JP6303837B2 - 逆浸透膜の耐汚染化処理方法 - Google Patents
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PVAをRO膜に接触させることにより、RO膜が親水化し、RO膜の透過性能が維持されるようになる。即ち、PVAはOH基が多く、親水性が高いため、PVAをRO膜に付着させることにより、RO膜が親水化され、RO膜への膜汚染物質の吸着が抑制されて耐汚染性が向上する。
(1) PVAが、長期の使用においてRO膜から剥離し、耐汚染化効果が失われてしまう。
(2) PVAをRO膜に付着させることで、付着前に比べてRO膜のフラックスが大きく低下する。
といった問題があった。
例えば、非特許文献1では、限外濾過膜をカルボキシメチルベタイン系の1−カルボキシ−N,N−ジメチル−N−(2’−メタクリロイルオキシエチル)メタンアミニウム分子内塩とn−ブチルメタクリレートとの共重合ポリマーにより表面修飾して、タンパク質の一種である牛血清アルブミン(BSA)に対する耐汚染化を試みている。
また、非特許文献2では、ポリビニリデンフロライド(PVDF)製の精密濾過膜を、スルホベタイン系の[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]−ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムハイドロオキサイドとメチルメタクリレートとの共重合ポリマーにより表面修飾して、BSAに対する耐汚染化を試みている。
このような共重合ポリマーによる耐汚染性を持続的に発現させるためには、アンカー部分が膜に安定に吸着することが課題となる。
なお、本発明者らは、PVAにおける前述の(1),(2)の問題を解決するものとして、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する変性PVAを用いるRO膜の親水化処理方法を提案しているが(特願2012−279590)、本発明によれば、このポリアルキレンオキサイド鎖を有する変性PVAと同等以上の効果を奏する耐汚染化処理方法が提供される。
本発明が適用されるRO膜としては、芳香族ポリアミドを緻密層とするポリアミド系RO膜が挙げられるが、ポリアミド系のナノ濾過膜を対象としてもかまわない。すなわち、本発明で処理対象とするRO膜はナノ濾過膜を含有する広義のRO膜である。また、新しい膜や使用後の膜、劣化した膜などにも問題なく適用が可能である。
本発明において、RO膜の耐汚染化処理に用いるポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物による耐汚染化の作用機構は以下の通りである。
(1) ベタイン系の構造部分をRO膜表面に存在させることにより、生物代謝物等の膜汚染物質に対するRO膜の耐汚染性を向上させる。
(2) RO膜への親和性が高いアルキレンオキサイド鎖部分がRO膜に安定に吸着することにより、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物をRO膜に安定に吸着させることで、上記(1)の効果を長期に亘り維持する。
なお、本発明において重量平均分子量は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて算出した値である。
ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物をRO膜に接触させる方法には特に制限はないが、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するベタイン化合物の水溶液をRO膜に加圧通水して接触させることが好ましい。
前記式(4A)で表されるMPDSAH(Aldrich社製)と前記式(7)で表されるポリアルキレングリコールモノアリルエーテル(三洋化成社製「サニコールH−0800」、式(7)において、m=5〜10、n=0)を1:4のモル比で水溶液中で共重合させて、重量平均分子量50000の共重合体(以下「AO−MPDSAHコポリマー」と称す。)を得た。具体的には、重合開始剤として過硫酸カリウムを用い、ポリアルキレングリコールモノアリルエーテルの水溶液中に、MPDSAHと過硫酸カリウムを水溶液として滴下する方法で反応させた。反応温度は80℃、反応時間は20時間とした。
MPDSAH(Aldrich社製)のみを用いて水溶液中で重合させることにより、重量平均分子量50000の重合体(以下、「MPDSAHホモポリマー」と称す。)を得た。重合開始剤としては過硫酸カリウムを用い、反応温度は80℃、反応時間は4時間とした。
