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JP6301210B2 - 有床義歯の製造方法および有床義歯 - Google Patents
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JP6301210B2 - 有床義歯の製造方法および有床義歯 - Google Patents

有床義歯の製造方法および有床義歯 Download PDF

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Description

本発明は、人工歯と人工歯を支持する義歯床とを備えた有床義歯の製造方法および有床義歯に関するものである。
人工歯と義歯床とからなる有床義歯は、歯を欠損した者に取っては必需品である。有床義歯を装着する装着者が数多く共同生活をする介護施設や病院などでは、有床義歯を一括管理することがあり、どの有床義歯が、誰のものなのか不明になることがある。また、災害発生時には、残存歯から本人確認を行うことがあるが、上顎と下顎ともに、総入れ歯であれば本人確認が取れない場合がある。
このような場合のために、有床義歯から装着者が特定できる技術が開発されている(特許文献1〜3参照)。
特許文献1に記載の「義歯」は、歯冠継続架工義歯若しくは有床義歯に、氏名、住所、生年月日、血液型等特定人の識別表示部が印刷若しくは転写され、この識別表示部を含む床表面にコーティングが施されているものである。
特許文献2に記載の「有床義歯、及び、有床義歯の製造方法、並びに、有床義歯に用いるレジンプレート」は、従来、有床義歯の義歯床の舌側面にインクジェットプリンタで所有者の氏名を印字する方法であったが、義歯床曲面への印字となるため明瞭に印字することが困難であり、インキの定着力も弱く、インキが清浄時のブラッシングによって比較的短期間のうちに擦り取られるため、所有者識別情報を記録した透明または半透明のレジンプレートを義歯床の所定位置に埋入固定したものである。
特許文献3に記載の「有床義歯とこれへのネーム付与方法並びに義歯及び義歯表示シート」は、試適が終了している蝋義歯のワックス床(歯肉)を、部分的に加熱して軟化させ、この軟化部位に、活字の複数個を並列設置状態で埋め込み、フラスコに埋没させて、人工歯と同じく活字を残した状態で蝋義歯のワックス床を溶かし出し、できた成形空間に餅状のレジンを加圧充填して、ネームを付与するというものである。
有床義歯は、まず、装着者の噛み合わせを見るために、ワックスにより成形された基礎床(ワックス床)に咬合堤を載せて、装着者の咬合状態を記録する咬合床が作製される。装着者の咬合状態を記録された咬合床に基づいて人工歯が排列される。そして、特許文献3に記載されているように、人工歯が排列された咬合床をフラスコの石膏に埋没させ、咬合床を脱ろうした後に、できた成形空間に餅状のレジンを加圧充填することで、レジンが義歯床として成形されて、有床義歯が作製される。
実開平2−118551号公報 特開2001−340357号公報 特開2003−180713号公報
特許文献1,2に記載の従来の有床義歯では、義歯床に、印刷や転写したり、所有者識別情報を記録したレジンプレートを埋没させたりしているため、有床義歯の製造段階では装着者を特定することができない。
また、特許文献3に記載の従来の有床義歯では、活字の使用により、有床義歯の製作当初から持ち主のネームを付与しておくことができるとあるものの、活字が埋め込まれるのは、試適が終了している蝋義歯のワックス床(歯肉)である。
そのため、装着者から取得した印象模型に基づいて基礎床が作製されてから、この基礎床に咬合堤が載せられて咬合床が作製されるまでの工程は、装着者を特定することができない。
従って、義歯床に印刷や転写、または刻印の無い状態であれば、有床義歯の状態でも取り違えることがあるが、義歯床に印刷や転写、または刻印が施されていても、歯科医師と歯科技工士とのやり取りの中で、基礎床の取り違いや、印象模型の取り違いが発生するおそれがある。
特に、歯科医院および歯科技工所には、異なる患者(装着者)の有床義歯が、同時進行で作製されているため、作製途中の有床義歯が多数存在する。従って、取り違いが発生しやすい状況にある。
そこで本発明は、有床義歯の製造過程で、他の装着者のものと取り違いを防止することができる有床義歯の製造方法および有床義歯を提供することを目的とする。
本発明の有床義歯の製造方法は、装着者から採得した印象模型に基づいて成形された基礎床から、前記装着者が装着する有床義歯を製造する方法であって、前記基礎床となる床成形用樹脂板の情報付与領域に、前記装着者に関する情報を付与する工程と、前記装着者に関する情報が付与された床成形用樹脂板から、前記印象模型に基づいて前記基礎床を成形する工程と、前記基礎床に咬合堤を設けて、前記装着者の咬合状態を記録するための咬合床を作製する工程と、前記装着者の咬合状態が前記咬合堤に転写された前記咬合床に基づいて人工歯を配置する工程と、前記人工歯が配置された咬合床から前記咬合堤を脱ろうする工程と、前記咬合堤が脱ろうされてできた空隙に歯肉部となる床用樹脂を充填して、前記基礎床を含む義歯床を成形して有床義歯とする工程とを含むことを特徴とする。
本発明の有床義歯の製造方法によれば、印象模型に基づいて成形された基礎床に、装着者に関する情報を付与しているため、この基礎床に基づいて咬合堤を設けて咬合床を作製し、装着者の咬合状態を記録し、装着者の咬合状態が咬合堤に転写された咬合床に基づいて人工歯を配置し、更に、人工歯が配置された咬合床から咬合堤を脱ろうし、床用樹脂を充填して、基礎床を含む義歯床を成形するときに、歯科医師および歯科技工士は、基礎床の情報により装着者を特定しながら、装着者に装着させたり、咬合状態を調整したり、技工作業を行ったりすることができる。
