ところで、特許文献1に記載のような回転式圧縮機では、特に電動機を高速回転させることで、駆動軸が軸受に対して撓みやすくなる。このため、上述のような弾性軸受部を有する圧縮機構では、弾性軸受部とともに撓む駆動軸の変形量が大きくなり、ピストンがシリンダの内周面に過剰に接触してしまうという問題が生じる。
また、特許文献1に記載のような回転式圧縮機の駆動軸では、軸受に対応する部分(第1軸部という)に対し、第1軸部とクランク軸部との間の軸部分(第2軸部という)が小径に構成され、第1軸部と第2軸部との間に段差が形成される。このため、電動機を高速回転することに伴い駆動軸の撓み変形量が大きくなると、この段差部(即ち、第1軸部の角部)が軸受と接触し、異常摩耗、ひいては発熱に伴う焼き付きの原因となる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、弾性軸受部の撓み変形量の増大を抑制しつつ、駆動軸の角部が弾性軸受部と接触することを防止できる回転式圧縮機を提供することにある。
第1の発明は、電動機(20)と、第1軸部(34,39)と、該第1軸部(34,39)に対して偏心するクランク軸(36)と、該第1軸部(34,39)と上記クランク軸(36)との間に設けられ、該第1軸部(34,39)より小径の第2軸部(35,40)とを有し、上記電動機(20)に回転駆動されるように構成される駆動軸(30)と、筒状のシリンダ(51)と、該シリンダ(51)の内部に配置され、上記クランク軸(36)が内嵌するピストン(60)と、上記シリンダ(51)の軸方向端部に積層され、上記駆動軸(30)が貫通する貫通口(52c,53a)を有するヘッド部材(52,53)とを有し、流体を圧縮するように構成される圧縮機構(50)とを備えた回転式圧縮機を対象とし、上記ヘッド部材(52,53)の内部には、内周面に上記第1軸部(34,39)の軸受(42,43)を形成し、外周側に環状の弾性溝(72,82)を形成するように、上記第1軸部(34,39)側から上記第2軸部(35,40)側に向かって突出する環状の弾性軸受部(70,80)が設けられ、上記弾性軸受部(70,80)の突端部には、上記シリンダ(51)側に向かって上記弾性軸受部(70,80)の内径を拡大させる環状の拡大凹部(74,84)が形成され、上記ヘッド部材(52,53)は、該ヘッド部材(52,53)における上記シリンダ(51)の対向面(77,87)から上記拡大凹部(74,84)の基端までの距離L1、L4が、上記対向面(77,87)から上記第1軸部(34,39)における上記第2軸部(35,40)側の端部までの距離L2、L5よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする。
第1の発明では、電動機(20)によって駆動軸(30)が回転駆動されると、シリンダ(51)の内部のピストン(60)がクランク軸(36)によって回転駆動される。この結果、圧縮機構(50)では、シリンダ(51)の内部でピストン(60)が偏心回転し、流体が圧縮される。
本発明のヘッド部材(52,53)の内部には、環状の弾性軸受部(70,80)が形成される。弾性軸受部(70,80)の内周面には、駆動軸(30)の第1軸部(34,39)に対応する軸受(42,43)が形成される。弾性軸受部(70,80)の外周側には、環状の弾性溝(72,82)が形成される。回転駆動される駆動軸(30)が撓むと、この駆動軸(30)を支持する弾性軸受部(70,80)が変形する。この結果、駆動軸(30)が軸受(42,43)に対して片当たりしてしまうことを防止できる。
本発明の弾性軸受部(70,80)には、その突端部に拡大凹部(74,84)が形成される。拡大凹部(74,84)は、シリンダ(51)側に向かって弾性軸受部(70,80)の内径を拡大させる環状に形成される。これにより、弾性軸受部(70,80)では、その外周側が環状の拡大凹部(74,84)によって補強される。従って、例えば駆動軸(30)が高速回転したとしても、弾性軸受部(70,80)が大きく撓んでしまうことを防止できる。
本発明のヘッド部材(52,53)では、ヘッド部材(52,53)におけるシリンダ(51)の対向面(77,87)から拡大凹部(74,84)の基端までの距離L1、L4が、ヘッド部材(52,53)におけるシリンダ(51)の対向面(77,87)から第1軸部(34,39)における第2軸部(35,40)側の端部までの距離L2、L5よりも大きい。これにより、第1軸部(34,39)の角部(エッジ部)は、拡大凹部(74,84)の基端よりもシリンダ(51)寄りに位置する。従って、駆動軸(30)が撓んだとしても、第1軸部(34,39)の角部が弾性軸受部(70,80)の内周面と接触してしまうことを回避できる。
