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JP6344273B2 - 車両 - Google Patents
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JP6344273B2 - 車両 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンと変速部と電気式の差動部とを備える車両に関する。
特開2008−120234号公報(特許文献1)には、エンジンと第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを備えるハイブリッド車両が開示されている。このハイブリッド車両は、さらに、エンジンに接続された油圧式の変速部と、変速部の出力軸に接続された電気式の差動部とを備える。エンジンの回転は、変速部および差動部によってそれぞれ変速された後に駆動輪に伝達される。
特開2008−120234号公報
一般的に、油圧式の変速部を備える車両には、エンジンの回転によって駆動する機械式オイルポンプが備えられる。変速部は、機械式オイルポンプの出力油圧によって作動する。したがって、特許文献1に開示されたハイブリッド車両において、低車速および低負荷になるなどの要因でエンジンの回転速度が低下すると、機械式オイルポンプの出力油圧も低下し、必要な油圧を確保することができなくなることが懸念される。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、エンジンと変速部と差動部と機械式オイルポンプとを備える車両において、エンジン回転速度が低い場合においても機械式オイルポンプの出力油圧の低下を抑制することである。
この発明に係る車両は、エンジンと、エンジンに接続された入力要素と、出力要素とを有し、入力要素の回転速度と出力要素の回転速度との比である変速比を変更可能な油圧式の変速部と、変速部の出力要素に接続された第1回転要素と、モータジェネレータに接続された第2回転要素と、駆動輪に接続された第3回転要素とを有する電気式の差動部と、変速部の出力要素に接続された機械式オイルポンプと、エンジンの回転速度が予め定められたしきい値未満である場合、変速部の変速比をアップシフト側に変更する制御装置とを備える。
このような構成によれば、エンジンの回転速度が予め定められたしきい値未満である場合、変速部の変速比がアップシフト側に変更される。そのため、変速部の変速比を変更しない場合に比べて、機械式オイルポンプが接続された変速部の出力要素の回転速度を増加させることができる。その結果、エンジンと変速部と差動部と機械式オイルポンプとを備える車両において、エンジン回転速度が低い場合においても機械式オイルポンプの出力油圧の低下を抑制することができる。
車両の全体構成を示す図である。 制御装置の構成を示したブロック図である。 クラッチC1およびブレーキB1の作動係合表を示す図である。 HV走行モード中にローギヤ段Loで前進走行している場合の共線図である。 HV走行モード中にハイギヤ段Hiで前進走行している場合の共線図である。 HV走行モード中における車速と変速装置のギヤ段との変化の一例を示す図である。 HV走行モード中に制御装置が行なう処理の流れを示すフローチャートである。 Lo走行領域においてエンジン回転速度Neの低下に応じてLo走行からHi走行に切り替える場合のライン圧等の変化の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[ハイブリッド車両の全体構成]
図1は、本実施の形態による駆動装置を備える車両1の全体構成を示す図である。車両1は、エンジン10と、第1モータジェネレータ(以下「第1MG」という)20と、第2モータジェネレータ(以下「第2MG」という)30と、第1MG20および第2MG30をそれぞれ駆動するためのインバータ25,35と、変速装置40と、差動装置50と、カウンタ軸70と、デファレンシャルギヤ80と、駆動輪90と、制御装置100とを含む。
車両1は、エンジン10、第1MG20および第2MG30の少なくともいずれかの動力を用いて走行する、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式のハイブリッド車両である。なお、車両1の駆動方式は、FF方式に限定されず、FR(フロントエンジン・リアドライブ)方式であってもよい。
