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JP6328981B2 - シール部材 - Google Patents
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本発明は、電線と電線が挿入される挿入孔との間に介挿する水密用のシール部材に関する。
電線をハウジングの挿入孔に挿入する場合や、端子を加締めた電線の端部を防水コネクタの端子挿入孔に挿入する場合等には、電線と挿入孔との間や、電線に加締めた端子と端子挿入孔との間に、水密用のゴム製のシール部材が介挿される。
この種のシール部材は筒状を呈しており、シール部材には、シール部材を挿入した挿入孔の内周面に弾接するリップが外周面に突設されたり、シール部材の貫通孔に挿通した電線の外周面に弾接するリップが貫通孔の内周面に突設される。このようなシール部材は、単体でハウジングの挿入孔に挿入されたり、厚肉の板状のマットシールに突設されて防水コネクタの電線引出部分に挿入される。
上述したシール部材は、特にリップが設けられている場合、挿入孔への挿入や電線の挿入によりリップがシール部材の径方向に弾性変形して圧縮することで、挿入孔の内周面や電線の外周面に対する弾接力を得てシール機能を発揮する。
そして、本出願人は、シール部材の径方向の肉厚を十分に確保できない場合にシール性とハウジングの挿入孔に対する挿入性とを確保できる防水ゴム栓の潰し率及び潰し量を、過去に提案した(例えば、特許文献1)。
特開2003−272758号公報
上述した提案では、防水ゴム栓の潰し率を抑えることで挿入孔への挿入性を担保しつつ、防水ゴム栓の潰し量をある程度確保することでシール性を維持することができる。但し、リップを設けたシール部材にこれを適用すると、潰れる部分が専らリップ部に集中するので、リップ部が相応の圧縮率となる。
したがって、例えば車両のエンジンルーム等の高温環境下で使用するシール部材のように、高い圧縮率のリップ部が熱による圧縮永久ひずみで永久変形を起こしやすい環境で使用するシール部材については、永久変形によるシール性の低下に対して何らかの対策が必要となる。
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、電線と電線が挿入される対象物との間をシール部材のリップ部の弾性変形によって水密にシールする際に、高温の環境下であっても長くシール性を発揮できるシール部材を提供することにある。
上記目的を達成するため請求項1に記載した本発明のシール部材は、
電線と前記電線が挿入される対象物との間をシールする水密用のシール部材において、
前記電線が挿通される貫通孔と
記貫通孔の内周面から膨出形成され、前記貫通孔の貫通方向の周りに環状に延在するリップ部と、
前記リップ部のうち前記リップ部の膨出方向における先端を除く部分の表面に形成された環状凹部とを備え、
前記環状凹部は、前記リップ部の表面のうち、前記貫通孔に対する同一径の同心円上の2箇所に、それぞれ同一形状で形成されていることを特徴とする。
請求項1に記載した本発明のシール部材によれば、貫通孔に電線を挿通すると、リップ部の膨出方向における先端から基端に向けた反力が電線からリップ部に加わる。この反力によりリップ部は、環状凹部を挟んだリップ部の先端側と基端側とがリップ部の膨出方向において近づくように変形しようとする。
また、リップ部に環状凹部を形成すると、環状凹部を形成しない場合よりも、周辺雰囲気の圧力を受けるシール部材の受圧面の面積が環状凹部の部分において増える。そして、環状凹部に加わったシール部材の周辺雰囲気の圧力は、リップ部の内部側に向かう環状凹部の表面の法線方向に作用する。
このため、環状凹部に加わるリップ部の周辺雰囲気の圧力が電線からの反力に対抗して、環状凹部を挟んだリップ部の先端側と基端側とが近づく変形を緩和させるように働く。
したがって、電線と電線が挿入される対象物との間をシール部材の電線が圧接するリップ部の変形によって水密にシールする際に、圧縮永久ひずみの原因となるリップ部の圧縮量を減らして、高温の環境下であっても長くシール性を発揮できるようにすることができる。
