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JP6315998B2 - 負極及び非水電解質電池 - Google Patents
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JP6315998B2 - 負極及び非水電解質電池 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、負極及び非水電解質電池に関する。
近年、Liイオンが負極と正極との間を移動することにより充放電が行われる非水電解質電池が、エネルギー問題や環境問題等の観点から、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)、太陽光発電などの定置型発電システム用の大型蓄電デバイスとして期待されている。
このような非水電解質電池は、小型の携帯電話やノートパソコン等に用いられる非水電解質電池以上に、長時間の使用に耐え得る特性や、万が一の事故時にも発火や爆発の危険性の低い性質が求められている。
カーボン系負極を用いた非水電解質電池では、低温での作動時や長期使用による劣化時に負極上に金属リチウム、いわゆるデンドライトが析出することが知られている。これは、カーボン負極のリチウム吸蔵及び放出電位が、0.1V vs Li/Li+付近であり、リチウムの析出電位に近いためである。デンドライトは、針状の形状である。そのため、デンドライトは、セパレータを貫通して内部短絡を引き起こすおそれがある。このような内部短絡は、電池の異常発熱を引き起こす可能性があり、危険である。
一方、デンドライトの析出は、リチウムの吸蔵及び放出電位がカーボン負極よりも貴な負極活物質を用いることで抑制することができる。このような活物質の例として、金属酸化物負極(例えばリチウムチタン複合酸化物)、合金系負極(例えばスズ)などが挙げられる。このうち、チタン酸リチウム、特にLi4Ti512はLiイオンの挿入及び脱離の際に結晶格子のサイズや構造がほとんど変化しないため、サイクル安定性が極めて高い材料として知られている。しかしながら、Li4Ti512の理論容量は、175mAh/gであり、カーボン負極の336mAh/gと比べ半分程度である。そのため、Li4Ti512を用いると、電池のエネルギー密度がカーボン系負極に比べ低下してしまうという問題がある。
特開2012-099287号公報 特開2005−135872号公報 特許第4597666号明細書 特開2013−84601号公報
本発明は、寿命特性及びレート特性に優れる非水電解質電池を実現できる負極と、優れた寿命特性及びレート特性を示すことができる非水電解質電池とを提供することを目的とする。
第1の実施形態によると、負極が提供される。この負極は負極材料層を具備する。この負極材料層は、複数の負極活物質粒子と、第2の導電助剤とを含む。複数の負極活物質粒子のそれぞれは、二次粒子と、二次粒子の表面の少なくとも一部に接した第1の導電助剤とを含む。二次粒子は、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の複数の一次粒子が凝集してなる。第2の導電助剤は、第1の導電助剤に接している。第2の導電助剤は、負極活物質粒子間に配されている。第1の導電助剤は、負極材料層からラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域内に現れるDバンドと、1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域内に現れるGバンドとを有する。また、第1の導電助剤は、このラマンスペクトルにおいて、Gバンドのピーク強度のDバンドのピーク強度に対する比が0.5〜1.3の範囲内にある。第2の導電助剤は、負極材料層からラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域内に現れるDバンドと、1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域内に現れるGバンドとを有する。第2の導電助剤は、このラマンスペクトルにおいて、Gバンドのピーク強度のDバンドのピーク強度に対する比が1.5〜10の範囲内にある。
第2の実施形態によると、非水電解質電池が提供される。この非水電解質電池は、負極と、正極と、非水電解質とを具備する。負極は、第1の実施形態に係る負極である。
図1は、第1の実施形態に係る一例の負極の一部分のラマンスペクトルを示している。 図2は、第1の実施形態に係る一例の負極の負極材料層の一部の概略断面図である。 図3は、第2の実施形態に係る一例の非水電解質電池の概略断面図である。 図4は、図3に示す非水電解質電池のA部の拡大断面図である。 図5は、実施例1の負極の一部の顕微ラマン画像である。 図6は、図5のBで示すセグメントについてのラマンスペクトルである。 図7は、図5のCで示すセグメントについてのラマンスペクトルである。
以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、負極が提供される。この負極は負極材料層を具備する。この負極材料層は、複数の負極活物質粒子と、第2の導電助剤とを含む。複数の負極活物質粒子のそれぞれは、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子と、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に接した第1の導電助剤とを含む。第2の導電助剤は、第1の導電助剤に接している。第2の導電助剤は、負極活物質粒子間に配されている。第1の導電助剤は、負極材料層からラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域内に現れるDバンドと、1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域内に現れるGバンドとを有する。また、第1の導電助剤は、このラマンスペクトルにおいて、Gバンドのピーク強度のDバンドのピーク強度に対する比が0.5〜1.3の範囲内にある。第2の導電助剤は、負極材料層からラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域内に現れるDバンドと、1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域内に現れるGバンドとを有する。第2の導電助剤は、このラマンスペクトルにおいて、Gバンドのピーク強度のDバンドのピーク強度に対する比が1.5〜10の範囲内にある。
近年、リチウムデンドライトの析出を抑制できる電位と高い充放電容量とを備えた材料として、一般式Lix(1-y)NbyNb2(7+δ)で例えば表すことができるニオブ複合酸化物(但し、Mは、TiおよびZrから成る群から選択される少なくとも1種であり、x、yおよびδは、それぞれ0≦x≦6、0≦y≦1および−1≦δ≦1を満たす数である。)を含む電池用活物質が報告されている。特にTiNb27で表される単斜晶型のニオブチタン複合酸化物は、Li4Ti512よりも広い電位範囲でリチウムの挿入及び脱離が可能である。また、リチウムイオンの挿入可能な空間が多く存在する。さらに、リチウムイオンの挿入に伴い、結晶中のNbイオンが5価から3価へと還元されるため、例えば4価から3価へと還元されるTiと比べてより多くのリチウムイオンを挿入しても電気的中性を保つことが出来る。以上の理由により単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、高い充放電容量を示すことができる。
しかしながら、発明者らは、鋭意研究の結果、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、電池の抵抗上昇や電池の膨張を引き起こし得るという知見を得た。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、Li4Ti512よりも卑な電位でLiの挿入及び脱離が可能であり、例えば1V(vs.Li/Li+)付近の電位までLiを挿入することができる。このような高充電状態、すなわち負極電位が卑な状態では、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物中のTi及びNbは、非常に活性となり、非水電解質の分解反応を促進する。非水電解質の分解は、電池の抵抗上昇や電池の膨張を引き起こし得る。
発明者らは、このような知見に基づいて鋭意研究した結果、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に接するように結晶化度の低い第1の導電助剤を配し、結晶化度が高い第2の導電助剤を負極活物質粒子間に配することによって、非水電解質の分解による抵抗の上昇や電池の膨張を抑えることができると共に、低抵抗を達成できることを見出した。
第1の導電助剤は、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子に電子伝導性を付与することができると共に、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面に安定な被膜を形成することができる。
この第1の導電助剤は、結晶化度が低い。具体的には、第1の導電助剤は、負極材料層からラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度のDバンドのピーク強度に対する比(以下、強度比IG/IDと呼ぶ)が0.5〜1.3の範囲内にある。第1の導電助剤は、例えば、結晶化度が低いカーボン材料である。
