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JP6320286B2 - 太陽光発電システムにおける性能検査装置 - Google Patents
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Description

本発明は、太陽光発電システムにおける性能検査装置及びプログラムに関する。
近年では、太陽光発電システムが普及してきているが、太陽光発電電力の全量買取制度やメーカーによるモジュールの長期出力保証制度の開始により、ストリング単位での発電性能のオンサイト検査が重要となってきた。
従来においては、その検査の手法として、例えば太陽光発電システムに切替スイッチ等を予め組み込んでおき、検査時には、測定対象のストリングを切り離し、残りのストリングの電力を測定するなどして故障を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2012−190947号公報 特開2013−120803号公報
しかしながら、従来においては、発電性能の不良の太陽電池(群)を検出するためには、切替スイッチなどの装置や配線等検査の実施のための設備を太陽光発電システムに予め組み込んでおく必要があった。また、装置等を組み込む必要があるため太陽光発電システムのコストの増加を招くことになる。
また、オンサイト検査の手法として一般的なI−Vカーブ測定は、精度の高い測定ができる一方で、検査作業員の手間と時間が多くかかるという問題がある。各ストリングの運転電流を直流クランプで測定する方法は、I−Vカーブ測定に比べて簡易な測定方法となる場合があるが、接続箱の構造によってはストリング接続ケーブルヘのクランプが困難な場合もあるとともに、測定の都度、ゼロ調整や結果記録が必要であり、日射変動があるとストリング間の相対比較ができず良否判定が困難になるといった問題がある。
本発明は、性能検査目的の装置を太陽光発電システムに予め組み込むことなく性能検査の実施単位となる単位発電手段の発電性能の良否を迅速かつ効率的に判定することを目的とする。
本発明に係る太陽光発電システムにおける性能検査装置は、性能検査の実施単位となる複数の単位発電手段を有する太陽光発電手段と、パワーコンディショナーと、前記太陽光発電手段に含まれる前記単位発電手段それぞれを接続する複数の遮断器を内蔵し、前記各単位発電手段からの複数の配線をまとめて前記パワーコンディショナーに接続し、前記複数の単位発電手段が個々に発電した電気をまとめて前記パワーコンディショナーへ送る接続箱と、を有する太陽光発電システムにおける性能検査装置において、全ての前記遮断器をオン状態にすることによって、前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記接続箱から出力される直流電流の測定データを接続状態時データとして収集する第1収集手段と、前記複数の単位発電手段のうち性能検査対象の単位発電手段を接続する前記遮断器のみをオフ状態にすることによって、当該単位発電手段のみが前記パワーコンディショナーから切り離されているときに、前記接続箱から出力される直流電流の測定データを非接続状態時データとして収集する第2収集手段と、接続状態時データに対する接続状態時データと非接続状態時データとの差分の比率に基づき当該単位発電手段の発電性能の良否を判定する判定手段と、人手による前記遮断器のオンとオフの切替タイミングを示す時間間隔にて定周期的に音を出力する音出力手段と、を有するものである。
また、前記第1収集手段は、接続状態時データを収集してから前記第2収集手段により非接続状態時データが収集された後、前記性能検査対象の単位発電手段が再度接続されることにより前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記接続箱から出力される直流電流の測定データを再接続状態時データとして収集し、前記判定手段は、接続状態時データと再接続状態時データとの平均値を接続状態時データとして算出し、算出した接続状態時データに対する算出した平均接続状態時データと非接続状態時データとの差分の比率に基づき当該単位発電手段の発電性能の良否を判定するものである。
また、前記判定手段は、前記第1収集手段及び前記第2収集手段により収集された測定データを表示するものである。
本発明によれば、性能検査目的の装置を太陽光発電システムに予め組み込むことなく性能検査の実施単位となる単位発電手段の発電性能の良否を迅速かつ効率的に判定することができる。