第2の発明は、第1の発明において、上記ヘッド部材(52,53)は、上記対向面(77,87)から上記第1軸部(34,39)における上記第2軸部(35,40)側の端部までの距離L2、L5が、上記対向面(77,87)から上記拡大凹部(74,84)の突端までの距離L3、L6よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする。
第2の発明でのヘッド部材(52,53)では、ヘッド部材(52,53)におけるシリンダ(51)の対向面(77,87)から第1軸部(34,39)における第2軸部(35,40)側の端部までの距離L2、L5が、ヘッド部材(52,53)におけるシリンダ(51)の対向面(77,87)から拡大凹部(74,84)の突端までの距離L3、L6よりも大きい。これにより、拡大凹部(74,84)は、第1軸部(34,39)の端部よりもシリンダ(51)側に延びる構成となるため、環状の拡大凹部(74,84)の剛性が大きくなる。従って、例えば駆動軸(30)が高速回転したとしても、弾性軸受部(70,80)が大きく撓んでしまうことを防止できる。
本発明では、第1軸部(34,39)の角部が、拡大凹部(74,84)の基端と突端の間に位置することになる。つまり、弾性軸受部(70,80)では、第1軸部(34,39)の角部に対応する位置の内径が拡がっている。これにより、弾性軸受部(70,80)が撓んだとしても、第1軸部(34,39)の角部が弾性軸受部(70,80)と接触してしまうことを回避できる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記拡大凹部(74,84)は、シリンダ(51)側に向かって上記弾性軸受部(70,80)の内径を徐々に拡大させる環状の傾斜面(75,85)を有していることを特徴とする。
第3の発明では、環状の拡大凹部(74,84)の内側に環状の傾斜面(75,85)を形成することにより、弾性軸受部(70,80)の内径がシリンダ(51)側に向かって徐々に拡大する。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記駆動軸(30)は、該駆動軸(30)の硬度が上記弾性軸受部(70,80)の軸受(42,43)の硬度より大きくなるように構成されていることを特徴とする。
第4の発明では、駆動軸(30)の硬度が比較的大きいため、駆動軸(30)の剛性が増大する。従って、駆動軸(30)を高速回転させる際、駆動軸(30)が径方向に撓んでしまうことを防止できる。
一方、このように駆動軸(30)の硬度が弾性軸受部(70,80)の軸受(42,43)の硬度より大きい構成において、第1軸部(34,39)の角部が軸受(42,43)に線接触してしまうと、軸受(42,43)がV溝状に摩耗してしまう。この結果、弾性軸受部(70,80)の軸受(42,43)の信頼性が損なわれてしまう。
これに対し、本発明では、上述のように、第1軸部(34,39)の角部が弾性軸受部(70,80)の軸受(42,43)に線接触してしまうことを回避できるので、軸受(42,43)での摩耗を回避できる。
本発明によれば、弾性軸受部(70,80)の突端部に環状の拡大凹部(74,84)を形成したため、この拡大凹部(74,84)によって弾性軸受部(70,80)の剛性を向上できる。この結果、例えば駆動軸(30)を高速回転させたとしても、駆動軸(30)が過剰に撓んでしまうことを防止でき、ピストン(60)がシリンダ(51)に対し過剰に接触してしまうことを防止できる。
また、本発明では、弾性軸受部(70,80)の肉厚を大きくせずとも、弾性軸受部(70,80)の剛性を増大できる。仮に、弾性軸受部(70,80)の肉厚を大きくすると、弾性軸受部(70,80)の周囲の弾性溝(72,82)の溝幅を小さくする必要があるため、弾性溝(72,82)の加工が困難となる。これに対し、本発明では、弾性軸受部(70,80)の突端部に拡大凹部(74,84)を形成するだけでよいため、比較的容易な加工により、弾性軸受部(70,80)の剛性を増大できる。
また、本発明によれば、シリンダ(51)の対向面(77,87)から第1軸部(34,39)の端部までの距離L1、L4を、シリンダ(51)の対向面(77,87)から拡大凹部(74,84)までの距離L2、L5よりも大きくすることで、第1軸部(34,39)の角部が、弾性軸受部(70,80)の内周面に接触してしまうことを回避できる。この結果、このことに起因して弾性軸受部(70,80)が摩耗したり、焼き付きが生じたりすることを確実に防止できる。
第2の発明によれば、シリンダ(51)の対向面(77,87)から拡大凹部(74,84)の基端までの距離L2、L5を、シリンダ(51)の対向面(77,87)から拡大凹部(74,84)の突端までの距離L3、L6よりも大きくすることで、拡大凹部(74,84)の長さを十分に確保でき、弾性軸受部(70,80)の剛性を更に増大できる。一方、第1軸部(34,39)の角部は、拡大凹部(74,84)の内部に位置することになるため、第1軸部(34,39)の角部が弾性軸受部(70,80)の内周面に接触してしまうことを確実に回避でき、異常摩耗や焼き付きを防止できる。
