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JP6328527B2 - 紫外線殺菌装置 - Google Patents
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本発明は、新規な紫外線発光装置に関する。更に詳しくはセルフクリーニング機能を有する新規な紫外線殺菌装置に関する。
紫外線殺菌は、薬剤による殺菌と異なり残留する物がなく、安全性が高いため、養殖魚や観賞魚などの水性生物の飼育水の殺菌方法として適している。そして、紫外線殺菌した飼育水を用いて魚の養殖を行った場合には、魚の細菌感染による死滅を有効に防止することができるために、餌に添加して投与する抗生物質を無くすか又はその量を著しく減少させることができ、安心・安全の点で付加価値の高い養殖魚を生産することが可能となる。
このような飼育水の紫外線殺菌を行うための装置としては、紫外線光源として水銀ランプを用いた特許文献1乃至3及び6に記載されているような装置が知られている。
なお、前記特許文献6には、活性酸素又はオゾンによる殺菌効果を期待して、光触媒作用を有する物質であるTiOが表面に塗布された石英玉を被殺菌流体の流路に多数配置することなどが記載されている。そして、基体の表面に光触媒物質を塗布するための光触媒コーティング用組成物としては、特許文献7に記載されているような無機透明多孔質体に光触媒物質を担持させたものとバインダーを混合した様なものも知られている。
ところで、紫外線発光ダイオード(以下、UV−LEDともいう。)は、水銀ランプに比べて発光する紫外線強度が低いという欠点があるものの、寿命が長く、消費電力も低いばかりでなく、破損した場合に水銀汚染が起こらないという優れた特徴を有しているため、光源としてUV−LEDを使用することが好ましいことが多い。そして、このようなUV−LEDを使用したものとしては、特許文献4や特許文献5に記載されているような装置が知られている。
なお、前記特許文献4に開示される殺菌装置では、一旦殺菌した水が太陽光に晒されると細菌の光回復現象により殺菌効果が低下するという問題の発生を避けるために、光源として、主発光ピーク320〜400nmのUVA発光するUV−LEDを、好ましくは主発光ピーク254nmのUVCを発光する紫外線ランプと組み合わせて使用することを特徴とするものである。しかしながら、260nm付近の波長を有する紫外線(所謂、殺菌線)の方が高いことが知られており、太陽光の影響が少ないか実質的に無視できるような環境下で殺菌を行う場合には、好ましくは200〜350nm、より好ましくは200〜300nm、最も好ましくは200〜280nmの波長を有する紫外線を照射することが有利である。
特開平08−243554号公報 特開平08−252575号公報 特開2014−131787号公報 国際公開第2010/058607号パンフレット 特開2012−115715号公報 特開平09−234237号公報 特開平10−156988号公報
前記特許文献1乃至3に記載されているように、微生物及び浮遊物を含む水を紫外線殺菌する場合には、紫外線ランプを内蔵した光透過管の外側面に液体中の有機物等の汚染物質が付着して紫外線照射効率が低下することを防止するため、適宜自動清掃を行う必要があった。そして、このような自動清掃は、汚染状況をモニタリングしながら汚れが一定のレベルを越えた時に行われるか、装置稼働開始時のみに行われるといったように、比較的長時間のインターバルで行われるのが一般的であった。また、前記特許文献1及び2に示される自動清掃は、モーターを用いてスクレーパー又はブラシを摺動させる、或いは空気噴射により乱流を増加させるなど、何れも比較的多大なエネルギーコストを要し且つ複雑な機構を有する装置によって行われていた。また、前記特許文献3に記載される方法は、簡単なメカニズムにより低エネルギーコストで清掃を行うことができるものの、光源や殺菌室の形状が特定のときのみに実施可能であり、しかも清浄頻度をコントロールすることは困難であった。
このように、水銀ランプを光源とした紫外線殺菌装置においては、上記したような自動清浄装置を用いる事により、長期間安定して殺菌を行うことが可能であった。そして、特許文献5に示されるようなUV−LEDを光源として用いた装置においても紫外線透過性の窓材においても自動清浄装置を設けて窓材(本発明における窓材とは、光源と、光源から出射される光が照射される被照射体との間に介在して両者を隔てると共にそれを通して被照射体に光源から出射された光を照射できるような光透過性を有する隔壁を構成する材料を意味し、たとえば特許文献5における保護カバー19や特許文献4における透光性プレート7、透光性移送管23および透光性容器33も窓材に該当する。)の表面を定期的に洗浄すれば特に問題なく使用できるとされていた。
ところが、太陽光照射がない様な条件下における、UV−LEDのみを光源として用いた特許文献4の図12に示されるような装置による魚類の飼育水の循環殺菌では、殺菌効果が短時間で急激に低下することがあることが明らかとなった。そして、前記特許文献1、2又は5に示されるような自動清浄を用いて頻繁に洗浄を行って殺菌効率を維持しようとすると、多大なエネルギーコストを要するばかりでなく、頻繁に自動清浄装置のメンテナンス作業を行う必要がある。
本発明者等は、上記問題を解決すべく、先ずその原因を突き止めるべく鋭意検討を行った。その結果、UV−LEDの発光強度が水銀ランプに比べて著しく低いため、特に流路が広く光源から離れた被照射体に紫外線が届き難い場合には、水銀ランプを用いた場合と比べて魚類の飼育水に含まれる微生物及び浮遊物に由来する汚れ物体(特に微生物汚染物)が移送管の内壁に付着しやすく、更に水銀ランプを用いた場合には問題とならないような僅かなレベルで汚れ物体が付着した場合でも、該汚れ物体よる紫外線吸収効果より被殺菌体である飼育水に到達する紫外線の強度が著しく低下してしまうことが原因であることが明らかとなった。
