JP6332882B2 - 全固体二次電池、固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
全固体二次電池のさらなる利点としては、電極のスタックによる高エネルギー密度化に適していることが挙げられる。具体的には、電極と電解質を直接並べて直列化した構造を持つ電池にすることができる。このとき、電池セルを封止する金属パッケージ、電池セルをつなぐ銅線やバスバーを省略することができるので、電池のエネルギー密度を大幅に高められる。また、高電位化が可能な正極材料との相性の良さなども利点として挙げられる。
この問題に関しては、電極と電解質との固体同士の接触に伴う、電極−固体電解質間の界面抵抗に起因するイオン伝導度の低下が挙げられる。これに対して、例えば、特許文献1には、正極または負極活物質層に無機固体電解質を含有させることによる、イオン伝導度の向上および電池容量の低下抑制が提案されている。
また、特許文献2には、充放電サイクルに伴う活物質の膨張・収縮の繰返しに起因するイオン伝導度の低下に着目し、リチウムイオン導電性ポリマーで活物質を被膜することが提案されている。
一方、固体電解質そのもののイオン伝導度に対しては、例えば、硫化物系無機固体電解質(例えば、非特許文献1)や酸化物系無機固体電解質(例えば、非特許文献2)といった固体電解質材料が提案されている。
また、非特許文献3および4には、アンチペロブスカイト構造を有する固体について、イオン伝導度などの物性が測定されている。
そこで本発明は、イオン伝導度および耐湿性に優れた全固体二次電池、これに用いられる固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法を提供することを課題とする。
〔1〕正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層を有する全固体二次電池であって、
正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層の少なくともいずれかの層が、下記式(1)で表される無機固体電解質と、該無機固体電解質100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下のバインダーとを含有する全固体二次電池。
Li(3−2x)MxDO 式(1)
式(1)中、xは0以上0.1以下の数を表し、Mは2価の金属原子を表す。Dはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。
〔2〕Dが塩素原子である〔1〕に記載の全固体二次電池。
〔3〕2価の金属原子が、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウムのいずれかである〔1〕または〔2〕に記載の全固体二次電池。
〔4〕バインダーが、繰り返し単位を複数有する有機高分子である〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
〔5〕バインダーが炭化水素樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエステルおよびポリカーボネートのいずれかまたはそれらの組み合わせである〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
〔6〕バインダーが、下記極性官能基群Iに記載するいずれかの極性官能基を有する〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
極性官能基群I
カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシ基、−CONRN 2、シアノ基、−NRN 2、メルカプト基、イソシアナート基、オキセタン基、エポキシ基、ジカルボン酸無水物基、シリル基
〔7〕バインダーが、全固体二次電池中に粒子形状で存在し、その平均粒子径が0.1μm以上100μm以下である〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕いずれか1つに記載の全固体二次電池を作製するための、無機固体電解質層用の固体電解質組成物であって、
下記式(1)で表される無機固体電解質と、該無機固体電解質100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下のバインダーとを含有する固体電解質組成物。
Li (3−2x) M x DO 式(1)
式(1)中、xは0以上0.1以下の数を表し、Mは2価の金属原子を表す。Dはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。
〔9〕 〔8〕に記載の固体電解質組成物を金属箔上に製膜してなる電池用電極シート。
〔10〕 〔8〕に記載の固体電解質組成物を金属箔上に製膜する電池用電極シートの製造方法。
〔11〕 〔10〕に記載の製造方法を介して全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
具体的には、正極活物質層および負極活物質層の厚さは、それぞれ独立に1〜1000μmが好ましく、3〜400μmがより好ましい。無機固体電解質層の厚さは、1〜500μmが好ましく、3〜300μmがより好ましい。
(無機固体電解質)
本発明に用いられる無機固体電解質は、下記式(1)で表される。
Dは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を含有することが好ましく、塩素原子もしくは臭素原子単独または塩素原子と臭素原子の組み合わせがより好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
なお、2種のハロゲン原子を組み合わせる場合、比率は0.4:0.6〜0.6:0.4が好ましい。
なお、式(1)で表される無機固体電解質は、後述するバインダーと組み合わせて用いることにより、水による分解が抑制されると考えられる。そのため、大気保存安定性がより向上する点から、バインダーと組み合わせて用いることが好ましい。