ここで、Dバンドは、ラマンスペクトルにおいて、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域内に現れるバンドである。また、Gバンドは、1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域内に現れるバンドである。Dバンドのピークは、アモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に起因するピークである。Gバンドのピークは、グラファイト(正確には炭素原子の六角格子内振動)に起因するピークである。そのため、強度比IG/IDが大きいほど結晶化度が高く、強度比IG/IDが小さいほど結晶化度が低い。
強度比IG/IDが0.5〜1.3の範囲内にある第1の導電助剤は、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に接するように配されることで、高充電状態の単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子による非水電解質の分解によって生じた生成物から、安定な被膜を形成し、この被膜を複合酸化物粒子の表面に形成することができる。このようにして形成された被膜は、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子による非水電解質の更なる分解を防ぐことができる。
一方、負極材料層において、第1の導電助剤が、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面に接しておらず、この複合酸化物粒子から離れて配置されている場合、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子による非水電解質の分解は促進されるが、複合酸化物粒子の表面に安定な被膜を形成することができない。その結果、非水電解質の分解が更に進行し、抵抗の上昇及び電池の膨張がより起こりやすくなる。
また、強度比IG/IDが0.5〜1.3の範囲内にある第1の導電助剤は、導電性に優れるため、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子に十分な電子伝導性を与えることができる。
第1の導電助剤の強度比IG/IDが0.5未満である場合、導電性が低下し、活物質に導電性を付与することが出来ない。一方、第1の導電助剤の強度比IG/IDが1.3より大きい場合、活物質表面で非水電解液溶媒を分解した後に安定な被膜を形成することができない。
第2の導電助剤は、負極活物質粒子間の導電ネットワークを形成することができると共に、非水電解質の不純物や溶媒との副反応によるガス発生反応を抑制することができる。
この第2の導電助剤は、結晶化度が高い。具体的には、第2の導電助剤は、負極材料層からラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度のDバンドのピーク強度に対する比、すなわち強度比IG/IDが1.5〜10の範囲内にある。ここで、Dバンド及びGバンドは、先に説明したとおりである。
第2の導電助剤の強度比IG/IDが1.5未満である場合、非水電解質の分解が促進されるが、活物質界面で被膜が形成されないため、ガス発生などが生じてしまい電池の抵抗上昇や電池の膨張が起こり得る。これは第1の導電助剤が単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面から離れて配置されている場合と同じ現象である。一方、第1の導電助剤の強度比IG/IDが10より大きい場合、電極への分散性、活物質粒子への結着性が低下するため、粒子間に配置することが困難になる。
結晶化度の低い第1の導電助剤を単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に接するように配するのは、先に説明したように、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物による特有の現象のため、すなわち高電位状態の単斜晶型ニオブチタン複合酸化物が非水電解質を分解し得るためである。例えば、Li4Ti512は、Ti及びNbの活性が高くなる1V(vs.Li/Li+)付近の電位では充放電反応をほとんど起こすことができない。Li4Ti512による非水電解質の分解反応は起きたとしてもすぐに収束するため、Li4Ti512に接する導電助剤はその反応に関与し難い。言い換えると、Li4Ti512による非水電解質の分解反応は、その表面に接する導電助剤の結晶化度にはあまり依存しない。
それに対し、第1の実施形態に係る負極は、先に説明したように、負極材料層において、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に接するように結晶化度の低い第1の導電助剤を配することで、上記単斜晶型ニオブチタン複合酸化物による特有の現象である非水電解質の分解を敢えて利用し、この非水電解質の分解の結果得られた被膜により、更なる非水電解質の分解を抑えることができる。
このように、第1の実施形態に係る負極を非水電解質電池において用いると、非水電解質の分解を抑えることができる。また、第1の実施形態に係る負極を非水電解質電池で用いると、抵抗の上昇を抑えることができると共に、第1の導電助剤及び第2の導電助剤の導電性を十分に利用することができる。これらのおかげで、第1の実施形態に係る負極は、寿命特性及びレート特性に優れる非水電解質電池を実現できる。
次に、第1の実施形態に係る負極をより詳細に説明する。
第1の実施形態に係る負極は、負極材料層を具備する。第1の実施形態に係る負極は、負極集電体を更に具備することができる。負極材料層は、負極集電体上に形成され得る。
負極材料層は、先に説明したように、複数の負極活物質粒子と、第2の導電助剤とを含む。負極活物質粒子のそれぞれは、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子と第1の導電助剤とを含む。
負極活物質粒子は、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の一次粒子であってもよい。この場合、この負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に第1の導電助剤が接している。
或いは、負極活物質粒子は、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の一次粒子が凝集してなる二次粒子であってもよい。この場合、負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に第1の導電助剤が存在する。例えば、負極活物質粒子は、複数の単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の一次粒子が凝集してなる二次粒子であり、各一次粒子の表面に第1の導電助剤が接しているものでもよい。又は、負極活物質粒子は、複数の単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の一次粒子が凝集してなる二次粒子であり、この二次粒子の表面の少なくとも一部に第1の導電助剤が接しているものでもよい。
負極活物質粒子は、複数の単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の一次粒子が凝集してなる二次粒子であり、各一次粒子の表面に第1の導電助剤が接しているものであることがより好ましい。このような負極活物質粒子では、二次粒子内部において非水電解質が保持されやすいだけでなく、隣り合う一次粒子のそれぞれの表面に接する第1の導電助剤が、それぞれの単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の一次粒子の表面における非水電解質の分解を抑制する安定な被膜の形成を促進することができる。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の一次粒子は、平均粒子径が0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。
負極活物質粒子は、平均粒子径が1μm以下で、N2ガス吸着によるBET法での比表面積が5〜50m2/gの範囲にあることが好ましい。このような平均粒子径および比表面積を有する負極活物質粒子は、その利用率が高めることができ、実質的な容量が大きくすることができる。
負極活物質粒子が含む単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、例えば、一般式LixNb2TiO7で表わすことができる化合物である。ここで、添字xは、0≦x≦6の範囲内の数であり、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の充電状態により変化する。なお、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は厳密にはリチウム元素を含まないが、この複合酸化物は、非水電解質電池において使用するとLiが挿入され、放電に供してもLiが完全に放出されないことがある。一般式LixNb2TiO7で表される化合物は、一般式一般式LixNb2TiO7±δで表される化合物も包含する。ここで、添字δは、0≦δ≦0.3の範囲内の数であり、製造プロセスに起因する酸素欠損など、様々な要因に依存する変数である。
