官能メタクリル酸エステル及びα−メチルスチレン由来の樹脂成分が使用されていること及び使用されているモノマーの種類は、残存するモノマーをガスクロマトグラフィーにより定性分析することにより判別可能である。
スチレン系樹脂粒子には、上記樹脂成分以外の他の成分が含まれていてもよい。
他の成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル等の樹脂成分が挙げられる。
また、物性を損なわない範囲内において、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、滑剤、結合防止剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。
難燃剤としては、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、ジアセチル化グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペートのようなアジピン酸エステル等が挙げられる。
滑剤としては、パラフィンワックス、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
結合防止剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルシリコン等が挙げられる。
融着促進剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
気泡調整剤としては、メタクリル酸エステル系共重合ポリマー、エチレンビスステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
(2)スチレン系樹脂粒子のガラス転移温度
中心部のガラス転移温度は、全体のガラス転移温度より2〜5℃低いことが好ましい。ガラス転移点の差が2℃未満の場合、省エネ発泡性が不十分となることがある。5℃以上の場合、機械的強度が不十分となることがある。
表層のガラス転移温度は、全体のガラス転移温度より5〜20℃高いことが好ましい。ガラス転移点の差が5℃未満の場合、機械的強度が不十分となることがある。20℃以上の場合、省エネ発泡性が不十分となることがある。表層のガラス転移温度は、全体のガラス転移温度より5〜15℃高いことがより好ましい。
なお、スチレン系樹脂粒子全体のガラス転移温度は95〜99℃、表層のガラス転移温度は100〜120℃、中心部のガラス転移温度は90〜97℃であることが好ましい。全体のガラス転移温度は、スチレン系樹脂粒子そのもののから測定できる。また、発泡成形体の任意に切り出した部位からも測定できる。
(3)表層のZ平均分子量
表層は、70万〜200万のZ平均分子量を有することが好ましい。ここでの表層は、上記ガラス転移点と同じ表層を意味し、Z平均分子量は、上記ガラス転移点の測定と同様に、発泡成形体の表層を薄く剥いだ物をGPC法により測定することで得られる。Z平均分子量が70万未満である場合、機械的強度が不十分となることがある。200万より大きい場合、発泡成形体を構成する発泡粒子間の融着性が低下し、その結果、機械的強度が低下することがある。より好ましい表層のZ平均分子量は80万〜180万の範囲であり、更に好ましくは80万〜150万の範囲である。スチレン系樹脂粒子全体のZ平均分子量は、60万〜100万の範囲であることが好ましい。また、表層は、全体よりZ平均分子量が10万〜50万大きいことが好ましい。
全体のZ平均分子量は、スチレン系樹脂粒子そのもののから測定でき、発泡成形体の全体のZ平均分子量とほぼ一致している。
(4)スチレン系樹脂粒子の形状
スチレン系樹脂粒子の形状は特に限定されない。例えば、球状、円柱状等が挙げられる。この内、球状であるのが好ましい。スチレン系樹脂粒子の平均粒子径は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、0.2mm〜5mmの平均粒子径のものを使用できる。また、成形型内への充填性等を考慮すると、平均粒子径は、0.3mm〜2mmがより好ましく、0.3mm〜1.4mmが更に好ましい。
(スチレン系樹脂粒子の製造方法)
スチレン系樹脂粒子の製造方法は特に限定されない。例えば、スチレン系樹脂からなる種粒子に、スチレン系モノマーを含むモノマー混合物を吸収させ重合させることで、樹脂粒子を得ることができる。
(1)種粒子
種粒子は、公知の方法で製造されたものを用いることができ、例えば、(i)スチレン系樹脂を押出機で溶融混練し、ストランド状に押し出し、ストランドをカットすることにより種粒子を得る押出方法、(ii)水性媒体、スチレン系モノマー及び重合開始剤をオートクレーブ内に供給し、オートクレーブ内において加熱、攪拌しながらスチレン系モノマーを懸濁重合させて種粒子を製造する懸濁重合法、(iii)水性媒体及びスチレン系樹脂粒子をオートクレーブ内に供給し、スチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させた後、オートクレーブ内を加熱、攪拌しながらスチレン系モノマーを連続的にあるいは断続的に供給して、スチレン系樹脂粒子にスチレン系モノマーを吸収させつつ重合開始剤の存在下にて重合させて種粒子を製造するシード重合法等が挙げられる。
