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JP6300231B2 - 有機el素子 - Google Patents
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Description

本願は、電気的発光素子である有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)素子(以下「有機EL素子」と略する)に関する。
有機EL素子は、陽極および陰極と、これらの間に配置された発光層を含む有機層とを含む積層体を備える。上記積層体は、一般に、例えばガラス基板などの基材上に設けられ、封止材で覆われている。封止材の外側には、陽極および陰極のそれぞれに電気的に接続された陽極取り出し部および陰極取り出し部が設けられている。これらの取り出し部を介して、外部の電源から電極間に電圧が印加される。有機EL素子の駆動には、電極間に電圧を印加し、陽極から有機層に注入されるホールと、陰極から有機層に注入される電子との再結合によって発生する電界発光現象を利用する。
近年、有機EL素子の基材として、導電性表面を有する基材を用いることが提案されている。導電性表面を有する基材は、例えば金属箔、金属膜などの導電膜で被覆された樹脂膜、導電膜で被覆されたガラス基板などを含む。なかでも、金属箔、金属膜で被覆された樹脂膜などは可撓性を有するので、このような基材を用いることにより、巻き取りや折り曲げが可能なフレキシブルな有機EL素子(以下、「フレキシブル有機EL素子」)を実現できる。フレキシブル有機EL素子は、例えば、ロールツーロール方式を利用して製造され得る。
導電性表面を有する基材を用いた有機EL素子の構成は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された有機EL素子では、基材の導電性表面を利用して陰極および陰極取り出し部を構成している。
図8は、特許文献1に開示された有機ELデバイスを示す断面図である。有機ELデバイスは、陰極層として機能し得る第1の基材2と、第1の基材2上に形成された有機層3と、有機層3上に形成された陽極層4(41,42)と、接着層5を介して陽極層4と接合される第2の基材6とを備える。第1の基材2および陽極層4は、それぞれ、有機層3のある領域より外周側に延設され、第2の基材6から露出して、陰極取り出し部40aおよび陽極取り出し部40bを構成している。第1の基材2の延設された部分と陽極層4の延設された部分とは、絶縁層7で絶縁されている。
特開第2012−174558号公報
上述したように、従来の有機EL素子では、発光領域以外の領域において、電極間の短絡を抑制するために絶縁層が設けられる場合がある。このような有機EL素子の信頼性をさらに高めることが求められている。
本開示の一態様は、高い信頼性を有し得る有機EL素子を提供する。
本開示の一態様は、第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に形成された、発光層を含む有機EL層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間で、前記有機EL層を含まない領域に形成された絶縁層と、前記第2の電極層の一部上に配置された封止層とを備え、前記絶縁層は、第1の部分と前記第1の部分よりも厚い第2の部分とを有し、前記第1の部分は、前記第2の部分よりも前記有機EL層側に位置しており、前記第1の電極層の法線方向から見たとき、前記封止層は、前記有機EL層と前記絶縁層の一部とを覆っており、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間において、前記絶縁層のうち前記封止層から露出されている部分は、全て前記第2の部分である有機EL素子を含む。
本開示の一態様は、高い信頼性を有し得る有機EL素子を提供する。
(a)および(b)は、それぞれ、実施形態の有機EL素子100の断面図および平面図である。 (a)および(b)は、有機EL素子100における封止層70の位置を例示する断面図である。 (a)は比較例の有機EL素子における有機EL層31の形状を示す断面図であり、(b)は有機EL素子100における有機EL層30の形状を例示する断面図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実施形態の他の有機EL素子101の断面図および平面図である。 実施形態のさらに他の有機EL素子102の断面図である。 実施形態のさらに他の有機EL素子103の平面図である。 (a)および(b)は、それぞれ、複数の有機EL素子100を形成した基材の断面図および平面図である。 特許文献1に開示された従来の有機ELデバイスの断面図である。
本発明の基礎となった知見は以下のとおりである。
前述したように、有機EL素子は、一対の電極と、その間に位置する有機EL層とを含む積層体を有している。一般に、積層体は、封止材によって外部から封止されている。一方、有機EL素子の一対の電極には、素子外部にある電源(外部電源)から電流が供給される。このため、有機EL素子の電極の一部は、封止材の外側に引き出され、引き出された部分が外部電源に接続される。
例えば、導電性表面を有する基材を用いて有機EL素子を構成する場合、特許文献1で開示されているように、一対の電極のうち基材側に位置する電極(「下部電極」と称する)は、基材の導電性表面を利用して、外部電源と電気的に接続される。他方の電極(「上部電極」と称する)は、例えば封止材外側まで延びる引き出し電極を介して外部電源に電気的に接続される。このとき、引き出し電極と、基材の導電性表面との短絡を防ぐために、これらの間に、電気的な絶縁性を確保するための絶縁層が設けられる。絶縁層は、例えば、基材の法線方向から見た以外の領域に配置される。
本願発明者が検討したところ、上記の従来の有機EL素子では、絶縁層を電極間の所定の位置に形成する必要があり、製造工程が複雑になるおそれがあることが分かった。
また、本願発明者は、さらに検討を重ねた結果、次のような課題があることを見出した。一般的に、電子部品の電極などとして、銀、銅をはじめ、鉛、錫、亜鉛などの金属材料が使用される場合、電極が大気中に露出していると、封止材で封止されている場合よりも、イオンマイグレーションが生じやすいと考えられる。
特許文献1などに開示された有機EL素子では、基材の導電性表面の一部と引き出し電極の一部は大気中に曝される。引き出し電極として、銀や銅などの金属材料を用いた場合、引き出し電極のうち大気中に曝された部分で生じるイオンマイグレーションに起因して、電極間の絶縁不良が生じる可能性があると考えられる。また、基材の導電性表面が金属層である場合にも同様の絶縁不良が起こり得ると考えられる。