以下の実施例及び比較例では、図1に示す平膜試験装置を用いてフラックスの測定を行った。
図1の平膜試験装置では、RO膜供給水が、配管11よりポンプ4で、密閉容器1のRO膜をセットした平膜セル2の下側の原水室1Aに供給され、RO膜透過水が透過水室1Bを経て配管12より取り出され、濃縮水が配管13より取り出される。原水室1A内はスターラー3による攪拌子5の回転で攪拌される。密閉容器内圧力は、給水配管11に設けた圧力計6と圧力調整バルブ7により所定圧力に調整される。
RO膜としては、日東電工社製超低圧ポリアミド膜「ES20」、又は耐汚染膜として市販されているDow Filmtec社製超低圧ポリアミド膜「XFRLE」を使用した。
試験は、操作圧力0.75MPa、温度25℃の条件で行った。
RO膜としてES20を用い、AO−MPDSAHコポリマーを純水により1mg/Lの濃度に希釈したものを9日間通水したところ、フラックスは、0.85m3/(m2・day)で安定化した。これにより、ES20がAO−MPSDAHコポリマーにより十分に処理されたと判断し、RO膜供給水を1mg/Lのキサンタンガム水溶液に切り替えて、フラックスの変化を測定し、結果を図2に示した。
RO膜へのAO−MPSDAHコポリマーの吸着を行わなかったこと以外は実施例1と同条件で、ES20に1mg/Lのキサンタンガム水溶液を通水して、フラックスの変化を測定し、結果を図2に示した。
RO膜としてES20の代りにXFRLEを用いたこと以外は比較例1と同条件で、1mg/Lのキサンタンガム水溶液を通水して、フラックスの変化を測定し、結果を図2に示した。
AO−MPDSAHコポリマーの代わりに、特願2012−279590の実施例1で用いたポリアルキレンオキサイド鎖を有する変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製「エコマティWO−320N」、以下「EO−PVA」と称す。)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてRO膜の処理を行い、その後キサンタンガム水溶液を通水したときのフラックスの変化を測定し、結果を図2に示した。
AO−MPDSAHコポリマーの代わりに、MPDSAHホモポリマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてRO膜の処理を行い、その後キサンタンガム水溶液を通水したときのフラックスの変化を測定し、結果を図2に示した。
未処理のES20に通水した比較例1では、フラックスが0.75m3/(m2・day)以下に低下した。耐汚染膜であるXFRLEに通水した比較例2でも0.75m3/(m2・day)に近い値にまで低下している。EO−PVAでES20を処理した比較例3では、比較例1、2よりもフラックスが安定化する傾向が見られる。
MPDSAHホモポリマーを用いた比較例4では、フラックスが大きく低下してしまっており、ベタイン化合物による効果的な処理ができていないことが分かる。
これに対して、AO−MPDSAHコポリマーを用いた実施例1では、初期値の0.85m3/(m2・day)からほとんど変化しておらず、比較例1〜4よりも、フラックスが高く維持されている。この実施例1では、キサンタンガム水溶液の通水を開始した時点のフラックスを1とすると、357時間後のフラックスは0.95であり、非常に安定である。
1A 原水室
1B 透過水室
2 平膜セル
3 スターラー
Claims (5)
- 逆浸透膜に、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーとベタイン系化合物よりなるモノマーとの共重合体を接触させることを特徴とする逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
- 前記ポリアルキレンオキサイド鎖がポリエチレンオキサイド鎖であることを特徴とする請求項1に記載の逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
- 液導入口と液排出口とを有する容器内を前記逆浸透膜で仕切り、該液導入口から導入した前記共重合体を含む水溶液を該逆浸透膜に透過させて該液排出口から排出させて通水することにより、該逆浸透膜に前記共重合体を接触させることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の逆浸透膜の耐汚染化処理方法。
- ポリアルキレンオキサイド鎖を有するモノマーとベタイン系化合物よりなるモノマーとの共重合体を含む逆浸透膜の耐汚染化処理剤。
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