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JP6337107B2 - 切削インサートの製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、基体の表面に被覆層が成膜された切削インサートの製造方法に関する。
従来から、超硬合金やサーメット等の硬質合金、またはセラミックス等の基体表面に、CVD法等の薄膜形成法にて、単層または複数層の被覆層を成膜した切削インサート(以下、インサートと略す場合がある。)が知られている。
CVD法によってインサートに被覆層を成膜する際、成膜装置内に数千個のインサートをセットして、同時に成膜することが可能であり、効率的な成膜ができる。インサートをセットする方法として、従来、インサートをセットする支持基板に各インサートを載置するための開口部を設けて、この開口部にインサートを斜めに差し込んだ状態で載置して成膜する方法が一般的である。この方法では、支持基板とインサートとの接触部には被覆層が成膜されず、接触痕として残存することになる。接触痕はインサートの縁部に形成されるため、この接触痕が切刃に存在する場合には、接触痕で部分的に耐摩耗性が低下してしまい、特性バラツキの一因となっていた。
そこで、例えば、特許文献1では、支持基板に足と肩とを有するセラミック材料や強化グラファイト、モリブデン超硬合金からなるペグを嵌め込んで、ペグにインサートのネジを差し込む貫通孔を通し、ペグの肩にインサートの貫通孔端部の壁面を接触させて固定する方法が提案されている。
特表平9−510507号公報
上記特許文献1に記載されているインサートの成膜方法では、接触痕がインサートの縁部に形成されないので、切削痕が切刃に存在することがない。しかしながら、特許文献1の方法では、被覆層を成膜すると、ペグとインサートとの接触点付近にも被覆層が成膜され、ペグとインサートとが固着して、取り出しにくい場合があった。
本実施形態の切削インサートの製造方法は、貫通孔を有し、サーメットまたはセラミックスを有する基体と、金属を有する突起が設けられた保持部材と、を準備する工程と、前記基体の前記貫通孔に、前記保持部材の前記突起を差し込み、前記基体を前記突起に当接させて前記保持部材に装着する工程と、前記基体の表面に被覆層を成膜する工程と、前記被覆層が成膜された基体を冷却して、該基体を前記突起から抜き出す工程と、を具備し、前記金属は、前記サーメットまたは前記セラミックスよりも熱膨張係数が大きい
本実施形態によれば、突起が金属を有するために、突起が基体に比べて熱膨張係数が高い。そのため、成膜終了後に成膜装置内を冷却した際には、基体の貫通孔の収縮に対して突起の収縮が大きく、冷却後の突起と基体の貫通孔とが強固に固着することを抑制できる。その結果、切削インサートを保持部材から取り出しやすい。
(a)は本実施形態に係る切削工具の製造方法によって作製された切削インサートの一例についての概略斜視図であり、(b)は(a)の切削インサートの断面図である。 図1の切削インサートの被覆層の構成を説明するための模式断面図である。 本実施形態に係る切削工具の製造方法における被覆層を成膜する成膜装置の構成を説明するための説明図である。 (a)は図3の成膜装置内に基体を保持するための保持部材の斜視図であり、(b)は保持部材に基体を装着した状態を説明するための断面図であり、(c)は他の保持部材に基体を装着した状態を説明するための断面図である。
(切削インサート)
本実施形態の切削インサートの製造方法で作製された切削インサート(以下、インサートと称す)1は、図1に示すように、板状で、一方の主面がすくい面2を、側面が逃げ面3を、それぞれなしており、すくい面2と逃げ面3とのなす交差稜線部が切刃4をなしている。また、すくい面2の中央部には、貫通孔5が設けられており、貫通孔5はすくい面2から反対側の主面である着座面6に貫通している。本実施形態では、インサート1の両主面をすくい面2として使用することができる。すなわち、インサート1は、一方の主面をすくい面2として使用した後、インサート1をひっくり返して、他方の主面をすくい面として使用することができる、いわゆるネガチップ形状からなる。そのため、両主面に切刃4が設けられている。本実施形態においては、一方の主面のみをすくい面として使用する、いわゆるポジチップ形状であってもよい。