さらに、導電性表面を有する基材を用いない場合でも、基材の法線方向から見たとき、発光領域以外の領域において、上部電極およびその引き出し電極を含む電極層の少なくとも一部が、下部電極およびその引き出し電極を含む電極層と重なるように配置されていれば、これらの電極層間に絶縁層を設ける構成が考えられる。この構成においても、上記と同様の課題が生じ得る。
これに対し、本願発明者は、絶縁層に厚さの異なる部分を設けることにより、絶縁層の厚さの差を利用して、有機EL素子をより簡便に製造できるという知見を得た。また、絶縁層に厚さの異なる部分を設けることにより、イオンマイグレーションに起因する絶縁不良を抑制できるので、有機EL素子の信頼性をさらに向上できるという知見を得た。
本発明の一態様の概要は以下のとおりである。
本発明の一態様である有機EL素子は、第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に形成された、発光層を含む有機EL層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間で、前記有機EL層を含まない領域に形成された絶縁層と、前記第2の電極層の一部上に配置された封止層とを備え、前記絶縁層は、第1の部分と前記第1の部分よりも厚い第2の部分とを有し、前記第1の部分は、前記第2の部分よりも前記有機EL層側に位置しており、前記第1の電極層の法線方向から見たとき、前記封止層は、前記有機EL層と前記絶縁層の一部とを覆っており、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間において、前記絶縁層のうち前記封止層から露出されている部分は、全て前記第2の部分である。
前記第1の電極層は、例えば、導電性表面を有する基材を含み、前記絶縁層は、前記基材の前記導電性表面上に、前記導電性表面と接して設けられていてもよい。
前記第1の電極層は、前記基材の前記導電性表面と前記有機EL層との間に配置された下部電極をさらに含んでもよい。
前記絶縁層の上面は、例えば、前記第2の部分の最も厚い部分と前記第1の部分の最も薄い部分との間に段差を有しており、前記第2の電極層の上面は、例えば、前記絶縁層の前記段差を反映した段差を有しており、前記封止層の端部は、前記第2の電極層の上面のうち前記段差を構成する面上にあってもよい。
前記第2の電極層は、前記有機EL層と接する上部電極と、前記上部電極と電気的に接続され、かつ、その一部が前記封止層から露出するように延設された少なくとも1つの引き出し電極とを含んでもよい。
前記少なくとも1つの引き出し電極は、例えば、第1の電極部分と、前記第1の電極部分よりも薄い第2の電極部分とを有し、前記第1の電極部分は前記第2の電極部分よりも前記有機EL層側に位置し、前記少なくとも1つの引き出し電極のうち前記封止層で覆われた部分は全部、前記第2の電極部分であってもよい。
前記少なくとも1つの引き出し電極のうち前記封止層で覆われた部分の厚さは、前記有機EL層の近傍で、前記封止層の端部の近傍よりも小さくてもよい。
上記有機EL素子は、例えば、前記絶縁層の前記封止層で覆われた部分上に、前記第1の電極層の法線方向から見たとき前記有機EL層を包囲するように配置されたバスバー電極をさらに備え、前記バスバー電極と前記少なくとも1つの引き出し電極とは一体的に形成されていてもよい。
前記第1の電極層LEのうち絶縁層と接する面および第2の電極層のうち絶縁層と接する面の少なくとも一方は金属材料を含んでもよい。
前記有機EL層の周縁は、前記絶縁層の前記第1の部分上に位置していてもよい。
(第1の実施形態)
以下、有機EL素子の第1の実施形態を説明する。
図1(a)は、有機EL素子100の一部を示す断面図であり、図1(b)は、有機EL素子100の平面図である。図1(a)は、図1(b)に示すA−A’線の断面構造を示す。
有機EL素子100は、第1の電極層LEと、第2の電極層UEと、発光層を含む有機EL層30と、絶縁層50と、封止層70とを備える。有機EL層30は、第1の電極層LEと第2の電極層UEとの間に形成されている。
絶縁層50は、第1の電極層LEと第2の電極層UEとの間で、少なくとも有機EL層30を含まない領域に形成されている。この例では、第1の電極層LEの法線方向から見たとき、絶縁層50は、例えば有機EL層30の周辺に配置されている。絶縁層50の有機EL層30側の端部は、有機EL層30と接していてもよい。図1に示す例のように、絶縁層50の有機EL層30側の端部は、有機EL層30で覆われていてもよい。
封止層70は、第2の電極層UEの一部上に配置されている。封止層70は、第1の電極層LEの法線方向から見たとき、有機EL層30と、絶縁層50の一部とを覆っている。この例では、封止層70は、有機EL層30の上方から、その周辺に位置する絶縁層50上まで延設されている。絶縁層50の一部は封止層70から露出している。
図1(a)に示すように、絶縁層50は、第1の部分50aと、第1の部分50aよりも厚い第2の部分50bとを有している。第1の部分50aは、第2の部分50bよりも有機EL層30側に位置している。第1の電極層LEと第2の電極層UEとの間において、絶縁層50のうち封止層70から露出されている部分(以下、「露出部分」と略する。)50Eは、全て第2の部分50bである。なお、本明細書では、絶縁層50の第1の部分50aは、絶縁層50の有機EL層30側の端部を含む部分をいう。第2の部分50bは、全体に亘って第1の部分50aよりも厚く、かつ、第1の部分50aよりも素子の周縁側に位置する部分をいう。
この例では、絶縁層50は、有機EL層30の近傍に位置する比較的平坦な第1平坦部分(厚さ:t1)p1と、素子の周縁側に位置する比較的平坦な第2平坦部分(厚さ:t2、t2>t1)p2と、これらの平坦部分の間に位置し、厚さがt1からt2に変化する傾斜部分p3とを含む。この場合、絶縁層50の第1の部分50aは第1平坦部分p1であり、第2の部分50bは、第2平坦部分p2および傾斜部分p3を含む。封止層70は、第1平坦部分p1および傾斜部分p3を覆い、第2の部分50bの一部である第2平坦部分p2を露出するように配置されている。封止層70の端部は傾斜部分p3上に位置している。絶縁層50の露出部分50Eの厚さはt2である。従って、露出部分50Eは、全体に亘って、絶縁層50のうち封止層70で覆われている部分(以下、「封止部分」と略する。)50Cよりも厚い。
なお、絶縁層50と封止層70との配置は、図1(a)に示す例に限定されない。例えば図2(a)に例示するように、封止層70は、第1平坦部分p1と、傾斜部分p3の一部とを覆っていてもよい。この例では、絶縁層50の露出部分50Eは、全体に亘って、封止部分50Cよりも厚くなる。あるいは、封止部分50Cの一部の厚さが露出部分50Eの厚さと同程度であってもよい。例えば図2(b)に示すように、第2の部分50bの平坦な部分の一部のみが封止層70から露出していてもよい。この例では、封止部分50Cが厚さの異なる複数の部分を含んでおり、封止部分50Cにおける最大厚さをtcとすると、露出部分50Eの厚さが、全体に亘って、最大厚さtc以上である。