エンジン10は、たとえば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン10は、制御装置100からの制御信号により制御される。
第1MG20および第2MG30は、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型の三相(U相、V相、W相)交流回転電機である。第1MG20の回転軸21は、エンジン10のクランク軸と同軸上に配置されている。第2MG30の回転軸31は、第1MG20の回転軸21と平行に配置される。カウンタ軸70は、第1MG20の回転軸21および第2MG30の回転軸31と平行に配置される。
第1MG20および第2MG30は、インバータ25,35によってそれぞれ駆動される。インバータ25は制御装置100からの制御信号によって制御され、図示しない車載バッテリからの直流電力を三相交流電力に変換して第1MG20に供給する。同様に、インバータ35は制御装置100からの制御信号によって制御され、図示しない車載の駆動用バッテリからの直流電力を三相交流電力に変換して第2MG30に供給する。なお、第2MG30は、第1MG20によって発電された電力によっても駆動される。
変速装置40は、エンジン10と差動装置50との間に設けられ、エンジン10の回転を変速して差動装置50に出力する。変速装置40は、サンギヤS1とピニオンギヤP1とリングギヤR1とキャリアCA1とを含むシングルピニオン式の遊星歯車機構と、クラッチC1およびブレーキB1とを備える。
キャリアCA1は、エンジン10の回転が入力される入力要素である。リングギヤR1は、エンジン10の変速後の回転を差動装置50に出力する出力要素である。ピニオンギヤP1は、サンギヤS1とリングギヤR1との間に配置され、サンギヤS1およびリングギヤR1とそれぞれ噛み合う。ピニオンギヤP1は、キャリアCA1によって自転および公転可能に支持される。
サンギヤS1の回転速度、キャリアCA1の回転速度(すなわちエンジン10の回転速度)、リングギヤR1の回転速度は、後述するように、共線図上で直線で結ばれる関係(すなわち、いずれか2つの回転速度が決まれば残りの回転速度も決まる関係)になる。
クラッチC1は、サンギヤS1とキャリアCA1とを連結可能な油圧式の摩擦係合要素である。クラッチC1が係合されると、サンギヤS1とキャリアCA1が連結される。クラッチC1が解放されると、サンギヤS1とキャリアCA1とが切り離される。
ブレーキB1は、サンギヤS1の回転を規制(ロック)可能な油圧式の摩擦係合要素である。ブレーキB1が係合されると、サンギヤS1がギヤケース(車体)に固定されるため、サンギヤS1の回転が規制される。ブレーキB1が解放されると、サンギヤS1がギヤケース(車体)から切り離されるため、サンギヤS1の回転が許容される。
変速装置40の変速比(入力要素であるキャリアCA1の回転速度と出力要素であるリングギヤR1の回転速度との比、具体的にはキャリアCA1の回転速度/リングギヤR1の回転速度)は、クラッチC1およびブレーキB1の係合および解放の組合せに応じて切り替えられる。クラッチC1を係合しかつブレーキB1を解放すると、変速比が1.0(直結状態)となるローギヤ段Loが形成される。クラッチC1を解放しかつブレーキB1を係合すると、変速比が1.0よりも小さい値(たとえば0.7、いわゆるオーバードライブ状態)となるハイギヤ段Hiが形成される。なお、クラッチC1を係合しかつブレーキB1を係合すると、サンギヤS1およびキャリアCA1の回転が規制されるため、リングギヤR1の回転も規制される。
差動装置50は、サンギヤS2とピニオンギヤP2とリングギヤR2とキャリアCA2とを含むシングルピニオン式の遊星歯車装置である。差動装置50のキャリアCA2は、変速装置40の出力要素であるリングギヤR1に連結され、リングギヤR1と一体的に回転する。
ピニオンギヤP2は、サンギヤS2とリングギヤR2との間に配置され、サンギヤS2およびリングギヤR2とそれぞれ噛み合う。ピニオンギヤP2は、キャリアCA2によって自転および公転可能に支持される。
サンギヤS2は、第1MG20の回転軸21に連結される。リングギヤR2には、カウンタドライブギヤ51が接続されている。カウンタドライブギヤ51は、リングギヤR2と一体回転する、差動装置50の出力ギヤである。
