以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
近年では、車両に搭載した車載カメラによって自車両の前方の車外環境を撮像し、撮像した画像内における色情報や位置情報に基づいて先行車両等の立体物を特定し、特定された立体物との衝突を回避したり、先行車両との車間距離を安全な距離に保つ(ACC:Adaptive Cruise Control)、所謂衝突防止機能を搭載した車両が普及しつつある。
かかるACCや衝突防止機能では、例えば、自車両前方に位置する立体物の、自車両との相対距離を導出し、かかる相対距離に基づいて、自車両の前方に位置する立体物との衝突を回避したり、立体物が車両(先行車両)であった場合、その先行車両との相対距離を安全な距離に保つように制御する。以下、このような目的を達成するための環境認識システムを説明し、その具体的な構成要素である車外環境認識装置を詳述する。
(環境認識システム100)
図1は、環境認識システム100の接続関係を示したブロック図である。環境認識システム100は、自車両1内に設けられた、撮像装置110と、車外環境認識装置120、420と、車両制御装置(ECU:Engine Control Unit)130とを含んで構成される。
撮像装置110は、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含んで構成され、自車両1の前方に相当する環境を撮像し、3つの色相(R(赤)、G(緑)、B(青))からなる輝度画像やモノクロ画像の画像データを生成する。ここでは、撮像装置110で撮像された画像を輝度画像として採用し、後述する距離画像と区別する。
また、撮像装置110は、自車両1の進行方向側において2つの撮像装置110それぞれの光軸が略平行になるように、略水平方向に離隔して配置される。撮像装置110は、自車両1の前方の検出領域に存在する立体物を撮像した画像データを、例えば1/60秒のフレーム毎(60fps)に連続して生成する。ここで、画像内において認識する立体物は、車両、歩行者、信号機、道路(進行路)、ガードレール、建物といった独立して存在する立体物のみならず、ブレーキランプ、ハイマウントストップランプ、テールランプ、ウィンカー、信号機の各点灯部分等、立体物の一部として特定できる物も含む。以下の実施形態における各機能部は、このような画像データの更新を契機としてフレーム毎に各処理を遂行する。
車外環境認識装置120、420は、2つの撮像装置110それぞれから画像データを取得し、所謂パターンマッチングを用いて視差を導き出し、導出された視差情報(後述する奥行距離に相当)を画像データに対応付けて距離画像を生成する。輝度画像および距離画像については後ほど詳述する。また、車外環境認識装置120、420は、自車両1との相対距離を含む実空間における三次元の位置情報を用いて、自車両1前方の検出領域における立体物がいずれの特定物(例えば、先行車両)に対応するかを特定する。
車外環境認識装置120、420は、立体物を任意の特定物、例えば、先行車両を特定すると、その先行車両を追跡しつつ、先行車両との相対距離および先行車両の相対速度等を導出し、先行車両と自車両1とが衝突する可能性が高いか否かの判定を行う。そして、先行車両と衝突の可能性が高いと判定した場合、車外環境認識装置120、420は、その旨、運転者の前方に設置されたディスプレイ122を通じて運転者に警告表示(報知)を行うとともに、車両制御装置130に対して、その旨を示す情報を出力する。
車両制御装置130は、ステアリングホイール132、アクセルペダル134、ブレーキペダル136を通じて運転者の操作入力を受け付け、操舵機構142、駆動機構144、制動機構146に伝達することで自車両1を制御する。また、車両制御装置130は、車外環境認識装置120、420の指示に従い、駆動機構144、制動機構146を制御する。例えば、車外環境認識装置120、420から先行車両と衝突の可能性が高い旨の情報が入力されると、車両制御装置130は、制動機構146を通じて運転者のブレーキ操作を支援する。
以下、車外環境認識装置120、420の構成について詳述する。ここでは、本実施形態に特徴的な、所定の特定物を特定する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
(第1の実施形態:車外環境認識装置120)