インサート1は、図2に示すように、基体7と、この基体7の表面に設けられた被覆層8を備えている。本実施形態では、基体7は、サーメットまたはセラミックスからなる。具体的には、炭化タングステン(WC)や炭窒化チタン(TiCN)と、所望により周期表第4、5、6族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物の群から選ばれる少なくとも1種と、からなる硬質相を、コバルト(Co)やニッケル(Ni)等の鉄属金属からなる結合相にて結合させた超硬合金やTiCN基サーメット、またはSi、Al、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)等のセラミックスが挙げられる。中でも、超硬合金またはTiCN基サーメットからなることが耐欠損性および耐摩耗性の点でよい。
被覆層8は、化学気相蒸着(CVD)法にて成膜されたものが好適であり、本実施形態では、図2に示すように、基体7側から順に、0〜1μm厚みの窒化チタン層10、5〜13μm厚みの炭窒化チタン層11、0.05〜0.5μm厚みの炭酸窒化チタン層12、1〜13μm厚みの酸化アルミニウム層13、0〜3μmの厚み窒化チタン層14が積層されたものからなる。被覆層8の構成は図2に限定されるものではない。
本実施形態では、すくい面2、逃げ面3、着座面6および貫通孔5のすべてに被覆層8があるが、これに限定されるものではなく、例えば、すくい面2および着座面6には被覆層8が被覆されないか、または被覆層8が除去されたものであってもよく、逃げ面3では被覆層8が除去されたものであってもよい。
(切削インサートの製造方法)
本実施形態に係る切削インサート1の製造方法は、基体7に設けられた貫通孔5に保持部材22の突起25を差し込み、基体7を突起25に当接させる工程と、基体7に被覆層8を成膜する工程と、被覆層8が成膜された基体7を、突起25から抜き出す工程と、を有する。
具体的には、まず、基体7となるサーメットまたはセラミックスを形成しうる金属炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物等の無機物粉末に、金属粉末、カーボン粉末等を適宜添加、混合し、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって貫通孔5を有する所定の工具形状に成形した後、焼成して上述したサーメットまたはセラミックスからなる基体7を作製する。なお、基体7は、サーメットおよびセラミックスの積層体等の複合材料であってもよい。そして、上記基体7の表面に所望によって研磨加工や切刃部のホーニング加工を施す。
そして、その基体7の表面に化学気相蒸着(CVD)法によって被覆層8を成膜する。以下に具体的な成膜工程について説明する。
まず、基体7に設けられた貫通孔5に保持部材22の突起25を通して、基体7を突起25に当接させる。具体的には、図3に示すように、成膜装置20のチャンバ21内に基体7を載置し、チャンバ21内を密閉する。基体7は、保持部材22に装着された状態でチャンバ21内に搬送される。保持部材22は、図4に示すように、支持基板24の上面に、縦断面における上方の最大幅が下方の最大幅よりも狭い突起25を設けたものである。
保持部材22は支持基板24を有し、突起25は支持基板24に設けられている。保持部材22は、図4(a)に示すように、凹状の支持基板24の底面に多数の突起25が並んだ形状からなる。支持基板24は平板状でもよい。なお、支持基板24の中央部には、図3のガス導入管26を貫通させるための貫通穴23が設けられている。図4(b)、(c)に示すように、基体7の貫通孔5に保持部材22の突起25を差し込む、すなわち、保持部材22の突起25に基体7の貫通孔5を上方から通して、基体7を突起25の所定の高さで突起25に当接させる、すなわち引っ掛けることによって、基体7を保持部材22に保持する。
