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JP6319741B2 - 電極の製造方法 - Google Patents
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JP6319741B2 - 電極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高いエネルギー密度を有する二次電池、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ及びハイブリッドキャパシタなどの蓄電デバイスを与える電極の製造方法に関する。
二次電池、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ及びハイブリッドキャパシタなどの蓄電デバイスは、携帯電話やノート型パソコンなどの情報機器の電源、電気自動車やハイブリッド自動車などの低公害車のモーター駆動電源やエネルギー回生システム等のために広く応用が検討されているデバイスであるが、これらの蓄電デバイスにおいて、高性能化、小型化の要請に答えるために、エネルギー密度の向上が望まれている。
これらの蓄電デバイスでは、電解質(電解液を含む)中のイオンとの電子の授受を伴うファラデー反応或いは電子の授受を伴わない非ファラデー反応により容量を発現する電極活物質が、エネルギー貯蔵のために利用される。そして、これらの活物質は一般に導電剤との複合材料の形態で使用される。導電剤としては、通常、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンナノチューブ等の導電性カーボンが使用される。これらの導電性カーボンは、導電性の低い活物質と併用されて、複合材料に導電性を付与する役割を果たすが、これだけでなく、活物質の反応に伴う体積変化を吸収するマトリックスとしても作用し、また、活物質が機械的な損傷を受けても電子伝導パスを確保するという役割も果たす。
蓄電デバイスの電極は、通常、活物質及び導電性カーボンをポリフッ化ビニリデン等のバインダ及びN−メチルピロリドン等の溶媒と混合してスラリーを形成し、このスラリーを電極のための集電体上に塗布して活物質層を形成し、活物質層中の溶媒を乾燥させた後、活物質層に圧力を印加する工程を介して製造される。そして、この工程においてアセチレンブラック等の粒径の小さい導電性カーボンが好ましく使用されている。導電性カーボンは基本的に蓄電デバイスのエネルギー密度の向上に寄与しないため、高いエネルギー密度を有する蓄電デバイスを得るためには、単位体積あたりの導電性カーボン量を減少させて活物質量を増加させる必要があるが、活物質量の増加に連れて電極の導電性が低下するため、粒径の小さい導電性カーボンの使用により導電性低下の問題に対処するためである。
しかし、粒径の小さい導電性カーボンは、比表面積が大きくバインダ及び溶媒との馴染みが悪いため、導電性カーボンをバインダと溶媒との混合溶液に添加すると、導電性カーボンが混合溶液中で凝集した状態となり、導電性カーボンが均一に分散したスラリー及び電極が得られないという問題がある。そこで、特許文献1(特開2004−311423号公報)には、Ni及び/又はCoを含むリチウム遷移金属酸化物とリチウムマンガン酸化物と導電性カーボンとを含むスラリーを形成する際、リチウム遷移金属酸化物とリチウムマンガン化合物と導電性カーボンとを予め乾式混合し、得られた混合物をバインダを含む溶液中に添加する方法が示されている。この文献ではさらに、上述した方法ではリチウムマンガン酸化物が乾式混合の過程で微粉化して比表面積が増加し、高温保存特性が悪くなるという問題が発生するため、この問題を解決する方法として、リチウム遷移金属酸化物と導電性カーボンとを予め乾式混合し、得られた混合物とリチウムマンガン酸化物とをバインダを含む溶液中に添加し混合してスラリーを調製する方法、及び、リチウム遷移金属酸化物と導電性カーボンとリチウムマンガン酸化物とをリチウムマンガン酸化物の混合前後のBET比表面積の増加率が100%以下となる条件で乾式混合し、該混合物をバインダを含む溶液中に添加し混合してスラリーを調製する方法が提案されている。
特開2004−311423号公報
上述したように、高いエネルギー密度を有する蓄電デバイスを得るためには、単位体積あたりの導電性カーボン量を減少させて活物質量を増加させる必要があるが、粒径が小さい活物質粒子を電極のために用いると、単位重量当たりの活物質の粒子数及び比表面積が増大し、これに伴って各活物質粒子の表面に電気的導通を取るために導電性カーボンを増量させる必要があるため、エネルギー密度の点では不利である。また、粒径が小さい活物質粒子は凝集しやすく、導電性カーボンと均一に混合するのが困難である。そこで、μmオーダーの粒径を有する活物質粒子が使用されることが多い。
しかし、蓄電デバイスにはエネルギー密度のさらなる向上が常に求められている。そこで、粒径が大きい活物質粒子に加えて、粒径が小さい活物質粒子を利用し、粒径が大きい活物質粒子の間に形成される空間に粒径が小さい活物質粒子を配置することができれば、上述の要請に答えることができると期待される。しかし、発明者らが、アセチレンブラック等の粒径の小さい導電性カーボンと、大小の活物質粒子とを用いて検討したところ、特許文献1に提案されている乾式混合を利用する方法によっても、粒径が小さい活物質粒子の凝集を十分に抑制することができず、満足のいく結果が得られなかった。
そこで、本発明の目的は、高いエネルギー密度を有する蓄電デバイスへと導く電極の製造方法を提供することである。
発明者らは、鋭意検討した結果、空隙を有するカーボン原料を酸化処理して得られた導電性カーボンを使用した上で乾式混合を利用することにより、上記目的が達成されることを発見した。
したがって、本発明は、蓄電デバイスの電極の製造方法であって、
(A)空隙を有するカーボン原料を酸化処理して得られた導電性カーボンと、正極活物質又は負極活物質として動作可能な第1の活物質の粒子と、を乾式混合して予備混合物を得る工程、
(B)上記予備混合物と、上記第1の活物質の粒子と同じ極の活物質として動作可能であり且つ上記第1の活物質の粒子の平均粒径より大きい平均粒径を有する第2の活物質の粒子と、を乾式混合して電極材料を調製する工程、
(C)上記電極材料と、バインダと、溶媒と、を混合してスラリーを調製する工程、及び、
(D)上記スラリーを集電体上に塗布して活物質層を形成し、該活物質層中の溶媒を乾燥させた後、上記活物質層に圧力を印加する工程
を含むことを特徴とする電極の製造方法に関する。
以下、相対的に小さな平均粒径を有する第1の活物質の粒子を「微小粒子」と表わし、相対的に大きな平均粒径を有する第2の活物質の粒子を「粗大粒子」と表わす。また、空隙を有するカーボン原料を酸化処理して得られた導電性カーボンを「酸化処理カーボン」と表わす。上記空隙には、多孔質炭素粉末の孔隙のほか、ケッチェンブラックの内部空孔、カーボンナノファイバやカーボンナノチューブのチューブ内空隙及びチューブ間空隙が含まれる。
