以下、本発明を更に説明する。
本発明の(A)成分として使用されるポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物はナフトールアラルキル樹脂とビニル芳香族ハロメチル化合物とを反応させて得られ、上記式(1)で表される構造をもつ化合物である。
式(1)において、R1はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、または炭素数6〜10のアリール基を表す。前記アリール基は、さらに置換基を有しても良く、例えば、炭素数1〜6のアルキル基である。好ましくは溶解性、誘電特性、硬化性及び難燃性とのバランスの点から、R1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6のアリール基であり、特に好ましくは、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
また、R2は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、またはビニルベンジル基を表す。そして、R2中に占めるビニルベンジル基の割合(モル%)は、60〜100%であるが、好ましくは90〜100%である。一方で、R2中の0〜40%、好ましくは0〜10%が水素原子、アルキル基または両者である。R2の一部を、炭素数1〜12のアルキル基とすることは、靱性、成形性及び誘電特性が優れるものを与えるため好ましい。より好ましくは、R2における炭素数1〜12のアルキル基の割合が1〜30モル%であり、さらに好ましくは、1〜10モル%である。ビニルベンジル基の割合が60%未満の場合は、重合活性点が少ないことと、フェノール性水酸基が多いため、硬化不足や誘電特性の悪化という問題が起こりやすい。さらに、R2におけるビニルベンジル基と炭素数1〜12のアルキル基の総和が60モル%未満の場合には、誘電特性が悪化する傾向がある。
mは1〜6の数を表すが、好ましくは溶解性と難燃性のバランスの点から、R1が水素を除く官能基である場合、その数(m')は0〜2である。また、rは1〜3の数を表すが、好ましくは溶解性と靱性の点から、1〜2の数である。m+rは6又は7以下であるが、m’+rは好ましくは1〜4である。
また、Ar1は炭素数6〜50の芳香族炭化水素基を表す。例えば、−Ph−、−Ph−Ph−、‐Np−、‐Np−CH2−Np−、−Ph−CH2−Ph−、−Ph−C(CH3)2−Ph−、−Ph−CH(CH3)−Ph−、−Ph−CH(C6H5)−Ph−、−Ph−Flu−Ph−、及び−Flu(CH3)2−からなる群れから選ばれる炭素数6〜50の芳香族炭化水素基等が挙げられる。より好ましくは、炭素数が6〜20である芳香族炭化水素基である。ここで、Phはフェニレン基(-C6H4-)を表し、Npはナフチレン基(-C10H6−)を表し、Fluはフルオレニル基(-C13H8−)を表す。ここで、Ph、NpおよびFluは、置換基を有しても良く、例えば、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基である。好ましくは炭素数が1〜6のアルキル基が挙げられる。また、Ar1として、溶解性及び難燃性の観点から、より好ましくは、無置換、アルキル基置換、アルコキシ基置換もしくはフェニル基置換の−Ph−、−Ph−Ph−または−Np−である。
また、nは平均値で1〜20の数を表すが、好ましくは1〜10である。nが20を超えると粘度が上昇し、微細パターンへの充填性が低下するという点で好ましくない。なお、分子量分布を有するときは、数平均値である。
さらに、上記(A)成分が、13C−NMR測定に於いて、200〜204ppmのアルデヒド基に由来するピーク面積(a)が、112〜115ppmのビニル基のピーク面積(b)と合計した総ピーク面積(a+b)に対して、10.0%以下であることが必要である。ここで、13C−NMR測定に於いて観測される、200〜204ppmのアルデヒド基に由来するピークは、前記式(1)においてR2がHであるフェノールアラルキル樹脂とビニル芳香族ハロメチル化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させる際に、系中に存在する水との副反応によって生成する副反応物である。一方、13C−NMR測定に於いて観測される、112〜115ppmのビニル基のピークは、前記のフェノールアラルキル樹脂とビニル芳香族ハロメチル化合物との反応によって生じる目的物である。上記の面積比[a/(a+b)]は、好ましくは、5.0%以下であり、より好ましくは3.0%以下である。ピーク面積が10.0%を越えると、初期の誘電特性が低下するばかりではなく、250℃以上の熱履歴を長時間受けた後での誘電特性の低下が大きくなる。
また、上記(A)成分は、全ハロゲン含有量が600ppm(wt)以下であることが好ましい。より好ましくは、450ppm以下であり、更に好ましくは200ppm以下である。全ハロゲン含有量が600ppmを超えると、250℃以上の熱履歴を長時間受けた後での誘電特性の低下が大きくなるので好ましくない。このハロゲンは、主に原料である芳香族ハロメチル化合物に基づくので、上記ポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物のピーク面積と関連する。
また、上記(A)成分はナフトールアラルキル樹脂とビニル芳香族ハロメチル化合物とを反応させて得ることが有利であるが、これに限らない。ナフトールアラルキル樹脂は下記式(2)で表される。
上記ナフトールアラルキル樹脂とビニル芳香族ハロメチル化合物との反応は特に制限されるものではないが、例えば、極性溶媒等の液相でアルカリ金属水酸化物を脱ハロゲン化水素剤として用いて反応させることにより行われる。この反応ではナフトールアラルキル樹脂のフェノール性水酸基と、ビニル芳香族ハロメチル化合物のCH2X基(Xはハロゲン基を意味し、塩素で代表する。)が縮合反応して、脱HClとO−CH2結合の生成が起こり、ポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物が生成する。
また、靱性、成形性及び誘電特性を向上させる目的で、上記ナフトールアラルキル樹脂のフェノール性水酸基の一部を、例えば、特許第4465257公報に記載の方法に従って、酸性触媒の存在下に炭素数1〜12のアルコール類と反応させることにより、前記式(1)のR2における炭素数1〜12のアルキル基を導入することもできる。アルキル基を導入する場合、前記式(1)のR2におけるアルキル基の割合が1〜30モル%であるようにすることがよい。
アルキル基を導入する反応は、ビニル芳香族ハロメチル化合物との反応の前でもあっても、後であってもよいが、ビニル基の重合を回避するためには、前が好ましい。前の場合は、フェノール性水酸基の水素原子の一部がアルキル基に置換されたナフトールアラルキル樹脂(以下、「一部変性されたナフトールアラルキル樹脂」という。)を先に合成し、その後ビニル芳香族ハロメチル化合物と反応させて、一部がアルキル化されたポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物(以下、「一部変性されたポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物」という。)を得る方法である。後の場合は、ナフトールアラルキル樹脂とビニル芳香族ハロメチル化合物とを反応させて、ポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物を得て、その後、残存するフェノール性水酸基の水素原子の一部をアルキル化して、一部変性されたポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物を得る方法である。ここで、一部変性されたポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物は、当然に本明細書でいうポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物に包含される。また、一部変性されたナフトールアラルキル樹脂は、本明細書でいうナフトールアラルキル樹脂に包含される。
また、ナフトールアラルキル樹脂の原料の一部又は全部として、ヒドロキシナフタレン類として、フェノール性水酸基の水素原子の一部又は全部をアルキル基としたものを使用することもでき、これらとフェノール性水酸基の水素原子がアルキル化されていないヒドロキシナフタレン類と併用することもできる。
また、ナフトールアラルキル樹脂は、フェノール性水酸基の水素原子の全部がアルキル化されたものと、フェノール性水酸基の水素原子の全部が残っているものとの混合物であってもよく、これも一部変性されたナフトールアラルキル樹脂に包含される。
式(1)〜(2)において、同一の記号は同じ意味を有する。したがって、式(2)中のR1、R2、Ar1、n、m及びrは、式(1)のそれらと同意である。
上記ナフトールアラルキル樹脂としては、上記の反応で得られる他、市販のものを利用することもでき、例えば、新日鉄住金化学株式会社製SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495等が好適に使用できる。より好ましくは、溶解性、靱性及び難燃性という点で、SN475、SN485、SN495、SN485V、SN495Vである。誘電特性、靱性と成形性の観点から、特に好ましいのは、SN485V、SN495Vである。
また、上記ナフトールアラルキル樹脂は、公知の方法によって製造することも可能である。例えば、特開2001−213946号公報、特開平11−255868号公報、特開平11−228673号公報、特開平08―073570号公報、特開平08−048755号公報、特開平10−310634や特開平11−116647号公報等に記載されている方法がある。上記ナフトールアラルキル樹脂は、単独で使用してもよいし二種類以上を併用してもよい。
上記ビニル芳香族ハロメチル化合物は、CH2=CH―Ar2−CH2Xで表わされる。ここで、Ar2はフェニレン基又は置換フェニレン基である。置換フェニレン基の場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基が挙げられる。好ましくは炭素数が1〜6のアルキル基が挙げられる。また、Ar2として、溶解性及び難燃性の観点から、より好ましくは、無置換、アルキル基置換、アルコキシ基置換もしくはフェニル基置換のフェニレン基である。更に好ましくは、工業的に製造が容易である、無置換及びアルキル基置換のフェニレン基である。このビニル芳香族ハロメチル化合物は、R2のビニルベンジル基を与えるから、ビニルベンジル基はそのベンゼン環に置換基を有する置換ビニルベンジル基であっても良いと理解される。
好ましいビニル芳香族ハロメチル化合物としては、p−ビニルベンジルクロライド、m−ビニルベンジルクロライド、p−ビニルベンジルクロライドとm−ビニルベンジルクロライドとの混合体、p−ビニルベンジルブロマイド、m−ビニルベンジルブロマイド、p−ビニルベンジルブロマイドとm−ビニルベンジルブロマイドとの混合体を挙げることができる。中でも、p−ビニルベンジルクロライドとm−ビニルベンジルクロライドとの混合体を使用すると、溶解性に優れたポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物が得られ、他の材料との相溶性及び作業性が良好となるため好ましい。p−ビニルベンジルハライドとm−ビニルベンジルハライドの混合体を使用する場合、組成比に特に制限はないが、p−体/m−体=90/10〜10/90(モル/モル)であることが好ましく、70/30〜30/70(モル/モル)であることがより好ましく、60/40〜40/60(モル/モル)であることが更に好ましい。
上記式(2)で表されるナフトールアラルキル樹脂とビニル芳香族ハロメチル化合物との反応は、特に制限されるものではないが、例えばナフトールアラルキル樹脂とビニル芳香族ハロメチル化合物を極性溶剤中でアルカリ金属水酸化物を脱ハロゲン化水素剤として用い反応させる方法が挙げられる。
さらに、上記ポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物は、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃、UV検出器を使用して行ったGPC測定において、ビニル芳香族ハロメチル化合物のピーク面積(a1)とポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物のピーク面積(b1)と合計した総ピーク面積(a1+b1)との関係が、(a1)/(a1+b1)として、1.0%以下であることが好ましい。好ましくは、0.5%以下であり、より好ましくは0.2%以下である。このピーク面積比が1.0%を越えると、250℃以上の熱履歴を長時間受けた後での誘電特性が低下する傾向にある。ここで、ポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物のピーク面積とは、上記式(1)を満足する純粋なポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物に基づくピーク面積を意味する。(A)成分として使用されるポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物は反応生成物又はこれを精製したものであり、純粋なポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物の他に、上記式(1)を満足しない不純物として他の成分を少量含むことができる。