求項1に記載した本発明のシール部材において、貫通孔に対する同一径の同心円上に存在する2つの環状凹部は、リップ部の表面にうち膨出方向における先端を挟んで貫通孔の貫通方向の両側にそれぞれ位置することになる。
したがって、リップ部の先端を挟んだ貫通孔の貫通方向の両側の対称な位置からリップ部に、リップ部の接触相手(電線や挿入孔)からリップ部に加わる反力に対抗する力が、対称な方向及び大きさでそれぞれ作用することになる。
このため、リップ部の変形をリップ部の先端を挟んだ両側の2箇所でそれぞれ同じように緩和させて、変形が緩和されたリップ部をより原形に近い形状に復元させることができる。これにより、圧縮永久ひずみの原因となる圧縮力が一部の部分に局所的に生じた状態でリップ部が電線と挿通孔との間に介挿され続けるのを避けることができる。
また、請求項2に記載した本発明のシール部材は、請求項に記載した本発明のシール部材において、前記環状凹部は、前記環状凹部の周方向と交わる断面において円弧状の輪郭を有していることを特徴とする。
請求項に記載した本発明のシール部材によれば、請求項に記載した本発明のシール部材において、リップ部の内部側に向かう環状凹部の表面の法線方向に作用するシール部材の周辺雰囲気からの圧力で、リップ部の環状凹部近傍の部分が、リップ部の内部側に向けて均等な力で放射状に押圧されることになる。
このため、リップ部の周辺雰囲気からの圧力によりリップ部に働く圧縮力を緩和する方向がより多くの方向成分を含むようにして、より多くの方向の圧縮力を緩和できるようにすることができる。
また、請求項に記載した本発明のシール部材は、請求項1又は請求項2に記載した本発明のシール部材において、前記対象物は、挿入孔を有するハウジングであり、外周面にも膨出形成されて前記挿入孔の内周面に圧接され、前記環状凹部が形成されたリップ部を有することを特徴とする。
請求項に記載した本発明のシール部材によれば、請求項1又は請求項2に記載した本発明のシール部材において、ハウジングの挿入孔にシール部材を挿入した際の、挿入孔からリップ部への反力に、環状凹部に加わるリップ部の周辺雰囲気の圧力が対抗して、環状凹部を挟んだリップ部の先端側と基端側とが近づく変形を緩和させるように働く。
したがって、電線と電線が挿入されるハウジングの挿入孔との間をシール部材の挿入孔が圧接するリップ部の変形によって水密にシールする際に、圧縮永久ひずみの原因となるリップ部の圧縮量を減らして、高温の環境下であっても長くシール性を発揮できるようにすることができる。
本発明によれば、電線と電線が挿入される対象物との間をシール部材のリップ部の弾性変形によって水密にシールする際に、高温の環境下であっても長くシール性を発揮できるようにすることができる。
本発明が適用される防水ゴム栓を示す一部切欠斜視図である。 本発明が適用されるマットシールを示す一部切欠斜視図である。 図1の防水ゴム栓や図2のマットシールに適用される本発明の一実施形態に係るシール部材を示す一部切欠斜視図である。 図3のリップ部の拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、本発明の適用対象について説明する。
図1は防水ゴム栓を示す一部切欠斜視図である。図1に示す防水ゴム栓1は、電線(図示せず)をハウジング3の挿入孔3aに挿入する際に水密シールのために用いられる。防水ゴム栓1は円筒状を呈しており、防水ゴム栓1の中心を貫通する貫通孔1aに不図示の電線が挿通され、その状態で、ハウジング3の挿入孔3aに防水ゴム栓1が挿入される。
防水ゴム栓1の外周面1bや内周面1cにリップ部1d,1eが膨出形成されている。これらのリップ部1d,1eは、貫通孔1aの貫通方向の周りに環状に延在している。外周面1bのリップ部1は、ハウジング3の挿入孔3aの内周面に圧接され、ハウジング3からの反力を受けて圧縮される。内周面1cのリップ部1eは、貫通孔1aに挿通した不図示の電線に圧接され、電線からの反力を受けて圧縮される。