本発明に用いられる無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子径の測定は、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、商品名:マイクロトラックMT3000)を用いて行う。具体的な手順は以下の通りである。
ただし、無機固体電解質を、後述の正極活物質または負極活物質とともに用いる固体電解質組成物では、無機固体電解質と正極活物質または負極活物質の総和が、固形成分100質量%において上記の濃度範囲であることが好ましい。
なお、本明細書において固形成分とは、100℃で乾燥処理を行う場合に、揮発または蒸発により消失しない成分を言う。典型的には、後述の分散媒体以外の成分を指す。
本発明の全固体二次電池は、正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層の少なくともいずれかの層が、バインダーを含有することが好ましく、正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層の全ての層が含有することがより好ましい。
具体的には、炭化水素樹脂、フッ素樹脂、エチレン性不飽和炭化水素基から得られる樹脂(アクリル樹脂、ビニル樹脂を代表とする樹脂)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエステルおよびポリカーボネートのいずれかまたはそれらの組み合わせが好ましく、炭化水素樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂およびポリウレタンのいずれかまたはそれらの組み合わせがより好ましく、炭化水素樹脂、フッ素樹脂およびアクリル樹脂のいずれかまたはそれらの組み合わせがさらに好ましい。
以下に、それぞれの有機高分子について、より詳細に説明する。
本発明においては、炭化水素樹脂は、下記式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Z1〜Z4は各々独立に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基(より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜6)、炭素数2〜12のアルケニル基(より好ましくは炭素数2〜6)、炭素数2〜12のアルキニル基(より好ましくは炭素数2〜6)または炭素数6〜22のアリール基(より好ましくは炭素数6〜14、さらに好ましくは炭素数6〜10)が好ましい。
Z5およびZ6は、各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基または炭素数2〜6のアルキニル基が好ましい。
炭化水素樹脂は、炭化水素樹脂の鎖長(例えば、主鎖)中に、式(1−1)〜(1−3)で表される繰り返し単位のうちの1種のみを含んでいても、構造の異なる2種以上の繰り返し単位を含んでいてもよい。
スチレンとオレフィンとの共重合樹脂は、水添されていてもよく、例えば、水添スチレン・ブタジエン熱可塑性エラストマーが挙げられる。市販品としては、例えば、旭化成社製、タフテック(登録商標)H1041が挙げられる。
本発明においては、フッ素樹脂は、下記式(2−1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
上記特定含フッ素置換基は、フッ素原子、−CF3、−CH2CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−OCF3、−OCF2CF3または−OCF2CF2CF3が好ましい。
なかでも、Z11〜Z14の少なくとも1つは、フッ素原子であることが好ましい。
Z11〜Z14の各基は置換基を有してもよく、このような置換基としては、後述の置換基Tが挙げられる。
本発明においては、エチレン性不飽和炭化水素基から得られる樹脂におけるエチレン性不飽和炭化水素基は、下記式(a−1)または(a−2)で表されるビニル系モノマーが好ましい。
カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基は、例えば炭素数1〜6のアルキル基を伴ってエステル化されていてもよい。
これらの環は、いずれもさらに後述の置換基Tで置換されていてもよい。
一方、ビニル系モノマーは、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレン、オレフィン(エチレン、プロピレンなどのα―オレフィン)が好ましい。
また、重合に関与する基(エチレン性不飽和基、エポキシもしくはオキセタン基など)を、1分子中に1つだけでなく、2つ以上有するビニル系モノマーであっても構わない。
本発明においては、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートは、下記式(3−1)または/および式(3−2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、下記式(3−1)および(3−2)で表される繰り返し単位を含むことがより好ましい。
L12はへテロ原子を有する連結基を介在することがあるアルキレン基(炭素数は、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい)、へテロ原子を有する連結基を介在することがあるアリーレン基(炭素数は、6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい)、またはこれらの組合せを表す。へテロ原子を有する連結基の例としては、下記の連結基XXまたはカルボニル基が挙げられる。
X11およびX12は各々独立に、−O−、−S−、−NRN13−、またはこれらの組合せを表す。