空隙を有するカーボン原料に酸化処理を施すと、粒子の表面から酸化され、カーボンにヒドロキシ基、カルボキシ基やエーテル結合が導入され、またカーボンの共役二重結合が酸化されて炭素単結合が生成し、部分的に炭素間結合が切断され、粒子表面に親水性に富む層が生成する。酸化処理カーボンは、従来の蓄電デバイスの電極において導電剤として使用されているアセチレンブラック等と比較して、活物質粒子の表面に付着しやすく、活物質粒子の平均粒径が小さくても、活物質粒子の表面に付着して活物質粒子の凝集を効果的に抑制する。その結果、上記(A)工程において、酸化処理カーボンと、微小粒子、好ましくは、0.01〜2μmの範囲の平均粒径を有する微小粒子、とを乾式混合すると、微小粒子の凝集が効果的に抑制されて、酸化処理カーボンに被覆された微小粒子が高分散状態で存在している予備混合物が得られる。また、酸化処理カーボンは粗大粒子の表面にも付着しやすく、粗大粒子の凝集をも効果的に抑制する。その結果、上記(B)工程において、酸化処理カーボンによって被覆された微小粒子を含む予備混合物と、粗大粒子、好ましくは、2μmより大きく25μm以下の平均粒径を有する粗大粒子とを乾式混合すると、酸化処理カーボンにより被覆された粗大粒子と微小粒子とが分散性良く且つ均一に混合されている電極材料が得られる。なお、活物質粒子の平均粒径は、光散乱粒度計を用いた粒度分布の測定における50%径(メディアン径)を意味する。
そして、上記(C)工程において、この電極材料を用いてスラリーを調製し、上記(D)工程において、集電体上に形成された活物質層に圧力を印加すると、電極材料において粗大粒子と微小粒子とが分散性良く且つ均一に混合されているため、粗大粒子の間に形成される空間に微小粒子が配置されやすくなる。その結果、高い電極密度を有する電極が得られ、蓄電デバイスのエネルギー密度の向上がもたらされる。
上記(A)工程は、ビーズミル、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、ポットミル、メカノフュージョン複合化装置、ジェットミル及びプラネタリーミキサーから選択された装置を用いて行われるのが好ましく、これらの装置により活物質粒子と酸化処理カーボンとにメカノケミカル処理が施されるように乾式混合されるのがより好ましい。これらの装置の使用により、酸化処理カーボンによって微小粒子の表面がさらに広範囲に且つ均一に被覆され、微小粒子の凝集がさらに効果的に且つ均一に抑制されるため、電極密度がさらに向上する。また、得られた電極は優れたレート特性を示す。
上記(A)工程及び/又は(B)工程において、酸化処理カーボンより高い導電率を有する別の導電性カーボンをさらに乾式混合するのが好ましい。高い導電率を有する導電性カーボンの併用により、本発明の方法により得られる電極全体の導電性が向上するため、蓄電デバイスのエネルギー密度がさらに向上する。また、酸化処理カーボンが、併用された別の導電性カーボンの表面にも付着しやすく、別の導電性カーボンの凝集をも効果的に抑制するため、酸化処理カーボンと、微小粒子と、粗大粒子と、別の導電性カーボンとが分散性良く且つ均一に混合された電極材料が得られる。
本発明の電極の製造方法において、酸化処理カーボンが親水性部分を含み、親水性部分の含有量が酸化処理カーボン全体の10質量%以上であるのが好ましい。親水性部分の含有量は、酸化処理カーボン全体の12質量%以上30質量%以下であるのが特に好ましい。本発明において、酸化処理カーボンの「親水性部分」とは、以下の意味を有する。すなわち、pH11のアンモニア水溶液20mlに0.1gのカーボン原料を添加し、1分間の超音波照射を行ない、得られた液を5時間放置して固相部分を沈殿させる。沈殿せずにpH11のアンモニア水溶液に分散している部分が「親水性部分」である。また、親水性部分の酸化処理カーボン全体に対する含有量は、以下の方法により求められる。上記固相部分の沈殿後、上澄み液を除去した残余部分を乾燥させ、乾燥後の固体の重量を測定する。乾燥後の固体の重量を最初のカーボン原料の重量0.1gから差し引いた重量が、pH11のアンモニア水溶液に分散している「親水性部分」の重量である。そして、「親水性部分」の重量の最初のカーボン原料の重量0.1gに対する重量比が、酸化処理カーボンにおける「親水性部分」の含有量である。従来の蓄電デバイスの電極において導電剤として使用されているアセチレンブラック等の導電性カーボンにおける親水性部分の割合は全体の5質量%以下である。
上述したように、空隙を有するカーボン原料に酸化処理を施すと、粒子の表面から酸化され、粒子表面に親水性部分が生成する。酸化処理の強度を強めていくと、カーボン粒子における親水性部分の割合が増加して親水性部分が酸化処理カーボン全体の10質量%以上を占めるようになり、この親水性部分を介して粒子が凝集するようになる。
図1は、このような凝集体に圧力を加えた場合の凝集体の変化をモデル的に示した図である。図1の上の図に示すような親水性部分を介して凝集した凝集体に圧力を加えていくと、脆弱な親水性部分が圧力に耐えられなくなり、図1の中央の図に示すように凝集体が圧壊する。さらに圧力を増加させると、カーボン粒子の表面の親水性部分だけでなく粒子中央の非酸化部分も変形し或いは部分的に断裂されて、凝集体全体が圧縮される。しかし、圧縮されてもカーボン粒子の親水性部分がバインダとなって、図1の下の図に示すように、カーボン粒子の非酸化部分と親水性部分とが一体となって糊状に広がる。そして、糊状に広がったカーボンは極めて緻密に圧縮されている。なお、「糊状」とは、倍率25000倍で撮影したSEM写真において、カーボン一次粒子の粒界が認められず、非粒子状の不定形なカーボンがつながっている状態を意味する。
全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンは、活物質の表面にさらに付着しやすく、また、圧力を受けると一体的に圧縮されて糊状に広がり、ばらばらになりにくいという特徴を有する。そのため、上記(A)工程において全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンと微小粒子とを乾式混合すると、混合の過程で酸化処理カーボンが柔軟に変形しながら微小粒子の表面に付着するため、酸化処理カーボンの付着性及び付着の均一性が増し、微小粒子の凝集がさらに効果的に抑制される。続く上記(B)工程において予備混合物と粗大粒子とを乾式混合すると、混合の過程で粗大粒子から酸化処理カーボンに及ぼされる圧力により、酸化処理カーボンの少なくとも一部が粗大粒子及び微小粒子の表面に糊状に広がって粗大粒子及び微小粒子の表面を広く覆う。そして、この電極材料を用いて上記(C)(D)工程を介して集電体上に形成された活物質層に圧力を加えていくと、図1の下の図に示すように酸化処理カーボンの大部分或いは全部がさらに糊状に広がって活物質粒子の表面を覆いながら緻密化し、粗大粒子が互いに接近し、これに伴って酸化処理カーボンが活物質粒子の表面を覆いながら隣り合う粗大粒子の間に形成される間隙部に微小粒子と共に押し出されて緻密に充填される。そのため、電極における単位体積あたりの活物質量がさらに増加し、電極密度がさらに増加し、蓄電デバイスのエネルギー密度が大幅に向上する。また、全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンを含む活物質層を有する電極では、活物質層中の活物質粒子の表面の大部分或いは全部が緻密で糊状に広がった酸化処理カーボンにより被覆されている。そのためであると考えられるが、この好ましい電極を用いて蓄電デバイスを構成すると、蓄電デバイス中の電解液に対する活物質の溶解が大幅に抑制される。
本発明の電極の製造方法では、酸化処理カーボンが微小粒子及び粗大粒子の表面に付着しやすいため、上記(A)工程の乾式混合において、微小粒子の凝集が効果的に抑制され、酸化処理カーボンに被覆された微小粒子が高分散状態で存在している予備混合物が得られ、続く上記(B)工程の乾式混合において、酸化処理カーボンにより被覆された粗大粒子と微小粒子とが分散性良く且つ均一に混合されている電極材料が得られる。そして、この電極材料を用いて上記(C)(D)工程を介して集電体上に形成された活物質層に圧力を印加すると、電極材料において酸化処理カーボンにより被覆された粗大粒子と微小粒子が分散性良く混合されているため、粗大粒子の間に形成される空間に微小粒子が配置されやすくなる。その結果、高い電極密度を有する電極が得られ、蓄電デバイスのエネルギー密度の向上がもたらされる。