サンギヤS2の回転速度(すなわち第1MG20の回転速度)、キャリアCA2の回転速度、リングギヤR2の回転速度は、後述するように、共線図上で直線で結ばれる関係(すなわち、いずれか2つの回転速度が決まれば残りの回転速度も決まる関係)になる。したがって、第1MG20の回転速度を調整することによって、キャリアCA2の回転速度とリングギヤR2との比を無段階に切り替えることができる。
カウンタ軸70には、ドリブンギヤ71およびドライブギヤ72が設けられる。ドリブンギヤ71は、差動装置50のカウンタドライブギヤ51と噛み合う。エンジン10および第1MG20の動力は、差動装置50のカウンタドライブギヤ51を介してカウンタ軸70に伝達される。
なお、変速装置40と差動装置50とは、エンジン10からカウンタ軸70までの動力伝達経路上において直列に接続されている。そのため、エンジン10の回転は、変速装置40と差動装置50とにおいて変速された後に、カウンタ軸70に伝達される。
また、ドリブンギヤ71は、第2MG30の回転軸31に接続されたリダクションギヤ32とも噛み合う。つまり、第2MG30の動力は、リダクションギヤ32を介してカウンタ軸70に伝達される。
ドライブギヤ72は、デファレンシャルギヤ80のデフリングギヤ81と噛み合っている。デファレンシャルギヤ80は、左右の駆動軸82を介してそれぞれ左右の駆動輪90と接続されている。つまり、カウンタ軸70の回転は、デファレンシャルギヤ80を介して左右の駆動軸82に伝達される。
車両1は、変速装置40を作動させるための油圧を生成する構成として、電動式オイルポンプ(以下「EOP」ともいう)61、機械式オイルポンプ(以下「MOP」ともいう)62、油圧回路63を備える。EOP61は、内部に設けられるモータによって駆動されて油圧を発生し、油圧回路63に供給する。EOP61は、制御装置100からの制御信号によって制御される。
MOP62は、変速装置40のリングギヤR1に接続され、リングギヤR1から伝達される動力によって作動されて油圧を発生する。したがって、リングギヤR1が回転されるとMOP62も作動され、リングギヤR1の回転速度が高いほどMOP62の出力油圧(以下「MOP圧」ともいう)は増加する。言い換えれば、リングギヤR1の回転速度が低いほどMOP圧は低下し、リングギヤR1が停止されるとMOP62も停止される。
油圧回路63は、EOP61およびMOP62の少なくとも一方から供給される油圧を一定の油圧(ライン圧)に調圧し、ライン圧を元圧として、変速装置40のクラッチC1に供給する油圧(以下「C1油圧」ともいう)およびブレーキB1に供給する油圧(以下「B1油圧」ともいう)をそれぞれ調圧するソレノイドバルブを含む。油圧回路63におけるクラッチC1、ブレーキB1を駆動する各ソレノイドバルブは、制御装置100からの制御信号によって制御される。
[制御装置の構成]
図2は、図1における制御装置100の構成を示したブロック図である。制御装置100は、HVECU(Electric Control Unit)150と、MGECU160と、エンジンECU170とを含む。HVECU150、MGECU160、エンジンECU170の各々は、コンピュータを含んで構成される電子制御ユニットである。なお、ECUの数は、3つに限定されるものではなく、全体として1つのECUに統合しても良いし、2つ、または4つ以上の数に分割されていても良い。
MGECU160は、第1MG20および第2MG30を制御する。MGECU160は、例えば、第1MG20に対して供給する電流値を調節することで第1MG20の出力トルクを制御し、第2MG30に対して供給する電流値を調節することで第2MG30の出力トルクを制御する。
エンジンECU170は、エンジン10を制御する。エンジンECU170は、例えば、エンジン10の電子スロットル弁の開度の制御、点火信号を出力することによるエンジンの点火制御、エンジン10に対する燃料の噴射制御、等を行なう。エンジンECU170は、電子スロットル弁の開度制御、噴射制御、点火制御等によりエンジン10の出力トルクを制御する。
HVECU150は、車両全体を統合制御する。HVECU150には、車速センサ、アクセル開度センサ、エンジン回転速度センサ、MG1回転速度センサ、MG2回転速度センサ、バッテリセンサ等が接続されている。これらのセンサにより、HVECU150は、車速、アクセル開度、エンジン回転速度Ne、第1MG回転速度、第2MG回転速度、駆動用バッテリのSOC(State Of Charge)等を取得する。