また、種粒子は一部、又は全部に樹脂回収品を用いることができる。回収品を使用する場合は、押出方法による種粒子の製造が向いている。
種粒子の平均粒子径は、樹脂粒子の平均粒子径に応じて適宜調整できる。例えば平均粒子径が1mmの樹脂粒子を得ようとする場合には、平均粒子径が0.7mm〜0.9mm程度の種粒子を用いることが好ましい。更に、種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが10万〜70万が好ましく、更に好ましくは15万〜50万である。
(2)含浸工程
種粒子を水性媒体中に分散させてなる分散液中に、モノマー混合物を供給することで、各モノマーを種粒子に吸収させる。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
使用する各モノマーには、重合開始剤を含ませてもよい。重合開始剤としては、従来からモノマーの重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これら開始剤の内、残存モノマーを低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用することが好ましい。なお、重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
水性媒体中には、モノマーの小滴及び種粒子の分散を安定させるために懸濁安定剤が含まれていてもよい。懸濁安定剤としては、従来からモノマーの懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の難溶性無機化合物等が挙げられる。そして、前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましく、このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩等のスルフォン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
(3)重合工程
重合工程は、使用するモノマー種、重合開始剤種、重合雰囲気種等により異なるが、通常、70〜130℃の加熱を、3〜10時間維持することにより行われる。重合工程は、モノマーを含浸させつつ行ってもよい。
重合工程は、使用するモノマー全量を1段階で重合させてもよく、2段階以上に分けて重合させてもよい(種粒子の製造時の重合を含む)。2段階以上に分けるほうが、単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分と単官能メタクリル酸エステル及びα−メチルスチレン由来の樹脂成分の存在位置の調整がより容易である。更に、3段階以上に分けると、調整がより容易である。2段階以上に分けて重合させる場合、通常、含浸工程も2段階に分けて行われる。2段階以上に分けた重合工程の重合温度及び時間は、同一であっても、異なっていてもよい。重合工程は3段階であることが好ましい。
3段階で行われる場合、次のように重合工程を調整することが好ましい。
まず、スチレン系樹脂の種粒子に、単官能アクリル酸エステル(必要に応じて、スチレン系モノマーと共に)を吸収させて種粒子内で重合させる(第1工程)。
次に、第1工程を経て得られた粒子に、スチレン系モノマーを吸収させつつ重合させる(第2工程)。
更に、第2工程を経て得られた粒子に、単官能メタクリル酸エステル及びα−メチルスチレン(必要に応じて、スチレン系モノマーと共に)を吸収させつつ重合を行う(第3工程)。第3工程は任意工程である。
第3工程においては、種粒子の重合転化率を75質量%以上、100質量%未満の範囲に維持しつつ行うことが好ましい。重合転化率がこの範囲内であることで、単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分と単官能メタクリル酸エステル及びα−メチルスチレン由来の樹脂成分の存在位置の調整を簡便に行うことができる。好ましい重合転化率は、80〜98質量%の範囲であり、更に好ましい範囲は80〜97質量%である。
また、第2工程で使用するスチレン系モノマーの使用量は、第1工程〜第3工程までで使用するモノマー全量に対して、10質量%以上であることが好ましい。10質量%未満の場合、粒子の表層まで単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分が含まれたり、粒子の中心部まで単官能メタクリル酸エステル及びα−メチルスチレン由来の樹脂成分が含まれたりすることになり、省エネ成形性と高機械的強度性を有するスチレン系樹脂粒子を得ることが困難となることがある。