第3の発明によれば、比較的容易な加工により、弾性軸受部(70,80)の突端部に拡大凹部(74,84)を形成することができる。
第4の発明によれば、駆動軸(30)の硬度を大きくすることで、駆動軸(30)を高速回転させても該駆動軸(30)が撓んでしまうことを回避できる。また、硬度の大きい第1軸部(34,39)の角部が弾性軸受部(70,80)の軸受(42,43)に接触してしまうことを回避できる。従って、弾性軸受部(70,80)の内周面がV溝状に摩耗することを回避でき、弾性軸受部(70,80)の信頼性を向上できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
〈圧縮機の全体構成〉
図1は、本実施形態に係る圧縮機(10)の縦断面図である。本実施形態に係る圧縮機(10)は、全密閉型の回転式圧縮機である。圧縮機(10)は、冷媒が充填された冷媒回路(図示省略)に接続されている。冷媒回路では、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。つまり、冷媒回路では、圧縮機(10)で圧縮された冷媒が、凝縮器で凝縮し、膨張弁で減圧された後、蒸発器で蒸発し、圧縮機(10)に吸入される。
圧縮機(10)は、ケーシング(11)と、ケーシング(11)の内部に収容される電動機(20)と、電動機(20)と連結する駆動軸(30)と、該駆動軸(30)によって駆動される圧縮機構(50)とを備えている。
〈ケーシング〉
ケーシング(11)は、縦長の円筒状の密閉容器で構成される。ケーシング(11)は、胴部(12)、下部鏡板(13)、及び上部鏡板(14)を有している。胴部(12)は、上下に延びる円筒状に形成され、軸方向の両端が開口している。下部鏡板(13)は、胴部(12)の下端に固定されている。上部鏡板(14)は、胴部(12)の上端に固定されている。
胴部(12)の下部には、吸入管(15)が貫通して固定されている。上部鏡板(14)には、吐出管(16)が貫通して固定されている。上部鏡板(14)には、電動機(20)へ電力を供給するためのターミナル(17)が取り付けられている。
ケーシング(11)の底部には、油貯留部(18)が形成されている。油貯留部(18)は、下部鏡板(13)及び胴部(12)の下部の内壁によって構成される。油貯留部(18)には、圧縮機構(50)や駆動軸(30)の摺動部を潤滑するための潤滑油(冷凍機油)が貯留される。
ケーシング(11)の内部は、圧縮機構(50)で圧縮された高圧冷媒で満たされる。つまり、圧縮機(10)は、ケーシング(11)の内圧が高圧冷媒の圧力と実質的に等しい、いわゆる高圧ドーム型に構成されている。
〈電動機〉
電動機(20)は、圧縮機構(50)の上方に配置されている。電動機(20)は、固定子(21)と回転子(22)とを有している。固定子(21)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内周面に固定されている。回転子(22)は、固定子(21)の内部を上下方向に貫通している。回転子(22)の軸心内部には、駆動軸(30)が固定される。電動機(20)が通電されると、回転子(22)とともに駆動軸(30)が回転駆動される。
〈駆動軸〉
駆動軸(30)は、ケーシング(11)の胴部(12)の軸心(図1の一点鎖線C1)上に位置している。駆動軸(30)は、圧縮機構(50)の各軸受(41,42,43)(詳細は後述する)に回転可能に支持されている。駆動軸(30)の下端には、給油ポンプ(30a)が取り付けられている。給油ポンプ(30a)は、油貯留部(18)に貯留された潤滑油を搬送する。搬送された潤滑油は、駆動軸(30)の内部の油通路(図示省略)を通じて、圧縮機構(50)や駆動軸(30)の摺動部へ供給される。
駆動軸(30)は、上側から下側に向かって順に、主軸(31)、クランク軸(36)、及び副軸(37)を有している。主軸(31)の上部は、電動機(20)の回転子(22)に固定される。クランク軸(36)は、主軸(31)の下端に連結している。副軸(37)は、クランク軸(36)の下端に連結している。主軸(31)と副軸(37)の軸心(図1のC1)は一致している。クランク軸(36)の軸心C2は、主軸(31)及び副軸(37)の軸心C1に対して所定量だけ偏心している。クランク軸(36)の外径は、主軸(31)及び副軸(37)の外径よりも大きい。また、本実施形態では、副軸(37)の外径が主軸(31)の外径よりも小さい。