全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンの凝集体に圧力が印加された場合の凝集体の変化をモデル的に示した図である。 微小粒子とカーボンとの乾式混合により得られた混合物についての倍率50000倍のSEM写真であり、(1)は微小粒子とアセチレンブラックとを乳鉢を用いて乾式混合して得られた混合物のSEM写真を、(2)は微小粒子と酸化処理カーボンとを乳鉢を用いて乾式混合して得られた混合物のSEM写真を、(3)は微小粒子と酸化処理カーボンとを振動ボールミルを用いて乾式混合して得られた混合物のSEM写真を、それぞれ示している。 粗大粒子とカーボンとの乾式混合により得られた混合物についての倍率100000倍のSEM写真であり、(1)は粗大粒子とアセチレンブラックとの混合物のSEM写真を、(2)は粗大粒子とアセチレンブラックと酸化処理カーボンとの混合物のSEM写真を、(3)は粗大粒子と酸化処理カーボンとの混合物のSEM写真を、それぞれ示している。 酸化処理カーボンと微小粒子との乾式混合を乳鉢を用いて行なった後に粗大粒子と混合した電極材料を用いて得た電極、及び、酸化処理カーボンと微小粒子との乾式混合を振動ボールミルを用いて行なった後に粗大粒子と混合した電極材料を用いて得た電極、のそれぞれについてレート特性を比較した結果を示した図である。
まず、酸化処理カーボンの製造について説明し、次いで本発明の電極の製造方法について説明する。
(1)酸化処理カーボンの製造
酸化処理カーボンは、カーボン原料として、多孔質炭素粉末、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバ及びカーボンナノチューブのような空隙を有するカーボンを用いて製造される。このようなカーボン原料としては、ケッチェンブラックが好ましい。中実のカーボンを原料として酸化処理を行っても、活物質粒子の表面に付着しやすく活物質の凝集を効果的に抑制するカーボンは得られにくい。
空隙を有するカーボンの酸化処理のためには、公知の酸化方法を特に限定なく使用することができる。例えば、酸又は過酸化水素の溶液中でカーボン原料を処理することにより、酸化処理カーボンを得ることができる。酸としては、硝酸、硝酸硫酸混合物、次亜塩素酸水溶液等を使用することができる。また、カーボン原料を酸素含有雰囲気、水蒸気、二酸化炭素中で加熱することにより、酸化処理カーボンを得ることができる。さらに、カーボン原料の酸素含有雰囲気中でのプラズマ処理、紫外線照射、コロナ放電処理、グロー放電処理により、酸化処理カーボンを得ることができる。
空隙を有するカーボン原料に酸化処理を施すと、粒子の表面から酸化され、カーボンにヒドロキシ基、カルボキシ基やエーテル結合が導入され、またカーボンの共役二重結合が酸化されて炭素単結合が生成し、部分的に炭素間結合が切断され、粒子表面に親水性層が生成する。このような親水性層を有する酸化処理カーボンは、活物質粒子の表面に付着しやすく、活物質粒子の凝集を効果的に抑制する。
酸化処理カーボンが親水性部分を含み、該親水性部分の含有量が酸化処理カーボン全体の10質量%以上であるのが好ましい。親水性部分の含有量が全体の12質量%以上30質量%以下であるのが特に好ましい。酸化処理の強度を強めていくと、カーボン粒子における親水性部分の割合が増加し、親水性部分が酸化処理カーボン全体の10質量%以上を占めるようになる。このようになった酸化処理カーボンは、活物質の表面にさらに付着しやすく、また、圧力を受けると一体的に圧縮されて糊状に広がり、ばらばらになりにくいという特徴を有する。また、(A)〜(D)工程を介して形成された電極において、特に高い電極密度を有する電極が得られ、この電極を備えた蓄電デバイスのエネルギー密度が大幅に向上する。また、活物質中の活物質粒子の表面の略全体がこの親水性部分を多く含む酸化処理カーボンにより被覆されているためであると考えられるが、蓄電デバイスの電解液に対する活物質の溶解が大幅に抑制される。
全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンは、
(a1)空隙を有するカーボン原料を酸で処理する工程、
(b1)酸処理後の生成物と遷移金属化合物とを混合する工程、
(c1)得られた混合物を粉砕し、メカノケミカル反応を生じさせる工程、
(d1)メカノケミカル反応後の生成物を非酸化雰囲気中で加熱する工程、及び、
(e1)加熱後の生成物から、上記遷移金属化合物及び/又はその反応生成物を除去する工程
を含む第1の製造方法によって、好適に得ることができる。
第1の製造方法では、カーボン原料として、多孔質炭素粉末、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバ及びカーボンナノチューブのような空隙を有するカーボンが使用される。このようなカーボン原料としては、ケッチェンブラックが好ましい。中実のカーボンを原料として使用し、第1の製造方法と同様の処理を行っても、全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンを得ることは困難である。
(a1)工程では、上記カーボン原料を酸に浸漬して放置する。この浸漬の際に超音波を照射しても良い。酸としては、硝酸、硝酸硫酸混合物、次亜塩素酸水溶液等のカーボンの酸化処理に通常使用される酸を使用することができる。浸漬時間は酸の濃度や処理されるカーボン原料の量などに依存するが、一般に5分〜5時間の範囲である。酸処理後のカーボンを十分に水洗し、乾燥した後、(b1)工程において遷移金属化合物と混合する。
(b1)工程においてカーボン原料に添加される遷移金属化合物としては、遷移金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩等の無機金属塩、ギ酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド等の有機金属塩、或いはこれらの混合物を使用することができる。これらの化合物は、単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。異なる遷移金属を含む化合物を所定量で混合して使用しても良い。また、反応に悪影響を与えない限り、遷移金属化合物以外の化合物、例えば、アルカリ金属化合物を共に添加しても良い。酸化処理カーボンは、蓄電デバイスの電極の製造において、活物質粒子と混合されて使用されることから、活物質を構成する元素の化合物をカーボン原料に添加すると、活物質に対して不純物となりうる元素の混入を防止することができるため好ましい。
(c1)工程では、(b1)工程で得られた混合物を粉砕し、メカノケミカル反応を生じさせる。この反応のための粉砕機の例としては、ライカイ器、ボールミル、ビーズミル、ロッドミル、ローラミル、攪拌ミル、遊星ミル、振動ミル、ハイブリダイザー、メカノケミカル複合化装置及びジェットミルを挙げることができる。粉砕時間は、使用する粉砕機や処理されるカーボンの量などに依存し、厳密な制限が無いが、一般には5分〜3時間の範囲である。(d1)工程は、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの非酸化雰囲気中で行われる。加熱温度及び加熱時間は使用される遷移金属化合物に応じて適宜選択される。続く(e1)工程において、加熱後の生成物から遷移金属化合物及び/又はその反応生成物を酸で溶解する等の手段により除去した後、十分に洗浄し、乾燥することにより、全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンを得ることができる。