RN11〜RN13は各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数は、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましい)またはアリール基(炭素数は、6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい)を表す。
XXは−O−、−S−、−NRN13−またはこれらの組合せを表す。
カルボキシ基、スルホ基(エステルを含む)、リン酸基(エステルを含む)、ホスホン酸基(エステルを含む)、ヒドロキシ基、−C(=O)NRN 2基、シアノ基、アミノ基(−NRN 2基)、メルカプト基、イソシアナート基、オキセタン基、エポキシ基、ジカルボン酸無水物基、シリル基
スルホ基、リン酸基およびホスホン酸基がエステル体であるとき、エステルを構成する基(アルコール部)はアルキル基(炭素数は、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましい)、アルケニル基(炭素数は、2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アルキニル基(炭素数は、2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アリール基(炭素数は、6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい)またはアラルキル基(炭素数は、7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11がさらに好ましい)が好ましく、なかでもアルキル基がより好ましい。
−C(=O)NRN 2基および−NRN 2基におけるRNは、アルキル基(炭素数は、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましい)、アルケニル基(炭素数は、2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アルキニル基(炭素数は、2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アリール基(炭素数は、6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい)またはアラルキル基(炭素数は、7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11がさらに好ましい)が好ましく、なかでもアルキル基がより好ましい。
シリル基は、後述の置換基Tにおけるアルキルシリル基およびアリールシリル基、ならびにアルコキシ基で置換されたシリル基(好ましくは炭素数が1〜12のアルコキシ基)が挙げられ、なかでも、トリアルコキシシリル基が好ましい。
なお、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基、ホスホン酸基は任意の対イオンとともに塩を形成していてもよい。対イオンとしては、アルカリ金属カチオン、第四級アンモニウムカチオンなどが挙げられる。
Z23は、Z21で表される基、またはL21−Z24で表される基を表す。
Z24は、上記の極性官能基(I)である。
L21は、単結合または2価の連結基を表す。L21は、なかでも、単結合、炭化水素連結基(アルキレン基(炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましい)またはアリーレン基(炭素数は、6〜22が好ましく、6〜10がより好ましい))、ヘテロ原子を含む連結基(エーテル基(−O−)、イミノ基(−NRN21−)またはカルボニル基(−CO−)が好ましい)、もしくはこれらを組み合わせた連結基(連結原子数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましい)が好ましい。
あるいは、さらに(オリゴ)アルキレンオキシ基(−(Lr−O−)yy−:yyは1以上10,000以下の整数が好ましく、1〜8,000がより好ましく、1〜5,000がさらに好ましい)が介在している連結構造も好ましい。
RN21は水素原子または置換基である。置換基としては、アルキル基(炭素数1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい)、アラルキル基(炭素数7〜22が好ましく、7〜14がより好ましく、7〜10がさらに好ましい)またはアリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい)が好ましい。
Lrはアルキレン基を表す。Lrの炭素数は、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。
Z21とZ22、Z23とZ24は互いに結合ないし縮合して環を形成していてもよい。また、Z21〜Z24は本発明の効果を奏する範囲で、さらに後述の置換基Tを有していてもよい。
また、極性官能基(I)を有する有機高分子として、市販の官能基導入型炭化水素樹脂を使用してもよい。例えば、旭化成株式会社製のタフテック(登録商標)シリーズM1911、M1913、住化ケムテックス株式会社製のSUMIFITT(登録商標)シリーズ、JSR社製のDYNARONシリーズ4630P、8630P(商品名)、日本ゼオン社製のNipol(登録商標) LXシリーズの変性タイプが挙げられる。
質量平均分子量は、一般的に、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)を用いて、標準試料のポリスチレン換算で計測して求められる。測定装置および測定条件は、本発明では、下記条件1を基本とする。ただし、試料の溶解性等により条件2で行っても構わない。なお、有機高分子の種類によっては、さらに適宜適切なキャリア(溶離液)およびそれに適合したカラムを選定して用いてもよい。
測定機器:EcoSEC HLC−8320(商品名、東ソー社製)