また、本発明の有床義歯の製造方法は、装着者から採得した印象模型に基づいて成形された基礎床から、前記装着者が装着する有床義歯を製造する方法であって、前記基礎床となる床成形用樹脂板から、前記印象模型に基づいて前記基礎床を成形する工程と、前記基礎床の情報付与領域に、前記装着者に関する情報を付与する工程と、前記装着者に関する情報が付与された基礎床に咬合堤を設けて、前記装着者の咬合状態を記録するための咬合床を作製する工程と、前記装着者の咬合状態が前記咬合堤に転写された前記咬合床に基づいて人工歯を配置する工程と、前記人工歯が配置された咬合床から前記咬合堤を脱ろうする工程と、前記咬合堤が脱ろうされてできた空隙に歯肉部となる床用樹脂を充填して、前記基礎床を含む義歯床を成形して有床義歯とする工程とを含むことを特徴とする。
この発明の有床義歯の製造方法によっても、印象模型に基づいて成形された基礎床に、装着者に関する情報を付与しているため、この基礎床に基づいて咬合堤を設けて咬合床を作製し、装着者の咬合状態を記録し、装着者の咬合状態が咬合堤に転写された咬合床に基づいて人工歯を配置し、更に、人工歯が配置された咬合床から咬合堤を脱ろうし、床用樹脂を充填して、基礎床を含む義歯床を成形するときに、歯科医師および歯科技工士は、基礎床の情報により装着者を特定しながら、装着者に装着させたり、咬合状態を調整したりすることができる。
更に、本発明の有床義歯の製造方法は、装着者から採得した印象模型に基づいて成形された基礎床から、前記装着者が装着する有床義歯を製造する方法であって、前記印象模型の情報付与領域に、前記装着者に関する情報を付与する工程と、前記基礎床となる床成形用樹脂板から、前記印象模型に基づいて前記基礎床を成形して、前記印象模型の情報付与領域に付与された前記装着者に関する情報を前記基礎床に転写する工程と、前記装着者に関する情報が付与された基礎床に咬合堤を設けて、前記装着者の咬合状態を記録するための咬合床を作製する工程と、前記装着者の咬合状態が前記咬合堤に転写された前記咬合床に基づいて人工歯を配置する工程と、前記人工歯が配置された咬合床から前記咬合堤を脱ろうする工程と、前記咬合堤が脱ろうされてできた空隙に歯肉部となる床用樹脂を充填して、前記基礎床を含む義歯床を成形して有床義歯とする工程とを含むことを特徴とする。
この発明の有床義歯の製造方法によれば、印象模型に、装着者に関する情報を付与しているため、基礎床だけでなく、印象模型によっても、装着者の特定が可能である。
前記基礎床の情報付与領域に、前記装着者に関する情報を付与した後に、更に、光透過性の床成形用樹脂板をカバー床として、前記基礎床となる床成形用樹脂板に重ねる工程を含むことができる。
装着者に関する情報を付与された基礎床に、床成形用樹脂板から形成されたカバー床が重ねられて、義歯床が形成されている。そのため、カバー床が、基礎床に付与された装着者に関する情報を保護すると共に、この情報の凹凸を覆うため、情報が薄れたり削れたりすることが防止でき、装着者は、総義歯を従来の総義歯となんら変わりなく装着することができる。
前記情報を付与した後に、前記情報の凹凸を平坦とする印刷を行うことができる。情報の凹凸を平坦とすることで舌触りが良好な有床義歯とすることができる。
前記情報の凹凸を平坦とする印刷を、前記情報を示す凸部同士の間の隙間を、インクで埋めるようにすると、情報を示す凸部と隙間を埋めたインクの高さが揃うため、情報を平坦とすることができる。また、前記情報の凹凸を平坦とする印刷は、前記情報を示す凹部を、インクで埋めるようにすると、インクによって情報を示す凹部の高さが揃うため、情報を平坦とすることができる。
また、前記情報の凹凸を平坦とする印刷を、前記情報の輪郭に合わせて、インクで前記情報を覆うようにすると、インクが平坦面となって情報を示す凸部や凹部による凹凸にインクが覆い被さって、凹凸を無くすことができ、情報を平坦とすることができる。
更に、前記印刷情報の凹凸を平坦とする印刷を、前記情報の輪郭より広く、縁部が傾斜面になるように、インクで前記情報を覆うようにすると、インクによる縁部がなだらかな傾斜面であるため、インクによる段差を無くすことができる。
記情報付与領域を、前記咬合堤が設けられる領域とし、前記歯肉部となる床用樹脂を光透過性成形部材により形成すると、咬合堤が人工歯を支持する歯肉部となるので、基礎床に付与された情報は、歯肉部によって保護することができる。
記情報付与領域に、前記装着者に関する情報を印刷情報として印刷装置により印刷するときに、印刷情報を、紫外線または赤外線が照光されると発色する不可視インクおよび/または可視インクを用いて印刷することができる。
可視インクで印刷することにより、直ぐに内容が把握できるので便利である。また、不可視インクで印刷することより、視認が容易ではないため、簡単に見られては困るようなプライバシーの度合いが高い場合に、プライバシーの保護を高めることができるので有効である。
前記装着者に関する情報を付与するときに、上顎用の前記基礎床と、下顎用の前記基礎床とに付与された情報を重ね合わせると、一体図形となるように付与すると、上顎用の基礎床と下顎用の基礎床とをセットで、装着者を特定することができるので、間違えて組み合わせてしまうことを防止することができる。
前記装着者に関する情報を付与するときに、上顎用の前記基礎床と、下顎用の前記基礎床とを重ね合わせると形状が一致する情報を付与しても、上顎用の基礎床と下顎用の基礎床とをセットで、装着者を特定することができる。
これらの有床義歯の製造方法により、本発明の有床義歯は製造することができる。