また、(A)成分として使用されるポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物は、全ハロゲン含有量が600ppm(wt)以下であることが好ましい。より好ましくは、450ppm以下であり、更に好ましくは200ppm以下である。全ハロゲン含有量が600ppmを超えると、250℃以上の熱履歴を長時間受けた後での誘電特性が低下する傾向にある。このハロゲンは、主に原料である芳香族ハロメチル化合物に基づくので、上記ポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物のピーク面積と関連する。
また、ハロゲン含有量が600ppm以下になると、反りや転写不良といった、成形不良現象を回避できるという望外の効果も得られることからも好ましい。しかしながら、必要以上に全ハロゲン含有量やビニル芳香族ハロメチル化合物の含有量を低下させることは、精製歩留まりを大幅に低下させることになる。実験によれば、全ハロゲン含有量は2ppm以上であれば、上記のような工業的な実施に関わる問題が生じないことが判明したので、それを超える精製は、精製歩留まりの面からは有利とは言えない。
(B)成分としては、数平均分子量が100以上のビニル基を有する化合物であれば、その構造は問わないが、分子内に少なくとも2つのビニル基を有するものが好ましい。(B)成分は、上記(A)成分を含む硬化物に、成形加工性を向上させる成分として、また、異種材料との密着性を付与する成分として作用する。
上記(B)成分は、好ましくは、数平均分子量100以上の単官能性アクリロイル化合物、単官能性メタクリロイル化合物多官能性アクリロイル化合物、多官能性メタクリロイル化合物、単官能性マレイミド、多官能性マレイミド、多官能性不飽和ポリエステル、単官能性芳香族ビニル化合物、及び、多官能性芳香族ビニル化合物からなる群から選ばれる1種以上のビニル化合物である。
上記(B)成分の好ましい例をさらに具体的に挙げると、単官能及び多官能性アクリロイル化合物、及び、単官能及び多官能性メタクリロイル化合物としては下記式(3)または(4)で表される化合物がある。
式中、mは1〜10の整数であり、R
26及びR
28は水素又はメチル基を示し、R
27は単官能もしくはm価の多価ヒドロキシ基含有有機化合物の残基を示す。
ここで、R27の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、水素添加 ビスフェノールAなどで例示されるアルカンポリオールの残基;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどで例示されるポリエーテルポリオールの残基;キシレングリコール、ビスフェノールAで代表される複数個のベンゼン環が橋絡部を介 して連結された芳香族性ポリオール及びこれらの芳香族ポリオールのアルキレンオキサイド付加物などで例示される芳香族ポリオール残基;フェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるベンゼン多核体(通常、10核体以下のものが好適に用いられる)の残基;エポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂から導かれる残基;末端に水酸基を2個以上有するポリエステル樹脂から導かれる残基がある。
具体的な化合物としては、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1、6−ヘキサンジオールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、1,1,1−メチロールエタンジアクリレート、1,1,1−トリメチロールエタントリアクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパンアクリレート、1、1、1−トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、1,4−ヘキサンジオールジアクリレー ト、2,2−ビス(アクリロキシシクロヘキサン)プロパン、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジア クリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA−ジアクリレート、2,2−ビス(4−(2−アクリロキシ エトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(アクリロキシ−ジ−(エチレンオキシ)フェニル))プロパン、2,2−ビス(4−(アクリロキシ−ポリ−(エチレンオキシ)フェニル))プロパン;フェノール樹脂初期縮合体の多価アクリレート;ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステルとポリカルボン酸等とアクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート類;末端に水酸基を2個以上有するポリエステルとアクリル 酸とを反応して得られるポリエステルポリアクリレート類;上述したアクリレートがメタクリレート類になったもの;更にはこれらの化合物の水素原子が例えば2,2−ジブロモメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレートのように一部ハロゲンで置換されたもの等が挙げられる。
トリアジン環を有する多官能性(メタ)アクリロイル化合物の代表的な例としては、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアクリロイル−s−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリメタクリロイル−s−トリアジンが挙げられる。
また、ビニル基を含む樹脂として用いられる単官能及び多官能性マレイミドには、下記式(5)で表されるものがある。
式中、nは1〜10の整数であり、R
29、R
30は水素、ハロゲン又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R
31はn価の芳香族又は脂肪族有機基を表す。
上記式(5)の単官能性及び多官能性マレイミドは、無水マレイン酸類と分子内にアミノ基を1〜10個有するアミン化合物とを反応させてマレアミド酸とし、ついでこのマレアミド酸を脱水環化させることにより製造される。
好適なアミン化合物としては、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、ヘキサヒドロキシリレンジアミン、4,4−ジアミノビフェニル、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−アミノフェニル)メタン、3,4−ジアミノフェニル−4’−アミノフェニルメタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、s−トリアジン環を持ったメラニン類、アニリンとホルムア ルデヒドを反応させて得られるポリアミン(通常、ベンゼン核が10核体以下のものが好適に用いられる)等が挙げられる。
ビニル基を含む樹脂として用いられる不飽和ポリエステルとしては、不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合反応により生成した不飽和ポリエステルが使用できる。
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジブロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノール・アルキレンオキシド付加物等を挙げることができる。
不飽和多価カルボン酸としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、フマル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等を例示できる。不飽和多価カルボン酸に飽和多価カルボン酸を併用することもできる。飽和多価カルボン酸としては、例えば無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、コハク酸、シトラコン酸、アジピン酸、セバシン酸等を例示できる。
不飽和ポリエステルの詳細については、例えば滝山榮一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988)が参照される。
(B)成分として使用される数平均分子量が100以上のビニル化合物として使用することのできる、数平均分子量100以上の単官能性、及び、多官能性芳香族ビニル化合物としては次のような化合物を挙げることができる。
単官能性芳香族ビニル化合物の例としては、スチレン、核アルキル置換モノビニル芳香族化合物、α−アルキル置換モノビニル芳香族化合物、β−アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン等があるが、これらに制限されるものではない。成形加工性の改善するために、特にスチレン、エチルビニルベンゼン(m−及びp−両方の異性体)、ビニルビフェニル(各異性体を含む)がコスト及び入手の容易さの観点から、好まれて使用される。
多官能性芳香族ビニル化合物の例としては、ジビニルベンゼン(m−及びp−両方の異性体)、ジビニルビフェニル(各種異性体を含む)、ジビニルナフタレン(各種異性体を含む)、ジイソプロペニルベンゼン(各種異性体を含む)、ジイソプロペニルビフェニル(各種異性体を含む)、ジイソプロペニルナフタレン(各種異性体を含む)、トリビニルベンゼン(各種異性体を含む)、トリビニルビフェニル(各種異性体を含む)、トリビニルナフタレン(各種異性体を含む)、1,2−ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニル−4,5,8−トリブチルナフタレン、2,2’−ジビニル−4−エチル−4’−プロピルビフェニル等を用いることができるが、これらに制限されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
ジビニル芳香族化合物(a)の好適な具体例としては、コスト及び得られたポリマーの耐熱性の点でジビニルベンゼン(m−及びp−異性体の両方)、ジビニルビフェニル(各異性体を含む)及びジビニルナフタレン(各異性体を含む)が好適である。より好ましくは、ジビニルベンゼン(m−及びp−異性体の両方)、ジビニルビフェニル(各異性体を含む)である。特に、ジビニルベンゼン(m−及びp−異性体の両方)が最も好ましく用いられる。特に高度の耐熱性が要求される分野ではジビニルビフェニル(各異性体を含む)及びジビニルナフタレン(各異性体を含む)が好適に使用される。
これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記(B)成分の数平均分子量は、100以上であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは200〜50,000であり、より好ましくは300〜10,000である。
上記(B)成分の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発分を100質量%とした場合、好ましくは1〜80質量%であり、より好ましくは5〜70質量%であり、更に好ましくは10〜50質量%である。上記(B)成分の配合量を上記範囲とすることにより、硬化物としての電気的特性、耐熱性、及び、線膨張係数を向上させることができる。
また、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の比率は、A/(A+B)=0.05〜0.99、B/(A+B)=0.95〜0.01を満足することが好ましい。より好ましくは、A/(A+B)=0.1〜0.9、B/(A+B)=0.9〜0.1である。最も、好ましくは、A/(A+B)=0.3〜0.8、B/(A+B)=0.7〜0.2である。(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の比率が上記の範囲を満足することによって、硬化物の誘電特性、耐熱性、耐湿熱性をより向上させることができる。
本発明の樹脂組成物には(C)成分として、Mwが1万以上である高分子量樹脂を添加することができる。上記(C)成分のMwが1万以上であれば、その構造は特に限定されない。上記(C)成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記(C)成分の具体例を挙げると、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、フェノキシ樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、あるいは、既知の熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体等やあるいはゴム類、例えばポリブタジェン、ポリイソプレン等の樹脂を使用できる。
好ましくは、本発明の(A)成分との相溶性、密着信頼性の観点から、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、およびポリエステル樹脂等である。
