[0006] 本発明の第1の態様によれば、測定方法が提供される。この方法は、多数の放射極を用いて、リソグラフィ装置の投影システムのマスク側のマスク上の回折格子を照明することと、投影システムを介して各照明極ごとに少なくとも2つの生成された異なる回折次数を結合することと、投影システムを用いて回折次数をウェーハ上の格子に投影して、回折次数の回折によって1対の組み合わせ回折次数が形成されるようにすることと、組み合わせ回折次数を、投影システムを介して戻し、組み合わせ回折次数の強度を測定するように構成された検出器に結合することと、組み合わせ回折次数の測定された強度を用いてウェーハ格子の位置を測定することと、を備える。
[0007] この方法は、従来技術において既知ではない手法でのウェーハ格子位置の測定を有利に可能とする。これにより、従来技術において既知であるよりも時間効率の高い手法でウェーハテーブルの位置を較正することが可能となり得る。
[0008] 測定方法は、マスク格子によって発生された不要な回折次数を除去することを更に備えてもよい。
[0009] 測定方法は、除去フィルタ(filter)を用いて、各照明極ごとに少なくとも2つの回折次数のみを投影システム内へと伝送することを更に備えてもよい。
[0010] 測定方法は、組み合わせ回折次数のみが検出器に入射するように不要な放射を除去することを更に備えてもよい。
[0011] 不要な回折次数を除去することは、マスク格子の近傍から、マスク格子のフィールド面から離れるように延出するタワーの壁を用いて実行してもよい。
[0012] 測定方法は、タワーの壁の開口を用いて、マスク格子によって発生された所望の回折次数を伝送することを更に備えてもよい。
[0013] 測定方法は、不要な回折次数を除去する一方で、マスク格子の近傍からマスク格子のフィールド面から離れるように延出するタワーの反射性外面を用いて組み合わせ回折次数を検出器へ反射させることを更に備えてもよい。
[0014] タワーの壁の開口とタワーの反射性外面とは光軸に対してオフセットされていてもよい。
[0015] 測定方法は、マスクと投影システムとの間のスクリーンを用いて、マスク格子によって発生された不要な回折次数を除去することを更に備えてもよい。
[0016] 組み合わせ回折次数に対応したスクリーン上のロケーションに入射する放射の強度が測定されてもよい。
[0017] 照明放射極が光軸に対してオフセットされていてもよい。
[0018] ウェーハ格子は1次元であって、リソグラフィ装置のスキャン方向に対して実質的に平行な方向に延出してもよく、その方向におけるウェーハ位置の測定値は2つの放射極を用いて取得されてもよい。
[0019] ウェーハ格子は1次元であって、リソグラフィ装置のスキャン方向に対して実質的に垂直な方向に延出してもよく、その方向におけるウェーハ位置の測定値は2つの放射極を用いて取得されてもよい。
[0020] 格子の方向と同じ方向に離間させた2つの検出器を用いて組み合わせ次数の強度を測定してもよい。
[0021] マスク格子は2次元であってもよい。
[0022] マスク格子はリソグラフィ装置のスキャン方向と非平行な方向に延出してもよい。
[0023] 投影システムのウェーハ側の格子は2次元であり、ほぼウェーハ全体にわたって延出してもよい。
[0024] ウェーハ格子はチャネルで分離された正方形を含み、1対1でないデューティサイクルを有してもよい。
[0025] ウェーハ格子の周期はマスク格子の周期に対応してもよい。
[0026] 多数のマスク格子が同時に照明され、生成されて検出器から出力される信号が監視されてもよい。
[0027] マスク格子は、隣接したマスク格子間に約120度の位相分離を与えるように位置決めしてもよい。
[0028] 多数のウェーハ格子位置が同時に測定され、測定されたウェーハ格子位置間の差が決定されてもよい。
[0029] 測定されたウェーハ位置間の差を用いてウェーハ位置決め誤差を示すベクトルのマップを発生させてもよい。
[0030] ウェーハ位置決め誤差を示すベクトルが、3の位置自由度及び3の回転自由度でウェーハの位置を特徴付けてもよい。
[0031] ウェーハ位置決め誤差マップは後に、ウェーハのリソグラフィ露光中にウェーハ位置決め誤差を補正するため用いられてもよい。
[0032] ウェーハ格子位置が測定され、後にウェーハへの特定のパターンのリソグラフィ露光中に用いられるウェーハ位置についてのみウェーハ位置決め誤差が決定されてもよい。
[0033] ウェーハ格子位置が、実質的にウェーハの面内の方向で測定されると共に、実質的にウェーハの面に垂直な方向で測定されてもよい。
[0034] 実質的にウェーハの面に垂直なウェーハ格子位置は、対応する組み合わせ回折次数を検出する検出器から出力される信号間の差を決定することによって取得されてもよい。
[0035] 信号間の差は、同時に異なる検出器から出力される信号について決定されてもよい。
[0036] 信号間の差は、異なる時点で同一の検出器から出力される信号について決定されてもよい。
[0037] 4つの放射極を用いてマスク回折格子を照明し、各々が異なる組み合わせ回折次数の強度を測定する4つの検出器が設けられてもよい。
[0038] 検出器のうち2つを用いて、第1の方向に分離したロケーションで放射強度を測定し、検出器のうち2つを用いて、第1の方向に対して実質的に垂直な第2の方向に分離したロケーションで放射を測定してもよい。
[0039] 本発明の第2の態様によれば、マスクセンサ装置が提供される。この装置は、格子が設けられた基板と、基板から延出し、格子によって発生された不要な回折次数を除去するように位置決めされた壁を有するタワーと、タワーの壁の外面によって反射された回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、を備える。
[0040] タワーは光軸に対してオフセットされた開口を含んでもよい。
[0041] 格子、タワー、及び検出器がモジュールを構成し、複数のモジュールが基板上に設けられてもよい。
[0042] 本発明の第3の態様によれば、マスクセンサ装置が提供される。この装置は、格子が設けられた基板と、基板の面から分離し、格子によって発生された所望の回折次数の伝送を可能とするように位置決めされた開口を含むスクリーンと、スクリーンの基板とは反対の側に入射する放射を受けるように配置され、検出されることが望まれる回折次数に対応したロケーションでスクリーンに入射する回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、を備える。
[0043] 開口は光軸に対してオフセットされたアームを含んでもよい。
[0044] 格子、スクリーン開口、及び検出器がモジュールを構成し、マスクセンサが複数のモジュールを備えてもよい。
[0045] 本発明の第4の態様によれば、回折格子が設けられたウェーハであって、回折格子が2次元であると共にウェーハのほぼ全体にわたって延出する、ウェーハが提供される。
[0046] 回折格子は、1対1でないデューティサイクルを有するチャネルによって分離された正方形を含んでもよい。
[0047] 回折格子は、他のマークが設けられているギャップを含んでもよい。
[0048] 本発明の第5の態様によれば、測定方法が提供される。この方法は、多数の放射極を用いて、リソグラフィツールの投影光学部品の第1の側の回折格子を照明することと、投影光学部品を介して各照明極ごとに少なくとも2つの生成された異なる回折次数を結合することと、投影光学部品を用いて回折次数を物体上の格子に投影して、回折次数の回折によって1対の組み合わせ回折次数が形成されるようにすることと、組み合わせ回折次数を、投影光学部品を介して戻し、組み合わせ回折次数の強度を測定するように構成された検出器に結合することと、組み合わせ回折次数の測定された強度を用いて物体格子の位置を測定することと、を備える。
[0049] 本発明の第6の態様によれば、リソグラフィツールが提供される。このツールは、放射のビームを提供するための照明システムと、放射ビームを回折させるための格子が設けられた基板を備えるマスクセンサ装置を支持する支持構造と、物体を保持するための支持構造と、物体を保持するための支持構造と、回折させた放射ビームを物体に投影するための投影光学部品と、を備え、マスクセンサ装置が更に、タワーであって、基板から延出し、格子によって発生された不要な回折次数を除去するように位置決めされた壁を有するタワーと、タワーの壁の外面によって反射された回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、を備える。
[0050] 本発明の第7の態様によれば、リソグラフィツールが提供される。このツールは、放射のビームを提供するための照明システムと、放射ビームを回折させるための格子が設けられた基板を備えるマスクセンサ装置を支持する支持構造と、物体を保持するための支持構造と、回折させた放射ビームを物体に投影するための投影光学部品と、を備え、マスクセンサ装置が更に、基板の面から分離し、格子によって発生された所望の回折次数の伝送を可能とするように位置決めされた開口を含むスクリーンと、スクリーンの基板とは反対の側に入射する放射を受けるように配置され、検出されることが望まれる回折次数に対応したロケーションでスクリーンに入射する回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、を備える。
[0051] 本発明の第5の態様によれば、測定方法が提供される。この方法は、放射極を用いて、リソグラフィ装置の投影システムのマスク側のマスク上の回折格子を照明することと、投影システムを介して、少なくとも2つの生成された異なる回折次数を結合することと、投影システムを用いて回折次数をウェーハ上の格子に投影して、回折次数の回折によって組み合わせ回折次数が形成されるようにすることと、組み合わせ回折次数を、投影システムを介して戻し、組み合わせ回折次数の強度を測定するように構成された検出器に結合することと、組み合わせ回折次数の測定された強度を用いてウェーハ格子の位置を測定することと、を備える。
[0052] 本発明の第6の態様によれば、リソグラフィ装置が提供される。この装置は、放射のビームを提供するための照明システムと、放射ビームを回折させるための格子が設けられた基板を備えるマスクセンサ装置を支持する支持構造と、基板を保持するための基板テーブルと、回折させた放射ビームを基板のターゲット部分に投影するための投影システムと、を備え、マスクセンサ装置が更に、タワーであって、基板から延出し、格子によって発生された不要な回折次数を除去するように位置決めされた壁を有するタワーと、タワーの壁の外面によって反射された回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、を備える。
[0053] 本発明の第7の態様によれば、リソグラフィ装置が提供される。この装置は、放射のビームを提供するための照明システムと、放射ビームを回折させるための格子が設けられた基板を備えるマスクセンサ装置を支持する支持構造と、基板を保持するための基板テーブルと、回折させた放射ビームを基板のターゲット部分に投影するための投影システムと、を備え、マスクセンサ装置が更に、基板の面から分離し、格子によって発生された所望の回折次数の伝送を可能とするように位置決めされた開口を含むスクリーンと、スクリーンの基板とは反対の側に入射する放射を受けるように配置され、検出されることが望まれる回折次数に対応したロケーションでスクリーンに入射する回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、を備える。