絶縁層50の断面形状も図1に示す例に限定されない。絶縁層50は、第1平坦部分p2と第2平坦部分p2との間に、絶縁層50の下面に略垂直な段差を有していてもよい。また、絶縁層50は、比較的平坦な部分を有していなくてもよい。例えば、有機EL層30側から素子周縁に向かって徐々に厚くなるような形状であってもよい。
第1の電極層LEは、導電性表面10sを有する基材10を含んでもよい。基材10は、金属箔などの導電性基材であってもよいし、絶縁性の支持体の表面に導電膜が形成された構造を有していてもよい。
第1の電極層LEは、基材10のみから構成されていてもよい。あるいは、第1の電極層LEは、例えば、基材10と、基材10の導電性表面10sと有機EL層30との間に配置された下部電極20とを有していてもよい。この場合、基材10の導電性表面10sは、下部電極20に電気的に接続され、かつ、封止層70の外側まで延設される。このため、第1の電極層LEにおける引き出し電極として機能させてもよい。なお、基材10の導電性表面10sを引き出し電極として利用する場合には、絶縁層50は、導電性表面10s上に、導電性表面10sと接して設けられる。
第2の電極層UEは、有機EL層30と接する上部電極40と、引き出し電極60とを含んでいてもよい。引き出し電極60は、上部電極40と電気的に接続され、かつ、その一部が封止層70から露出するように延設されている。この例では、複数の引き出し電極60が間隔を空けて設けられている。上部電極40と引き出し電極60とは異なる導電材料から形成されていてもよい。あるいは、上部電極40と引き出し電極60とは、同じ導電材料を用いて一体的に形成されていてもよい。
第1の電極層LEのうち絶縁層50と接する面(ここでは、基材10の導電性表面10s)および第2の電極層UEのうち絶縁層50と接する面(ここでは、引き出し電極60の表面)の少なくとも一方は、銀、銅、鉛、錫、亜鉛などの金属材料を含んでいてもよい。
有機EL素子100において、絶縁層50は、少なくとも引き出し電極60と基材10の導電性表面10sとの間に配置されていればよい。この例では、絶縁層50は、基材10の上面に、有機EL層30の側面を包囲するように設けられている。絶縁層50によって、有機EL層30を含む発光領域の周縁(ここでは四辺)が画定され得る。なお、絶縁層50は、引き出し電極60の下方にのみ配置されていてもよい。
有機EL素子100は、例えばトップエミッション型の発光素子であってもよい。この場合、上部電極40に透明導電性酸化物などからなる透光性の高い材料を用い、封止層70に透光性の高い無機材料や有機材料を用いてもよい。これにより、上部電極40側から光を取り出すことが可能となる。なお、有機EL素子100はボトムエミッション型の発光素子であってもよい。この場合、基材10および下部電極20に透光性の高い材料を用いてもよい。さらには、有機EL素子100は、上部電極40側および下部電極20側の両方から光を取り出すことの可能な発光素子であってもよい。
本実施形態の有機EL素子100では、高い信頼性を有し得る。特に、第1および第2の電極層LE、UEの少なくとも一方が金属材料を含む場合、前述したマイグレーションに起因する絶縁不良を効果的に抑制できるので、長期間の信頼性をより効果的に確保できる。以下、この理由をより詳しく説明する。
有機EL素子100では、電極層UE、LEおよび絶縁層50からなる積層構造の一部は封止層70から露出している。前述したように、電極層UE、LEのうち大気中に露出していると、封止層70で覆われているよりも、イオンマイグレーションが生じやすいと考えられる。本実施形態では、絶縁層50のうち封止層70から露出している露出部分50Eを、厚さの大きい第2の部分50bで構成する。これにより、絶縁層50の露出部分50Eを介した、イオンマイグレーションに起因する電極層間の絶縁不良を抑制できる。一方、イオンマイグレーションが生じにくい封止層70の内部では、絶縁層50を薄くできるので、従来よりも素子サイズを大幅に増大させることなく、信頼性を向上できる。
絶縁層50の露出部分50Eの厚さは、特に限定しないが、例えば100μm以上であることが好ましい。これにより、より確実にマイグレーションによる絶縁不良を抑制できる。一方、露出部分50Eの厚さは、素子の小型化の観点から、例えば1mm以下であってもよい。
また、有機EL素子100は、より簡便に製造され得るというメリットを有する。
有機EL素子100を製造する際には、例えば、有機EL層30および電極構造を形成した後で、その一部を覆うように封止層70を形成することができる。封止層は、例えば液状の材料を所定の領域に付与した後、これを固化させることにより形成され得る。
本実施形態では、絶縁層50は、その素子周縁側で有機EL層30側よりも厚い。絶縁層50上の第2の電極層UEは、絶縁層50の厚さの差を反映した表面形状を有している。このため、封止層70を、絶縁層50のうち有機EL層30側の一部を覆うように配置しやすい。特に、液状の材料を所定の領域に付与することによって封止層70を形成する場合、液状の材料を絶縁層50のうち厚さの小さい部分(凹部)に選択的に付与することが可能になる。ロールツーロールで有機EL素子を製造する際には、より簡便に、所定の位置に封止層70を形成できる。また、後述するように、同一の基材上に複数の有機EL素子を製造する(多面取り)場合に、素子ごとに分離した封止層を簡便に形成できる。
また、絶縁層50の上面において、有機EL層側の薄い部分(第1平坦部分p1)と、素子周縁側の厚い部分(第2平坦部分p2)との間に段差を有していると、段差によって封止層70の端部の位置を画定できる。例えば、第2の電極層UEの上面は、絶縁層50の段差を反映した段差を有し、封止層70の端部は、第2の電極層UEの上面のうち段差を構成する面上に位置する。絶縁層50の段差、ここでは有機EL層30側の端部の厚さt1と、素子周縁側の最も厚い部分の厚さt2との差は、例えば10μm以上であることが好ましい。
特に本実施形態では、第1平坦部分p1と第2平坦部分p2との間の段差部分を傾斜させて、傾斜部分p3を設けている。この傾斜部分p3を設けたことで、その上面に形成される引き出し電極60の断線を抑制できる。
さらに、本実施形態によると、次のような効果も得られる。
有機EL素子100を製造する際に、後述するように、まず、第1の電極層LE(例えば基材10)の一部上に絶縁層50を形成し、その後、第1の電極層LEの上面のうち絶縁層50を形成しなかった領域に有機EL層30を形成してもよい。この場合、電極層LE、UE間の短絡を抑制するために、有機EL層30は絶縁層50と接触するように配置されてもよい。より確実に短絡を抑制するために、有機EL層30の周縁が絶縁層50の端部上に位置するように、すなわち有機EL層30の周縁部が絶縁層50と重なるように、有機EL層30を配置してもよい。