負極活物質粒子が含む単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、一般式LixNb2TiO7で表わすことができる化合物以外の化合物でもよい。例えば、チタンの一部を他金属で置換した一般式Nb2Ti1-xx7(式中、0<x<1であり、元素MはNb,V、Ta,Bi、Sb、As、P、Cr、Mo、W、B、Na、Mg、Al及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種である)を挙げることができる。
負極材料層は、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子を含む複数の負極活物質粒子以外の1種類以上の負極活物質粒子を含むこともできる。
第1の導電助剤は、先に説明したように、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に接している。第1の導電助剤は、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の全体に接していることが好ましい。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の全体に接した第1の導電助剤は、非水電解質の分解の進行を抑制する安定な被膜を、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の全表面に形成することができる。その結果、より優れた寿命特性及びレート特性を達成することができる。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の全体に接している場合、第1の導電助剤の厚さは、0.01μm〜0.5μmの範囲内にあることが好ましい。
強度比IG/IDが0.5〜1.3の範囲内にある第1の導電助剤としては、例えば、カーボン源を単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面上で炭化することによって形成されるものを挙げることができる。カーボン源としては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレンなどの炭化水素ガス、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン等の液体炭化水素を気化したものを用いることができる。第1の導電助剤の強度比IG/IDは、例えば、形成条件などを調節することによって制御することができる。
強度比IG/IDが1.5〜10の範囲内にある第2の導電助剤としては、例えば、グラファイト、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーからなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。なお、理論上、純グラファイトであれば、Dバンドに対応するラマン活性を持たないため、強度比IG/IDは無限大となる。しかしながら、現実的には、負極材料層に含まれるこれらの材料は、ダイヤモンド状の不純物層などが混ざるため、Dバンドに対応するラマン活性を有する。そのため、上記材料のうち少なくとも1種を含む第2の導電助剤は、強度比IG/IDが1.5〜10の範囲内となりうる。
負極材料層は、結着剤を更に含むことができる。結着剤は、負極材料層中の負極活物質粒子及び第2の導電助剤と、負極集電体とを結着させるために必要に応じて用いることができる。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム及びスチレンブタジエンゴムが含まれる。
以上に説明した負極材料層は、負極集電体の両面又は片面に形成され得る。また、負極集電体は、表面に負極材料層が形成されていない負極材料層無担持部分を含むことができる。この負極材料層無担持部分は、負極集電タブとして働くことができる。
負極集電体は、負極活物質粒子においてリチウムイオンの吸蔵及び放出が生じる電位範囲で電気化学的に安定である材料から形成されることが好ましい。そのような材料の例には、銅、ニッケル、ステンレス、アルミニウム、及びアルミニウム合金が含まれる。アルミニウム合金は、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される1種以上の元素を含むことが好ましい。
負極集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。これにより、負極の強度を保ちながら軽量化することができる。
第1の実施形態に係る負極は、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子を調製する。
まず、Tiを含む酸化物又は塩と、Nbを含む酸化物又は塩とを、一般式TiNb27で表される単斜晶型複合酸化物となるようなモル比で混合する。上記の塩は、炭酸塩及び硝酸塩のような、比較的低温で分解して酸化物を生じる塩であることが好ましい。これらの原料化合物を平均粒子径が5μm以下となるまで粉砕し、できるだけ均一になるように混合する。
次いで、得られた混合物を800〜1200℃で仮焼して仮焼物を得た後、焼成する。焼成は、1100〜1500℃の温度範囲で延べ時間5〜30時間をかけて行う。焼成後、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子が得られる。
上記のように合成された単斜晶型ニオブチタン複合酸化物には、充電によりリチウムイオンが挿入される。或いは、合成原料に炭酸リチウムのようなリチウムを含む化合物を用いることにより、予めリチウムを含む単斜晶型複合酸化物を得ることもできる。
次に、第1の導電助剤を、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面に接するように配する。例えば、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子を、カーボン源としての炭化水素系ガスとともに気相中で加熱することにより、第1の導電助剤を配することができる。カーボン源としては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレンなどの炭化水素ガス、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン等の液体炭化水素を気化したものを用いることができる。
第1の導電助剤は、具体的には例えば以下のようにして形成することができる。まず、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子を加熱する。次いで、加熱した複合酸化物粒子に対して、上記のカーボン源を導入し、還元雰囲気中で更に加熱する。これにより、カーボン源が複合酸化物粒子の表面上で炭化し、第1の導電助剤が生成する。この方法によると、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面全体に接した第1の導電助剤を形成することができる。第1の導電助剤のラマンスペクトルにおける強度比IG/ID及び厚さなどは、例えば、処理時間、導入量、カーボン源となる炭化水素の熱分解温度と加熱温度で制御することができる。処理時間は単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面積によっても異なるが、通常、10分から5時間程度が望ましい。
第1の導電助剤を形成したのち、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子を、任意の粒子形態となるように、更なる粉砕処理に供することができる。
次いで、表面に第1の導電助剤が配された単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子を凝集して、二次粒子にすることができる。かくして、表面に第1の導電助剤が配された単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の一次粒子又はこの一次粒子を凝集してなる二次粒子である負極活物質粒子が得られる。
次に、以下の手順により、このようにして得られた負極活物質粒子間に、第2の導電助剤を配する。
まず、第2の導電助剤と結着剤とを、適当な溶剤において混合して、分散させる。第2の導電助剤及び結着剤としては、先に説明したものを用いることができる。溶剤としては、例えばNMPを用いることができる。この際、溶剤中に導電助剤を均一に細かく分散させることが望ましい。分散方法としては、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、SCミル、アトライタその他公知の方法を用いることができる。分散状態は、例えば、第2の導電助剤量、結着剤量、溶剤量及び分散強度により制御することができる。なお、結着剤の一部を先に分散させ、残りを負極活物質粒子投入後に混合することもできる。
続いて、先に得られた負極活物質粒子を、第2の導電助剤及び結着剤が分散した溶剤中に投入して、分散させる。負極活物質粒子を第2の導電助剤及び結着剤と混合する際には、負極活物質粒子の形態を壊すことなく分散させることが望ましい。このような分散方法として、羽攪拌、自転・公転ミクサー、プラネタリミクサーその他公知の方法が用いられる。上記の方法により、負極作製用スラリーを製造することができる。