[0055] 図1は、本発明の特定の実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、
− 放射ビームPB(例えば193nmのDUV放射)を調節すると共に所望の照明モードを発生するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
− マスクセンサ装置MSを支持し、このマスクセンサ装置をアイテムPLに対して正確に位置決めするための第1の位置決めデバイスPMに接続された支持構造MTと、
− アイテムPLに対してウェーハを正確に位置決めするための第2の位置決めデバイスPWに接続された、ウェーハWを保持するためのウェーハテーブルWTと、
− マスクセンサ装置MSによって放射ビームPBに与えられたパターンをウェーハWに結像するように構成された投影システム(例えば一連の屈折レンズ)PLと、を備える。
[0056] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えばEUVリソグラフィ装置)。
[0057] イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源からイルミネータILへと渡される。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
[0058] イルミネータILは、ビームの角度強度分布を調節するための調節手段を備えていてもよい。調節手段を用いて、イルミネータの瞳面における放射ビームの外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調節することができる。また、調節手段を用いて、双極子モード、四極子モード、又は他のモード等の照明モードを選択することができる。イルミネータILは、所望の照明モードを有する放射PBの調節されたビームを与える。
[0059] 放射ビームBは、支持構造MTによって保持されたマスクセンサ装置MSに入射する。マスクセンサ装置は、放射ビームを回折させる回折格子MGを備えている。回折された放射ビームは投影システムPLを通過し、投影システムPLはビームをウェーハW上に結像し、これによってマスク回折格子MGの像を形成する。ウェーハには、回折格子WGのアレイ(そのうち2つのみを概略的に図示する)、又は、ウェーハのほぼ全体にわたって延出する単一の回折格子が設けられている。2次元格子板(図示せず)を用いて、第2の位置決めデバイスPWの位置を監視する。代替的な構成では、干渉計(図示せず)を用いて第2の位置決めデバイスPWの位置を監視することができる。第2の位置決めデバイスPWを用いて、マスク回折格子MGの像に対してウェーハ回折格子WGを位置決めするように、ウェーハテーブルWTを移動させる。ウェーハ回折格子WGは入射する放射を回折させる。この回折された放射の一部分は、投影システムPLを介して戻り、マスクセンサ装置MSの一部を形成する検出器D1、D2に入射する。検出器D1、D2は、ウェーハ回折格子WGのX方向及びZ方向の位置を測定するために使用可能な出力信号を与える。以下で更に説明するように、3つ以上の検出器を設けてもよい。コントローラCTは、基板テーブルWTの移動を制御する。また、コントローラCTは、検出器D1、D2から出力された信号を受信し、これらを、2次元格子板(又は干渉計)によって測定される基板テーブルWTの位置の関数として記録することができる。検出器D1、D2から出力される信号は、例えば無線でコントローラCTに伝達することができる。あるいは、検出器D1、D2から出力される信号は、マスクセンサ装置MSの一部を形成するメモリに保持し、マスクセンサ装置MSがリソグラフィ装置から取り出された(又はリソグラフィ装置の他の何らかの部分に移送された)後に、メモリから検索することができる。ある実施形態では、以下で更に説明するように、光ファイバを位置D1、D2に配置し、入射する放射を遠隔配置された検出器に結合するため用いることができる。検出器D1、D2から出力された信号を用いて、ウェーハWの位置を測定し、これによって第2の位置決めデバイスPWの較正に備えることができる。検出器から出力された信号を使用してウェーハWの位置を計算するため、プロセッサを用いることができる。プロセッサは、例えばコントローラCTの一部を形成してもよい。
[0060] 図2は、どのようにマスクセンサ装置を用いて組み合わせ回折次数を発生できるかの例を概略的に示す。組み合わせ回折次数は、検出器D1によって測定された場合、ウェーハ回折格子WGの位置を決定するために使用可能である。マスクセンサ装置MSはマスク基板Sを備え、この基板上に、回折格子MG、検出器D1、及び1対の壁8、9が設けられている。マスクセンサ装置MSは、リソグラフィ装置の投影システムPLのマスク側(すなわち、リソグラフィ装置の通常動作中にマスクが配置される場所)に配置されている。マスク回折格子MGに放射ビームPBが入射する。放射ビームは放射源SO(図1を参照のこと)によって発生される。従って放射ビームは、リソグラフィ装置によって製造中のウェーハを露光するために用いられる波長(例えば193nm)に対応した波長を有する化学線放射である。放射ビームは双極子(又は四極子)モードであるが、簡略化のため図2にはそのうち1つの極のみを示す。マスク回折格子は、放射ビームを回折させて、ゼロ次回折L0及び1次回折L1を形成する。これらの2つの回折次数L0、L1は投影システムPL内を通って伝搬し、投影システムによってウェーハW上に集束される。他の回折次数も発生するが、これらは壁8、9によって阻止される(壁は不要な回折次数を除去するフィルタとして作用する)か、又は投影システムPLの開口数(numerical aperture)の外側にある。ウェーハWには、入射する放射を回折させる回折格子WGが設けられている。いくつかの回折次数が発生され得るが、2つのみの回折次数を図示する。図示する第1の回折次数は、マスク格子MGによって回折されたゼロ次放射から発生されたウェーハ格子WGの2次回折である。これは記号L0,2によって識別されている。図示する第2の回折次数は、マスク回折格子MGによって回折された1次放射から発生されたウェーハ格子WGの1次回折である。これは記号L1,1によって識別されている。これら2つの回折次数L0,2、L1,1は、共に伝搬する(それらは同一線上にある)。2つの回折次数L0,2、L1,1は、組み合わせ回折次数(又は組み合わせ次数)と称することができる。組み合わせ次数L0,2、L1,1は、投影システムPL内を戻って伝搬する。次いで組み合わせ次数L0,2、L1,1は、壁9の反射面M1に入射し、この反射面M1は組み合わせ次数を検出器D1へ誘導する。検出器D1は強度検出器であり、組み合わせ次数L0,2、L1,1の強度を測定する。他の回折次数(組み合わせ次数を含めて)も、投影システムPL内を戻って伝搬し得るが、これらの他の次数は壁9の反射面M1に入射せず、従って検出器D1に入射しない。壁9はこのようにフィルタとして作用し、この場合は組み合わせ次数L0,2、L1,1を選択すると共に他の回折次数を排除する。従って壁8、9は、2度フィルタとして作用する。1度目はマスク格子MGから回折された放射のためであり、もう1度目はウェーハ格子WGから回折された放射のためである。
[0061] 組み合わせ次数L0,2、L1,1の強度は、ウェーハ格子WGと、入射回折次数L0及びL1によって形成されたマスク格子MGの空間像との相対的な整合に依存する。マスク格子空間像の明るい線と、ウェーハ格子の反射部分との整合は、検出器D1において大きい強度を発生させる。逆に、マスク格子空間像の暗い線と、ウェーハ格子の反射部分との整合は、検出器D1において小さい強度を発生させる。このため、ウェーハ格子WG(及びウェーハ)をX方向に移動させると、マスク格子空間像の明るい線とウェーハ格子の反射部分との相対的な整合が変化し、組み合わせ次数の強度が正弦波状に変動する。ここでは格子の線に言及しているが、線から形成されていない格子(例えばチェッカーボード型の格子のような2方向に延出する格子)にも同じことが当てはまる。
[0062] マスク格子の空間像は、投影システムPLの光軸に対して対称でない2つの回折次数L0、L1によって形成されるので、空間像は光軸に対して傾斜している。空間像の傾斜角は、2つの入射回折次数L0、L1を二等分し、図2でθとして表されている。マスク格子空間像の傾斜角θのため、空間像の明るい線とウェーハ格子の反射部分との整合は、ウェーハ格子のZ方向の位置(すなわち、投影システムの焦点面に対するウェーハ格子の位置)の関数として変動する。繰り返すが、ここでは格子の線に言及しているが、線から形成されていない格子にも同じことが当てはまる。
[0063] 以下で更に説明するように、多数の検出器を用いる場合、Z方向の移動は、X方向の移動によって発生される信号とは異なる信号を検出器において発生する。これにより、Z方向の測定とX方向の測定とを区別することが可能となる。
[0064] 図3に、マスクセンサ装置MSの変更された構成を概略的に示す。図3のマスクセンサ装置MSは、図2のマスクセンサ装置とは異なる回折次数を伝送すると共に検出するように構成されている。図2に示す実施形態と同様、図3に示すマスクセンサ装置MSは、マスク基板S及び回折格子MGを備えている。図3では、入射放射の単一の極及び単一の検出器を示すのではなく、2つの入射極L、R、及び2つの検出器D1、D2を示す。図3には、上から見たマスク回折格子MGの拡大図が含まれている。壁18、19は、マスク基板Sの下方に延出し、マスク基板Sとの間で放射を通過させることができる開口10、11を含む。図3の概略的な性質のため、及び図示の簡略化のため、壁18、19をマスク基板Sに接続する方法は図示していない(これについては以下で更に説明する)。マスクセンサ装置MSには追加のコンポーネントが設けられ得るが、ここでは簡略化のため省略する。
[0065] マスクセンサMSは、図3では第1及び第2の極L、Rによって概略的に表される双極子モードを含む放射ビームを用いて照明される。双極子モードは、約2/3のσ−inner及び約3/3のσ−outerを有し得る。換言すると、双極子モードは、投影システムの開口数の外側3分の1を占有する(これは比較的大きいシグマであると見なされ得る)。マスク回折格子MGは、この入射放射を複数の回折次数に回折させる。これは図2において、双極子の左側の極Lから発生されるゼロ次L0、1次L1、及び2次L2、並びに双極子の右側の極Rから発生されるゼロ次R0、1次R1、及び2次R2として概略的に示されている。壁18、19は、外面は反射性であるが、内面は放射を阻止するように作用する。このため、2次回折L2、R2は壁18、19によって阻止される(壁18、19は2次回折を除去する)。いずれにせよ、2次回折L2、R2は、マスク回折格子MGの1対1のデューティサイクルのために比較的小さい振幅を有する。ミラーM1、M2の阻止効果のため、ゼロ次L0、R0及び1次L1、R1のみがリソグラフィ装置の投影システムPL(図示せず)に入射し、ウェーハ上に結像される。これよりも高次(すなわち3次以上の次数)は、投影レンズの開口数の外側にある。
[0066] 図4は、マスク格子によって回折された放射が投影システムを通過した後に入射するウェーハWを概略的に示す。また、図4は、ウェーハ上に設けられた回折格子WGによって回折された放射も示す。ウェーハ格子WGは透過性でなく反射性であるが、説明を容易にするため、ウェーハ格子から反射された放射をウェーハWの下側に示す。ウェーハ格子WGは反射性であるので、入射放射は、ウェーハ格子によって回折されることに加えて反射される。