図1及び図2に示すように、主軸(31)は、上側から下側に向かって順に、上部主軸部(32)と、中間主軸部(33)と、下部主軸部(34)と、給油用主軸部(35)とが一体となって構成されている。上部主軸部(32)の上側略半分は、電動機(20)の回転子(22)に固定される。上部主軸部(32)の下部と、中間主軸部(33)と下部主軸部(34)と給油用主軸部(35)は、フロントヘッド(52)の主軸側貫通口(52c)の内部に位置している。上部主軸部(32)の下部は、圧縮機構(50)の上部主軸受(41)に回転可能に支持されている。中間主軸部(33)とフロントヘッド(52)の筒状突出部(52b)との間には、僅かな隙間が形成される。下部主軸部(34)は、圧縮機構(50)の下部主軸受(42)に回転可能に支持されている。給油用主軸部(35)は、下部主軸部(34)とクランク軸(36)との間に設けられている。給油用主軸部(35)には、上述した油通路を流れる潤滑油が流出する給油孔(35a)が形成される。
図2に示すように、主軸(31)では、上部主軸部(32)と下部主軸部(34)の外径が概ね等しく、中間主軸部(33)と給油用主軸部(35)の外径が概ね等しい。中間主軸部(33)及び給油用主軸部(35)の外径は、上部主軸部(32)及び下部主軸部(34)の外径より小さい。
副軸(37)は、下側から上側に向かって順に、下部副軸部(38)と、上部副軸部(39)と、給油用副軸部(40)とが一体になって構成される。下部副軸部(38)の下端には、上述した給油ポンプ(30a)が取り付けられる。上部副軸部(39)は、圧縮機構(50)の副軸受(43)に回転可能に支持されている。給油用副軸部(40)は、上部副軸部(39)とクランク軸(36)との間に設けられている。給油用副軸部(40)には、上述した油通路を流れる潤滑油が流出する給油孔(40a)が形成される。
図2に示すように、副軸(37)では、下部副軸部(38)と給油用副軸部(40)の外径が概ね等しい。下部副軸部(38)と給油用副軸部(40)の外径は、上部副軸部(39)の外径より小さい。
駆動軸(30)では、下部主軸部(34)及び上部副軸部(39)がそれぞれ第1軸部を構成し、給油用主軸部(35)及び給油用副軸部(40)が第1軸部より小径の第2軸部を構成している。
〈圧縮機構〉
図1及び図2に示すように、圧縮機構(50)は、電動機(20)の下方に配置されている。圧縮機構(50)は、シリンダ(51)と、フロントヘッド(52)と、リアヘッド(53)とを備えている。圧縮機構(50)では、シリンダ(51)の上端部(軸方向一端部)にフロントヘッド(52)が積層され、シリンダ(51)の下端部(軸方向他端部)にリアヘッド(53)が積層される。シリンダ(51)、フロントヘッド(52)、及びリアヘッド(53)は、締結部材(54)を介して一体化されている。フロントヘッド(52)及びリアヘッド(53)は、ヘッド部材を構成している。
シリンダ(51)は、ケーシング(11)の胴部(12)の下部の内周面に固定されている。シリンダ(51)は、扁平な略環状に形成され、中央部に円柱状のシリンダ室(55)が形成されている。図1及び図3に示すように、シリンダ(51)には、径方向に延びる吸入ポート(56)が形成されている。吸入ポート(56)の流出端は、シリンダ室(55)(低圧室(55a))と連通し、吸入ポート(56)の流入端には、吸入管(15)が接続されている。
フロントヘッド(52)は、シリンダ(51)の内部空間を覆うようにシリンダ(51)の上方に配置されている。フロントヘッド(52)は、シリンダ(51)に積層する扁平な環状プレート部(52a)と、該環状プレート部(52a)の径方向中央部から上方に突出する筒状突出部(52b)とを有している。フロントヘッド(52)には、環状プレート部(52a)を軸方向に貫通する吐出ポート(57)が形成されている(図3を参照)。吐出ポート(57)の流入端は、シリンダ室(55)(高圧室(55b))と連通している。吐出ポート(57)の流出端には、リード弁(図示省略)が設けられている。
フロントヘッド(52)では、環状プレート部(52a)及び筒状突出部(52b)の中央部に、主軸(31)が貫通する主軸側貫通口(52c)が形成されている。主軸側貫通口(52c)の上端部の内周面には、上部主軸部(32)に対応する高さ位置に上部主軸受(41)が形成される。主軸側貫通口(52c)の下部には、下部主軸部(34)に対応する高さ位置に下部主軸受(42)が形成される。
リアヘッド(53)は、シリンダ(51)の内部空間を覆うようにシリンダ(51)の下方に配置されている。リアヘッド(53)の径方向中央部には、副軸(37)が貫通する副軸側貫通口(53a)が形成されている。副軸側貫通口(53a)の内周面には、上部副軸部(39)に対応する高さ位置に副軸受(43)が形成される。
上部主軸受(41)、下部主軸受(42)、及び副軸受(43)、それぞれ対応する軸部(32,34,39)と油膜を介して摺接するすべり軸受を構成している。本実施形態では、駆動軸(30)の撓みを抑えるために高剛性の材料を使用している。このため、各軸受(41,42,43)の硬度は、駆動軸(30)の硬度よりも小さくなっている。つまり、本実施形態の駆動軸(30)は、その硬度が各軸受(41,42,43)の硬度より大きくなるように構成される。
図3に示すように、圧縮機構(50)は、ピストン(60)、ブッシュ(61)、及びブレード(62)を備えている。ピストン(60)は、シリンダ室(55)に収容されている。本実施形態のピストン(60)は、真円形の環状に形成され、その内部に円柱状のクランク軸(36)が内嵌している。
