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JP6325214B2 - セルラーゼの製造方法及び液体培地 - Google Patents
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JP6325214B2 - セルラーゼの製造方法及び液体培地 - Google Patents

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Description

本発明はセルラーゼの製造方法に関し、特に、炭素源として紙由来のパルプを含む液体培地を用いてトリコデルマ属菌を培養することによりセルラーゼを製造する方法に関する。
セルロース資源を有効利用するために、近年、セルロースを効率的に分解する方法が探索されている。自然界ではセルロースは主として微生物によって分解されており、細菌や糸状菌などの様々な微生物がセルロース分解酵素を生産することが知られている。
これらの微生物は菌体外にセルロース分解酵素を分泌し、セルロースはその作用により、主に、セロオリゴ糖、セロビオースを経てグルコースへと分解される。セルロース分解酵素は、一般に、セルラーゼと呼ばれている。
人工的にセルラーゼを製造しようとする場合、セルラーゼを分泌する微生物としては、トリコデルマ属が知られており、広く利用されている。そして、トリコデルマ属に属する微生物(以下「トリコデルマ属菌」という。)を炭素源及び窒素源などの栄養を含む培地を用いて培養し、セルラーゼを分泌させる方法も知られている。
特許文献1には炭素源として加熱処理もアルカリ処理も行わない紙類由来のパルプを含む液体培地を用いてトリコデルマ属菌を培養することによりβ−グルカナーゼ及びキシラナーゼを製造する方法が記載されている。紙は入手が容易かつ安価であり、この方法によれば、高活性のセルラーゼを安価に製造することが可能である。
しかしながら、工業的規模で実施するためには未だセルラーゼの供給能力を増強する必要があり、セルラーゼの生産量を安定して増大させる技術が要求される。
国際公開第2010/70748号公報
セルラーゼの生産量を向上させるためにはトリコデルマ属菌の生育を促進する必要がある。そのための手段として、培地を高濃度化してトリコデルマ属菌の栄養を豊富にすることが有効である。他方では、培地は、培養時に通気を提供する必要があり、空気を取り込むことができる良好な攪拌性を有する必要がある。
紙類は水を含むと糊状になり、高粘度化する。それゆえ、従来のパルプを含む液体培地は、紙類の含有量を増大させて培地を高濃度化すると攪拌性が低下し、トリコデルマ属菌の生育が阻害されてセルラーゼの生産量が却って低下する。
通常使用される通気撹拌培養装置の攪拌能力を考慮すると、液体培地のパルプの初期濃度は約5%以下が好ましい。この場合、セルラーゼの生産量を増大させるためには、トリコデルマ属菌の培養がある程度進行した後に、液体培地にパルプを追加する必要がある。培養の途中でパルプを追加することは製造工程を複雑化し、また雑菌によって液体培地が汚染される原因にもなる。
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、パルプを含む液体培地を用いてトリコデルマ属菌を培養するセルラーゼの製造方法において、製造工程を複雑化させることなくセルラーゼの生産量を増大させることが可能なセルラーゼの製造方法を提供することにある。
本発明は、水溶性糖類を含む液体培地を用いて、トリコデルマ属菌を培養する工程を包含するセルラーゼの製造方法であって、
該水溶性糖類を含む液体培地は、炭素源として加熱処理もアルカリ処理も行わない紙類由来のパルプ、及び窒素源としてアンモニア態窒素またはアミノ態窒素を含む原料液体培地にセルラーゼを加え、酵素反応させて水溶性糖類を生成させることにより得られたものである、セルラーゼの製造方法を提供する。
ある一形態においては、上記パルプの原料液体培地中における濃度が6%W/V以上である。
ある一形態においては、上記水溶性糖類の水溶性糖類を含む液体培地中における濃度が1重量%以上である。
ある一形態においては、上記アンモニア態窒素またはアミノ態窒素の原料液体培地中における濃度が35mM以上である。
ある一形態においては、上記紙類が上質紙、更紙、コピー用紙、新聞紙及びダンボール紙からなる群から選択される少なくとも一種である。