上記(C)成分のガラス転移温度(Tg)の好ましい下限は−40℃、より好ましい下限は50℃、最も好ましい下限は90℃である。好ましい上限は250℃、より好ましい上限は200℃である。上記(C)成分のTgが上記好ましい下限を満たすと、樹脂が熱劣化し難くなる。上記(C)成分のTgが上記好ましい上限を満たすと、上記(C)成分と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態でのキャストフィルム・シートのハンドリング性、並びにキャストフィルム・シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。ここで、本明細書における、キャストフィルム・シートとは、本発明の硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解させてワニスとし、このワニスを、数μm〜数mmの厚みになるように成膜し、乾燥させて、上記硬化性樹脂組成物のフィルム又はシートにしたものである。
上記(C)成分のMwは1万以上である。Mwの好ましい下限は2万、より好ましい下限は3万、好ましい上限は100万、より好ましい上限は25万である。Mwが上記好ましい下限を満たすと、絶縁シートが熱劣化し難くなる。Mwが上記好ましい上限を満たすと、上記(C)成分と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態でのキャストフィルム・シートのハンドリング性、並びにキャストフィルム・シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
上記(C)成分、(A)成分及び(B)成分を含む硬化性樹脂組成物は、キャストフィルム・シートに加工することができる。キャストフィルム・シートに含まれている樹脂成分の合計を100重量%とした場合、上記(C)成分の含有量は10〜60重量%の範囲内であることが好ましい。好ましくは、下限が20重量%、より好ましくは、上限が50重量%である。(C)成分の含有量が10質量%以上であれば、未硬化状態でのキャストフィルム・シートのハンドリング性をより一層高めることができる。60質量%以下であれば、(E)である無機充填材の分散が容易になる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の(A)成分のポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物の他に、所望により(D)成分としてラジカル重合開始剤(ラジカル重合触媒ともいう。)を含有させることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、本発明の樹脂組成物は後述するように加熱等の手段により架橋反応を起こして硬化するが、その際、反応温度を低くしたり、不飽和基の架橋反応を促進する目的でラジカル重合開始剤を含有させて使用してもよい。この目的で用いられるラジカル重合開始剤の量は(A)成分〜(C)成分の和を基準として0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%である。ラジカル重合開始剤はラジカル重合触媒であるので、以下ラジカル重合開始剤で代表する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記成分の他に、所望により(D)成分としてラジカル重合熱開始剤及びラジカル重合光開始剤からなる群から選ばれる1種以上のラジカル重合開始剤(以下、合わせて「ラジカル重合触媒」ともいう。)を含有させることができる。上記(D)成分を含有させることにより、上記硬化性樹脂組成物は、加熱、光照射等の手段により架橋反応を起こして硬化する。(D)成分を含有しない場合と比較して、反応温度が低くなる効果や、不飽和基の架橋反応が促進される効果がある。
上記(D)成分の代表的な例を挙げると、ラジカル重合熱開始剤を用いる場合は、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物があるがこれらに限定されない。また過酸化物以外では、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンも使用できる。しかし、これらの例に限定されない。
一方、ラジカル重合光開始剤を用いる場合は、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフエノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等があるがこれらに限定されない。
これらは単独又は2種以上の混合物として使用でき、更にはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等の安息香酸誘導体等の促進剤などと組み合わせて使用することができる。
光重合開始剤の市販品としては、例えばIrgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur l116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
上記(D)成分の配合量は、ラジカル重合熱開始剤を用いる場合は、上記(A)成分に対し、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%の範囲であれば、硬化反応を阻害することなく良好に反応が進行する。また、ラジカル重合光開始剤を用いる場合は、上記(A)成分に対し、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%の範囲であれば、硬化反応を阻害することなく良好に反応が進行させることができ、かつ、硬化物の機械的特性を損なうことがないので好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物から得られる硬化物、硬化性複合材料、複合材料硬化物、積層体、電気・電子部品及び回路基板の熱膨張率をさらに低下させるために、(E)成分として無機充填材を添加してもよい。(E)成分としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレニ、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等が挙げられ、これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカが特に好適である。シリカとしては球状のものが好ましい。上記(E)成分は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記(E)成分の平均粒径は、特に限定されるものではないが、絶縁層への微細配線形成の観点から好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.7μm以下である。平均粒径が小さくなりすぎると、本発明の硬化性樹脂組成物を、回路基板材料用ワニス等の樹脂ワニスとした場合に、ワニスの粘度が上昇し、取り扱い性が低下する傾向にあるため、平均粒径は0.05μm以上であるのが好ましい。上記平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作製し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−500等を使用することができる。
上記(E)成分は、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等の表面処理剤で表面処理させたものが好ましい。耐湿性が向上するからである。上記(E)成分の配合量は、本発明の硬化性樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、10〜80質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%の範囲がより好ましく、20〜65質量%の範囲が更に好ましい。上記(E)成分の配合量が80質量%を超えると、硬化物が脆くなる傾向や、ピール強度が低下する傾向にある。一方、配合量が10質量%未満であると、配合の効果が十分に発現しない。
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で(F)成分として難燃剤を含有させても良い。上記(F)成分としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のフェナントレン型リン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX305等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製のYL7613等のリン含有エポキシ樹脂等が挙げられる。有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルミド化合物、大塚化学(株)製のSPB100、SPEl00、(株)伏見製作所製FP−series等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。
上記(F)成分の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、10〜400重量部の範囲であることが好ましい。より好ましくは20〜300重量部の範囲である。
本発明における硬化性樹脂組成物は、上記(A)成分以外の熱硬化性樹脂を含有していてもよい。上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド化合物とジアミン化合物の重合物、ビスアリルナジド樹脂、ベンゾオキサジン化合物、ベンゾシクロブテン化合物等を挙げることができる。上記熱硬化性樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
なお、上記(A)成分は、低誘電率及び低誘電正接である一方で、その硬化物は密着性が十分でない場合がある。そこで、硬化物の密着性を向上させるために、上記熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を配合することが好ましい。エポキシ樹脂としては、1分子中に2以上のエポキシ基を有する芳香族系エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。
ここで、1分子中に2以上のエポキシ基を有する芳香族系エポキシ樹脂の好ましい例としては、例えば、ビスフェノールA 型エポキシ樹脂、ビスフェノールF 型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、エポキシ変性ポリブタジエンさらにはこれらエポキシ樹脂の臭素化エポキシ樹脂やリン変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は各々単独で用いてもよく、2 種以上を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ樹脂を配合する場合の(A)一般式(1)で表されるポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物、(B)数平均分子量が100以上のビニル化合物、(C)重量平均分子量が1万以上である高分子量樹脂、及び、(A)成分以外の熱硬化性樹脂の合計に対する(A)成分以外の熱硬化性樹脂の配合量は、0.1〜60wt%であることがよく、好ましくは1〜40wt%である。(E)成分配合量が0.1wt%未満であると(A)成分以外の熱硬化性樹脂を添加したことによる硬化性、接着性や耐薬品性の向上の程度が不十分であり、60wt%を越える場合は、組成物の誘電特性や機械的物性が著しく低下する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂を含有していてもよい。なお上記(B)成分とエポキシ樹脂を含む樹脂組成物において、更にフェノキシ樹脂を配合することにより、硬化が促進され樹脂組成物の熱硬化性が向上する。フェノキシ樹脂は2官能エポキシ樹脂とビスフェノール化合物の反応生成物からなるポリマーであり、分子中に存在するエステル結合がエポキシ基と上記(B)成分の硬化促進作用を示すため、比較的低い硬化温度で十分な硬化物性(耐熱性、低誘電正接等)を発揮することが可能になると考えられる。またフェノキシ樹脂の配合により、エポキシ樹脂硬化物の酸化剤による粗化性が向上し、メッキにより形成された導体層の密着性も向上する。
また、末端に残存するエポキシ基を(メタ)アクリル酸で反応させたフェノキシ樹脂、またはヒドロキシル基の一部にイソシアネート基を有するメタクリレート化合物やアクリレート化合物を反応させたフェノキシ樹脂を使用することもでき、この場合これらフェノキシ樹脂はラジカル重合性樹脂としても機能する。
フェノキシ樹脂の好ましい例としては、例えばビスフェノールA タイプのフェノトートYP50(東都化成(株)製)、E−1256(ジャパンエポキシレジン(株)製)の他、臭素化されたフェノキシ樹脂であるフェノトートYPB40(東都化成(株)製)等が挙げられる。特にビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂が、耐熱性、耐湿性および硬化促進作用の点で好ましい。このようなフェノキシ樹脂の具体例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX4000)と各種ビスフェノール化合との反応生成物からなるフェノキシ樹脂である、YL6742BH30、YL6835B H40、YL6953BH30、YL6954BH30、YL6974BH30、YX8100BH30を挙げることができる。これらのフェノキシ樹脂は各々単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フェノキシ樹脂は、硬化促進作用のほか接着フィルムの可とう性を向上させこれらの取り扱いを容易にするとともに硬化物の機械的強度、可とう性も向上させる。フェノキシ樹脂としては、重量平均分子量が5000〜100000のフェノキシ樹脂を好ましく用いることができる。フェノキシ樹脂の重量平均分子量が5000未満であると、上記の効果が十分でない場合があり、100000を超えるとエポキシ樹脂及び有機溶剤への溶解性が著しく低下し、実際上の使用が困難となる場合がある。
