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JP6301667B2 - 発核装置 - Google Patents
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本発明は、誤作動の少ない発核装置に関するものである。
例えば、自動車の暖房などにおいて、エンジン始動直後であっても、即座に暖かなエアを室内に効率よく送るために、熱を蓄熱する蓄熱材が用いられる場合がある。蓄熱材は、相変化に伴う潜熱を放出することで、大きなエネルギーを消費することなく、熱を発生させることができる。
このような蓄熱材は、例えば液体の状態から固体の状態へ相変化させるための発核装置が用いられる。発核装置を用いることで、任意のタイミングで、蓄熱材に衝撃等を与え、発核させることができる。
このような、発核装置としては、蓄熱材の収容部材に固定された部材の移動や金属板の変形等を用いた方法がある(例えば特許文献1、2)。
特開2011−75050号公報 特開2007−232332号公報
特許文献1、2のように、従来の発核装置は、発核を行うために、蓄熱材に対して衝撃等を加えるものである。しかし、自動車に発核装置を搭載すると、自動車の振動等が移動部材や金属板等に伝達される。このため、意図せずに、発核が開始してしまう恐れがある。また、生成した種結晶が振動によって消失してしまう恐れがある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、振動等による誤作動を抑制することが可能な発核装置を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明は、蓄熱材の発核装置であって、板状部材と、前記板状部材を保持する保持部材と、前記板状部材を変形さる押圧部材と、を具備し、前記板状部材は、前記押圧部材によって押圧されることで変形可能であり、前記板状部材の端部と前記保持部材との間には、クリアランスが形成され、前記蓄熱材が流入可能であり、前記板状部材の端部が、前記保持部材によって完全に拘束されておらず、前記板状部材は、前記保持部材に対して遊びを有していることを特徴とする発核装置である。
前記押圧部材は、回転体であり、前記回転体を回転させることで、前記回転体が前記板状部材と接触し、前記板状部材を変形させることが可能であってもよい。
前記回転体の押圧部が、回転方向に対して湾曲して形成されることが望ましい。
前記保持部材と前記板状部材の端部とが、磁石によって、前記板状部材の端部と前記保持部材との間のクリアランスが維持されてもよい。
本発明によれば、蓄熱材に力を加える板状部材と、板状部材を保持する保持部材との間に、クリアランスが形成される。すなわち、板状部材が保持部材によって完全に拘束されず、多少のがたつきを有する。このため、保持部材等に自動車の振動が伝わったとしても、保持部材から板状部材への振動の伝達が抑制される。このため、板状部材が意図せず変形し、蓄熱材へ力を加えるような誤作動の発生を抑制することができる。
また、押圧部材が回転体であれば、蓄熱材ケース内に、押圧部材を挿抜する必要がない。したがって、押圧部材を動作させても、蓄熱材ケース内における押圧部材の体積変化がなく、蓄熱材ケース内の圧力に変化が生じることがない。このため、圧力変化に伴う誤作動や、動作部の動作抵抗の上昇などの問題を抑制することができる。
特に、回転体を回転方向に対して湾曲させることで、回転角度に対して、板状部材の押圧量を線形とすることができる。このため、板状部材を一定の力で押圧することができる。
また、磁石を用いることで、板状部材と保持部材との間のクリアランスを確実に維持することができる。このため、振動が板状部材に伝わることを抑制することができる。
本発明によれば、振動等による誤作動を抑制することが可能な発核装置を提供することができる。
発核装置1を示す図。 保持部材7を示す図で、図1のA−A線断面図。 発核装置1の動作状態を示す図。 保持部材7を示す図で、(a)は通常の状態を示す図、(b)は保持部材7に力が加わった状態を示す図。 弾性部材15を用いた保持部材7を示す図。 磁石17a、17bを用いた保持部材7を示す図。
以下、本発明の実施の形態にかかる発核装置1について説明する。図1は発核装置1を示す断面図である。発核装置1は、主に、押圧部材5、保持部材7、板状部材9等から構成される。発核装置1は、図示を省略した蓄熱材ケース内に配置される。