第1の製造方法では、(c1)工程において、遷移金属化合物がメカノケミカル反応によりカーボン原料の酸化を促進するように作用し、カーボン原料の酸化が迅速に進む。この酸化によって、全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンが得られる。
全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンはまた、
(a2)空隙を有するカーボン原料と遷移金属化合物とを混合する工程、
(b2)得られた混合物を酸化雰囲気中で加熱する工程、及び、
(c2)加熱後の生成物から、上記遷移金属化合物及び/又はその反応生成物を除去する工程
を含む第2の製造方法によっても、好適に得ることができる。
第2の製造方法でも、カーボン原料として、多孔質炭素粉末、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバ及びカーボンナノチューブのような空隙を有するカーボンが使用される。このようなカーボン原料としては、ケッチェンブラックが好ましい。中実のカーボンを原料として使用し、第2の製造方法と同様の処理を行っても、全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンを得ることは困難である。
(a2)工程においてカーボン原料に添加される遷移金属化合物としては、遷移金属のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩等の無機金属塩、ギ酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド等の有機金属塩、或いはこれらの混合物を使用することができる。これらの化合物は、単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。異なる金属を含む化合物を所定量で混合して使用しても良い。また、反応に悪影響を与えない限り、遷移金属化合物以外の化合物、例えば、アルカリ金属化合物を共に添加しても良い。酸化処理カーボンは、蓄電デバイスの電極の製造において活物質粒子と混合されて使用されることから、活物質を構成する元素の化合物をカーボン原料に添加すると、活物質に対して不純物となりうる元素の混入を防止することができるため好ましい。
(b2)工程は、酸素含有雰囲気、例えば空気中で行われ、カーボンが部分的には消失するものの完全には消失しない温度、好ましくは200〜350℃の温度で行われる。続く(c2)工程において、加熱後の生成物から遷移金属化合物及び/又はその反応生成物を酸で溶解する等の手段により除去した後、十分に洗浄し、乾燥することにより、全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンを得ることができる。
第2の製造方法では、遷移金属化合物が、酸化雰囲気中での加熱工程において、カーボン原料を酸化する触媒として作用し、カーボン原料の酸化が迅速に進む。この酸化によって、全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンが得られる。
全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンは、空隙を有するカーボン原料に強い酸化処理を施すことにより得られ、第1の製造方法、第2の製造方法以外の方法で空隙を有するカーボン原料の酸化を促進することも可能である。
(2)電極の製造
得られた酸化処理カーボンは、蓄電デバイスの電極の製造のために、蓄電デバイスの電解質中のイオンとの電子の授受を伴うファラデー反応或いは電子の授受を伴わない非ファラデー反応により容量を発現し、正極活物質又は負極活物質として動作可能な第1の活物質の粒子(微小粒子)と、第1の活物質と同じ極の活物質として動作可能であり且つ第1の活物質の粒子の平均粒径より大きい平均粒径を有する第2の活物質の粒子(粗大粒子)と混合された形態で使用される。
本発明の電極の製造方法は、
(A)酸化処理カーボンと、微小粒子と、を乾式混合して予備混合物を得る工程、
(B)上記予備混合物と、粗大粒子と、を乾式混合して電極材料を調製する工程、
(C)上記電極材料と、バインダと、溶媒と、を混合してスラリーを調製する工程、及び、
(D)上記スラリーを集電体上に塗布して活物質層を形成し、該活物質層中の溶媒を乾燥させた後、上記活物質層に圧力を印加する工程
を含む。
(A)工程では、酸化処理カーボンと、微小粒子と、を乾式混合して予備混合物を得る。(A)工程において使用される微小粒子を構成する活物質としては、従来の蓄電デバイスにおいて正極活物質又は負極活物質として使用されている活物質を特に限定なく使用することができる。これらの活物質は、単独の化合物であっても良く、2種以上の化合物の混合物であっても良い。
二次電池の正極活物質の例としては、まず、層状岩塩型LiMO、層状LiMnO−LiMO固溶体、及びスピネル型LiM(式中のMは、Mn、Fe、Co、Ni又はこれらの組み合わせを意味する)が挙げられる。これらの具体的な例としては、LiCoO、LiNiO、LiNi4/5Co1/5、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi1/2Mn1/2、LiFeO、LiMnO、LiMnO−LiCoO2、LiMnO−LiNiO、LiMnO−LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiMnO−LiNi1/2Mn1/2、LiMnO−LiNi1/2Mn1/2−LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiMn、LiMn3/2Ni1/2が挙げられる。また、イオウ及びLiS、TiS、MoS、FeS、VS、Cr1/21/2などの硫化物、NbSe、VSe、NbSeなどのセレン化物、Cr、Cr、VO、V、V、V13などの酸化物の他、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiVOPO、LiV、LiV、MoV、LiFeSiO、LiMnSiO、LiFePO、LiFe1/2Mn1/2PO、LiMnPO、Li(POなどの複合酸化物が挙げられる。
二次電池の負極活物質の例としては、Fe、MnO、MnO、Mn、Mn、CoO、Co、NiO、Ni、TiO、TiO、SnO、SnO、SiO、RuO、WO、WO、ZnO等の酸化物、Sn、Si、Al、Zn等の金属、LiVO、LiVO、LiTi12などの複合酸化物、Li2.6Co0.4N、Ge、Zn、CuNなどの窒化物が挙げられる。
電気二重層キャパシタの分極性電極における活物質としては、比表面積の大きな活性炭、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ、フェノール樹脂炭化物、ポリ塩化ビニリデン炭化物、微結晶炭素などの炭素材料が例示される。ハイブリッドキャパシタでは、二次電池のために例示した正極活物質を正極のために使用することができ、この場合には負極が活性炭等を用いた分極性電極により構成される。また、二次電池のために例示した負極活物質を負極のために使用することができ、この場合には正極が活性炭等を用いた分極性電極により構成される。レドックスキャパシタの正極活物質としてはRuO、MnO、NiOなどの金属酸化物を例示することができ、負極はRuO等の活物質と活性炭等の分極性材料により構成される。