負極作製用スラリーを調製する際、負極活物質、導電助剤(第1の導電助剤及び第2の導電助剤の合計)及び結着剤は、それぞれ、70重量%以上96重量%以下、2重量%以上28重量%以下、2重量%以上28重量%以下の割合で配合することが好ましい。導電助剤の含有量が2重量%以上であると、負極材料層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の含有量が2重量%以上であると、負極材料層と集電体との間の結着性を十分に得ることができる。そのため、上記配合によると、サイクル特性を更に向上させることができる。一方、容量を大きくする観点から、導電助剤及び結着剤はそれぞれ28重量%以下にすることが好ましい。
次に、このようにして作製した負極作製用スラリーを、負極集電体の表面に塗布する。この際、負極集電体に負極作製用スラリーを塗布しない部分を作ることにより、先に説明した負極材料層無担持部分を作ることができる。
次いで、塗布した塗膜を乾燥させて、負極材料層を得る。この負極材料層をプレスすることによって、第1の実施形態に係る負極を得ることができる。 次に、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子と、第1の導電助剤と、第2の導電助剤との位置関係を確認する方法、並びに第1の導電助剤及び第2の導電助剤の結晶化度の確認方法について、説明する。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子と、第1の導電助剤と、第2の導電助剤との位置関係、並びに第1の導電助剤及び第2の導電助剤の結晶化度は、例えば、顕微ラマン分光測定により確認することができる。
顕微ラマン分光測定では、対象となる視野内を分割してスペクトルを取得することができる。従って、顕微ラマン分光測定では、目的とする測定箇所のラマンスペクトルを判断することができる。
更に、顕微ラマン分光測定では、レーザー強度を調整しながら、深さ方向に対して表面組成変動を測定することができる。例えば、負極活物質粒子の表面がカーボンコートされている場合、レーザー強度を強くしていくことで、コート下の活物質のスペクトルが出現するようになり、コートの状態を視覚的に確認することができる。
更に、顕微鏡により、電極表面画像の中から任意の範囲を選択し、ラマンスペクトルを取得することができる。これにより、負極中の単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の1次粒子、負極活物質粒子間などの場所別のスペクトル情報が得られ、カーボン結晶化度と配置との関係を確認することができる。
非水電解質電池が具備した負極における単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面に接した第1の導電剤、及び、負極活物質粒子間に配された第2の導電剤は、例えば、以下の方法によって測定することができる。
まず、検査対象の非水電解質電池を用意する。対象の非水電解質電池の充電状態はいずれの状態であっても構わない。
次に、不活性ガス雰囲気内で、電池を解体し、負極の一部を採取する。例えば、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で、電池を解体し、電解液を抜き取り、電極群中の負極を切り取る。
次いで、切り取った負極を溶媒で洗浄する。溶媒としては、鎖状カーボネート(ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど)やアセトニトリルを用いることができる。洗浄後、不活性ガス雰囲気を保ったまま真空状態にし、負極を乾燥させる。負極の乾燥は、例えば、50℃の真空下で10時間行うことができる。
次いで、乾燥させた負極を顕微ラマン分光測定装置内(例えばレニショー製、inViaラマンマイクロスコープ)にセットし、ラマンスペクトルを測定する。具体的には、顕微鏡を操作し、観察を行なう範囲、例えば50μm四方の視野内で測定を行って、表面画像を得る。このようにして得られた表面画像から、負極活物質粒子の存在を視認することができる。
次いで、観察範囲内を任意のステップで分割してセグメントを生成し、各セグメントについて、ラマンスペクトルを採取する。ラマンスペクトルは、例えば波長532nmのYAGレーザーを照射して取得することができる。レーザー強度は照射強度の0.1%以上20%以内の範囲が好ましい。測定視野にレーザーを照射し、1秒から30秒間程度ラマンスペクトルを測定すると良い。
第1の実施形態に係る負極の負極材料層に対して顕微ラマン分光測定を行った場合、以下のような結果が得られる。
まず、第1の実施形態に係る負極の負極材料層に対して顕微ラマン分光測定を行って得られるラマンスペクトル上に現れ得る各ピークの帰属について説明する。
得られたラマンスペクトル上の1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域(Gバンド)に現れるピークは、先に説明したように、グラファイト(正確には炭素原子の六角格子内振動)に起因するピークである。また、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域(Dバンド)に現れるピークは、先に説明したように、アモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に起因するピークである。ここで、Gバンドのピークのピーク強度をIGとし、Dバンドのピークのピーク強度をIDとする。そして、強度IGを強度IDで除したものを強度比IG/IDとする。この強度比IG/IDが0.5〜1.3の範囲内にある場合、上記Dバンド及び上記Gバンドのピークを第1の導電助剤由来のピークと帰属する。この強度比IG/IDが1.5〜10の範囲内にある場合、上記Dバンド及び上記Gバンドのピークを第2の導電助剤由来のピークと帰属する。ラマンスペクトルを測定した箇所に第1の導電助剤及び第2の導電助剤が共存していた場合、それぞれの単体でのスペクトル情報を元に、共存スペクトルを多変量解析するなどにより、第1の導電助剤由来のピーク及び第2の導電助剤由来のピークに分離することができる。
また、ラマンスペクトルのうち、100cm-1〜200cm-1、250cm-1〜300cm-1及び600cm-1〜700cm-1の振動数領域に現れる複数のピークをTiNb27由来のピークと帰属する。
さて、第1の実施形態に係る負極の負極材料層に対する顕微ラマン分光で得られた表面画像から負極活物質粒子の存在を確認し、その負極活物質粒子の近傍でラマンスペクトルを取得すると、例えば一般式TiNb27で表される単斜晶型複合酸化物に帰属される上記複数のピークと、第1の導電助剤に帰属される上記Gバンド及び上記Dバンドのピークとが同時に表れる。
また、レーザー強度を変化させることで、TiNb27に帰属されるピークと、第1の導電助剤に帰属されるピークとが相対的に変化する。その例については、以下に詳細に説明する。
一方、負極活物質粒子間に位置する箇所のラマンスペクトルを取得すると、第2の導電助剤に帰属される上記Gバンド及び上記Dバンドのピークが検出され得るが、例えばNb2TiO7で表される単斜晶型複合酸化物に帰属されるピークは検出されない。なお、負極活物質粒子間の全てに第2の導電助剤が存在している必要はない。そのため、負極活物質粒子間に位置する箇所のラマンスペクトルは複数個所について取得する必要がある。
このように、負極に対して顕微ラマン分光測定を行うことにより、負極の単斜晶型複合酸化物、第1の導電助剤及び第2の導電助剤の位置関係を把握することができる。
ここで、第1の実施形態に係る一例の負極の負極材料層における負極活物質粒子の近傍から得られるラマンスペクトルの例を説明する。
図1に、第1の実施形態に係る一例の負極の負極材料層の一部分のラマンスペクトルを示す。図1に示した3つのスペクトルは、顕微ラマン表面画像から分割した同一の箇所において、照射レーザーの強度を段階的に変化させて取得したスペクトルである。
図1の上段に示したスペクトル(A)は、強度の低いレーザーを照射して得たスペクトルである。スペクトル(A)には、1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域にGバンドのピークが表れており、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域にDバンドのピークが表れている。スペクトル(A)において、強度比IG/IDは1.2である。すなわち、スペクトル(A)におけるGバンド及びDバンドのピークは、第1の導電助剤に帰属されるピークである。一方、スペクトル(A)には、100〜1000cm-1の低振動数領域にピークが表れていない。すなわち、スペクトル(A)には、TiNb27由来のピークは表れていない。
図1の中段に示したスペクトル(B)は、中程度の強度のレーザーを照射して得たスペクトルである。スペクトル(B)にも、スペクトル(A)と同様に、1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域にGバンドのピークが表れており、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域にDバンドのピークが表れている。スペクトル(B)において、強度比IG/IDは1.1である。すなわち、スペクトル(B)におけるGバンド及びDバンドのピークは、第1の導電助剤に帰属されるピークである。しかしながら、スペクトル(B)におけるGバンドのピーク及びDバンドのピークは、スペクトル(A)におけるそれらに比べて強度が低い。一方、スペクトル(B)には、100〜1000cm-1の低振動数領域に、TiNb27由来のピークが表れている。