[0067] 図4には、上から見たウェーハ格子WGの拡大図が含まれている。ウェーハ格子WGは対称的であり、マスク格子MGの周期の2倍の周期を有する(投影システムPLの縮小率の影響は無視する)。入射放射は、ゼロ次及び1次の放射R0、R1、L0、L1を含む。ウェーハ格子WGは入射放射をいくつかの回折次数に回折させるが、図4にはその一部のみを示す。まず、ゼロ次の入射放射L0について検討すると、この放射から発生された最初の2つの回折次数が図示されている。これらはゼロ次L0,0及び1次L0,1である。2次は、ウェーハ格子WGの1対1のデューティサイクルのために強度が小さく、図示していない。ウェーハ格子WGの周期はマスク格子MGの周期の2倍であるので、回折次数間の角度分離はマスク格子で観察されるものの半分である。
[0068] 次に1次の入射放射L1について検討すると、これはゼロ次L1,0及び1次L1,−1として回折されている。2次回折も生じるが、ウェーハ格子WGの1対1のデューティサイクルのために強度が小さいので、ここでは図示しない。回折次数間の角度分離はマスクで観察されるものの半分であるので、ゼロ次の入射放射L0から発生された1次回折L0,1、及び1次の入射放射L1から発生された1次回折L1,−1は、相互に重複する。1次回折L0,1及びL1,−1は、同一の放射源SOから発し、回折限界の投影システムPL(図1を参照のこと)によって結像されるので、相互にコヒーレントである。このため、1次回折L0,1とL1,−1との重複は干渉を発生させる。この干渉は縞の陰影によって概略的に示されている。1次回折L0,1とL1,−1との間の干渉の位相は、ウェーハ格子WGの位置に応じて変動する。これについては以下で更に述べる。回折次数L0,1及びL1,−1を、ひとまとめにして組み合わせ回折次数(又は組み合わせ次数)と称する。
[0069] 他の入射放射R0、R1も同様に回折される。このため、ゼロ次の入射放射R0は、R0,0及び1次R0,1として回折される。1次の入射放射R1は、ゼロ次R1,0及び1次R1,−1として回折される。1次回折R0,1及びR1,−1は相互に重複し、従って相互に干渉する。この干渉は縞の陰影によって概略的に示されている。1次回折R0,1とR1,−1との間の干渉の位相は、ウェーハ格子WGの位置に応じて変動する。回折次数R0,1及びR1,−1を、ひとまとめにして組み合わせ回折次数(又は組み合わせ次数)と称する。
図5は、組み合わせ次数L0,1及びL1,−1の第1の検出器D1による検出、並びに組み合わせ次数R0,1及びR1,−1の第2の検出器D2による検出を概略的に示す。概略的に示すように、壁18、19は、これらの組み合わせ次数のみを検出器D1、D2へ反射するように作用する。反射性の壁18、19は、他の回折次数L0,0、L1,0、R1,0、及びR0,0を検出器D1、D2に反射させず、これらを反射なしで通過させるような大きさ及び位置となっている。このため、組み合わせ次数L0,1、L1,−1、R0,1、R1,−1のみが検出器D1、D2に入射する(他の次数は反射性の壁18、19により除去される)。投影システムがすでに放射の集束を行っているので、放射を検出器D1、D2に集束するために光学部品は必要ない。ウェーハ格子WGで生じる反射のため、各組み合わせ次数は、その組み合わせ次数を発生させた入射放射の極と同じ側で検出される。従って、左側の極Lは、左側の検出器D1によって検出される組み合わせ次数L0,1、L1,−1を発生し、右側の極Rは、右側の検出器によって検出される組み合わせ次数R0,1、R1,−1を発生する。
[0070] 検出器D1、D2は、入射放射の強度を検出するように構成されている(検出器が結像検出器である必要はない)。組み合わせ次数L0、L1、R0、R1における干渉の位相はウェーハ格子WGの位置の関数として変化するので、検出器D1、D2から出力される強度信号を用いて、ウェーハ格子の位置を測定することができる。
[0071] ウェーハWを移動させると、組み合わせ次数L0,1及びL1,−1における干渉の位相が変化し、更に、組み合わせ次数R0,1及びR1,−1における干渉の位相が変化する。以下で更に説明するように、X方向の移動は、組み合わせ次数における干渉の位相を同じ符号で変化させ、Z方向の移動は、組み合わせ次数における干渉の位相を逆の符号で変化させる。
[0072] この効果について検討する別の方法は、ウェーハ格子WGとマスク格子MGの空間像との相対的な整合を参照することである。ウェーハ格子をX方向に移動させると、ウェーハ格子とマスク格子の空間像との相対的な整合は、双方の検出器D1、D2で同じように変化する。しかしながら、各極L、Rによって発生したマスク格子MGの空間像は光軸に対して傾斜しており、左の極Lによって発生した空間像の傾斜は、右の極Rによって発生した空間像の傾斜とは逆の符号を有する。この結果、ウェーハ格子をZ方向に移動させると、ウェーハ格子とマスク格子空間像との相対的な整合は、逆の符号で変化する。
[0073] 図6及び図7は、図3から図5に示す装置及び方法のシミュレーションの結果を示す。図6は、シミュレーションで用いたマスク回折格子及びウェーハ回折格子の形態を示す。マスク回折格子は、215nmの周期を有する透過性振幅格子である。これは以下の式に基づいて計算される。
ここで、pは格子の周期であり、λは放射ビームの波長(この場合は193.3nm)であり、NAは投影システムの開口数(この場合は1.35)である。開口数は、投影システムによって捕獲されこの方法によって用いられる回折次数を決定する機構であるので、マスク格子周期の決定に用いられる計算の一部を形成する。マスク格子の周期は、3つの回折次数(すなわち0、1、及び2)は投影システムを通過できるが、これらよりも高次(3、4、等)は投影システムを通過しないように選択される。マスク格子の周期は、ウェーハレベルにおける等価サイズに換算して、すなわち、投影システムによってウェーハ上に結像されたものとして表現される(従来と同様である)。投影システムの縮小率が4xである場合、この例における格子の絶対周期(absolute period)(すなわち、投影システムのマスク側で測定される)は860nmとなる。
[0074] 図6にはウェーハ格子も示されている。これは反射性位相格子であり、430nmの周期、すなわちマスク格子の2倍の周期を有する。反射性位相格子は、(以下で更に説明するように)ウェーハに格子をエッチングすることによって形成される。
[0075] シミュレーションでは、193nmの波長の双極子照明モードをマスク格子に適用し、生じた回折放射をウェーハ格子に適用した。シミュレーションの結果を図7に示す。図7は、瞳面における入射放射と生じた回折放射とを表し、図5に示す出力に対応した出力を発生させることが見てわかる。入射放射L、Rは点線で示されている。まず、左側の入射極Lについて検討すると、マスク格子は、ゼロ次回折L0、1次回折L1、2次回折L2、及び3次回折L3を発生させる。3次回折L3は投影システムの開口数の外側にある(開口数は実線NAで識別されている)。2次回折L2は、壁19(点線で識別されている)によって阻止される。照明モードの右側の極に移ると、4つの回折次数R0〜R3が発生され、2次回折は壁18によって阻止され、3次回折は投影システムの開口数NAの外側にある。
[0076] 図7では、説明を容易にするため、マスク格子の通過時及びウェーハ格子による回折時の回折次数のサイド間のスワッピングが省略されている。左側の極から発生されたゼロ次及び1次の回折は、組み合わせ次数L0,1、L1,−1を形成するように回折される。同様に、右側の極から発生されたゼロ次及び1次の回折は、組み合わせ次数R0,1、R1,−1を形成するようにウェーハ格子によって回折される。壁18、19は、組み合わせ次数L0,1、L1,−1、R0,1、R1,−1に対応する角度範囲を有し、従って、組み合わせ次数を検出器へと反射する(が、他の不要な次数は除去する)。
[0077] 入射放射極L、Rは、放射波長をマスク格子MGの周期で除算したものよりも角度サイズが小さい。この結果、マスク格子MGによって発生する回折次数は部分充填される(underfill)。図7において、組み合わせ次数L0,1、L1,−1,R0,1、R1,−1は部分充填され、従って壁18、19のエッジまで完全には延出していない。これは、壁18、19とマスク格子MGとの間である程度の位置公差を見込んでおきつつ、組み合わせ次数内の放射全体が壁によって検出器に反射されることを保証するので、有利である。これによって、壁18、19からの反射後に組み合わせ次数の強度を正確に検出することができる。壁18、19とマスク格子MGとの間で、回折次数の部分充填によって与えられる公差よりも大きい不整合が発生した場合、これは、検出器から出力された信号における非線形から明白となる。ある程度の位置公差を与えるための部分充填回折次数の原理は、本発明の実施形態の任意のものと関連付けて用いることができる。
[0078] 図7に示すシミュレーション出力は、マスク格子に対してウェーハ格子のX方向の位置を「位相ステップさせる(phase stepping)」ことで発生させた。「位相ステップ」という言葉が意図するのは、組み合わせ次数における放射強度の位相の小さい変化を測定できるように、充分に小さいX方向の移動を行うという意味である(この文脈において、小さい位相変化とは、位相周期よりも著しく小さい位相変化を意味するものと解釈され得る)。ウェーハ格子の1周期の間に、各位相ステップで測定値を取得した。図6に、個々の測定位置を十字形で示す。シミュレーションでは、ウェーハ格子の1周期内で全ての位相ステップ測定値を取得した。しかしながら、実際には必ずしもそうでない場合がある。多数の周期にわたって位相ステップ測定値を取得することも可能である(例えば、(0.1+k)pのステップサイズで10ステップ。ここで、kは任意の整数に等しく、pはウェーハ格子の周期である)。換言すると、単一の格子周期で全ての測定を実行することは必須ではない。その代わり、複数の格子周期にわたって測定を分散させることも可能である(格子周期ごとに1つ以上の測定を実行する)。
[0079] 図8は、マスク格子及びウェーハ格子のX方向の相対位相の関数として、シミュレーションした組み合わせ次数の強度を示す。ウェーハ格子を公称初期位置から繰り返し移動させ、生じた組み合わせ次数の強度をシミュレーションにより決定した。ウェーハにおけるマスク格子の像は、像の形成に2つのみの回折次数(ゼロ次及び1次)を用いるので、正弦波変調を有する。このため、マスク格子空間像の下でウェーハ格子を移動させると、正弦波変調が観察される。変調の位相は、ウェーハのX及びZ位置(従ってウェーハを支持するウェーハテーブルのX及びZ位置)に関連する。図8には3つの異なる正弦波が示されている。第1の正弦波20は、図6に示す相対位置を有するマスク格子及びウェーハ格子によって発生し、第2の正弦波21は、ウェーハ格子の開始位置をX方向に43mm変位させて発生し、第3の正弦波22は、ウェーハ格子の開始位置を−X方向に43mm変位させて発生した。
[0080] 正弦波20〜22の周期は、ウェーハ格子の周期の半分である(周期は215nmである)。第1の組み合わせ次数(すなわち第1の検出器D1で観察される信号)は、第2の組み合わせ次数(すなわち第2の検出器D2で観察される信号)と同じ符号で変動する。これは、ウェーハ格子の各公称初期位置で1つのみの正弦波が見られることから、図8において明らかである。このため、ウェーハ格子のX方向の位置を変化させると、双方の検出器D1、D2は、同じ符号で変動する位相変化を検出する。これは、検出器D1、D2における信号の強度が、結像したマスク格子の明るい線とウェーハ格子の反射部分との重複の程度(異なる検出器間で変動しない)に依存するからである。