カラム:TOSOH TSKgel Super AWM−H(商品名、東ソー社製)を2本つなぐ
キャリア:10mM LiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
標準試料:ポリスチレン
測定機器:同上
カラム:TOSOH TSKgel Super HZM−H、
TOSOH TSKgel Super HZ4000、
TOSOH TSKgel Super HZ2000(いずれも商品名、東ソー社製)
をつないだカラムを用いる
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
標準試料:ポリスチレン
なお、官能基を有しない繰り返し単位の共重合比は、有機高分子を合成する際のモノマーの配合質量比である。なお、合成された有機高分子および市販品の共重合比は、有機高分子の13C−NMR定量スペクトル(インバースゲートデカップリング法)の積分比から計算することで、算出することができる。
なお、極性官能基繰り返し単位の共重合比は、有機高分子を合成する際のモノマーの配合質量比である。なお、合成された有機高分子および市販品の共重合比は、有機高分子の13C−NMR定量スペクトル(インバースゲートデカップリング法)の積分比から計算することで、算出することができる。
固体電解質組成物の全ての固形成分100質量%中のバインダー量は、0.10質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.20質量%以上がさらに好ましい。上限値は、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
なお、本発明に適用されるバインダーは、上述の有機高分子以外に、その他のバインダーや各種の添加剤を組み合わせて用いてもよい。なお、その他のバインダーを併用した場合は、本発明に用いることができる有機高分子の量のみをバインダーとして計算するバインダー配合量が、上記のバインダーの配合量の範囲にあることが好ましい。
このため、有機高分子の主鎖が、炭素原子の連結構造(炭化水素樹脂)で構成されている有機高分子をバインダーに採用することで、適度な柔軟性が維持され、結着性の良化および安定性の向上に寄与していると解される。
また、極性官能基(I)を有する有機高分子をバインダーに採用することで、固体電解質同士の結着性はもとより、活物質と固体電解質との間をつなぎとめることもできると解される。それにより集電体への密着性を向上させるだけにとどまらず、固体電解質間もしくは活物質−固体電解質間の接触を確保し低抵抗化できると解される。
なお、粒子形状のバインダーを使用すると、バインダーによるイオン伝導性の阻害が抑制され、全固体二次電池のイオン伝導度が向上するため好ましい。粒子形状のバインダーの平均粒子径は、0.1μm以上100μm以下がより好ましい。
本発明においては、バインダーが全固体二次電池中に粒子径状で存在することが好ましく、その平均粒子径は、0.05μm以上100μm以下が好ましく、0.1μm以上100μm以下がより好ましい。
平均粒子径は、以下の方法により測定することができる。
平均粒子径の測定は、動的光散乱式粒径分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、商品名:マイクロトラックMT3000)を用いて行う。具体的には、以下の通りである。
本明細書において、置換・無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブチンジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、
また、各基は、上記の置換基Tでさらに置換されていてもよい。
本発明の固体電解質組成物においては、上記の各成分を分散させる分散媒体を用いてもよい。具体例としては、下記のものが挙げられる。
メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールなど
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、アニソール、テトラヒドロフラン、アルキレングリコールアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等)など
アミド化合物溶媒は、鎖状であっても環状であっても構わない。
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、2−ピロリジノン(2−ピロリドン)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなど
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど
ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなど
ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ペンタン、シクロペンタンなど
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリルなど
上記分散媒体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記分散媒体は、全固体二次電池を製造する際の加熱処理等の工程により除去される。そのため、本発明の固体電解質組成物が分散媒体を含有する場合も、本発明の固体電解質組成物を用いて製造する、全固体二次電池の正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層の各層は固形成分から構成されており、分散媒体は含まれない。
本発明の固体電解質組成物には、正極活物質を含有させてもよい。正極活物質を含有する固体電解質組成物は、正極材料用の組成物として用いることができる。正極活物質には遷移金属酸化物を用いることが好ましく、中でも、遷移元素Ma(Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素Mb(リチウム以外の周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。