図1の下段に示したスペクトル(C)は、強度の高いレーザーを照射して得たスペクトルである。このスペクトル(C)には、1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域にも、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域にも、ピークは表れていない。一方、スペクトル(C)には、100〜1000cm-1の低振動数領域に、TiNb27由来のピークが表れており、その強度は、スペクトル(B)のそれよりも大きい。
図1に示した3つのラマンスペクトル(A)〜(C)から、これらのスペクトルが得られた箇所では、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物TiNb27粒子の表面上に第1の導電助剤が接していることが分かる。
負極活物質粒子に含まれている単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の組成は、先に説明したラマン分光法で確認することができるが、例えば誘導発光プラズマ分光法(ICP)やX線回折法(XRD)によっても確認することができる。
負極活物質粒子の比表面積は、例えば島津製作所株式会社のマイクロメリテックスASPA−2010を使用し、吸着ガスとしてN2を使用して測定することができる。
負極活物質粒子の平均粒径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定法で測定することができる。負極活物質粒子が単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の一次粒子からなる二次粒子である場合、一次粒子の平均粒径は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)像を観察し100〜1000以上の一次粒子の粒子径を数え、平均を算出することで測定することができる。
第1の導電助剤が単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の全体に接している場合、第1の導電助剤の厚さは例えば透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)像によって測定することができる。
次に、第1の実施形態に係る負極が具備する負極材料層の例を図面を参照しながら説明する。
図2は、第1の実施形態に係る一例の負極材料層が含む、ニオブチタン複合酸化物粒子と、第1の導電助剤と、第2の導電助剤との位置関係を示す概略断面図である。
図2にその一部を示す負極材料層5bは、複数の負極活物質粒子53を含む。それぞれの負極活物質粒子53は、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子50の一次粒子が凝集してなる二次粒子である。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子50のそれぞれの表面には、第1の導電助剤51が接している。具体的には、第1の導電助剤51は、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子50の表面の全体に接している。すなわち、図2に示す負極活物質粒子53は、その表面の全体に接した第1の導電助剤51を含む、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子50の一次粒子が凝集してなる二次粒子の形態にある。
図2に示すように、負極活物質粒子53の間には、第2の導電助剤52が配されている。また、図2に示すように、第2の導電助剤52は、第1の導電助剤51に接している。
第1の実施形態によると、負極が提供される。この負極の負極材料層において、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の少なくとも一部の表面に結晶化度が低い第1の導電助剤が接している。また、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子を含む負極活物質粒子間に、結晶化度が高い第2の導電助剤が配されている。そのおかげで、第1の実施形態に係る負極は、非水電解質電池において使用した際、非水電解質の分解を抑制できると共に、低抵抗を達成することができる。その結果、第1の実施形態に係る負極は、寿命特性及びレート特性に優れる非水電解質電池を実現できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、非水電解質電池が提供される。この非水電解質電池は、負極と、正極と、非水電解質とを具備する。負極は、第1の実施形態に係る負極である。
以下、第2の実施形態に係る非水電解質電池を詳細に説明する。
第2の実施形態に係る非水電解質電池は、第1の実施形態に係る負極と、正極と、非水電解質とを具備する。
正極は、正極集電体と、この正極集電体上に形成された正極材料層とを備えることができる。正極材料層は、正極集電体の両面に形成されていてもよいし、又は片面に形成されていてもよい。
正極材料層は、正極活物質並びに任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
正極集電体は、表面に正極材料層が形成されていない正極材料層無担持部分を含むことができる。正極材料層無担持部分は、正極集電タブとして働くことができる。
正極及び負極は、正極材料層と負極材料層とが対向するように配置されて、電極群を構成することができる。正極材料層と負極材料層との間には、リチウムイオンは透過させるが電気を通さない部材、例えばセパレータを配置することができる。
電極群は、様々な構造を有することができる。電極群は、スタック型構造を有していても良いし、又は捲回型構造を有していても良い。スタック型構造は、例えば、複数の負極及び複数の正極を、負極と正極との間にセパレータを挟んで積層させた構造を有する。捲回型構造の電極群は、例えば、負極及び正極をこれらの間にセパレータを挟んで積層させたものを捲回した缶型構造体でも良いし、又はこの缶型構造体をプレスすることによって得られる扁平型構造体でも良い。
正極集電タブは、正極端子に電気的に接続することができる。同様に、負極集電タブは、負極端子に電気的に接続することができる。正極端子及び負極端子は、電極群から延出することができる。
電極群は、外装部材に収納され得る。外装部材は、正極端子及び負極端子をその外側に延出させることができるような構造を有していてもよい。或いは、外装部材は、2つの外部端子を具備し、これらのそれぞれが正極端子及び負極端子のそれぞれに電気的に接続されるように構成されていてもよい。
非水電解質は、外装部材内に収納され、電極群に含浸され得る。
以下、第2の実施形態に係る非水電解質電池において用いることができる各部材の材料について説明する。
1.負極
負極の各材料としては、第1の実施形態の説明で述べたものを用いることができる。
2.正極
正極活物質としては、例えば、酸化物、硫化物、又はポリマーを用いることができる。酸化物及び硫化物の例には、リチウムを吸蔵する二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LixMn24またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えば、LixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えば、LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えば、LiNi1-yCoy2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えば、LixMnyCo1-y2)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えば、LixMn2-yNiy4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えば、LixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4)、硫酸鉄[Fe2(SO43]、バナジウム酸化物(例えば、V25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が含まれる。ここで、0<x≦1であり、0<y≦1である。活物質として、これらの化合物を単独で用いてもよく、或いは、複数の化合物を組合せて用いてもよい。
ポリマーの例としては、ポリアニリン及びポリピロールのような導電性ポリマー材料、又はジスルフィド系ポリマー材料が挙げられる。
また、イオウ(S)又はフッ化カーボンも正極活物質として使用できる。
より好ましい正極活物質の例としては、正極電圧が高いリチウムマンガン複合酸化物(LixMn24)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi1-yCoy2)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2-yNiy4)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LixMnyCo1-y2)、リチウムリン酸鉄(LixFePO4)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が含まれる。ここで、0<x≦1であり、0<y≦1である。
非水電解質電池の非水電解質として常温溶融塩を用いる場合に好ましい正極活物質の例としては、リチウムリン酸鉄、LixVPO4F(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、及び、リチウムニッケルコバルト複合酸化物が挙げられる。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、非水電解質電池のサイクル特性を向上させることができる。