[0081] 図9は、投影システムの焦点面の外にウェーハ格子を移動させることの効果を示す。第1の正弦波24は、ウェーハ格子が投影システムの焦点面内にある場合にウェーハ格子をX方向に位相ステップさせることで発生される。図からわかるように、第1の正弦波24は、図8に示した第1の正弦波に対応する(検出器D1、D2は双方とも同じ信号を受信する)。ウェーハ格子を投影システムの焦点面よりも39nm下方に位置付けると、1対の正弦波25a、25bが観察される。この場合、第1の組み合わせ次数(第1の検出器D1によって観察される)は第1の正弦波25aであり、第2の組み合わせ次数(第2の検出器D2によって観察される)は第2の正弦波25bである。図に見られるように、第1及び第2の正弦波25a、25bは、格子が焦点面内にある場合に発生した正弦波24の各側に等しい量ずつ離間している。このように、ウェーハを焦点面の外に移動させると、各組み合わせ次数について逆の符号を有する位相オフセットが発生する。観察される位相オフセットは、組み合わせ次数L0,1、L1,−1,R0,1、R1,−1の構成部分間の干渉から生じる。この干渉は、組み合わせ次数を形成する入射放射L0、L1、R0、R1が異なる入射角を有する(Z方向にマスク格子空間像の異なる傾斜角を生じる)ために発生する。各組み合わせ次数について位相の符号が逆であるのは、放射が逆方向から入射する(従って傾斜角が逆の符号を有する)ためである。
[0082] 焦点面よりも77nm下方にウェーハ格子を変位させた場合の第2の対の正弦波26a、26bも示されている。この対の正弦波26a、26bも焦点面正弦波24の各側で等しく離間し、再び、組み合わせ次数が符号の異なる位相オフセットを有することが示される。観察される位相差は、適用されたデフォーカスに比例している(すなわち、投影システムの焦点面からの距離に比例している)。
[0083] 図8及び図9から認められるように、X方向のオフセットは検出器D1、D2において同相の信号を生じるのに対し、Z方向の変位は逆相の信号を生じるので、X方向のオフセットをZ方向の変位から区別することができる。Z方向の変位の測定に用いられる差は、同時に2つの検出器D1、D2から出力される2つの信号の減算を行うことで決定され得る。あるいは、Z方向の変位の測定に用いられる差は、異なる時点で単一の検出器D1又はD2から出力される2つの信号の減算を行うことで決定され得る。
[0084] ある実施形態では、マスク基板Sに、Y方向に延出する第2のマスク格子を設けることができ、更に、第2の対の検出器及びこれらに関連付けたミラーを設けることができる。Y方向に延出する格子をウェーハ上に設けてもよい。これにより、X方向の位置に加えてY方向の位置を測定することができる。
[0085] Y方向の位置を測定する場合、Y方向の成分を含むウェーハの移動が必要となる。これは、Y方向だけのウェーハ移動とすることができる。あるいはこれは、Y方向成分を含む他のいずれかの方向のウェーハ移動としてもよいが、この場合、検出される位相は、Y方向の移動の投影に比例して変動する。この移動はZ方向に直交してもよい。同様に、X方向の位置を測定する場合、X方向の成分を含むウェーハの移動が必要となる。この移動はZ方向に直交してもよい。
[0086] Z方向の移動を用いて、位置検知を可能とする信号を検出器において発生することができる。しかしながら、そのような移動ではウェーハ表面全体の位置を測定できず、従って好適ではない。
[0087] 代替的な実施形態では、以下で述べるように、マスクセンサ装置に、2次元格子と、X方向及びY方向に対して45度の向きに配置した検出器と、を設けることができる(Y方向がリソグラフィ装置のスキャン移動方向である場合)。これによって、X、Y、及びZ方向のウェーハ格子位置の同時測定値が得られる。一般的に、X方向の成分及びY方向の成分を含む任意の移動を用いて、X、Y、及びZ位置の格子位置の測定値を得ることができる。
[0088] 図10の左側はマスクセンサ装置を概略的に示す。これは、単一のマスク格子及び関連付けられた検出器を備えるのではなく、複数のマスク格子及び関連付けられた検出器を備え(MS1〜MS7)、それらの各々をモジュールと称することができる。マスクセンサ装置は下から見た図であり、7つのモジュールMS1〜MS7が設けられたマスク基板S(例えば石英から形成される)を備えている。5つのモジュールMS1〜MS5はマスク基板Sの中央部に設けられ、その他のモジュールMS6、MS7はマスク基板Sの縁部に設けられている。使用中、所与の時点で、7つのモジュールMS1〜MS7の各々は、同一のウェーハ格子のX、Y、及びZ位置を測定する。ウェーハ格子は、X及びY方向で充分な距離にわたって延出しているので、各モジュールMS1〜MS7から形成されたマスク格子空間像はそのウェーハ格子に入射する。ウェーハ格子は、例えばウェーハのほぼ全体にわたって延出し得る。(上述のような)位相ステップで投影システムに対してウェーハを移動させることで、様々なウェーハ位置で各モジュールMS1〜MS7がウェーハ格子のX、Y、及びZ位置を測定するようになっている。これにより与えられた複数の測定値は、ウェーハ上の所望のロケーションからのウェーハ格子の偏差(deviation)とウェーハの位置決めにおける誤差とを識別するために使用できる。
[0089] ウェーハ上の所望のロケーションからのウェーハ格子の偏差とウェーハの位置決めにおける誤差との間の区別は、モジュールによって測定された位置とこれらの測定位置間の分離との双方を監視することにより達成できる。例えばY方向について検討すると、1回の測定サイクル中に、3つのモジュールMS1、MS2、MS4がウェーハ格子の位置を測定する。これらの位置をP1、P2、及びP3と称することができる。コントローラCT(図1を参照のこと)又は他の何らかのプロセッサは、これらの測定位置間の分離を測定する。測定された分離をΔP1、2及びΔP2、3と称することができる。測定位置P1〜P3とは異なり、測定分離ΔP1、2及びΔP2、3は、ウェーハの位置決めにおける誤差とは無関係である(それらが絶対位置測定値とは異なる測定値であるためである)。同様に、X方向について検討し、ウェーハ格子位置の測定及び分離の測定を行う。
[0090] 分離測定値を用いて、ウェーハ表面全体にわたって所望のロケーションからのウェーハ格子の偏差をマッピングするウェーハ格子のマップを生成する。このマップは、ウェーハ表面全体にわたるウェーハ格子偏差の方向及び振幅を示すベクトルを含み得る。
[0091] いったんウェーハ格子偏差のマップが求められたら、モジュールMS1〜MS7を用いて測定した位置からウェーハ格子偏差を減算することができる。これにより、測定位置からウェーハ格子偏差の効果が取り除かれるので、得られた測定位置はウェーハの位置決めにおける誤差だけに依存している。このように、ウェーハ位置決め誤差のマップが得られる。このマップは、位置決め誤差(ウェーハ書き込み誤差と称することもできる)の方向及び振幅を示すベクトルの形態とすることができる。各ウェーハ位置(x、y)で、ベクトルは3つの特性dX(x,y)、dY(x,y)、dZ(x,y)を有し、従って3方向のベクトルである。
[0092] 上記のように、2つのモジュールMS6、MS7はマスクセンサ装置のマスク基板Sの縁部に設けられている。これらのモジュールMS6、MS7にこのように比較的大きい分離を与えると、ウェーハ格子高さの低周波数の変化の検出が向上するので有利である。すなわち、そのような低周波数の変化(例えば数mm又は数cmで起こる変化)で与えられる信号対雑音比が向上する。モジュールMS6、MS7はマスク基板の縁部に設けられるものとして図示するが、これらは、例えばマスク基板の縁部に又は縁部に隣接して設ければよい。一般に、モジュールMS6、MS7間の分離が大きくなればなるほど、ウェーハ格子高の低周波数の変化に対する感度が良くなる。ウェーハ格子高の低周波数の変化は、Y方向に関するウェーハ格子の傾きと同等であると考えられ得る。
[0093] また、2つのモジュールMS6、MS7をマスク基板Sの縁部に又は縁部に隣接して設けると、Z方向を中心とするウェーハ格子の回転及びX方向のウェーハ格子の膨張(又は収縮)に対するマスクセンサ装置の信号対雑音の感度も向上する。
[0094] モジュールMS1〜MS7は、これら全てが同一の(相対)位相を測定するように位置決めすることができる。すなわち、所与の測定サイクル(すなわち各モジュールによる1回の測定)について、もしもウェーハ格子の偏差が存在せず、ウェーハの位置決めの誤差も存在しないならば、各モジュールは同一の出力を発生する。一般に、正弦波の振幅及び位相を決定するためには、正弦波の3回の測定が必要である。モジュールMS1〜MS7は正弦波信号を測定しているので(図8及び図9に関連付けて説明したように)、測定した正弦波を特徴付けるためには3回以上の測定が必要である。
[0095] 代替的な実施形態では、3つのモジュール(例えばMS1、MS3、MS5、又はMS1、MS2、MS4)は、位相が120度ずれた測定を実行するように位置決めすることができる。すなわち、もしもウェーハ格子の偏差が存在せず、ウェーハの位置決めの誤差も存在しないならば、それらのモジュールは相互に位相が120度ずれた出力を発生するように位置決めされている。そのような実施形態では、1回の測定サイクル(すなわち各モジュールによる1回の測定)が、測定された正弦波を特徴付けるために充分な情報を提供する。従って、1回の測定サイクルが、X、Y、及びZ方向におけるウェーハ格子の測定値を与える。
[0096] 図10の右側に、マスクセンサ装置の代替的な実施形態が示されている。この代替的な実施形態では、3つのモジュールMS1A〜MS3Aが、マスク基板Sの中央部に配置され、Y方向(すなわちリソグラフィ装置のスキャン方向)で相互に分離されている。各隣接モジュールMS1A〜MS3A間の分離は、120度の相対位相オフセットに対応し得る。マスク基板Sの1つの縁部に沿って又は隣接して3つのモジュールMS4A〜MS6Aが配置され、マスク基板の反対側の縁部に沿って又は隣接して3つのモジュールMS7A〜MS9Aが配置されている。いずれの場合でも、各隣接モジュールMS4A〜MS6A、MS7A〜MS9A間の分離は120度の相対位相オフセットに対応し得る。図10の右側に示す実施形態は、3自由度X、Y、Zのウェーハ格子位置の測定と、3自由度Rx、Ry、及びRzのウェーハ格子回転の測定とを、1回の測定サイクルで実行することを可能とする。
[0097] 一般的に言うと、振動信号(図8及び図9に示す信号等)の位相を決定するためには、様々なウェーハとマスクとの整合を用いた多数の強度測定が必要である。振動信号に対して、オフセット、変調、及び位相という3つのパラメータを適合させる。(例えば120度分離させて)3回の強度測定が必要となるのは、この理由のためである。
[0098] 強度測定は、順次(同一の検出器で経時的に)又は並行して(一度に多数の検出器で)実行し得る。後者の場合、複数の検出器が必要となる。ウェーハテーブルは6自由度を有し(X、Y、Z、Rx、Ry、及びRz)、各自由度で少なくとも3回の測定が必要である。従って、少なくとも18の未知数がある。各モジュールは3つの独立した強度信号を提供する(第4の信号は冗長である)。このため、ウェーハテーブルの全ての自由度を同時に測定するためには、少なくとも6のモジュールが必要となり得る。
[0099] 図11は、より詳細な1つのマスク格子及び検出器モジュールを概略的に示す。図10から、マスク格子MGがX軸及びY軸に対して45度の向きに配置され、同様に検出器D1〜D4もX軸及びY軸に対して45度の向きに配置されていることがわかる。以下で更に説明するように、マスク格子MG及び検出器D1〜D4をこのような向きに配置すると、ウェーハの位相ステッピング中にウェーハ格子のX位置及びY位置の双方を測定することが可能となる。