本発明は、基礎床の作製から、咬合堤を脱ろうして義歯床を作製する段階まで、歯科医師と歯科技工士との間を行き来する義歯の基礎床に装着者に関する情報が付与されているため、有床義歯の製造過程で、他の装着者のものと取り違いをしてしまうことを防止することができる。
本発明の実施の形態1に係る有床義歯の製造方法の各工程を説明するためのフローチャートである。 図1に示す模型固定工程にて、印象模型がフラスコに固定された状態の平面図である。 図1に示す準備工程にて、準備された床成形用樹脂板の斜視図である。 図1に示す情報付与工程にて、印刷情報が印刷された床成形用樹脂板の斜視図である。 図1に示す情報付与工程にて、印刷情報が印刷された床成形用樹脂板の部分断面図であり、(A)は印刷領域に印刷情報が印刷された状態の図、(B)から(D)は印刷情報を他のインクにより印刷情報の凹凸を覆った状態の図である。 図1に示す転写工程にて、印象模型の形状が床成形用樹脂板に転写されて形成された基礎床の斜視図である。 図1に示す転写工程にて、床成形用樹脂板に印象模型の形状が転写された基礎床の斜視図である。 図1に示す咬合堤形成工程にて、基礎床に形成された咬合堤の斜視図である。 図1に示す成形工程にて、基礎床に歯肉部が成形された総義歯の断面図である。 本発明の実施の形態1に係る有床義歯の製造方法の変形例の各工程を説明するためのフローチャートである。 図10に示すカバー配置工程にて、印刷情報が印刷された基礎床となる床成形用樹脂板に、カバー床となる光透過性の床成形用樹脂板を配置した状態の斜視図である。 図10に示す転写工程にて、印象模型の形状が床成形用樹脂板に転写された形成された基礎床およびカバー床の斜視図である。 図10に示す成形工程にて、基礎床に歯肉部が成形された総義歯の断面図である。 本発明の実施の形態2に係る有床義歯の製造方法により、印象模型の形状が床成形用樹脂板に転写された形成された基礎床の斜視図である。 図14に示す基礎床に歯肉部が成形された総義歯の断面図である。 本発明の実施の形態3に係る有床義歯の製造方法の各工程を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態4に係る有床義歯である上顎用総義歯と、下顎用総義歯を示す図である。 (A)は図17に示す上顎用総義歯の基礎床に印刷された印刷情報の図、(B)は図17に示す下顎用総義歯の基礎床に印刷された印刷情報の図、(B)は(A)および(C)に示す印刷情報を重ね合わせたときの図である。 本発明の実施の形態4に係る有床義歯の製造方法の変形例を説明するための図であり、(A)は上顎用総義歯の基礎床に印刷された印刷情報の図、(B)は下顎用総義歯の基礎床に印刷された印刷情報の図、(B)は(A)および(C)に示す印刷情報を重ね合わせたときの図である。 本発明の実施の形態4に係る有床義歯の製造方法の各工程を説明するためのフローチャートである。 図20に示す有床義歯の製造方法に用いられる印象模型の斜視図である。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る有床義歯の製造方法について、図1および図9に基づいて説明する。本実施の形態1では、有床義歯でも上顎用の総義歯を作製する場合を説明する。
まず、歯科医院にて、歯科医師は、有床義歯を装着する装着者の口腔から凹型となる印象模型を採得し、この凹型から凸型となる印象模型を作製する印象採得工程を行う(ステップS10)。この印象模型は、歯科技工所に送付される。
歯科技工所では、歯科技工士が、凸型の印象模型から、再度、凹型を作製して、更に、この凹型から凸型となる印象模型Mを作製する印象模型作製工程を行う(ステップS20)。
次に、歯科技工士は、図2に示すように印象模型Mを、フラスコ11に充填された溶融状態の低融点合金12に浸漬して、溶融状態の低融点合金12が固化することで固定する模型固定工程を行う(ステップS30)。
フラスコ11の底面には、脱気するための吸引口が設けられており、溶融状態の低融点合金12が固化することで低融点合金12が収縮して、フラスコ11の周壁と円盤状に固化した低融点合金12の周囲壁面との間に隙間ができる。
この状態で、歯科技工士は、準備工程を行う。準備工程は、図3に示すように、基礎床21となる床成形用樹脂板Pを準備する(ステップS40)。床成形用樹脂板Pは、合成樹脂材により形成されたプレート状の床成形用樹脂板で、円盤状の床成形用樹脂板Pを購入してもよいし、プレス装置を所有している場合には歯科技工士自身が床成形用樹脂板Pを成形してもよい。
床成形用樹脂板Pをプレス装置により成形する場合には、歯科技工士は、上型と下型とによるキャビティ(成形空間)内に、軟化状態の合成樹脂材を配置して、圧力を掛ける。そして、外形が円形状となった軟化状態の合成樹脂板を、硬化させることで、円盤状の床成形用樹脂板Pを成形することができる。
床成形用樹脂板Pが準備できると、歯科技工士は、情報付与工程を行う。情報付与工程は、床成形用樹脂板Pに装着者に関する情報を付与する工程である(ステップS50)。
本実施の形態1では、床成形用樹脂板Pの情報付与領域に、図示しない印刷装置により、装着者に関する情報を印刷情報として印刷している。印刷装置はインクジェットプリンタが使用できる。
例えば、図4に示す床成形用樹脂板Pでは、上顎用の義歯の基礎床となるもので、床成形用樹脂板Pの情報付与領域Sを口蓋部としている。そして、この情報付与領域Sに、装着者に関する情報(印刷情報W)として、装着者の氏名と、生年月日と、個人を特定するための識別情報とが印刷されている。