図2は、第1の実施形態にかかる車外環境認識装置120の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図2に示すように、車外環境認識装置120は、I/F部150と、データ保持部152と、中央制御部154とを含んで構成される。
I/F部150は、撮像装置110や車両制御装置130との双方向の情報交換を行うためのインターフェースである。データ保持部152は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、以下に示す各機能部の処理に必要な様々な情報を保持し、また、撮像装置110から受信した画像データを一時的に保持する。
中央制御部154は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、システムバス156を通じて、I/F部150、データ保持部152等を制御する。また、本実施形態において、中央制御部154は、画像取得部160、画像処理部162、位置情報導出部164、クラスタ生成部166、クラスタ位置導出部168、グループ生成部170、クラスタ幅導出部172、グループ幅導出部174、グループ解除部176、特定物特定部178としても機能する。以下、各機能部の動作を説明するとともに、本実施形態に特徴的な車外環境認識処理について詳述する。
(車外環境認識処理)
図3は、第1の実施形態にかかる車外環境認識処理を示すフローチャートである。車外環境認識装置120の画像取得部160は、2つの撮像装置110それぞれから画像データ(輝度画像)を取得する(S300)。
画像処理部162は、一方の画像データから任意に抽出したブロック(例えば水平4画素×垂直4画素の配列)に対応するブロックを他方の画像データから検索する、所謂パターンマッチングを用いて視差、および、任意のブロックの画面内の位置を示す画面位置を含む視差情報を導出する(S302)。ここで、水平は、撮像した画像の画面横方向を示し、垂直は、撮像した画像の画面縦方向を示す。このパターンマッチングとしては、一対の画像間において、任意のブロック単位で輝度(Y)を比較することが考えられる。例えば、輝度値の差分をとるSAD(Sum of Absolute Difference)、差分を2乗して用いるSSD(Sum of Squared intensity Difference)や、各画素の輝度から平均値を引いた分散値の類似度をとるNCC(Normalized Cross Correlation)等の手法がある。画像処理部162は、このようなブロック単位の視差導出処理を検出領域(例えば600画素×200画素)に映し出されているすべてのブロックについて行う。ここでは、ブロックを4画素×4画素としているが、ブロック内の画素数は任意に設定することができる。
ただし、画像処理部162では、検出分解能単位であるブロック毎に視差を導出することはできるが、そのブロックがどのような立体物の一部であるかを認識できない。したがって、視差情報は、立体物単位ではなく、検出領域における検出分解能単位(例えばブロック単位)で独立して導出されることとなる。ここでは、このようにして導出された視差情報を画像データに対応付けた画像を、上述した輝度画像と区別して距離画像という。
図4は、輝度画像126と距離画像128を説明するための説明図である。例えば、2つの撮像装置110を通じ、検出領域124について図4(a)のような輝度画像(画像データ)126が生成されたとする。画像処理部162は、このような輝度画像126からブロック毎の視差を求め、図4(b)のような距離画像128を形成する。距離画像128における各ブロックには、そのブロックの視差が関連付けられている。ここでは、説明の便宜上、視差が導出されたブロックを黒のドットで表している。
図3に戻って説明すると、位置情報導出部164は、距離画像128における検出領域124内のブロック毎の視差情報を、ステレオ法を用いて、水平距離x、(道路表面からの)高さyおよび相対距離zを含む三次元の位置情報に変換する(S304)。ステレオ法は、三角測量法を用いることで、立体物の視差からその立体物の撮像装置110に対する相対距離を導出する方法である。ここで、視差情報が、距離画像128における各ブロックの視差を示すのに対し、三次元の位置情報は、実空間における各ブロックの相対距離の情報を示す。また、視差情報が画素単位ではなくブロック単位、即ち複数の画素単位で導出されている場合、その視差情報はブロックに属するすべての画素の視差情報とみなして、画素単位の計算を実行することができる。かかる三次元の位置情報への変換については、特開2013−109391号公報等、既存の技術を参照できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