このような原因からすると、UV−LEDの発光強度を著しく高くすることができれば、上記問題を解決することができる。しかしながら、発光強度を高める為には非常に多くのUV−LEDを使用する必要があり経済的に不利であるばかりでなく、装置が大型化してしまう。また個々のUV−LEDの発光効率を高めれば、使用するUV−LED数を比較的少なく抑える事は可能であるが、そのためには作動電圧を上げる必要があり、UV−LEDの寿命低下を招いてしまう。
このような状況の下、本発明者等は、光触媒を利用したセルフクリーニング機能を付与することを着想した。ところが、最も汎用的に使用される光触媒物質であるTiOは代表的な紫外線吸収剤であることからも分かるように、可視光透過性が要求される基材に対して塗布される場合はあるものの、紫外線透過性が要求される窓材に塗布された例は本発明者等の知る限りにおいて皆無である。そして、光触媒利用したセルフクリーニング性を有する物品においては、ほぼ例外なく、光触媒を励起するための励起光を光触媒コート層の露出表面側から照射している。
そこで、光触媒は紫外線遮蔽性(或いは紫外線吸収性)が高く、紫外線透過性を要求される窓材に適用することはできないという常識にとらわれず、窓材の紫外線透過性を損なうことなく、光触媒を利用したセルフクリーニング機能を付与する方法について鋭意検討を行った。その結果、光触媒コート層の形成方法や形成条件によってはセルフクリーニング機能を有する紫外線透過性窓材を得ることができ、そしてそのような窓材を用いれば窓材の表側(光触媒コート層が存在する側)から光触媒の励起光を照射することなく裏側からの光照射によって光触媒を活性化することができ、装置をコンパクトにすることができるという知見を得、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、水性流体からなる被殺菌流体に殺菌作用を有する紫外線を照射して該被殺菌流体の殺菌を行う紫外線殺菌装置であって、該殺菌装置は、前記被殺菌流体が所定時間滞在する殺菌室と、殺菌作用を有する紫外線を出射する光源と、紫外線透過性を有する窓材で構成される窓部と、を有し、該殺菌装置の稼働時において前記被殺菌流体、前記光源及び前記窓材は、前記被殺菌流体と前記光源とが互いに接触しないように前記窓材によって隔離され、且つ前記光源から出射された前記紫外線が前記窓材を透過して前記窓材と接触する前記被殺菌流体に照射するように配置されており、前記窓材は、窓材本体と、光触媒物質を含んでなる光触媒コート層と、を有しており、前記光触媒コート層は、
前記光触媒物質と、硬化体が紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有するバインダーと、を含んでなる硬化性組成物を硬化させて得た硬化体からなるか又は前記光触媒物質の薄膜からなる光触媒コート層であって、当該光触媒コート層は、前記有効面の全面積に対する前記光触媒コート層の総面積の割合(%)で定義される被覆率が2〜95%となるように、前記有効面内に互いに独立して実質的に均一に分散するように形成されるか、又は打ち抜き部が前記有効面内に実質的に均一に分散するような打ち抜き網状に形成されており、
前記窓材本体を紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する材料で構成すると共に前記光源として紫外線及び前記光触媒物質の励起光を出射する光源を用いるか、又は前記光触媒物質の励起光を出射する別の光源を、前記窓材に対して前記光源と同じ側に配置したことを特徴とする紫外線殺菌装置である。

上記本発明の紫外線殺菌装置においては、前記窓材が、200nm〜400nmの波長領域内に単一又は複数のピークを有する紫外線を透過させた時における主ピークに対応する波長の紫外線に対する透過率が30.0%以上99.5%以下である窓材であることが好ましい。
さらに、前記光触媒物質の励起光を出射する別の光源を、前記窓材に対して前記光源と同じ側に配置した本発明の紫外線殺菌装置においては、前記光触媒コート層に含まれる光触媒物質がチタン酸化物系の光触媒物質であり、殺菌作用を有する紫外線を出射する光源が200nm以上300nm未満の波長領域に主発光ピークを有する紫外線発光ダイオードであり、前記光触媒物質の励起光を出射する別の光源が300nm以上500nm未満の波長領域に主発光ピークを有する紫外線発光ダイオードであることが好ましい。このような構成の装置とすることにより、光源としてUV−LEDを用いることのメリット、即ち、小型で寿命が長く、消費電力も低いばかりでなく、待機時間を要さずに直ちに稼働でき、更に破損した場合に水銀汚染が起こらないというメリットを得ることができる。
本発明の紫外線殺菌装置で使用する窓材は、一般に紫外線遮蔽性又は紫外線吸収性を有することが知られている光触媒コート層を表面に有するにもかかわらず、紫外線透過性を有するという特長を有する。このため、内部にUV−LEDや紫外線ランプのような紫外線の光源をケーシング内に収容し、ケーシングに設けられた窓部から紫外線を出射する紫外線照射装置の窓材として使用した場合において、窓材の内側から前記光触媒粒子の励起光を窓材に照射することにより、セルフクリーニング効果を発揮させることができる。
したがって、微生物及び浮遊物を含む水を紫外線殺菌する装置として使用した場合には、分解洗浄や自動洗浄の頻度を大幅に低減することが可能で、場合によっては自動洗浄装置の付設を省略することも可能となる。また、外部に光触媒励起用の光源を別途配置する必要がないので装置の大幅なコンパクト化を図ることができる。
さらに、被殺菌流体に酸素を供給することにより、光触媒作用によりオゾンを発生させてオゾンによる殺菌や消臭効果を付加することも可能である。
本図は、代表的な本発明の紫外線発殺菌装置で使用する窓材及び紫外線照射装置の模式図である。 本図は、別の代表的な本発明の紫外線発殺菌装置で使用する窓材及び紫外線照射装置の模式図である。 本図は、代表的な本発明の紫外線発殺菌装置で使用する更に別の窓材の模式図である。 本図は、更に別の代表的な本発明の紫外線発殺菌装置で使用する窓材における光触媒コート層を形成するための原料の一つであるの複合光触媒粒子の模式図である。 本図は、代表的な本発明の紫外線発殺菌装置で使用する、上記複合光触媒粒子を含む光触媒コート層を有する窓材及びそれを用いた紫外線照射装置の模式図である。