本発明に係る性能検査装置の一実施の形態を含む太陽光発電システムを示した構成図である。 本実施の形態におけるデータ処理装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。 本実施の形態における直流電流・電圧ロガーにより収集された直流電流値をグラフ形式で示した図である。 本実施の形態におけるデータ処理装置が実施する性能判定処理を示したフローチャート 本実施の形態におけるデータ記憶部に記憶された測定データのデータ構成の一例を示した図である。 図3に示した測定データの一部を拡大した図である。
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る性能検査装置の一実施の形態を含む太陽光発電システムを示した構成図である。図1には、太陽電池アレイ1、ストリング2、接続箱3、集電箱4、パワーコンディショナー5、日射計6、気温計7、受変電設備・構内配電設備8、電力会社9、データ処理装置10及び直流電流・電圧ロガー40が示されている。
太陽電池アレイ1は、太陽光発電手段であり、太陽の光エネルギーを吸収して直接電気に変えるエネルギー変換器で、複数のストリング2を有している。ストリング2は、本実施の形態においては性能検査の実施単位となる単位発電手段である。ストリング2は、太陽電池の構成単位で、複数(例えば10〜20個)の太陽電池モジュール(ソーラーパネル)を直列で配線し、まとまった電力量を得られるように形成される。ストリング2をまとめて十分な出力を得られるようにし、かつ屋上などに設置する台などに取り付けられたのが太陽電池アレイ1である。
パワーコンディショナー5は、太陽電池アレイ1により発電された直流の電気を受変電設備や構内配電設備8に送信する際に交流に変換し、安定した電力を供給できるようにするための機器である。変換された電気は、生成された電力量によっては電力会社9に売電される。
接続箱3は、太陽電池アレイ1に含まれる各ストリング2からの配線をまとめてパワーコンディショナー5に接続する機器であり、各ストリング2が個々に発電した電気をまとめてパワーコンディショナー5に送る。本実施の形態では、複数の太陽電池アレイ1を有する相対的に規模の大きい太陽光発電システムを想定しているので、複数の接続箱3を用いて全ての太陽電池アレイ1を接続するように構成している。太陽電池アレイ1と接続箱3の構成及びその接続関係等は全ての組において同等でよいので、図1では1組のみ示した。本実施の形態のように、複数の接続箱3が存在する場合、各接続箱3からの出力される電気(直流電流)は、集電箱4を介してパワーコンディショナー5に送られることになる。接続箱3には、ストリング2それぞれを接続するブレーカー(遮断器)34が内蔵されており、ブレーカー34をオン/オフすることでパワーコンディショナー5への送電が制御される。なお、ブレーカー34は、基本的には人手によりオン/オフされ、本実施の形態でもこの手動タイプのブレーカー34を用いることを想定しているが、オン/オフを自動切り替えできるタイプのものを利用してもよい。
集電箱4は、複数の接続箱3からの配線をまとめてパワーコンディショナー5に接続する機器であり、各接続箱3から送られてくる電気をまとめてパワーコンディショナー5に送る。集電箱4には、接続箱3それぞれを接続するブレーカー(遮断器)44が内蔵されており、ブレーカー44をオン/オフすることでパワーコンディショナー5への送電が制御される。ブレーカー44は、手動タイプでもオン/オフを自動切り替えできるタイプでもよい。本実施の形態のように複数の接続箱3が必要な場合、複数の接続箱3からの配線をまとめるために用いられる。集電箱4は、基本的には接続箱3と同様の機能を有している。
電気測定手段である直流電流・電圧ロガー(以下、単に「ロガー」)40は、DCクランプ41の接続位置における直流電流及びプローブ42の接続位置における電圧を測定し、その測定したデータを内部に蓄積する機器である。本実施の形態におけるロガー40は、0.5秒毎に電気を測定し、測定データを記録する機種を想定しているが、データを記録する周期はこれに限定する必要はない。また、本実施の形態におけるロガー40は、測定データを外部出力する機能を合わせて有している。本実施の形態では、従前からあるロガー40を利用すればよいが、集電箱4の近傍まで持ち運ぶので携帯性に優れた機器が好適である。なお、本実施の形態では、直流電流が少なくとも測定できればよいが、電力値を求める場合にも対応可能なように電圧も測定できる機種を用いることにした。
データ処理装置10は、ロガー40に蓄積された測定データを収集し、ストリング2の性能検査を実施する。