HVECU150は、取得した情報に基づいて、車両に対する要求駆動力や要求駆動トルク等を算出する。HVECU150は、算出した要求値に基づいて、第1MG20の出力トルク(以下、「MG1トルク」とも記載する。)、第2MG30の出力トルク(以下、「MG2トルク」とも記載する。)およびエンジン10の出力トルク(以下、「エンジントルク」とも記載する。)を決定する。HVECU150は、MG1トルクの指令値およびMG2トルクの指令値をMGECU160に対して出力する。また、HVECU150は、エンジントルクの指令値をエンジンECU170に対して出力する。
HVECU150は、後述する走行モード等に応じて変速装置40のクラッチC1およびブレーキB1を制御する。HVECU150は、C1油圧の指令値PbC1およびB1油圧の指令値PbB1をそれぞれ図1の油圧回路63のソレノイドバルブに出力する。
[車両1の走行モード]
制御装置100は、ハイブリッド走行モード(以下「HV走行モード」という)あるいはモータ走行モード(以下「EV走行モード」という)で車両1を走行させる。HV走行モードとは、エンジン10および第2MG30の動力で車両1を走行させる走行モードである。EV走行モードとは、エンジン10を停止し、第1MG20あるいは第2MG30の少なくとも一方の動力で車両1を走行させる走行モードである。
EV走行モードは、さらに、単モータ走行モードと両モータ走行モードとに細分化される。単モータ走行モードとは、第2MG30単独の動力で車両1を走行させる走行モードである。両モータ走行モードとは、第1MG20および第2MG30の両方の動力で車両1を走行させる走行モードである。
図3は、各走行モードにおける変速装置40のクラッチC1およびブレーキB1の作動係合表を示す図である。図2において、「C1」、「B1」、「MG1」、「MG2」はそれぞれクラッチC1、ブレーキB1、第1MG20、第2MG30を示す。C1の欄およびB1の欄の丸(○)印は「係合」を示し、×印は「解放」を示し、三角(△)印はエンジンブレーキ時にクラッチC1およびブレーキB1のどちらか一方を係合することを示す。また、MG1の欄およびMG2の欄の「G」は主にジェネレータとして動作させることを示し、「M」は主にモータとして動作させることを示す。
EV走行モードにおいては、制御装置100は、上述した単モータ走行モードと両モータ走行モードとを選択的に切り替える。
単モータ走行モードで車両1に駆動力(前進あるいは後進させる力)を作用させる場合、制御装置100は、クラッチC1を解放しかつブレーキB1を解放することで、変速装置40をニュートラル状態(動力を伝達しない状態)とする。一方、単モータ走行モードで車両1にエンジンブレーキを作用させる場合、制御装置100は、クラッチC1およびブレーキB1のどちらか一方を係合する。これにより、駆動輪90の回転がエンジン10に伝達されることによってエンジン10が回転させられる、いわゆるエンジンブレーキ状態となる。なお、単モータ走行モードにおいては、制御装置100は、第1MG20を主にジェネレータとして動作させ、第2MG20を主にモータとして動作させる。
両モータ走行モードで車両1を走行(前進あるいは後進)させる場合、制御装置100は、クラッチC1を係合しかつブレーキB1を係合することによって変速装置40のリングギヤR1の回転を規制(ロック)する。これにより、変速装置40のリングギヤR1に連結された差動装置50のキャリアCA2の回転も規制(ロック)される。そして、制御装置100は、第1MG20および第2MG20を主にモータとして動作させる。
HV走行モードにおいては、制御装置100は、第1MG20を主にジェネレータとして動作させ、第2MG20を主にモータとして動作させる。また、HV走行モードにおいては、制御装置100は、車速に応じて変速装置40の変速比を切り替える。
図4は、HV走行モード中にローギヤ段Loで前進走行している場合の共線図である。図5は、HV走行モード中にハイギヤ段Hiで前進走行している場合の共線図である。図4、5に示す「S1」、「CA1」、「R1」はそれぞれ変速装置40のサンギヤS1、キャリアCA1、リングギヤR1を示し、「S2」、「CA2」、「R2」はそれぞれ差動装置50のサンギヤS2、キャリアCA2、リングギヤR2を示す。