本発明の紫外線殺菌装置は、水性流体からなる被殺菌流体に殺菌作用を有する紫外線を照射して該被殺菌流体の殺菌を行う紫外線殺菌装置であって、該殺菌装置は、前記被殺菌流体が所定時間滞在する殺菌室と、殺菌作用を有する紫外線を出射する光源と、紫外線透過性を有する窓材で構成される窓部と、を有し、該殺菌装置の稼働時において前記被殺菌流体、前記光源及び前記窓材は、前記被殺菌流体と前記光源とが互いに接触しないように前記窓材によって隔離され、且つ前記光源から出射された前記紫外線が前記窓材を透過して前記窓材と接触する前記被殺菌流体に照射するように配置されており、前記窓材は、窓材本体と、光触媒物質を含んでなる光触媒コート層と、を有しており、前記光触媒コート層は、前記窓材の紫外線が透過し得る部分の外側の面である有効面の全面を構成するか、又は、該有効面内に実質的に均一に分散するように形成された互いに独立した複数の光触媒コート層からなるか若しくは打ち抜き網状の光触媒コート層であって、打ち抜き部が前記有効面内に実質的に均一に分散するように形成された光触媒コート層であり、前記有効面の全面積に対する前記光触媒コート層の総面積の割合(%)で定義される被覆率が2〜95%であり、前記窓材本体を紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する材料で構成すると共に前記光源として紫外線及び前記光触媒物質の励起光を出射する光源を用いるか、又は前記光触媒物質の励起光を出射する別の光源を、前記窓材に対して前記光源と同じ側に配置したことを特徴とする。
上記本発明の紫外線殺菌装置は、被殺菌流体と接触する面(表面)に光触媒コート層を有する紫外線透過性窓材を用い、その反対側の面(裏面)から光触媒物質の励起光を照射するようにしたことを主たる特徴とするもので、その基本的構造は従来の紫外線殺菌装置と特に変わる点はない。例えば、前記特許文献1の図1乃至図6に示されるような装置、前記特許文献4の図9、10、12、13、14及び15に示されるような装置、更には前記特許文献5の図1乃至図9に示される装置と同様の基本構造を有する。これら従来の装置は、何れも“水性流体からなる被殺菌流体に殺菌作用を有する紫外線を照射して該被殺菌流体の殺菌を行う紫外線殺菌装置であって、該殺菌装置は、前記被殺菌流体が所定時間滞在する殺菌室と、殺菌作用を有する紫外線を出射する光源と、紫外線透過性を有する窓材で構成される窓部と、を有し、該殺菌装置の稼働時において前記被殺菌流体、前記光源及び前記窓材は、前記被殺菌流体と前記光源とが互いに接触しないように前記窓材によって隔離され、且つ前記光源から出射された前記紫外線が前記窓材を透過して前記窓材と接触する前記被殺菌流体に照射するように配置されている”点で共通している。
なお、本発明において窓材とは、光源と該光源から出射される光が照射される被照射体との間に介在して両者を隔てると共にそれを通して光源から出射された光を被照射体に照射できるような光透過性を有する隔壁を構成する材料を意味する。したがって、1)開口部を有する容器内に光源を収容し、前記開口部を透光性板状体で塞いで封止し、該透光性板状体の外側に配置した被照射体に向かって光を照射するタイプの光照射装置における前記透光性板状体、2)透光性管状体の内部に光源を収容し、両端を蓋で塞いで封止し、前記透光性管状体の外部に配置された被照射体に向かって光を照射するタイプの光照射装置における前記透光性管状体、及び3)透光性管状体の内部に被照射体を配置し、該透光性管状体の外周に沿って光源を配置して前記被照射体に向かって光を照射するタイプの光照射装置における前記透光性管状体を構成する材料も窓材に含まれる。例えば、前記特許文献1の図1乃至図6に示される装置における「光透過管2」、前記特許文献4の図9及び10に示される装置における「透光プレート7」、図12及び13における「移送管25」、図14及び15における「容器33」、更には前記特許文献5の図3に示される「保護カバー19」は何れも本発明でいうところの窓部に相当し、これらを構成する部材は窓材に相当する。
そこで、特許文献4の図9に示されるような、開口部を有する箱形のケーシング内に光源としてUV−LEDを収容し、前記開口部を板状の窓材で蓋をしたような構造の紫外線照射装置を、被殺菌流体が貯留される貯槽に沈めるタイプの紫外線殺菌装置を例に本発明の紫外線殺菌装置について説明する。但し、装置の基本構成が特許文献4の図9に示されるようなものに限定されるものではない。また、前記したように、本発明の紫外線殺菌装置は、被殺菌流体と接触する面(表面)に光触媒コート層を有する紫外線透過性窓材を用い、その反対側の面(裏面)から光触媒物質の励起光を照射するようにしたことを主たる特徴とし、上記例でいえば「窓材」及び「紫外線照射装置」に特徴があるといえるので、以降は図面を用いてこれらを中心に説明する。
本発明で使用する窓材(以下、「本窓材」ともいう。)は、窓材全体として紫外線透過性を有するものである。ここで紫外線とは200nm〜400nm波長領域の光を意味するが、該波長領域の全ての紫外線を透過する必要はなく、紫外線照射装置の窓材として用いた時における光源の種類、紫外線照射の目的に応じて特定の紫外線に対して透過性を有すればよい。本発明の窓材においては、200nm〜400nmの波長領域内に単一又は複数のピークを有する紫外線を透過させた時における主ピークに対応する波長の紫外線に対する透過率が30.0%以上99.5%以下であることが好ましく、50%以上98%以下、特に60%以上97%以下であることがより好ましい。そして本窓材は、窓材本体と、光触媒物質を含んでなる光触媒コート層と、を有しており、前記光触媒コート層は、前記窓材の紫外線が透過し得る部分の外側の面である有効面の全面を構成するか、又は、該有効面内に実質的に均一に分散するように形成された互いに独立した複数の光触媒コート層からなるか若しくは打ち抜き網状の光触媒コート層であって、打ち抜き部が前記有効面内に実質的に均一に分散するように形成された光触媒コート層であり、前記有効面の全面積に対する前記光触媒コート層の総面積の割合(%)で定義される被覆率が2〜95%であり、前記窓材本体は紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する材料で構成される。