また、図2はマットシールを示す一部切欠斜視図である。図2に示すマットシール5は、防水コネクタのコネクタハウジングの端子挿入孔に端子付電線(いずれも図示せず)を挿入する際に水密シールのために用いられる。マットシール5は板状を呈しており、その厚さ方向に貫通し不図示の端子付電線がそれぞれ挿通される複数の貫通孔5aを有している。
マットシール5は、各貫通孔5aの位置を不図示のコネクタハウジングの各端子挿入孔の位置に合わせて、端子挿入孔が開口する面に当接され、各貫通孔5aを介して各端子挿入孔に端子付電線がそれぞれ挿通される。
マットシール5の各貫通孔5aの内周面5bにはリップ部5cが膨出形成されている。このリップ部5cは、貫通孔5aの貫通方向の周りに環状に延在している。リップ部5cは、貫通孔5aに挿通した不図示の端子付電線に圧接され、端子付電線からの反力を受けて圧縮される。内周面5bは、貫通孔5aに挿通した不図示の端子付電線に圧接され、端子付電線からの反力を受けて圧縮される。
次に、図3及び図4を参照して、上述した図1の防水ゴム栓1や図2のマットシール5に適用される本発明の一実施形態に係るシール部材を説明する。図3は本発明の一実施形態に係るシール部材を示す一部切欠斜視図である。図3に示すシール部材10では、図1の防水ゴム栓1や図2のマットシール5のリップ部1d,1e,5cによる水密シール機能部分を単純化して構成している。
シール部材10は円筒状を呈しており、シール部材10の中心を貫通する貫通孔10aの内周面10bにはリップ部10cが膨出形成されている。このリップ部10cは、貫通孔10aの貫通方向の周りに環状に延在している。図4の拡大断面図に示すように、リップ部10aの周方向と直交する方向の断面において、リップ部10は略二等辺三角形状を呈しており、内周面10bからの膨出方向におけるリップ部10cの先端は丸められている。
リップ部10cの断面形状における2つの斜辺上には、環状凹部10dがそれぞれ形成されている。各環状凹部10dは略半円状の窪みによって構成されており、図3に示すように、2つの環状凹部10dは、リップ部10cの各斜辺における、貫通孔10aの中心Oから同じ半径rの同心円上にそれぞれ形成されている。
次に、上述のように構成された本実施形態のシール部材10の特にリップ部10cの作用について説明する。シール部材10の貫通孔10aに不図示の電線を挿入すると、その電線が貫通孔10aの内部でリップ部10cと圧接する。
すると、リップ部10cの膨出方向における先端から基端(シール部材10の内周面10b)に向けた反力が、貫通孔10a内の電線からリップ部10cに加わる。この反力によってリップ部10cは、環状凹部10dよりも先端側と基端側とがリップ部10cの膨出方向において近づいて環状凹部10dが潰れるように変形しようとする。
ところで、リップ部10cの各斜辺は、いわば、リップ部10cの周辺雰囲気からの圧力を受ける受圧面として機能する。そして、本実施形態のようにリップ部10cに環状凹部10dを形成すると、斜辺の受圧面積が増えることになる。また、環状凹部10dの表面の各箇所が周辺雰囲気から受ける圧力の向きは、環状凹部10dの各箇所の表面の接線方向と直交する法線方向、但し、リップ部10cの内部側に向かう方向、ということになる。
したがって、リップ部10cは、特に受圧面積が増加した環状凹部10dの部分において、リップ部10cの内部側に向けた放射線状の種々の方向の圧力を周辺雰囲気から受け、この圧力が、リップ部10cと圧接した不図示の電線からの反力に対抗することになる。そして、周辺雰囲気からの圧力が電線からの反力に対抗することで、電線からの反力によるリップ部10cの特に環状凹部10dにおける変形が緩和される。
よって、リップ部10cに環状凹部10dを形成することで、永久変形ひずみの原因となるリップ部10cの圧縮量を減らして、シール部材10が例えば高温の永久変形ひずみを起こしやすい環境下で使用されても、不図示の電線との間で長くシール性を発揮できるようにすることができる。