シリンダ(51)には、シリンダ室(55)と隣接する位置に略円形のブッシュ溝(63)が形成される。このブッシュ溝(63)には、略半円形の一対のブッシュ(61,61)が嵌め込まれている。一対のブッシュ(61,61)は、各々の平坦な面が互いに対向するようにブッシュ溝(63)に配置される。一対のブッシュ(61,61)は、ブッシュ溝(63)の軸心を中心として揺動運動するように構成されている。
ブレード(62)は、径方向外方に延びる直方体状ないし板状に形成される。ブレード(62)の基端は、ピストン(60)の外周面に連結している。ブレード(62)は、一対のブッシュ(61,61)の間に形成されるブレード溝(64)に進退可能に収容される。
ブレード(62)は、シリンダ室(55)を低圧室(55a)と高圧室(55b)とに区画している。低圧室(55a)は、図3におけるブレード(62)の右側の空間であり、吸入ポート(56)と連通している。高圧室(55b)は、図3におけるブレード(62)の左側の空間であり、吐出ポート(57)と連通している。
〈弾性軸受部の詳細な構成〉
本実施形態の圧縮機構(50)では、フロントヘッド(52)とリアヘッド(53)とにそれぞれ環状の弾性軸受部(70,80)が設けられている。これらの弾性軸受部(70,80)の構成について、図2〜図5を参照しながら詳細に説明する。
〔フロントヘッドの弾性軸受部〕
本実施形態のフロントヘッド(52)には、環状(円筒状)の第1弾性軸受部(70)が設けられている。第1弾性軸受部(70)は、下部主軸部(34)の下部及び給油用主軸部(35)の上端部の周囲に配置されている。具体的に、環状プレート部(52a)の下面中央部には、下側が開放された円柱状の第1凹部(71)が形成されている。第1弾性軸受部(70)は、第1凹部(71)の底面(上端面)からシリンダ(51)側(即ち、下部主軸部(34)側から給油用主軸部(35)側)に向かって突出している。第1弾性軸受部(70)の外周面と第1凹部(71)の内周面との間には、第1弾性溝(72)が形成されている。第1弾性溝(72)は、その軸心が駆動軸(30)の軸心と概ね一致する環状の溝である。第1弾性溝(72)の底面(上端面)は、環状プレート部(52a)の上端面よりやや低い位置にある。
第1弾性軸受部(70)は、その内周面に下部主軸部(34)の一部が構成される第1環状薄肉部(73)と、該第1環状薄肉部(73)から下方に突出する第1拡大凹部(74)とを有している。つまり、第1拡大凹部(74)は、第1弾性軸受部(70)の突端部に構成されている。
第1拡大凹部(74)は、下方(即ち、シリンダ(51)側)に向かって、第1弾性軸受部(70)の内径を拡大させる。より詳細には、第1拡大凹部(74)には、下方に向かうにつれて第1弾性軸受部(70)の内径を徐々に拡大させるように斜めに傾斜した環状の第1傾斜面(75)が形成される。また、第1拡大凹部(74)の突端(下端)には、水平な環状の第1平坦面(76)が形成される。
次いで、第1弾性軸受部(70)及び主軸(31)の高さ関係について、図4を参照しながら詳細に説明する。フロントヘッド(52)におけるシリンダ(51)の対向面(以下、第1対向面(77)という)から第1拡大凹部(74)の基端(例えば図4におけるa点)までの距離(高さ)をL1とし、第1対向面(77)から下部主軸部(34)の下端(即ち、下部主軸部(34)における給油用主軸部(35)側の端部、例えば図4におけるb点)までの距離(高さ)をL2とし、第1対向面(77)から第1拡大凹部(74)の突端(例えば図4におけるc点)までの距離(高さ)をL3とする。この場合、図4に示すように、フロントヘッド(52)では、高さL1が高さL2より大きく、且つ高さL2が高さL3より大きい。つまり、フロントヘッド(52)では、下部主軸部(34)の下端の外縁部に形成されるエッジ部(例えば図4におけるb点)が、第1拡大凹部(74)の基端部(a点)と突端部(c点)の間の高さ位置にある。
〔リアヘッドの弾性軸受部〕
本実施形態のリアヘッド(53)には、環状(円筒状)の第2弾性軸受部(80)が設けられている。第2弾性軸受部(80)は、下部副軸部(38)の上部及び給油用副軸部(40)の下端部の周囲に配置されている。具体的に、リアヘッド(53)の上面中央部には、上側が開放された円柱状の第2凹部(81)が形成されている。第2弾性軸受部(80)は、第2凹部(81)の底面(下端面)からシリンダ(51)側(即ち、上部副軸部(39)側から給油用副軸部(40)側)に向かって突出している。第2弾性軸受部(80)の外周面と第2凹部(81)の内周面との間には、第2弾性溝(82)が形成されている。第2弾性溝(82)は、その軸心が駆動軸(30)の軸心と概ね一致する環状の溝である。