このような紫外線透過性を有する本窓材は光触媒コート層に含まれる光触媒物質の種類、含有量、コート層中における存在形態(分布状態)、光触媒コート層自体の厚さや窓材本体上における分布状態、さらには窓材本体の種類や厚さなどを制御することにより得ることができる。
本窓材としては、再現性良く確実に上記したような性能を得ることができるという観点から、下記(1)又は(2)に示されるものを使用することが好ましい。
(1)その内側の空間から照射される紫外線を、その外側の空間に向けて透過する窓材であって、窓材本体と、該窓材本体の外側の面上に形成された光触媒物質を含んでなる光触媒コート層と、を有し、前記窓材本体は紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する材料で構成されており、前記光触媒コート層は、前記窓材の紫外線が透過し得る部分の外側の面である有効面内に実質的に均一に分散するように形成された互いに独立した複数の光触媒コート層からなるか、打抜網状の光触媒コート層であって、打抜き部が前記有効面内に実質的に均一に分散するように形成された光触媒コート層であり、前記有効面の全面積に対する前記光触媒コート層の総面積の割合(%)で定義される被覆率が2〜95%であることを特徴とする光触媒機能を有する紫外線透過性窓材(以下、本窓材Aともいう。)。
(2)その内側の空間から照射される紫外線を、その外側の空間に透過する窓材であって、窓材本体と、該窓材本体の外側の面を被覆して前記窓材の紫外線が透過し得る部分の外側の面である有効面の全面を構成する光触媒コート層と、を有し、前記窓材本体は紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する材料で構成されており、前記光触媒コート層は、光触媒物質と、その硬化体が紫外線及び該光触媒物質の励起光に対して透過性を有するバインダーとを含んでなる硬化性組成物を硬化させて得た硬化体を粉砕して得た複合光触媒粒子と、その硬化体が紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有するバインダーと、を含有してなることを特徴とする光触媒コーティング用組成物の硬化体からなりることを特徴とする窓材(以下、本窓材Bともいう。)。
先ず、本窓材Aについて説明する。本窓材Aにおける光触媒コート層とは、後述するような光触媒物質を含む被膜を意味し、光触媒物質の蒸着膜のような光触媒物質のみからなる薄膜(一般的な膜厚は100nm〜10μmであり、好ましい膜厚は150nm〜5μmである。)であってもよい。形成の容易さの観点から光触媒コート層は、その硬化体が紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する無機バインダーと、光触媒物質又はその前駆体と、を含んでなる硬化性組成物の硬化体からなることが好ましい。ここで前記硬化性組成物としては、通常の光触媒コーティング剤として入手可能な光触媒物質とバインダーとを含んでなる光触媒コーティング剤のうち、バインダーとして、その硬化体が紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する無機系のものを使用したものが特に制限させることなく使用できる。光触媒物質としては光触媒作用を示すことが知られている物質、たとえばTiO、SrTiO、ZnO、CdS,SnO、WO等が特に制限なく使用できる。光触媒効果の高さの観点から触媒物質としては、TiO又はTiO系光触媒物質の微粒子を使用することが好ましい。光触媒物質の微粒子の粒子径は透過型電子顕微鏡撮影の画像の画像解析によって求められる1次粒子が5nm〜1μmの範囲であればよいが、光触媒機能の高さの観点から上記1次粒子の粒子径が5〜50nmであることが好ましい。
また、その硬化体が紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する無機バインダーとしては、ケイ酸塩系バインダー、無機コロイド系バインダー、金属アルコキシド系バインダー等を使用することができる。さらに上記硬化性組成物は粘度を調整する等の目的で水及び/又は有機溶媒を含んでいてもよい。なお、無機バインダーの硬化体における紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対する透過性は窓材本体におけるこれら透過性より低いことが多い。
上記硬化性組成物中における光触媒物質の濃度は、硬化させて光触媒コート層としたときの光触媒機能の強さと紫外線透過性とのバランスから、光触媒コート層の厚さにもよるが、硬化体の質量基準で0.5〜20質量%、特に1〜15質量%とすることが好ましい。なお、光触媒コート層の厚さは一般的には0.3〜50μmの範囲であるが、光触媒物質を露出しやすくして光触媒機能を高め更に光触媒コート層における紫外線透過率をできるだけ高くするために0.5〜10μmとすることが好ましい。なお、硬化性組成物に溶媒以外の成分を特に添加しない場合には、硬化体質量基準で光触媒物質の質量を除いた残余が実質的にバインダーの硬化体の質量となる。
本窓材Aで使用する窓本体は、窓材の主要部を構成するものであり、紫外線および前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する材料で構成されている必要がある。ここで、光触媒物質の励起光とは、光触媒物質(半導体物質である)がその光を吸収することによって励起され光触媒として機能するようになる光であり、その波長は光触媒物質ごとに特有である。たとえば、TiOの励起光は波長380nm以下の光である。