続いて、クラスタ生成部166は、三次元位置が所定の第1範囲内である複数のブロックをクラスタ化してクラスタを生成する。
図5および図6は、クラスタ生成部166の処理を説明するための図である。クラスタ生成部166は、まず、距離画像128の検出領域124を、水平方向に対して複数の分割領域216に分割する(S306)。すると、分割領域216は図5(a)のような短冊形状になる。このような短冊形状の分割領域216は、本来、例えば、水平幅4画素のものが150列配列してなるが、ここでは、説明の便宜上、検出領域124を16等分したもので説明する。
続いて、クラスタ生成部166は、分割領域216毎に、位置情報に基づき、道路表面より上方に位置するすべてのブロックを対象に、複数に区分した所定距離それぞれに含まれる相対距離を積算してヒストグラム(図5(b)中、横長の四角(バー)で示す)を生成する(S308)。すると、図5(b)のような距離分布218が得られる。ここで、縦方向は、区分した所定距離(距離区分)を、横方向は、距離区分それぞれに相対距離が含まれるブロックの個数(度数)を示している。ただし、図5(b)は計算を行う上での仮想的な画面であり、実際には視覚的な画面の生成を伴わない。そして、クラスタ生成部166は、このようにして導出された距離分布218を参照し、ピークに相当する相対距離である代表距離(図5(b)中、黒で塗りつぶした四角で示す)220を特定する(S310)。ここで、ピークに相当するとは、ピーク値またはピーク近傍で任意の条件を満たす値をいう。
次に、クラスタ生成部166は、隣接する分割領域216同士を比較し、図6に示すように、代表距離220が近接する(例えば、0.1m以下に位置する)分割領域216をグループ化して1または複数の分割領域群222を生成する(S312)。このとき、3以上の分割領域216で代表距離220が近接していた場合にも、連続するすべての分割領域216を分割領域群222として纏める。これにより、クラスタ生成部166は、道路表面より上方に位置する1または複数の立体物を特定物の候補とすることができる。
続いて、クラスタ生成部166は、分割領域群222内における、相対距離zが代表距離220に相当するブロックを基点として、そのブロックと、三次元位置が所定の第1範囲内(水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分が予め定められた範囲(例えば0.1m)内)にあるブロックとを、同一の立体物に対応すると仮定してクラスタ化する(S314)。
こうして、仮想的なブロック群であるクラスタ224が生成される。上記の第1範囲は実空間上の距離で表され、製造者や搭乗者によって任意の値に設定することができる。また、クラスタ生成部166は、クラスタ化により新たに追加されたブロックに関しても、そのブロックを基点として、第1範囲内にあるブロックをさらにクラスタ化する。結果的に、同一の立体物と仮定可能なブロックすべてがクラスタ化されることとなる。
また、ここでは、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分をそれぞれ独立して判定し、すべてが第1範囲に含まれる場合のみ同一のクラスタ224としているが、他の計算によることもできる。例えば、第1範囲として、水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分の二乗平均√((水平距離xの差分)2+(高さyの差分)2+(相対距離zの差分)2)が所定範囲に含まれる場合に同一のクラスタ224としてもよい。かかる計算により、ブロック同士の実空間上の正確な距離を導出することができるので、クラスタ化の精度を高めることができる。
図3に戻って説明すると、クラスタ位置導出部168は、位置情報導出部164によって導出されたブロックの三次元位置に基づいて、クラスタ224の三次元位置であるクラスタ三次元位置をクラスタ224ごとに導出する(S316)。クラスタ位置導出部168は、例えば、クラスタ224を構成するブロックの重心位置を、クラスタ三次元位置として導出したり、クラスタ224を構成するブロックの三次元位置の平均値をクラスタ三次元位置として導出したり、またはクラスタ224を構成するブロックの出現頻度が最も高い三次元位置を、クラスタ三次元位置とすることができる。