蓄熱材ケースには、蓄熱材11が封入されている。蓄熱材11は、過冷却型潜熱蓄熱材を用いる。例えば、酢酸ナトリウム3水塩や硫酸ナトリウム10水塩などであり、物質の相変化に伴う潜熱を蓄熱することができる。過冷却型蓄熱材は、凝固点温度以下になっても相変化(結晶化)が起きない状態を保ち、液体にある衝撃や振動や摩擦といったエネルギーを加えることで結晶の種を生成し、今まで不規則に浮遊していた分子やイオンが突如、種結晶に向かって結合(凝固)を始めて、一気に凝固熱を周囲に放出するものである。
一対の板状部材9の間には、押圧部材5が配置される。押圧部材5は蓄熱材ケース内で回転可能である。回転体である押圧部材5は、回転方向に対して湾曲した面を有する。なお、押圧部材5の回転軸は、蓄熱材ケースの外部に液密を保って導出される。
蓄熱材ケースには、保持部材7が固定される。保持部材7は、板状部材9を保持する部材である。すなわち、保持部材7は、板状部材9が、所定の位置から移動しないように保持する部材である。保持部材7は、例えば樹脂製であり、ゴムなどの弾性体で構成してもよい。
板状部材9は、金属製の部材である。板状部材9は湾曲しており、中央の張り出し部が押圧部材5側に向くように配置される。板状部材9の表面は平らでなくても良く、凹凸を設けてもよい。なお、図示した例では、板状部材9が一対配置される例を示すが、本発明はこれに限られない。板状部材9は一つでもよく、3つ以上配置してもよい。
図2は、保持部材7および板状部材9を示す図で、図1のA−A線断面図である。板状部材9は、両側の端部が保持部材7によって保持される。例えば、保持部材7の両側に形成された空間に板状部材9の両端が挿入されて保持される。保持部材7と板状部材9との間には、クリアランス13が形成される。
クリアランス13は、板状部材9の全周にわたって形成される。すなわち、板状部材9は保持部材7によって完全に拘束されずに、多少の遊びを有する。このため、板状部材9と保持部材7の間には、蓄熱材11が流入可能である。なお、通常時において、板状部材9が保持部材7の内面の一部と接触していてもよい。
次に、発核装置1の動作方法を説明する。蓄熱材11が溶融した状態で、押圧部材5を回転させると(図中矢印B方向)、押圧部材5が板状部材9と接触して、板状部材9を押圧する。このため、板状部材9が変形する(図中矢印C方向)。
板状部材9の変形によって、蓄熱材11に力または衝撃力を加えることができる。または板状部材9の表面に付着していた核が蓄熱材11に放出される。このような変化をトリガーとして、蓄熱材11が凝固を開始し、潜熱を放出する。
なお、押圧部材5の押圧部が湾曲しているため、押圧部材5の回転角度に対して、板状部材9の押圧量を線形とすることができる。このため、板状部材を一定の力で押圧することができる。
なお、押圧部材5は一方向に回転するようにしてもよく、例えば90°の回転角度内を往復動作させてもよい。また、押圧部材5は、板状部材9を押圧可能であれば、図示した例には限られず、他の方法で板状部材9を押圧してもよい。
ここで、板状部材9は、保持部材7に完全に拘束されていない。図4(a)は、通常時における板状部材9と保持部材7の位置関係を示す図である。前述したように、板状部材9と保持部材7との間には、クリアランス13が設けられ、クリアランス13には蓄熱材11が流入する。
この状態で、図4(b)に示すように、保持部材7に衝撃や振動が加わると、板状部材9は、保持部材7に拘束されないため、板状部材9へ衝撃や振動が直接加わることがない。また、板状部材9と保持部材7との間の蓄熱材11も緩衝材として機能するため、板状部材9へ伝わる衝撃や振動が抑制される。
板状部材9に衝撃等が直接伝達されると、押圧部材5を動作させていない状態で、板状部材9が変形する恐れがある。このため、意図せずに、蓄熱材11が潜熱を放出してしまう誤作動が生じと恐れがある。また、凝固中に衝撃によって核が消失してしまう恐れがある。
これに対し、本発明では、板状部材9が保持部材7に拘束されていないため、意図せずに板状部材9に力が付与されて変形することが抑制される。このため、誤作動を防止することができる。なお、保持部材7としては、ヤング率が0.01〜10GPa程度とすることが望ましく、さらに望ましくは、ヤング率が0.01〜0.1GPaである。ヤング率が0.01GPa未満では、板状部材9を保持することができない。また、保持部材7として、ヤング率が0.1GPa以下のゴムのような弾性部材で構成すれば、保持部材7と板状部材9が接触しても、その衝撃をさらに緩和することができる。
なお、板状部材9と保持部材7とのクリアランス13をより確実に維持するためには、クリアランス13を維持する機構を形成してもよい。図5は、クリアランス維持機構として、弾性部材15を用いた例を示す図である。