窓材本体を構成する材料としては、サファイア、天然または合成石英、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ガラスなどの無機材料、PFA、FEP、ETFE,PCTFE等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、ポリカーボネートなどの有機材料、及びこれらの複合材料(例えばフッ化カルシウムやフッ化マグネシウムの露出表面をフッ素系樹脂でコーティングしたもの)が好適に使用できる。これら窓材の中でも耐水性の観点からサファイア、天然若しくは合成石英、又はフッ化カルシウム若しくはフッ化マグネシウムの露出表面をフッ素系樹脂でコーティングしたものを使用することが好ましく、耐水性及び防汚性の観点からサファイア、天然若しくは合成石英、フッ化カルシウム、又はフッ化マグネシウムの露出表面(ここでいう露出表面とは、窓材としたときに外側に直接露出する部分、即ち、窓材本体外側面の光触媒コート層で被覆されていない部分の表面を意味する。)をフッ素系樹脂でコーティングしたものを使用することが特に好ましい。なお、窓材本体の厚さは、紫外線透過性の観点からは薄い方がよく、紫外線透過性と強度や取扱やすさのバランスから適宜決定すればよい。一般的な厚さは、通常、20μm〜10mmの範囲であるが、50μm〜7mm、特に100μm〜5mmの範囲内であることが好ましい。
本窓材Aにおいては、前記複数の光触媒コート層は、前記窓材の紫外線が透過し得る部分の外側の面である有効面内に実質的に均一に分散するように形成された互いに独立した複数の光触媒コート層からなるか、打抜網状の光触媒コート層であって、打抜き部が前記有効面内に実質的に均一に分散するように形成された光触媒コート層であり、前記有効面の全面積に対する前記光触媒コート層の総面積の割合(%)で定義される被覆率が2〜95%である必要がある。被覆率が2%未満のときには十分な光触媒機能或いはセルフクリーニング機能を得ることができず、被覆率が95%を越える場合には、光触媒コート層に含まれる光触媒の含有量や膜厚を可能な範囲で制御しても紫外線透過率の著しい低下が避けられない。被覆率が高いほどセルフクリーニング機能は高くなり、紫外線透過率は低下する傾向があるので、使用環境や目的に応じて被覆率を制御すればよい。例えば汚染が激しい環境下で使用する場合には被覆率を高め、例えば70%以上95%以下或いは80%以上95%とすればよく、汚染がそれほど厳しくない環境下で使用する場合には、被覆率を低め2%以上30%未満或いは2%以上20%未満とすればよい。なお、被覆率が0〜10%の範囲において被覆率の増加に伴い表面は急激に親水化され、表面に付着した汚れは水膜によって容易に除去できることが知られている(参考特許文献1:特許第3773087号公報参照)。したがって、窓材の外側表面が常に水流と接触するような条件下で使用する場合には、被覆率はかなり低くても(例えば2%以上10%以下、好ましくは2%以上7%以下)であっても十分なセルフクリーニング効果を得ることができると考えられる。
前記複数の光触媒コート層を、前記窓材本体の外側の面上に実質的に均一に分散するように被着させる方法は特に限定されず、たとえば上記参考特許文献1に記載されているように、窓材本体の外側の面上に、直径又は最大径が5mm以下、好ましくは0.1μm〜1mmの島状の光触媒コート層が均一分散するように、平均分散距離間隔が1mm以内、好ましくは0.1μm〜1mmとなるようにして、不連続膜状に被着すればよい。なお、窓材の外側面が常に流水と接触するような条件下で使用する場合には、より粗に分散させてもよく、平均分散距離は10mm以内、好ましくは5mm以内としてもよい。
複数の光触媒コート層を不連続膜状に被着する方法としては、例えば1)窓材本体の外側表面に、フォトレジスト等を用いて所定のパターンを有する保護膜を予め形成してから全面に光触媒コート層を形成し、その後リフトオフ法等により不要な光触媒コート層を除去する方法、2)予め窓材本体の外側表面に所定形状の凹状窪みを所定のパターンで形成しておき、窪みの内部に選択的に光触媒コート層を形成し、必要に応じて表面研磨をする方法、3)凹状窪みが所定パターンで形成された表面の全面にわたって光触媒コート層を形成した後に表面を研磨して窪み外部に形成された光触媒コート層を除去する方法などが採用できる。上記2)又は3)の方法によれば、表面研磨により窓材の外側表面を平滑な平面や滑らかな曲面とすることができ、汚れが溜まり易い段差や溝が表面に存在しないことから高い汚れ除去効果を得る事が出来る。
なお、光触媒コート層を形成する方法としては、光触媒物質のみからなる層を形成する場合には、蒸着法やスパッタリング法等の方法が採用できる。また、光触媒微粒子及び無機バインダーを含む硬化性組成物を用いる場合には、ディピング法、スピンコート法、スプレイ法などの塗布方法を用いて該組成物を塗布した後に乾燥し、熱処理等を施して硬化させればよい。
また、打抜網状の光触媒コート層であって、打抜き部が前記有効面内に実質的に均一に分散するように形成された光触媒コート層を形成する場合には、打抜網の形状に対応する凹状窪みを形成し、同様にして該凹状溝内部に光触媒コート層を形成すればよい。なお、打抜網とはパンチングメタルとも呼ばれ、金属板に所定形状の多数の穴をあけたものえあり、打抜網状の光触媒コート層とは、例えば前記海島構造の海の部分を光触媒コート層で形成したもの(島の部分が穴に相当し、光触媒コート層は存在しない)が例示される。
以下、本窓材Aおよびこれを用いた紫外線照射装置について、図面を参照して更に詳しく説明する。
図1には、上部に開口を有する箱型のケーシング6内に殺菌効果の高いUVC(波長200〜280nmの紫外線)を発光するUV−LED8及びTiO光触媒の励起能が高いUVA(波長320〜400nmの紫外線)を発光するUV−LED9を収容し、前記開口を本窓材Aである窓材1で塞いで窓部7を構成した紫外線照射装置10が示されている。窓材1はサファイア又は石英からなる窓材本体2と複数の光触媒コート層3とを有する。上記光触媒コート層3は、窓材本体2の点線で囲われる「紫外線が透過し得る部分(有効部)4」に形成された凹状の窪み5の内部に形成されている。この窪み5は内部に向かって深さ方向に拡径されているため、光触媒コート層3が剥落し難くなっている。更に、外側表面がフラットな窓材本体の外側表面状に光触媒コート層3を形成した場合には、光触媒コート層3が凸部となり窓材表面に段差が生じで汚れが除去され難く汚れ溜まりを形成し易いのに対し、窓材1においては光触媒コート層3の露出表面が窓材本体の露出表面と同じ高さで平面を形成するため、高い汚れ除去効果を得る事が出来る。窓材1において光が各触媒コート層3を通過する部分は(窓材の外側真上から見て、或いは凹状窪み底面が)直径Dの円形をしており、これが一定の間隔(最近接する触媒コート層3との距離である分散距離間隔)Lを隔てて上下左右に整列配置されている。窓材1においてDはLの2倍の長さとしているので、被覆率は約33%となっている。窓材1では全ての触媒コート層3を、同一面積を有する同一形状のものとしたが、触媒コート層3の形状や大きさは自由に変更できる。