グループ生成部170は、クラスタ三次元位置が、上記第1範囲よりも大きい第2範囲内(水平距離xの差分、高さyの差分および相対距離zの差分が予め定められた範囲(例えば0.5m)内)である複数のクラスタ224をグループ化してグループを生成する(S318)。
図7および図8は、グループ生成部170によるグループ化処理S318を説明するための図であり、図7(a)、図8(a)、図8(d)は、輝度画像126を示し、図7(b)、図8(b)、図8(e)は、クラスタ生成部166が生成するクラスタ224の概念図を示し、図8(c)、(f)は、グループ生成部170が生成するグループ226の概念図を示す。ただし、図7(b)、図8(b)、図8(c)、図8(e)、図8(f)は計算を行う上での、ブロックの高さに関する情報が省略された仮想的な画面であり、実際には視覚的な画面の生成を伴わない。
例えば、図7(a)に示すように、晴天の環境下において、先行車両を含む車外環境を撮像した場合、先行車両全体が輝度画像126に写りこむこととなる。かかる輝度画像126から形成された距離画像128に基づいて、クラスタ生成部166がクラスタ224を生成すると、図7(b)に示すように、1の先行車両が1のクラスタ224として生成されることとなる。
一方、図8(a)に示すように、降雨や降雪等の環境下において、先行車両を含む車外環境を撮像した場合、先行車両に降下物が重畳され、先行車両が降下物によって分断(分割)されて輝度画像126に写りこむことがある。かかる輝度画像126から形成された距離画像128に基づいて、クラスタ生成部166がクラスタ224を生成すると、図8(b)に示すように、1の先行車両から複数(例えば、3つ)のクラスタ224が生成されることとなる。この場合、図8(c)に示すように、グループ生成部170は、クラスタ三次元位置が、上記第1範囲よりも大きい第2範囲内である複数のクラスタ224をグループ化してグループ226を生成することにより、1の立体物(先行車両)を、1のグループ226(ブロック群)として扱うことができる。
また、図8(a)に示すように、輝度画像126には、降下物(雨粒、雪粒等)の像が線形状になって写りこむ。したがって、降下物についても、クラスタ224が生成されることとなるが、クラスタ三次元位置が、第2範囲外である場合には、図8(c)に示すように当該降下物に基づくクラスタ224はグループ化されない。
しかし、図8(d)、図8(e)に示すように、降下物に基づく複数のクラスタ224の三次元位置が第2範囲内である場合、降下物に基づく複数のクラスタ224を、誤ってグループ化してしまい(図8(f)参照)、後述する特定物特定部178が、先行車両等の特定物と誤判断してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、降下物に基づくクラスタ224の水平方向の幅が短いことや、降下物に基づくクラスタ224同士の水平方向の離隔距離が大きいことに着目し、グループ226を構成するクラスタ224の特徴を判定することで、降下物に基づくクラスタ224のグループ化を解除する。以下、かかる処理を実行するクラスタ幅導出部172、グループ幅導出部174、グループ解除部176について詳述する。
図9は、クラスタ幅導出部172、グループ幅導出部174、グループ解除部176の処理を説明するための図である。クラスタ幅導出部172は、クラスタ三次元位置および輝度画像126におけるクラスタ224の占有領域に基づいてクラスタ224の水平方向の幅(以下、「クラスタ幅CW」と称する)をクラスタ224ごとに導出する(S320)。ここで、クラスタ幅導出部172は、クラスタ224の占有領域の外接矩形の水平方向の幅をクラスタ幅CWとして導出する。なお、外接矩形は、長方形であり、外縁の横方向が画像の横方向に平行となり、外縁の縦方向が画像の縦方向に平行となる。
グループ幅導出部174は、クラスタ三次元位置およびクラスタ幅CWに基づいて、グループ226の水平方向の幅(以下、「グループ幅GW」と称する)を導出する(S322)。例えば、グループ幅導出部174は、図9に示すように、グループ226を構成するクラスタ224のうち、最も左側に位置するクラスタ224Aの左端から、最も右側に位置するクラスタ224Cの右端までの水平方向の幅をグループ幅GWとする。