(発泡性粒子)
発泡性粒子は、上記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させた粒子である。
(1)発泡剤
発泡剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。特に、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状又は液状の有機化合物が適している。例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この内、炭化水素を使用するのが、オゾン層の破壊を防止する観点、及び空気と速く置換し、発泡成形体の経時変化を抑制する観点で好ましい。炭化水素の内、沸点が−45〜40℃の炭化水素がより好ましく、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等が更に好ましい。
更に、発泡剤の含有量は、2〜12質量%の範囲であることが好ましい。2質量%より少ないと、発泡性粒子から所望の密度の発泡成形体を得られないことがある。加えて、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が小さくなるために、発泡成形体の外観が良好とならないことがある。12質量%より多いと、発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなって生産性が低下することがある。より好ましい発泡剤の含有量は、3〜10質量%である。
(2)発泡性粒子の製造方法
発泡性粒子は、上記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより得ることができる。含浸は、重合(例えば、第3工程)と同時に湿式で行ってもよく、重合後に湿式又は乾式で行ってもよい。湿式で行う場合は、上記重合工程で例示した、懸濁安定剤及び界面活性剤の存在下で行ってもよい。
発泡剤の含浸温度は、60〜120℃が好ましい。60℃より低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、120℃より高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。より好ましい含浸温度は、70〜110℃である。
発泡助剤を、発泡剤と併用してもよい。発泡助剤としては、アジピン酸イソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
(発泡粒子)
発泡粒子は、水蒸気等を用いて所望の嵩密度に発泡性粒子を発泡させることで得られる。発泡粒子は、クッションの充填材等の用途ではそのまま使用でき、更に型内発泡させるための発泡成形体の原料として使用できる。発泡成形体の原料の場合、発泡粒子は予備発泡粒子と、発泡粒子を得るための発泡は予備発泡と、通常称される。
発泡粒子の嵩密度は、0.01〜0.04g/cm3の範囲であることが好ましい。発泡粒子の嵩密度が0.01g/cm3より小さい場合、次に得られる発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えて発泡成形体の断熱性能及び機械的強度が低下することがある。一方、嵩密度が0.04g/cm3より大きい場合、発泡成形体の軽量性が低下することがある。
なお、発泡前に、発泡性粒子の表面に、ステアリン酸亜鉛のような粉末状金属石鹸類を塗布しておくことが好ましい。塗布しておくことで、発泡性粒子の発泡工程において発泡粒子同士の結合を減少できる。
(発泡成形体)
発泡成形体は、例えば、食品、工業製品等の容器、魚、農産物等の梱包材、床断熱用の断熱材、盛土材、畳の芯材等に使用できる。発泡成形体は、これら使用用途に応じた形状をとり得る。本発明によれば、従来の発泡成形体より、同じ厚さであれば曲げ強度が約10%増強された(向上した)発泡成形体を提供でき、曲げ強度を同じにすれば約5%軽量化された発泡成形体を提供できる。
発泡成形体の密度は、0.01〜0.04g/cm3の範囲であることが好ましい。発泡成形体の密度が0.01g/cm3より小さい場合、発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えて発泡成形体の断熱性能及び機械的強度が低下することがある。一方、密度が0.04g/cm3より大きい場合、発泡成形体の軽量性が低下することがある。
発泡成形体は、例えば以下の方法により得ることができる。
発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填し、熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させることで、発泡成形体を製造できる。その際、発泡成形体の密度は、例えば、金型内への発泡粒子の充填量を調整する等して調製できる。