窓材1において、触媒コート層3は光触媒物質としてTiO微粒子を含み、更にシリカゾル等の無機バインダーを含む硬化性組成物(光触媒コート剤)を用いて形成している。そして、紫外線照射装置10では、殺菌作用の強いUVCを発光とするUV−LED8に加えてTiOの励起効率を高める目的でUVAを発光するUV−LED9をケーシング6内に収容している。一般にUVCを発光とするUV−LED8において発光強度を高めることは難いのに対し、UVAを発光するUV−LED9では高強度化が比較的容易であるため、両者を併用することにより、UV−LED8のみを用いた場合に比べて光触媒機能をより高めることができる。なお、図1では光源としてUV−LEDのみを用いた態様を示したが、UVCを発光する低圧水銀ランプやエキシマUVランプとUVAを発光するUV−LED9とを組み合わせて使用することも勿論可能である。
紫外線照射装置10におけるケーシング6を構成する材料としては金属、セラミックス、樹脂、これらの複合材料などが使用できる。ケーシング6内への光源の収納方法は特に限定されず、各UV−LEDを素子の状態のまま収容してもよいし、パッケージ化又はモジュール化して収容してもよい。なお、図1ではUV−LEDの搭載状態の詳細やUV−LEDを駆動させるための電源、配線、回路等は省略している。
図2には、別の本窓材Aである窓材1a及びそれを用いた紫外線照射装置10aを示している。これら窓材1a及び紫外線照射装置10aは、光触媒コート層3aの分散状態並びにUVCを発光するUV−LED8a及びUVAを発光するUV−LED9aの配置状態が異なる他は、それぞれ図1に示す窓材1及び紫外線照射装置10と異なる点は特にない。すなわち、窓材1aでは触媒コート層3aの数を減らし分散距離を4倍とし、被覆率を約9%としている。また、ケーシング内において光触媒励起用のUV−LED9aを触媒コート層3aの直下に配置すると共に殺菌作用の強いUV−LED8aを触媒コート層3aで被覆されていない部分の直下となるように配置している。このような配置とすることにより、例えば紫外線照射装置10aを紫外線殺菌装置用の光源として用いる場合には、UV−LED8aから出射されるUVCを有効に活用でき、UV−LED9aによって光触媒の励起も十分に行うことができるので効率的な殺菌及びセルフクリーニングが可能となる。なお、紫外線照射装置10aだけなく他の態様の本発明の紫外線照射装置においても、同様の効果が得られるという理由から、光触媒励起用の光源を触媒コート層3aの直下に配置すると共に被照射体に照射したい紫外線の光源を触媒コート層3aで被覆されていない部分の直下となるように配置することが好ましい。
図3には、窓材本体2bの外側面の光触媒コート層で被覆されていない部分の表面をフッ素系樹脂11でコーティングした窓材1bを示した。該窓材1bでは光触媒コート層3bで被覆されていない露出表面が薄いフッ素樹脂で被覆されているため汚れがより付着しにくいという特長を有する。なお、窓材1bにおいて窓材本体2bの表側表面に形成された凹状の溝は深さ方向に拡径されてはいないが、溝側面の上側(外側)の一部をフッ素樹脂11でコーティングした場合には、アンカー効果により光触媒コート層3bの剥落を防止することができる。
次に、本窓材Bで光触媒コート層を形成するために使用する光触媒コーティング用組成物(以下、本光触媒コーティング用組成物ともいう。)について説明する。本光触媒コーティング用組成物は、光触媒物質と、その硬化体が紫外線及び該光触媒物質の励起光に対して透過性を有するバインダーとを含んでなる硬化性組成物を硬化させて得た硬化体を粉砕して得た複合光触媒粒子と、その硬化体が紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有するバインダーと、を含有してなることを特徴とする。
前記複合光触媒粒子を製造するための硬化性組成物に含まれる光触媒物質としては光触媒作用を示すことが知られている物質、たとえばTiO、SrTiO、ZnO、CdS,SnO、WO等が特に制限なく使用できる。光触媒効果の高さの観点から触媒物質としては、TiO又はTiO系光触媒物質の微粒子を使用することが好ましい。光触媒物質の微粒子の粒子径は透過型電子顕微鏡撮影の画像の画像解析によって求められる1次粒子が5nm〜1μmの範囲であればよいが、光触媒機能の高さの観点から上記1次粒子の粒子径が5〜50nmであることが好ましい。
また、前記複合光触媒粒子を製造するための硬化性組成物に含まれる「その硬化体が紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有するバインダー」としては、ケイ酸塩系バインダー、無機コロイド系バインダー、金属アルコキシド系バインダー等の無機バインダー、フッ素樹脂系バインダー等の有機系バインダー又はこれらの組み合わせを使用することができる。後述する「本光触媒コーティング用組成物で使用されるバインダー」として有機系バインダーを用いた時の劣化が少なく、光触媒コート層の耐久性が高くなるという理由及び粉砕しやすいという理由から、複合光触媒粒子製造時に使用するバインダーとしては無機バインダーを使用することが好ましい。さらに上記硬化性組成物は粘度を調整する等の目的で水及び/又は有機溶媒を含んでいてもよい。なお、これらバインダーの硬化体における紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対する透過性は、本発明の窓材における窓材本体におけるこれら透過性より低いことが多い。