[00100] マスクセンサ装置の各モジュールは、マスク基板Sから下向きに延出するタワー30を更に備えている。タワーは4つの壁を備え、その1つ31を一方側から見たものを図11に示す。壁31には開口32が設けられ、これは、マスク格子MGによって回折されて伝搬する所定の角度範囲の放射を伝送できるような寸法である。壁31は、開口32の下に、使用中に組み合わせ回折次数を反射する反射面33を有する。図3及び図5とともに図11を参照すると、一実施形態において、開口32は、入射したゼロ次回折L0(又はR0)の伝送を可能とし、反射面33は、組み合わせ次数L0,1、L1,−1(又はR0,1、R1,−1)を反射し得ることがわかる。また、壁31は、入射した2次回折L2(又はR2)の伝送を阻止することもできる。
[00101] 開口32の適切な寸法及び位置決めは、三角法を用いて選択することができる。タワー30は、マスク基板Sから下方に、例えば6mm延出し得る(この深さはリソグラフィ装置において通常の使用中にペリクルを収容するため提供され得る)。図3に関連付けて上述したように、タワー30は、マスク格子MGによって発生した2次回折を阻止するように構成されている。この実施形態における2次回折に対応した角度範囲は、投影システムの開口数Nの1/3から2/3の間である。この実施形態では、投影システムの開口数は1.35/4である(4で除算するのは、投影システムの縮小率を考慮に入れるためである)。従って、阻止される角度範囲は以下のように算出される。
タワーの高さは6000μmであるので、マスク格子の中央部からのタワー壁の横方向分離dは以下のように算出される。
図5を参照してわかるように、タワー30は、検出器に入射するべき組み合わせ次数を反射するように構成されている。組み合わせ次数は、上記のものと同じ角度範囲、すなわち6.46度<θ<13度を有する。検出器に入射するべきでない回折次数を除去するためには、タワーの壁が他の角度を反射することなく上記の角度範囲を反射することが望ましい。従って開口32は、θ=13度に対応する位置h(マスク基板から測定される)で開始すればよい。これは以下のように算出される。
開口の上端をマスク基板から1895μmに位置決めすることで、θ>19.7度で回折された放射を阻止できる。
[00102] 再び図2を参照すると、使用中、マスクセンサ装置MSを放射ビームPBで照明し、次いで投影システムPLの下方のウェーハ格子WGが設けられたウェーハWを移動させる。ウェーハは例えば、ウェーハのほぼ全体にわたってウェーハ格子の位置の測定を可能とするルートに追従することができる。そのようなルートの一例を図12に概略的に示す。図12において、ウェーハWの移動を矢印40で示す。見てわかるように、この移動は、X方向で相互に分離した一連のY方向の線形移動を含む。ウェーハを放射ビームで照明していない時にX方向で方向及び位置を変化させるので、ウェーハを放射ビームで照明している時はY方向の移動のみを行う。ウェーハを漸進的に(incrementally)移動させ、各移動の後に測定を実行することができる(これらの移動を位相ステップと称することができる)。この移動及び測定は、放射ビームを形成するレーザパルスと同期させることができる。あるいは、ウェーハを連続スキャン動作で移動させ、位相測定値を取得できる充分に速い速度で検出器の出力をサンプリングしてもよい。
[00103] 代替的な実施形態では、レーザパルスと同期させた測定を実行する代わりに、検出器から測定値を連続的に取得し、電子機器を用いてサンプリングして個別の「測定ビン」に分けることができる。このサンプリングを行う速度は、制御電子機器によって決定すればよく、レーザパルスの周波数とは無関係としてもよい。このため、得られた信用できる(discreet)測定値において、各測定値は、(レーザがオンである場合に生じた信用できる測定値についての)有限強度測定値であるか、又は(レーザがオフである場合に生じた信用できる測定値についての)ゼロ強度である。この構成を用いる利点は、レーザパルスごとに1回の測定を実行する場合に比べ、単一のレーザパルス中に複数の信用できる測定値をサンプリングすることで、得られる情報が多くなり得ることである。これによって、他の場合に可能であるよりも迅速にウェーハテーブルを移動させることができる。別の利点は、同期を達成するためにレーザ電子機器を測定電子機器にリンクさせる必要がないことである。
[00104] 一実施形態では、隣接した測定間の分離は1とすることができる(すなわち、測定は1mmおきに実行する)。隣接したスキャン間のX方向の分離も、例えば1mmとすればよい。X方向及びY方向の他の分離も使用可能であり、これは、所望のウェーハ位置決め誤差マップの細かさ又は粗さに応じて決めればよい。
[00105] 一実施形態では、測定を1mmおきに(又は他の何らかの比較的細かく離間した分離で)実行する代わりに、以降のリソグラフィ装置の使用中の露光位置に対応した位置でのみ測定を実行することも可能である。例えば、リソグラフィ装置を用いて26mm×33mmのダイを露光する場合、後でダイ露光中に用いられる位置に対応した位置でのみ測定を実行すればよい。この例では、隣接したスキャン間でX方向の26mmの分離を用いることができる。この手法は、後でウェーハ露光中に用いられる位置でのみ位置誤差が測定されるという利点を与える。これは必要な測定数を減らし、従って必要な時間を短縮する。また、それらの位置で露光したダイについて、例えばウェーハの膨張及び回転から生じるフィールド間不整合の測定値を得ることができる。また、もっと高次のフィールド間補正を適用することも可能である。ダイのスキャン露光中に、(本発明の実施形態を用いて得た測定値に基づいて)6自由度のフィールド間補正を適用することができる。
[00106] 図13は、X及びY方向に延出する(従って、チェッカーボードと称される形態を有する)マスク回折格子MGを概略的に示す。図13に示すタイプのマスク回折格子MGを用いる場合、これに対応した形態を有するウェーハ格子(例えばマスク格子の周期の2倍の周期を有する)を使用すればよい。ウェーハ格子はウェーハのほぼ全体にわたって延出し得る。これは、ウェーハ上に(例えばウェーハ格子内に設けられたギャップ内に)存在するアライメントマーク等の他のマークを排除するものではない。マスク回折格子は、矢印で示す方向に回折次数を発生させる。すなわち、X=Y方向に回折が生じ、X=−Y方向に回折が生じる。この実施形態では四極子照明が用いられる(例えば、以下の図14に概略的に示すように)。再び図10を参照すると、マスクセンサ装置MSを用いて、4つの検出器D1〜D4により、マスク格子及びウェーハ格子の相対的な整合とウェーハ格子の焦点面からのZ方向の変位とを同時に測定することができる。これは、検出器D1〜D4の出力を監視しながら図12に示すようにウェーハを移動させることで達成され得る。
[00107] 図14は、直交方向に回折を生じる格子(例えばチェッカボード格子)を用いる場合に発生し得る問題を概略的に示す。図14は、瞳面において回折次数間の不要な混合がどのように発生し得るかを概略的に示す。4つの極51〜54を含む四極子照明モードを用いてマスク格子を照明する。放射は、ゼロ回折次51〜54及び1次回折50として回折される。図に矢印で概略的に示すように、この放射は、マスク格子(チェッカーボード形態を有する)によって直交方向(X=Y及びX=−Y)に回折される。この結果、極50及び53の+/−1次回折が混合して組み合わせ次数57を形成し、極50及び52の+/−1次回折が混合して組み合わせ次数56を形成する等となる(組み合わせ次数55〜58を模様の付いた円形で示す)。しかしながら、これに加えて、いくらかの放射が不要な方向に回折される。例えば矢印59、60で示すように、いくらかの放射が、X=Y方向の1次として、及びX=−Y方向の2次として(逆も同様である)、回折された極53となる。この結果、この極53からの放射は、組み合わせ回折次数56、58と不要に混合する。
[00108] 回折放射の不要な混合は、マスクセンサ装置MSの検出器D1〜D4で検出される信号に望ましくない影響を及ぼす。検出される位相とX及びYの変位との線形の関係は維持されるが、Z方向における位相とレンズ焦点面からの変位との関係はもはや線形でない。この問題に対して様々な解決策が可能である。第1の解決策は、非線形応答を測定し、これによって非線形応答を考慮に入れた信号の較正を得ることである。これを行うには、ウェーハ格子をX方向のみでステッピングし、検出器により出力された信号を測定し、ウェーハ格子をY方向のみでステッピングし、信号を測定し、ウェーハ格子をZ方向のみでステッピングし、信号を測定すればよい。
[00109] 代替的な手法は、直交方向に延出する別々の格子としてウェーハ格子を提供することである。これを行う場合、X方向及びZ方向の位置測定値は、X方向に延出するウェーハ格子を用いて得ることができる。Y及びZ方向の位置測定値は、Y方向に延出するウェーハ格子を用いて別個に得ることができる。この手法を用いる場合、マスク格子は2次元格子とすればよく、マスクセンサ装置は4つの検出器を含み得る。これらの検出器では、図14に示す回折次数間の不要な混合は観察されない。これは、X方向に延出するウェーハ格子を用いた測定中に、Y方向成分による回折次数が観察されないからであり、同様に、Y方向に延出するウェーハ格子を用いた測定中に、X方向成分による回折次数が観察されないからである。
[00110] 別の代替的な手法は、レチクル上で直交方向(例えばX方向及びY方向)に延出する別々の格子と、ウェーハ上で双方の方向(例えばX方向及びY方向)に延出する1つの格子と、を設けることである。ウェーハが1対1のデューティサイクルを有し、レチクル格子の2倍の周期を有するならば、各検出器では2つの干渉次数のみが観察される(例えば図3から図5に示すように)。ウェーハ上でX方向及びY方向の別々の格子を用いることに比べて、この手法の欠点は、X方向のマスク格子に関連付けたマスクセンサ装置が、Yマスク格子に関連付けたマスクセンサ装置とは別々でなければならない(すなわち2つのマスクセンサ装置が必要となる)ことである。
[00111] 別の代替的な解決策について以下に記載する。これは、余分な測定スキャンを必要とせず、非線形応答の較正も必要としないので、好適な解決策であり得る。上記の解決策の2つ以上を組み合わせればよい。
[00112] ある実施形態において、マスクセンサ装置MSは、タワーの開口を横方向にオフセットさせる(すなわち、マスク基板Sの面内でオフセットさせる)ように構成することができる。これに対応して、マスクセンサ装置の照明に用いられる照明モードの極をオフセットさせ得る。これによって、上記の問題を軽減又は完全に回避することが可能となる。図15は、これを達成できる1つの方法を概略的に示す。この図は、瞳面において検出信号の発生に用いられる様々な回折次数を概略的に示す。照明は、オフセット四極子モード放射ビームによって提供される(以下で更に説明する)。極は、約1/3.2から約2/3.2の間のシグマを有する。1つの極がマスク格子によって回折され、ゼロ次R0及び1次R1を形成する。これら2つの次数R0、R1間のウェーハ格子における干渉は、組み合わせ次数R0,2、R1,−1を発生させる。上述の実施形態とは異なり、ウェーハ格子の周期はマスク格子の周期と同一であり、既存の回折次数の間にあるのではなく既存の次数の一方側にある組み合わせ次数を発生させる。記号で示されるように、組み合わせ次数の一方の次数R0,2は、入射したゼロ次放射R0の2次回折である。組み合わせ次数の他方の次数R1,−1は、入射した1次放射R1の1次回折である。組み合わせ次数R0,2、R1,−1の強度は、検出器D1によって検出され、上述したのと同じようにウェーハ格子のX、Y、及びZ位置を測定するために用いられる。このため、検出器は、1次で2度回折された放射を検出し、ゼロ次及び2次で回折された放射を検出する。この回折次数の組み合わせの使用は、組み合わせ次数を形成する双方の次数の強度が等しくなるように回折格子の最適化を可能とするので有利である。この結果、検出される放射は100%コントラストを有する。