加熱発泡は、例えば、110〜150℃の熱媒体で、5〜50秒加熱することにより行うことができる。この条件であれば、粒子相互の良好な融着性を確保できる。より好ましくは、加熱発泡成形は、90〜120℃の熱媒体で、10〜50秒加熱することにより行うことができる。本発明では、熱媒体の成形蒸気圧(ゲージ圧)を0.03〜0.05MPaと、一般的な蒸気圧(例えば、0.06〜0.08MPa)より低い圧力下で加熱発泡を行うことができる。そのため、少ない蒸気量で発泡成形体を製造できる。
発泡粒子は、発泡成形体の成形前に、例えば常圧で、熟成させてもよい。発泡粒子の熟成温度は、20〜60℃が好ましい。熟成温度が低いと、発泡粒子の熟成時間が長くなることがある。一方、高いと、発泡粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下することがある。
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。なお、以下において、特記しない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<重合転化率>
核重合途中における種粒子(以下、成長途上粒子という)に含まれるモノマー量の測定方法は、下記要領で測定されたものをいう。
即ち、成長途上粒子を分散液中から取り出し、表面に付着した水分をガーゼにより拭き取り除去する。成長途上粒子を0.08g採取し、この採取した成長途上粒子をトルエン24mL中に溶解させてトルエン溶液を作製する。次に、このトルエン溶液中に、ウイス試薬10mL、5質量%のヨウ化カリウム水溶液30mL及び1質量%のでんぷん水溶液30mLを加える。得られた溶液を、N/40チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した結果を試料の滴定数(mL)とする。なお、ウイス試薬は、氷酢酸2Lにヨウ素8.7g及び三塩化ヨウ素7.9gを溶解してなるものである。一方、成長途上粒子を溶解させることなく、トルエン24mL中に、ウイス試薬10mL、5質量%のヨウ化カリウム水溶液30mL及び1質量%のでんぷん水溶液30mLを加える。得られた溶液を、N/40チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した結果をブランクの滴定数(mL)とする。
得られた滴定数から、成長途上粒子中における未反応のモノマー量を下記式に基づいて算出する。
成長途上粒子中のモノマー量(質量%)=
0.1322×(ブランクの滴定数−試料の滴定数)/試料の滴定数
更に、重合転化率は下記の式で算出される。
重合転化率(%)=
100×(試料質量−成長途上粒子のモノマー量)/試料質量
<Z平均分子量:Mz>
樹脂粒子の表層Z平均分子量は、発泡成形体の表層から測定する。即ち、発泡成形体は、樹脂粒子を予備発泡させて、型内成形したものであるから、樹脂粒子表層は発泡成形体表層に相当し、樹脂粒子表層のZ平均分子量は発泡成形体表層のZ平均分子量に相当する。樹脂粒子の全体のZ平均分子量は、樹脂粒子そのものから測定する。
密度0.0166g/cm3の発泡成形体を50℃で24時間乾燥後、ハムスライサー(富士島工機社製:FK−18N型)を用い、発泡成形体の表面から0.2〜0.3mm深さでカットし表層GPC測定用試料とする。この発泡成形体の表層は、スチレン系樹脂粒子の表面から半径約20%までの部分に相当する。全体GPC測定用試料は、樹脂粒子そのものを使用する。上記試料を以下のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いてZ平均分子量を測定する。尚、Z平均分子量はポリスチレン換算Z平均分子量を意味する。
上記試料3mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLに溶解させ(完全溶解)、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過して測定する。予め測定し、作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の重量平均分子量を求める。また、クロマトグラフの条件は下記の通りとする。
・装置:高速GPC装置
・商品名:東ソー社製 HLC−8320GPC EcoSEC-WorkStation(RI検出器内臓)
・分析条件
カラム:TSKgel SuperHZM−H×2本(4.6mmI.D×15cmL×2本)
ガードカラム:TSKguardcolumn SuperHZ−H×1本(4.6mmID×2cmL)
流量:サンプル側 0.175ml/min、リファレンス側 0.175ml/min
検出器:内蔵型RI検出器
濃度:0.3g/L
注入量:50μL
カラム温度:40℃
システム温度:40℃
溶離液:THF
(検量線の作成)