上記硬化性組成物中における光触媒物質の濃度は、光触媒物質を局在化し、複合光触媒粒子の表面に光触媒物質が露出しやすいという観点から高い方が好ましいが、あまりに高すぎる場合には硬化体を破砕した時の粒径制御が困難となるので、硬化体中の質量基準で50〜98質量%、特に70〜95質量%とすることが好ましい。
また、上記硬化性組成物の硬化は一般的な“光触媒コーティング剤”と同様に、乾燥後実用に応じた熱処理を行えばよい。硬化体は、破砕後分級することにより複合光触媒粒子とされる。このようにして得られる複合光触媒粒子12は、図4に示されるように、光触媒物質の微粒子13がバインダーの硬化体14によってのりづけされたような形で凝集した様な形態または、光触媒物質の微粒子13又はその凝集体がバインダーの硬化体14の内部および表面に分散した様な形態を有する。ここでバインダーの硬化体14は紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有するので、例えば複合光触媒粒子12の下側から紫外線及び光触媒物質の励起光を照射した場合には紫外線は(その強度は弱まるものの)複合光触媒粒子12の上側に透過すると共に、複合光触媒粒子12の上側表面に露出した光触媒物質も活性化させて光触媒として機能することができる。
なお、複合光触媒粒子の平均粒子径は、最終的に上記光触媒コーティング用組成物を用いて形成する光触媒コート層の平均膜厚の10〜110%、特に20〜100%であることが好ましく、30〜95%であることが最も好ましい。さらに何れの場合も、上記平均膜厚の110%を越える粒子径の複合光触媒粒子は含まないことが好ましい。
前記本光触媒コーティング用組成物で使用されるバインダーとしては、複合光触媒粒子調製用の前記硬化性組成物のバインダーと同様ものが使用できる。このとき、両者は同種であっても異なる種類のものであってもよい。但し、光触媒コート層の耐久性の観点から、ケイ酸塩系バインダー、無機コロイド系バインダー、金属アルコキシド系バインダー等の無機バインダー又はフッ素樹脂系バインダーを使用することが好ましい。本光触媒コーティング用組成物における複合光触媒粒子の含有量は、硬化させて光触媒コート層としたときの光触媒機能の強さと紫外線透過性とのバランスから、光触媒コート層の厚さにもよるが、硬化体の質量を基準とした触媒物質の質量%で表して0.5〜20質量%、特に1〜15質量%となるようにすることが好ましい。さらに本光触媒コーティング用組成物は、粘度を調整する等の目的で水及び/又は有機溶媒を含んでいてもよい。
次に本窓材Bについて説明する。本窓材Bは、その内側の空間から照射される紫外線を、その外側の空間に透過する窓材であって、窓材本体と、該窓材本体の外側の面を被覆前記窓材の紫外線が透過し得る部分の外側の面である有効面の全面を構成する光触媒コート層と、を有し、前記窓材本体は紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する材料で構成されており、前記光触媒コート層は上記本発明の光触媒コーティング用組成物の硬化体からなることを特徴とする。
本窓材Bで使用する窓本体は、窓材の主要部を構成するものであり、紫外線透過性および前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する材料で構成されている必要がある。窓材本体を構成する材料としては、サファイア、天然または合成石英、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ガラスなどの無機材料、PFA、FEP、ETFE,PCTFE等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、ポリカーボネートなどの有機材料、及びこれらの複合材料が好適に使用できる。これら窓材の中でも耐水性の観点からサファイア、天然若しくは合成石英、又はフッ化カルシウム若しくはフッ化マグネシウムの露出表面をフッ素系樹脂でコーティングしたものを使用することが好ましい。なお、窓材本体の厚さは、紫外線透過性の観点からは薄い方がよく、紫外線透過性と強度や取扱やすさのバランスから適宜決定すればよい。一般的な厚さは、通常、20μm〜10mmの範囲であるが、50μm〜7mm、特に100μm〜5mmの範囲内であることが好ましい。
本窓材Bの光触媒コート層とは、本光触媒コーティング用組成物の硬化体からなる。光触媒コート層の厚さは一般的には0.3〜50μmの範囲であるが、光触媒物質を露出しやすくして光触媒機能を高め更に光触媒コート層における紫外線透過率をできるだけ高くするために0.5〜10μmとすることが好ましい。
前記光触媒コート層を、前記窓材本体の外側の面上に被着させる方法は特に限定されず、ディピング法、スピンコート法、スプレイ法などの塗布方法を用いて本光触媒コーティング用組成物を塗布した後に乾燥し、熱処理等を施して硬化させればよい。
最後に図5を参照して本窓材Bを用いた紫外線照射装置について説明する。
図5には、夫々上部に開口を有する箱型のケーシング6bに殺菌効果の高いUVC(波長200〜280nmの紫外線)を発光するUV−LED8b及び光触媒物質であるTiOの励起能が高いUVA(波長320−400nmの紫外線)を発光するUV−LED9bを収容し、前記開口を本窓材Bである窓材1cで塞いで窓部7bを構成した紫外線照射装置10bが示されている。窓材1cはサファイア又は石英からなる窓材本体2cと光触媒コート層3cとを有する。上記光触媒コート層3cは、光触媒物質としてのTiO微粒子とバインダーとしてシリカゾルを含む硬化性組成物を硬化させて得た複合光触媒粒子1´と、(光触媒コーティング用組成物の)バインダーとして上記と同じシリカゾルを含む本発明の光触媒コーティング用組成物を塗布して形成したものである。