フェノキシ樹脂の配合量については、その種類によっても異なるが、好ましくは上記(B)成分とエポキシ樹脂との合計量100重量部に対し3〜 40重量部の範囲で配合される。特に5〜25重量部の範囲で配合するのが好ましい。3 重量部未満であると樹脂組成物の硬化促進作用が十分でない場合が生じ、樹脂組成物を回路基板にラミネート(積層)する際、あるいはラミネートした樹脂組成物を熱硬化する際、樹脂の流動性が大きくなりすぎて絶縁層厚が不均一となる傾向にある。また導体層形成のための硬化物の粗化性も得られ難い傾向にある。一方、40重量部を超えると、フェノキシ樹脂の官能基が過剰に存在することになり、十分に低い誘電正接値が得られない傾向にあり、更には接着フィルムを回路基板にラミネートする際の流動性が低すぎて回路基板に存在するビアホールやスルーホール内の樹脂充填が十分に行えなくなる傾向にある。なお、フェノキシ樹脂のMwが1万以上である場合は、上記(C)成分にも該当するが、フェノキシ樹脂全体としての配合量は上記配合量とすることが好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、硬化速度又は硬化物の物性等を調整するために、硬化促進剤を添加してもよい。
上記硬化促進剤は特に限定されない。硬化促進剤の具体例としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアジン類、有機リン系化合物、4級ホスホニウム塩類及び有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類等が挙げられる。また、上記硬化促進剤としては、有機金属化合物類、4級アンモニウム塩類及び金属ハロゲン化物等が挙げられる。上記有機金属化合物類としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫及びアルミニウムアセチルアセトン錯体等が挙げられる。
上記硬化促進剤として、高融点のイミダゾール硬化促進剤、高融点の分散型潜在性硬化促進剤、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤、及び高温解離型かつ熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等も使用できる。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤は、有機リン系化合物又は高融点のイミダゾール系硬化促進剤であることが好ましい。有機リン系化合物又は高融点のイミダゾール系硬化促進剤の使用により、キャストフィルム・シートの硬化速度等の上記硬化性樹脂組成物の硬化性を容易に制御でき、また、及びキャストフィルム・シート等の上記硬化性樹脂組成物の硬化物の物性等をより一層容易に調整できる。硬化促進剤の融点は100℃以上であることが、取扱い性に優れるため好ましい。
本発明の電子材料用基板用ワニス(「回路基板材料用ワニス」も一例として含む。)は、本発明の硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解させることにより製造することができる。ここで使用し得る前記溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得るが、例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、1−メトキシ−2−プロパノール等の沸点が160℃以下の溶剤であることが好ましく、また、不揮発分20〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。一方、ビルドアップ用接着フィルム用途では、有機溶剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分20〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。なお、本発明の電子材料用基板用は、前記電子材料用基板用ワニスを硬化させて得られる。具体的には、プリント配線基板、プリント回路板、フレキシブルプリント配線板、ビルドアップ配線板等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、用途に応じて、成型物、積層物、注型物、接着剤、塗膜、フィルム又はシートとして使用できる。例えば、半導体封止材料用途としては、硬化物は注型物又は成型物であり、硬化性樹脂組成物を注型、又はトランスファ−成型機、射出型機等を用いて成型し、さらに80〜230℃で0.5〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。また、電子材料用基板用途としては、硬化物は積層物であり、電子材料用基板用ワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙等の基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグを得て、この複数のプリプレグ同士を積層して硬化性複合材料の積層物とし、又はこのプリプレグと銅箔等の金属箔とを積層して樹脂付き金属箔とし、熱プレス成型することにより硬化物を得ることができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、チタン酸バリウム等の無機の高誘電体粉末、あるいはフェライト等の無機磁性体を配合することができる。これにより、電気・電子部品用材料、特に高周波電子部品材料として有用である。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、後述する硬化性複合材料と同様、金属箔(金属板を含む。以下、同じ。)と張り合わせて、樹脂付き金属箔又は積層体として用いることができる。
次に、本発明の硬化性樹脂組成物と基材を含む硬化性複合材料とその硬化体について説明する。硬化性複合材料には、機械的強度を高め、寸法安定性を向上させるために基材が使用される。
このような基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマットなどの各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布及びその他合成若しくは天然の無機繊維布、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾザール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等の合成繊維から得られる織布又は不織布、綿布、麻布、フェルト等の天然繊維布、カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混繊紙等の天然セルロース系布などの布類、紙類等が挙げられる。それぞれ単独で、又は2種以上を併せて用いられる。
硬化性複合材料中における基材の占める割合は、硬化性複合材料中に5〜90wt%、好ましくは10〜80wt%、更に好ましくは20〜70wt%である。基材が5wt%より少なくなると硬化性複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が低下する傾向にある。また基材が90wt%を超えると硬化性複合材料の誘電特性が低下する傾向にある。
本発明の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。
本発明の硬化性複合材料を製造する方法としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物(必要に応じて他の成分を加えても良い。)を前述の電子材料用基板用ワニスに用いられる溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の硬化性複合材料を、加熱等の方法により硬化することによって複合材料硬化物が得られる。その製造方法は特に限定されるものではなく、例えば硬化性複合材料を複数枚積層し、加熱及び加圧を同時に行うことによりそれらを接着せしめると同時に熱硬化を行い、所望の厚みの複合材料硬化物を得ることができる。また、複合材料硬化物に対して、更に硬化性複合材料を接着・硬化させて新たな層構成の複合材料硬化物を得ることも可能である。積層及び接着並びに硬化は、通常熱プレス等を用い同時に行われるが、積層及び接着の工程と硬化の工程とをそれぞれ単独で行ってもよい。すなわち、あらかじめ積層及び接着して得た未硬化あるいは半硬化の複合材料を、熱処理又は別の方法で処理することによって硬化させることができる。
積層及び接着並びに硬化は、これらを同時に行う場合、温度:80〜300℃、圧力:0.1〜1000kg/cm2、時間:1分〜10時間の範囲、より好ましくは、温度:150〜250℃、圧力1〜500kg/cm2、時間:1分〜5時間の範囲で行うことができる。
本発明の積層体とは、本発明の複合材料硬化物の層と金属箔の層より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは3〜105μmの範囲である。
本発明の積層体を製造する方法としては、例えば、本発明の硬化性複合材料と、金属箔を目的に応じた層構成で積層し、加熱及び加圧を同時に行うことにより各層間を接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。本発明の積層体は、複合材料硬化物と金属箔が任意の層構成で積層される。金属箔は表層としても中間層としても用いることができる。また、硬化性複合材料及び金属箔の積層と硬化を複数回繰り返して多層化することも可能である。
硬化性複合材料と金属箔との接着には接着剤を用いることもできる。接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。上記の積層及び接着並びに硬化は、本発明の複合材料硬化物の製造と同様の条件で行うことができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物をフィルム状に成形することもできる。フィルム状に成形する、即ちフィルムにすることで、電気・電子部品等に加工しやすくなるため好ましい。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmである。
フィルムを製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性樹脂組成物と必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、PETフィルム等の樹脂フィルムに塗布した後乾燥する方法等が挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の樹脂付き金属箔とは本発明の硬化性樹脂組成物と金属箔より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
本発明の樹脂付き金属箔を製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性樹脂組成物(必要に応じて他の成分を加えても良い)と、前述の回路基板材料用ワニスに用いられる溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、金属箔に塗布した後乾燥する方法が挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
また、本発明においては、フィルム状に成形した硬化性樹脂組成物(以下、「フィルム」ともいう。)を接着層とし、これと後述する被めっき層用樹脂組成物からなる被めっき層とを有する積層フィルムとしてもよい。
この積層フィルムの製造方法は、たとえば、以下の2つの方法が挙げられる。製造方法(1):上記被めっき層用樹脂組成物を支持体上に塗布、散布又は流延し、必要に応じて乾燥させ、次いで、その上に、硬化性樹脂組成物をさらに塗布又は流延し、必要に応じて乾燥させることにより製造する方法;製造方法(2):上記被めっき層用樹脂組成物を支持体上に塗布、散布又は流延し、必要に応じて乾燥させ、次いで、硬化性樹脂組成物を別の支持体上に塗布、散布又は流延し、必要に応じて乾燥させて、これらを積層し、一体化させることにより製造する方法。これらの製造方法の内、より容易なプロセスであり生産性に優れることから、上記製造方法(1)が好ましい。
前記製造方法(1)及び(2)において、硬化性樹脂組成物又は被めっき層用樹脂組成物に有機溶剤を添加してワニスとした後に、それらを塗布、散布又は流延することが好ましい。
上記支持体としては、樹脂フィルムや金属箔等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。これらのフィルムのうち、耐熱性、耐薬品性、剥離性等の観点からポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。金属箔としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔等が挙げられる。なお、支持体の表面平均粗さRaは、通常、300nm以下、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下である。