一般的に、有機EL層は真空蒸着などの真空プロセスや、スピンコート、スロットダイ塗布、インクジェット印刷などのウェットプロセスで形成される。また、蒸着などの真空プロセスで形成される場合もある。有機EL層を構成する各有機膜の厚さは例えばnmオーダーである。このように薄い有機膜を、その周縁部が絶縁層と重なるように形成すると、絶縁層の厚さによって、絶縁層近傍の有機膜の厚さが不均一になる可能性がある。その結果、有機EL層の厚さの均一性が低下し、発光均一性も低下する可能性がある。この問題については、有機EL層の形成プロセスに依存するため、後で形成プロセスごとに詳述する。
これに対し、本実施形態では、絶縁層50のうち有機EL層30側に位置する第1平坦部分p1の厚さt1は、より高い絶縁性が要求される露出部分50Eの厚さt2よりも小さい。このため、絶縁層50の端部近傍で有機EL層の厚さが不均一になるのを抑制でき、より均一な有機EL層を形成できる。従って、本実施形態によると、第1および第2の電極層LE、UE間のマイグレーションに起因する絶縁不良を低減しつつ、有機EL層30の厚さの均一性の低下を抑えることが可能となる。
有機EL層30の周縁は、絶縁層50の第1の部分上(ここでは第1平坦部分p1上)に位置するように配置されてもよい。これにより、より確実に上記効果が得られる。また、絶縁層50の有機EL層30側の端部の厚さt1は、特に限定しないが、例えば1μm10μm以下であることが好ましい。これにより、絶縁層50の端部上に、有機EL層30をより均一に形成できる。一方、絶縁層50の厚さt1は100μm以上であることが好ましい。これにより、封止層70内部において、第1および第2の電極層LE、UE間の絶縁性をより確実に保つことができる。厚さt1の好ましい範囲については、後で詳述するように、絶縁層50の材料や形成プロセスによって変わり得る。
さらに、本実施形態によると、絶縁層50の全体の厚さを、絶縁不良の低減を考慮した厚さ(t2)に設定する場合と比べて、絶縁層材料の使用量を節約することができる。
<有機EL素子の各構成要素の説明>
以下、有機EL素子100の各構成要素について詳細に説明する。
基材10は、例えば矩形状の平面視形状を有する。ここで、基材10の平面視形状は、矩形状に限らず、例えば、矩形状以外の多角形状、円形状などでもよい。
基材10としては、ガラス基材、プラスチック基材、金属箔などを用いてもよい。本実施形態では、基材10は導電性表面10sを有する。このような基材10は、金属箔などの導電性基材であってもよいし、金属膜の積層体であってもよい。あるいは、上述したプラスチック基材やガラス基材などの絶縁性の支持体の表面に、金属膜などの導電膜が形成された構造を有していてもよい。また、導電性表面10sを有する基材10は、ロールツーロールに適用可能な程度の可撓性を有していてもよい。ロールツーロールで有機EL素子を製造する際には、封止層70をより簡便に所定の位置に形成できるので、より顕著な効果が得られる。可撓性を有する基材として金属箔を用いてもよい。金属箔は、大気中の水分や酸素に対して高いバリア性を有し得る。あるいは、フレキシブルな絶縁性の支持体の表面に、導電膜が形成された構造を有していてもよい。例えば、支持体として有機樹脂フィルムを用いる場合、有機樹脂は大気中の水分や酸素に対してバリア性が低いため、水分、酸素の透過を低減するバリア層として表面に金属膜を設けた構造を有していてもよい。
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子の一例では、下部電極20が陽極を構成し、上部電極40が陰極を構成している。この場合、下部電極20から有機EL層30へ注入する第1キャリアは正孔であり、上部電極40から発光層へ注入する第2キャリアは電子である。
有機EL層30は、下部電極20側から順に、第1キャリア注入層、第1キャリア輸送層、発光層、第2キャリア輸送層、第2キャリア注入層を備えていてもよい。ここにおいて、第1キャリア注入層、第1キャリア輸送層、第2キャリア輸送層、第2キャリア注入層は、それぞれ、ホール注入層、ホール輸送、電子輸送層、電子注入層である。上述の有機EL層30の構造は、図1の例に限らず、例えば、下部電極20と有機EL層30との間に、第1キャリア注入層、第1キャリア輸送層を設けたり、有機EL層30と上部電極40との間に第2キャリア輸送層、第2キャリア注入層を設けたりした構造でもよい。なお、下部電極20が陰極を構成し、上部電極40が陽極を構成する場合には、例えば、第1キャリア注入層、第1キャリア輸送層、第2キャリア輸送層、第2キャリア注入層は、それぞれ、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層となる。
また、有機EL層30は、少なくとも発光層を含んでいればよく(つまり、有機EL層30は、発光層のみでもよく)、発光層以外の、第1キャリア注入層、第1キャリア輸送層、第2キャリア輸送層、第2キャリア注入層などは適宜設ければよい。発光層は、単層構造でも多層構造でもよい。例えば、所望の発光色が白色の場合には、発光層中に赤色、緑色、青色の3種類のドーパント色素をドーピングするようにしてもよいし、青色正孔輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよいし、青色電子輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよい。
発光層は、塗布法(例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法など)のような湿式プロセスによって成膜することが好ましい。例えば、第1の電極層LEの上面の一部上に絶縁層50を形成した後、絶縁層50で包囲された領域(凹部領域)に、液状の材料を付与することによって有機EL層30を形成してもよい。ただし、発光層の成膜方法は、塗布法に限らず、例えば、真空蒸着法、転写法などの乾式プロセスによって発光層を成膜してもよい。
電子注入層の材料は、例えば、フッ化リチウムやフッ化マグネシウムなどの金属フッ化物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムなどに代表される金属塩化物などの金属ハロゲン化物や、チタン、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウムなどの酸化物、などを用いることができる。これらの材料の場合、電子注入層は、真空蒸着法により形成することができる。また、電子注入層の材料は、例えば、電子注入を促進させるドーパント(アルカリ金属など)を混合した有機半導体材料を用いることができる。このような材料の場合、電子注入層は、塗布法により形成することができる。