図4を参照して、HV走行モード中にローギヤ段Loで前進走行している場合の制御状態について説明する。ローギヤ段Lo形成時には、クラッチC1が係合され、ブレーキB1が解放されるため、変速装置40の回転要素S1,CA1,R1は一体となって回転する。すなわち、変速装置40の入力要素であるキャリアCA1と出力要素であるリングギヤR1とが直結状態となる。これにより、変速装置40のリングギヤR1も、キャリアCA1と同じ回転速度で回転し、エンジン10の回転は、同じ回転速度でリングギヤR1から差動装置50のキャリアCA2に伝達される。すなわち、変速装置40のキャリアCA1に入力されたエンジン10のトルク(以下「エンジントルクTe」という)は、変速装置40のリングギヤR1から差動装置50のキャリアCA2に伝達される。なお、リングギヤR1から出力されるトルク(以下「変速部出力トルクTr1」という)は、ローギヤ段Lo形成時においてはエンジントルクTeと同じ大きさ(Te=Tr1)である。
差動装置50のキャリアCA2に伝達されたエンジン10の回転は、サンギヤS2の回転速度(第1MG20の回転速度)によって無段階に変速されて差動装置50のリングギヤR2に伝達される。この際、制御装置100は、第1MG20のトルク(以下「第1MGトルクTm1」という)を負方向に作用させる。これにより、第1MGトルクTm1は、キャリアCA2に入力されたエンジントルクTeをリングギヤR2に伝達するための反力トルクとして作用する。
リングギヤR2に伝達されたエンジントルクTe(以下「エンジン伝達トルクTec」という)は、カウンタドライブギヤ51からカウンタ軸70に伝達され、車両1の駆動力として作用する。
また、第2MG30のトルク(以下「第2MGトルクTm2」という)は、リダクションギヤ32からカウンタ軸70に伝達され、車両1の駆動力として作用する。したがって、HV走行モードでは、エンジン伝達トルクTecと第2MGトルクTm2とを用いて、車両1は走行する。
次に、図5を参照して、HV走行モード中にハイギヤ段Hiで前進走行している場合の制御状態について説明する。ハイギヤ段Hi形成時には、ブレーキB1が係合されるため、サンギヤS1の回転が規制される。これにより、変速装置40のキャリアCA1に入力されたエンジン10の回転が増速されて変速装置40のリングギヤR1から差動装置50のキャリアCA2に伝達されるオーバードライブ状態となる。したがって、変速部出力トルクTr1はエンジントルクTeよりも小さくなる(Te>Tr1となる)。
[HV走行モード中におけるHi走行領域およびLo走行領域]
HV走行モード中において、制御装置100は、車速がしきい車速V1を超える高速域では、クラッチC1を解放しかつブレーキB1を係合することで、ハイギヤ段Hiを形成する(上述の図5参照)。以下、車速がしきい車速V1を超える高速域を「Hi走行領域」ともいう。
HV走行モード中において、制御装置100は、車速がしきい車速V1未満の中低速域では、クラッチC1を係合しかつブレーキB1を解放することで、ローギヤ段Loを形成する(上述の図4参照)。以下、車速がしきい車速V1未満の中低速域を「Lo走行領域」ともいう。
[Lo走行領域におけるハイギヤ段Hiへの切替]
上述のように、MOP62は、変速装置40の出力要素(リングギヤR1)から伝達される動力によって駆動する。そのため、HV走行モード中に低速かつ低負荷となるなどの要因でエンジン回転速度Neが低下すると、エンジン回転速度Neの低下に伴って変速装置40の出力要素の回転速度も低下し、MOP圧が低下する。その結果、ライン圧が下限圧β未満に低下し、変速装置40を正常に作動させることができなくなる可能性がある。
なお、MOP圧の低下分はEOP61を作動させることによって補なうことが可能であるが、EOP61を作動させることによってハイブリッドシステム全体としてエネルギーロスが大きくなるため、EOP61の仕事量を極力減らすことが望ましい。
このような問題に鑑み、本実施の形態による制御装置100は、HV走行モードにおいてローギヤ段Loでの走行(以下、単に「Lo走行」ともいう)中にエンジン回転速度Neがしきい値N1未満に低下した場合、ハイギヤ段Hiでの走行(以下、単に「Hi走行」ともいう)に切り替える。これにより、変速装置40の変速比がアップシフト側に変更される(本実施の形態においては直結状態からオーバードライブ状態に変更される)ため、エンジン回転速度Neが低い値に維持されたとしても、変速装置40の出力要素の回転速度を増加させることができる。その結果、HV走行モード中にエンジン回転速度Neがしきい値N1未満に低下しても、MOP圧の低下を抑制し、EOP61の仕事量を減らすことができる。
なお、しきい値N1は、Lo走行中にライン圧が下限圧βよりも所定値だけ高いしきい圧αとなる時のエンジン回転速度Neである。したがって、エンジン回転速度Neがしきい値N1未満に低下した場合とは、ライン圧がしきい圧α未満に低下した場合を意味する。