第2弾性軸受部(80)は、その内周面に副軸受(43)の一部が構成される第2環状薄肉部(83)と、該第2環状薄肉部(83)から上方に突出する第2拡大凹部(84)とを有している。つまり、第2拡大凹部(84)は、第2弾性軸受部(80)の突端部に構成されている。
第2拡大凹部(84)は、上方(即ち、シリンダ(51)側)に向かって、第2弾性軸受部(80)の内径を拡大させる。より詳細には、第2拡大凹部(84)には、上方に向かうにつれて第2弾性軸受部(80)の内径を徐々に拡大させるように斜めに傾斜した環状の第2傾斜面(85)が形成される。また、第2拡大凹部(84)の突端(上端)には、水平な環状の第2平坦面(86)が形成される。
次いで、第2弾性軸受部(80)及び副軸(37)の高さ関係について、図4を参照しながら詳細に説明する。図4に示すように、リアヘッド(53)におけるシリンダ(51)の対向面(以下、第2対向面(87)という)から第2拡大凹部(84)の基端(例えば図4におけるd点)までの距離(高さ)をL4とし、第2対向面(87)から上部副軸部(39)の上端(即ち、上部副軸部(39)における給油用副軸部(40)側の端部、例えば図4におけるe点)までの距離(高さ)をL5とし、第2対向面(87)から第2拡大凹部(84)の突端(例えば図4におけるf点)までの距離(高さ)をL6とする。この場合、図4に示すように、リアヘッド(53)では、高さL4が高さL5より大きく、且つ高さL5が高さL6より大きい。つまり、リアヘッド(53)では、上部副軸部(39)の上端の外縁部に形成されるエッジ部(例えば図4における点e)が、第2拡大凹部(84)の基端部(点d)と突端部(点f)の間の高さ位置にある。
−圧縮機の運転動作−
圧縮機(10)の基本的な運転動作について図1〜図3を参照しながら説明する。ターミナル(17)から電動機(20)へ電力が供給されると、電動機(20)が作動し、駆動軸(30)が回転駆動される。すると、駆動軸(30)のクランク軸(36)が偏心回転し、これに伴いピストン(60)も偏心回転する。
圧縮機構(50)では、ピストン(60)の外周面が、シリンダ室(55)の内周面と油膜を介して線接触し、シール部を形成する。ピストン(60)がシリンダ室(55)の内部で偏心回転すると、ピストン(60)とシリンダ(51)との間のシール部が、シリンダ室(55)の内周面に沿って変位し、低圧室(55a)と高圧室(55b)の容積が変化する。この際、ブレード(62)は、ピストン(60)の偏心回転に伴いブレード溝(64)の内部を進退し、且つブッシュ溝(63)の軸心を中心として揺動する。
ピストン(60)の偏心回転に伴い低圧室(55a)の容積が徐々に大きくなると、吸入管(15)を流れる流体(冷媒)が吸入ポート(56)から低圧室(55a)へ吸入されていく。次いで、この低圧室(55a)が吸入ポート(56)から遮断されると、遮断された空間が高圧室(55b)を構成する。次いで、この高圧室(55b)の容積が徐々に小さくなると、高圧室(55b)の内圧が上昇していく。高圧室(55b)の内圧が所定の圧力を超えると、吐出ポート(57)のリード弁が開放され、高圧室(55b)の冷媒が吐出ポート(57)を通じて、圧縮機構(50)の外部へ流出する。この高圧冷媒は、ケーシング(11)の内部空間を上方へ流れ、電動機(20)のコアカット(図示省略)等を通過する。電動機(20)の上方に流出した高圧冷媒は、吐出管(16)より冷媒回路へ送られる。
−弾性軸受部の作用−
本実施形態の圧縮機(10)は、回転駆動される駆動軸(30)が、下部主軸受(42)や副軸受(43)に対して撓んでしまう虞がある。各弾性軸受部(70,80)は、このように駆動軸(30)が撓んだ場合において、駆動軸(30)に沿うように弾性変形する。この結果、駆動軸(30)が各軸受(42,43)に対して片当たりしてしまうことを防止できる。
一方、本実施形態の圧縮機(10)は、比較的高速回転での運転が可能に構成されており、これに伴い駆動軸が大きく撓み、ひいては各弾性軸受部(70,80)が過剰に変形してしまう虞がある。この場合には、各弾性軸受部(70,80)の変形に伴いクランク軸(36)、ひいてはピストン(60)の軸心C2がずれてしまい、ピストン(60)がシリンダ(51)の内周面に過剰に接触してしまう虞がある。
また、駆動軸(30)が大きく撓んだ場合、下部主軸部(34)と給油用主軸部(35)の間の段差(即ち、下部主軸部(34)の角部(図4のb点に相当))や、上部副軸部(39)と給油用副軸部(40)の間の段差(即ち、上部副軸部(39)の角部(図4のd点に相当))が、弾性軸受部(70,80)の内周面に接触してしまう虞がある。この場合には、各弾性軸受部(70,80)の内周面で異常摩耗が生じたり、焼き付きが生じたりして、各軸受(42,43)の信頼性の低下を招いてしまう。
そこで、本実施形態の圧縮機(10)は、各弾性軸受部(70,80)の突端部に拡大凹部(74,84)を設けている。この拡大凹部(74,84)の作用効果について図4〜図6を参照しながら説明する。