また、電子輸送層の材料は、電子輸送性を有する化合物の群から選定することができる。この種の化合物としては、Alq3等の電子輸送性材料として知られる金属錯体や、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、テトラジン誘導体、オキサジアゾール誘導体などのヘテロ環を有する化合物などが挙げられるが、この限りではなく、一般に知られる任意の電子輸送材料を用いることが可能である。
ホール輸送層の材料としては、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位が小さい低分子材料や高分子材料を用いることができる。
ホール注入層の材料としては、例えば、チオフェン、トリフェニルメタン、ヒドラゾリン、アミールアミン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニルアミンなどを含む有機材料が挙げられる。
陰極は、機能層中に第2電荷である電子(第2キャリア)を注入するための電極である。上部電極40が陰極の場合、陰極の材料としては、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましく、LUMO準位との差が大きくなりすぎないように仕事関数が1.9eV以上5eV以下のものを用いるのが好ましい。上部電極が、機能層中に第1電荷であるホール(第1キャリア)を注入するための電極である陽極を構成する場合、第2電極の材料としては、仕事関数の大きい金属を用いることが好ましく、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように仕事関数が4eV以上6eV以下のものを用いるのが好ましい。また、上部電極に透光性の高い導電性透明酸化物や、導電性高分子を用いることもできる。
引き出し電極60は、銀、アルミニウム、銅、金などを真空蒸着やスパッタなどの真空プロセスにより形成することができる。また、金属の粉末に有機バインダおよび有機溶剤を混合させたペースト(印刷インク)を、例えばスクリーン印刷法、グラビア印刷法などにより印刷して形成することができる。有機バインダとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ジアクリルフタレート樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、その他の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を構成する単量体の2種以上の共重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
補助電極を形成する場合、補助電極の材料としては、引き出し電極60と同じ材料を用いることができるが、特に限定するものではない。引き出し電極60の材料と上部電極40の補助電極の材料とが同じ場合には、引き出し電極60と補助電極とを同時に形成することが可能となる。また、引き出し電極60と上部電極40とを同じ材料で一体的に形成してもよい。
なお、本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子では、下部電極20の厚さを10〜200nm、第1キャリア注入層の厚さを10〜200nm、第1キャリア輸送層の厚さを10〜100nm、発光層の厚さを10〜200nm、第2キャリア注入層の厚さを1〜30nm、第2電極の厚さを10〜200nmにそれぞれ設定してあるが、これらの数値は一例であって、特に限定するものではない。
補助電極の電極パターンの一例としては、格子状(網状)に形成されており、複数の開口部を有している。この場合、各開口部の各々の平面視形状が正方形状や長方形状となる。
上部電極40は、正方格子状の寸法に関して、例えば、線幅L1を1μm〜100μm、高さH1を50nm〜100μm、ピッチP1を100μm〜2000μmとすればよい。ただし、上部電極40の補助電極の線幅L1、高さH1およびピッチP1それぞれの数値範囲は、特に限定するものではなく、素子部の平面サイズに基づいて適宜設定すればよい。ここにおいて、上部電極40の補助電極の線幅L1については、発光層で発光する光の利用効率の観点からは狭い方が好ましく、上部電極40の低抵抗化によって輝度むらを低減するという観点からは広い方が好ましいので、有機エレクトロルミネッセンス素子の平面サイズなどに基づいて適宜設定することが好ましい。また、上部電極40の補助電極の高さH1については、上部電極40の低抵抗化の観点、補助電極をスクリーン印刷法などの塗布法により形成する際の補助電極の材料の使用効率(材料使用効率)の観点、機能層から放射される光の放射角の観点などから、100nm以上10μm以下が、より好ましい。
補助電極を格子状の形状とする場合、各開口部の各々の平面視形状は正方形状に限らず、例えば、長方形状や正三角形状や正六角形状の形状としてもよい。
補助電極は、各開口部の各々の平面視形状が正三角形状の場合、三角格子状の形状となり、各開口部の各々の平面視形状が正六角形状の場合、六角格子状の形状となる。なお、補助電極は、格子状の形状に限らず、例えば、櫛形状の形状でもよいし、2つの櫛形状の電極パターンにより構成してもよい。また、補助電極は、開口部の数も特に限定するものではなく、複数に限らず、1つでもよい。例えば、補助電極を櫛形状にしたり、2つの櫛形状の電極パターンにより構成した場合などは、開口部の数を1つとすることが可能である。
封止層70としては、例えば、ガラス基材、プラスチック基材などを用いてもよい。ガラス基材の材料としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどを採用することができる。また、プラスチック基材の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネートなどを採用することができる。プラスチック基材を用いる場合は、水分や酸素に対するバリア性を確保するバリア層を形成する必要がある。
これらの基材を上部電極上に素子部が覆われるように、接合材料で接合することで封止層を形成できる。この場合、接合材料としては、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの熱硬化型材料や光硬化型材料を使用することができる。また、これらの接合材料にはフィラー(例えば、シリカ、アルミナなど)を含有させたものを用いてもよい。
なお、基材10が、ガラス基材やプラスチック基材など透光性のある基材からなり、かつ、第1電極も透光性のある材料からなる場合、封止層の材料として金属箔なども採用することができる。