(A)工程における酸化処理カーボンと微小粒子との混合は、乾式混合であれば、乳鉢を用いて手混合によって行なってもよく、混合装置を用いて行ってもよい。乾式混合のための混合装置として、ライカイ器、ボールミル、ビーズミル、ロッドミル、ローラミル、攪拌ミル、遊星ミル、振動ミル、ハイブリダイザー、メカノケミカル複合化装置及びジェットミルを使用することができる。特に、ビーズミル、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、ポットミル、メカノフュージョン複合化装置、ジェットミル及びプラネタリーミキサーから選択された高圧分散処理装置を用いて行なうのが好ましく、これらの装置により微小粒子と酸化処理カーボンとにメカノケミカル処理が施されるように乾式混合するのが好ましい。これらの装置の使用により、酸化処理カーボンによって微小粒子の表面がさらに広範囲に且つ均一に被覆され、微小粒子の凝集がさらに効果的に且つ均一に抑制される。
微小粒子は凝集しやすいが、酸化処理カーボンと乾式混合する(A)工程で、酸化処理カーボンが微小粒子の表面に付着して表面を覆うため、微小粒子の平均粒径が小さくても、活物質粒子の凝集を抑制することができ、微小粒子と酸化処理カーボンとの混合状態を均一化させることができる。微小粒子の平均粒径は、0.01〜2μmであるのが好ましい。
微小粒子と酸化処理カーボンとの割合は、質量比で、70:30〜90:10の範囲が好ましく、75:25〜85:15の範囲がより好ましい。乾式混合の時間は、混合に処される微小粒子と酸化処理カーボンの合計量や使用する混合装置により変化するが、一般には1〜30分の間である。
酸化処理カーボンとしては、親水性部分を含み、該親水性部分の含有量が全体の10質量%以上、好ましくは12質量%以上30質量%以下であるカーボンが好ましい。このような酸化処理カーボンは、活物質の表面にさらに付着しやすく、また、圧力を受けると一体的に圧縮されて糊状に広がり、ばらばらになりにくいという特徴を有する。そのため、(A)工程においてこの親水性部分を多く含む酸化処理カーボンと微小粒子とを乾式混合すると、混合の過程で酸化処理カーボンが柔軟に変形しながら微小粒子の表面に付着するため、酸化処理カーボンの付着性及び付着の均一性が増し、微小粒子の凝集がさらに効果的に抑制される。
(A)工程において、従来の蓄電デバイスの電極のために使用されているケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、無定形炭素、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化ケッチェンブラック、メソポーラス炭素、気相法炭素繊維等の、酸化処理カーボンの導電率より高い導電率を有する別の導電性カーボンを混合することができる。この別の導電性カーボンの併用により、本発明の方法により得られる電極全体の導電性が向上するため、蓄電デバイスのエネルギー密度がさらに向上する。また、酸化処理カーボンが併用される別の導電性カーボンの表面にも付着しやすく、別の導電性カーボンの凝集をも効果的に抑制する。
(A)工程で別の導電性カーボンを併用する場合には、乾式混合用の装置(手混合において用いる乳鉢を含む)に酸化処理カーボンと別の導電性カーボンと微小粒子とを全て導入した後に乾式混合しても良いが、
(A1)酸化処理カーボンと別の導電性カーボンとを乾式混合する工程、及び、
(A2)上記(A1)工程で得られた混合物と微小粒子とを乾式混合する工程
に分けて上記(A)工程を実施しても良い。
(A)工程のみにおいて別の導電性カーボンを使用する場合には、微小粒子と、酸化処理カーボン及び別の導電性カーボンの合計量と、の割合が、質量比で、70:30〜90:10の範囲であるが好ましく、75:25〜85:15の範囲であるのがより好ましい。酸化処理カーボンと別の導電性カーボンとの割合は、質量比で、3:1〜1:3の範囲が好ましく、2.5:1.5〜1.5:2.5の範囲がより好ましい。
(B)工程では、(A)工程で得られた予備混合物と、粗大粒子と、を乾式混合して電極材料を調製する。(B)工程において使用される粗大粒子を構成する活物質としては、微小粒子と同じ極の活物質として動作可能であれば、従来の蓄電デバイスにおいて正極活物質又は負極活物質として使用されている活物質を特に限定なく使用することができる。これらの活物質は、単独の化合物であっても良く、2種以上の化合物の混合物であっても良く、微小粒子を構成する化合物と同一の化合物であっても良く、異なる化合物であっても良い。粗大粒子を構成する活物質の例としては、微小粒子のために例示された活物質がこの場合も当てはまる。
(B)工程における混合も、乾式混合であればよい。乾式混合は、乳鉢を用いて手混合によって行なってもよく、混合装置を用いて行ってもよい。乾式混合のための混合装置として、ライカイ器、ボールミル、ビーズミル、ロッドミル、ローラミル、攪拌ミル、遊星ミル、振動ミル、ハイブリダイザー、メカノケミカル複合化装置及びジェットミルを使用することができる。
粗大粒子は、電極密度を増加させ、蓄電デバイスのエネルギー密度を向上させる。そして、酸化処理カーボンが粗大粒子の表面にも付着しやすく、粗大粒子の凝集をも効果的に抑制する。その結果、上記(B)工程において、酸化処理カーボンによって被覆された微小粒子を含む予備混合物と、粗大粒子とを乾式混合すると、酸化処理カーボンにより被覆された粗大粒子と微小粒子とが分散性良く混合されている電極材料が得られる。粗大粒子の平均粒径は、2μmより大きく25μm以下であるのが好ましい。
酸化処理カーボンとして、全体の10質量%以上、好ましくは12質量%以上30質量%以下の親水性部分を含む酸化処理カーボンが使用されていると、乾式混合の過程で粗大粒子により酸化処理カーボンに及ぼされる圧力により、酸化処理カーボンの少なくとも一部が粗大粒子及び微小粒子の表面に糊状に広がり、粗大粒子及び微小粒子の表面が広く覆われるため、酸化処理カーボンにより被覆された粗大粒子と微小粒子との分散性及び分散の均一性がさらに向上する。
粗大粒子と(A)工程で得られた予備混合物との割合は、粗大粒子と微小粒子とが質量比で80:20〜95:5の範囲になるように選定されるのが好ましく、90:10〜95:5の範囲になるように選定されるのがより好ましい。また、粗大粒子と微小粒子との合計量と、酸化処理カーボンとの割合は、質量比で、90:10〜99.5:0.5の範囲であるのが好ましく、95:5〜99:1の範囲であるのがより好ましい。酸化処理カーボンの割合が上述の範囲より少ないと、活物質層の導電性が不足し、また酸化処理カーボンによる活物質粒子の被覆率が低下する傾向がある。また、酸化処理カーボンの割合が上述の範囲より多いと、電極密度が低下し、蓄電デバイスのエネルギー密度が低下する傾向がある。乾式混合の時間は、混合に処される粗大粒子と予備混合物の合計量や使用する混合装置により変化するが、一般には1〜30分の間である。
(B)工程において、従来の蓄電デバイスの電極のために使用されているケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、無定形炭素、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化ケッチェンブラック、メソポーラス炭素、気相法炭素繊維等の、酸化処理カーボンの導電率より高い導電率を有する別の導電性カーボンを混合することができる。この別の導電性カーボンの併用により、本発明の方法により得られる電極全体の導電性が向上するため、蓄電デバイスのエネルギー密度がさらに向上する。また、酸化処理カーボンが別の導電性カーボンの表面にも付着しやすく、別の導電性カーボンの凝集をも効果的に抑制する。
(B)工程で別の導電性カーボンを併用する場合には、乾式混合用の装置(手混合において用いる乳鉢を含む)に予備混合物と粗大粒子と別の導電性カーボンとを全て導入した後乾式混合しても良いが、
(B1)予備混合物と別の導電性カーボンとを乾式混合する工程、及び、
(B2)上記(B1)工程で得られた混合物と粗大粒子とを乾式混合する工程