図4及び図5に示すように、第1弾性軸受部(70)では、第1環状薄肉部(73)の先端(下端)に環状の第1拡大凹部(74)を設けている。このため、第1弾性軸受部(70)では、その外周側に環状の延出部が形成されることになる。この結果、第1弾性軸受部(70)は、第1拡大凹部(74)によって補強され、その剛性が増大する。従って、駆動軸(30)が高速回転したとしても、第1弾性軸受部(70)が過剰に撓んでしまうことを防止できる。
同様に、第2弾性軸受部(80)では、第2環状薄肉部(83)の先端(上端)に環状の第2拡大凹部(84)を設けている。このため、第2弾性軸受部(80)では、その外周側に環状の延出部が形成されることになる。この結果、第2弾性軸受部(80)は、第2拡大凹部(84)によって補強され、その剛性が増大する。従って、駆動軸(30)が高速回転したとしても、第2弾性軸受部(80)が過剰に撓んでしまうことを防止できる。
また、各拡大凹部(74,84)は、各弾性軸受部(70,80)の内径をシリンダ(51)側に向かって拡大させている。具体的に、第1拡大凹部(74)は、その基端(図4のa点)から突端(図4のc点)に亘って環状の傾斜面(75)を形成し、第1弾性軸受部(70)の内径を徐々に拡大させている。これに対し、下部主軸部(34)の角部(図4のb点)は、a点とc点の間の高さ位置にある。つまり、下部主軸部(34)の角部は、第1拡大凹部(74)の傾斜面(75)に対応する位置にある。このため、例えば図6に示すように、高速回転する駆動軸(30)が斜めに撓んだとしても、下部主軸部(34)の角部が、第1弾性軸受部(70)の内周面に接触してしまうことを回避できる。
同様に、第2拡大凹部(84)は、その基端(図4のd点)から突端(図4のf点)に亘って環状の傾斜面(85)を形成し、第2弾性軸受部(80)の内径を徐々に拡大させている。これに対し、上部副軸部(39)の角部(図4のe点)は、d点とf点の間の高さ位置にある。つまり、上部副軸部(39)の角部は、第2拡大凹部(84)の傾斜面(85)に対応する位置にある。このため、図6に示す第1弾性軸受部(70)の例と同様にして、高速回転する駆動軸(30)が斜めに撓んだとしても、上部副軸部(39)の角部が、第2弾性軸受部(80)の内周面に接触してしまうことを回避できる。
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、各弾性軸受部(70,80)の突端部に環状の各拡大凹部(74,84)を形成したため、各拡大凹部(74,84)によって各弾性軸受部(70,80)の剛性を向上できる。この結果、例えば駆動軸(30)を高速回転させたとしても、駆動軸(30)が過剰に撓んでしまうことを防止でき、ピストン(60)がシリンダ(51)に対して過剰に接触してしまうことを防止できる。
また、本実施形態では、各弾性軸受部(70,80)の肉厚を大きくせずとも、各弾性軸受部(70,80)の剛性を増大できる。仮に、各弾性軸受部(70,80)の肉厚を大きくすると、各弾性軸受部(70,80)の周囲の各弾性溝(72,82)の溝幅を小さくする必要があるため、弾性溝(72,82)の加工が困難となる。これに対し、本実施形態では、各弾性軸受部(70,80)の突端部に各拡大凹部(74,84)を形成するだけでよいため、比較的容易な加工により、各弾性軸受部(70,80)の剛性を増大できる。
また、本実施形態によれば、図4に示すように、フロントヘッド(52)が、距離L1>L2>L3の関係を満たすように構成されている。これにより、下部主軸部(34)の角部が、第1拡大凹部(74)の内部に位置することになり、この角部が第1弾性軸受部(70)に接触することを確実に防止できる。この結果、第1弾性軸受部(70)の異常摩耗や焼き付きを確実に防止できる。また、第1弾性軸受部(70)の外周部の高さを十分に確保でき、第1弾性軸受部(70)の剛性を更に増大できる。
同様に、本実施形態によれば、図4に示すように、リアヘッド(53)が、距離L4>距離L5>距離L6の関係を満たすように構成されている。これにより、上部副軸部(39)の角部が、第2弾性軸受部(80)に接触することを防止できる。この結果、第2弾性軸受部(80)の異常摩耗や焼き付きを確実に防止できる。また、第2弾性軸受部(80)の外周部の高さを十分に確保でき、第2弾性軸受部(80)の剛性を更に増大できる。
上記実施形態によれば、駆動軸(30)の硬度が下部主軸受(42)や副軸受(43)の硬度よりも大きい。このため、駆動軸(30)の剛性を増大させることができ、高速回転する駆動軸(30)が撓んでしまうことを回避できる。
一方、このように駆動軸(30)の硬度が大きくなると、下部主軸部(34)の角部が下部主軸受(34)に線接触することで、下部主軸受(34)にV溝状の摩耗が生じ、下部主軸受(42)の信頼性が損なわれてしまう。同様に、上部副軸部(39)の角部が副軸受(43)に線接触することで、副軸受(43)にV溝状の摩耗が生じ、副軸受(43)の信頼性が損なわれてしまう。