本実施形態では、封止層70として、平板状のものを用いているが、これに限らず、基材10との対向面に、上述の素子部を収納する収納凹所を形成したものを用い、上記対向面における収納凹所の周部を全周に亘って基材10側と接合するようにしてもよい。一方、平板状の封止層70とは別に、枠状のフレーム部とを別部材により構成している場合には、封止層70に要求される光学的な物性(光透過率、屈折率など)と、フレーム部に要求される物性(ガスバリア性など)との両方の要求を各別に満たす材料を採用することが可能になるという利点がある。
この場合、フレーム部と基材10の上記一表面側とを接合する第1接合材料としては、エポキシ樹脂を用いることができるが、これに限らず、例えば、アクリル樹脂などを採用してもよい。第1接合材料として用いるエポキシ樹脂やアクリル樹脂は、例えば、光硬化型のものでもよいし、熱硬化型のものでもよい。また、第1接合材料として、エポキシ樹脂にフィラー(例えば、シリカ、アルミナなど)を含有させたものを用いてもよい。ここで、フレーム部は、基材10の上記一表面側に対して、フレーム部における基材10側との対向面を全周に亘って気密的に接合してある。また、フレーム部と封止層70とを接合する第2接合材料としては、エポキシ樹脂を用いることができるが、これに限らず、例えば、アクリル樹脂、フリットガラスなどを採用してもよい。第2接合材料として用いるエポキシ樹脂やアクリル樹脂は、例えば、光硬化型のものでもよいし、熱硬化型のものでもよい。また、第2接合材料として、エポキシ樹脂にフィラー(例えば、シリカ、アルミナなど)を含有させたものを用いてもよい。ここで、フレーム部は、封止層70に対して、フレーム部における封止層70との対向面を全周に亘って気密的に接合してある。
絶縁層50の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いることができる。これらの材料をスクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷などの各種印刷方法、スピンコート形成後にフォトリソグラフィ工程でパターニング形成する方法などで形成できるが、特に限定されない。
また、封止層70における外面側(基材10側とは反対の面側)には、発光層から放射された光の上記外面での反射を抑制する光取り出し構造部(図示せず)を備えていることが好ましい。このような光取り出し構造部としては、例えば、2次元周期構造を有した凹凸構造部が挙げられる。このような2次元周期構造の周期は、発光層で発光する光の波長が例えば300〜800nmの範囲内にある場合、媒質内の波長をλ(真空中の波長を媒質の屈折率で除した値)とすれば、波長λの1/4〜10倍の範囲で適宜設定することが望ましい。このような凹凸構造部は、例えば、封止層70の上記外面側に、例えば、熱インプリント法(熱ナノインプリント法)、光インプリント法(光ナノインプリント法)などのインプリント法により、予め形成することが可能である。また、封止層70の材料によっては、封止層70を射出成形により形成するようにし、射出成形時に適宜の金型を用いて、封止層70に凹凸構造部を直接形成することも可能である。また、凹凸構造部は、封止層70とは別部材により構成することも可能であり、例えば、プリズムシート(例えば、株式会社きもと製のライトアップ(登録商標)GM3のような光拡散フィルムなど)により構成することができる。
<有機EL素子100の製造方法>
以下、有機EL素子100の製造方法の一例を説明する。なお、本実施形態の製造方法や各構成要素の材料、厚さなどは、以下に示す例に限定されない。
まず、導電性表面10sを有する基材10を用意する。基材10として、例えばAgが表面に製膜されたポリエチレンテレフタラートを用いる。
次に、基材10の導電性表面10sのうち発光領域となる領域上に、例えばスパッタ法で下部電極20を形成する。下部電極20として、例えばITO膜(厚さ:例えば15nm)を用いる。
次いで、基材10のうち発光領域となる領域以外の領域に、絶縁層50を形成する。ここでは、例えばポリイミド樹脂をスクリーン印刷で塗布し、パターニングすることによって、絶縁層50を得る。絶縁層50の第1平坦部分p1の厚さt1は例えば1μm以上10μm以下、第2平坦部分p2の厚さt2は例えば100μm以上1mm以下に設定する。絶縁層50の有機EL層30側の端面は、テーパー形状を有してもよい。また、絶縁層50の第1平坦部分p1と第2平坦部分p2との間に位置する傾斜部分(段差)p3の傾斜角度(導電性表面10sと傾斜部分p3の上面とのなす角度)は、例えば10°以上60°以下である。
次いで、基材10のうち絶縁層50が形成されていない凹部領域に、下部電極20と接するように有機EL層(厚さ:例えば30nm以上200nm以下)30を形成する。有機EL層30は、例えばスピンコート、スロットダイなどの塗布、蒸着などにより形成され得る。形成方法は後で詳述する。なお、塗布方法では、液状の材料(ソリッドコンテンツ0.5wt%)を基材10上に付与することにより有機EL層30が形成される。この場合、液状の材料は絶縁層50の端面上にも付与される(図3参照)。
続いて、有機EL層30上に、例えばスパッタ法で上部電極40を形成する。上部電極40として、例えばITO膜(厚さ:例えば100nm)を用いる。
この後、絶縁層50上に、上部電極40と接する引き出し電極60を例えば真空蒸着法で形成する。引き出し電極60は、例えばAg膜(厚さ:例えば500nm)を用いて形成される。
続いて、引き出し電極60および上部電極40上に、封止層70を形成する。封止層70は、例えばディスペンサ法で、液状の材料(例えばエポキシ樹脂)を付与することによって形成される。このようにして、有機EL素子100が得られる。
共通の基材上に複数の有機EL素子を同時に製造してもよい(多面取り)。
図7(a)および(b)は、それぞれ、複数の有機EL素子100が形成された基材10の断面図および平面図である。図7(a)は、図7(b)に示すC−C’線の断面構造を示す。図1と同様の構成要素には同じ参照符号を付している。
共通の基材上に複数の有機EL素子100を製造する際は、上述したように、基材10上に絶縁層50を形成した後で、湿式プロセスにより、有機EL層30、上部電極40および封止層70を形成してもよい。この場合、絶縁層50のパターンを利用して有機EL層30を形成し、絶縁層50の厚さの差を利用して、所定の位置に封止層70を形成できる。
複数の有機EL素子100を同時に製造する際には、例えばロールツーロール方式を用いることができる。この方式では、まず、ロール状にまかれた状態の基材10を成膜装置に連続的に供給する。成膜装置で各構成要素を形成する。例えば有機EL層および封止層を塗布法で、絶縁層や電極を例えばスクリーン印刷法で形成する。各構成要素が形成された後の基材を、ロール状に回収する。
ここで、有機EL層30の形成方法ごとに、絶縁層50の厚さと、有機EL層30の厚さの均一性との関係を詳しく述べる。