遷移金属酸化物は、例えば、下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表されるものを含む特定遷移金属酸化物、またはその他の遷移金属酸化物としてV2O5、MnO2等が挙げられる。正極活物質には、粒子状の正極活物質を用いてもよい。
具体的には、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができ、上記の特定遷移金属酸化物を用いることが好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MA)で表されるものが好ましい。
式(MA)で表される遷移金属酸化物は典型的には層状岩塩型構造を有する。
(MA−2) LigNiOk
(MA−3) LigMnOk
(MA−4) LigCojNi1−jOk
(MA−5) LigNijMn1−jOk
(MA−6) LigCojNiiAl1−j−iOk
(MA−7) LigCojNiiMn1−j−iOk
上記遷移金属化合物の具体例としては、LiCoO2(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi2O2(ニッケル酸リチウム)、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、LiNi0.5Mn0.5O2(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
代表的なもの:
LigNi1/3Mn1/3Co1/3O2
LigNi1/2Mn1/2O2
代表的なもの:
LigNi0.8Co0.15Al0.05O2
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MB)で表されるものも好ましい。
(MB−2) LimMnpAl2−pOn
(MB−3) LimMnpNi2−pOn
これらの遷移金属化合物は、例えば、LiMn2O4、LiMn1.5Ni0.5O4が挙げられる。
(b) Li2FeMn3O8
(c) Li2CuMn3O8
(d) Li2CrMn3O8
(e) Li2NiMn3O8
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウム含有遷移金属リン酸化物が好ましく、なかでも下記式(MC)で表されるものも好ましい。
上記正極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の固体電解質組成物には、負極活物質を含有させてもよい。負極活物質を含有する固体電解質組成物は、負極材料用の組成物として用いることができる。負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。このような材料は、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、In、SnまたはSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されるものではなく、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
例えば、上記特定のバインダーを含まないバインダー組成物として正極活物質ないし負極活物質を含むペーストを調製してもよい。このとき、上記の無機固体電解質を含有させることが好ましい。このような、常用される正極材料ないし負極材料と組み合わせて、上記本発明の好ましい実施形態に係る固体電解質組成物を用い無機固体電解質層を形成してもよい。また、正極および負極の活物質層には、適宜必要に応じて導電助剤を含有させてもよい。一般的な電子伝導性材料として、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素繊維や金属粉、金属繊維、ポリフェニレン誘導体などを含ませることができる。
上記負極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正・負極の集電体は、化学変化を起こさない電子伝導体が好ましい。
正極の集電体は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼を用いたものがより好ましい。
負極の集電体は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼や銅の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼を用いたものがより好ましい。
集電体の厚みは、特に限定されない。なお、1μm〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
上記の各部材を配置して全固体二次電池の基本構造を有する電極シートを作製することができる。用途によってはこのまま全固体二次電池として使用してもよく、乾電池の形態とするためにはさらに適当な筐体に封入して用いる。筐体は、金属性のものであっても、樹脂(プラスチック)製のものであってもよい。金属性のものを用いる場合には、例えば、アルミニウム合金や、ステンレス製のものを挙げることができる。金属性の筐体は、正極側の筐体と負極側の筐体に分けて、それぞれ正極集電体および負極集電体と電気的に接続させる。正極側の筐体と負極側の筐体とは、短絡防止用のガスケットを介して接合され、一体化される。
全固体二次電池の作製は常法によればよい。具体的には、本発明の固体電解質組成物を集電体となる金属箔上に塗布し膜を形成した電池用電極シートとする方法が挙げられる。