ある一形態においては、上記トリコデルマ属菌が、トリコデルマ・リーセイである。
ある一形態においては、培養の過程において水溶性糖類を含む液体培地に対してパルプを追加しない。
また、本発明は、炭素源として加熱処理もアルカリ処理も行わない紙類由来のパルプ、及び窒素源としてアンモニア態窒素またはアミノ態窒素を含む原料液体培地にセルラーゼを加え、酵素反応させて水溶性糖類を生成させることにより得られる、トリコデルマ属菌を培養するために用いられる液体培地を提供する。
ある一形態においては、上記パルプの原料液体培地中における濃度が6%W/V以上である。
ある一形態においては、上記水溶性糖類の水溶性糖類を含む液体培地中における濃度が1重量%以上である。
ある一形態においては、上記アンモニア態窒素またはアミノ態窒素の原料液体培地中における濃度が35mM以上である。
また、本発明は、上記いずれかに記載の方法により製造されたセルラーゼを提供する。
また、本発明は、上記セルラーゼを用いることを特徴とするセルロース資源の分解または糖化方法を提供する。
本発明の方法によれば、パルプを含む液体培地を用いてトリコデルマ属菌を培養するセルラーゼの製造方法において、製造工程を複雑化させることなくセルラーゼの生産量を増大させることが可能である。本発明の方法で得られるセルラーゼはβ−グルカナーゼ活性及びキシラナーゼ活性が高く、バガス又は稲わら等のキシランを含む天然セルロース資源の糖化に極めて有用である。
液体培地
本発明の液体培地は、水溶性糖類を含み、トリコデルマ属菌が生育する栄養を含む水性液である。本発明の液体培地は、炭素源として紙類由来のパルプ、及び窒素源としてアンモニア態窒素又はアミノ態窒素を含む液体培地(例えば、マンデル培地)を原料として用いて調整される。本発明の液体培地を調製するための原料になる液体培地(以下「原料液体培地」という。)の一例を以下に示す。
紙類:6g、(NHSO:0.14g、KHPO:1.5g、CaCl・2HO:0.03g、MgSO・7HO:0.03g、コーンスティープリカー:2mL、ツイーン80:0.1mL、微量元素液(HBO 6mg、(NHMo24・4HO 26mg、FeCl・6HO 100mg、CuSO・5HO 40mg、MnCl・4HO 8mg、ZnSO・7HO 200mg液):0.1mL、水:100mLを含む(燐酸または水酸化ナトリウムでpH4.8に調整)
本発明の液体培地を調製するために、原料液体培地にセルラーゼを添加し、酵素反応させる。セルラーゼと反応することによってパルプは加水分解する。その結果、液体培地は粘度が低下し、培地の攪拌性が向上する。また、パルプが短繊維化及び糖化され、短繊維、オリゴ糖や多糖、キシロース等の低分子の糖、またはその他、水溶性糖類が生成される。
酵素反応の結果、本発明の液体培地は0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上の水溶性糖類を含有する。本発明でいう水溶性糖類は、液体培地の上清中に含まれる水溶性の糖類をいう。水溶性糖類の濃度が1重量%以上の場合にセルラーゼの生産量が顕著に向上する。
水溶性糖類の濃度の上限は、一般に10重量%、好ましくは7重量%、より好ましくは5重量%である。水溶性糖類の濃度を10重量%を超えて高めるためには多量の酵素あるいは長時間の酵素反応が必要になり、コスト高あるいは生産効率が低下する。
セルラーゼは少なくともエンドグルカナーゼ、エクソグルカナーゼ、およびβ−グルコシダーゼを含み、中性〜アルカリ性領域、好ましくは、pH7〜10で活性を持つものであればよく、特に限定されない。例えば、セルラーゼ酵素剤を使用してよい。セルラーゼの添加量は、パルプの重量に対して1〜200V/W%であり、2.5〜180V/W%が好ましく、30〜100V/W%が特に好ましい。
セルラーゼの添加量が、パルプの重量に対して1V/W%未満であると、酵素反応に長時間を要し、処理効率が低下する。また、セルラーゼの添加量が、パルプの重量に対して200V/W%を超えると、多量の酵素が必要になる割には処理効率がそれほど向上しないので、コスト面で問題がある。
酵素反応の反応条件は、pHは中性〜アルカリ性領域(pH7〜10)、温度40〜50℃程度が好ましい。反応時間はパルプを含む液体培地の粘度が低下して、攪拌性が良好になるように設定する。また、反応時間はセルラーゼ酵素剤の使用量を考慮して、水溶性糖類の濃度が好ましい値になるように設定する。酵素反応の反応時間は、例えば1分〜5時間、好ましくは5分〜2時間である。