装着者に関する情報としては、氏名と生年月日の他に、住所、性別、血液型、治療に掛かった歯科医院を特定する病院名や病院を識別するコードなどの個人情報、家族の連絡先や病歴、投薬歴のほか社会歴、家族歴などとすることができる。
また、個人を特定するための識別情報が印刷されているため、装着者に関する情報を登録したデータベースから、識別情報に基づいて検索することにより、床成形用樹脂板Pに、氏名や生年月日以外に、文字数が多くなり、印刷仕切れないような、病歴や社会歴、家族歴など、幅広い情報を印刷しなくても、検索により得ることができる。
例えば、氏名、生年月日の他に、家族の連絡先を、装着者に関する情報とすれば、装着者が認知症を患っている場合に、徘徊する装着者の身元がすぐに確認でき、家族に連絡を取ったり、装着者の治療の許可を得るときに、すぐに連絡を取ったりすることができる。
図4に示すように、床成形用樹脂板Pがプレート状であるため、インクジェットプリンタによる印刷面が平坦面である。従って、文字や記号などにより構成される印刷情報Wを、歪ませることなく印刷することができる。
ここで、床成形用樹脂板Pの情報付与領域Sに印刷する印刷情報Wについて詳細に説明する。
情報付与領域Sに、装着者に関する情報を印刷情報として印刷するときに、印刷情報を、可視インクを用いて印刷することができる。可視インクとは、太陽光や可視光を照射する照明装置の元で視認可能なインクである。また、印刷情報は、紫外線や赤外線を照射することで発色して見える状態になる不可視インクとすることができる。更に、印刷情報は、可視インクによる印刷と、不可視インクによる組み合わせとすることができる。氏名や性別、生年月日などの直ぐに内容が把握できると便利な印刷情報は可視インクで印刷することができる。また、簡単に見られては困るようなプライバシーの度合いが高い印刷情報は不可視インクで印刷することで、プライバシーの保護を高めることができる。
このとき、図5(A)に示すように、床成形用樹脂板PにインクK1により印刷された文字や記号(印刷情報W)は、断面で見ると、印刷情報Wを示すインクK1とインクK1が凸部となって床成形用樹脂板Pより出っ張っている。このインクK1(凸部)同士の間に隙間Gがある。このインクK1と隙間Gとによる凹凸は、舌触りが悪い。
そこで、図5(B)のように、印刷情報WをインクK1により印刷したときに、インクK1と区別可能な他のインクK2により隙間Gを埋める。そうすることで、インクK2によって印刷情報Wを示すインクK1と高さが揃うため、印刷情報Wを平坦とすることができる。印刷情報Wの凹凸を平坦とすることで、印刷情報W全体に凹みが無くなるため、舌触りが良好な義歯とすることができる。インクK1と区別可能なインクK2は透明インクとするのが望ましい。
また、図5(C)に示すように、インクK1と隙間Gとにより構成された印刷情報Wの輪郭に合わせて、印刷情報Wが光透過性を有する他のインクK3により覆われている。このように、光透過性を有するインクK3により印刷情報Wを覆うことで、インクK3が平坦面となってインクK1と隙間Gとによる凹凸が無くなり、印刷情報Wを平坦とすることができるため、舌触りが良好な義歯とすることができる
更に、図5(D)に示すように、インクK1と隙間Gとにより構成された印刷情報Wの輪郭より広く、印刷情報Wが光透過性を有する他のインクK4により覆われ、印刷情報Wの凹凸が塞がれている。このとき、インクK4は、縁部がなだらかな傾斜面になるように印刷される。そうすることで、インクK4の段差が無いため、更に、舌触りが良好な義歯とすることができる。
可視インクまたは不可視インクは、人体に影響がなく、装着者が義歯を長年使用しても、剥がれたり薄なったりすることが無ければ、コーティングなどによる保護膜を被せる必要がなく、インクが露出した状態でも問題がない。
しかし、可視インクまたは不可視インクによる人体への影響が心配されたり、経年変化により剥がれや薄れが心配されたりするようであれば、可視インクまたは不可視インクを用いて印刷情報を印刷した後に、図5(D)に示すように印刷情報W全部を完全に覆うようなコーティング印刷を行うことが望ましい。
次に、歯科技工士は、転写工程を行う。転写工程は、図6に示すように、印象模型M上に配置した加熱により軟化した床成形用樹脂板Pを加圧および加熱して、印象模型Mの形状を床成形用樹脂板Pに転写する(ステップS60)。
この加圧は、例えば、圧縮空気を噴射してもよいし、他の押圧器具により床成形用樹脂板Pを押さえ付けてもよい。圧縮空気が床成形用樹脂板Pに噴射されると、印象模型Mの輪郭より大きい部分の床成形用樹脂板Pが印象模型Mの周壁側に湾曲して、図7に示すように、板状の床成形用樹脂板P全体が印象模型M全体を覆う形状に変形して密着する。
印象模型Mの形状を床成形用樹脂板Pに転写すると、歯科技工士は、床外形をハンドピースドリルやレーズなどで整える。このようにして基礎床21を作製することができる。
次に、歯科技工士は、基礎床取出工程を行う。基礎床取出工程は、フラスコ11内の低融点合金12から、印象模型Mに貼り付いた基礎床21を取り出し、印象模型Mを削ったり割ったりして、基礎床21を外す(ステップS70)。
基礎床21が作製できると、歯科技工士は、歯科技工所で作製された凹型から、再度、印象模型Mを作製し、この印象模型Mに、基礎床21を被せる。次に、歯科技工士は、咬合堤形成工程を行う。咬合堤形成工程は、図8に示すように、基礎床21の歯列位置に、堤状部材を配置して咬合堤22(蝋堤)を形成して咬合床を作製する。この堤状部材は、例えば、アーチ状のパラフィンワックスによる既成蝋堤用ワックスが使用できる。
このようにして、基礎床21に咬合堤22が設けた咬合床を作製することで、上顎用の咬合採得用義歯20が作製される(ステップS80)。