例えば、正極側の集電体(金属箔)上に正極材料となる組成物を塗布し、膜(正極活物質層)を形成し、電池用電極シートを作製する。次いでその電池用電極シートの正極活物質層の上面に、無機固体電解質の組成物を塗布し、膜(無機固体電解質層)を形成する。さらに、無機固体電解質層の上に、同様にして負極材料となる組成物を塗布し、膜(負極活物質層)を形成する。負極活物質層の上に、負極側の集電体(金属箔)を付与することで、所望の全固体二次電池の構造を有する電極シートを得ることができる。必要によりこれを筐体に封入して所望の全固体二次電池とすることができる。
また、同様の方法により、固体電解質シートを作製することができる。具体的には、例えば、正極側の集電体となる金属箔上に無機固体電解質の組成物を塗布し、膜を形成することにより、固体電解質シートを作製することができる。
また、本発明における無機固体電解質を使用した二次電池用電極固体電解質シートのイオン伝導度は、2.5×10−4S/cm以上が好ましく、7.0×10−4S/cm以上がより好ましく、1.0×10−3S/cm以上がさらに好ましい。
・周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの挿入放出が可能な活物質を含んでいる固体電解質組成物(正極または負極の電極用組成物)。
・上記固体電解質組成物を金属箔上に製膜してなる電池用電極シート。
・正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層を具備する全固体二次電池であって、上記正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層の少なくともいずれかの層を上記の固体電解質組成物で形成してなる全固体二次電池。
・上記固体電解質組成物を金属箔上に配置し、これを製膜する電池用電極シートの製造方法。
・上記電池用電極シートの製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。
これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して、陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源として用いる材料を電解質と呼ぶことがある。上記のイオン輸送材料としての電解質と区別する際には、これを「電解質塩」または「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては、例えばLiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド)が挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。また、特に固体電解質組成物というときには、基本的に電解質層を形成するための材料となる組成物(典型的にはペースト状)を指し、固体電解質組成物を塗布・形成して作製される電解質層はこれに含まれないものとする。
<アクリル樹脂の合成例>
還流冷却管およびガス導入コックを付した三口フラスコに、トルエンを100部、2−エチルヘキシルアクリレート(和光純薬工業株式会社製)を95部、グリシジルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)を5部、V−601(和光純薬工業株式会社製、商品名)を1部添加し、窒素ガスを10分間導入した後に、80℃に昇温して2時間撹拌した。その後、温度を95℃に昇温し、さらに2時間撹拌した。得られた溶液をメタノールに再沈殿させ、得られた固体を乾燥することでエポキシ基導入アクリル樹脂A(質量平均分子量72,000)を作製した。
また、上記のグリシジルメタクリレートをジメチルアミノエチルアクリレート(和光純薬工業株式会社製)に変更する以外は、上記エポキシ基導入アクリル樹脂Aの合成と同じ方法により、アミノ基導入アクリル樹脂B(質量平均分子量68,000)を作製した。
なお、エポキシ基導入アクリル樹脂Aおよびアミノ基導入アクリル樹脂Bにおける共重合比は、原料モノマーの配合質量比と同じである。
アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、塩化リチウム(LiCl、Aldrich社製)4.24g、水酸化リチウム(LiOH、Aldrich社製)4.79gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入した。LiCl及びLiOHはモル比でLiCl:LiOH=1:2とした。メノウ製乳鉢上において、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。
テフロン製25CC密閉容器(三愛科学株式会社)に、上記混合物を1.4g投入し、さらにイオン交換水を0.3g投入した。容器を密閉し、密閉状態のまま230℃で6日間加熱した。密閉容器を開放して180℃で送風乾燥を5時間行った後、再度密閉して230℃で10時間加熱を行うことで、無機固体電解質Li3ClOを得た。
LiClの代わりに、臭化リチウム(LiBr、Aldrich社製)を用いることでLi3BrOを得た。LiClのmol比で50%をLiBrに置き換えることでLi3Cl0.5Br0.5Oを得た。LiClのmol比で0.33%をmol比で0.165%の水酸化バリウム(Ba(OH)2、Aldrich社製)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2、Aldrich社製)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2、Aldrich社製)に置き換えることで、Li2.99Ba0.005ClO、Li2.99Ca0.005ClO、Li2.99Mg0.005ClOを得た。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、表1に記載の無機固体電解質およびバインダーを、表1に記載の比率で合計100部となるように加え、さらに表1に記載の分散媒を150部投入した。その後、フリッチュ社製遊星ボールミルに容器をセットし、回転数300rpmで2時間混合を続け、表1に記載の固体電解質組成物No.S−1〜S−11、T−1およびT−2を調製した。