検量線用標準ポリスチレン試料としては、東ソー社製商品名「TSK standard POLYSTYRENE」の重量平均分子量が、500、2630、9100、37900、102000、355000、3840000、及び5480000である標準ポリスチレン試料と、昭和電工社製商品名「Shodex STANDARD」の重量平均分子量が1030000である標準ポリスチレン試料を用いる。
検量線の作成方法は以下の通りである。まず、上記検量線用標準ポリスチレン試料をグループA(重量平均分子量が1030000のもの)、グループB(重量平均分子量が500、9100、102000及び3480000のもの)及びグループC(重量平均分子量が2630、37900、355000及び5480000のもの)にグループ分けする。グループAに属する重量平均分子量が1030000である標準ポリスチレン試料を5mg秤量した後にTHF20mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入する。グループBに属する重量平均分子量が500、9100、102000及び3480000である標準ポリスチレン試料をそれぞれ10mg、5mg、5mg、及び5mg秤量した後にTHF50mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入する。グループCに属する重量平均分子量が2630、37900、355000及び5480000である標準ポリスチレン試料をそれぞれ5mg、5mg、5mg、及び1mg秤量した後にTHF40mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入する。これら標準ポリスチレン試料の保持時間から較正曲線(三次式)をHLC−8320GPC専用データ解析プログラムGPCワークステーション(EcoSEC−WS)にて作成し、これをポリスチレン換算重量平均分子量測定の検量線として用いる。
<ガラス転移温度>
測定用の中心部は、密度0.0166g/cm3の発泡成形品の任意の部分を発泡成形体を50℃で24時間乾燥後、ハムスライサー(富士島工機社製:FK−18N型)を用い、0.2〜0.3mm深さでスライスする。次いでスライス品上で任意に選定した粒子の直径を測定し、直径の30%の外径を有する円柱上の針金を使用して、粒子中心部と針金の中心部を併せて粒子中心部を貫通させてサンプルを採取する。一方、測定用の表層部サンプルはZ平均分子量測定と同様にして得る。なお、スチレン系樹脂粒子全体のガラス転移温度は、発泡成形体の任意の箇所を採取して試料として測定する。
(サンプル処理)
上記方法で採取した試料をTHFに溶解し、不純物をろ過した後に、メタノール中で再沈殿させる。沈殿物を90℃で2時間乾燥させることによりガラス転移温度測定用試料を6.5±0.5mg得る。
(ガラス転移温度測定方法)
JIS K7121 プラスチックの転移温度測定方法に準拠して、変曲点測定を行う。
測定装置:示差走査熱量計装置 DSC6220型(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)
試料量:6.5±0.5mg
窒素ガス流量:20mL/min
測定開始・終了温度:−20℃〜70℃
<予備発泡粒子の嵩密度>
予備発泡粒子の嵩倍数は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定する。具体的は、まず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させる。メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。Wg及びVcm3を下記式に代入することで、予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
予備発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
<発泡成形体の密度>
発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×30mm)の質量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm3)を求める。
<平均最大曲げ強度>
発泡体の平均最大曲げ強度をJIS A9511に記載の方法に準拠して測定する。具体的には発泡体の平均最大曲げ強度をJIS A9511:1999「発泡プラスチック保温材」に記載の方法に準拠して測定する。具体的には、密度16.7kg/m3の発泡体から縦75mm×横300mm×厚さ30mmの直方体形状の試験片を切り出す。しかる後、この試験片を曲げ強度測定器(オリエンテック社製商品名「UCT−10T」)を用いて、圧縮速度10mm/分、支点間距離200mm、加圧くさび10R及び支持台10Rの条件下にて測定する。試験片を5個用意し、試験片ごとに前記要領で最大曲げ強度を測定し、その相加平均を平均最大曲げ強度とする。