グループ解除部176は、グループ226が、下記(1)〜(3)に示す解除条件をすべて満たすか否かを判定し(S324)、解除条件をすべて満たした場合(S324におけるYES)、グループ226のグループ化を解除してクラスタ224に戻す(S326)。一方、解除条件をすべて満たさない場合(S324におけるNO)、グループ226のグループ化を解除せず、後述する特定物特定処理S328に移る。
上記解除条件(1)は、グループ226を構成する複数のクラスタ224のクラスタ幅CWの合計値が、グループ幅GWに基づいて決定される第1閾値未満であることである。第1閾値は、グループ幅GWに所定の係数(1未満)を乗算した値である。ここで、第1閾値は、例えば、降雨や降雪等の環境下において先行車両を撮像した場合に生成されたクラスタ224をグループ化したとき、グループ226を構成する複数のクラスタ224のクラスタ幅CWの合計値が、第1閾値以上となるように設定される値である。
降下物に基づくクラスタ224は、撮像装置110の露光時間の間に降下した降下物の像に基づいてクラスタ化されたものである。降下物は、撮像装置110の露光時間の間に水平方向にほとんど移動しないため、降下物に基づくクラスタ224のクラスタ幅CWは小さい。したがって、降下物に基づくクラスタ224がグループ化された場合、グループ幅GWにおける、複数のクラスタ224のクラスタ幅CWの合計値が占める割合は小さくなる。
一方、水平方向の幅が降下物よりも大きい1の立体物(例えば、先行車両)から、複数のクラスタ224が生成されるということは、例えば、立体物に降下物が重畳して撮像された場合である。つまり、水平方向の幅が降下物よりも大きい1の立体物から、複数のクラスタ224が生成される際のクラスタ224のクラスタ幅CWの合計値が、降下物に基づく複数のクラスタ224のクラスタ幅CWの合計値よりも小さくなることはないと考えられる。したがって、1の立体物から生成された複数のクラスタ224がグループ化された場合、グループ幅GWにおける、複数のクラスタ224のクラスタ幅CWの合計値が占める割合は大きくなる。
したがって、上記解除条件(1)を満たすか否かを判定することにより、グループ226を1の立体物としてみなせるかを判定することができる。
上記解除条件(2)は、グループ226において、すべてのクラスタ224のクラスタ幅CWが第2閾値未満であることである。第2閾値は、所定の特定物(例えば、先行車両)の少なくとも一部として特定されるべき水平方向の幅に基づいて設定され、例えば、雨粒や雪粒等の降下物の水平方向の幅を上回る大きさであるナンバープレートの水平方向の幅である。
水平方向の幅が降下物よりも大きい1の立体物から、複数のクラスタ224が生成される際、複数のクラスタ224のうち水平方向の幅が最も小さいクラスタ224のクラスタ幅CWであっても、降下物に基づくクラスタ224のクラスタ幅CWよりも小さくなる可能性は低い。また、複数のクラスタ224のうち水平方向の幅が最も小さいクラスタ224のクラスタ幅CWは、少なくとも、ナンバープレートの水平方向の幅より大きくなる可能性が高い。
そこで、解除条件(2)を満たすか否かを判定することにより、グループ226を構成するすべてのクラスタ224が、1の立体物として特定すべき水平方向の幅を有していないかを判定することができる。
上記解除条件(3)は、グループ226において隣り合う2つのクラスタ224間の水平方向の離隔距離(以下、「離隔距離RK」と称する)のいずれかが第3閾値以上であるクラスタ224があることである。第3閾値は、1の立体物とすべき離隔距離に基づいて設定される。ここで、第3閾値は、例えば、降雨や降雪等の環境下において先行車両を撮像した場合に生成された複数のクラスタ224をグループ化したとき、グループ226において隣り合う2つのクラスタ224間の離隔距離RKのすべてが第3閾値未満となるように設定される値である。
降雨や降雪等の環境下において、隣り合う降下物間の離隔距離が降下物の水平方向の幅よりも小さくなる可能性は低い。したがって、降下物に基づくクラスタ224がグループ化されたグループ226において、隣り合う2つのクラスタ224間の離隔距離RKは、降下物の水平方向の幅(降下物に基づくクラスタ224のクラスタ幅CW)より大きくなる。一方、水平方向の幅が降下物よりも大きい1の立体物から、複数のクラスタ224が生成された場合の、隣り合う2つのクラスタ224間の離隔距離RKは、降下物の水平方向の幅(降下物に基づくクラスタ224のクラスタ幅CW)程度と小さい。