図2は、本実施の形態におけるデータ処理装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態におけるデータ処理装置10は、携帯機器であるタブレット端末で実現することを想定している。タブレット端末を形成するコンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ストレージ24、ユーザインタフェース手段であるタッチパネル25、通信手段として設けられたネットワークインタフェース(IF)26を内部バス27に接続して構成される。
図1に戻り、データ処理装置10は、データ収集部11、判定処理部12、情報提供部13及びデータ記憶部14を有している。データ収集部11は、第1収集手段及び第2収集手段として設けられ、ロガー40により測定され蓄積された0.5秒毎の直流電流値(測定データ)を収集し、データ記憶部14に書き込み保存する。判定処理部12は、判定手段として設けられ、詳細は後述するように接続状態時データに対する接続状態時データと非接続状態時データとの差分の比率に基づき性能検査対象のストリング2の発電性能の良否を判定する。情報提供部13は、判定処理部12による判定結果をタッチパネル25に表示するなどして検査作業員等に情報提供する。
データ処理装置10における各構成要素11〜13は、データ処理装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、データ記憶部14は、データ処理装置10に搭載されたストレージ24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPU21がプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
次に、本実施の形態におけるストリング2の性能検査を行う手順について説明する。性能検査対象とするストリング2の順番は特に定める必要はないので、本実施の形態では、識別番号の若い順に性能検査対象としていくことにする。また、タブレット端末をデータ処理装置10として用いる場合を例にして説明する。
検査作業員は、タブレット端末10とロガー40を持って性能検査の実施対象となる太陽光発電システムの設置場所へ出向く。そして、検査作業員は、集電箱4のいずれかのブレーカー44の接続箱3側にロガー40のDCクランプ41を接続する。つまり、DCクランプ41が接続されたブレーカー44の配線の先にある接続箱3に、検査対象とするストリング2を含む太陽電池アレイ1が接続されていることになり、これにより、接続箱3から出力される直流電流が測定されることになる。なお、本実施の形態においては、ストリング2を性能検査の実施単位とし、いずれか1つのストリング2が性能検査対象となるが、DCクランプ41が接続されることによって性能検査対象のストリング2を含む太陽電池アレイ1及びその太陽電池アレイ1を接続する接続箱3がそれぞれ特定される。以降の説明においては、「太陽電池アレイ1」及び「接続箱3」という場合、太陽光発電システムに含まれる複数の太陽電池アレイ1及び接続箱3のうち、説明の便宜上、特に断らない限り、以上のように特定された太陽電池アレイ1及び接続箱3のことを指すものとする。
検査作業員はまた、集電箱4の各ブレーカー44からの配線がまとめられた先のパワーコンディショナー5側の位置にロガー40のプローブ42を接続する。これにより、集電箱4から出力される電圧が測定されることになる。
なお、本実施の形態では、集電箱4に取り付けるようにロガー40を設置したが、直流電流の測定箇所は、各接続箱3から集電箱4の間の配線部分であれば、DCクランプ41をどこに取り付けてもよい。同様に、電圧の測定箇所は、集電箱4とパワーコンディショナー5との間の配線部分であれば、プローブ42をどこに取り付けてもよい。
以上のようにロガー40を設置し、DCクランプ41及びプローブ42を配線の所定の位置に接続すると、検査作業員は、ロガー40に対して所定の操作を行って直流電流及び電圧の記録を開始させる。その後、検査作業員は、DCクランプ41が接続された配線の先にある接続箱3の設置位置まで移動する。