パルプとは紙類の製造原料に用いられる繊維をいう。パルプの種類は化学パルプ及び古紙パルプのようなセルロース純度が高いものが好ましい。好ましいパルプは、紙類を分解、切断などして得られる紙類由来のパルプである。つまり、本願明細書のパルプは無形化された紙類をいう。
好ましい紙類の具体例としては、上質紙、更紙、コピー用紙、新聞紙及びダンボール紙などが挙げられる。紙類は好ましいパルプが含まれているものであればよく、印刷や筆記がなされたものや一般に古紙と呼ばれているものでもよい。例えば古書、雑誌及び使い古したノートの頁、チラシ、封筒、便箋、葉書、ティッシュ紙なども使用できる。
原料液体培地中のパルプの濃度は、酵素の生産効率を考慮すると高ければ高いほどよい。すなわち、その上限は、酵素反応後の液体培地が良好な撹拌性を示す限度の量である。なお、原料液体培地の攪拌混合を容易にするために、紙類はシュレッダーにより、裁断して用いることが好ましい。
原料液体培地中のパルプの濃度は1%W/V以上、好ましくは3%W/V以上、より好ましくは6%W/V以上である。パルプの濃度が1%W/V未満であるとセルラーゼの生産量があまり増大しない場合がある。
セルラーゼによる酵素反応を行わない場合、パルプを6%W/V以上の濃度で含む培地は粘度が上昇し、可攪拌性が低下する。その場合、通常使用される通気撹拌培養装置では、液体培地中に空気を十分に巻き込むことができず、そのまま培養に使用するとセルラーゼの生産量が低下する可能性が高くなる。セルラーゼによる酵素反応を行う場合、パルプを6%W/V以上の濃度で含む培地は、水溶性糖類の濃度が1重量%以上になるまでに要する反応時間が比較的短時間である。
原料液体培地中のパルプの濃度は、攪拌装置の性能に応じて20%W/V以下、好ましくは15%W/V以下、より好ましくは10%W/V以下でありうる。一般的には、原料である液体培地中のパルプの濃度は4〜15%W/V、好ましくは6〜12%W/Vである。
パルプは天然に存在する分子構造をそのまま保持している天然セルロース材料である。本発明の原料液体培地は、炭素源として、パルプと組み合わせて、又はパルプに代えてパルプ以外の天然セルロース材料を使用してもよい。好ましい天然セルロース材料には、ビール粕、麦茶抽出粕、小麦ふすま、リンゴの絞り粕等のような果実の絞り粕などが挙げられる。これらの天然セルロース材料の製造方法及び使用方法は、例えば、特開2011−41540号に具体的に説明されている。パルプ以外の天然セルロース材料の使用量は、酵素反応後の液体培地が良好な撹拌性を示す程度の量であれば、特に限定されない。
アンモニア態窒素とはアンモニア又はアンモニア由来のアンモニウム塩に含まれている窒素をいう。また、アミノ態窒素とはアミン又はアミン由来のアミノ化合物に含まれている窒素をいう。アンモニア態窒素又はアミノ態窒素を含む化合物は、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、燐酸二アンモニウム、塩化アンモニウム、アンモニア水、尿素、アミノ酸およびその塩(例えば、グルタミン酸ナトリウム)である。
これらのうち、窒素源として本発明の液体培地に用いるのに特に好ましい化合物は、硫酸アンモニウムである。その理由は、コストが低く入手が容易だからである。
アンモニア態窒素又はアミノ態窒素の液体培地中における濃度は、アンモニウムのモル数として35〜660mMである。好ましくは、50〜580mMである。濃度が35mM未満であるとセルラーゼ、特にβ−グルカナーゼの生産量があまり増大しない場合がある。また、この初期濃度が660mMを超えると酵素の生産性が低下する。また、アンモニア態窒素又はアミノ態窒素の液体培地中における濃度は、液体培地中のパルプの濃度に応じて、増減させることが好ましい。
本発明の原料液体培地は、窒素源として、アンモニア態窒素又はアミノ態窒素と組み合わせて、又はこれらに代えて廃菌体を使用してもよい。廃菌体とは、酵素のように微生物を増殖させて生産する物質の生産において、目的とする成分を採取した後に残される菌体や培地などの残渣、あるいはその加工物をいう。廃菌体の製造方法及び使用方法は、例えば、特開2011−41540号に具体的に説明されている。廃菌体の使用量は、セルラーゼの生産量が向上する程度の量であれば、特に限定されない。