そして、上述した環状凹部10dを形成したリップ部10cの構成を、図1の防水ゴム栓1のリップ部1d,1eや図2のマットシール5のリップ部5cに適用することができる。これにより、図1の防水ゴム栓1のリップ部1d,1eによるハウジング3や不図示の電線とのシール性や、図2のマットシール5のリップ部5cによる不図示の端子付電線とのシール性を、高温環境下であっても長く発揮できるようにすることができる。
したがって、図1の防水ゴム栓1や図2のマットシール5は、図3のシール部材10と同様に、請求項中のシール部材に相当する。また、図1のリップ部1d,1eや図2のリップ部5は、図3のリップ部10cと同様に、請求項中のリップ部に相当する。そして、図2のハウジング3は、図1乃至図3中で図示を省略した電線や端子付電線と同様に、請求項中の対象物に相当する。
なお、図3及び図4に示した実施形態では、リップ部10cの各斜面における、貫通孔10aの中心Oから同じ半径rの同心円上の箇所に、環状凹部10dをそれぞれ形成した場合について説明した。しかし、環状凹部10dをリップ部10cの片方の斜面のみに形成したり、各斜面の環状凹部10dの位置を、貫通孔10aの中心Oからの距離が異なる位置としてもよい。
但し、環状凹部10dの位置を本実施形態のようにすると、リップ部10cの膨出方向における先端を挟んだ両側に環状凹部10dがそれぞれ位置し、周辺雰囲気からの圧力が各斜辺の対称な位置からリップ部10cに対称な方向及び大きさで作用する。
このため、リップ部10cの変形をリップ部10cの両斜辺の対称な2箇所でそれぞれ同じように緩和させて、変形が緩和されたリップ部10cをより原形に近い形状に復元させることができる。これにより、圧縮永久ひずみの原因となる圧縮力が一部の部分に局所的に生じた状態でリップ部10cが電線と挿通孔との間に介挿され続けるのを避けることができる。
また、図3及び図4に示した実施形態では、環状凹部10dを略半円状の輪郭としたが、例えば、V字形やU字形、あるいは、凹型、正多面体の一部分のような形状等、略半円状(円弧状)以外の輪郭で環状凹部10dを構成してもよい。
但し、環状凹部10dの輪郭を本実施形態のように略半円状(円弧状)とすると、リップ部10cの内部側に向かう環状凹部10dの表面の法線方向に作用するシール部材10の周辺雰囲気からの圧力で、リップ部10cの環状凹部10d近傍の部分が、リップ部10cの内部側に向けて均等な力で放射状に押圧されることになる。
このため、リップ部10cの周辺雰囲気からの圧力によりリップ部10cに働く圧縮力を緩和する方向がより多くの方向成分を含むようにして、より多くの方向の圧縮力を緩和できるようにすることができる。
本発明は、電線と電線が挿入される対象物との間をシールする水密用のシール部材に適用して極めて有用である。
1 防水ゴム栓(シール部材)
1a,5a,10a 貫通孔
1b 外周面
1c,5b,10b 内周面
1d,1e,5c,10c リップ部
3 ハウジング(対象物)
3a 挿入孔
5 マットシール(シール部材)
5c リップ部
10 シール部材
10d 環状凹部
O 貫通孔中心
r 貫通孔中心からの半径

Claims (3)

  1. 電線と前記電線が挿入される対象物との間をシールする水密用のシール部材において、
    前記電線が挿通される貫通孔と
    記貫通孔の内周面から膨出形成され、前記貫通孔の貫通方向の周りに環状に延在するリップ部と、
    前記リップ部のうち前記リップ部の膨出方向における先端を除く部分の表面に形成された環状凹部とを備え、
    前記環状凹部は、前記リップ部の表面のうち、前記貫通孔に対する同一径の同心円上の2箇所に、それぞれ同一形状で形成されていることを特徴とするシール部材。
  2. 前記環状凹部は、前記環状凹部の周方向と交わる断面において円弧状の輪郭を有していることを特徴とする請求項1記載のシール部材。
  3. 前記対象物は、挿入孔を有するハウジングであり、
    外周面にも膨出形成されて前記挿入孔の内周面に圧接され、前記環状凹部が形成されたリップ部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシール部材。
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