上記説明では、上顎用の咬合採得用義歯20の製造方法を説明したが、下顎用の咬合採得用義歯も同様にして作製することができる。下顎用の咬合採得用義歯を作製する場合には、基礎床を形成するときに、舌部分をU字状に切断して除去することで、アーチ状の下顎用の基礎床を、円盤状の床成形用樹脂板Pから作製することができる。
咬合採得用義歯20が作製できると、歯科技工士は、この咬合採得用義歯20を歯科医院に送付する。歯科医師は、装着者となる患者の口腔内に、咬合採得用義歯20を装着させて、咬合採得用義歯20に装着者の咬合状態を記録する咬合採得を行う(ステップS90)。
患者が噛み合わせをすると、咬合堤22の歯冠部が咬合状態に応じて変形することで、咬合採得用義歯20に装着者の咬合状態が記録される。また、歯科医師が、正中や咬合平面の位置を、咬合堤22の唇側に印記することで、咬合採得用義歯20に装着者の咬合状態を記録する。
このようにして、咬合採得用義歯20に患者の咬合状態が記録されると、咬合採得用義歯20は歯科技工所へ送付される。歯科技工所では、歯科技工士が、咬合採得用義歯20を咬合器に装着して、咬合採得用義歯20の咬合堤22の噛み合わせを見ながら、咬合堤22の高さや厚みを調整しつつ、咬合堤22を削りスペースを確保した後に、代わりにレジン歯や陶歯などにより形成され、歯牙形状を模した硬質の人工歯(図示せず)を取り付ける人工歯排列工程を行う。この工程により、人工歯が咬合採得用義歯20の咬合堤22に取り付けられ、咬合堤22が歯肉部分となるように高さや厚みが調整された成形用義歯が作製される(ステップS100)。
成形用義歯は、歯科医院に送付されて、装着者に装着して完成度合いを見る試適を行った上で歯科技工所に戻される。歯科技工所では、装着者の試適に応じて最終的な微調整が行われる。
成形用義歯に最終的な微調整が施されると、歯科技工士は、パラフィンワックスによる咬合堤22を脱ろうして、義歯床を成形する際に用いられる床用樹脂に置き替え、硬質な歯肉部を成形する成形工程を行う(ステップS110)。
成形工程は、まず、成形用義歯を、石膏を充填した下部フラスコに置き、埋没させるための石膏を上から充填して、対となる上部フラスコにより蓋をする。
次に、歯科技工士は、一対のフラスコを加熱炉に入れ、加熱することで、咬合堤22を溶融させて脱ろうする。基礎床21は溶融せず、そのまま義歯床として残る。咬合堤22が溶融することでできた空間に、歯肉部となる床用樹脂を充填する。
そして、歯科技工士は、床用樹脂の種類に応じた方法により硬化させる。例えば、床用樹脂が化学重合型であれば常温で重合させる。また、加熱重合型であれば加熱により重合させる。歯肉部となる樹脂が硬化すると、図9に示すような、基礎床21に歯肉部23が形成された義歯床25と、歯肉部23に支持された人工歯24とを備えた有床義歯である総義歯30を得ることができる。
このように、歯科医師と歯科技工士との間を行き来する義歯(咬合採得用義歯、成形用義歯)には、基礎床21に装着者に関する情報が付与されているため、歯科医師および歯科技工士は、基礎床21の情報により装着者を特定しながら、装着者に装着させたり、咬合状態を調整したりすることができるため、他の装着者のものと取り違いをしてしまうことを防止することができる。
(実施の形態1の変形例)
次に、本発明の実施の形態1に係る有床義歯の製造方法の変形例について、図10から図12に基づいて説明する。
本実施の形態1に係る有床義歯の製造方法の変形例は、基礎床の情報付与領域に、装着者に関する情報を付与した後に、更に、光透過性のプレート状の床成形用樹脂板をカバー床として、基礎床となるプレート状の床成形用樹脂板に重ねる工程を含むことを特徴とするものである。
図10に示すように、本実施の形態1に係る有床義歯の製造方法の変形例は、ステップS210からステップS250までは、図1に示すステップS10からステップS50までと同じであるため、説明を省略する。
歯科技工士が、床成形用樹脂板Pの情報付与領域Sに、印刷装置により、装着者に関する情報を印刷情報Wとして印刷する情報付与工程(ステップS250)を行うと、次に、カバー配置工程を行う。
カバー配置工程は、図11に示すように、光透過性のプレート状の床成形用樹脂板Pcをカバー床として、基礎床となるプレート状の床成形用樹脂板Pに重ねる(ステップS260)。床成形用樹脂板Pcは床成形用樹脂板Pと同じ樹脂板とすることができる。床成形用樹脂板Pcと床成形用樹脂板Pとを重ねて一枚の樹脂板とするため、厚みは、床成形用樹脂板Pcと床成形用樹脂板Pとは、図3に示す床成形用樹脂板Pより薄く、2枚で図3に示す床成形用樹脂板Pと同程度となるのが望ましい。
そして、歯科技工士は、転写工程を行う。転写工程は、図12に示すように、床成形用樹脂板Pおよびこの床成形用樹脂板Pを加熱し、印象模型M上に配置した加熱により軟化した床成形用樹脂板Pおよびこの床成形用樹脂板Pに重ねて加圧および加熱して、床成形用樹脂板Pおよびこの床成形用樹脂板Pを一枚に一体化しながら、印象模型Mの形状を転写する(ステップS270)。
転写工程が完了すると、後のステップS280からステップS320までの工程は、図1に示すステップS70からステップS110までと同じ工程である。
このようにして得られた図13に示す総義歯30xは、印刷情報Wが、床成形用樹脂板P(図11参照)から形成された基礎床21に印刷され、この基礎床21に、床成形用樹脂板Pc(図11参照)から形成されたカバー床21cが重ねられて、義歯床25xが成形されている。そのため、カバー床21cが、基礎床21の印刷情報Wを保護すると共に、印刷情報Wの凹凸を覆うため、印刷情報Wが薄れたり削れたりすることが防止でき、装着者は、総義歯30xを従来の総義歯となんら変わりなく装着することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る有床義歯の製造方法を図面に基づいて説明する。