セルラーゼの製造方法
トリコデルマ属菌はセルロースの糖化に必要なセルラーゼの生産菌として知られている。本発明に使用するトリコデルマ属菌はセルラーゼを生産するものであれば特に限定されない。好ましいトリコデルマ属菌はトリコデルマ・リーセイ又はトリコデルマ・ビリデである。特に好ましくは、トリコデルマ・リーセイである。
糸状菌トリコデルマ・リーセイおよびトリコデルマ・ビリデの菌学的性質は、例えば、イー・ジー・シモンズ,アブストラクト・セカンド・インターナショナル・マイコロジカル・コングレス(E.G. Simmons, Abst. 2nd International Mycological Congress) 米国フロリダ州タンパ,1977年8月,618頁)に記載されている。
液体培養には通常の通気撹拌培養装置が用いられ、上記水溶性糖類を含む液体培地を使用して、培養温度20〜33℃好ましくは、28〜30℃、培養pH4〜6で、4〜10日間培養する。
ついで、要すればこの培養液から遠心分離、濾過などの公知の方法によって菌体を除去して、トリコデルマ属菌培養上清液が得られる。トリコデルマ属菌培養液または培養上清液には目的とするセルラーゼ、すなわちβ−グルカナーゼ及びキシラナーゼが高濃度で含まれている。
得られる培養液または培養上清液のβ−グルカナーゼ活性は25U/ml以上、好ましくは40U/ml以上、より好ましくは50U/ml以上である。また、この培養液または培養上清液のキシラナーゼ活性は60U/ml以上、好ましくは100U/ml以上、より好ましくは140U/ml以上、更に好ましくは160U/ml以上である。培養液または培養上清液のβ−グルカナーゼ活性、キシラナーゼ活性のいずれかが上記下限より低下すると、天然に存在する多様なセルロース資源の有効利用という目的に対する効果が低くなる。
尚、上記キシラナーゼ活性は、oat spelts由来のキシランを基質とした酵素加水分解により生成した還元糖をDNSと反応させ、540nmの吸光度の増加で定量することができる。
より具体的には1%キシラン基質溶液(シグマ社製 Xylan, from oat spelts を200nM酢酸緩衝液(pH4.5)に溶解)1.9mlに培養液または培養上清液0.1mlを加えて、40℃にて正確に10分間酵素反応を行なわせた後、DNS試薬(0.75%ジニトロサリチル酸、1.2%水酸化ナトリウム、22.5%酒石酸ナトリウムカリウム4水和物、0.3%乳糖1水和物を含む)4mlを加えてよく混合し、反応を停止する。反応停止液に含まれる還元糖量を定量するために、反応停止液を沸騰水浴中で15分間正確に加熱する。続いて、室温まで冷却した後、540nmの吸光度を測定することでキシロースに相当する還元糖量として定量する。1単位のキシラナーゼ活性は、40℃、10分間の反応条件下で、1分間に1μmolのキシロースに相当する還元糖を生成する酵素量として表す。
セルロース資源の分解または糖化方法
本発明の方法により得られたセルラーゼは、セルロース資源を分解または糖化するのに有用である。ここでいうセルロース資源は、合成セルロースもしくは天然セルロース資源のどちらでも良い。合成セルロースとは、セルロース粉末として、流通しているものを表す。天然セルロース資源とは、バガス、稲わら、麦わら、ビール粕、木材などが挙げられる。本発明は、β-グルカナーゼおよびキシラナーゼを同時に高生産できるため、特に、バガス、稲わら、麦わら、ビール粕などの天然セルロース資源の糖化に優れている。
セルロース資源の分解または糖化方法は、公知の方法を使用すればよく、特に制限されるものではないが、一例としては、基質としてセルロース資源を水性媒体中に懸濁させ、上記培養液または培養上清液を添加し、攪拌または振とうしながら、加温して糖化反応を行う方法が挙げられる。セルロース分解活性を示す上記培養液または培養上清液の代わりにその乾燥物、または乾燥物を水に分散もしくは溶解した液を用いてもよい。
セルロース原料は、予め脱リグニンしておくことが好ましい。懸濁方法、攪拌方法、上記混合液の添加方法、添加順序、それらの濃度等の反応条件は、グルコースがより高収率で得られるよう適宜調整される。