弾性部材15は例えばコイルばねなどのばね部材であり、板状部材9の端部と保持部材7との間に設けられる。このようにすることで、通常時には、確実にクリアランス13が維持され、保持部材7に衝撃等が加わった場合にも、弾性部材15が緩衝部材として機能する。このため、板状部材9に衝撃等が直接加わることがない。なお、弾性部材15は、軟質のゴムなど緩衝材として機能させることができれば、ばね以外の部材であってもよい。
図6はさらに他の形態を示す図である。図6に示す例では、板状部材9の端部には、磁石17a、17bが設けられる。磁石17aは例えばN極が外方に向けられる磁石であり、磁石17bは例えばS極が外方に向けられる磁石である。また、板状部材9と対向する保持部材7の内面にも磁石17a、17bが設けられる。
板状部材9の磁石17bに対向する部位には、磁石17bが設けられ、板状部材9の磁石17aに対向する部位には、磁石17aが設けられる。すなわち、板状部材9の端部と保持部材7の内面とが互いに反発しあう。なお、保持部材7の内面には、板状部材9の全周を囲むように互いに反発しあう磁石を配置する。このため、板状部材9と保持部材7との間のクリアランス13を確実に維持することができる。
本実施の形態によれば、板状部材9と保持部材7との間にクリアランス13が形成され、板状部材9が保持部材7によって完全に拘束されていないため、板状部材9に外部からの衝撃等が直接伝わることがない。このため、板状部材9の意図しない変形による誤作動等を防止することができる。
この際、クリアランス13に流入する蓄熱材11は、緩衝材として機能する。また、さらに、弾性部材15を用いることで、より確実にクリアランス13を維持することができる。また、磁石17a、17bの反発力を利用しても、クリアランス13を維持することができる。
また、押圧部材5が回転体であるため、押圧部材5を動作させる際に、蓄熱材ケース内部における押圧部材5の体積変化がない。例えば、押圧部材5が蓄熱材ケースに対して挿抜可能とし、押圧部材5が蓄熱材ケースの外から押し込まれて板状部材9を押圧するような場合には、押圧部材5を蓄熱材ケース内に押し込むと、蓄熱材ケース内の押圧部材5の体積が増加する。このため、蓄熱材ケース内の蓄熱材11の圧力が変動する。このため、蓄熱材11の相変化の制御が困難となる。また、動作部を押し込む際の抵抗が大きいため、大きな力が必要となる。
これに対し、本実施形態では、押圧部材5を回転体としたことで、押圧部材5を回転動作させても、蓄熱材ケース内での体積変動がなく、圧力変化もない。このため、蓄熱材11の相変化が安定する。また、回転動作には、大きなトルクは不要である。
また、押圧部材5が回転体であるため、一つの押圧部材5の動作によって、複数の板状部材9を同時に変形させることができる。
また、押圧部材5の押圧部が湾曲しているため、押圧部材5の回転角度に対して、板状部材9の押圧量を線形とすることができる。このため、板状部材9を一定の力で押圧することができる。
なお、前述した体積変化の影響が小さいような場合には、押圧部材5は必ずしも回転体ではなく、従来の挿抜可能な移動部材を用いてもよい。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………発核装置
5………押圧部材
7………保持部材
9………板状部材
11………蓄熱材
13………クリアランス
15………弾性部材
17a、17b………磁石

Claims (4)

  1. 蓄熱材の発核装置であって、
    板状部材と、
    前記板状部材を保持する保持部材と、
    前記板状部材を変形さる押圧部材と、
    を具備し、
    前記板状部材は、前記押圧部材によって押圧されることで変形可能であり、
    前記板状部材の端部と前記保持部材との間には、クリアランスが形成され、前記蓄熱材が流入可能であり、前記板状部材の端部が、前記保持部材によって完全に拘束されておらず、前記板状部材は、前記保持部材に対して遊びを有していることを特徴とする発核装置。
  2. 前記押圧部材は、回転体であり、
    前記回転体を回転させることで、前記回転体が前記板状部材と接触し、前記板状部材を変形させることが可能であることを特徴とする請求項1記載の発核装置。
  3. 前記回転体の押圧部が、回転方向に対して湾曲して形成されることを特徴とする請求項2記載の発核装置。
  4. 前記保持部材と前記板状部材の端部とが、磁石によって、前記板状部材の端部と前記保持部材との間のクリアランスが維持されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の発核装置。
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