突起25は金属を有する。本実施形態によれば、突起25は金属からなる。この金属は基体7を形成するセラミックスやサーメットの熱膨張係数よりも大きい。これによって、後述する成膜温度においては、突起25が基体7に比べて熱膨張率が高いので、突起25が基体7の貫通孔5の内壁面5aを押圧するとともに変形する。そして、成膜終了後に成膜装置20内を冷却した際には、突起25の熱収縮係数が高いので、基体7の貫通孔5の内壁面5aの収縮に対して突起25の収縮が大きく、冷却過程において突起25と基体7の貫通孔5の内壁面5aとの間に隙間ができやすくなる。そのため、突起25と基体7の貫通孔5との間につけられた被覆層8が突起25または基体7にいずれかだけに付着したり、あるいは被覆層8内にクラックが生じ、突起25と基体7とが被覆層8によって強固に固着することが抑制される。そのため、冷却後は被覆層8が設けられた基体7を突起25から取り出しやすい。さらに、突起25と基体7とが被覆層8によって強固に固着しており、無理に引き剥がしたときに貫通孔5の内壁面5aに突起25の大きな破片が付着した状態で基体7が保持部材22から取り出されるようなこともない。
なお、金属には合金も含まれる。また、突起25は、その表面が、酸化等の変質を防止するための保護層(図示せず)で覆われたもの等の金属以外の材質が含まれるものであってもよい。また、保持部材22を繰り返し使用する場合には、保持部材22を使用した際に突起25の表面に付着する被覆層8を保護層として利用するものであってもよい。保護層は成膜工程によって変質しない耐熱性の高い材質からなり、具体的には、TiC、TiN、TiCN、TiAlN等が挙げられる。
突起25に用いる金属としては、鋼、合金鋼、炭素鋼、ステンレス、Ti基合金またはモリブデン鋼が好適に使用可能であり、中でも、容易に加工できるとともに耐熱性が高いステンレス、モリブデン鋼が好適である。さらに、ステンレスにおいては、被覆層8が成膜される際に被覆層8の異常粒成長を誘発しないようにニッケルを含有しないフェライト系またはマルテンサイト系のステンレス材がより好適である。
支持基板24は特に限定されるものではないが、高温に曝されても変形しない耐熱性の高い材質である必要があり、本実施形態では、支持基板24がグラファイト、焼結合金またはセラミックスからなる。支持基板24が突起25よりも熱膨張係数の低い材質からなる場合、成膜した被覆層8と支持基板24との熱収縮率が近づく。基体7に被覆層8を成膜する際に支持基板24にも被覆層8が成膜される。成膜工程における温度変化によって支持基板24は膨張および収縮するが、被覆層8と支持基板24との熱収縮率が近いほど、被覆層8が支持基板24の熱膨張に追従する。その結果、支持基板24の下面に堆積した被覆層8にクラックが発生することがなく、支持基板24から剥がれにくくなる。被覆層8が剥がれた場合には、剥がれた被覆層8が保持部材22の下方に落下する場合がある。図3のように保持部材22を多段に積層した場合、落下点に別の基体7が載置されていると、被覆層8の剥がれた破片が異物となってしまう。しかしながら、本実施形態では、支持基板24から被覆層8が剥がれにくいので、かかる問題が発生しにくい。
本実施形態では、突起25の熱膨張係数は、10×10−6/℃〜17×10−6/℃、基体7の熱膨張係数は、4×10−6/℃〜8×10−6/℃である。すなわち、突起25の熱膨張係数は基体7の熱膨張係数よりも大きい。これによって、被覆層8を成膜した後の基体7が取り出しやすい。基体7の熱膨張係数と突起25の熱膨張係数との差の好適な範囲は、4×10−6/℃〜15×10−6/℃である。具体的には、突起25がステンレス−基体7が超硬合金、突起25がモリブデン鋼−基体7が超硬合金、突起25がステンレス−基体7がサーメット、突起25がステンレス−基体7がアルミナ等の組合せが挙げられる。 なお、支持基板24の熱膨張係数は、2×10−6/℃〜8×10−6/℃である。支持基板24の熱膨張係数がこの範囲であれば、支持基板24が成膜中に成膜装置20内で伸びてチャンバ21内における基体7の位置が変化して、基体7に成膜される被覆層8の状態が変わることもない。
被覆層8を成膜して取り出したインサート1の貫通孔5の内壁面5aが被覆層8で被覆される場合、貫通孔5の内壁面5aには、図1(b)に示すように、突起25の接触痕9が存在する。本実施形態では、突起25が成膜時に基体7の貫通孔5の内壁面5aを押圧するとともに変形するため、この接触痕9には、突起25の成分である金属が付着していることがある。貫通孔5の内壁面5aに被覆層8が成膜されない場合でも、内壁面5aに突起25の成分である金属が付着していることがある。さらに、表面に保護層が存在する突起25を用いた場合でも、内壁面5aに保護層成分が付着していることがあるが、保護層の表面にさらに金属成分が付着していることもある。
