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JP6299502B2 - 圧電組成物および圧電素子 - Google Patents
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JP6299502B2 - 圧電組成物および圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電発音体、圧電センサ、圧電アクチュエータ、圧電トランスまたは圧電超音波モータ等の分野において広く利用される圧電組成物および圧電素子に関する。
圧電組成物を利用した圧電素子は、外部から電界が印加されることにより歪みを発生する効果と、外部から応力を受けることにより表面に電荷が発生する効果を有するものであり、近年、各種分野で幅広く利用されている。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)などの圧電組成物を利用した圧電素子は、印加電圧に比例した歪みを発生し、変位量は1×10−10m/Vオーダーのレベルであることから、微少な位置調整に優れており、光学系の微調整に利用されている。
また、圧電組成物は加えられた応力、あるいはこの応力による変形量に比例した大きさの電荷が発生することから、微少な力や変形量を読み取るためのセンサとしても利用されている。更に、圧電組成物は優れた応答性を有することから、交流電界を印加することで、圧電組成物自身、あるいは圧電組成物と接合関係にある弾性体を励振して共振を起こさせることも可能であり、圧電トランス、超音波モータなどとしても利用されている。
現在、実用化されている大半の圧電組成物は、ジルコン酸鉛(PbZrO;PZ)とチタン酸鉛(PbTiO:PT)からなる固溶体系(PZT系)である。このPZT系圧電組成物に様々な副成分、あるいは添加物を加えることにより、多種多様なニーズに応えるものが幅広く開発されている。例えば、機械的品質係数(Q)が小さい代わりに圧電定数(d)が大きく、直流的な使い方で大きな変位量が求められる位置調整用のアクチュエータなどに用いられるものから、dが小さい代わりにQが大きい、超音波モータなどの超音波発生素子のような交流的な使い方をする用途に向いているものまで、様々なものがある。
また、PZT系以外にも圧電組成物として実用化されているものはあるが、それもマグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg,Nb)O:PMN)などの鉛系ペロブスカイト組成物を主成分とする固溶体がほとんどである。
ところが、鉛系圧電組成物は、低温でも揮発性が極めて高い酸化鉛が60〜70質量%程度含まれており、環境への配慮から使用される酸化鉛の低減が望まれている。さらに、今後、圧電磁器および圧電単結晶の応用分野が広がり、使用量が増大すると、圧電組成物の無鉛化が極めて重要な課題となる。
鉛を全く含有しない圧電組成物としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO:BT)、あるいはビスマス層状強誘電体などが知られている。しかし、BTはキュリー点が120℃と低く、その温度以上では圧電性が消失してしまうので、はんだによる接合または車載用などの用途を考えると実用的でない。一方、ビスマス層状強誘電体は、通常400℃以上のキュリー点を有しており、熱的安定性に優れているが、結晶異方性が大きいために、ホットフォージング法によって印加されたせん断応力によって自発分極を配向させる必要があり、生産性の点で問題がある。
一方、最近では、新たな圧電組成物として、チタン酸ナトリウムビスマス系の組成物について研究が進められている。例えば、非特許文献1には、チタン酸ナトリウムカリウムビスマスにアルミン酸ビスマスが添加された圧電組成物が開示されている。
D.S.Lee et al., Jpn. J. Appl. Phys., 52 (2013) 021801.