これに対し、本実施形態では、上述したように下部主軸部(34)の角部が第1拡大凹部(74)の内部に位置するため、下部主軸受(42)の摩耗を防止できる。また、上部副軸部(39)の角部が第2拡大凹部(84)の内部に位置するため、副軸受(43)の摩耗も防止できる。従って、本実施形態では、駆動軸(30)の剛性を向上させつつ、下部主軸受(42)や副軸受(43)の信頼性を確保できる。
《実施形態の変形例》
上記実施形態に係る弾性軸受部(70,80)の変形例について説明する。
〈変形例1〉
図7に示す変形例1は、上述した実施形態と拡大凹部(74)の構成が異なるものである。具体的に、変形例1の拡大凹部(74)は、環状薄肉部(73)の先端外周部から突出する環状(円筒状)に形成されている。これにより、弾性軸受部(70)は、その内径が拡大凹部(74)によって拡大されている。拡大凹部(74)の突端(下端)には、環状の平坦面(76)が形成される。この変形例1においても、弾性軸受部(70)に環状の拡大凹部(74)を形成することで、弾性軸受部(80)の剛性が増大する。
また、上述した実施形態と同様、フロントヘッド(52)がL1>L2>L3の関係を満たすことで、下部主軸部(34)の角部が弾性軸受部(70)の内周に接触してしまうことを回避できるとともに、弾性軸受部(70)の剛性を更に増大できる。なお、図7の例では、フロントヘッド(52)側の弾性軸受部(70)に円筒状の拡大凹部(74)を設けているが、拡大凹部(84)をリアヘッド(53)側に設けてもよい。
〈変形例2〉
図8に示す変形例2は、上述した実施形態と拡大凹部(74)の構成が異なるものである。具体的に、変形例2の拡大凹部(74)の内周には、内周面(75a)が形成されている。内周面(75a)は、縦断面が円弧状に凹んだ形状をしており、弾性軸受部(70)の内径をシリンダ(51)側に向かって拡大させている。拡大凹部(74)の突端(下端)には、環状の平坦面(76)が形成される。この変形例2においても、弾性軸受部(70)に環状の拡大凹部(74)を形成することで、弾性軸受部(70)の剛性が増大する。
また、上述した実施形態と同様、フロントヘッド(52)がL1>L2>L3の関係を満たすことで、下部主軸部(34)の角部が弾性軸受部(70)の内周に接触してしまうことを回避できるとともに、弾性軸受部(70)の剛性を更に増大できる。なお、図8の例では、フロントヘッド(52)側の弾性軸受部(70)の拡大凹部(74)に内周面(75a)を設けているが、この内周面(75a)をリアヘッド(53)側の弾性軸受部(80)に設けてもよい。
〈変形例3〉
図9に示す変形例3は、上述した実施形態と拡大凹部(74)の構成が異なるものである。具体的に、変形例3の拡大凹部(74)の内周には、下方に向かってラッパ状に拡がる内周面(75b)が形成されている。内周面(75b)は、縦断面が円弧状に膨出した形状をしており、弾性軸受部(70)の内径をシリンダ(51)側に向かって拡大させている。拡大凹部(74)の突端(下端)には、環状の平坦面(74)が形成される。この変形例3においても、弾性軸受部(70)に環状の拡大凹部(74)を形成することで、弾性軸受部(70)の剛性が増大する。
また、上述した実施形態と同様、フロントヘッド(52)がL1>L2>L3の関係を満たすことで、下部主軸部(34)の角部が弾性軸受部(70,80)の内周に接触してしまうことを回避できるとともに、弾性軸受部(70,80)の剛性を更に増大できる。なお、図9の例では、フロントヘッド(52)側の弾性軸受部(70)の拡大凹部(74)に内周面(75b)を設けているが、この内周面(75b)をリアヘッド(53)側の弾性軸受部(80)に設けてもよい。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上述した実施形態に係る回転式圧縮機(10)は、ピストン(60)にブレード(62)が連結され、ブレード(62)がブレード溝(64)の間で揺動及び進退しながらピストン(60)が偏心回転運動を行う、いわゆる揺動ピストン型(スイング型)に構成されている。しかし、回転式圧縮機(10)は、例えば棒状ないし板状のベーンの先端部がピストン(60)の外周面に摺接し、ピストン(60)がクランク軸(36)の外側で自転しながら偏心回転運動を行う、ロータリベーン型に構成されていてもよい。
また、上記実施形態に係る回転式圧縮機(10)は、ピストン(60)の外周面及びシリンダ室(55)の内周面が真円形状に形成された真円形型に構成されている。しかし、回転式圧縮機(10)は、ピストン(60)の外周面及びシリンダ室(55)の内周面が非円形状に形成された非円形型に構成されていてもよい。例えば非円形型の回転式圧縮機(10)のピストン(60)の外周面の形状は、略半分の部位が半円形で残りの部位が径方向外方に膨出した形状や、楕円形状等が挙げられる。これに対し、シリンダ室(55)の内周面は、回転運動中のピストン(60)の外周面の包絡線に基づいて形成されている。