に分けて上記(B)工程を実施しても良い。
(B)工程のみにおいて別の導電性カーボンを使用する場合には、微小粒子と、酸化処理カーボンと別の導電性カーボンの合計量と、の割合が、質量比で、70:30〜90:10の範囲になるように、好ましくは75:25〜85:15の範囲になるように、別の導電性カーボンの使用量が選定される。酸化処理カーボンと別の導電性カーボンとの割合は、質量比で、3:1〜1:3の範囲が好ましく、2.5:1.5〜1.5:2.5の範囲がより好ましい。(A)工程と(B)工程の両方において別の導電性カーボンを使用する場合には、(A)工程と(B)工程とで添加されたる別の導電性カーボンの合計量により上記範囲が満たされるように、各工程における別の導電性カーボンの使用量が選定される。
(C)工程では、(B)工程で得られた電極材料と、バインダと、溶媒と、を混合してスラリーを調製する。(C)工程において、電極材料と混合されるバインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニル、カルボキシメチルセルロースなどの公知のバインダが使用される。バインダの含有量は、混合材料の総量に対して1〜30質量%であるのが好ましい。1質量%以下であると活物質層の強度が十分でなく、30質量%以上であると、電極の放電容量が低下する、内部抵抗が過大になるなどの不都合が生じる。電極材料と混合される溶媒としては、N−メチルピロリドン等の電極材料に悪影響を及ぼさない溶媒を特に限定なく使用することができる。電極材料とバインダと溶媒とが均一に混合されれば、溶媒の量には特に限定がない。
スラリーを調製するための湿式混合には特別な限定がなく、乳鉢を用いて手混合によって行なってもよく、攪拌機、ホモジナイザー等の公知の混合装置を用いて行ってもよい。電極材料とバインダと溶媒とが均一に混合されれば、混合時間は短くても問題が無い。(B)工程において酸化処理カーボンにより被覆された粗大粒子と微小粒子とが分散性良く混合されている電極材料が得られており、この電極材料はバインダ及び溶媒と馴染みが良いため、(C)工程において均一なスラリーを容易に得ることができる。
(D)工程では、(C)工程で得られたスラリーを集電体上に塗布して活物質層を形成し、該活物質層中の溶媒を乾燥させた後、上記活物質層に圧力を印加して電極を得る。(D)工程において、蓄電デバイスの電極のための集電体としては、白金、金、ニッケル、アルミニウム、チタン、鋼、カーボンなどの導電材料を使用することができる。集電体の形状は、膜状、箔状、板状、網状、エキスパンドメタル状、円筒状などの任意の形状を採用することができる。活物質層の乾燥は、必要に応じて減圧・加熱して溶媒を除去すれば良い。活物質層に加えられる圧力は、一般には50000〜1000000N/cm、好ましくは100000〜500000N/cmの範囲である。
電極材料において粗大粒子と微小粒子とが分散性良く且つ均一に混合されているため、(D)工程において粗大粒子の間に形成される空間に微小粒子が配置されやすくなる。その結果、高い電極密度を有する電極が得られ、蓄電デバイスのエネルギー密度の向上がもたらされる。
特に酸化処理カーボンが、全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンであると、(D)工程における圧力印加により、酸化処理カーボンがさらに糊状に広がって活物質の表面を覆いながら緻密化し、粗大粒子が互いに接近し、これに伴って酸化処理カーボンが活物質の表面を覆いながら隣り合う粗大粒子の間に形成される間隙部に微小粒子と共に押し出されて緻密に充填される。糊状に変化した酸化処理カーボンは、隣り合う活物質粒子の間に形成される間隙部ばかりでなく活物質粒子の表面に存在する孔(二次粒子において認められる一次粒子間の間隙を含む)の内部にも押し出されて緻密に充填される。そのため、活物質層における単位体積あたりの活物質量がさらに増加し、電極密度がさらに増加する。また、全体の10質量%以上の親水性部分を含む酸化処理カーボンを含む活物質層を有する電極では、活物質層中の活物質粒子の表面の大部分或いは全部が、活物質粒子の表面に存在する孔の内部に至るまで、緻密で糊状に広がった酸化処理カーボンにより被覆されており、活物質粒子の表面(外表面)の80%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が、緻密化した糊状の酸化処理カーボンと接触している。そのためであると考えられるが、この電極を用いて蓄電デバイスを構成すると、蓄電デバイス中の電解液に対する活物質の溶解が大幅に抑制される。
本発明の製造方法により得られた電極は、二次電池、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ及びハイブリッドキャパシタなどの蓄電デバイスの電極のために使用される。蓄電デバイスは、一対の電極(正極、負極)とこれらの間に配置された電解質とを必須要素として含むが、正極及び負極の少なくとも一方が本発明の製造方法により製造される。
蓄電デバイスにおいて正極と負極との間に配置される電解質は、セパレータに保持された電解液であっても良く、固体電解質であっても良く、ゲル状電解質であっても良く、従来の蓄電デバイスにおいて使用されている電解質を特に限定なく使用することができる。以下に、代表的な電解質を例示する。リチウムイオン二次電池のためには、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート等の溶媒に、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を溶解させた電解液が、ポリオレフィン繊維不織布、ガラス繊維不織布などのセパレータに保持された状態で使用される。この他、LiLaNb12、Li1.5Al0.5Ti1.5(PO、LiLaZr12、Li11等の無機固体電解質、リチウム塩とポリエチレンオキサイド、ポリメタクリレート、ポリアクリレート等の高分子化合物との複合体からなる有機固体電解質、電解液をポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等に吸収させたゲル状電解質も使用される。電気二重層キャパシタ及びレドックスキャパシタのためには、(CNBF等の第4級アンモニウム塩をアクリロニトリル、プロピレンカーボネート等の溶媒に溶解させた電解液が使用される。ハイブリッドキャパシタのためには、リチウム塩をプロピレンカーボネート等に溶解させた電解液や、第4級アンモニウム塩をプロピレンカーボネート等に溶解させた電解液が使用される。
但し、正極と負極との間の電解質として、固体電解質又はゲル状電解質が使用される場合には、活物質層におけるイオン伝導パスを確保する目的で、(C)工程において、(B)工程で得られた電極材料に固体電解質を添加し、さらにバインダ及び溶媒を加えてスラリーを調製する。
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
(1)酸化処理カーボンの製造
酸化処理カーボン1
60%硝酸300mLにケッチェンブラック(商品名EC300J、ケッチェンブラックインターナショナル社製)10gを添加し、得られた液に超音波を10分間照射した後、ろ過してケッチェンブラックを回収した。回収したケッチェンブラックを3回水洗し、乾燥することにより、酸処理ケッチェンブラックを得た。この酸処理ケッチェンブラック0.5gと、Fe(CHCOO)1.98gと、Li(CHCOO)0.77gと、C・HO1.10gと、CHCOOH1.32gと、HPO1.31gと、蒸留水120mLとを混合し、得られた混合液をスターラーで1時間攪拌した後、空気中100℃で蒸発乾固させて混合物を採集した。次いで、得られた混合物を振動ボールミル装置に導入し、20hzで10分間の粉砕を行なった。粉砕後の粉体を、窒素中700℃で3分間加熱し、ケッチェンブラックにLiFePOが担持された複合体を得た。