[00113] 図15からわかるように、検出器D1によって検出される組み合わせ次数R0,2、R1,−1は、X=−Y方向の回折によって発生される。また、第2の検出器D2は、X=−Y−方向の回折によって発生される組み合わせ次数を測定するように構成されている。しかしながら、第2の検出器D2によって検出される回折の発生に用いられる極は、第1の検出器D1によって検出される回折の発生に用いられる極から、X=Y−方向にオフセットされている。マスク回折格子は、ゼロ次回折RA0及び1次回折RA1を発生させる。次いでウェーハ回折格子は、第2の検出器D2により検出される組み合わせ次数RA0,2、RA1,−1を発生させる。この第2の組み合わせ次数RA0,2、RA1,−1は、第1の検出器D1によって検出される1次組み合わせ次数R0,2、R1,−1から、X=Y−方向にオフセットされている。第1の組み合わせ次数R0,2、R1,−1は、以下で述べるように、タワーの横方向にオフセットした壁によって、第1の検出器D1へ選択的に反射される(他の回折次数は壁によって除去される)。同様に、第2の組み合わせ次数RA0,2、RA1,−1は、タワーの横方向にオフセットした壁によって、第2の検出器へ選択的に反射される(他の回折次数は壁によって除去される)。
[00114] まさに同じように、X=Y−方向にオフセットした極を用いて回折次数を発生させ、X=−Y方向にオフセットした検出器D3、D4によってこれらの回折次数を検出する。これらの次数は、図を複雑にしすぎるのを避けるため図15では記号を付していない。
[00115] 図15に示す実施形態を用いる場合、図14に示す問題は軽減又は解消される。この結果、検出器D1〜D4で検出される信号の位相は、ウェーハ格子のz位置の関数として線形に変動する。
[00116] 図15は、ウェーハ反射時の光軸に対する回折次数のミラーリング(mirroring)の効果を示さないという意味で、簡略化されたものである。図16は、ミラーリングの効果を概略的に示す。円形で示す光軸OAは、Z方向に(すなわち図の面から一直線に出るように)延出している。照明モード極は、約1/3.2から約2/3.2の間のシグマを有し、光軸OAから−X=−Y方向にオフセットしている。極は、マスク格子によって回折されて、ゼロ次R0及び1次R1を形成する。これらはリソグラフィ装置の投影システムPLを伝搬し、次いでウェーハ格子WGによって回折される(例えば図2を参照のこと)。回折次数R0及びR1は軸外であるので、ウェーハ格子WGによって回折された場合に生じる回折次数も軸外であるが、光軸OAの反対側にある。従って、得られる組み合わせ次数R0,2、R1,−1は、光軸において入射回折次数R0、R1に対してミラーリングされる。検出器D1は組み合わせ次数R0,2、R1,−1を受けるように位置決めされているので、光軸において入射回折次数R0、R1に対してミラーリングされる。
[00117] 他の照明モード極についても、照明モード極に対する検出器の同様の変位が用いられる。
[00118] 図17から図20は、図15及び図16に示した組み合わせ次数R0,2、R1,−1の発生及び検出を概略的に示す。図17は、正方形を含むマスク格子MGを示す。これらの正方形は、より狭いチャネルによって分離されている。従って、マスク格子MGは1対1のデューティサイクルを持たず、いくつかの偶数の回折次数を発生させる。代替的な構成では、チャネルは正方形よりも幅が広くてもよい。
[00119] 図18を参照すると、マスク基板S上にマスク格子MGが示されている。また、マスク基板S上にタワーが設けられ、図18ではその2つの壁46、47が見られる。一方の壁46は、ミラーとして作用する反射外面を有する。マスク格子MGは、中間シグマを有する放射ビーム極Rで照明される。マスク格子MGは放射ビーム極を回折させ、ゼロ次回折R0及び1次回折R1を発生させる。他の回折次数も発生され得るが、これらは壁46、47によって阻止される。タワーの右側の壁47は、タワーの左側の壁46よりも(図17に示す面内で)短く、これによって、ゼロ回折次数R0の伝送を可能とする開口51が提供される。以下で更に説明するように、開口51は光軸に対してオフセットされている。従って図18の面は光軸に対応していない。図18の面は、光軸が位置する面の背後にある。
[00120] 図19は、ウェーハ格子WGが設けられたウェーハWを示す。ウェーハ格子WGはマスク格子MGと同じ周期を有し、このため同じ角度分離の回折次数を発生させる。この場合も、ウェーハ格子は1対1のデューティサイクルを持たず、いくつかの偶数の回折次数を発生させる。ゼロ次回折R0及び1次回折R1がウェーハ格子WGに入射する。ゼロ次回折R0は、ウェーハ格子WGによって、ゼロ次R0,0及び2次R0,2として回折される。1次回折R1は、ウェーハ格子WGによって、ゼロ次R1,0、1次R1,−1として回折される。他の回折次数も発生され得るが、図示しない。組み合わせ次数R0,2、R1,−1が形成される。
[00121] 図20は、タワーの壁47の反射面で反射されている組み合わせ次数R0,2、R1,−1を示す。組み合わせ次数R0,2、R1,−1は壁47によって検出器D1へ反射され、ここで組み合わせ次数の強度が測定される。壁47は他の回折次数を反射せず、これによって組み合わせ次数R0,1、R1,−1のみが検出器D1に入射することを保証する。図20の面は図18の面とは異なる。この面は、紙面から上方向に移動されている。これは、図16に関連付けて上述したように、照明極の軸外の性質のためである。照明の軸外の性質のため、マスク格子MGによって発生した回折次数を阻止するタワーの壁46、47の部分は、ウェーハ格子WGによって発生した回折次数を反射するタワーの壁の部分とは異なる。
[00122] 図21から図23は、本発明のこの実施形態の部分を形成するタワーを示す。図21は下から見たタワーを示し、図22は線AA’に沿ったタワーの断面図であり、図23はタワーを斜視図で示す。まず図21及び図22を参照すると、タワーは4つの壁46〜48から形成されている。各壁には開口50〜53が設けられ、これらはタワーの最下端(すなわちタワーを支持するマスク基板とは反対側の端部)から上方に延出して、タワーの途中で終端する。各開口は、それぞれが設けられた壁の中央部からオフセットされている。このオフセットの目的は図18から理解することができる。図18では、右側の壁47の開口51がゼロ次回折R0を通過させて、ウェーハ格子に入射することを可能とする。図21において開口よりも上の右側の壁47の部分(すなわち破線が通過する部分)は、開口が設けられていないが、組み合わせ次数R0,2、R1,−1を検出器D1へ反射するように作用する反射面を有する(図20を参照のこと)。もしもここに開口が存在したら、組み合わせ次数は検出器へ反射されない。一般に、開口50〜53は、マスク格子からのゼロ次数の伝送を可能としながら、マスク格子からのもっと高次の回折を阻止するような位置及び寸法となっている(1次マスク格子回折はタワーの底部から外部へ進み、2次以上はタワーによって阻止される)。更に、開口50〜53は、検出器へと反射される組み合わせ次数からオフセットされると共にそれらと一致しないような位置及び寸法となっている。
[00123] 図23は、2つの壁47、48及び対応した開口51、52を示すタワーの斜視図である。
[00124] タワーの寸法は、リソグラフィ装置において利用可能な空間によって部分的に制約され得る。例えばある実施形態では、タワーTは5mmの高さTを有し得る(すなわちマスク基板から5mm下方に延出し得る)。タワーの横方向の寸法、並びに開口50〜53の大きさ及び位置は、入射する放射ビームのモデリング、マスク格子によって発生させる回折次数の位置及び大きさ、並びにウェーハ格子によって発生させる組み合わせ次数の位置及び大きさに基づいて決定することができる。例えば、タワーは約2.2mmの幅wを有し得る。各開口50〜53は、約2.5mmの高さh0、及び約0.5mmの幅w0を有し得る。各開口50〜53は、タワーの中央部からタワーの一方側まで延出し得る(開口は隣の壁の内面で終端する)。タワーの壁46〜49は約0.55mmの厚さを有し得る。
[00125] タワーは、石英、金属、又は他の任意の適切な材料から形成すればよい。材料は、充分に熱を伝達して、タワーが吸収する放射により引き起こされる損傷を回避することを可能とする。
[00126] タワーは、オフセット照明モード極と組み合わせて用いて、検出器D1〜D4による不要な回折組み合わせ(例えば図14に示すもの)の検出を回避する。この結果、検出器D1〜D4で観察される信号は、投影システムの焦点面からのウェーハ格子距離の関数として線形に変動する。
[00127] 図24は、本発明の別の代替的な実施形態を概略的に示す。図24のフォーマットは図15のフォーマットに対応する。すなわち、回折次数及び検出器の位置を瞳面において概略的に表し、光軸に対するオフセットの効果は図示していない。図24では、入射放射は(従ってゼロ次回折放射も)、この場合も中間シグマ(1/3.2から2/3.2の間)を有する。しかしながら、この実施形態では、検出器D1〜D4は瞳の中央部の近くに配置されている。一例として1つの極を取り上げると、ゼロ次回折R0及び1次回折R1がマスク格子によって発生される。組み合わせ次数R0,1、R1,−1がウェーハ格子によって発生され、瞳の中央部の近くの検出器D1に入射する。同様に、対応する(横方向にオフセットされた)極について考えると、ゼロ次回折RA0及び1次回折RA1がマスク格子によって発生される。組み合わせ次数RA0,1、RA1,−1がウェーハ格子によって発生され、検出器D2に入射する。図24に示す実施形態は、4つの検出器D1〜D4を相互に隣接して配置するのが実際には困難であり得るので、前述の実施形態に比べて有利でないと考えられる。これに対処するには、例えば、D1〜D4と表記したロケーションに検出器の代わりにミラーを位置決めし、各ミラーが、マスクセンサ装置のマスク基板上の他の適切な位置に配置された異なる検出器へ異なる組み合わせ次数を誘導するように、これらのミラーの向きを設定すればよい。
[00128] 図25は、代替的な照明モードを用いてマスク格子を照明する効果を概略的に示す。図25は図15と同様であり、検出器D1〜D4は同じロケーションに示されている。しかしながら、簡略化のため、1つの検出器D1について用いる回折モードのみを図示している。上述のように、中間シグマ極(1/3.2〜2/3.2)を用いてマスク回折格子を照明し、マスク回折格子はゼロ次回折R0及び1次回折R1を発生させることができる。ウェーハ格子は、検出器D1に入射する組み合わせ次数R0,2及びR1,1を発生させる。しかしながら、代替的な構成では、もっと小さいシグマ(0〜1/3.2)の照明極を用いてマスク回折格子を照明してもよい。この場合、生じるゼロ次回折RB0及び1次回折RB1は、中間シグマ極について観察されたものとは反対の位置を有する(適切なマスク格子周期の選択によって達成される)。ウェーハ格子によって発生された、結果として生じる組み合わせ次数RA0,−1、RA1,−2は、同じロケーションに入射し、従って同じ検出器D1に入射する。このため、同一の検出器構成を有する同一のマスクセンサ装置MSは、2つの異なる照明モード、すなわち比較的小さいシグマ極(0/3.2〜1/3.2)及び中間シグマ極(1/3.2〜2/3.2)に使用され得ることが理解されよう。中間シグマ(1/3.2〜2/3.2)照明極を用いた照明は、検出器D1で観察される信号により良いコントラストを与えるので、好適であり得る。