上記製造方法(1)及び(2)における、被めっき層用樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物の厚みは、特に限定されないが、積層フィルムとした際における、被めっき層の厚みは、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1.5〜8μm、さらに好ましくは2〜5μmである。また、接着層の厚みは、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmである。被めっき層の厚みが1μm未満であると、積層フィルムを硬化して得られる硬化物上に、無電解めっきにより導体層を形成した際における、導体層の形成性が低下してしまうおそれがあり、一方、被めっき層の厚みが100μmを超えると、積層フィルムを硬化して得られる硬化物の線膨張が大きくなるおそれがある。また、接着層の厚みが10μm未満であると、積層フィルムの配線埋め込み平坦性が低下してしまうおそれがある。
被めっき層用樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ディップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコート、グラビアコート等が挙げられる。
また、上述の(1)の製造方法における、被めっき層用樹脂組成物を支持体上に塗布、散布又は流延した後、あるいは硬化性樹脂組成物を被めっき層用樹脂組成物上に塗布、散布又は流延した後、あるいは上述の(2)の製造方法における、被めっき層用樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布した後、必要に応じて、乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、被めっき層用樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、より好ましくは、20〜300℃、さらに好ましくは30〜200℃である。また、乾燥時間は、通常、30秒間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間である。
なお、上記積層フィルムは、被めっき層及び接着層が未硬化又は半硬化の状態であることが好ましい。そうすることにより、積層フィルムを構成する接着層を接着性の高いものとすることできる。
本発明の硬化性複合材料は、本発明の硬化性樹脂組成物と基材からなる。例えば、硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸したものは、硬化性複合材料の一種であるプリプレグである。通常、シート状又はフィルム状の形態を有している。
この場合に用いる上記繊維基材は、たとえば、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維やポリエステル繊維等の有機繊維や、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維が挙げられる。また、繊維基材の形態としては、平織りもしくは綾織り等の織物の形態、または不織布の形態等が挙げられる。繊維基材の厚さは5〜100μmが好ましく、10〜50μmの範囲が好ましい。5μm未満であると取り扱いが困難となり、100μmを超えると相対的に樹脂層が薄くなり配線埋め込み平坦性が不十分になる場合がある。
また、上記プリプレグ中の繊維基材の量は、通常、20〜90重量%、好ましくは30〜85重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物を、繊維基材に含浸させる方法としては、特に限定されないが、粘度等を調整するために本発明の硬化性樹脂組成物に有機溶剤を添加し、これに繊維基材を浸漬する方法、有機溶剤を添加した硬化性樹脂組成物を繊維基材に塗布や又は散布する方法等が挙げられる。例えば、支持体の上に繊維基材を置いて、これに、有機溶剤を添加した硬化性樹脂組成物を塗布又は散布する。なお、上記プリプレグは、硬化性樹脂組成物が未硬化又は半硬化の状態であることが好ましい。
また、硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させた後、必要に応じて、乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、本発明の硬化性樹脂組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、より好ましくは、20〜300℃、更に好ましくは30〜200℃である。乾燥温度が300℃を超えると、硬化反応が進行しすぎて、得られるプリプレグが未硬化又は半硬化の状態とならなくなるおそれがある。また、乾燥時間は、好ましくは、30秒間〜1時間、さらに好ましくは1分間〜30分間である。
また、上記プリプレグは、上記積層フィルムと、繊維基材とからなるものであってもよい。この場合には、プリプレグの一方の面が上記接着層で、他方の面が上記被めっき層であり、それらの層の内部に繊維基材が存在する。この場合においても、繊維基材としては、上述したものと同じものを用いることができる。
また、その製造方法は特に限定されないが、たとえば、以下の3つの製造方法が挙げられる。製造方法(1)支持体を2つ用意し、一方の支持体に、接着層用硬化性樹脂組成物を積層し、もう一方の支持体に、めっき層用樹脂組成物を積層し、それらの樹脂組成物側を対向させて、繊維基材を間に挟んで、必要により加圧、真空、加熱等の条件のもとで積層して製造する方法;製造方法(2):接着層用硬化性樹脂組成物又は被めっき層用樹脂組成物のいずれかを繊維基材に含浸して、必要により乾燥することによりプリプレグを作製し、このプリプレグにもう一方の樹脂組成物を直接塗布、散布又は流延することにより、または、上記もう一方の樹脂組成物を支持体上に積層し、これを上記プリプレグに樹脂組成物層側を対向させて積層することにより製造する方法;製造方法(3):支持体上に接着層用硬化性樹脂組成物又は被めっき層用樹脂組成物のいずれかを塗布、散布又は流延等により積層し、その上に繊維基材を重ね、さらにその上からもう一方の樹脂組成物を塗布、散布又は流延することにより積層し、必要により乾燥させることにより製造することができる。なお、いずれの方法も各樹脂組成物には必要に応じて有機溶剤を添加して、樹脂組成物の粘度を調整することにより、繊維基材への含浸や支持体への塗布、散布又は流延における作業性を制御することが好ましい。また、被めっき層用樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ディップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコート、グラビアコート等が挙げられる。
この際に用いる支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルムなどの樹脂フィルムや、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔等の金属箔が挙げられ、これらは、プリプレグの一方の面だけでなく、両方の面に付いていてもよい。
上記積層フィルムと繊維基材からなるプリプレグの厚みは、特に限定されないが、被めっき層の厚みは、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1.5〜8μm、さらに好ましくは2〜5μmである。また、接着層の厚みは、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmとなるような厚みである。
また、本発明の硬化性複合材料(プリプレグ)を、上述した積層フィルムと、繊維基材とからなるものとする場合には、上記した積層フィルムと同様に、被めっき層及び接着層を構成する樹脂組成物が未硬化又は半硬化の状態であることが好ましい。
そして、このようにして得られる本発明のプリプレグは、これを加熱し、硬化させることにより硬化物とすることができる。
硬化温度は、通常、30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。また、硬化時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。加熱の方法は特に制限されず、例えば電気オーブン等を用いて行えばよい。
本発明の積層体は、本発明の硬化性樹脂組成物又は硬化性複合材料(以下、併せて「電気絶縁層前駆体」という。)を基板に積層してなるものである。
上記基板は、表面に導体層を有する基板であることが好ましい。なお、上記電気絶縁層前駆体が、上記積層フィルム又は積層フィルムと繊維基材とからなるプリプレグである場合には、上記積層フィルムの接着層と基板が接触して積層されるものとする。
上記表面に導体層を有する基板は、電気絶縁性基板の表面に導体層を有するものである。電気絶縁性基板は、公知の電気絶縁材料(たとえば、脂環式オレフィン重合体、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、ポリフェニルエーテル、ガラス等)を含有する樹脂組成物を硬化して形成されたものである。導体層は、特に限定されないが、通常、導電性金属等の導電体により形成された配線を含む層であって、更に各種の回路を含んでいてもよい。配線や回路の構成、厚み等は、特に限定されない。表面に導体層を有する基板の具体例としては、プリント配線基板、シリコンウェーハ基板等を挙げることができる。表面に導体層を有する基板の厚みは、通常、10μm〜10mm、好ましくは20μm〜5mm、より好ましくは30μm〜2mmである。
上記表面に導体層を有する基板は、電気絶縁層との密着性を向上させるために、導体層表面に前処理が施されていることが好ましい。前処理の方法としては、公知の技術を、特に限定されず使用することができる。例えば、導体層が銅からなるものであれば、強アルカリ酸化性溶液を導体層表面に接触させて、導体表面に酸化銅の層を形成して粗化する酸化処理方法、導体層表面を先の方法で酸化した後に水素化ホウ素ナトリウム、ホルマリン等で還元する方法、導体層にめっきを析出させて粗化する方法、導体層に有機酸を接触させて銅の粒界を溶出して粗化する方法、及び導体層にチオール化合物やシラン化合物等によりプライマー層を形成する方法等が挙げられる。これらの内、微細な配線パターンの形状維持の容易性の観点から、導体層に有機酸を接触させて銅の粒界を溶出して粗化する方法、及び、チオール化合物やシラン化合物等によりプライマー層を形成する方法が好ましい。
また、上記基板として、銅箔、アルミ箔、鉄箔等の金属箔を用いてもよい。例えば、銅箔に上記硬化性樹脂組成物を積層させた場合、樹脂付き銅箔になる。
本発明の積層体は、通常、表面に導体層を有する基板上に、上記の電気絶縁層前駆体を加熱圧着することにより、製造することができる。
加熱圧着の方法としては、支持体付きの電気絶縁層前駆体を、上記の基板の導体層に接するように重ね合わせ、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータ等の加圧機を使用して加熱圧着(ラミネーション)する方法が挙げられる。加熱圧着することにより、基板表面の導体層と電気絶縁層前駆体との界面に空隙が実質的に存在しないように結合させることができる。なお、この際において、電気絶縁層前駆体が、上記積層フィルム又は積層フィルムと繊維基材とからなるプリプレグである場合は、電気絶縁層前駆体の接着層が、上記の基板の導体層に接するように重ね合わせた状態で、加熱圧着する。
加熱圧着の温度は、通常、30〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、加える圧力は、通常、10kPa〜20MPa、好ましくは100kPa〜10MPaであり、時間は、通常、30秒〜5時間、好ましくは1分〜3時間である。また、加熱圧着は、配線パターンの埋め込み性を向上させ、気泡の発生を抑えるために減圧下で行うのが好ましい。具体的には、通常100kPa〜1Pa、好ましくは40kPa〜10Paである。
また、電気絶縁層の平坦性を向上させる目的や、電気絶縁層の厚みを増す目的で、基板の導体層上に電気絶縁層前駆体を2層以上積層しても良い。
本発明の積層体は、電気絶縁層前駆体を硬化する処理により電気絶縁層前駆体を電気絶縁層とすることによって、硬化物積層体とすることができる。硬化は、通常、積層体全体を加熱することにより行う。また、積層体の製造における、電気絶縁層前駆体と基板との加熱圧着と同時に行うこともできる。
硬化温度は、通常、30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。また、硬化時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。加熱の方法は特に制限されず、例えば電気オーブン等を用いて行えばよい。
また、本発明の積層体の複合材料硬化物層の上に、さらに別の導体層(以下、「導体層2」という。)を形成しても良い。上記導体層2としては金属めっき又は金属箔を使用することができる。この場合において、電気絶縁層が、上記積層フィルム又は積層フィルムと繊維基材からなるプリプレグである場合は、電気絶縁層の被めっき層上に、導体層2を形成する。
導体層2として金属めっき材料を使用する場合は、めっき種としては、金、銀、銅、ロジウム、パラジウム、ニッケル又はスズ等が挙げられる。金属箔を使用する場合は、上記フィルム又はプリプレグの製造時に用いる支持体として使用されるものが挙げられる。なお、本発明においては、導体層としては金属めっきを使用する方法のほうが、微細配線が可能であるという点より、好ましい。以下、前記複合体の製造方法を、一例として、導体層2として金属めっきを用いた多層回路基板をとして、説明する。