まず、塗布方法の1つであるスピンコートで有機EL層30を形成する場合について説明する。有機EL層30のうち例えばホール注入層を形成する際、その塗布材料として、固形分濃度1wt%程度のものが一般的に用いられる。このような濃度の溶液を用いる場合、厚さ100nm程度の薄膜を得るには、乾燥前のウェット膜厚は例えば10μm程度である。
比較例として、第1の電極層LE上に、比較的厚い絶縁層(厚さt2:例えば100μm)51の端部と接するように有機EL層31を形成した例を図3(a)に示す。図示するように、ウェット膜の厚さに対して絶縁層51の有機EL層31側の端部の厚さt2が大きいと、回転による遠心力で溶液が外側に移動する際に、絶縁層51が障害となる。この結果、絶縁層51の端部近傍に、液溜まりや液の少ない部分が生じて、厚さの不均一な膜が得られる。この例では、有機EL層31は絶縁層51の側面近傍で他の領域よりも厚くなっている。この結果、有機EL層31のうち厚さの均一な領域31r、すなわち均一な発光面を構成する領域は、絶縁層51によって規定される領域よりも狭くなる可能性がある。従って、発光領域近傍では、絶縁層はなるべく薄い方がよい。
本実施形態では、絶縁層50の有機EL層30の端部の厚さt1を、素子周縁側よりも小さく設定している。厚さt1は、例えばウェット膜厚と同程度以下(ここでは10μm以下)であることが好ましい。これにより、図3(b)に例示するように、有機EL層30の絶縁層50近傍の厚さは、図3(a)に示す有機EL層31よりも均一になる。この結果、有機EL層30のうち厚さの均一な領域30rを、図3(a)に示す領域31rよりも拡大でき、発光均一性を向上できる。従って、本実施形態によると、第1および第2の電極層LE、UE間のマイグレーションに起因する絶縁不良を低減しつつ、有機EL層30の厚さの均一性の低下を抑えることが可能となる。
一方、絶縁層50の厚さt1は、第1および第2電極層LE、UE間の絶縁性をより確実に保つことができる厚さ以上であることが好ましい。そのような厚さは、絶縁材料の耐電圧に依存する。例えば、参考文献1(プラスチック材料の各動特性の試験法と評価結果、三菱化学HPより、掲載シリーズ15)の図13にあるように、ポリアミドやエポキシなどの樹脂材料の耐電圧は10kV/mm程度である。有機EL素子には、例えば10V程度の電圧が印加される。従って、絶縁層50の材料として上記樹脂材料を用いる場合、絶縁層50の厚さt1は例えば1μm程度以上であることが好ましい。絶縁層50の材料として無機材料を使用した場合でも、絶縁性を確保するためには、絶縁層50の厚さt1は数百nm以上であることが好ましい。ただし、これは一例であり、絶縁耐圧がさらに高い材料を使用した場合、厚さt1をさらに小さくできる。
続いて、他の塗布方法であるスロットダイを用いて有機EL層30を形成する場合について説明する。スロットダイの先端と塗布面との距離(ギャップ)は、均一な塗布膜を得るのに重要なパラメータである。参考文献2(スロットダイ塗工における最小塗工厚み限界の予測:日東電工技報2012, v48, 91, P48)に記載されているように、ギャップが大きくなりすぎると、一部の領域で塗布ができなくなる。また、参考文献3(ダイ塗布方式における巾方向膜厚精度設計技術:リコー技報2002, v28, P66)には、スロットダイ先端と塗布面のギャップが変化することにより、塗出量の変化が生じて、膜厚の均一性に影響を及ぼすことが報告されている。例えば、ホール注入材料の固形分濃度1〜0.5wt%程度の溶液を用いた場合、100nmの厚さの膜を得るには、10〜50μm程度の厚さ(ウェット厚)のウェット膜が必要である。参考文献2によると、ウェット厚30μm狙いにおいて、高さが5μmまたは10μmの段差部によるギャップ変化があるとき、Ca0.25において10〜20%程度、Ca1.0でも10〜15%程度のウェット厚の差が生じる。上記Caはウェット厚に対する最終膜厚の割合である。これら文献で用いた材料はモデル材料であるものの、数10μmのウェット厚を狙う際には、スロットダイと塗布面のギャップとが例えば5μm変わると膜厚に影響があり、10μm変わると膜厚がより不均一になることが分かる。従って、スロットダイを用いる場合でも、絶縁層50の有機EL層30側の端部の厚さt1を10μm以下に抑えることが好ましく、より好ましくは5μm以下である。これにより、より均一な膜を形成できるとともに、均一な発光が可能な領域をより大きくできる。なお、絶縁層50の厚さt1の下限値については、前述のとおり、材料の耐絶縁性に依存する。
次いで、真空蒸着で有機EL層30を形成する場合ついて説明する。有機層を蒸着する際に、発光領域の近傍に障害物があると、蒸着源から見て障害物による影が生じ、影で無い部分に比べて蒸着膜の厚さが小さくなる。障害物が発光領域に近いほど、また、障害物が高いほど影が大きくなる。このため、絶縁層50の有機EL層30側の端部の厚さt1は小さい方がよく、例えば10μm以下であることが好ましい。さらに、絶縁層50のうち厚さが大きい部分(厚さ:例えば100μm以上)は、発光領域から離れていることが好ましい。
<有機EL素子の変形例1>
図4(a)および(b)は、本実施形態の他の有機EL素子101を例示する断面図および平面図である。図4(a)は、図4(b)に示すB−B’線の断面構造を示す。
有機EL素子101は、引き出し電極60の厚さを部分的に異ならせている点で、図1に示す有機EL素子100と異なっている。
この例では、引き出し電極60の厚さは、絶縁層50の第2の部分(第2平坦部分p2)上で、絶縁層50の第1の部分(第1平坦部分p1および傾斜部p3)上よりも小さい。具体的には、絶縁層50の第1平坦部分p1上に位置する第1電極部60aと、傾斜部p3上に位置する傾斜電極部60bと、第2平坦部分p2上に位置する第2電極部60cとを有している。封止層70は、第2電極部60cの少なくとも一部を露出するように配置されている。第2電極部60cの厚さは、第1電極部60aおよび傾斜電極部60bの厚さよりも小さい。これにより、引き出し電極60のうち封止層70から露出した部分の厚さを小さくできるので、封止層70自体の厚さを変えることなく、有機EL素子101の厚さ(封止層70から露出した部分の厚さ)を小さくできる。
なお、図4では、封止層70は第2電極部60cの全体を露出しているが、封止層70は第2電極部60cの一部を覆っていてもよい。引き出し電極60が、有機EL層30側に位置する第1の電極部分と、素子周縁側に位置し、第1の電極部分よりも薄い第2の電極部分とを有し、引き出し電極60のうち封止層70から露出した部分が全て第2の電極部分であれば、上記と同様の効果が得られる。
<有機EL素子の変形例2>
図5は、本実施形態の他の有機EL素子102を例示する断面図である。平面構造は、図4(b)に示す構造と同じなので、平面図を省略する。図5は、図4(b)に示すB−B’線の断面構造を示す。