まず、初期の状態として、太陽電池アレイ1に含まれる全てのストリング2を接続箱3及び集電箱4を介してパワーコンディショナー5に接続する。つまり、検査作業員は、ストリング2が接続された全てのブレーカー34をオン状態にする。「オン状態(ON状態)」というのは、当該ストリング2に対応するブレーカー34をオンにすることで、当該ストリング2がパワーコンディショナー5に接続されている状態のことをいう。これにより、当該ストリング2からの電気はパワーコンディショナー5に送られる。一方、「オフ状態(OFF状態)」というのは、当該ストリング2に対応するブレーカー34をオフにすることで、当該ストリング2がパワーコンディショナー5から切り離された状態のことをいう。これにより、当該ストリング2からの電気はパワーコンディショナー5に送られない。なお、集電箱4におけるブレーカー44は、常時オン状態とする。
以上の初期状態から、検査作業員は、接続箱3のフタを開け、識別番号が1のストリング2から順番に次の処理を施す。なお、識別番号がn(n=1,2,...,N、Nは太陽電池アレイ1に含まれるストリング2の数)のストリング2を便宜的に「n番目のストリング2」と称することにすると、検査作業員は、1番目のストリング2に対応するブレーカー34をオフにすることでオフ状態にする。本実施の形態では、2秒間オフ状態にする。2秒経過すると、1番目のストリング2に対応するブレーカー34をオンにすることでオン状態に戻す。すなわち、全てのストリング2がオン状態になる。この全てのストリング2をオン状態にしてから2秒経過すると、今度は2番目のストリング2に対応するブレーカー34をオフにすることでオフ状態にする。そして、2秒経過すると、2番目のストリング2に対応するブレーカー34をオンにすることでオン状態に戻す。これにより、全てのストリング2がオン状態になる。このように、検査作業員は、全ストリング2を2秒間オン状態にした状態と、いずれか1つのストリング2をオフ状態にした状態と、を交互に形成するというブレーカー34の切替作業を、予め決められた周期でN番目のストリング2まで繰り返し行う。
以上の切替作業が検査作業員により実施されている間、ロガー40は、1つの接続箱3から送られてくる直流電流を測定しているが、図3には、この測定により収集、蓄積された測定データがグラフ形式で示されている。各ストリング2のオン/オフ状態が2秒間隔で切り替えられると、図3に例示したように2秒間隔で測定データにより示される直流電流の値は上下を繰り返す。図3において、例えば、aで示されている部分は1番目のストリング2がオフ状態のとき、bで示されている部分は2番目のストリング2がオフ状態のとき、Nで示されている部分はN番目のストリング2がオフ状態のときである。なお、本実施の形態では、太陽電池アレイ1に含まれるストリング2の全てが接続箱3を介してパワーコンディショナー5に接続されているときに、接続箱3から出力される直流電流の測定データを「接続状態時データ」と称することにする。また、太陽電池アレイ1に含まれる複数のストリング2のうち性能検査対象のストリング2のみがパワーコンディショナー5から切り離されているときに、接続箱3から出力される直流電流の測定データを「非接続状態時データ」と称することにする。図3において、接続状態時データから直流電流値が下がったa,b,Nで示されている部分は非接続状態時データに該当する。
なお、ロガー40は、0.5秒間隔で直流電流を測定するので、厳密には、測定データは、図3に示したように連続線ではなく0.5秒間隔のドットで示されることになる。そして、各ストリング2を2秒間隔でオン/オフ状態しているので、2秒間で示される測定データは、4つのドットで構成されることになる。ただ、図3では、便宜的に連続線で示した。
このようにして、1つの接続箱3に対する作業が終了すると、検査作業員は、検査をまだ実施していない他の接続箱3が接続された配線にDCクランプ41を接続することで性能検査対象とするストリング2を有する太陽電池アレイ1を切り替える。そして、切替先の太陽電池アレイ1が接続された接続箱3の設置位置まで移動し、その接続箱3に対しても上記と同様に処理する。そして、集電箱4に接続された全ての接続箱3に対して上記と同様に処理することで、最終的に太陽光発電システムに含まれる全てのストリング2に対して2秒間のオフ状態時における直流電流を測定する。以上の測定データの収集作業が終了すると、検査作業員は、ロガー40に対して所定の操作を行って直流電流及び電圧の記録を停止させる。
ところで、本実施の形態では、以上説明した測定データを収集するために、検査作業員は、2秒間隔でブレーカー34を順番にオン/オフする必要がある。このオン/オフの切替作業を検査作業員にできるだけ正確に実施させるために、例えば、タブレット端末10から2秒毎に何らかの音を出力させるようにしてもよい。検査作業員は、その音に合わせてブレーカー34をオン/オフする。
次に、本実施の形態におけるデータ処理装置10が実施する性能判定処理について図4に示したフローチャートを用いて説明する。