本実施の形態2に係る有床義歯の製造方法は、基礎床の情報付与領域を、咬合堤が設けられる領域とし、歯肉部を光透過性成形部材により形成することを特徴とするものである。
図14に示す基礎床21は、図1に示すステップS50にて床成形用樹脂板Pに印刷情報Wを印刷するときに、歯肉部となる咬合堤が設けられる領域を情報付与領域Sとして、印刷情報Wを付与して、印象模型Mの形状を転写したものである。
そして、図1に示すステップS110にて、この基礎床21に床用樹脂により歯肉部を成形する際に、光透過性を有する床用樹脂を用いることで、図15に示すように、歯肉部23が、基礎床21の印刷情報Wを保護すると共に、印刷情報Wの凹凸を覆うため、印刷情報Wが薄れたり削れたりすることが防止でき、装着者は、総義歯30yを従来の総義歯となんら変わりなく装着することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る有床義歯の製造方法を、図面に基づいて説明する。
本実施の形態3に係る有床義歯の製造方法は、基礎床を成形した後に、装着者に関する情報を基礎床に付与することを特徴とするものである。
図16に示すように、本実施の形態3に係る有床義歯の製造方法は、ステップS410からS440までは、図1に示すステップS10からステップS40までと同じであるため、説明を省略する。
そして、ステップS440にて歯科技工士が、床成形用樹脂板を準備すると、図1に示すステップS60とステップS70と同じ転写工程と基礎床取出工程を行う(ステップS450,S460)。
そして、ステップS470にて、歯科技工士が情報付与工程を行う。このステップS470は、図1に示すステップS50と同じである。
ステップS470にて基礎床21に印刷情報Wが付与されると、ステップS480からステップS510までは、図1に示すステップS80からステップS110と同じである。
このように、本実施の形態3に係る有床義歯の製造方法では、情報付与工程(ステップS470)を、ステップS450の転写工程の後に行うようにしても、基礎床21に付与した印刷情報Wにより、歯科医師および歯科技工士は、装着者を特定しながら、装着者に装着させたり、咬合状態を調整したりすることができる。従って、歯科医師および歯科技工士は、他の装着者のものと取り違いをしてしまうことを防止することができる。
また、印刷情報Wは、基礎床21が成形された後に、印刷されるため、基礎床21の形状に合わせて印刷される。従って、歪みの少ない印刷情報Wとすることができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る有床義歯の製造方法を、図面に基づいて説明する。
本実施の形態4に係る有床義歯の製造方法は、装着者に関する情報を付与するときに、上顎用の基礎床と、下顎用の基礎床とに付与された情報を重ね合わせると、一体図形となるように付与することを特徴としたものである。
図17に示す上顎用総義歯30aと下顎用総義歯30bとは、図1,図10または図16に示す有床義歯の製造方法により製造されたものである。
この上顎用総義歯30aと下顎用総義歯30bは、情報付与工程(ステップS50,ステップS250,ステップS470)にて、印刷情報を基礎床21,21pに付与するときに、模様または図形のような印刷情報W1,W2が印刷されている。
印刷情報W1,W2は、図18(A)および同図(B)に示すように、ずれた位置にある平行な2本の線が2組、中央部に矩形状の隙間を空けるようにして配置されている。
この印刷情報W1,W2は、例えば、第三大臼歯と対応する位置を情報付与領域S1,S2として印刷することができる。この情報付与領域S1,S2は、基礎床21,21p同士を咬合状態とすると、重ね合わせることができる。
基礎床21,21p同士を重ね合わせると、一方の印刷情報W1に他方の印刷情報W2が反転して重なるので、図18(C)のように2組の菱型が90度ずれて重なったような図形となる(図18(C)では印刷情報W1は実線で、印刷情報W2は点線で示す。)。
このように、装着者ごとに、上顎用の基礎床21と、下顎用の基礎床21pとを重ね合わせると、一体図形となるような印刷情報W1,W2を割り当てることで、歯科医師および歯科技工士が、上顎用と下顎用とのそれぞれを、他の装着者のものと取り違えてしまうことを防止することができる。また、歯科医師および歯科技工士が、上顎用と下顎用とをセットで、装着者を特定することができるので、間違えて組み合わせてしまうことを防止することができる。
(実施の形態4の変形例)
本発明の実施の形態4に係る有床義歯の製造方法の変形例を、図面に基づいて説明する。本実施の形態4に係る有床義歯の製造方法の変形例は、装着者に関する情報を付与するときに、上顎用の基礎床と、下顎用の基礎床とを重ね合わせると形状が一致する情報を付与することを特徴とするものである。
図19(A)に示す上顎用総義歯の基礎床に付与された印刷情報W3、および同図(B)に示す下顎用総義歯の基礎床に付与された印刷情報W4とは、情報付与工程(ステップS50,ステップS250,ステップS470)にて印刷されたものである。
印刷情報W3,W4は、iQRコード(登録商標)と称される光学的読取情報である。光学的読取情報は、数多くの文字が格納でき、読取装置により読み取ることにより格納された文字情報を取り出すことができる。
この印刷情報W3,W4を同じコード内容とすることで、上顎用総義歯の基礎床と下顎用総義歯の基礎床とを重ね合わせると、図19(C)に示すように形状が一致する。