濃度30%の塩酸水溶液100mLに、得られた複合体1gを添加し、得られた液に超音波を15分間照射させながら複合体中のLiFePOを溶解させ、残った固体をろ過し、水洗し、乾燥させた。乾燥後の固体の一部を、TG分析により空気中900℃まで加熱し、重量損失を測定した。重量損失が100%、すなわちLiFePOが残留していないことが確認できるまで、上述の塩酸水溶液によるLiFePOの溶解、ろ過、水洗及び乾燥の工程を繰り返し、LiFePOフリーの酸化処理カーボンを得た。
次いで、得られた酸化処理カーボンの0.1gをpH11のアンモニア水溶液20mlに添加し、1分間の超音波照射を行なった。得られた液を5時間放置して固相部分を沈殿させた。固相部分の沈殿後、上澄み液を除去した残余部分を乾燥させ、乾燥後の固体の重量を測定した。乾燥後の固体の重量を最初の酸化処理カーボンの重量0.1gから差し引いた重量の最初の酸化処理カーボンの重量0.1gに対する重量比を、酸化処理カーボンにおける「親水性部分」の含有量とした。親水性部分の含有量は、全体の15質量%であった。
酸化処理カーボン2
60%硝酸300mLにケッチェンブラック(商品名EC300J、ケッチェンブラックインターナショナル社製)10gを添加し、得られた液に超音波を1時間照射した後、ろ過してケッチェンブラックを回収した。回収したケッチェンブラックを3回水洗し、乾燥することにより、酸処理ケッチェンブラックを得た。この酸処理ケッチェンブラックを、窒素中700℃で3分間加熱した。得られた酸化処理カーボンについて、酸化処理カーボン1における手順と同じ手順で親水性部分の含有量を測定した。親水性部分の含有量は、全体の9.1質量%であった。
(2)カーボンと活物質との混合
活物質とカーボンとの混合における変化を確認するために、以下の実験を行った。
(i)微小粒子とカーボンとの混合
実験1
平均粒径0.32μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2微小粒子の1.6gと、酸化処理カーボン1の0.4gとを振動ボールミル装置に導入し(微小粒子:カーボン=80:20)、20hzで30分間の乾式混合を行なった。得られた混合物をSEM写真により観察した。
実験2
平均粒径0.32μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2微小粒子の1.6gと、酸化処理カーボン1の0.4gとを乳鉢に導入し(微小粒子:カーボン=80:20)、10分間手混合を行なった。得られた混合物をSEM写真により観察した。
実験3
平均粒径0.32μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2微小粒子の1.6gと、アセチレンブラック(一次粒子径約40nm)の0.4gとを乳鉢に導入し(微小粒子:カーボン=80:20)、10分間手混合を行なった。得られた混合物をSEM写真により観察した。
図2には、実験1〜3において得られたSEM写真(倍率:50000倍)が示されている。カーボンとしてアセチレンブラックを使用した場合(実験3)には、酸化処理カーボン1を使用した場合(実験2)に比較して、同じ混合条件であるにもかかわらず、微小粒子が凝集していることがわかる。また、酸化処理カーボン1を使用していても、振動ボールミルによる混合の場合(実験1)には、乳鉢による手混合の場合(実験2)に比較して、微小粒子の凝集がさらに抑制されていることがわかる。したがって、微小粒子の凝集抑制のためには、酸化処理カーボン1の使用が好ましく、振動ボールミルの使用がより好ましいことがわかった。
(ii)活物質の溶解抑制
酸化処理カーボン1及びアセチレンブラックのそれぞれを、平均粒径0.22μmのLiFePO粒子、平均粒径0.26μmのLiCoO粒子、及び平均粒径0.32μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2粒子と5:95の質量比で混合し、さらに全体の5質量%のポリフッ化ビニリデンと適量のN−メチルピロリドンを加えて十分に混練してスラリーを形成し、アルミニウム箔上に塗布し、乾燥し、圧延処理を行って、電極を得た。この電極と、1MのLiPFのエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート1:1溶液に水1000ppmを加えた電解質とを用いて、コイン型電池を作成した。この試験では、電解液と接触する活物質の面積を増加させる目的で、比表面積が大きい微小粒子が使用された。また、水1000ppmは、水が多いほど活物質が溶解しやすいため、加速試験を目的として添加された。この電池を60℃で1週間放置した後に分解し、電解質を採取して、ICP発光分析装置により電解質に溶解している金属量を分析した。表1に得られた結果を示す。
表1から明らかなように、酸化処理カーボン1は、アセチレンブラックに比較して、活物質の電解質中への溶解を顕著に抑制する。これは、酸化処理カーボン1が、活物質が0.22〜0.32μmの平均粒径を有する微小粒子であっても、この微小粒子の凝集を効果的に抑制し、活物質粒子の表面の略全体を被覆しているためであると考えられる。
(iii)粗大粒子とカーボンとの混合状態
実験4
平均粒径5μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2粗大粒子の0.96gと、酸化処理カーボン1の0.04gとを乳鉢に導入し(粗大粒子:カーボン=96:4)、5分間手混合を行なった。得られた混合物をSEM写真により観察した。
実験5
平均粒径5μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2粗大粒子の0.96gと、酸化処理カーボン1の0.02gと、アセチレンブラックの0.02gと、を乳鉢に導入し(粗大粒子:カーボン=96:4)、5分間手混合を行なった。得られた混合物をSEM写真により観察した。
実験6
平均粒径5μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2粗大粒子の0.96gと、アセチレンブラックの0.04gとを乳鉢に導入し(粗大粒子:カーボン=96:4)、5分間手混合を行なった。得られた混合物をSEM写真により観察した。
図3には、実験4〜6において得られたSEM写真(倍率:100000倍)が示されている。カーボンとしてアセチレンブラックのみを使用した場合(実験6)には、粗大粒子とアセチレンブラックとが分離して存在しているが、カーボンとして酸化処理カーボン1を使用した場合(実験4,実験5)には、粗大粒子が糊状物により覆われ、粗大粒子の輪郭が明瞭に把握されないことがわかる。この糊状物は、酸化処理カーボン1が混合の圧力により粗大粒子の表面を覆いながら広がったものである。実験4のSEM写真において、実験5のSEM写真に比較して、粗大粒子の輪郭がさらに不明瞭であるのは、酸化処理カーボン1の量が多いためである。
(3)電極の製造
実施例1