表中数字は質量比(%)
LLT:Li0.33La0.55TiO3
PVDF:ポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、Kynar(登録商標)301F)
HSBR:水添スチレン・ブタジエン熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、タフテック(登録商標)H1041)
カルボン酸変性HSBR:カルボン酸変性水添スチレン・ブタジエン熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、タフテック(登録商標)M1911、酸価2mgCH3ONa/g)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
上記で調製した固体電解質組成物を厚み20μmのアルミ箔上に、クリアランスの調節可能なアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱した後、さらに110℃で1時間加熱し、塗布組成物を乾燥した。その後、ヒートプレス機を用いて、任意の密度になるように加熱および加圧し、表2に記載の固体電解質シートNo.101〜111、c11およびc12を作製した。なお、固体電解質層の膜厚は、いずれも30μmであった。
プラネタリーミキサー(装置名「TKハイビスミックス」、PRIMIX社製)に、アセチレンブラック5部、表3の正極層の欄に記載の正極活物質140部、固体電解質組成物100部(分散媒を除く固形成分質量)および分散媒270部を加え、回転数40rpmで1時間撹拌を行い、表3に記載の二次電池正極用組成物を調製した。
プラネタリーミキサー(装置名「TKハイビスミックス」、PRIMIX社製)に、アセチレンブラック5部、表3の負極層の欄に記載の負極活物質100部、固体電解質組成物100部(分散媒を除く固形成分質量)および分散媒270部を加え、回転数40rpmで1時間撹拌を行い、表3に記載の二次電池負極用組成物を調製した。
上記で作製した二次電池正極用組成物を厚み20μmのアルミ箔上に、クリアランスの調節可能なアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱した後、さらに110℃で1時間加熱し、塗布組成物を乾燥した。その後、ヒートプレス機を用いて、任意の密度になるように加熱および加圧し、正極活物質層/アルミ箔の積層構造を有する二次電池用正極シートを作製した。
上記で作製した二次電池用正極シート上に、表3の電解質層の欄に記載の固体電解質組成物を、クリアランスの調節可能なアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱した後、さらに110℃で1時間加熱した。その後、上記で作製した二次電池負極用組成物をさらに塗布し、80℃で1時間加熱した後、さらに110℃で1時間加熱した。負極活物質層上に厚み20μmの銅箔を重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて、任意の密度になるように加熱および加圧し、表3に記載の二次電池用電極シートNo.201〜204、c21およびc22を作製した。作製した二次電池用電極シートは図1の構成を有する。正極活物質層および負極活物質層の膜厚はそれぞれ80μm、電解質層の膜厚は30μmであった。
上記で作製した固体電解質シートの固体電解質層(二次電池用正極シートにおいては正極活物質層)(縦50mm、横12mm)に幅12mm、長さ60mmのセロテープ(登録商標、ニチバン社製)を貼り、10mm/minの速度で50mm引き剥がした。その際の、引き剥がしたセロテープ(登録商標)の面積に対する剥離したシート部分の面積比率で評価した。測定は10回行い、最大値および最小値を除いた、8回の測定値の平均を採用した。試験用のサンプルは各水準について5つのものを用いてその平均値を採用した。なお二次電池用電極シートの結着性評価(表3)の値は二次電池用正極シートの上記評価結果を用いた。本試験においては、「D」以上が合格レベルである。
B: 5%以上15%未満
C: 15%以上30%未満
D: 30%以上60%未満
E: 60%以上
上記で作製した固体電解質シートまたは二次電池用電極シートを直径14.5mmの円板状に切り出し、スペーサーとワッシャーを組み込んだステンレス製の2032型コインケースに入れて(固体電解質シートを用いる場合はさらに直径14.5mmの円板状に切り出した厚み20μmのアルミ箔を固体電解質層と接触するようにコインケースに入れた)、コイン電池を作製した。コイン電池の外部より、電極間に圧力をかけることができるジグに挟み、各種電気化学的測定に用いた。電極間の圧力は500kgf/cm2とした。
上記で得られたコイン電池を用いて、30℃の恒温槽中、SOLARTRON社製 1255B FREQUENCY RESPONSE ANALYZER(商品名)を用いて電圧振幅5mV、周波数1MHz〜1Hzまで交流インピーダンス測定することで試料の膜厚方向の抵抗を求めた。下記式(2)によりイオン伝導度を算出した。このとき、電池の加圧には図2に示した試験体を用いた。11が上部支持板、12が下部支持板、13がコイン電池、14がコインケース、15が電極シート(固体電解質シートまたは二次電池用電極シート)、Sがネジである。
1000×試料膜厚(cm)/(抵抗(Ω)×試料面積(cm2))・・・式(2)
上記イオン伝導度測定を行った固体電解質シートまたは二次電池用電極シートのサンプルを、コイン電池より取り出し、25℃、相対湿度55%の大気下で1分静置した後、再度イオン伝導度測定を行い、静置前のイオン伝導度からの変化率を見積もった。本試験においては、「C」以上が合格レベルである。
B: 1%以上3%未満
C: 3%以上10%未満
D: 10%以上30%未満
E: 30%以上
