JP6339985B2 - 水中の二酸化塩素濃度を低減させる方法及び水中の二酸化塩素濃度を低減させる水処理剤 - Google Patents
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塩素は、処理対象の水のpHが高いほど殺生効果が発揮され難くなり、特に、海水のpH域では効果的な処理が難しいため高濃度の添加が必要となる。一方、利用した海水は再び海に戻されるので、海水中の海苔、貝類及び魚類へ影響する程度で塩素が残留しないように管理を行う必要がある。更に、塩素と海水中の有機物との反応生成物として、トリハロメタンが発生するという問題もある。
過酸化物は、塩素に比べて高濃度の注入が必要でありコストが高くなるという問題がある。また、海水放流水中に過酸化物が残留し、海生生物に悪影響を与える虞もある。
よって、今後、二酸化塩素は、上記したようなプール水や浴場水・温泉水、冷却水に対してのみならず、多くの状況(例えば、食品工場など)で消毒薬・殺菌/殺生剤としての使用が増えると考えられる。また、二酸化塩素は、漂白作用も有することから、(例えば、製紙工場などで)漂白剤として、従来の塩素系漂白剤に代えて用いられる場面も増すと考えられる。
残留二酸化塩素濃度を低減させるには、亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を使用する方法もあるが、残留二酸化塩素量の約4倍量以上の添加が必要なため高コストであり、亜硫酸ナトリウムなどの還元剤自体による環境への影響が懸念される。
よって、低コストで環境への影響がより小さい代替法が望まれる。
したがって、本発明は、二酸化塩素含有水に溶存マンガンの存在下で過酸化物を添加することを特徴とする、二酸化塩素含有水中の二酸化塩素濃度を低減させる方法を提供する。 また、本発明は、過酸化物を含んでなる、溶存マンガンの存在下での二酸化塩素含有水中の二酸化塩素濃度を低減させる水処理剤を提供する。
本発明の二酸化塩素含有水中に、水溶液中の溶存マンガンを生じるマンガン化合物と、過酸化物とをこの順序若しくは逆の順序で又は同時に添加することを特徴とする、二酸化塩素含有水中の二酸化塩素濃度を低減させる方法である。
下記の実施例で示すように、過酸化物が水中の二酸化塩素濃度を低減させる効果は、溶存マンガンの存在下で増強されるので、本発明の方法に従えば、二酸化塩素濃度の低減に使用する過酸化物の量は少なくて済む。よって、本発明の方法は、水中の二酸化塩素濃度の低減を容易かつ低コストで実現できる。
本発明の方法において、溶存マンガンは、水溶液中で溶存マンガンを生じるマンガン化合物を二酸化塩素含有水に添加することにより供給されてもよい。水溶液中で溶存マンガンを生じるマンガン化合物としては、例えば、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガンが挙げられ、好ましくは硫酸マンガンである。
水溶液中で溶存マンガンを生じるマンガン化合物は、1種類を単独で添加してもよいし、2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
過酸化物は、二酸化塩素含有水中に、例えば、濃度が0.1mg/L以上、好ましくは0.2mg/L以上となるように添加され得る。上限濃度は、特に限定されない。ここで、本発明において、過酸化物についての濃度はH2O2換算量をいう。
本発明の方法に従って過酸化物の使用量を減少させることで、処理水中に過酸化物が高濃度で残留して外部環境(例えば、処理水が放出される河川水や海水など)に悪影響を及ぼす虞もなくなるか、小さくなる。
この形態においては、海水中に既に溶存マンガンが存在しているが、必要に応じて、水溶液中で溶存マンガンを生じるマンガン化合物を添加し得る。溶存マンガンを追加的に供給することで、使用する過酸化物の量を更に減少させることができる。
本発明に従う二酸化塩素含有水中の二酸化塩素濃度を低減させる水処理剤は、過酸化物を含んでなることを特徴とする。
本発明の水処理剤は、1種類の過酸化物を単独で含んでいてもよいし、2種類以上の過酸化物を組み合わせて含んでいてもよい。過酸化物としては、イオン性過酸化物、例えば、過ホウ酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、過硝酸塩、過酢酸塩、過酸化塩、過酸化水素付加物が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩、より好ましくはナトリウム塩)、アルカリ土類金属塩(好ましくはカルシウム塩及びマグネシウム塩)又はアンモニウム塩であり得る。具体例は、過ホウ酸ナトリウム、過リン酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム及び過酸化尿素であり得る。過酸化物は、過酸化水素であり得、水溶液(例えば20〜60%溶液)の形態であり得る。
本発明のキットは、水溶液中で溶存マンガンを生じるマンガン化合物の1種類を単独で含んでいてもよいし、2種類以上を組み合わせて含んでいてもよい。水溶液中で溶存マンガンを生じるマンガン化合物は、例えば、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガンであり得、好ましくは硫酸マンガンである。