このように、上顎用の基礎床と、下顎用の基礎床とを重ね合わせると、印刷情報W3,W4の形状が一致するため、歯科医師または歯科技工士は、一目で同じ装着者のものであることを認識することができる。
従って、歯科医師および歯科技工士が、上顎用と下顎用とのそれぞれを、他の装着者のものと取り違えてしまうことを防止することができる。また、歯科医師および歯科技工士が、上顎用と下顎用とをセットで、装着者を特定することができるので、間違えて組み合わせてしまうことを防止することができる。
更に、印刷情報W3,W4を光学的読取情報とすることで、装着者に関する多くの情報を、基礎床に付与することができる。
なお、実施の形態4では、印刷情報W1,W2を線状図形としており、印刷情報W3,W4をiQRコードとしているが、実施の形態4では重ねると一つの一体図形になればよく、実施の形態4の変形例では重ねて一致すればよいので、単純な三角形や四角形などの多角形、星形やハートマーク、スペードマークなどの図形、動物や植物、飛行機や船舶、鉄道、車両などの輸送体、建物や塔、橋など構造体とすることができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る有床義歯の製造方法について、図面に基づいて説明する。
本実施の形態5に係る有床義歯の製造方法は、装着者に関する情報を印象模型に付与することを特徴としたものである。
図20に示すように、本実施の形態5に係る有床義歯の製造方法おいては、印象採得工程(ステップS610)および印象模型作製工程(ステップS620)は、図1に示す実施の形態1に係る有床義歯の製造方法のステップS10およびステップS20と同じである。
印象模型作製工程(ステップS620)によって作製された印象模型Mの情報付与領域Sに、図21に示すように装着者に関する情報Iを凸形状で付与する(ステップS630)。この凸形状の情報が付与された印象模型Mは、予め準備された各種の文字や記号を貼り付けたり、印象模型作製工程(ステップS620)にて作製された印象模型を、3Dスキャナにより3Dスキャン(立体スキャン)して、3次元データとして取り込んだ後に、情報を付与し、3Dプリンタで造形したりすることで、作製することができる。
図20に示すようにステップS630にて、印象模型Mに情報が付与されれば、ステップS640およびステップS650は、図1に示す実施の形態1に係る有床義歯の製造方法のステップS30およびステップS40と同じである。
そして、図20に示すステップS660にて、図1に示すステップS60と同様に、印象模型Mの形状に床成形用樹脂板を転写させる転写工程を行うことにより、床成形用樹脂板の裏面に印象模型Mの情報Iが転写される。
このとき、印象模型Mに付与された情報Iの突出高さが高ければ、印象模型Mに押し当てた床成形用樹脂板の面とは反対側の面まで、情報Iの凸形状を浮き上がらせることができる。また、印象模型Mに付与された情報Iの突出高さが低ければ、印象模型Mに押し当てた床成形用樹脂板の面のみに刻まれる。その場合には、情報Iは、転写して正常に見えるように印象模型Mに付与される。
床成形用樹脂板の裏面に情報Iが転写されれば、後の工程(ステップS670からステップS710まで)は、図1に示すステップS70からステップS110までと同じである。
このように、印象模型Mに情報Iを付与することで、基礎床だけでなく印象模型Mにも情報が付与できるため、印象模型の取り違いも防止することができる。
また、基礎床に転写された情報Iが印象模型Mに押し当てた面のみに付与された場合には、基礎床に転写された情報Iは、装着者に装着されると舌に触れることがない。従って、基礎床のおもて面を滑らかな面とすることができる。
以上、本実施の形態1〜5に係る有床義歯の製造方法を説明したが、本発明は、上記実施の形態1〜5に限定されるものではない。実施の形態1〜4では、装着者に関する情報が、基礎床21のおもて面(口腔側)に付与されていたが、基礎床21の裏面に付与されるようにしてもよい。その場合には、基礎床21を裏側(粘膜側)から見るようにしてもよいし、基礎床21を、光透過性を有する床成形用樹脂板により成形するようにして、装着者に関する情報をおもて面から透かして見るようにしてもよい。
装着者に関する情報を、基礎床21の裏側に付与することで、舌が直接情報に触れないため、情報に舌が触れることによる不快感や、かすれ、薄れが発生し難い。
また、本実施の形態1〜4では、装着者に関する情報を印刷情報として印刷により基礎床21に付与していたが、情報はレーザーによる刻印や、罫書きによる刻印、または活字による刻印としたり、シールとしたりすることができる。また、情報を刻印やシールとしたときでも、図5(A)から同図(D)のように、印刷により情報をカバーして、情報を示す凹部の高さを揃えることができる。
また、本実施の形態1〜4では、装着者に関する情報を印刷情報として印刷により基礎床21に付与していたが、情報はレーザーによる刻印や、罫書きによる刻印、または活字による刻印としたり、シールとしたりすることができる。また、情報を刻印やシールとしたときでも、図5()から同図(D)のように、印刷により情報をカバーして、情報を示す凹部の高さを揃えることができる。
また、実施の形態5では、実施の形態1の変形例のように、情報を浮き上がらせた基礎床のおもて面に、光透過性のプレート状の床成形用樹脂板をカバー床として、基礎床となる床成形用樹脂板に重ねてもよい。そうするこで、基礎床の内部で浮き上がった情報が、基礎床のおもて面側から視認することができる。また、実施の形態5では、情報付与領域Sが印象模型Mの口蓋部となっているが、実施の形態2のように咬合堤が設けられる領域とすることもできる。