LiCOと、Ni(CHCOO)と、Mn(CHCOO)と、Co(CHCOO)とを蒸留水に導入し、得られた混合液をスターラーで1時間攪拌した後、空気中100℃で蒸発乾固させた後、ボールミルで混合し、空気中800℃で10分間加熱することにより、平均粒径0.5μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2微小粒子を得た。この粒子の1.6gと酸化処理カーボン1の0.4gとを振動ボールミルに導入して30分間乾式混合した。次いで、得られた予備混合物の0.1gと、アセチレンブラック(一次粒子径40nm)の0.02gと、市販の平均粒径5μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2粗大粒子の0.88gとを乳鉢を用いて10分間乾式混合し、さらに全体の5質量%のポリフッ化ビニリデンと適量のN−メチルピロリドンを加えて十分に混練してスラリーを形成し、アルミニウム箔上に塗布し、乾燥し、30kN/cmの圧力で複数回の圧延処理を行って、電極を得た。アルミニウム箔上の電極材料の体積と重量の実測値から電極密度を算出した。電極密度は、4.00g/ccであった。
実施例2
実施例1において得られた平均粒径0.5μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2微小粒子の1.6gと酸化処理カーボン1の0.4gとを乳鉢を用いて10分間乾式混合した。次いで、得られた予備混合物の0.1gと、アセチレンブラック(一次粒子径40nm)の0.02gと、市販の平均粒径5μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2粗大粒子の0.88gとを乳鉢を用いて10分間乾式混合し、さらに全体の5質量%のポリフッ化ビニリデンと適量のN−メチルピロリドンを加えて十分に混練してスラリーを形成した。得られたスラリーを用いて、実施例1と同じ手順で電極を得、電極密度を算出した。電極密度は、3.83g/ccであった。
実施例3
酸化処理カーボン1の0.4gの代わりに、酸化処理カーボン2の0.4gを用いて、実施例2の手順を繰り返した。電極密度は、3.55g/ccであった。
比較例1
実施例1において得られた平均粒径0.5μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2微小粒子の0.08gと、アセチレンブラックの0.02gとを、乳鉢を用いて10分間乾式混合した。これに市販の平均粒径5μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2粗大粒子の0.88gを加えて乳鉢を用いて10分間乾式混合し、さらに全体の5質量%のポリフッ化ビニリデンと適量のN−メチルピロリドンを加えて十分に混練してスラリーを形成した。得られたスラリーを用いて、実施例1と同じ手順で電極を得、電極密度を算出した。電極密度は、3.50g/ccであった。
比較例2
市販の平均粒径5μmのLiNi0.5Mn0.3Co0.2粒子の0.96gと、アセチレンブラックの0.04gとを、乳鉢を用いて10分間乾式混合し、さらに全体の5質量%のポリフッ化ビニリデンと適量のN−メチルピロリドンを加えて十分に混練してスラリーを形成した。得られたスラリーを用いて、実施例1と同じ手順で電極を得、電極密度を算出した。電極密度は、3.40g/ccであった。
比較例1,比較例2と実施例3との比較から把握されるように、アセチレンブラックに代えて酸化処理カーボン2とアセチレンブラックとを1:1の質量比で使用するだけで、電極密度が向上することがわかる。これは、酸化処理カーボン2を含む電極材料において、粗大粒子と微小粒子とが分散性良く且つ均一に混合されているため、電極作成時の圧延処理により、粗大粒子の間に形成される空間に微小粒子が配置されやすくなったためであると考えられる。
また、酸化処理カーボン1とアセチレンブラックとを1:1で使用した実施例1,実施例2と、酸化処理カーボン2とアセチレンブラックとを1:1で使用した実施例3との比較から把握されるように、全体の10質量%以上の親水性成分を含む酸化処理カーボン1の使用により、電極密度が大幅に向上することがわかる。これは、図3に示したように、酸化処理カーボン1が糊状に広がって活物質粒子を被覆するため、活物質粒子が分散性良く混合された電極材料が得られており、また、電極作成時の圧延処理により、酸化処理カーボンがさらに糊状に広がって活物質粒子の表面を覆いながら緻密化し、粗大粒子が互いに接近し、これに伴って酸化処理カーボンが活物質粒子の表面を覆いながら隣り合う粗大粒子の間に形成される間隙部に微小粒子と共に押し出されて緻密に充填されたためであると考えられる。
さらに、実施例1と実施例2との比較から把握されるように、酸化処理カーボン1を使用していても、微小粒子と酸化処理カーボン1との乾式混合を振動ボールミルで行なった場合(実施例1)には、微小粒子と酸化処理カーボン1との乾式混合を乳鉢を用いて行なった場合(実施例2)に比較して、電極密度がさらに向上することがわかる。これは、図2に示したように、振動ボールミルによる乾式混合により微小粒子がより微細に且つより均一に分散するため、電極作成時の圧延処理により、隣り合う粗大粒子の間に形成される間隙部に微小粒子がより充填されやすくなったことを反映していると考えられる。
実施例1又は実施例2で得られた電極を正極として用いて、1MのLiPFのエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート1:1溶液を電解液とし、対極をリチウムとしたリチウムイオン二次電池を作成した。得られた電池について、広範囲の電流密度の条件下で充放電特性を評価した。図4は、レートと放電容量との関係を示した図である。実施例1の電極を用いた電池は、実施例2の電極を用いた電池に比較して、優れたレート特性を示した。これは、図2に示したように、振動ボールミルによる乾式混合により、微小粒子がより微細に且つより均一に分散され、電極作成時の圧延処理により隣り合う粗大粒子の間に形成される間隙部にこの微細に分散した微小粒子が充填されているためであると考えられる。
本発明の電極の使用により、高いエネルギー密度を有する蓄電デバイスが得られる。

Claims (5)

  1. 蓄電デバイスの電極の製造方法であって、
    (A)空隙を有するカーボン原料を酸化処理して得られた導電性カーボンと、正極活物質又は負極活物質として動作可能な第1の活物質の粒子と、を乾式混合して予備混合物を得る工程、
    (B)前記予備混合物と、前記第1の活物質の粒子と同じ極の活物質として動作可能であり且つ前記第1の活物質の粒子の平均粒径より大きい平均粒径を有する第2の活物質の粒子と、を乾式混合して電極材料を調製する工程、
    (C)前記電極材料と、バインダと、溶媒と、を混合してスラリーを調製する工程、及び、
    (D)前記スラリーを集電体上に塗布して活物質層を形成し、該活物質層中の溶媒を乾燥させた後、前記活物質層に圧力を印加する工程
    を含むことを特徴とする電極の製造方法。
  2. 前記(A)工程における乾式混合を、ビーズミル、ボールミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、ポットミル、メカノフュージョン複合化装置、ジェットミル及びプラネタリーミキサーから選択された装置を用いて行なう、請求項1に記載の電極の製造方法。
  3. 前記(A)工程及び/又は前記(B)工程において、前記導電性カーボンより高い導電率を有する別の導電性カーボンをさらに混合する、請求項1又は2に記載の電極の製造方法。
  4. 前記第1の活物質の粒子の平均粒径が0.01〜2μmの範囲であり、前記第2の活物質の粒子の平均粒径が2μmより大きく25μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極の製造方法。
  5. 前記導電性カーボンが親水性部分を含み、該親水性部分の含有量が導電性カーボン全体の10質量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極の製造方法。
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