正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下の範囲内にあることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
導電剤は、集電性能を高め、且つ正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために必要に応じて配合される。導電剤の例には、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛のような炭素質物が含まれる。
結着剤は、正極活物質と正極集電体とを結着させる働きを有する。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴムが含まれる。
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下、より好ましくは15μm以下にすることが望ましい。アルミニウム箔の純度は99重量%以上が好ましい。アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は、1重量%以下にすることが好ましい。
正極は、例えば正極活物質、結着剤及び必要に応じて配合される導電剤を適当な溶媒に懸濁して正極作製用スラリーを調製し、このスラリーを正極集電体に塗布し、乾燥して正極材料層を形成した後、プレスを施すことにより作製される。また、正極は、活物質、結着剤及び必要に応じて配合される導電剤をペレット状に形成して正極材料層とし、これを集電体上に形成することにより作製することもできる。
正極作製用スラリーの調製に際し、正極活物質及び結着剤はそれぞれ80重量%以上98重量%以下、2重量%以上20重量%以下の割合で配合することが好ましい。結着剤は、2重量%以上の量にすることにより十分な電極強度が得られる。また、20重量%以下にすることにより電極の絶縁体の配合量を減少させ、それにより、非水電解質電池の内部抵抗を減少させることができる。
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤はそれぞれ77重量%以上95重量%以下、2重量%以上20重量%以下、及び3重量%以上15重量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤は、3重量%以上の量にすることにより上述した効果を発揮することができる。また、15重量%以下にすることにより、高温保存下での正極導電剤表面での非水電解質の分解を低減することができる。
3.セパレータ
セパレータは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、またはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、または、合成樹脂製不織布から形成されてよい。ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムは、一定温度において溶融して、電流を遮断することが可能である。よって、それらのフィルムを用いる非水電解質電池は、安全性を更に向上できる。
4.外装部材
外装部材として、ラミネートフィルム製容器又は金属製容器を用いることができる。外装部材の形状は、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、ボタン型、シート型、又は積層型であってよい。外装部材の形状及び大きさは電池寸法に応じて任意に設計できる。例えば、携帯用電子機器等に積載される小型電池用外装部材、又は、二輪乃至四輪の自動車等に積載される大型電池用外装部材が使用される。
ラミネートフィルムは、金属層と該金属層を被覆する樹脂層とからなる多層フィルムである。金属層は、アルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔であることが好ましい。これにより、電池の重量を減少させることができる。樹脂層は金属層を補強することができる。樹脂層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、又はポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子から形成されてよい。外装部材を形成するラミネートフィルムの厚さは、0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以下であることがより好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着することにより所望の形状に成形することができる。
金属製容器は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などから形成されてよい。アルミニウム合金は、Mg、Zn又はSiなどの元素を含むことが好ましい。合金中にFe、Cu、Ni又はCrなどの遷移金属が含有される場合、その含有量は1重量%以下であることが好ましい。これにより、高温環境下での長期信頼性、放熱性を飛躍的に向上させることができる。金属製容器を形成する金属板の厚さは1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましく、0.2mm以下であることがさらに好ましい。
5.負極端子
負極端子は、アルミニウム、又は、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、又はSiから選択される少なくとも一つの元素を含有するアルミニウム合金から形成することができる。負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極端子は負極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
6.正極端子
正極端子は、アルミニウム、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu、又はSiから選択される少なくとも一つの元素を含有するアルミニウム合金から形成されることが好ましい。正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極端子は正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
7.非水電解質
非水電解質としては、液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、電解質を非水溶媒中に溶解させることにより調製される。ゲル状非水電解質は、液状電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。
非水溶媒は、の例には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)などの鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、ジオキソラン(DOX)などの環状エーテル;ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)などの鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、及びスルホラン(SL)が含まれる。非水溶媒は、これらの有機溶媒を単独又は組み合わせて含むことができる。
液状非水電解質中の電解質の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下であることが好ましい。
電解質としては、例には、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO22]などのリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。
高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)及びポリエチレンオキサイド(PEO)が含まれる。
次に、第2の実施形態に係る非水電解質電池の例を、図面を参照しながらより詳細に説明する。
図3は、第2の実施形態に係る一例の非水電解質電池の断面図である。図4は、図3のA部の拡大断面図である。
図3に示すように、電池1は、外装部材2と、外装部材2に収容された電極群3とを含む。ここでは、電極群3として捲回電極群を用いている。外装部材2は、袋状の形状を有する。外装部材2の内部には、さらに非水電解質(図示せず)が含まれている。非水電解質は、電極群3に含浸されている。
電極群3は、図4に示すように、正極4と、負極5と、複数枚のセパレータ6とを含む。電極群3は積層体が渦巻き状に捲回された構成を有する。この積層体は、セパレータ6、正極4、セパレータ6、及び負極5をこの順で重ねた構成を有する。扁平状の捲回電極群3は、このような積層体を負極が最外周に位置するように渦巻き状に捲回し、次いで加熱しながらプレスすることにより作製される。
正極4は、正極集電体4aと、正極集電体4aの両面に形成された正極材料層4bとを含む。正極材料層4bは、正極活物質と、結着剤と、導電剤とを含んでいる。
負極5は、負極集電体5aと、負極集電体5aの両面に形成された負極材料層5bとを含む。但し、電極群3の最外周に位置する部分においては、図4に示すように、負極集電体5aの内面側のみに負極材料層5bが形成されている。