その際の、反応液のpH及び温度は、酵素が失活しない範囲内であればよく、一般的には、常圧で反応を行う場合、温度は30〜70℃、pHは3〜7の範囲でよい。また、この圧力、温度、pHについても、上記同様、グルコースがより高収率で得られるよう適宜調整されるものであるが、常圧で、酢酸またはリン酸緩衝液中で、温度50〜60℃、pH4〜6の範囲で行うことが好ましい。反応時間は一般に6〜147時間、好ましくは24〜72時間である。
セルロースの糖化により、グルコースを含有する水溶液が得られる。得られた水溶液は、必要に応じて、脱色、脱塩、酵素除去等の精製処理を施すことができる。精製方法は、公知の方法であれば特に制限されないが、例えば、活性炭処理、イオン交換樹脂処理、クロマトグラフィー処理、精密ろ過、限外ろ過、逆浸透ろ過等の濾過処理、晶析処理等を使用してもよく、これらを単独で使用しても、2種以上を組み合わせてもよい。
上記の方法で精製されたグルコースを主成分とする水溶液は、そのまま使用することができるが、必要に応じて、乾燥により固化させてもよい。乾燥方法は、公知の方法であれば特に制限されないが、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、薄膜乾燥、棚段乾燥、気流乾燥、真空乾燥等を使用してもよく、これらを単独で使用しても、2種以上を組み合わせてもよい。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1
(前培養)
トリコデルマ・リーセイQM9414株をポテトデキストロース(PD)寒天培地上で28℃、7日間培養して胞子を充分形成させた。生理食塩水に懸濁した胞子1×10個をセルロース原料(ジャストファイバー:International Fiber Corporation社製):8g、KHPO:2g、(NHSO:1.4g、ポリペプトン(DIFCO社製):1g、酵母エキス(DIFCO社製):0.5g、CaCl・2HO:0.3g、MgSO・7HO:0.3g、Tween80:1mL、微量元素液[HBO 6mg、(NH)6Mo24・4HO 26mg、FeCl・6HO 100mg、CuSO・5HO 40mg、MnCl・4HO 8mg、ZnSO・7HO 200mgを水100mlに溶解及び懸濁した液]:1mLを含む500mL容バッフル付三角フラスコに接種して、28℃、180rpm、3日間振とう培養して、前培養液を得た。
(水溶性糖類を含む液体培地の製造)
500mL容バッフル付三角フラスコに普通紙:6g、KHPO:1.5g、(NHSO:1.68g、CaCl・2HO:0.03g、MgSO・7HO:0.03g、コーンスティープリカー:2mL、ツイーン80:0.1mL、上記微量元素液:0.1mL、水:100mLを入れて原料液体培地を調製した。普通紙はシュレッダー(カール社製「デスクパーサーDS−4100」)で2mm×7mmに裁断して使用した。この原料液体培地にセルラーゼ液(ナガセケムテックス社製「セルラーゼSS」(商品名)、CMC活性:1600CNU/g)を2.5%V/V添加し、50℃で5分間振とうした後、オートクレーブで加熱して酵素反応を停止させた。得られた液体培地に含まれる水溶性糖類をフェノール硫酸法にて単糖に分解し、濃度を測定した。以下詳細を示す。
(水溶性糖類濃度の測定)
サンプルとして採取した液体培地を、遠心分離し(20000G、10min:トミー精工社製)、その上清を適切な倍率に希釈し、500mLの希釈液に5%フェノール溶液500mL加え、攪拌した。次いで、濃硫酸2.5mLを添加し、攪拌した。室温に20分以上放置後、分光光度計(型版UV-1800、島津製作所社製)で、溶液の490nmの吸光度を測定した。なお、グルコースで作製したスタンダードを基に、各サンプル培地の水溶性糖類の重量%濃度を算出した。水溶性糖類濃度の測定結果を表1に示す。
(本培養)
水溶性糖類を含む液体培地を含む500mL容バッフル付三角フラスコに前培養液5mLを接種して、28℃、180rpm、7日間振とう培養した。7日目に培養液を遠心分離し、上清液を得た。得られた上清液の酵素活性を次に説明する操作によって測定した。酵素活性の測定結果を表1に示す。
(酵素活性の測定)
β-グルカナーゼ活性は、メガザイム社製のβ‐グルカナーゼ測定キットを用い、色素標識したβ-グルカンを基質とした酵素分解によって生じた染色断片を吸光度測定した。具体的には、アゾ大麦グルカン基質溶液0.1mLに培養液0.1mLを加えて、40℃にて正確に10分間酵素反応を行なわせた後、停止液〔4%酢酸ナトリウム、0.4%酢酸亜鉛、80%メチルセルソルブを含む(pH5)〕0.6mLを加えて5分放置し、反応を停止した。続いて遠心分離した後、上澄液を590nmの吸光度測定した。1単位のβ-グルカナーゼ活性は、40℃、10分間の反応条件下で、1分間に1μmolのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量として表した。