本発明のキットの使用に際して、水処理剤及び水溶液中で溶存マンガンを生じるマンガン化合物は、二酸化塩素含有水に、別々に添加してもよいし、予め混合した後に添加してもよい。
下記の実験において、二酸化塩素は、HACH社製二酸化塩素計(DPD法,定量下限は0.04mg/L以下)で分析した。
異なる遷移金属イオンの過酸化水素による二酸化塩素濃度低減効果に対する影響を調べた。
0.2mg/Lの二酸化塩素を含む海水に、45%過酸化水素1mg/Lと鉄イオン(塩化鉄(II)、0.025mg/L[鉄として])、銅イオン(塩化銅(II)、0.1mg/L[銅として])又は溶存マンガン(硫酸マンガン、0.025mg/L及び0.25mg/L[マンガンとして])を添加し、添加の2、7、12及び22分後にそれぞれ二酸化塩素濃度を測定した。また、45%過酸化水素1mg/Lのみを添加し、添加の2、6、11及び21分後にそれぞれ二酸化塩素濃度を測定した(blank)。結果を図1に示す。
図1から明らかなように、海水中の二酸化塩素の濃度は、過酸化水素により、溶存マンガンの存在下で、鉄イオン存在下及び銅イオンの存在下と比較して、顕著に低減した。
100mg/Lの炭酸ナトリウム水溶液に、二酸化塩素又は塩素を1mg/Lとなるように注入した後、45%過酸化水素及び溶存マンガンを合計1mg/Lとなるように添加し(表1及び2を参照)、5分後の残留二酸化塩素濃度又は残留塩素濃度を測定した。結果を下記表1及び2に示す。表1及び2のデータより、二酸化塩素除去率を([添加した二酸化塩素濃度]−[残留二酸化塩素濃度])/[添加した二酸化塩素濃度]として求め、図2及び3に示す。図2及び3において、x軸は、[マンガン濃度]/([過酸化水素濃度]+[マンガン濃度])を表し、y軸は二酸化塩素除去率を表す。なお、溶存マンガンは硫酸マンガンとして添加した。
同様に、溶存マンガンは単独で、5分後の残留塩素濃度にも影響せず、過酸化水素は単独で、5分以内に、残留塩素濃度を低減させた(表2)。
表1及び特に図2から明らかなように、過酸化水素による二酸化塩素濃度低減効果は、溶存マンガンの存在下で、増強した。一方、過酸化水素による塩素濃度低減効果は、溶存マンガンの存在下で、増強しなかった(参考例2では、参考例3と比較して、過酸化水素の添加量の減少(1/2)に対応する程度の残存塩素濃度の減少が観察されたにすぎない)。
人工海水(炭酸ナトリウム水溶液100mg/L)に、二酸化塩素を1mg/Lとなるように添加した後、45%過酸化水素0.5〜15mg/L及び溶存マンガンを0〜0.5mg/Lとなるように添加し(表3を参照)、5分後の二酸化塩素濃度を測定した。結果を下記表3に示す。
東京湾から採取した海水に、二酸化塩素を1mg/Lとなるように注入した後、過酸化水素(45%)及び溶存マンガンを合計1mg/Lとなるように添加し(表4を参照)、5分後の残留二酸化塩素濃度を測定した。結果を表4に示す。
表4及び図4から明らかなように、過酸化水素による二酸化塩素濃度低減効果は、溶存マンガンの存在下で顕著に増強した。
なお、海水は溶存マンガンを含むので、過酸化水素を単独で添加しても、残留二酸化塩素濃度は有意に低減した。よって、二酸化塩素含有水が海水である場合には、過酸化水素の単独添加により、残留二酸化塩素濃度を有意に低減させることができる。
東京湾の海水に、二酸化塩素1mg/L及び45%過酸化水素0.5mg/Lを添加し、5分後に溶存マンガン0.2mg/Lを更に添加した時の残留二酸化塩素濃度の推移を図5に示す。
二酸化塩素及び過酸化水素の注入直後から海水中の二酸化塩素濃度は徐々に低下し、5分後には約1/2になると推定される(3分後及び10分後の残留二酸化塩素濃度からの推定)。(海水中に含まれる溶存マンガンに追加して)マンガンを添加した2.5分後に、残留二酸化塩素は定量下限(0.04mg/L)以下となった。このことからも、溶存マンガンの存在が、過酸化水素による二酸化塩素濃度低減効果に顕著に影響することが理解できる。
Claims (6)
- 二酸化塩素含有水に、水溶液中で溶存マンガンを生じるマンガン化合物と過酸化物とを、この順序若しくは逆の順序で又は同時に添加することを特徴とする、二酸化塩素含有水中の二酸化塩素濃度を低減させる方法。
- 水溶液中で溶存マンガンを生じるマンガン化合物を、二酸化塩素含有水中の溶存マンガン濃度が少なくとも0.01mg/Lとなるように調整する、請求項1に記載の方法。
- 過酸化物を、二酸化塩素含有水中の濃度が0.1〜10mg/Lとなるように添加する、請求項1又は2に記載の方法。
- 二酸化塩素含有水が、冷却水用に二酸化塩素で前処理された冷却水である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記冷却水が海水である、請求項4に記載の方法。
- 過酸化物を含んでなることを特徴とする水処理剤と、水溶液中で溶存マンガンを生じるマンガン化合物とを組み合わせて含んでなることを特徴とする、二酸化塩素含有水中の二酸化塩素濃度を低減させるためのキット。
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