しかしながら、非特許文献1に開示されている圧電組成物は、鉛系圧電組成物に比べ、十分な圧電特性が得られていない。
そこで、本発明は圧電特性、とりわけ自発分極が大きく、抵抗率が高く、かつ鉛を使わないことで低公害化、対環境性および生態学的見地からも、優れた圧電組成物および圧電素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、チタン酸ナトリウムビスマス系組成物で、優れた圧電特性を示す圧電組成物を見出した。
すなわち、本発明は、下記式(1)で示されるペロブスカイト型構造の酸化物を主成分として含有する圧電組成物
(Bi(x+0.5y+z)Na0.5y(AlTi(y+0.5z)Ni0.5z)O(1)
上記式(1)中、x、y、z、mはそれぞれ
0.01≦x≦0.20
0.60≦y≦0.95
0.01≦z≦0.35
0.75≦m≦1.00
x+y+z=1
である。
上記範囲の組成にすることにより、圧電特性、とりわけ自発分極を増加させ、抵抗率を上げることができる。
また、本発明は、上記圧電組成物を備えた圧電素子を提供する。本発明によれば、例えばインクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、薄膜センサなどにおいてもアクチュエータ変位やセンサ感度の高い圧電素子を提供することができる。さらに、高い抵抗率が得られることから、アクチュエータ素子として動作をさせた場合、駆動回路の消費電力を抑制することができる。
本発明によれば、とりわけ自発分極が大きく、抵抗率が高く、かつ鉛を使わないことで低公害化、対環境性および生態学的見地からも、優れた圧電組成物および圧電素子を提供できる。
本発明の実施形態に係る圧電素子の模式断面図である。
図1は本発明の一実施形態に係わる、圧電素子の模式断面図である。熱酸化膜2を有する基板1上にTi密着層3、下部電極4、圧電薄膜5および上部電極6を順に堆積し、圧電素子評価構造とする。基板1としては単結晶Si基板、あるいはMgOやSrTiO等の酸化物単結晶基板等が挙げられる。熱酸化膜2は、例えば、基板1を酸化することにより形成され、基板1がSiの場合、SiOである。ただし、酸化物単結晶基板を用いる場合、熱酸化膜2は無くてもよい。密着層3はTi等が挙げられる。上部電極4、下部電極6としてはPt、あるいはSrRuO等の導電性酸化物等が挙げられる。
圧電薄膜5を形成する本実施形態に係る圧電組成物は、主成分がペロブスカイト型構造の下記式(1)で表される酸化物
(Bi(x+0.5y+z)Na0.5y(AlTi(y+0.5z)Ni0.5z)O(1)
上記式(1)中、x、y、z、mはそれぞれ、
0.01≦x≦0.20
0.60≦y≦0.95
0.01≦z≦0.35
0.75≦m≦1.00
x+y+z=1
である。
上記xの範囲は、0.01≦x≦0.20であり、より好ましくは、0.05≦x≦0.15である。xが0.01より小さい場合は抵抗率が低下し、xが0.20より大きい場合は、異相発生に伴う自発分極の低下が起こる。さらにyの範囲は、0.60≦y≦0.95であり、より好ましくは、0.77≦y≦0.95である。yが0.60より小さい場合は十分な自発分極が得られない。yが0.95より大きい場合には、抵抗率の低下が起こる。さらにzの範囲は、0.01≦z≦0.35であり、より好ましくは0.01≦z≦0.18である。zが0.01より小さい場合は十分な自発分極が得られず、zが0.35より大きい場合には異相発生に伴う自発分極の低下が起こる。
上記式(1)式のmは0.75≦m≦1.00の範囲が好ましい。mは圧電組成物全体におけるペロブスカイト構造化合物のAサイト原子とBサイト原子の構成比であるA/B比を表し、化学量論組成であれば1.00である。mが1.00以上の場合は焼結温度が上がり、粒成長が抑制され、圧電特性は得られない。一方、mが1.00以下であれば焼結性を高めるとともに、より高い圧電特性を得ることができる。しかしながら0.75未満であるとペロブスカイト相の結晶相以外の発生により圧電特性が低下したり、異相の発生によって抵抗率も低下することから、0.75以上1.00以下の範囲内が好ましい。
本実施形態に係る圧電組成物は、上記式(1)の組成式にあてはまるものであれば各成分の混合形態は限定されないが、例えば、第1の化合物であるアルミン酸ビスマス、第2の化合物であるチタン酸ナトリウムビスマスおよび第3の化合物であるニッケル酸チタン酸ビスマスの三成分を主成分として含有する。すなわち、前記第1の化合物、第2の化合物及び第3の化合物を含んでおり、それらは固溶しているが、完全に固溶していなくてもよい。第1の化合物、第2の化合物、および第3の化合物の化学式を用いると、下記式(2)で記述することが可能である。
xBis1AlO−y(Bi0.5Na0.5t1TiO−zBiu1(Ni0.5Ti0.5)O (2)
上記式(2)中、x、y、z、s1、t1、u1はそれぞれ、
0.01≦x≦0.20
0.60≦y≦0.95
0.01≦z≦0.35