突起25は、断面における上方の最大幅が下方の最大幅よりも小さい形状からなる。換言すると、上方が先細りした形状であり、より具体的な形状としては、縦断面が三角形の円錐または多角錐形状、または図4(b)に示すような円錐台や角錐台(縦断面が台形の円錐または多角錐の下部のみの形状:すなわち頂角部がない形状)や、図4(c)に示すような下部が円錐台や角錐台で、上部が円柱または角柱の形状(下部は縦断面が台形の円錐台または角錐台で、上部は縦断面が長方形の円柱または多角柱形状が組み合わされた形状)が挙げられる。なお、突起25の横断面形状は、円形、三角形や四角形等の多角形であることが挙げられる。
また、成膜後に、保持部材22から基体7をより容易に取り外すためには、貫通孔5の内壁面5aと突起25との接触点が少ないほうがよい。すなわち、基体7を突起25に当接させたとき、突起25は、貫通孔5内に位置する部位が、基体7と接している領域と、基体7と接触していない領域とを有しているほうがよい。かかる点で、本実施形態では、突起25と貫通孔5の内壁面5aと接触する位置における突起25の外形形状は多角錐形状である。また、本実施形態では、図4(b)(c)の断面図に示すように、突起25と貫通孔5の内壁面5aとは面接触ではなく点接触となっており、突起25と貫通孔5の内壁面5aと接触点は線接触または点接触となる。なお、突起25と貫通孔5の内壁面5aと接触点は、線接触であるよりも点接触であるほうが、基体7の取り出しやすさの点ではよい。さらに、図1(b)に示すように、点接触した接触痕9は貫通孔5の内壁面5aの同じ高さに所定の間隔で点在する数点となるように基体7を保持部材22に固定する。本実施形態では、図4(b)に示すように、貫通孔5が、中央部は円柱で、端部が外表面に向かって孔径が拡がる形状であるが、この場合には、貫通孔5の中央部と端部との境界で突起25に係合することが望ましい。この方法であれば、成膜後のインサート1の接触痕9は、図1(b)に示すように、貫通孔5の中央部と端部との境界に存在する。
次に、チャンバ21内に水素ガスやアルゴンガス等のキャリアガスをガス導入管26から供給しながら、チャンバ21内をヒータ27によって成膜温度まで加熱する。このとき、突起25が熱膨張して、基体7の貫通孔5に押圧されるとともに変形し、突起25と貫通孔5の内壁面5aとの接触部は密着した状態になる。なお、チャンバ21内のガス圧はガス排気管28からガスを排気することによって調整する。
次に、チャンバ21内に成膜ガスを流して、基体7の表面に被覆層8を成膜する。具体的な成膜条件の一例を示すと、1層目として、四塩化チタン(TiCl)ガス、窒素(N)ガス、水素(H)ガスからなる混合ガスをチャンバ21内に導入し、成膜温度を800〜940℃、8〜50kPaとして、窒化チタン層10を成膜する。2層目として、四塩化チタン(TiCl)ガス、窒素(N)ガス、アセトニトリル(CHCN)ガス、水素(H)ガスからなる混合ガスをチャンバ21内に導入し、成膜温度を780〜880℃、5〜25kPaとして、炭窒化チタン層11を成膜する。3層目として、四塩化チタン(TiCl)ガス、メタン(CH)ガス、窒素(N)ガス、一酸化炭素(CO)ガス、水素(H)ガスからなる混合ガスをチャンバ21内に導入し、成膜温度を900〜1050℃、5〜40kPaとして炭酸窒化チタン層12を成膜する。4層目として、三塩化アルミニウム(AlCl)ガス、塩化水素(HCl)ガス、二酸化炭素(CO)ガス、硫化水素(HS)ガス、水素(H)ガスからなる混合ガスをチャンバ21内に導入し、950〜1100℃、5〜10kPaとして酸化アルミニウム層13を成膜する。5層目として、四塩化チタン(TiCl)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N)ガスを10〜60体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整してチャンバ21内に導入し、成膜温度を960〜1100℃、10〜85kPaとして、窒化チタン層14を成膜する。
成膜が終了した後、チャンバ21内を冷却して、被覆層8を成膜した基体7および突起25を冷却する。このとき、突起25の熱収縮率が基体7の熱収縮率よりも高いので、基体7の貫通孔5の内壁面5aの収縮に対して突起25の収縮が大きく、冷却後の突起25と基体7の貫通孔5の内壁面5aとの間に隙間ができやすくなる。