まず、硬化物積層体に、電気絶縁層を貫通するビアホールやスルーホールを形成する。ビアホールは、多層回路基板とした場合に、多層回路基板を構成する各導体層を連結するために形成される。ビアホールやスルーホールは、フォトリソグラフィ法のような化学的処理により、又は、ドリル、レーザー、プラズマエッチング等の物理的処理等により形成することができる。これらの方法の中でもレーザーによる方法(炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、UV−YAGレーザー等)は、より微細なビアホールを電気絶縁層の特性を低下させずに形成できるので好ましい。
次に、硬化物積層体の電気絶縁層(すなわち、本発明の硬化物又は複合材料硬化物)の表面を、粗化する表面粗化処理を行う。表面粗化処理は、電気絶縁層上に形成する導体層2との接着性を高めるために行う。
電気絶縁層の表面平均粗度Raは、好ましくは0.05μm以上0.5μm未満、より好ましくは0.06μm以上0.3μm以下であり、かつ表面十点平均粗さRzjisは、下限が、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、上限が、好ましくは6μm未満、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは4μm未満、特に好ましくは2μm以下である。なお、本明細書において、RaはJIS B0601−2001に示される算術平均粗さであり、表面十点平均粗さRzjisは、JIS B0601−2001付属書1に示される十点平均粗さである。
表面粗化処理方法としては、特に限定されないが、電気絶縁層表面と酸化性化合物とを接触させる方法等が挙げられる。酸化性化合物としては、無機酸化性化合物や有機酸化性化合物等の酸化能を有する公知の化合物が挙げられる。電気絶縁層の表面平均粗度の制御の容易さから、無機酸化性化合物や有機酸化性化合物を用いるのが特に好ましい。無機酸化性化合物としては、過マンガン酸塩、無水クロム酸、重クロム酸塩、クロム酸塩、過硫酸塩、活性二酸化マンガン、四酸化オスミウム、過酸化水素、過よう素酸塩等が挙げられる。有機酸化性化合物としてはジクミルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、m−クロロ過安息香酸、過酢酸、オゾン等が挙げられる。
無機酸化性化合物や有機酸化性化合物を用いて電気絶縁層表面を表面粗化処理する方法に格別な制限はない。例えば、上記酸化性化合物を溶解可能な溶媒に溶解して調製した酸化性化合物溶液を電気絶縁層表面に接触させる方法が挙げられる。酸化性化合物溶液を、電気絶縁層の表面に接触させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、電気絶縁層を酸化性化合物溶液に浸漬するディップ法、酸化性化合物溶液の表面張力を利用して、酸化性化合物溶液を、電気絶縁層に載せる液盛り法、酸化性化合物溶液を、電気絶縁層に噴霧するスプレー法、等いかなる方法であってもよい。表面粗化処理を行うことにより、電気絶縁層の、導体層2等他の層との間の密着性を向上させることができる。
これらの酸化性化合物溶液を電気絶縁層表面に接触させる温度や時間は、酸化性化合物の濃度や種類、接触方法等を考慮して、任意に設定すればよいが、温度は、通常、10〜250℃、好ましくは20〜180℃であり、時間は、通常、0.5〜60分間、好ましくは1〜40分間である。
なお、表面粗化処理後、酸化性化合物を除去するため、表面粗化処理後の電気絶縁層表面を水で洗浄する。また、水だけでは洗浄しきれない物質が付着している場合には、その物質を溶解可能な洗浄液でさらに洗浄したり、他の化合物と接触させたりすることにより水に可溶な物質にしてから水で洗浄する。例えば、過マンガン酸カリウム水溶液や過マンガン酸ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を電気絶縁層と接触させた場合は、発生した二酸化マンガンの皮膜を除去する目的で、硫酸ヒドロキシアミンと硫酸との混合液等の酸性水溶液により中和還元処理した後に水で洗浄することができる。
次いで、積層体の電気絶縁層について表面粗化処理を行った後、電気絶縁層の表面並びにビアホール及びスルーホールの内壁面に、導体層2を形成する。
導体層2の形成方法は、密着性に優れる導体層2を形成できるという観点より、無電解めっき法により行なう。
たとえば、無電解めっき法により導体層2を形成する際においては、まず、電気絶縁層上に、銀、パラジウム、亜鉛、コバルト等の触媒核を付着させてから、その上に金属薄膜を形成するのが一般的である。触媒核を電気絶縁層に付着させる方法は特に制限されず、例えば、銀、パラジウム、亜鉛、コバルト等の金属化合物やこれらの塩や錯体を、水又はアルコールもしくはクロロホルム等の有機溶剤に0.001〜10重量%の濃度で溶解した液(必要に応じて酸、アルカリ、錯化剤、還元剤等を含有していてもよい。)に浸漬した後、金属を還元する方法等が挙げられる。
無電解めっき法に用いる無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解めっき液を用いればよく、めっき液中に含まれる金属種、還元剤種、錯化剤種、水素イオン濃度、溶存酸素濃度等は特に限定されない。例えば、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸、水素化硼素アンモニウム、ヒドラジン、ホルマリン等を還元剤とする無電解銅めっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液;ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液;無電解パラジウムめっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液;無電解金めっき液;無電解銀めっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液等の無電解めっき液を用いることができる。
金属薄膜を形成した後、複合体表面を防錆剤と接触させて防錆処理を施すことができる。また、金属薄膜を形成した後、密着性向上等のため、金属薄膜を加熱することもできる。加熱温度は、通常、50〜350℃、好ましくは80〜250℃である。なお、この際において、加熱は加圧条件下で実施してもよい。このときの加圧方法としては、例えば、熱プレス機、加圧加熱ロール機等の物理的加圧手段を用いる方法が挙げられる。加える圧力は、通常、0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜10MPaである。この範囲であれば、金属薄膜と電気絶縁層との高い密着性が確保できる。
このようにして形成された金属薄膜上にめっき用レジストパターンを形成し、更にその上に電解めっき等の湿式めっきによりめっきを成長させ(厚付けめっき)、次いで、レジストを除去し、更にエッチングにより金属薄膜をパターン状にエッチングして導体層2を形成する。従って、この方法により形成される導体層2は、通常、パターン状の金属薄膜と、その上に成長させためっきとからなる。
あるいは、多層回路基板を構成する導体層2として、金属めっきの代わりに、金属箔を用いた場合には、以下の方法により製造することができる。
すなわち、まず、上記と同様にして、上記電気絶縁層と金属箔からなる導体層とから構成される硬化物積層体を準備する。このような硬化物積層体としては、積層成形した場合に、硬化性樹脂組成物を各要求特性が保持できる硬化度とし、その後の加工を行なった場合や、多層回路基板とした際に問題のないようなものとすることが望ましく、特に、積層成形を、真空下に行なうことにより形成することが望ましい。なお、このような硬化物積層体は、たとえば、公知のサブトラクティブ法によりプリント配線板にも用いることができる。
そして、準備した硬化物積層体に、上記と同様にして、電気絶縁層を貫通するビアホールやスルーホールを形成し、次いで、形成したビアホール内の樹脂残渣を除去するために、スルーホールを形成した硬化物積層体について、デスミア処理を行なう。デスミア処理の方法は特に限定されないが、例えば、過マンガン酸塩等の酸化性化合物の溶液(デスミア液)を接触させる方法が挙げられる。具体的には、過マンガン酸ナトリウム濃度60g/L、水酸化ナトリウム濃度28g/Lになるように調整した60〜80℃の水溶液に、ビアホールを形成した硬化物積層体を1〜50分間揺動浸漬することにより、デスミア処理を行なうことができる。
次いで、硬化物積層体についてデスミア処理を行った後、ビアホール内壁面に、導体層2を形成する。導体層2の形成方法は、特に限定されず、無電解めっき法または電解めっき法のいずれも用いることができるが、密着性に優れる導体層2を形成できるという観点より、無電解めっき法により行なうことができる。
次いで、ビアホール内壁面および銅箔上に無電解めっき層を形成した後、全面に電解めっきをおこない、次いで金属箔上の電解めっき層の上に、レジストパターンを形成し、更に、エッチングにより電解めっき層および金属箔をパターン状にエッチングして導体層2を形成する。もしくは、ビアホール内壁面に導体層2を形成した後、金属箔上に、めっき用レジストパターンを形成し、更にその上に電解めっき等の湿式めっきによりめっきを成長させ(厚付けめっき)、次いで、レジストを除去し、更にエッチングにより金属箔をパターン状にエッチングして導体層2を形成する。従って、この方法により形成される導体層2は、通常、パターン状の金属箔と、その上に成長させためっきとからなる。
以上のようにして得られた多層回路基板を、上記の複合体を製造するための基板とし、これを上記の電気絶縁層前駆体とを加熱圧着し、硬化して電気絶縁層を形成し、さらにこの上に、上記の方法に従い、導体層2の形成を行い、これらを繰り返すことにより、更なる多層化を行うことができ、これにより所望の多層回路基板とすることができる。
このようにして得られる複合体(複合材料硬化物及びその一例としての多層回路基板)は、本発明の硬化性樹脂組成物又は硬化性複合材料を硬化して得られる電気絶縁層を有してなり、該電気絶縁層は、低線膨張であり、電気特性、耐熱性、配線埋め込み平坦性に優れるものであるため、本発明の複合体は、電子材料用基板を一例とする電気・電子部品等、各種用途に好適に用いることができる。
また、本発明の複合体の電気絶縁層が、前記積層フィルム又は積層フィルムと繊維基材とからなるプリプレグで構成した場合には、該電気絶縁層を、低線膨張であり、電気特性、耐熱性、配線埋め込み平坦性に優れることに加えて、高いピール強度を有するものとすることができる。そして、この場合には、該電気絶縁層に導体層を形成し、形成した導体層をパターン化し、微細配線を形成した際に、導体層のパターン化を良好に行なうことが可能となる。
本発明の電子材料用基板は、本発明の硬化物を用いてなるものである。上記電子材料用基板は、耐熱性、耐水性が求められる環境下での信頼性や高周波信号の伝送信頼性が要求される携帯電話機、PHS、ノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯テレビ電話機、パーソナルコンピューター、スーパーコンピューター、サーバー、ルーター、液晶プロジェクタ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の各種電気・電子機器用の部品として好適に用いることができる。特に、本発明の硬化物の優れた誘電特性の耐熱安定性及び微細パターンの回路形成に対応した寸法安定性、成形性から、上記電気・電子機器用の回路基板として好適に用いることができる。具体的には、片面、両面、多層プリント基板、フレキシブル基板、ビルドアップ基板が挙げられる。上記の導体層として金属めっきを用いた多層回路基板も好ましい例として含まれる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量部である。また、実施例中の測定結果は以下に示す方法により試料調製及び測定を行ったものである。
1)ポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物の分子量及び分子量分布
分子量及び分子量分布測定はGPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃で行った。分子量は単分散ポリスチレンによる検量線を用い、ポリスチレン換算分子量として測定を行った。
2)ポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物の構造
日本電子製JNM−LA600型核磁気共鳴分光装置を用い、13C−NMR及び1H−NMR分析により決定した。溶媒としてクロロホルム−d1を使用した。NMR測定溶媒であるテトラクロロエタン−d2の共鳴線を内部標準として使用した。
3)ガラス転移温度(Tg)及び軟化温度測定の試料調製及び測定
硬化性樹脂組成物溶液をガラス基板に乾燥後の厚さが、20μmになるように均一に塗布した後、ホットプレートを用いて、90℃で30分間加熱し、乾燥させた。得られたガラス基板上の樹脂膜はガラス基板と共に、TMA(熱機械分析装置)測定装置にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温し、更に、220℃で20分間加熱処理することにより、残存する溶媒を除去した。ガラス基板を室温まで放冷した後、TMA測定装置中の試料に分析用プローブを接触させ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャンさせることにより測定を行い、接線法により軟化温度を求めた。また、線膨張係数の変化する変曲点よりTgを求めた。さらに、平均線膨張係数(CTE)は、0〜40℃における試験片の寸法変化より算出した。