そこで、解除条件(3)を満たすか否かを判定することにより、グループ226を構成するクラスタ224において、降下物に基づくクラスタ224が含まれているかを判定することができる。
なお、2つのクラスタ224がグループ化されてグループ226が生成される場合、上記解除条件(1)と解除条件(3)は、実質的に等しい条件とみなすことができる。具体的に説明すると、上記解除条件(1)は、グループ幅GWに対する、2つのクラスタ224のクラスタ幅CWa、CWbの合計値が占める割合を判定する条件、換言すれば、(CWa+CWb)/GWが第1閾値未満であることである。また、解除条件(3)は、2つのクラスタ224間の離隔距離RKを判定する条件である。2つのクラスタ224がグループ化された場合、解除条件(1)の(CWa+CWb)/GWは、(GW−RK)/GWと言い換えることもできるため、上記解除条件(1)と解除条件(3)は、実質的に等しい条件とみなすことができると言える。
したがって、グループ解除部176は、2つのクラスタ224がグループ化されたグループ226を判定する場合、上記解除条件(1)および解除条件(2)を満たすか否かを判定すればよい。
また、この場合、第1閾値は、グループ幅GWに加えて、複数のクラスタ224の相対距離zに基づいて決定されるとよい。具体的に説明すると、1の立体物からクラスタ224が生成された場合、クラスタ224を構成するブロック数は、相対距離zが小さいと多くなり、相対距離zが大きいと少なくなる。ここで、グループ幅GWに乗算する係数を固定値とすると、相対距離zが大きい場合、1の立体物からグループ226が生成された場合であっても、グループ226が解除されてしまう場合がある。
仮に、自車両1から降下物までの相対距離zが等しく、自車両1から先行車両までの相対距離zが異なるとし、降下物の水平方向の幅が等しい場合について説明する。この場合において、先行車両が降下物によって分断(分割)されて輝度画像126に写りこむとすると、相対距離zが大きい先行車両に基づくクラスタ224は、相対距離zが小さい先行車両のクラスタ224と比較して、クラスタ幅CWは小さく、離隔距離RKは大きくなる。ここで、グループ幅GWに乗算する係数を固定値とすると、相対距離zが大きい場合、1の立体物からグループ226が生成された場合であっても、クラスタ幅CWが小さく第1閾値未満となったり、離隔距離RKが大きく第3閾値以上となったりして、グループ226が解除されてしまう場合がある。
そこで、第1閾値については、相対距離zに応じてグループ幅GWに乗算する係数を変化させる、例えば、相対距離zが大きい場合には、相対距離zが小さい場合よりも小さい係数を乗算する。これにより、相対距離zによって、グループ226が解除されてしまう事態を回避することが可能となる。
図3に戻って説明すると、特定物特定部178は、グループ226、および、グループ化されていないクラスタ224を1の立体物とし、当該立体物がいずれの特定物に対応するか特定する。本実施形態において、特定物特定部178は、特に、立体物が、予め定められた車両に相当する所定の条件を満たしていれば、その立体物を特定物「車両」として決定する(S328)。例えば、特定物特定部178は、立体物が道路上に位置する場合、その立体物全体の大きさが、特定物「車両」の大きさに相当するか否かを判定し、特定物「車両」の大きさに相当すると判定されれば、その立体物を特定物「車両」と特定する。
こうして、車外環境認識装置120では、距離画像128から、立体物を、特定物、例えば、車両(先行車両)として抽出することができ、その情報を様々な制御に用いることが可能となる。例えば、検出領域124内の任意の立体物が車両であると特定されると、特定した車両(先行車両)を追跡し、相対距離や相対加速度を検出して、先行車両との衝突を回避したり、先行車両との車間距離を安全な距離に保つように制御することができる。
以上説明したように、本実施形態にかかる車外環境認識装置120によれば、雨粒や雪粒等の降下物を、車両や歩行者等の特定物と誤判断する事態を回避し、特定物の特定精度を向上することが可能となる。
(第2の実施形態:車外環境認識装置420)