キシラナーゼ活性は、oat spelts 由来のキシランを基質とした酵素加水分解により生成した還元糖をDNSと反応させ、540nmの吸光度の増加で定量した。より具体的には1%キシラン基質溶液[シグマ社製 Xylan, from oat spelts を200mM酢酸緩衝液(pH4.5)に溶解]1.9mLに培養液0.1mLを加えて、40℃にて正確に10分間酵素反応を行なわせた後、DNS試薬(0.75%ジニトロサリチル酸、1.2%水酸化ナトリウム、22.5%酒石酸ナトリウムカリウム4水和物、0.3%乳糖1水和物を含む)4mLを加えてよく混合し、反応を停止した。反応停止液に含まれる還元糖量を定量するために、反応停止液を沸騰水浴中で15分間正確に加熱した。続いて、室温まで冷却した後、540nmの吸光度を測定することでキシロースに相当する還元糖量として定量した。1単位のキシラナーゼ活性は、40℃、10分間の反応条件下で、1分間に1μmolのキシロースに相当する還元糖を生成する酵素量として表した。
参考例2及び実施例1〜6
酵素反応の反応時間及び酵素の添加量を表1に示すとおり変更すること以外は参考例1と同様にして液体培地を製造し、液体培地の水溶性糖類濃度を測定し、トリコデルマ・リーセイの培養を行い、培養液の酵素活性を測定した。水溶性糖類濃度及び酵素活性の測定結果を表1に示す。
参考例3
原料液体培地に含有させる普通紙の量を3gに変更し、酵素反応の反応時間及び酵素の添加量を表1に示すとおり変更すること以外は参考例1と同様にして液体培地を製造し、液体培地の水溶性糖類濃度を測定し、トリコデルマ・リーセイの培養を行い、培養液の酵素活性を測定した。水溶性糖類濃度及び酵素活性の測定結果を表1に示す。
比較例1
水溶性糖類を含む液体培地の代わりに原料液体培地を使用すること以外は参考例1と同様にしてトリコデルマ・リーセイの培養を行い、培養液の酵素活性を測定した。酵素活性の測定結果を表1に示す。
比較例2
水溶性糖類を含む液体培地の代わりに原料液体培地を使用すること以外は参考と同様にしてトリコデルマ・リーセイの培養を行い、培養液の酵素活性を測定した。酵素活性の測定結果を表1に示す。
[表1]
Figure 0006325214
表1の結果より、トリコデルマ・リーセイを培養する液体培地に含まれる水溶性糖類の濃度が1重量%以上の場合にβ−グルカナーゼ及びキシラナーゼの生産量が顕著に向上することが理解される。

Claims (5)

  1. 水溶性糖類を含む液体培地を用いて、トリコデルマ属菌を培養する工程を包含するセルラーゼの製造方法であって、
    該水溶性糖類を含む液体培地は、炭素源として加熱処理もアルカリ処理も行わない紙類由来のパルプ、及び窒素源としてアンモニア態窒素またはアミノ態窒素を含む原料液体培地にセルラーゼを加え、酵素反応させて水溶性糖類を生成させることにより得られたものであり、
    前記パルプの原料液体培地中における濃度が6%W/V以上であり、
    前記水溶性糖類の水溶性糖類を含む液体培地中における濃度が1重量%以上であるセルラーゼの製造方法。
  2. 前記アンモニア態窒素またはアミノ態窒素の原料液体培地中における濃度が35mM以上である請求項1に記載のセルラーゼの製造方法。
  3. 前記紙類が上質紙、更紙、コピー用紙、新聞紙及びダンボール紙からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載のセルラーゼの製造方法。
  4. 前記トリコデルマ属菌が、トリコデルマ・リーセイである請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルラーゼの製造方法。
  5. 培養の過程において水溶性糖類を含む液体培地に対してパルプを追加しない請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルラーゼの製造方法。
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