検査作業員は、ロガー40をタブレット端末10にUSBケーブル等を用いて有線接続、又は無線により接続する。そして、検査作業員がタブレット端末10のアプリケーションを起動するなど所定の操作や測定データの取込期間などを指定すると、データ収集部11は、ロガー40に蓄積された測定データを取得し、データ記憶部14に書き込む(ステップ101)。
図5は、本実施の形態におけるデータ記憶部14に記憶された測定データの一例を示した図である。測定データには、当該測定データの測定時刻、当該測定データ(直流電流値)を示す測定電流と、当該測定データが測定されたときのストリング2の状態を示す状態情報と、が対応付けして記憶される。なお、測定データを測定した時間情報には、時刻のみを示し年月日を省略している。
ところで、図5に示したように、検査作業員は、測定データに含まれる1ストリング分の非接続状態時データ(図3におけるa,b,N)と、検査作業員によりオン/オフの切替作業対象とされるブレーカー34に対応するストリング2と、を1対1に対応付ける必要がある。この手法として事前同期、逐次同期及び事後同期とが考えられる。事前同期は、ブレーカー34をオフ/オンする時刻と電流測定時刻を予め決めておく手法である。ただ、様々なタイミング変動要因の影響を受けやすく測定誤差が生じやすい。逐次同期は、ブレーカー34を操作して電流の測定を指示する。この場合、電流値の変化、安定を確認してから測定、記録する必要がある。従って、手間や測定に要する所要時間が多大となる。事後同期は、どのストリング2に対応する測定値がどの時点の測定値であるかを測定結果を見て決める。つまり、(ブレーカー34のオフ/オンを一定周期で行う。そして、その操作とは別個に電流をより短い周期でロギングする。それらを後から突き合わせる。事後同期では、様々なタイミング変動要因を吸収できる。
そこで、本実施の形態では、事後同期を採用する。具体的には、判定処理部13は、検査員の操作に応じてデータ記憶部14に記憶された測定データをタッチパネル25上の所定の設定画面に表示する。検査作業員は、設定画面上の測定データを参照して、最初に直流電流値が大きく下がって部分を1番目のストリング2と対応付ける。判定処理部13は、検査作業員による測定電流とストリング2とを対応付けをデータ記憶部14に設定する。
本実施の形態では、接続状態時データに対する接続状態時データと非接続状態時データとの差分の比率に基づきストリング2の発電性能の良否を判定するが、この比率を算出する手順について図6を用いて説明する。
図6は、図3に示した測定データの一部を拡大した図である。一点鎖線の楕円61で囲んだ部分に含まれる測定データは、接続状態時データであり、二点鎖線の楕円62で囲んだ部分に含まれる測定データは、非接続状態時データである。拡大することで明確に図示したが、測定データは、0.5秒間隔で収集されるので、ストリング2のオン/オフ状態が2秒間隔で切り替わる間に4つの測定データが得られる。なお、図6では、図3と対応付けるために各ストリング2が同じ状態のときに収集された4つの測定データを補助線で結ぶように図示した。
ここでは、2番目のストリング2に着目してストリング2の性能の良否判定処理について説明する。図5に例示した測定データによると、2番目のストリング2がオフ状態のとき、すなわち、10時43分04秒0、10時43分04秒5、10時43分05秒0及び10時43分05秒5の時刻に直流電流が測定されている。本実施の形態では、2秒間の間に測定された直流電流のうち3番目の10時43分05秒0に測定された直流電流値“42.647”を、当該ストリング2がオフ状態のときの測定値として採用する。4つの測定データ全てを用い、例えば平均値を当該ストリング2がオフ状態のときの直流電流値をしてもよい。ただ、4つの測定データのうち1番目と4番目は、検査作業員によるブレーカー34の切替タイミングが若干ずれて、2番目のストリング2がオフ状態ではなく全てのストリング2がオン状態のときに測定されたデータとなる可能性があるので利用し難い。この理由からすると、2番目の測定データを採用してもよいが、オン/オフの切替えによる影響で測定値が安定していない可能性がある。一方、3番目の測定データは、オン/オフの切替えから時間が経過しており、特に2秒間の中間で測定されている。このため、本実施の形態では、3番目の測定データ64を代表して良否判定に用いることにした。他のストリング2がオフ状態のとき、また全てのストリング2がオン状態のときも同様に3番目の測定データ62,63,65を用いることにする。