x+y+z=1であり、s1、t1、u1は0.75以上1.00以下である。
上記式(2)の第1の化合物としては、アルミン酸ビスマスが挙げられる。アルミン酸ビスマスの組成は、下記式(3)に表され、Bi(ビスマス)がペロブスカイト構造のAサイトに位置し、Al(アルミニウム)がペロブスカイト構造のBサイトに位置している。
Bis1AlO (3)
第1の化合物である上記式(3)において、s1はBサイトに位置する元素に対するAサイトに位置する元素のモル比による組成比(以下、A/B比と呼ぶ)を表し、化学量論組成であれば1.00である。1.00以下であれば焼結性を高めることができると共により高い圧電特性を得ることができる。更に0.75以上1.00以下の範囲内であれば、より高い圧電特性を得ることができるのでより好ましい。アルミニウム、ビスマス、およびO(酸素)の組成は化学量論組成から求めたものであるが、化学量論組成からずれていてもよい。
上記式(2)の第2の化合物としては、チタン酸ナトリウムビスマスが挙げられる。チタン酸ナトリウムビスマスの組成は下記式(4)により表され、Na(ナトリウム)及びビスマスがペロブスカイト構造のAサイトに位置し、Ti(チタン)がペロブスカイト構造のBサイトに位置している。
(Bi0.5Na0.5t1TiO (4)
第2の化合物である上記式(4)において、t1はA/B比を表し、化学量論組成であれば1.00である。1.00以下であれば焼結性を高めることができると共により高い圧電特性を得ることができる。更に0.75以上1.00以下の範囲内であれば更に高い圧電特性を得ることができるのでより好ましい。ビスマス、ナトリウム、チタン、および酸素の組成は化学量論組成から求めたものであるが、化学量論組成からずれていてもよい。
上記式(2)の第3の化合物としては、ニッケルチタン酸ビスマスが挙げられる。ニッケルチタン酸ビスマスの組成は下記式(5)により表され、ビスマスがペロブスカイト構造のAサイトに位置し、Ni(ニッケル)及びチタンがペロブスカイト構造のBサイトに位置している。
Biu1(Ni0.5Ti0.5)O (5)
第3の化合物である上記式(5)において、u1はA/B比を表し、化学量論組成であれば1.00であることが好ましい。但し、1.00以下であれば焼結性を高めることができると共により高い圧電特性を得ることができる。更に0.75以上1.0以下の範囲であれば、より高い圧電特性を得ることができるのでより好ましい。ビスマス、ニッケル、チタン、および酸素の組成は化学量論組成から求めたものであるが、化学量論組成からずれていてもよい。
上記s1、t1、およびu1において、xs1+yt1+zu1=mであることから、0.75≦m≦1.00を満たすことができる。
なお、上記における主成分とは、材料組成物を構成する成分全体の90mol%以上のことを示す。
本実施形態による圧電組成物が優れた圧電特性を有する理由は、必ずしも明らかではないが、以下の通りに推測される。(Bi0.5Na0.5)TiOは強誘電体であり、Bi(Ni0.5Ti0.5)Oと固溶させることによってリラクサ型の強誘電体となる。ところがリラクサ材料の場合、ドメイン構造は存在せずPolar−Nano−Regionと呼ばれる不安定な分極のみが存在してしまう。そこで強誘電体であるBiAlOとの固溶により、安定でサブミクロンサイズのドメインを形成することができる。さらにBiAlOは正方晶系ペロブスカイト構造化合物のc軸長とa軸長の比が高いという特徴を有するので、この材料を固溶させることにより、電場を印加したときのイオン移動量が大きくなり、結果として大きな圧電変位を得ることができる。ただし、メカニズムは必ずしもこれに限定されない。
本実施形態は、上記式(1)で表される主成分のほかに、不純物または他の化合物の構成元素を、数十から数百ppmオーダー程度であれば含んでいてもよい。そのような元素としては、例えば、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Cu(銅)、Ba(バリウム)、Sr(ストロンチウム)、Ca(カルシウム)、K(カリウム)、Li(リチウム)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Si(ケイ素)、B(ホウ素)、および希土類元素が挙げられる。
なお、本実施形態の圧電組成物は、不純物として鉛を含んでいてもよいが、その含有量は1質量%以下であることが好ましく、鉛を全く含まないことがより好ましい。焼成時における鉛の揮発、および圧電部品として市場に流通し、廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができ、低公害化、対環境性および生態学的見地から好ましいためである。