そして、保持部材22を成膜装置20のチャンバ21内から取り出して、被覆層8を成膜した基体7を突起25から抜き出して取り出す。本実施形態では、冷却後において、突起25と基体7の貫通孔5の内壁面5aとのいずれかに被覆層が形成されていたり、被覆層8にクラックが発生したりしているために、基体7が突起25から抜けやすくなる。その結果、インサート1をホルダに装着した場合にも、インサート1の位置ずれがない、寸法精度の高い切削工具となる。
(実施例1)
まず、金属コバルト粉末を6質量%、平均粒径2.0μmの炭化チタン粉末を0.5質量%、炭化ニオブ粉末を5質量%、残部がタングステンカーバイト粉末の割合で添加、混合し、プレス成形により貫通孔(中央部が円柱で、両端が外面に向かって拡がる形状)を有する工具形状(CNMG120408)に成形する。その後、脱バインダ処理を施し、1500℃、真空度0.01Paの真空中において、1時間焼成して超硬合金からなる基体を作製した。その後、作製した基体にブラシ加工をし、切刃となる部分にRホーニングを施した。
次に、図4(a)の形状のグラファイトからなる支持基板と、ステンレス(SUS430:Cr17質量%、Mn等の微量成分1質量%未満、残りがFe)製で(上端の最大幅が2.5mmで下端の最大幅が6.0mmの四角錐台)の突起とからなる保持部材を準備し、突起に上記超硬合金の基体の貫通孔を通して、基体を突起に当接して保持した。これを、図3の化学気相蒸着(CVD)成膜装置のチャンバ内に搬送し、チャンバ内を密封した。
そして、チャンバ内を900℃に加熱して、1層目として、四塩化チタン(TiCl)ガス2.5体積%、窒素(N)ガス23体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスをガス圧16kPaでチャンバ内に導入し、窒化チタン層を成膜した。2層目として、チャンバ内を850℃として、四塩化チタン(TiCl)ガス1体積%、窒素(N)ガス10体積%、アセトニトリル(CHCN)ガス0.2体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスをガス圧9kPaでチャンバ内に導入し、炭窒化チタン層を成膜した。3層目として、チャンバ内を1000℃として、四塩化チタン(TiCl)ガス7体積%、メタン(CH)ガス6体積%、窒素(N)ガス5体積%、一酸化炭素(CO)ガス0.5体積%、残り水素(H)ガスからなる混合ガスをガス圧15kPaでチャンバ内に導入し、炭酸窒化チタン層を成膜した。4層目として、チャンバ内は1000℃のままで、三塩化アルミニウム(AlCl)ガス7体積%、塩化水素(HCl)ガス0.5体積%、二酸化炭素(CO)ガス1体積%、硫化水素(HS)ガス0.2体積%、残り水素(H)ガスからなる混合ガスをガス圧10kPaでチャンバ内に導入し、酸化アルミニウム層を成膜した。5層目として、チャンバ内を1100℃として、四塩化チタン(TiCl)ガスを2体積%、窒素(N)ガスを45体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスをガス圧80kPaでチャンバ内に導入し、窒化チタン層を成膜した。
成膜終了後、チャンバ内を200℃以下に冷却した後、保持部材を取り出して、保持部材の突起から基体を取り外した。試料数100個に対し、基体の貫通孔に突起が接着された状態で取りだされて、突起が折れる等の状態となった試料、およびホルダに装着した際にインサートの装着位置がずれてしまうほど大きな突起の一部が貫通孔の内壁面に付着した試料はなかった。また、貫通孔の内壁面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、わずかに付着物が存在しており、電子線分光分析にて構成成分を分析したところ、FeとCrとが含有されていることがわかった。
(比較例)
実施例1にて使用した突起をグラファイト製の突起に代える以外は実施例と同様にして、基体に被覆層を成膜し、インサートを取り出した結果、試料数100個に対し、突起が折れる等によりインサートを取り出せなかった試料、およびホルダに装着した際にインサートの装着位置がずれてしまうほど大きな突起の一部が貫通孔の内壁面に付着した試料の合計は5個であった。
(実施例2)