なお、本実施の形態では、0.5秒間隔で直流電流を記録するロガー40を用い、2秒間隔でブレーカー34を切り替えたので、2秒間に4つの測定データが得られる。このため、上記のように3番目の測定データを代表して良否判定に用いることにした。ただ、ロガー40の記録間隔とブレーカー34の切替周期との関係によって、3番目以外の測定データを採用するようにしてもよいし、複数の測定データのうち全部又は一部を使って平均値、中央値等を求め、それを当該ストリング2の測定値として用いるようにしてもよい。
判定処理部12は、まず性能判定対象の2番目のストリング2を挟む全ストリング2がオン状態のときに収集された測定データ(接続状態時データ)の平均値を算出する(ステップ102)。図5に示した数値例を用いると、直前の全ストリング2がオン状態のときの測定データ(接続状態時データ)、具体的には10時43分05秒0の2秒前の10時43分03秒0のときの “47.119”と、直後の全ストリング2がオン状態のときの測定データ(接続状態時データ)、具体的には10時43分05秒0の2秒後の10時43分07秒0のときの“46.735”と、を取得し、この平均値“46.927”を算出する。この測定データの平均値(以下、便宜的に「測定データ」と称する)は、図6に示したように測定データ66としてプロットでき、この測定データ66も接続状態時データに該当する。測定データ66は、測定データ64の収集時点において2番目のストリング2をオフ状態にしなかった場合に収集された測定データと仮定しうる。
本実施の形態では、2番目のストリング2をオフ状態にしなかった場合に収集された測定データ66を、当該ストリングを挟む接続状態時データ62,63の平均値を用いて得るようにした。ただ、精度が若干下がるかもしれないが、直前の接続状態時データ62又は直後の接続状態時データ63の一方を測定データ66として用いてもよい。また、3つ以上の接続状態時データを用いて測定データ66を算出してもよい。
続いて、判定処理部12は、測定データ66と測定データ64との差分Dを算出する(ステップ103)。具体的には、46.927−42.647=4.28と算出する。すなわち、2番目のストリング2をオフ状態にしたことで、直流電流値が4.28[A]減少したと推定される。
続いて、判定処理部12は、測定データ66に対する差分Dの比率を算出する(ステップ104)。具体的には、4.28/46.927≒0.0912と算出する。すなわち、2番目のストリング2からの出力電流は、当該ストリング2を含む太陽電池アレイ1の約9.1%を占めていると推定される。
ところで、図5に示した測定データは、N=11個のストリング2を有する太陽電池アレイ1から得られた数値例を示している。つまり、1個あたり1/N≒0.091、すなわち約9.1%の電流を出力している。ただ、日照や気温等によって若干の誤差が生じうるのでマージンを考慮するのが好適である、例えば、9割をマージンとして考慮すると、ストリング2が正常であれば、太陽電池アレイ1において9.1%×0.9≒8.2%以上の電流を出力していると推定できる。この正常なストリング1個当たりが出力すべき直流電流値(8.2%)をストリング2の良否判定をするための判定基準値として予め設定しておく。
判定処理部12は、測定データ66に対する差分Dの比率を算出すると、この比率を判定基準値と比較することで、当該ストリング2の性能の良否判定を行う(ステップ105)。この例だと、2番目のストリング2からの出力電流の太陽電池アレイ1全体からの出力電流の占める割合(比率)が9.1%なので、判定基準値以上である。従って、2番目のストリング2の性能は「良」と判定する。判定処理部12は、以上のようにして各ストリング2の良否判定を行う。
なお、判定処理部12による判定処理の実行タイミングは、1つの接続箱3の測定データが収集される度に実行してもよいし、全ての接続箱3からの測定データが収集された後にまとめて実施してもよい。
判定処理部12において各ストリングの良否判定が行われると、情報提供部13は、判定処理部12による判定結果をタッチパネル25に表示することで検査作業員に知らせたり、ネットワーク経由でシステム管理等に送信することで情報提供する。
本実施の形態においては、以上のようにして各ストリング2の性能の良否判定を行う。仮に、性能が否と判定されたストリング2に対しては、否と判定された原因を突き止めるために測定器等を用いて詳細な検査を実施するようにしてもよい。本実施の形態の場合、詳細な性能検査を性能が否と判定されたストリング2に対してのみ実施すればよいので、性能検査に要するコストを大幅に削減することが可能になる。