上記第1の実施形態では、クラスタ224をグループ化してグループ226とした後、上記解除条件(1)〜(3)をすべて満たした場合、グループ226を解除してクラスタ224に戻す構成について説明した。しかし、クラスタ224をグループ化する際に、解除条件を結合条件として用いて、結合条件を満たすか否かを判定してもよい。第2の実施形態では、クラスタ224をグループ化する際に、結合条件を判定する構成について説明する。
図10は、第2の実施形態にかかる車外環境認識装置420の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図11は、第2の実施形態にかかる車外環境認識処理を示すフローチャートである。
図10に示すように、車外環境認識装置420は、I/F部150と、データ保持部152と、中央制御部454とを含んで構成される。
中央制御部454は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、システムバス156を通じて、I/F部150、データ保持部152等を制御する。また、本実施形態において、中央制御部454は、画像取得部160、画像処理部162、位置情報導出部164、クラスタ生成部166、クラスタ位置導出部168、クラスタ幅導出部172、グループ生成部470、特定物特定部178としても機能する。
なお、第1の実施形態における構成要素と実質的に機能が等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、機能が異なるグループ生成部470を主に説明する。また、第1の実施形態における処理と実質的に等しい処理については、同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、結合条件判定処理S510、グループ化処理S512について説明する。
グループ生成部470は、まず、クラスタ三次元位置が、第1範囲よりも大きい第2範囲内である複数のクラスタ224を仮にグループ化した場合のグループ幅GWを導出する。そして、グループ生成部470は、クラスタ三次元位置が、第1範囲よりも大きい第2範囲内である複数のクラスタ224について、上記解除条件(1)〜(3)を結合条件(1)〜(3)として用いて、結合条件(1)〜(3)のいずれかを満たすか否かを判定する(S510)。
そして、上記結合条件(1)〜(3)のいずれかを満たす場合(S510におけるYES)、グループ生成部470は、複数のクラスタ224をグループ化して、グループ226を生成する(S512)。
また、グループ生成部470は、2つのクラスタ224をグループ化する場合、上記解除条件(1)と解除条件(2)との関係と同様に、上記結合条件(1)と結合条件(3)を、実質的に等しい条件とみなすことができる。このため、2つのクラスタ224をグループ化する場合、グループ生成部470は、上記結合条件(1)または結合条件(2)を満たすか否かを判定すればよい。
以上説明したように、本実施形態にかかる車外環境認識装置420によっても、雨粒や雪粒等の降下物を、車両や歩行者等の特定物と誤判断する事態を回避し、特定物の特定精度を向上することが可能となる。
また、コンピュータを、車外環境認識装置120、420として機能させるプログラムや当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した第1の実施形態において、グループ解除部176が3つ以上のクラスタ224で構成されるグループ226を判定する場合、上記解除条件(1)〜(3)をすべて満たすか否かを判定する構成について説明した。しかし、少なくとも上記解除条件(1)および解除条件(2)を満たすか否かを判定すればよい。
また、上述した第2の実施形態において、グループ生成部470が3つ以上のクラスタ224をグループ化する場合、上記結合条件(1)〜(3)(解除条件(1)〜(3))のいずれかを満たすか否かを判定する構成について説明した。しかし、上記結合条件(1)〜(3)のうち、複数の結合条件を満たすか否かを判定してもよい。
また、上述した実施形態において、グループ生成部170、470が、2つのクラスタ224をグループ化して1のグループ226を生成する場合、第1閾値は、グループ幅GWに加えて、複数のクラスタ224の相対距離zに基づいて決定される構成を例に挙げて説明した。しかし、第1閾値は、グループ幅GWのみに基づいて決定されてもよい。
なお、本明細書の車外環境認識処理の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。