[00129] 中間シグマ極(1/3.2〜2/3.2)を有する照明モードでマスク回折格子を照明することは、(比較的小さいシグマ極照明に比べて)検出器D1〜D4でより良い干渉コントラストが得られるので、有利である。
[00130] 検出器D1〜D4で観察される干渉コントラストは、検出される組み合わせ回折次数を形成する2つの回折次数の相対振幅に依存する。2つの回折次数が同一の振幅を有する場合にコントラストは最大となる。回折次数の振幅は、マスク格子のデューティサイクル及びウェーハ格子のデューティサイクルの選択によって最適化することができる(デューティサイクルは、異なる回折次数の相対振幅を決定する)。ウェーハ格子は位相格子であり、位相は、ウェーハ内での格子のエッチング深さから生じる。エッチ深さの変更を用いて、異なる回折次数の相対振幅に影響を及ぼすことも可能である。
[00131] 図26は、本発明の別の実施形態に従ったセンサ装置99を概略的に示す。前述の実施形態とは異なり、センサ装置99は実質的に2次元である(これは、マスク基板から下向きに延出するタワー又は同等の構造を含まない)。代わりにセンサ装置99は、投影システムのマスク焦点面の外に(すなわち、リソグラフィ装置の従来の動作中にマスクが設けられる面の外に)配置されたスクリーンの形態をとっている。このスクリーンは、リソグラフィ装置の従来の動作中にペリクルが設けられる面に対応した面内に配置することができる。例えばスクリーンは、マスク焦点面よりも約5mm又は6mm下方とすればよい。スクリーンは、開口101が設けられた放射阻止材料100を含む。例えばスクリーンは、反射性コーティングを施した石英から作製され、この反射性コーティングを取り除くことで、放射を伝送させる開口を設けることができる。検出器D1〜D4は、スクリーン内に提供されており、投影システムを介して戻ってくる放射を検出するように配置されている。検出器D1〜D4は、照明システムから投影システムの方へ進行する放射を検出せず、そのような放射を単に阻止する。このため、開口101に入射する放射だけが投影システムまで進んでいく。
[00132] スクリーン100及び開口101によって与えられる機能性は、図21〜図23に示すタワーによって与えられる機能性に対応する。更に、タワーの関連する寸法は開口101の寸法に対応する。従って、開口の各アームが有する幅w0はタワーの開口51〜53の幅w0に対応し、開口101の全幅wはタワーの幅wに対応する。スクリーン100及び開口101によって与えられる機能性は、図17〜図19に示すものに対応する。すなわち、マスク回折格子によって発生したゼロ次及び1次回折放射は伝送されるが、他の次数はスクリーンによって阻止される。検出器は、組み合わせ次数R0,2、R1,−1(及び同等の次数)のみを検出するように位置決めされ、他の次数は検出器が存在しないスクリーン上の他の位置に入射する。この実施形態を用いる場合、リソグラフィ装置には、マスク格子が設けられたマスクも提供される。マスク格子は直径数十ミクロンとすることができ、マスクの残り部分は非透過性である。従ってマスク格子は、格子が設けられたピンホールの形態を有し得る。所望の回折次数が開口101を通過し、所望の組み合わせ次数が検出器D1〜D4に入射するように、マスクに対してマスク格子を位置決めしなければならない。照明放射極の適切な選択による回折モードの部分充填を用いて、スクリーンに対するマスク格子の位置決めにある程度の公差を与えることができる。
[00133] 図26に示す実施形態は1つの開口101及び4つの検出器D1〜D4を含むが、2つ以上の開口及び関連付けられた検出器をスクリーン内に設けることも可能である。例えば、図10に示したものに対応する構成に開口及び検出器を設けてもよい。この場合、それぞれの開口に対応したマスク格子を設けることができる。
[00134] 図26に示す実施形態の利点として、タワーを含まないので製造が容易になると共に損傷を受けにくくすることができる。
[00135] 使用する検出器は、図26に示す位置D1〜D4に配置されたフォトダイオードとすればよい。あるいは、光ファイバを用いて、図26に示す位置D1〜D4から遠隔配置されたフォトダイオードに放射を移送することができる。この状況では、検出器は図示する位置D1〜D4に物理的に配置されないが、それにもかかわらず、それらの位置に入射する放射の検出が行われる。本発明の他の実施形態でも、このように光ファイバを用いることができる。電子検出器とは異なり、光ファイバは熱を発生させず、従って熱調節の必要が生じないので、光ファイバの使用は有利である。更に光ファイバは、電子検出器に比べ、占有する体積が小さく、より容易に装置内に一体化され得る。
[00136] 本発明の実施形態によって、ウェーハテーブルの位置決めを6自由度で、すなわち、X、Y、Z方向の位置、及びX軸、Y軸、Z軸を中心とする回転Rx、Ry、Rzで較正することができる。このため、ウェーハテーブルの各位置(X,Y)について、X、Y、及びZ方向の位置誤差が求められ、X、Y、及びZ軸を中心とする回転誤差が求められる。
[00137] 本発明の実施形態は、従来技術よりも優れた多数の利点を提供する。例えば、ウェーハ全体の較正は、数時間をかけてウェーハの露光、現像、及び測定を行う必要なく、一時間未満(例えば約15分間)で実行できる。較正を比較的迅速に実行できるので、不経済にならずに、より定期的に較正を実行することが可能となる。較正は、例えば特定のダイ(又はターゲットエリア)レイアウトを有するウェーハの露光に先立って実行され得る。フィールド間整合及びフィールド内整合は双方ともある程度のダイレイアウト依存性を含み得るので、これは有益である。
[00138] ほぼウェーハ全面にわたって延出する単一のウェーハ格子についての言及は、ウェーハ上に存在する他のマーク(例えばアライメントマーク)を排除するものではない。ほぼウェーハ全面にわたって延出するウェーハ格子は、他のマークを設けることができるギャップを含み得る。
[00139] 本発明の実施形態について、ほぼウェーハ全面にわたって延出する単一のウェーハ格子によって説明したが、他の実施形態では他の形態のウェーハ格子も使用され得る。例えば、ウェーハ上に複数の別個のウェーハ格子を提供することも可能である。複数のウェーハ格子は、例えばウェーハの表面に延出するアレイとして提供され得る。
[00140] 記載した本発明の実施形態は2つの照明モード極又は4つの照明モード極を使用したが、他の照明モード極数を用いてもよい。
[00141] 単一の照明モード極を用いてもよい。しかしながら、この場合、位置測定を得るためにはウェーハの2方向の移動が必要である。すなわち、実質的にウェーハの面(XY面)内にある第1の方向と、ウェーハの面に実質的に垂直な(Z方向の)第2の方向である。
[00142] 2つの照明モード極を用いる場合、(例えば図5に示すように)マスク格子の各側に配置された2つの検出器を用いればよい。この場合、上述したように、検出器分離方向にウェーハを移動させると、その方向(及びZ方向)における位置測定値が与えられる。代替的な構成では、検出器は、第1の検出器が第1の方向(例えばX方向)における移動の位置測定値を与え、第2の検出器が垂直方向(例えばY方向)における移動の位置測定値を与えるように配置することができる。この場合、第1の検出器を用いた位置測定値を得るためには、Z方向の移動に加えてX方向の移動が必要である。同様に、第2の検出器を用いた位置測定値を得るためには、Z方向の移動に加えてY方向の移動が必要である。各方向に1つの照明極を用いることができる。
[00143] 3つの照明極を用いる場合、3つの検出器を設ければよい。そのうち2つはマスク格子の各側にあり、他の1つはマスク格子から垂直方向に離れている。例えば、X、Y、及びZの記号を用いると、2つの検出器がマスクのX方向の各側にあり、第3の検出器がマスクからY方向に離れている。X成分及びY成分を含む方向でのウェーハの移動が、X、Y、及びZ方向における位置測定値を発生させる。
[00144] 4つの照明極及び4つの検出器を用いる場合、第4の極及び検出器は測定にいくらかの冗長性を与え得る。例えば、X、Y、Zの記号を用いると、2つの検出器がマスクのX方向の各側にあり、2つの検出器がマスクのY方向の各側にある。X方向に離れた検出器は、X及びZ方向における位置測定値を与える。Y方向に離れた検出器は、Y及びZ方向における位置測定値を与える。このため、Z方向の測定は2度行われる。
[00145] 本文書において、「回折次数」という言葉の意図する意味は、回折格子によって発生される最大強度の位置を決定する下記の回折次数式を参照して理解され得る。
ここで、dは格子周期であり、iは放射が格子に入射する角度であり、λは放射波長であり、mは正又は負とすることができる整数である。各整数値は異なる回折次数に対応する。
[00146] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
[00147] リソグラフィ装置は、投影システムの最終要素とウェーハとの間の空間を充填するように、ウェーハが比較的高い屈折率を有する液体、例えば水などに液浸されるタイプであってもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。
[00148] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、適宜、例えば露光放射の使用、あるいは浸漬液の使用又は真空の使用などの他の要因に対する、屈折光学システム、反射光学システム、及び反射屈折システムを含む、様々なタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。
[00149] 本発明の実施形態について透過性リソグラフィ装置の文脈で記載したが、本発明は反射性リソグラフィ装置(例えばEUVリソグラフィ装置)においても使用可能である。この場合、リソグラフィ装置の反射性の性質のため、リソグラフィ装置の照明システムからの放射ビームは、ある角度でマスクの方へ誘導され得る(すなわちマスクに対して垂直でない)。この入射角は既知であり、変化しない。従って、検出器及び関連付けられたフィルタは、測定値がこの角度による影響を受けないように構成することができる。例えば、放射ビームの入射方向に整合された検出器(及び関連付けられたフィルタ)を取り除いてもよい。これによって3つの検出器と関連付けられたフィルタとが残り、これらを例えば3つの照明極について上述したように使用することができる。
[00150] 本発明の実施形態についてリソグラフィ装置の文脈で記載したが、本発明の実施形態は他の装置においても使用可能である。本発明の実施形態は、マスクインスペクション装置、メトロロジ装置、又は、ウェーハ(もしくは他の基板)もしくはマスク(もしくは他のパターニングデバイス)等の物体を測定する任意の装置の一部を形成し得る。これらの装置は一般にリソグラフィツールと称することができる。そのような装置の文脈において、ツールの投影光学部品は投影システムと同等であると見なされ得る。照明モード極を回折させるために用いられる格子は、投影光学部品の第1の側で任意の適切な表面上に設ければよい。物体(例えばウェーハ又はマスク)は、投影光学部品の反対側で支持構造によって保持して設ければよい。
[00151] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。この説明は本発明を限定するものではない。
条項
以下に、詳述した本発明のいくつかの態様を提示する。
1.多数の放射極を用いて、リソグラフィ装置の投影システムのマスク側のマスク上の回折格子を照明することと、