加熱プレス成形により得られた硬化物フィルムのTgの測定は動的粘弾性測定装置を使用し、昇温速度2℃/minで測定を行い、損失弾性率のピークより決定した。
4)引張り強度及び伸び率
硬化物フィルムの引張り強度及び伸び率は引張り試験装置を用いて測定を行った。伸び率は引張り試験のチャートから測定した。
5)誘電率及び誘電正接ならびにそれらの変化率
JIS C2565規格に準拠し、株式会社エーイーティー製、空洞共振器法誘電率測定装置により、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の硬化物フィルム、および85℃、相対湿度85%で2週間放置後の硬化物フィルムの2.0GHzでの誘電率および誘電正接を測定した。
また、上記硬化物フィルムを、200℃の空気雰囲気下のオーブン中に1hr放置した後の誘電率と誘電正接を測定し、放置前後の誘電率及び誘電正接の変化率を測定した。
6)銅箔引き剥し強さ
積層体から幅20mm、長さ100mmの試験片を切り出し、銅箔面に幅10mmの平行な切り込みを入れた後、面に対して180°の方向に50mm/分の速さで連続的に銅箔を引き剥し、その時の応力を引張り試験機にて測定し、その応力の最低値を示した(JIS C 6481に準拠)。
7)成形性
黒化処理を行った銅張り積層板の上に、硬化性樹脂組成物の未硬化フィルムを積層し、真空ラミネーターを用いて、温度:110℃、プレス圧:0.1MPaで真空ラミネートを行い、黒化処理銅箔とフィルムの接着状態により評価を行った。評価は黒化処理銅箔とフィルムの接着状態が良好であったものを「○」、黒化処理銅箔とフィルムとが容易に剥離することができる接着状態のものを「×」として評価した。
8)燃焼性
燃焼性はアメリカUL規格サブジェクト94(UL94)の垂直燃焼試験法に準拠して燃焼試験を行い、難燃性を評価した。燃焼性試験に使用した試験片はハロゲン系難燃剤を使用することなく難燃化されたFR−4基板の上に本発明の難燃硬化性樹脂組成物フィルムを両面に200μmの厚さで貼り合わせ、真空プレス成形機により180℃、1時間加熱硬化させた後、所定の寸法に切断することによって作成した。
9)耐トリクロロエチレン性:銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、トリクロロエチレン中で5分間煮沸し、外観の変化を目視により観察した(JIS C6481に準拠)。
10)ハンダ耐熱性:銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、260℃のハンダ浴中に120秒間浮かべ、外観の変化を目視により観察した(JIS C6481に準拠)。
11)配線埋め込み平坦性
内層回路基板(IPC MULTI−PURPOSE TESTBOARD No.IPC−B−25、導体厚30μm、0.8mm厚)の両面に、フィルム成形体の樹脂層側の面が接するように積層した。具体的には、一次プレスを、耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータにて、200Paの減圧下で温度110℃、圧力0.1MPaで90秒間の加熱圧着で行い、さらに、金属製プレス板を上下に備えた油圧プレス装置を用いて、圧着温度110℃、1MPaで90秒間、加熱圧着することで、積層体を得た。そして、この積層体から支持フィルムを剥がし、180℃で60分間硬化した。硬化後、導体幅165μm、導体間隔165μmのくし型パターン部分の導体がある部分とない部分との段差を触針式段差膜厚計(TencorInstruments製 P−10)にて測定し、以下の基準で、配線埋め込み平坦性を評価した。
○:段差が2μm未満
△:段差が2μm以上、3μm未満
×:段差が3μm以上
合成例1
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサーおよび滴下ロートを備えた4つ口フラスコにSN495V(新日鉄住金化学社製ナフトールアラルキル樹脂;フェノール性水酸基のOH当量232g/eq.、フェノール性水酸基のアルコキシ変性量:2.7%、p−キシリレングリコールジメチルエーテル由来のアルコキシ基含有量:N.D.)195部(1.0当量)、CMS−AM(セイミケミカル社製クロロメチルスチレン)160.1部(1.05当量)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド9.6部、2,4−ジニトロフェノール0.152部、メチルエチルケトン255部を仕込み攪拌溶解し、液温を45℃にし、50%水酸化ナトリウム水溶液160部(2.0当量)を20分間で滴下し、更に45℃で4時間攪拌を続けた。次に10%塩酸水溶液でフラスコ内を中和した後、トルエン400部を追加し、有機層を1500mlの水で3回洗浄した。
得られた有機相を蒸留することにより、有機相が500部になるまで濃縮し、メタノール/水=75/25(vol/vol)1,000部を加えて生成物を再沈殿した。同じ条件の再沈殿をさらに2回繰り返した。得られた樹脂の沈殿を濾過・乾燥し、SN495Vとビニルベンジルクロライドとの反応生成物であるポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物としてのビニルベンジル化ナフトールアラルキル樹脂(VBESN495V)を246.7部得た。
生成物の確認を行ったところ、GPCより回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、IRよりフェノール性水酸基が消失していること、1H−NMRで、クロロメチルスチレンに由来するプロトンの共鳴線が消失し、代わりに、5.02ppm付近にベンジルエーテル基に由来するプロトンの共鳴線、5.25ppm、5.77ppm及び6.73ppm付近にビニル基に由来するプロトンの共鳴線を有することが確認され、VBESN495Vが得られていることを確認した。そして、アルコキシ基含有量は2.6%、ビニルベンジルエーテル基含有量は97.4%、フェノール性水酸基は検出することはできなかった。
さらに、13C−NMRを用いて、200〜204ppmのアルデヒド基に由来するピークを観察したところ、ピークの存在は確認できなかった。GPC測定を行ったところ、クロロメチルスチレンに由来するピークは、観察されなかった。一方、目的の反応生成物に由来する112〜115ppmにビニル基のピークが観察され、かつ、ビニル基の面積値とベンジルエーテル基に由来するメチレン基のピークの面積値及び芳香族領域のピークの面積値とは、1H−NMRの結果と良い一致を示した。13C−NMRを図1に示す。
また、元素分析により総塩素含有量を測定したところ167ppmであった。GPC測定を行ったところ、クロロメチルスチレンに由来するピークは、観察されなかった。また、示差走査熱量計(DSC)により、窒素気流下、昇温速度:10℃/分で熱相転移挙動を測定したところ、結晶に由来する融解ピークは観察されなかった。また、熱天秤(TGA)を使用し、窒素気流下、昇温速度:10℃/分で、熱分解挙動を測定したところ、接線法による熱分解開始温度:405.7℃であり、600℃における炭化物生成量は、37.8wt%であった。
合成例2
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサーおよび滴下ロートを備えた4つ口フラスコにSN475N(新日鉄住金化学社製ナフトールアラルキル樹脂;フェノール性水酸基のOH当量218g/eq.、フェノール性水酸基のアルコキシ変性量:N.D.、p−キシリレングリコールジメチルエーテル由来のアルコキシ基含有量:N.D.)195部(1.0当量)、CMS−AM 160.1部(1.05当量)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド9.6部、2,4−ジニトロフェノール0.152部、メチルエチルケトン255部を仕込み攪拌溶解し、液温を45℃にし、50%水酸化ナトリウム水溶液160部(2.0当量)を20分間で滴下し、更に45℃で4時間攪拌を続けた。次に10%塩酸水溶液でフラスコ内を中和した後、トルエン400部を追加し、有機層を1500mlの水で3回洗浄した。
得られた有機相を蒸留することにより、有機相が500部になるまで濃縮し、メタノール/水=75/25(vol/vol)1,000部を加えて生成物を再沈殿した。同じ条件の再沈殿をさらに2回繰り返した。得られた樹脂の沈殿を濾過・乾燥し、SN475Nとビニルベンジルクロライドとの反応生成物であるビニルベンジル化ナフトールアラルキル樹脂(VBESN475N)223.5部を得た。
合成例1と同様にして生成物の確認を行ったところ、VBESN475Nが得られていることを確認した。そして、ビニルベンジルエーテル基含有量は99.5%以上、一方、1−ナフトールのフェノール性水酸基が変性されたアルコキシ基とフェノール性水酸基は検出することはできなかった。さらに、13C−NMRを用いて、200〜204ppmのアルデヒド基に由来するピークを観察したところ、ピークの存在は確認できなかった。GPC測定を行ったところ、クロロメチルスチレンに由来するピークは、観察されなかった。一方、目的の反応生成物に由来する112〜115ppmにビニル基のピークが観察され、かつ、ビニル基の面積値とベンジルエーテル基に由来するメチレン基のピークの面積値及び芳香族領域のピークの面積値とは、1H−NMRの結果と良い一致を示した。また、総塩素含有量は178ppmであり、クロロメチルスチレンの含有量は0.05%であった。また、結晶に由来する融解ピークは観察されず、熱分解開始温度は412.0℃であり、600℃における炭化物生成量は、40.1wt%であった。
合成例3
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、フェノール414部、及び4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル251部、p−トルエンスルホン酸13部を仕込み、撹拌下で80℃まで昇温、溶解させた。4時間攪拌後、メチルイソブチルケトン700部を加えた後洗浄水が中性になるまで、300部の水で3回水洗し、次いで油層から未反応フェノール、メチルイソブチルケトンを1.3kPaの圧力下において減圧留去し、n(平均繰り返し数)が1.5であるフェノールアラルキル樹脂(P)310部を得た。得られたフェノールアラルキル樹脂の軟化点は65℃、水酸基当量は202g/eqであった。
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、得られたフェノールアラルキル樹脂(P)を404部、メチルエチルケトンを848部、4−ビニルベンジルクロライドを320部、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド12部を仕込み、攪拌して溶解せしめ、液温を70℃にした。そこに30%水酸化ナトリウム水溶液320部を30分間かけて滴下し、さらに70℃で6時間攪拌をつづけた。次に35%塩酸でフラスコ内容物を中和した後、分液し、有機層を400部の水で3回洗浄し、未反応原料やメチルエチルケトン等を減圧留去し、ビフェニル構造を含有するフェノールアラルキル樹脂がビニルベンジルエーテル化された、nが1.5であるポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物(VBE−BP)512部を得た。得られたポリ(ビニルベンジル)エーテル化合物の軟化点は54℃であり、原料のフェノール性水酸基起因の吸収は消失していた。一方、13C−NMR測定に於いて、200〜204ppmのアルデヒド基に由来するピーク面積が、112〜115ppmのビニル基のピーク面積と合計した総ピーク面積に対する比率を求めたところ、22.4%であった。13C−NMRを図2に示す。
また、総塩素含有量は980ppmであり、クロロメチルスチレンの含有量1.8%であった。また、結晶に由来する融解ピークは観察されず、熱分解開始温度:376℃であり、600℃における炭化物生成量は、31.8wt%であった。
実施例1
合成例1で得られたVBESN495V 80gと、ビニル化合物(B)としての3,3’−ジビニルビフェニル 20g、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(日油社製、商品名:パークミルD)0.5g、酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](アデカ(株)製、アデカスタブAO−60)0.2gをトルエン34.8gに溶解し硬化性樹脂組成物(ワニスA)を得た。
調製したワニスAを金型上に滴下し、80℃で溶媒を減圧下、脱揮除去し、乾燥後、金型を組上げた後、180℃、3MPaの条件で90分間真空加圧プレスを行い、熱硬化させ、得られた厚さ:0.2mmの硬化物シートについて、誘電率と誘電正接を始めとする諸特性を測定した。また、誘電率及び誘電正接の変化率を測定した。これら測定により得られた結果を表1に示した。
比較例1
合成例3で得られたVBE−BP 80gと、3,3’−ジビニルビフェニル 20g、パークミルD 0.5g、アデカスタブAO−60 0.2gをトルエン34.8gに溶解し硬化性樹脂組成物(ワニスB)を得た。
調製したワニスBを、実施例1と同様の方法で諸特性を測定した。得られた結果を表1に示した。
なお、溶液粘度は、25℃、E型粘度計で測定した。
実施例2
(硬化性樹脂組成物の調製)
合成例2で得られたVBESN475N 60g、ビニル化合物(B)としてのベンジルアクリレート 10g及び3,3’−ジビニルビフェニル 10g、熱可塑性エラストマーとして水添スチレンブタジエンブロック共重合体(クレイトンポリマージャパン(株)製、商品名:KRATON A1535)20g、充填剤(E)としての球状シリカ(商品名「SC2500−SXJ」、アドマテックス社製)200g、アデカスタブAO−60 0.2g、及び、キシレン74.1gを混合し、遊星式攪拌機で3分間攪拌した。