このような構成を有する圧電組成物は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、出発原料として、酸化ビスマス、炭酸ナトリウム、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化アルミニウムなどの粉末を必要に応じて用意し、100℃以上で十分に乾燥させたのち、目的とする組成に応じて秤量する。なお、出発原料には、酸化物に代えて、炭酸塩、あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよい、
次いで、秤量した出発原料を、例えば、ボールミルなどで有機溶媒中または水中で5時間〜20時間十分に混合したのち、十分乾燥し、プレス成形して、700℃〜800℃で1時間〜3時間程度仮焼する。続いて、この仮焼物をボールミルなどで、有機溶媒中または水中で5時間〜30時間粉砕したのち、再び乾燥し、バインダー溶液を加えて造粒する。造粒したのち、この造粒粉をプレス成形してブロック状とする。
ブロック状としたのち、この成形体を400℃〜800℃で2時間〜4時間程度、熱処理してバインダーを揮発させ、700℃〜1200℃で2時間〜4時間程度本焼成する。本焼成の際の昇温速度および降温速度は、共に例えば50℃/時間〜300℃/時間程度とする。本焼成ののち、得られた焼結体を必要に応じて研磨し、電極を設ける。そののち、25℃〜150℃のシリコンオイル中で5MV/m〜10MV/mの電界を5分間〜1時間程度印加して分極処理を行う。これにより、上述した圧電組成物が得られる。
上記の製法は固相反応法と呼ばれるが、これ以外の代表的な製法として気相成長法が挙げられる。気相成長法は、真空環境下において原材料(ターゲット材)を蒸発させ、平滑な基板上に数10nmから数μm程度の厚みを持つ薄膜を形成する手法である。
気相成長法はスパッタリング法、電子ビーム蒸着法、パルスレーザー堆積(Pulsed Laser Deposition:PLD)法などが望ましい。これらの工法を用いることによって、原子レベルでの緻密な膜形成が可能となり、偏析などが生じにくくなる。これらの気相成長法は原材料(ターゲット材)を物理的に蒸発させ、基板上に堆積させるが、成膜工法によって励起源が異なる。スパッタリング法の場合はArイオン、電子ビーム蒸着法の場合は電子ビーム、PLD法の場合はレーザー光が励起源となって、ターゲットに照射される。
気相成長法において、圧電薄膜を成膜する方法は上記のように様々な手法があるが、代表例として、PLD法の詳細について説明を行う。真空チャンバー内にて、到達圧力が1x10−5以下の超高真空下で基板を500〜1000℃の範囲で加熱を行うことで、基板表面の清浄度を改善する効果がある。成膜工程においては、ターゲットに集光したレーザーを照射すると、ターゲット表面からプルームと呼ばれる発光柱が発生する。プルームは原子・分子・イオンなどの励起化学種で構成され、これら励起化学種が対向基板に堆積され薄膜が形成される。基板温度以外の成膜パラメータとしては、酸素分圧、レーザーのパワー密度、基板―ターゲット間距離などがある。これらのパラメータを制御することによって、所望の薄膜を得ることができる。また、通常、酸化物作製時には酸素ガスが導入するが、酸素分圧は10〜10−4Pa程度の範囲で行うのが望ましい。
成膜時の原料として用いられるターゲット材は、上記の固相反応法で作製した焼結体を用いることができる。このような気相成長法を用いる場合、本発明の圧電組成物をSi基板、MgO基板、あるいはSrTiO基板上などに形成することが一般的である。Si基板上に圧電材料を堆積させる場合、まず、TiやCrなどの密着層を成膜したあと、Pt下部電極を成膜する。圧電多結晶薄膜を得る手法としては、基板の加熱を行いながら結晶成長させる手法と、室温で成膜した後に所望の温度で焼成を行い、多結晶膜を得る方法がある。いずれの方法においても、成膜パラメータおよび熱処理パラメータの調整によって、所望の結晶相を得ることができる。
本件の圧電組成物は、例えば圧電発音体、圧電センサ、圧電アクチュエータ、圧電トランス、薄膜センサ、薄膜アクチュエータまたは圧電超音波モータ等に使用できるが、圧電組成物を使用できる圧電素子であればこれら以外のものに適用してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜12)
図1に示すような圧電素子を準備した。基板1には熱酸化膜付きSi基板を用いた。基板1は、直径3インチの円形状基板であり、(100)面方位、厚さ0.5mmのSi基板と、その上に形成された厚さ500nmの熱酸化膜2とからなる。まず、この基板1上にRFマグネトロンスパッタリング法でTi密着層3および下部電極層4をこの順に形成した。下部電極層4は熱酸化膜2の上に形成された膜厚20nmのTi密着層3と、その上に形成された膜厚200nmで、(111)面に優先配向したPt下部電極層4とからなる。Ti密着層3の厚みは、密着層として機能する範囲で適宜調整可能である。
Ti密着層3とPt下部電極層4の成膜条件として、基板温度は室温、放電パワー100W、導入ガスはAr、および成膜圧力は0.3Paで行った。