図3に示すように、電極群3の外周端近傍において、正極端子7が正極集電体4aに接続されている。また、電極群3の最外周において、負極端子8が負極集電体5aに接続されている。正極端子7及び負極端子8はそれぞれ、外装部材2の開口部から外部に延出されている。
第2の実施形態に係る非水電解質電池は、第1の実施形態に係る負極を具備する。そのため、第2の実施形態に係る非水電解質電池は、優れた寿命特性及びレート特性を示すことができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて上記実施形態をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、図3及び図4に示す非水電解質電池1を以下のようにして製造した。
<負極5の作製>
まず、一般式Lix M1M227±δ(0≦x≦5、0≦δ≦0.3)で表される単斜晶型複合酸化物のうち、x=0、M1=Ti、M2=NbであるTiNb27を合成し
た。
出発原料として、市販の酸化物試薬Nb25とTiO2とを用いた。これらの原料酸化物を、モル比で1:1になるように秤量し、乳鉢で混合した。次に、電気炉に入れ、800℃で12時間仮焼きをしたのち、1400℃でのべ20時間焼成した。焼成後、生成物粒子50を得た。
生成物粒子の組成をICP法により分析し、目的物である単斜晶型ニオブチタン複合酸化物TiNb27が得られていることを確認した。
レーザー回折式粒度分布測定とSEM観察により、得られた単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は平均粒子径0.5μmの一次粒子からなる、平均粒子径20μmの二次粒子であることを確認した。
上記で合成したTiNb27二次粒子50を雰囲気制御が可能なロータリーキルン炉に入れ、炉を回転させながらプロパンガスを100mL/minで導入した。
焼成温度を700℃として、2時間加熱を行った。熱分解によってプロパンガスを炭化させて得られた炭素51を、TiNb27二次粒子50の表面および内部にコーティングした。このようにして、負極活物質粒子53を得た
熱分解重量法によって、負極活物質粒子53中の炭素51の含有量は、TiNb27粒子50の重量100部に対し、3.4部であることを確認した。
次に、負極活物質粒子53の重量100に対し、第2の導電助材52として鱗片状のグラファイト10重量%を秤量し、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)5重量%を秤量した。
秤量したグラファイトとPVdFとをN−メチルピロリドン(NMP)に加え、ビーズミルを用いて分散処理を行なった。回転は2000rpmで行い、50mL/minの流速で滞留時間が5分間となるよう分散を行なった。
上記分散により得られたグラファイトとPVdFとの分散液中に負極活物質粒子53を投入し、羽拡散により分散させて、負極作製用スラリーを作製した。
この負極作製用スラリーを厚さ15μmのアルミ箔(負極集電体5a)に塗布した。この際、負極集電体5aに、表面に負極作製用スラリーが塗布されていない部分を残した。次に、負極作製用スラリーを塗布した負極集電体5aを乾燥させ、次いでこれをプレス処理に供した。かくして、負極集電体5aと、負極集電体5a上に形成された負極材料層5bとを含む負極5が得られた。
次に、このようにして得られた負極5のうち表面に負極材料層5bが形成されていない部分に負極端子8を接続した。
<正極4の作製>
正極活物質としてリチウムニッケルコバルト酸化物(LiNi0.8Co0.22)の粉末を用いた。この正極活物質を91重量%の割合で含み、アセチレンブラックを2.5重量%及びグラファイトを3重量%の割合で含み且つポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3.5重量%の割合で含む正極合剤を調製した。この正極合剤をNMPに加えて、正極作製用スラリーを調製した。
この正極作製用スラリーを厚さ15μmのアルミ箔(正極集電体4a)に塗布した。この際、正極集電体4aに、表面に正極作製用スラリーが塗布されていない部分を残した。次に、正極作製用スラリーを塗布した正極集電体4aを乾燥させ、次いでこれをプレス処理に供した。かくして、正極集電体4aと、正極集電体4a上に形成された正極材料層4bとを含む正極4が得られた。
次に、このようにして得られた正極4のうち表面に正極材料層4bが形成されていない部分に正極端子7を接続した。
<電極群3の作製>
上記のように作製した正極4と、厚さ20μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータ6と、上記のように作製した負極5と、もう一枚のセパレータ6とをこの順序で積層させて、積層体を得た。この際、図2に示すように、正極4の正極材料層4aと負極5の負極材料層5aとが、セパレータ6を介して対向するように積層させた。この積層体を、負極5が最外周に位置するように渦巻き状に捲回して電極群アセンブリを作製した。これを90℃で加熱プレスすることにより、図3に示すような、幅38mm、高さ78mm、厚さ2.0mmの偏平状電極群3を作製した。
<外装部材2への収容>
次に、ラミネートフィルムからなる外装部材2を用意した。ラミネートフィルムは、厚さが40μmのアルミニウム箔とその両面に形成されたポリプロピレン層とで構成され、厚さは0.1mmであった。
この外装部材2内に、上記のようにして得られた電極群3を収容した。この際、正極端子7及び負極端子8を外装部材2の開口部から外部に延出させた。収容後、外装部材2内を、80℃で24時間真空乾燥した。
<非水電解質の調製>
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート溶媒(EMC)とを1:2の体積比となるよう混合し、混合溶媒を調製した。
このようにして調製した非水溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0mol/Lの濃度で溶解させて、非水電解質を得た。
<非水電解質の注入>
電極群3を収容した外装部材2内に、上記のように調製した非水電解液を注入して封入した。かくして、電池ユニット1を作製した。
<初回充放電容量及び充放電効率の測定>
電池ユニット1を、0.2Cレートで電池電圧が3.2Vになるまで充電し、そのまま3.2Vで3時間放置した。このときの状態の電池ユニット1の充電率を100%、すなわち満充電とした。また、そのときの充電容量を初回充電容量とした。その後、非水電解質電池1を0.2Cレートで電池電圧が1.2Vになるまで放電した。この時の放電容量を初回放電容量とした。更に初回放電容量を初回充電容量で除したものを初回充放電効率とした。その後、再度充電して充電率を50%に調整し、非水電解質電池1を完成させた。
<レート特性評価>
初回放電容量を測定後、非水電解質電池1を30℃環境で、満充電になるまで充電した。電池を30分間放置し、5Cレートで1.2Vになるまで放電した。この時の放電容量を初回放電容量で除したものをレート特性とした。
<寿命試験>
レート特性を評価後、非水電解質電池1を30℃環境で、充放電を繰り返しサイクル特性を測定した。充電は1Cレートで3.2Vになるまで充電し、そのまま3.2Vで1時間放置した。その後、30分間放置し、1Cレートで電池電圧が1.2Vになるまで放電を行なった。30分間放置し再び充電を繰り返した。以上の充放電を50回繰り返した後、再び0.2Cレートで電池電圧が3.2Vになるまで充電し、そのまま3.2Vで3時間放置した。その後、非水電解質電池1を0.2Cレートで電池電圧が1.2Vになるまで放電した。この時の放電容量を初回放電容量で除したものをサイクル後の容量維持率とした。
<ラマンスペクトルの測定>
実施例1の非水電解質電池1から、先に説明したように負極5を取り出した。
取り出した負極5に対して、以下の手順により、ラマンスペクトル測定を行った。
まず、取り出した負極5を5cm四方に切り取って試料とし、この試料を装置内にセットした。この試料をCCDカメラで100倍に拡大して観察した画像の中から、負極活物質粒子53が視認できる箇所を測定視野として決定した。測定視野として決定した画像を図5に示す。
次に、測定視野内を縦及び横それぞれ40分割となるように設定し、それぞれのセグメントについて、波長532nmのYAGレーザーを用いて測定されるラマンスペクトルを測定した。ピークの帰属は、先に説明したようにして行った。
図5のBで示すセグメントにおいては、負極活物質粒子53の存在を視認できる。図6は、図5のBで示すこのセグメントについてのラマンスペクトルを示している。
図6から明らかなように、図5のBのセグメントから得られたラマンスペクトルにおいては、TiNb27に帰属される振動数領域のピークと、炭素に帰属されるGバンド及びDバンドのピークとが現れている。図6に示したスペクトルにおいて強度比IG/IDを算出したところ、1.2であった。
図5のCで示すセグメントにおいては、負極活物質粒子53の存在を視認できなかった。図7は、図5のCで示すこのセグメントについてのラマンスペクトルを示している。
図7から明らかなように、図5のCのセグメントから得られたラマンスペクトルにおいては、炭素に帰属されるGバンド及びDバンドのピークは現れているが、TiNb27に帰属される振動数領域のピークは表れていない。図7に示したスペクトルにおいて強度比IG/IDを算出したところ、1.8であった。
(実施例2)
実施例2では、第2の導電助剤52として、カーボンナノチューブを用いた以外は実施例1と同様にして、非水電解質電池1を作製した。
(実施例3)