このようにして形成した触媒コート層3cは、触媒が存在しない(本発明の光触媒コーティング用組成物における)バインダーの硬化体15からなる海の中に光触媒物質を高濃度で含む複合光触媒粒子12´が均一に分散して点在するような海島構造を有している。そして、近接する複合光触媒粒子12´間の距離は光触媒微粒子を複合粒子化せずにそのままバインダーに分散させて光触媒コート層を形成した時における近接する得た特における光触媒微粒子間の距離に比べて有意に長くなっている。このため、光触媒微粒子に吸収されることなく紫外線が透過できる部分の面積が大きくなり、高い紫外線透過性を維持することができる。一方、光触媒によるセルフクリーニング機能を発揮させるためには、光触媒物質を必ずしも対象物の表面上に密に存在させる必要がないことが知られている。即ち、一般的な“光触媒コーティング剤”を用いて多数の光触媒コート層を、これら光触媒コート層が互いに独立して被対象物の表面上に均一に分散して被着するように形成した場合、被覆率が0〜10%の範囲において被覆率の増加に伴い表面は急激に親水化され、表面に付着した汚れは水膜によって容易に除去できることが知られている(参考特許文献1:特許第3773087号公報参照)。したがって、複合光触媒粒子12´が比較的疎らに分散するような状態(たとえば、複合光触媒粒子12´間の最近接距離が1mm程度或いは5mm程度)であっても十分なセルフクリーニング効果を得ることができると考えられる。特に窓材の外側表面が常に水流と接触するような条件下で使用する場合には、より確実に十分なセルフクリーニング効果を得ることができると考えられる。
窓材1cにおいて、触媒コート層3cは光触媒物質としてTiO微粒子を使用しているため、紫外線照射装置10bでは、殺菌作用の強いUVCを発光とするUV−LED8bに加えてTiOの励起効率を高める目的でUVAを発光するUV−LED9bをケーシング6b内に収容している。一般にUVCを発光とするUV−LED8bにおいて発光強度を高めることは難いのに対し、UVAを発光するUV−LED9bでは高強度化が比較的容易であるため、両者を併用することにより、UV−LED8bのみを用いた場合に比べて光触媒機能をより高めることができる。なお、図5では光源としてUV−LEDのみを用いた態様を示したが、UVCを発光する低圧水銀ランプやエキシマUVランプとUVAを発光するUV−LED9bとを組み合わせて使用することも勿論可能である。
紫外線照射装置10bにおけるケーシング6bを構成する材料としては金属、セラミックス、樹脂、及びこれらの組み合わせなどが使用できる。ケーシング6b内への光源の収納方法は特に限定されず、各UV−LEDは素子の状体のまま収容されていてもパッケージ化又はモジュール化されて収容されていてもよい。
1、1a、1b・・・本窓材A
1c・・・本窓材B
2、2a、2b、2c・・・窓材本体
3、3a、3b、3c・・・光触媒コート層
4、4a・・・紫外線が透過する部分
5、5a・・・凹状溝
6、6a、6b・・・ケーシング
7、7a、7b・・・窓部
8、8a、8b・・・UVCを発光するUV−LED
9、9a、9b・・・UVAを発光するUV−LED
10、10a・・・本窓材Aを用いた紫外線照射装置
10b・・・本窓材Bを用いた紫外線照射装置
11・・・フッ素樹脂
12、12´・・・複合光触媒粒子
13・・・光触媒物質の微粒子
14・・・バインダーの硬化体
15・・・光触媒コーティング用組成物におけるバインダーの硬化体

Claims (3)

  1. 水性流体からなる被殺菌流体に殺菌作用を有する紫外線を照射して該被殺菌流体の殺菌を行う紫外線殺菌装置であって、
    該殺菌装置は、前記被殺菌流体が所定時間滞在する殺菌室と、殺菌作用を有する紫外線を出射する光源と、紫外線透過性を有する窓材で構成される窓部と、を有し、
    該殺菌装置の稼働時において前記被殺菌流体、前記光源及び前記窓材は、前記被殺菌流体と前記光源とが互いに接触しないように前記窓材によって隔離され、且つ前記光源から出射された前記紫外線が前記窓材を透過して前記窓材と接触する前記被殺菌流体に照射するように配置されており、
    前記窓材は、窓材本体と、光触媒物質を含んでなる光触媒コート層と、を有しており、
    前記光触媒コート層は、前記光触媒物質と、硬化体が紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有するバインダーと、を含んでなる硬化性組成物を硬化させて得た硬化体からなるか又は前記光触媒物質の薄膜からなる光触媒コート層であって、当該光触媒コート層は、前記窓材の紫外線が透過し得る部分の外側の面である有効面の全面積に対する前記光触媒コート層の総面積の割合(%)で定義される被覆率が2〜95%となるように、前記有効面内に互いに独立して実質的に均一に分散するように形成されるか、又は打ち抜き部が前記有効面内に実質的に均一に分散するような打ち抜き網状に形成されており、
    前記窓材本体を紫外線及び前記光触媒物質の励起光に対して透過性を有する材料で構成すると共に前記光源として紫外線及び前記光触媒物質の励起光を出射する光源を用いるか、又は前記光触媒物質の励起光を出射する別の光源を、前記窓材に対して前記光源と同じ側に配置した
    ことを特徴とする紫外線殺菌装置。
  2. 前記窓材が、200nm〜400nmの波長領域内に単一又は複数のピークを有する紫外線を透過させた時における主ピークに対応する波長の紫外線に対する透過率が30.0%以上99.5%以下である窓材である請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  3. 前記光触媒物質の励起光を出射する別の光源を、前記窓材に対して前記光源と同じ側に配置した請求項1又は2に記載の紫外線殺菌装置であって、前記光触媒コート層に含まれる光触媒物質がチタン酸化物系の光触媒物質であり、殺菌作用を有する紫外線を出射する光源が200nm以上300nm未満の波長領域に主発光ピークを有する紫外線発光ダイオードであり、前記光触媒物質の励起光を出射する別の光源が300nm以上500nm未満の波長領域に主発光ピークを有する紫外線発光ダイオードであることを特長とする紫外線殺菌装置。
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