前記投影システムを介して各照明極ごとに少なくとも2つの生成された異なる回折次数を結合することと、
前記投影システムを用いて前記回折次数をウェーハ上の格子に投影して、前記回折次数の回折によって1対の組み合わせ回折次数が形成されるようにすることと、
前記組み合わせ回折次数を、前記投影システムを介して戻し、前記組み合わせ回折次数の強度を測定するように構成された検出器に結合することと、
前記組み合わせ回折次数の前記測定された強度を用いて前記ウェーハ格子の位置を測定することと、
を備える測定方法。
2.前記マスク格子によって発生された不要な回折次数を除去することを更に備える、条項1の測定方法。
3.前記除去フィルタを用いて、各照明極ごとに前記少なくとも2つの回折次数のみを前記投影システム内へと伝送することを更に備える、条項2の測定方法。
4.前記組み合わせ回折次数のみが前記検出器に入射するように不要な放射を除去することを更に備える、条項1から3のいずれかの測定方法。
5.前記不要な回折次数を除去することが、前記マスク格子の近傍から、前記マスク格子のフィールド面から離れるように延出するタワーの壁を用いて実行される、条項2又は条項3の測定方法。
6.前記タワーの前記壁の開口を用いて、前記マスク格子によって発生された所望の回折次数を伝送することを更に備える、条項5の測定方法。
7.不要な回折次数を除去する一方で、前記マスク格子の近傍から前記マスク格子のフィールド面から離れるように延出するタワーの反射性外面を用いて前記組み合わせ回折次数を前記検出器へ反射させることを更に備える、条項4の測定方法。
8.前記タワーの前記壁の前記開口と前記タワーの前記反射性外面とが光軸に対してオフセットされている、条項5から7のいずれかの測定方法。
9.前記マスクと前記投影システムとの間のスクリーンを用いて、前記マスク格子によって発生された不要な回折次数を除去することを更に備える、条項1の測定方法。
10.前記組み合わせ回折次数に対応した前記スクリーン上のロケーションに入射する放射の強度が測定される、条項9の測定方法。
11.前記照明放射極が光軸に対してオフセットされている、条項1から10のいずれかの測定方法。
12.前記ウェーハ格子が1次元であって、前記リソグラフィ装置のスキャン方向に対して実質的に平行な方向に延出し、その方向におけるウェーハ位置の測定値が2つの放射極を用いて取得される、条項1から11のいずれかの測定方法。
13.前記ウェーハ格子が1次元であって、前記リソグラフィ装置のスキャン方向に対して実質的に垂直な方向に延出し、その方向におけるウェーハ位置の測定値が2つの放射極を用いて取得される、条項1から12のいずれかの測定方法。
14.前記格子の方向と同じ方向に離間させた2つの検出器を用いて前記組み合わせ次数の強度を測定する、条項12又は条項13の測定方法。
15.前記マスク格子が2次元である、条項1から14のいずれかの測定方法。
16.前記マスク格子が前記リソグラフィ装置のスキャン方向と非平行な方向に延出する、条項14の測定方法。
17.前記投影システムのウェーハ側の前記格子が2次元であり、ほぼウェーハ全体にわたって延出する、条項1から16のいずれかの測定方法。
18.前記ウェーハ格子がチャネルで分離された正方形を含み、前記ウェーハ格子が1対1でないデューティサイクルを有する、条項17の測定方法。
19.前記ウェーハ格子の周期が前記マスク格子の周期に対応する、条項15から18の測定方法。
20.多数のマスク格子が同時に照明され、生成されて前記検出器から出力される信号が監視される、条項1から19のいずれかの測定方法。
21.前記マスク格子が、隣接したマスク格子間に約120度の位相分離を与えるように位置決めされている、条項20の測定方法。
22.多数のウェーハ格子位置が同時に測定され、測定されたウェーハ格子位置間の差が決定される、条項20又は条項21の測定方法。
23.前記測定されたウェーハ位置間の差を用いてウェーハ位置決め誤差を示すベクトルのマップを発生させる、条項22の測定方法。
24.前記ウェーハ位置決め誤差を示すベクトルが、3の位置自由度及び3の回転自由度で前記ウェーハの位置を特徴付ける、条項23の測定方法。
25.前記ウェーハ位置決め誤差マップが後に、ウェーハのリソグラフィ露光中にウェーハ位置決め誤差を補正するため用いられる、条項23又は条項24の測定方法。
26.ウェーハ格子位置が測定され、後にウェーハへの特定のパターンのリソグラフィ露光中に用いられるウェーハ位置についてのみウェーハ位置決め誤差が決定される、条項25の測定方法。
27.前記ウェーハ格子位置が、実質的に前記ウェーハの面内の方向で測定されると共に、実質的に前記ウェーハの面に垂直な方向で測定される、条項1から26のいずれかの測定方法。
28.実質的に前記ウェーハの面に垂直な前記ウェーハ格子位置が、対応する組み合わせ回折次数を検出する検出器から出力される信号間の差を決定することによって取得される、条項27の測定方法。
29.前記信号間の差が、同時に異なる検出器から出力される信号について決定される、条項28の測定方法。
30.前記信号間の差が、異なる時点で同一の検出器から出力される信号について決定される、条項28の測定方法。
31.4つの放射極を用いて前記マスク回折格子を照明し、各々が異なる組み合わせ回折次数の強度を測定する4つの検出器が設けられている、条項1から30のいずれかの測定方法。
32.前記検出器のうち2つを用いて、第1の方向に分離したロケーションで放射強度を測定し、前記検出器のうち2つを用いて、前記第1の方向に対して実質的に垂直な第2の方向に分離したロケーションで放射を測定する、条項31の測定方法。
33.格子が設けられた基板と、
前記基板から延出し、前記格子によって発生された不要な回折次数を除去するように位置決めされた壁を有するタワーと、
前記タワーの壁の外面によって反射された回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、
を備えるマスクセンサ装置。
34.前記タワーが光軸に対してオフセットされた開口を含む、条項33のマスクセンサ装置。
35.前記格子、タワー、及び検出器がモジュールを構成し、複数のモジュールが前記基板上に設けられている、条項33又は34のマスクセンサ装置。
36.格子が設けられた基板と、
前記基板の面から分離し、前記格子によって発生された所望の回折次数の伝送を可能とするように位置決めされた開口を含むスクリーンと、
前記スクリーンの前記基板とは反対の側に入射する放射を受けるように配置され、検出されることが望まれる回折次数に対応したロケーションで前記スクリーンに入射する回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、
を備えるマスクセンサ装置。
37.前記開口が光軸に対してオフセットされたアームを含む、条項36のマスクセンサ装置。
38.前記格子、スクリーン開口、及び検出器がモジュールを構成し、前記マスクセンサが複数のモジュールを備える、条項36又は条項37のマスクセンサ装置。
39.回折格子が設けられたウェーハであって、前記回折格子が2次元であると共に前記ウェーハのほぼ全体にわたって延出する、ウェーハ。
40.前記回折格子が、1対1でないデューティサイクルを有するチャネルによって分離された正方形を含む、条項39のウェーハ。
41.前記回折格子は、他のマークが設けられているギャップを含む、条項39又は条項40のウェーハ。
42.多数の放射極を用いて、リソグラフィツールの投影光学部品の第1の側の回折格子を照明することと、
前記投影光学部品を介して各照明極ごとに少なくとも2つの生成された異なる回折次数を結合することと、
前記投影光学部品を用いて前記回折次数を物体上の格子に投影して、前記回折次数の回折によって1対の組み合わせ回折次数が形成されるようにすることと、
前記組み合わせ回折次数を、前記投影光学部品を介して戻し、前記組み合わせ回折次数の強度を測定するように構成された検出器に結合することと、
前記組み合わせ回折次数の前記測定された強度を用いて前記物体格子の位置を測定することと、
を備える測定方法。
43.放射のビームを提供するための照明システムと、
前記放射ビームを回折させるための格子が設けられた基板を備えるマスクセンサ装置を支持する支持構造と、
物体を保持するための支持構造と、
前記回折させた放射ビームを前記物体に投影するための投影光学部品と、
を備え、前記マスクセンサ装置が更に、タワーであって、前記基板から延出し、前記格子によって発生された不要な回折次数を除去するように位置決めされた壁を有するタワーと、前記タワーの壁の外面によって反射された回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、を備える、リソグラフィツール。
44.放射のビームを提供するための照明システムと、
前記放射ビームを回折させるための格子が設けられた基板を備えるマスクセンサ装置を支持する支持構造と、
物体を保持するための支持構造と、
前記回折させた放射ビームを前記物体に投影するための投影光学部品と、
を備え、前記マスクセンサ装置が更に、
前記基板の面から分離し、前記格子によって発生された所望の回折次数の伝送を可能とするように位置決めされた開口を含むスクリーンと、
前記スクリーンの前記基板とは反対の側に入射する放射を受けるように配置され、検出されることが望まれる回折次数に対応したロケーションで前記スクリーンに入射する回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、
を備える、リソグラフィツール。
45.放射極を用いて、リソグラフィ装置の投影システムのマスク側のマスク上の回折格子を照明することと、
前記投影システムを介して少なくとも2つの生成された異なる回折次数を結合することと、
前記投影システムを用いて前記回折次数をウェーハ上の格子に投影して、前記回折次数の回折によって組み合わせ回折次数が形成されるようにすることと、
前記組み合わせ回折次数を、前記投影システムを介して戻し、前記組み合わせ回折次数の強度を測定するように構成された検出器に結合することと、
前記組み合わせ回折次数の前記測定された強度を用いて前記ウェーハ格子の位置を測定することと、
を備える測定方法。
46.放射のビームを提供するための照明システムと、
前記放射ビームを回折させるための格子が設けられた基板を備えるマスクセンサ装置を支持する支持構造と、
基板を保持するための基板テーブルと、
前記回折させた放射ビームを前記基板のターゲット部分に投影するための投影システムと、
を備え、前記マスクセンサ装置が更に、タワーであって、前記基板から延出し、前記格子によって発生された不要な回折次数を除去するように位置決めされた壁を有するタワーと、前記タワーの壁の外面によって反射された回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、を備える、リソグラフィ装置。
47.放射のビームを提供するための照明システムと、
前記放射ビームを回折させるための格子が設けられた基板を備えるマスクセンサ装置を支持する支持構造と、
基板を保持するための基板テーブルと、
前記回折させた放射ビームを前記基板のターゲット部分に投影するための投影システムと、
を備え、前記マスクセンサ装置が更に、
前記基板の面から分離し、前記格子によって発生された所望の回折次数の伝送を可能とするように位置決めされた開口を含むスクリーンと、
前記スクリーンの前記基板とは反対の側に入射する放射を受けるように配置され、検出されることが望まれる回折次数に対応したロケーションで前記スクリーンに入射する回折次数を受けるように位置決めされた検出器と、
を備える、リソグラフィ装置。