最大曲げ強度測定条件
荷重(fs%)開始点=0.0、終了点=20.0、ピッチ=0.2(fs%)
評価:平均最大曲げ強度が 0.32MPa以上:○
0.32MPa未満:×
<圧縮強度>
発泡体の平均最大曲げ強度をJIS A9511に記載の方法に準拠して測定する。具体的には発泡体の圧縮強度をJIS A9511:1999「発泡プラスチック保温材」に記載の方法に準拠して測定する。具体的には、密度16.7kg/m3の発泡体から縦100mm×横100mm×厚さ30mmの直方体形状の試験片を切り出す。しかる後、この試験片を曲げ強度測定器(オリエンテック社製商品名「UCT−10T」)を用いて圧縮速度10mm/分、圧縮冶具R10cmの条件下にて測定する。試験片を5個用意し、試験片ごとに前記要領で5%圧縮強度を測定し、その相加平均とする。
評価: 圧縮強度が0.10MPa以上:○
0.10MPa未満:×
以下に実施例を示すが、本発明はこの実施例に限定されない。
(実施例1)
(種粒子の製造)
内容量100Lの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0質量部を供給し攪拌しながらスチレン40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド144.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0質量部を添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記スチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mmのスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容積25Lの撹拌機付き重合容器に、重量平均分子量が25万であるスチレン樹脂(平均粒子径0.63mm;b)の種粒子2340g、ピロリン酸マグネシウム30g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10gを供給して撹拌しつつ72℃に加熱して分散液を作製した。
続いて、ベンゾイルパーオキサイド45.9g、t−ブチルパーオキシベンゾエート6.1gをスチレン850g、アクリル酸n−ブチル150gの混合物に溶解させた溶液を全て前記分散液中に撹拌しつつ供給した。
そして分散液中に前記溶液を供給し終えてから60分間維持した(第1工程)。
その後にこの分散液を88℃まで60分かけて昇温しながら、スチレン2660gを一定速度で重合容器に投入し、種粒子に吸収させながら反応を行った(第2工程)。
次いで、分散液を88℃で保持しながらスチレン500g、メタクリル酸メチル3500g、ジビニルベンゼン0.6gを溶解したものを一定速度で、90分かけて重合容器に投入し、種粒子に吸収させながら重合反応を行った(第3工程)。第3工程の重合転化率は85〜98%に維持した。
第3工程終了後、更に分散液を120℃まで昇温しかつ、60分保持することで未反応のモノマーを反応させた。得られたスチレン系樹脂粒子全体のガラス転移温度は、97℃であった。更にスチレン系樹脂粒子全体のMzは65万であった。
次に、分散液を100℃に保持し、続いて、重合容器内にシクロヘキサン80g、アジピン酸ジイソブチル70g、ノルマルブタン700gを圧入して3時間に亘って保持することにより、樹脂粒子中にノルマルブタンを含浸させた。この後、重合容器内を25℃に冷却して発泡性粒子を得た。
発泡性粒子の表面に、帯電防止剤としてポリエチレングリコールを塗布した。この後、更に、発泡性粒子の表面にステアリン酸亜鉛及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを塗布した。塗布後、発泡性粒子を13℃の恒温室にて5日間放置した。そして、発泡性粒子を加熱して嵩密度0.0166g/cm3に予備発泡させて予備発泡粒子を得た。予備発泡粒子を20℃で24時間熟成させた。
次に、予備発泡粒子を金型内に充填して0.05MPaの蒸気圧で加熱発泡させて、縦400mm×横300mm×厚さ30mmの発泡成形体を得た。発泡成形体を50℃の乾燥室で6時間乾燥した後、密度を測定したところ、0.0166g/cm3(16.6kg/m3)であった。発泡成形体は、収縮もなく外観も優れていた。得られた発泡成形体(樹脂粒子)の表層のガラス転移温度及びMzは101℃及び130万であった。また、発泡成形体(樹脂粒子)中心部のガラス転移温度は95℃であった。この発泡成形体の曲げ強度は0.330MPaと優れていた。なお、中心部のガラス転移温度及びMz測定のための試料の入手前後の発泡成形体の断面写真を図1(a)及び(b)に示す。
(実施例2)