更に、実施の形態5では、実施の形態4および実施の形態4の変形例のように、上顎用の基礎床と、下顎用の基礎床とに付与された情報を重ね合わせると、一体図形となったり、形状が一致したりする情報を、印象模型に付与するようにしてもよい。
更に、有床義歯は、上顎用および下顎用の総義歯だけでなく、部分義歯とすることができる。
本発明は、上顎用および下顎用の総義歯や部分義歯などの有床義歯に好適である。
11 フラスコ
12 低融点合金
20 咬合採得用義歯
21,21p 基礎床
21c カバー床
22 咬合堤
23 歯肉部
24 人工歯
25,25x 義歯床
30,30x,30y 総義歯
30a 上顎用総義歯
30b 下顎用総義歯
M 印象模型
P,Pc 床成形用樹脂板
S,S1,S2 情報付与領域
K1,K2,K3,K4 インク
G 隙間
W,W1,W2,W3,W4 印刷情報
I 情報

Claims (13)

  1. 装着者から採得した印象模型に基づいて成形された基礎床から、前記装着者が装着する有床義歯を製造する方法であって、
    前記基礎床となる床成形用樹脂板の情報付与領域に、前記装着者に関する情報を付与する工程と、
    前記装着者に関する情報が付与された床成形用樹脂板から、前記印象模型に基づいて前記基礎床を成形する工程と、
    前記基礎床に咬合堤を設けて、前記装着者の咬合状態を記録するための咬合床を作製する工程と、
    前記装着者の咬合状態が前記咬合堤に転写された前記咬合床に基づいて人工歯を配置する工程と、
    前記人工歯が配置された咬合床から前記咬合堤を脱ろうする工程と、
    前記咬合堤が脱ろうされてできた空隙に歯肉部となる床用樹脂を充填して、前記基礎床を含む義歯床を成形して有床義歯とする工程とを含む有床義歯の製造方法。
  2. 装着者から採得した印象模型に基づいて成形された基礎床から、前記装着者が装着する有床義歯を製造する方法であって、
    前記基礎床となる床成形用樹脂板から、前記印象模型に基づいて前記基礎床を成形する工程と、
    前記基礎床の情報付与領域に、前記装着者に関する情報を付与する工程と、
    前記装着者に関する情報が付与された基礎床に咬合堤を設けて、前記装着者の咬合状態を記録するための咬合床を作製する工程と、
    前記装着者の咬合状態が前記咬合堤に転写された前記咬合床に基づいて人工歯を配置する工程と、
    前記人工歯が配置された咬合床から前記咬合堤を脱ろうする工程と、
    前記咬合堤が脱ろうされてできた空隙に歯肉部となる床用樹脂を充填して、前記基礎床を含む義歯床を成形して有床義歯とする工程とを含む有床義歯の製造方法。
  3. 装着者から採得した印象模型に基づいて成形された基礎床から、前記装着者が装着する有床義歯を製造する方法であって、
    前記印象模型の情報付与領域に、前記装着者に関する情報を付与する工程と、
    前記基礎床となる床成形用樹脂板から、前記印象模型に基づいて前記基礎床を成形して、前記印象模型の情報付与領域に付与された前記装着者に関する情報を前記基礎床に転写する工程と、
    前記装着者に関する情報が付与された基礎床に咬合堤を設けて、前記装着者の咬合状態を記録するための咬合床を作製する工程と、
    前記装着者の咬合状態が前記咬合堤に転写された前記咬合床に基づいて人工歯を配置する工程と、
    前記人工歯が配置された咬合床から前記咬合堤を脱ろうする工程と、
    前記咬合堤が脱ろうされてできた空隙に歯肉部となる床用樹脂を充填して、前記基礎床を含む義歯床を成形して有床義歯とする工程とを含む有床義歯の製造方法。
  4. 前記基礎床の情報付与領域に、前記装着者に関する情報を付与した後に、更に、光透過性の床成形用樹脂板をカバー床として、前記基礎床となる床成形用樹脂板に重ねる工程を含む請求項1記載の有床義歯の製造方法。
  5. 前記情報を付与した後に、前記情報の凹凸を平坦とする印刷を行う請求項1から3のいずれかの項に記載の有床義歯の製造方法。
  6. 前記情報の凹凸を平坦とする印刷は、前記情報を示す凸部同士の間の隙間を、インクで埋める請求項5記載の有床義歯の製造方法。
  7. 前記情報の凹凸を平坦とする印刷は、前記情報を示す凹部を、インクで埋める請求項5記載の有床義歯の製造方法。
  8. 前記情報の凹凸を平坦とする印刷は、前記情報の輪郭に合わせて、インクで前記情報を覆う請求項5記載の有床義歯の製造方法。
  9. 前記情報の凹凸を平坦とする印刷は、前記情報の輪郭より広く、縁部が傾斜面になるように、他のインクで前記情報を覆う請求項5記載の有床義歯の製造方法。
  10. 記情報付与領域を、前記咬合堤が設けられる領域とし、前記歯肉部となる床用樹脂を光透過性成形部材により形成する請求項1または2記載の有床義歯の製造方法。
  11. 記情報付与領域に、前記装着者に関する情報を印刷情報として印刷装置により印刷するときに、印刷情報を、紫外線または赤外線が照光されると発色する不可視インクおよび/または可視インクを用いて印刷する請求項1または2記載の有床義歯の製造方法。
  12. 前記装着者に関する情報を付与するときに、上顎用の前記基礎床と、下顎用の前記基礎床とに付与された情報を重ね合わせると、一体図形となるように付与する請求項1から3のいずれかの項に記載の有床義歯の製造方法。
  13. 前記装着者に関する情報を付与するときに、上顎用の前記基礎床と、下顎用の前記基礎床とを重ね合わせると形状が一致する情報を付与する請求項1から3のいずれかの項に記載の有床義歯の製造方法。
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