有機EL素子102は、封止層70内部において、引き出し電極60の厚さを部分的に異ならせている点で、図4に示す有機EL素子101と異なっている。
引き出し電極60のうち封止層70で覆われた部分は、有機EL層30の近傍で、封止層70の端部近傍よりも薄い。この例では、絶縁層50の第1平坦部分p1上に位置する第1電極部60aの厚さは、傾斜部p3上に位置する傾斜電極部60bの厚さよりも小さい。
有機EL層30から離れた領域に比べ、有機EL層30近傍で引き出し電極60の厚さを小さくすることで、有機EL層30の厚さの均一性および発光の取り出しに対する引き出し電極60の影響を軽減することが可能となる。また、有機EL層30から離れた領域では引き出し電極60を厚くすることで、引き出し電極60の段切れを抑制できる。
<有機EL素子の変形例3>
図6は、本実施形態のさらに他の有機EL素子103を例示する平面図である。断面構造は、他の有機EL素子100等と同様であるため、断面図を省略する。
有機EL素子103は、封止層70内部にバスバー電極62を有する点で、図1、図4、および図5に示す有機EL素子101〜103と異なっている。
この例では、バスバー電極62は、第1の電極層LEの法線方向から見たとき、封止層70内部において、有機EL層30を包囲するように配置されている。バスバー電極62は、絶縁層50と封止層70との間に設けられている。バスバー電極62は、引き出し電極60と同じ導電材料を用いて一体的に形成されていてもよい。引き出し電極60がバスバー電極62を兼用することにより、製造工程を増やすことなく、発光均一性に寄与するバスバー電極62を形成できる。
また、バスバー電極62を、封止層70の内部に配置することにより、バスバー電極の一部または全体を封止層から露出させる場合と比べて、マイグレーションに起因する絶縁不良を低減できる。
上述のように、本実施形態によると、封止層70から露出している電極間の、金属材料のイオンマイグレーションに起因する絶縁不良の発生が抑制された、信頼性の高い有機EL素子を提供できる。あるいは、絶縁層50の厚さの差を利用して、より簡便に製造可能な有機EL素子を提供できる。または、これらの両方の効果を奏する有機EL素子を提供できる。
なお、上述の実施形態において説明した各図は、模式的なものであり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際のものの寸法比を反映しているとは限らない。
本開示の有機EL素子は、携帯電話機用のディスプレイやテレビなどの表示素子、各種光源などに利用可能である。いずれの用途においても、低輝度から光源用途等の高輝度まで幅広い輝度範囲で低電圧駆動される有機EL素子として適用できる。このような高性能により、家庭用もしくは公共施設、あるいは業務用の各種ディスプレイ装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ、照明光源等として、幅広い利用が可能である。
10 基材
10s 導電性表面
20 下部電極
30 有機EL層
40 上部電極
50 絶縁層
50a 絶縁層の第1の部分
50b 絶縁層の第2の部分
50E 絶縁層の露出部分
50C 絶縁層の封止部分
60 引き出し電極
60a、60b、60c 引き出し電極の各電極部
62 バスバー電極
70 封止層
100、101、102、103 有機EL素子

Claims (10)

  1. 第1の電極層と、
    第2の電極層と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に形成された、発光層を含む有機EL層と、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間で、前記有機EL層を含まない領域に形成された絶縁層と、
    前記第2の電極層の一部上に配置された封止層と
    を備え、
    前記絶縁層は、第1の部分と前記第1の部分よりも厚い第2の部分とを有し、前記第1の部分は、前記第2の部分よりも前記有機EL層側に位置しており、
    前記第1の電極層の法線方向から見たとき、前記封止層は、前記有機EL層と前記絶縁層の一部とを覆っており、
    前記第1の電極層と前記第2の電極層との間において、前記絶縁層のうち前記封止層から露出されている部分は、全て前記第2の部分である、有機EL素子。
  2. 前記第1の電極層は、導電性表面を有する基材を含み、前記絶縁層は、前記基材の前記導電性表面上に、前記導電性表面と接して設けられている、請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記第1の電極層は、前記基材の前記導電性表面と前記有機EL層との間に配置された下部電極をさらに含む、請求項2に記載の有機EL素子。
  4. 前記絶縁層の上面は、前記第2の部分の最も厚い部分と前記第1の部分の最も薄い部分との間に段差を有しており、前記第2の電極層の上面は、前記絶縁層の前記段差を反映した段差を有しており、前記封止層の端部は、前記第2の電極層の上面のうち前記段差を構成する面上にある、請求項1から3のいずれかに記載の有機EL素子。
  5. 前記第2の電極層は、
    前記有機EL層と接する上部電極と、
    前記上部電極と電気的に接続され、かつ、その一部が前記封止層から露出するように延設された少なくとも1つの引き出し電極と
    を含む、請求項1から4のいずれかに記載の有機EL素子。
  6. 前記少なくとも1つの引き出し電極は、第1の電極部分と、前記第1の電極部分よりも薄い第2の電極部分とを有し、前記第1の電極部分は前記第2の電極部分よりも前記有機EL層側に位置し、
    前記少なくとも1つの引き出し電極のうち前記封止層から露出した部分は全部、前記第2の電極部分である、請求項5に記載の有機EL素子。
  7. 前記少なくとも1つの引き出し電極のうち前記封止層で覆われた部分の厚さは、前記有機EL層の近傍で、前記封止層の端部の近傍よりも小さい、請求項5または6に記載の有機EL素子。
  8. 前記絶縁層の前記封止層で覆われた部分上に、前記第1の電極層の法線方向から見たとき前記有機EL層を包囲するように配置されたバスバー電極をさらに備え、
    前記バスバー電極と前記少なくとも1つの引き出し電極とは一体的に形成されている、請求項1から7のいずれかに記載の有機EL素子。
  9. 前記第1の電極層のうち絶縁層と接する面および前記第2の電極層のうち絶縁層と接する面の少なくとも一方は金属材料を含む、請求項1に記載の有機EL素子。
  10. 前記有機EL層の周縁は、前記絶縁層の前記第1の部分上に位置している、請求項1に記載の有機EL素子。
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