本実施の形態では、測定データの記録間隔が0.5秒のロガー40を用いるようにした。理論的には、ストリング2のオン/オフ状態の切替間隔もこれに合わせて0.5秒とすることは可能かもしれない。ただ、検査作業員による手動での切替作業等を考慮すると、ストリング2の良否判定の精度上、2秒以上は必要である。よって、ストリング2のオン/オフ状態の切替間隔を2秒と設定することは妥当であると考えられる。このように、測定データの収集を短時間で行うことができるので、本実施の形態は、100ストリング以上の規模を持つ相対的に大規模な太陽光発電システムにおける性能検査に好適である。このような大規模な発電所では、1台のパワーコンディショナーに接続されるストリング数も多いため、1本のストリングをOFF,ONした時にパワーコンディショナーの運転に与える擾乱も無視できる。
なお、本実施の形態では、直流電流の比率に応じてストリング2の性能検査を行うようにしたので、電圧を測定する必要はないが、例えば、電力値を用いて良否判定を行う場合には、電圧も合わせて測定、記録すればよい。
また、本実施の形態では、ストリング2を性能検査の実施単位としたが、接続箱3又は集電箱4の接続形態によっては、例えば太陽電池モジュール等異なる単位で性能検査を行う場合に適用してもよい。
1 太陽電池アレイ、2 ストリング、3 接続箱、4 集電箱、5 パワーコンディショナー、6 日射計、7 気温計、8 受変電設備・構内配電設備、9 電力会社、10 データ処理装置(タブレット端末)、11 データ収集部、12 判定処理部、13 情報提供部、14 データ記憶部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、、24 ストレージ、25 タッチパネル、26 ネットワークインタフェース(IF)、27 内部バス、34,44 ブレーカー、40 直流電流・電圧ロガー、41 DCクランプ、42 プローブ。

Claims (3)

  1. 性能検査の実施単位となる複数の単位発電手段を有する太陽光発電手段と、パワーコンディショナーと、前記太陽光発電手段に含まれる前記単位発電手段それぞれを接続する複数の遮断器を内蔵し、前記各単位発電手段からの複数の配線をまとめて前記パワーコンディショナーに接続し、前記複数の単位発電手段が個々に発電した電気をまとめて前記パワーコンディショナーへ送る接続箱と、を有する太陽光発電システムにおける性能検査装置において、
    全ての前記遮断器をオン状態にすることによって、前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記接続箱から出力される直流電流の測定データを接続状態時データとして収集する第1収集手段と、
    前記複数の単位発電手段のうち性能検査対象の単位発電手段を接続する前記遮断器のみをオフ状態にすることによって、当該単位発電手段のみが前記パワーコンディショナーから切り離されているときに、前記接続箱から出力される直流電流の測定データを非接続状態時データとして収集する第2収集手段と、
    接続状態時データに対する接続状態時データと非接続状態時データとの差分の比率に基づき当該単位発電手段の発電性能の良否を判定する判定手段と、
    人手による前記遮断器のオンとオフの切替タイミングを示す時間間隔にて定周期的に音を出力する音出力手段と、
    を有することを特徴とする太陽光発電システムにおける性能検査装置。
  2. 前記第1収集手段は、接続状態時データを収集してから前記第2収集手段により非接続状態時データが収集された後、前記性能検査対象の単位発電手段が再度接続されることにより前記複数の単位発電手段の全てが前記接続箱を介して前記パワーコンディショナーに接続されているときに、前記接続箱から出力される直流電流の測定データを再接続状態時データとして収集し、
    前記判定手段は、接続状態時データと再接続状態時データとの平均値を接続状態時データとして算出し、算出した接続状態時データに対する算出した平均接続状態時データと非接続状態時データとの差分の比率に基づき当該単位発電手段の発電性能の良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システムにおける性能検査装置。
  3. 前記判定手段は、前記第1収集手段及び前記第2収集手段により収集された測定データを表示することを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システムにおける性能検査装置。
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