さらにこれに、パークミルD 1.0gを混合し、遊星式攪拌機で5分間攪拌して硬化性樹脂組成物(ワニスC)を得た。
(フィルム成形体の作製)
次いで、上記にて得られた硬化性樹脂組成物のワニスを、ダイコーターを用いて、縦300mm×横300mmの大きさで厚さが38μm、表面平均粗度Raが0.08μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体:ルミラー(登録商標)T60 東レ社製)上に塗工し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥し、支持体上に厚さ43μmの樹脂組成物のフィルム成形体を得た。そして、得られたフィルム成形体を用いて、上記方法に従い、配線埋め込み平坦性の測定を行なった。結果を表2に示す。
(フィルム状硬化物の作製)
次いで、厚さ10μmの銅箔に、得られた硬化性樹樹脂組成物のフィルム成形体から切り出した小片を、支持体が付いた状態で、硬化性樹脂組成物が内側になるようにして、耐熱性ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用い、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.1MPaで60秒間加熱圧着積層し、支持体を剥がした後180℃、120分間空気中で加熱硬化した。硬化後、銅箔付き硬化樹脂を切り出し、銅箔を1mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液にて溶解し、フィルム状の硬化物を得た。得られたフィルム状硬化物を用いて、上記方法に従い、比誘電率、誘電正接、線膨張係数、ガラス転移温度ならびに誘電率及び誘電正接の変化率を測定した。これら測定により得られた結果を表2に示す。
比較例2
VBESN475Nの代わりに、VBE−BPを用い、表2に示す配合とした他は、実施例2と同様にして、樹脂組成物、フィルム成形体、フィルム状硬化物を得た。結果を表2に示す。
実施例3
(硬化性樹脂組成物)
合成例1で得られたVBESN495V 50g、3,3’−ジビニルビフェニル 15g(固形分換算)、エポキシ化合物(A1)としてのジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(商品名「EPICLON HP−7200HH」、DIC社製、エポキシ基当量280)7.5g、エポキシ樹脂の硬化剤として、活性エステル樹脂(商品名「EPICLON HPC−8000−65T」、不揮発分65重量%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量:223)7.5g(固形分換算)、KRATON A1535 20g、SC2500−SXJ 200g、アデカスタブAO−60 0.2g、及び、アニソール74.1gを混合し、遊星式攪拌機で3分間攪拌した。さらに、硬化促進剤として1−べンジル−2−フェニルイミダゾールをアニソールに30%溶解した溶液を固形分換算で2gを混合し、遊星式攪拌機で5分間攪拌して硬化性樹脂組成物(D−1)のワニスを得た。
(被めっき層用樹脂組成物)
合成例1で得られたVBESN495V 50g、及び球状シリカシリカ(商品名「SC2500−SXJ」、アドマテックス社製)200gをアニソール200gに分散したシリカスラリーを混合し、遊星式攪拌機で3分間攪拌した。
これに、ビニル化合物(B)としての3,3’−ジビニルビフェニル 15g(固形分換算)、エポキシ化合物(A1)としてのジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(商品名「EPICLON HP−7200HH」、DIC社製、エポキシ基当量280)7.5g、エポキシ樹脂の硬化剤として、活性エステル樹脂(商品名「EPICLON HPC−8000−65T」、不揮発分65重量%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量:223)7.5g(固形分換算)、熱可塑性エラストマーとして水添スチレンブタジエンブロック共重合体(クレイトンポリマージャパン(株)製、商品名:KRATON A1535)20g、レーザー加工性向上剤として2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール0.4g、酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](アデカ(株)製、アデカスタブAO−60)0.2g、ヒンダードアミン化合物としてテトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート(アデカスタブ(登録商標)LA52、ADEKA社製)0.6g、及びアニソール50gを混合し、遊星式攪拌機で3分間攪拌した。
さらにこれに、硬化促進剤として1−べンジル−2−フェニルイミダゾールをアニソールに5%溶解した溶液4gを混合し、遊星式攪拌機で5分間攪拌して被めっき層用樹脂組成物(D−2)のワニスを得た。ワニスの粘度は、70mPa・secであった。
(フィルム複合体の作製)
上記にて得られた被めっき層用樹脂組成物(D−2)のワニスを、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上にワイヤーバーを用いて塗布し、次いで、窒素雰囲気下、130℃で10分間乾燥させて、未硬化の被めっき層用樹脂組成物(B−1)からなる、厚み3μmの被めっき層が形成された支持体付きフィルムを得た。
次に、支持体付きフィルムの被めっき層用樹脂組成物(D−2)からなる被めっき層の形成面に、上記にて得られた硬化性樹脂組成物(D−1)のワニスを、ドクターブレード(テスター産業社製)とオートフィルムアプリケーター(テスター産業社製)を用いて塗布し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥させて、総厚みが43μmである被めっき層及び接着層が形成された支持体付きフィルム複合体を得た。当該支持体付きフィルム複合体は、支持体、被めっき層用樹脂組成物(D−2)からなる被めっき層、硬化性樹脂組成物(D−1)からなる接着層の順で形成された。そして、得られた支持体付きフィルム複合体について、上記方法に従い、配線埋め込み平坦性の測定を行ない、平坦性は○であった。
(フィルム状硬化物の作製)
次いで、銅張り積層基板の上に厚さ10μmの銅箔をのせ、その上から、上記にて得られた支持体付きフィルム複合体を、支持体が付いた状態で、接着層が内側になるようにして、耐熱性ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用い、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.1MPaで60秒間加熱圧着積層し、支持体を剥がした後180℃、120分間空気中で、加熱硬化させた。硬化後、銅箔付き硬化樹脂を切り出し、銅箔を1mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液にて溶解し、フィルム状硬化物を得た。そして、得られたフィルム状硬化物について、上記方法に従い評価を行った。比誘電率:3.012、誘電正接:0.0031、線膨張係数:40.1ppm/℃、及びガラス転移温度:191.5℃であった。
(積層体の作製)
次いで、上記とは別に、ガラスフィラー及びハロゲン不含エポキシ樹脂を含有するワニスをガラス繊維に含浸させて得られたコア材の表面に、厚みが18μmの銅が貼られた、厚み0.8mm、150mm角(縦150mm、横150mm)の両面銅張り基板表面に、配線幅及び配線間距離が50μm、厚みが30μmで、表面が有機酸との接触によってマイクロエッチング処理された導体層を形成して内層基板を得た。
この内層基板の両面に、上記にて得られた支持体付きフィルム複合体を150mm角に切断したものを、被めっき層用樹脂組成物(D−2)側の面が内側となるようにして貼り合わせた後、一次プレスを行った。一次プレスは、耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータにて、200Paの減圧下で温度110℃、圧力0.1MPaで90秒間の加熱圧着である。さらに、金属製プレス板を上下に備えた油圧プレス装置を用いて、圧着温度110℃、1MPaで90秒間、加熱圧着した。次いで支持体を剥がすことにより、硬化性樹脂組成物(D−1)及び被めっき層用樹脂組成物(B−1)からなる樹脂層と内層基板との積層体を得た。さらに積層体を空気雰囲気下、180℃で60分間放置し、樹脂層を硬化させて内層基板上に電気絶縁層を形成した。
(膨潤処理工程)
得られた積層体を、膨潤液(「スウェリング ディップ セキュリガント P」、アトテック社製、「セキュリガント」は登録商標)500mL/L、水酸化ナトリウム3g/Lになるように調製した60℃の水溶液に15分間揺動浸漬した後、水洗した。
(酸化処理工程)
次いで、過マンガン酸塩の水溶液(「コンセントレート コンパクト CP」、アトテック社製)500mL/L、水酸化ナトリウム濃度40g/Lになるように調製した70℃の水溶液に15分間揺動浸漬をした後、水洗した。
(中和還元処理工程)
続いて、硫酸ヒドロキシアミン水溶液(「リダクション セキュリガント P 500」、アトテック社製、「セキュリガント」は登録商標)100mL/L、硫酸35mL/Lになるように調製した40℃ の水溶液に、積層体を5分間浸漬し、中和還元処理をした後、水洗した。
(クリーナー・コンディショナー工程)
次いで、クリーナー・コンディショナー水溶液(「アルカップ MCC−6−A」、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)を濃度50ml/Lとなるよう調整した50℃の水溶液に積層体を5分間浸漬し、クリーナー・コンディショナー処理を行った。次いで40℃の水洗水に積層体を1分間浸漬した後、水洗した。
(ソフトエッチング処理工程)
次いで、硫酸濃度100g/L、過硫酸ナトリウム100g/Lとなるように調製した水溶液に積層体を2分間浸漬しソフトエッチング処理を行った後、水洗した。
(酸洗処理工程)
次いで、硫酸濃度100g/Lなるよう調製した水溶液に積層体を1分間浸漬し酸洗処理を行った後、水洗した。
(触媒付与工程)
次いで、アルカップ アクチベータ MAT−1−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が200mL/L、アルカップ アクチベータ MAT−1−B(上商品名、村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が30mL/L、水酸化ナトリウムが0.35g/Lになるように調製した60℃のPd塩含有めっき触媒水溶液に積層体を5分間浸漬した後、水洗した。
(活性化工程)
続いて、アルカップ レデユーサ− MAB−4−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が20mL/L、アルカップ レデユーサ− MAB−4−B(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が200mL/Lになるように調整した水溶液に積層体を35℃で、3分間浸漬し、めっき触媒を還元処理した後、水洗した。
(アクセレレータ処理工程)
次いで、アルカップ アクセレレーター MEL−3−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が50mL/Lになるように調製した水溶液に積層体を25℃で、1分間浸漬した。
(無電解めっき工程)
このようにして得られた積層体を、スルカップ PEA−6−A(商品名、上村工業社製、「スルカップ」は登録商標)100mL/L、スルカップ PEA−6−B−2X(商品名、上村工業社製)50mL/L、スルカップ PEA−6−C(商品名、上村工業社製)14mL/L、スルカップ PEA−6−D(商品名、上村工業社製)15mL/L、スルカップ PEA−6−E(商品名、上村工業社製)50mL/L、37重量%ホルマリン水溶液5mL/Lとなるように調製した無電解銅めっき液に空気を吹き込みながら、温度36℃で、20分間浸漬して無電解銅めっき処理して積層体表面(被めっき層用樹脂組成物(B−1)からなる被めっき層の表面)に無電解めっき膜を形成した。
次いで、無電解めっき膜を形成した積層体を、AT−21(商品名、上村工業社製)が10mL/Lになるよう調製した防錆溶液に室温で1分間浸漬した後、水洗した。さらに、乾燥することで、防錆処理積層体を作製した。この防錆処理が施された積層体を空気雰囲気下において150℃で30分間アニール処理を行った。
アニール処理が施された積層体に、電解銅めっきを施し厚さ18μmの電解銅めっき膜を形成させた。次いで当該積層体を180℃で60分間加熱処理することにより、積層体上に前記金属薄膜層及び電解銅めっき膜からなる導体層で回路を形成した両面2層の多層プリント配線板を得た。そして、得られた多層プリント配線板の諸物性を前述の方法で測定した。その結果、平坦性は○であった。また、燃焼性はV−0の燃焼性を示した。耐トリクロロエチレン性、及び、ハンダ耐熱性の試験を行い、外観に変化がないことを確認した。
実施例4
実施例2で得られたワニスCを18μmの電解銅箔上に塗布し、10分間風乾した後、80℃のエアーオーブン中で10分間乾燥させた。銅箔上の樹脂厚みは50μmであった。本樹脂付き銅箔と実施例5の積層体を重ね180℃で90分間、30kg/cm2の圧力で加熱加圧硬化した。スルーホールを観察したところ、樹脂が充填されていないスルーホールは確認されなかった。