実施例1にて使用した突起をモリブデン鋼にTiNを2μm成膜した突起に代える以外は実施例と同様にして、基体に被覆層を成膜し、インサートを取り出した結果、試料数100個に対し、突起が折れる等によりインサートを取り出せなかった試料、およびホルダに装着した際にインサートの装着位置がずれてしまうほど大きな突起の一部が貫通孔の内壁面に付着した試料はなかった。また、貫通孔の内壁面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、わずかに付着物が存在しており、電子線分光分析にて構成成分を分析したところ、TiとFeとCrとが含有されていることがわかった。
1 インサート
2 すくい面
3 逃げ面
4 切刃
5 貫通孔
5a 内壁面
6 着座面
7 基体
8 被覆層
9 接触痕
10 窒化チタン層
11 炭窒化チタン層
12 炭酸窒化チタン層
13 酸化アルミニウム層
14 窒化チタン層
20 成膜装置
21 チャンバ
22 保持部材
24 支持基板
25 突起
26 ガス導入管
27 ヒータ
28 ガス排気管

Claims (16)

  1. 貫通孔を有し、サーメットまたはセラミックスを有する基体と、金属を有する突起が設けられた保持部材と、を準備する工程と、
    前記基体の前記貫通孔に、前記保持部材の前記突起を差し込み、前記基体を前記突起に当接させて前記保持部材に装着する工程と、
    前記基体の表面に被覆層を成膜する工程と、
    前記被覆層が成膜された基体を冷却して、該基体を前記突起から抜き出す工程と、
    を具備し、
    前記金属は、前記サーメットまたは前記セラミックスよりも熱膨張係数が大きい切削インサートの製造方法。
  2. 前記被覆層を成膜した基体の前記貫通孔の内壁面に、前記金属が付着した接触痕を有する請求項1に記載の切削インサートの製造方法。
  3. 前記突起が多角錐形状である請求項1または2に記載の切削インサートの製造方法。
  4. 前記保持部材が支持基板を有するとともに、該支持基板が、サーメットまたはセラミックスを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の切削インサートの製造方法。
  5. 前記金属が、鋼、合金鋼、炭素鋼またはステンレスを含む請求項1乃至4のいずれかに記載の切削インサートの製造方法。
  6. 切削インサートの製造方法であって、
    サーメットまたはセラミックスの基体に設けられた貫通孔に、保持部材の金属を有する突起を通して、前記基体を前記突起に当接させる工程と、
    前記基体に被覆層を成膜する工程と、
    前記被覆層が成膜された基体を、前記突起から抜き出す工程と、
    を有し、
    前記金属は、前記サーメットまたは前記セラミックスよりも熱膨張係数が大きい切削インサートの製造方法。
  7. 前記突起は、上方の断面における最大幅が下方の断面における最大幅よりも小さい請求項6に記載の切削インサートの製造方法。
  8. 前記保持部材は支持基板を有し、
    前記突起は前記支持基板に設けられた請求項7に記載の切削インサートの製造方法。
  9. 前記基体は板状部を有し、
    前記貫通孔は、前記板状部の中央部に設けられた請求項7に記載の切削インサートの製造方法。
  10. 前記貫通孔の内壁面に、前記金属が付着した請求項6に記載の切削インサートの製造方法。
  11. 前記突起は、多角錐形状である請求項6に記載の切削インサートの製造方法。
  12. 前記支持基板は、サーメットまたはセラミックスである請求項8に記載の切削インサートの製造方法。
  13. 前記金属は、鋼、合金鋼、炭素鋼またはステンレスである請求項に記載の切削インサートの製造方法。
  14. 前記基体を前記突起に当接させたとき、前記突起は、前記貫通孔内に位置する部位が前記基体と接している領域と前記基体と接触していない領域とを有している請求項6に記載の切削インサートの製造方法。
  15. 前記基体を前記突起に当接させたとき、前記突起と前記基体とは点接触および線接触のうち少なくとも一方の接触状態にて当接している請求項6に記載の切削インサートの製造方法。
  16. 前記基体を前記突起に当接させたとき、前記基体は前記突起の金属と接している請求項6に記載の切削インサートの製造方法。
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