なお、表2が固体電解質シートに関する表である。ここで、No.102〜111が本発明の固体電解質組成物を使用した固体電解質シートであり、No.101が参考例の固体電解質組成物を使用した固体電解質シートであり、No.c11およびc12が比較の固体電解質組成物を使用した固体電解質シートである。
また、表3が二次電池用電極シートに関する表である。ここで、No.202〜204が本発明の固体電解質組成物を使用した二次電池用電極シートであり、No.201が参考例の固体電解質組成物を使用した二次電池用電極シートであり、No.c21およびc22が比較の固体電解質組成物を使用した二次電池用電極シートである。
なお、表2および3において、固体電解質組成物は電解質と省略して記載した。
また、表3における正極層、電解質層、負極層には、各層を形成するのに用いた組成物を記載している。そのため、二次電池用電極シートを作製した後の各層は固形成分から構成されており、分散媒は含まれていない。
LMO;LiMn2O4 マンガン酸リチウム
LTO;Li4Ti5O12 チタン酸リチウム
LCO;LiCoO2 コバルト酸リチウム
NMC;Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2 ニッケル、マンガン、コバルト酸リチウム
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
よって、本発明の固体電解質組成物を用いることにより、イオン伝導度および耐湿性の両方に優れた電池用電極シート、全固体二次電池を得ることができる。
なお、粒子形状のバインダーの平均粒子径は、下記の方法により測定した。
平均粒子径の測定は、動的光散乱式粒径分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックMT3000)を用いて行った。手順は以下のとおりである。無機固体電解質粒子分散物20mlをサンプル瓶に分取し、トルエンにより固形成分濃度が0.2質量%になるように希釈調製した。希釈後の分散物を用いて、温度25℃の条件下、2mlの測定用石英セルを使用してデータの取り込みを50回行い、得られた体積基準の算術平均を平均粒子径とした。その他の詳細な条件等は、必要によりJISZ8825:2013「粒子径解析レーザー回折・散乱法」の記載を参照した。1水準につき5つの試料を作製しその平均値を採用した。
2 負極活物質層
3 無機固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
11 上部支持板
12 下部支持板
13 コイン電池
14 コインケース
15 電極シート
S ネジ
Claims (11)
- 正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層を有する全固体二次電池であって、
前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記無機固体電解質層の少なくともいずれかの層が、下記式(1)で表される無機固体電解質と、該無機固体電解質100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下のバインダーとを含有する全固体二次電池。
Li(3−2x)MxDO 式(1)
式(1)中、xは0以上0.1以下の数を表し、Mは2価の金属原子を表す。Dはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。 - 前記Dが塩素原子である請求項1に記載の全固体二次電池。
- 前記2価の金属原子が、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウムのいずれかである請求項1または2に記載の全固体二次電池。
- 前記バインダーが、繰り返し単位を複数有する有機高分子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記バインダーが、炭化水素樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエステルおよびポリカーボネートのいずれかまたはそれらの組み合わせである請求項1〜4のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 前記バインダーが、下記極性官能基群Iに記載するいずれかの極性官能基を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
極性官能基群I
カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシ基、−CONR N 2 、シアノ基、−NR N 2 、メルカプト基、イソシアナート基、オキセタン基、エポキシ基、ジカルボン酸無水物基、シリル基 - 前記バインダーが、全固体二次電池中に粒子形状で存在し、その平均粒子径が0.1μm以上100μm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
- 請求項1〜7いずれか1項に記載の全固体二次電池を作製するための、無機固体電解質層用の固体電解質組成物であって、
下記式(1)で表される無機固体電解質と、該無機固体電解質100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下のバインダーとを含有する固体電解質組成物。
Li (3−2x) M x DO 式(1)
式(1)中、xは0以上0.1以下の数を表し、Mは2価の金属原子を表す。Dはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。 - 請求項8に記載の固体電解質組成物を金属箔上に製膜してなる電池用電極シート。
- 請求項8に記載の固体電解質組成物を金属箔上に製膜する電池用電極シートの製造方法。
- 請求項10に記載の製造方法を介して全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
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