次に、Pt下部電極層4上に、圧電薄膜5を成膜する。成膜方法としてPLD法を用いた。圧電薄膜5の厚みは500nmとした。PLDターゲットとして、(Bi0.5Na0.5)TiO、Bi(Ni0.5Ti0.5)O、Bi、およびAlをターゲットとして用いた。それぞれの成膜レートは0.04nm/パルス、0.03nm/パルス、0.13nm/パルス、および0.02nm/パルスであり、レーザーのパルス数を調整する事によって、表1に示されるような組成比とした。また、成膜条件として、基板温度は室温、レーザーパワーは〜2J/cm、酸素分圧1.33x10−3Paで行った。成膜後、酸素雰囲気中で500〜900℃で1分の熱処理を行った。これら手法により、実施例1〜12に係る圧電薄膜5を得た。
圧電薄膜5の電気特性を評価するために、図1に示すように圧電薄膜5の上面に膜厚100nmのPt層をRFマグネトロンスパッタリング法で形成した。成膜条件は下部電極と同条件である。その後、Pt層をフォトリソグラフィ、エッチングなどにより、パターニングすることによって、上部電極6を形成し、図1に示すような電気特性の評価が可能な圧電素子の作製を行った。
圧電特性の評価として、自発分極P[μC/cm]の測定を実施した。自発分極は圧電定数[C/N]と応力[N/m]の積で求められることから、高い圧電定数を得るためには自発分極を最大化する必要がある。自発分極の測定はソーヤタワー回路を用いて行い、±50kV/mmの範囲で交流電界を印加しながら、自発分極の測定を行い、分極の最大値Pmについて比較を行った。このときの回路入力周波数は1kHzである。併せて圧電素子の抵抗値の評価を行った。抵抗測定においては、ソーヤタワー法により得られた電流値と電圧値の比から抵抗値を算出し、さらに電極面積と素子厚みから抵抗率ρ[Ohm*cm]の計算を行った。
(比較例1〜6)
比較例1〜6に関して、BiとAlの元素比を1:1としたターゲット、(Bi0.5Na0.5)TiO、およびBi(Ni0.5Ti0.5)Oの組成比を表1の通り変更し、前記実施例と同様の方法で、圧電素子を作製した。
自発分極の最大値Pm及び抵抗率ρの結果を表1に示す。
Figure 0006299502
表1に示したように、BiAlOの組成比xの範囲が0.01≦x≦0.20、(Bi0.5Na0.5)TiOの組成比yの範囲が0.60≦y≦0.95、Bi(Ni0.5Ti0.5)Oの組成比zの範囲が0.01≦z≦0.35、かつx+y+z=1を満たしている場合には、自発分極の最大値Pmについて、比較例1に比べて1.5倍以上の値が得られた。すなわち、第1の化合物であるアルミン酸ビスマスと第2の化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス、そして第3の化合物であるニッケル酸チタン酸ビスマスとを含むように、あるいはそれらの固溶体を含むようにすれば、圧電特性を向上させることができる。
抵抗率ρについても比較例と実施例の比較を行った。アルミン酸ビスマスの添加量を増すことによって抵抗率は増加した。
(実施例13〜16、および比較例7〜8)
さらにmの範囲を検討するにあたっては、表2の組成において検討を行った。
実施例13〜16、および比較例7〜8においては、A/B比(mの値)を変更した(Bi0.5Na0.5TiOターゲット、Bi(Ni0.5Ti0.5ターゲットをそれぞれ準備した。そしてBiとAlの元素比をm:1としたターゲット作製し、実施例と同様の方法で圧膜素子を作製した。
Figure 0006299502
表2に示すように、mが0.75より小さい場合、自発分極の最大値Pmも小さくなってしまう。また、mが1.00よりも大きい場合も自発分極の最大値Pmが小さくなってしまう。
圧電薄膜の成膜手法として、PLD法を用いて説明したが、スパッタ法、溶液法、化学的気相成長法などのいずれの方法でも可能である。また、固相反応法を用いて、圧電組成物を用いた圧電素子を作製しても、同様の結果が得られることを確認した。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではない。上記実施の形態および実施例では、第1の化合物、第2の化合物および第3化合物を含む場合についてのみ説明したが、これらに加えて他の化合物を含んでいてもよい。
本発明の圧電組成物は、アクチュエータ、センサまたはレゾネータなどの分野において広く利用することができる。
1 基板
2 熱酸化膜
3 Ti密着層
4 下部電極
5 圧電薄膜
6 上部電極

Claims (2)

  1. 下記式(1)で示されるペロブスカイト型構造の酸化物を主成分として含有する圧電組成物。
    (Bi(x+0.5y+z)Na0.5y(AlTi(y+0.5z)Ni0.5z)O(1)
    上記式(1)中、x、y、z、mはそれぞれ
    0.01≦x≦0.20
    0.60≦y≦0.95
    0.01≦z≦0.35
    0.75≦m≦1.00
    x+y+z=1
  2. 前記請求項1記載の圧電組成物を備えた圧電素子。
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