スチレン500g、メタクリル酸メチル3500g、ジビニルベンゼン0.5gに代えて、スチレン100g、メタクリル酸メチル3900gを使用したこと以外は、実施例1と同様に発泡成形体を得た。得られた発泡成形体(樹脂粒子)の表層のガラス転移温度及びMzは102℃及び115万であった。また、発泡成形体(樹脂粒子)中心部のガラス転移温度は95℃であった。更に、樹脂粒子全体のガラス転移温度及びMzは98℃及び63万であった。この発泡成形体の曲げ強度は0.340MPaと優れていた。
(実施例3)
スチレン500g、メタクリル酸メチル3500g、ジビニルベンゼン0.5gに代えて、メタクリル酸メチル4000gのみを使用したこと以外は、実施例1と同様に発泡成形体を得た。得られた発泡成形体(樹脂粒子)の表層のガラス転移温度及びMzは104℃及び75万であった。また、発泡成形体(樹脂粒子)中心部のガラス転移温度は96℃であった。更に、樹脂粒子全体のガラス転移温度及びMzは99℃及び67万であった。この発泡成形体の曲げ強度は0.347MPaと優れていた。
(実施例4)
スチレン500g、メタクリル酸メチル3500g、ジビニルベンゼン0.5gに代えて、スチレン3000g、α−メチルスチレン1000gを使用したこと以外は、実施例1と同様に発泡成形体を得た。得られた発泡成形体(樹脂粒子)の表層のガラス転移温度及びMzは115℃及び74万であった。また、発泡成形体(樹脂粒子)中心部のガラス転移温度は96℃であった。更に、樹脂粒子全体のガラス転移温度及びMzは99℃及び68万であった。この発泡成形体の曲げ強度は0.355MPaと優れていた。
(実施例5)
スチレン500g、メタクリル酸メチル3500g、ジビニルベンゼン0.5gに代えて、スチレン500g、メタクリル酸メチル3500g、ジビニルベンゼン1.2gを使用したこと以外は、実施例1と同様に発泡成形体を得た。得られた発泡成形体(樹脂粒子)の表層のガラス転移温度及びMzは102℃及び187万であった。また、発泡成形体(樹脂粒子)中心部のガラス転移温度は95℃であった。更に、樹脂粒子全体のガラス転移温度及びMzは97℃及び67万であった。この発泡成形体の曲げ強度は0.352MPaと優れていた。
(比較例1)
スチレン500g、メタクリル酸メチル3500g、ジビニルベンゼン0.5gに代えて、スチレン4000gを使用したこと以外は、実施例1と同様に発泡成形体を得た。得られた発泡成形体(樹脂粒子)の表層のガラス転移温度及びMzは96℃及び63万であった。また、発泡成形体(樹脂粒子)中心部のガラス転移温度は96℃であった。更に樹脂粒子全体のガラス転移温度及びMzは97℃及び64万であった。この発泡成形体の曲げ強度は0.310MPaと劣るものであった。
(比較例2)
スチレン500g、メタクリル酸メチル3500gに代えて、スチレン2000g、α−メチルスチレン2000gを使用したこと以外は、実施例1と同様に発泡成形体を得た。得られた発泡成形体(樹脂粒子)の表層のガラス転移温度及びMzは124℃及び112万であった。また、発泡成形体(樹脂粒子)中心部のガラス転移温度は95℃であった。更に、樹脂粒子全体のガラス転移温度及びMzは101℃及び65万であった。この発泡成形体の曲げ強度は0.297MPaと劣るものであった。
実施例1〜5及び比較例1〜2の結果を表1にまとめて示す。
実施例1〜5及び比較例1〜2から、中心部が全体より2〜5℃低いガラス転移温度を有することで、少ない蒸気量でも機械的強度の向上した発泡成形体を得られることが分かる。

Claims (8)

  1. 単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分を含むスチレン系樹脂粒子であり、
    前記スチレン系樹脂粒子は、全体のガラス転移温度より2〜5℃低い中心部のガラス転移温度を有することを特徴とするスチレン系樹脂粒子。
  2. 前記スチレン系樹脂粒子は、全体のガラス転移温度より5〜20℃高い表層のガラス転移温度を有する請求項1に記載のスチレン系樹脂粒子。
  3. 前記中心部が炭素数1〜10のアルキル基を有する単官能アクリル酸エステル由来の樹脂成分を含み、前記表層が炭素数1〜10のアルキル基を有する単官能メタクリル酸エステル又はα−メチルスチレン由来の樹脂成分を含む請求項2に記載のスチレン系樹脂粒子。
  4. 前記単官能アクリル酸エステルがアクリル酸ブチルであり、前記単官能メタクリル酸エステルがメタクリル酸メチルである請求項に記載のスチレン系樹脂粒子。
  5. 前記表層が、70万〜200万のZ平均分子量を有する請求項〜4のいずれか1つに記載のスチレン系樹脂粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のスチレン系樹脂粒子と発泡剤とを含む発泡性粒子。
  7. 請求項6に記載の発泡性粒子を発泡させて得られた発泡粒子。
  8. 請求項7に記載の発泡粒子を発泡成形させて得られた発泡成形体。
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