実施例3では、TiNb27粒子へのカーボンコートを行なう際に焼成温度を850℃にした以外は実施例1と同様にして、非水電解質電池1を作製した。
(比較例1)
比較例1では、第2の導電助剤としてカーボンブラックを用いた以外は実施例1と同様にして、非水電解質電池を作製した。
(比較例2)
TiNb27粒子へのカーボンコートを行わなかった以外は実施例1と同様にして、非水電解質電池を作製した。
(比較例3)
負極活物質粒子としてチタン酸リチウムLi4Ti512を用いた以外は実施例1と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。なお、比較例3では、偏平状電極群3の大きさを実施例1と同じになるように調整した。
(比較例4)
チタン酸リチウム粒子へのカーボンコートを行わなかった以外は比較例3と同様にして、非水電解質二次電池を作製した。
<評価>
実施例2及び3並びに比較例1〜3の非水電解質電池に対して、実施例1の非水電解質電池と同様にして、初回放電容量の測定、初回充放電効率測定、寿命試験、レート特性評価及びラマンスペクトルの測定を行った。その結果を、実施例1の結果と合わせて、以下の表1に示す。
なお、表1において、比較例2の第1の導電助剤の強度比IG/IDに1.6を記入しているが、これは第1の導電助剤の強度比ではなく、TiNb27粒子に接した第2の導電助剤の強度比IG/IDである。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜3の非水電解質電池1は、比較例1及び2の非水電解質と比較して、初回放電容量、初回充放電効率、50サイクル後の容量維持率及びレート特性に優れていることが分かる。
実施例1及び2の結果から、第2の導電助剤52の種類が異なっても、第2の導電助剤52に帰属されるDバンド及びGバンドの強度比IG/IDが1.5〜10の範囲内にあれば、優れた特性を示す非水電解質電池を実現できることが分かる。
また、実施例1及び3の結果から、第1の導電助剤51に帰属されるDバンド及びGバンドの強度比IG/IDが0.5〜1.3の範囲内にあれば、優れた特性を示す非水電解質電池を実現できることが分かる。
一方、比較例1の非水電解質電池では、表1に示すように50サイクル後の容量維持率が低下したと共に、ガス発生によるセル体積の膨張が確認された。これは、第2の導電助剤として混合された強度比IG/IDが小さい、すなわち結晶化度が低いカーボンブラック付近で電解液が分解し、ガス発生を生じた結果、容量が劣化したと考えられる。
比較例2の非水電解質電池では、第1の導電助財が活物質近傍に接していなかったために、充放電に必要な導電性を確保することが出来ずにレート特性が低下したと考えられる。一方で、比較例2の非水電解質電池では、第2の導電助剤に結晶化度が高いカーボンを用いていることでガス発生を抑えることができた。しかしながら、比較例2の非水電解質電池では、負極活物質粒子の表面に接する第1の導電助剤が存在していなかったために、負極活物質粒子と非水電解質との界面で副反応を抑制する被膜を形成することができず、非水電解質の分解反応が進行してしまったために、容量劣化が大きくなったと考えられる。
比較例3の非水電解質電池は、初回放電容量が、実施例1〜3並びに比較例1及び2の非水電解質電池と比べて、著しく劣っていた。これは、負極活物質自体のエネルギー密度が小さく、同一体積当たりの非水電解質電池の容量が小さくなったためである。
また、比較例3及び比較例4の結果を比較すると、50サイクル後の容量維持率に大きな変化はなかった。この結果から、負極活物質としてチタン酸リチウム粒子を用いた非水電解質電池の寿命特性は、チタン酸リチウム粒子表面に接する導電助剤の結晶化度にはあまり依存しないことが分かる。
以上に説明した少なくとも1つの実施形態及び実施例によると、負極が提供される。この負極の負極材料層において、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の少なくとも一部の表面に結晶化度が低い第1の導電助剤が接している。また、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子を含む負極活物質粒子間に、結晶化度が高い第2の導電助剤が配されている。そのおかげで、この負極は、非水電解質電池において使用した際、非水電解質の分解を抑制できると共に、低抵抗を達成することができる。その結果、第1の実施形態に係る負極は、寿命特性及びレート特性に優れる非水電解質電池を実現できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]複数の負極活物質粒子であって、それぞれが、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子と、前記単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に接した第1の導電助剤とを含む負極活物質粒子と、前記第1の導電助剤に接し且つ前記負極活物質粒子間に配された第2の導電助剤とを含む負極材料層を具備し、前記第1の導電助剤は、前記負極材料層からラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、1300cm -1 〜1400cm -1 の振動数領域内に現れるDバンドと、1550cm -1 〜1650cm -1 の振動数領域内に現れるGバンドとを有し、前記Gバンドのピーク強度の前記Dバンドのピーク強度に対する比が0.5〜1.3の範囲内にあり、前記第2の導電助剤は、前記負極材料層からラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、1300cm -1 〜1400cm -1 の振動数領域内に現れるDバンドと、1550cm -1 〜1650cm -1 の振動数領域内に現れるGバンドとを有し、前記Gバンドのピーク強度の前記Dバンドのピーク強度に対する比が1.5〜10の範囲内にあることを特徴とする負極。
[2]前記第1の導電助剤は、前記単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子の表面の全体に接していることを特徴とする[1]に記載の負極。
[3]前記第2の導電助剤が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びグラファイトからなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする[2]に記載の負極。
[4]複数の前記負極活物質粒子は、それぞれ、複数の前記単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子が凝集してなる二次粒子であり、複数の前記負極活物質粒子のそれぞれの表面の少なくとも一部に前記第1の導電助剤が存在していることを特徴とする[1]に記載の負極。
[5][2]に記載の負極と、正極と、非水電解質とを具備することを特徴とする非水電解質電池。
1…電池、2…外装部材、3…電極群、4…正極、4a…正極集電体、4b…正極活物質含有層(正極材料層)、5…負極、5a…負極集電体、5b…負極活物質含有層(負極材料層)、6…セパレータ、7…正極端子、8…負極端子、50…単斜晶型ニオブチタン複合酸化物粒子、51…第1の導電助剤、52…第2の導電助剤、53…負極活物質粒子。

Claims (5)

  1. 複数の負極活物質粒子であって、それぞれが、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の複数の一次粒子が凝集してなる二次粒子と、前記二次粒子の表面の少なくとも一部に接した第1の導電助剤とを含む負極活物質粒子と、
    前記第1の導電助剤に接し且つ前記負極活物質粒子間に配された第2の導電助剤と
    を含む負極材料層を具備し、
    前記第1の導電助剤は、前記負極材料層からラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域内に現れるDバンドと、1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域内に現れるGバンドとを有し、前記Gバンドのピーク強度の前記Dバンドのピーク強度に対する比が0.5〜1.3の範囲内にあり、
    前記第2の導電助剤は、前記負極材料層からラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおいて、1300cm-1〜1400cm-1の振動数領域内に現れるDバンドと、1550cm-1〜1650cm-1の振動数領域内に現れるGバンドとを有し、前記Gバンドのピーク強度の前記Dバンドのピーク強度に対する比が1.5〜10の範囲内にある負極。
  2. 前記第1の導電助剤は、前記複数の一次粒子のそれぞれの表面の全体に接している請求項1に記載の負極。
  3. 前記第2の導電助剤が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、及びグラファイトからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の負極。
  4. 前記第1の導電助剤の前記Gバンドのピーク強度の前記Dバンドのピーク強度に対する比が1.0〜1.3の範囲内にある請求項1〜3の何れか1に記載の負極。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の負極と、
    正極と、
    非水電解質と
    を具備する非水電解質電池。
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