図6は、HV走行モード中における車速と変速装置40のギヤ段との変化の一例を示す図である。車速がしきい車速V1を超えるHi走行領域では、ハイギヤ段Hiが選択される。これにより、変速装置40の出力軸の回転速度がエンジン回転速度Neよりも増速されるオーバードライブ状態となる。
車速がしきい車速V1未満となってLo走行領域に入ると、ローギヤ段Loが選択される。これにより、変速装置40の出力軸の回転速度がエンジン回転速度Neに一致する直結状態となる。
さらに、Lo走行領域において、車速が低下し、かつ低負荷となってエンジン回転速度Neがしきい値N1未満になると、Lo走行領域であってもハイギヤ段Hiに切り替えらる。これにより、オーバードライブ状態となり、そのままローギヤ段Loを維持するよりも変速装置40の出力要素の回転速度が増速される。そのため、MOP圧の低下を抑制し、EOP61の仕事量を減らすことができる。
図7は、HV走行モード中に制御装置100が行なう処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、HV走行モード中に所定周期で繰り返し実行される。
ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10にて、制御装置100は、Lo走行中であるか否かを判定する。Lo走行中でない場合(S10にてNO)、制御装置100は処理を終了する。
Lo走行中である場合(S10にてYES)、制御装置100は、S11にて、エンジン回転速度Neがしきい値N1未満であるか否か(すなわちライン圧がしきい圧α未満に低下したか否か)を判定する。
エンジン回転速度Neがしきい値N1未満である場合(S11にてYES)、制御装置100は、S12にて、Hi走行に切り替える。エンジン回転速度Neがしきい値N1以上である場合(S11にてNO)、制御装置100は、S13にて、Lo走行を維持する。
図8は、Lo走行領域においてエンジン回転速度Neの低下に応じてLo走行からHi走行に切り替える場合のライン圧等の変化の一例を示す図である。
時刻t1にて車速の低下に応じてエンジン回転速度Neが低下し始めると、MOP回転速度およびMOP圧も低下し始める。この影響により、時刻t2にてライン圧およびC1油圧も低下し始める。
車速がさらに低下し、時刻t3にてエンジン回転速度Neがしきい値V1(ライン圧がしきい圧αとなる回転速度)まで低下すると、Hi走行への切り替えが開始される。すなわち、C1油圧を低下させてクラッチC1を解放するとともに、B1油圧を増加させてブレーキB1を係合する。これにより、変速装置40の変速比がアップシフト側に変更される(直結状態からオーバードライブ状態に変更される)ため、エンジン回転速度Neがしきい値V1付近の低い値に維持されたとしても、変速装置40の出力要素の回転速度、すなわちMOP回転速度が増加し、MOP圧も増加する。
時刻t4にてB1油圧が所定の係合圧に達してHi走行への切り替えが完了した後においては、エンジン回転速度Neはしきい値V1付近の低い値に維持されているが、MOP圧が高い値に維持される。そのため、EOP61を作動することなくライン圧をしきい圧αよりも大きい値に維持することが可能となる。
以上のように、本実施の形態による制御装置100は、HV走行モードにおいてLo走行中にエンジン回転速度Neがしきい値N1未満に低下した場合、Hi走行に切り替える。これにより、変速装置40の変速比がアップシフト側に変更されるため、エンジン回転速度Neが低い値に維持されたとしても、変速装置40の出力要素の回転速度を増加させることができる。その結果、HV走行モード中にエンジン回転速度Neがしきい値N1未満に低下しても、MOP圧の低下を抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、21,31 回転軸、25,35 インバータ、32 リダクションギヤ、40 変速装置、50 差動装置、51 カウンタドライブギヤ、61 電動式オイルポンプ、62 機械式オイルポンプ、63 油圧回路、70 カウンタ軸、71 ドリブンギヤ、72 ドライブギヤ、80 デファレンシャルギヤ、81 デフリングギヤ、82 駆動軸、90 駆動輪、100 制御装置、B1 ブレーキ、C1 クラッチ、CA1,CA2 キャリア、P1,P2 ピニオンギヤ、R1,R2 リングギヤ、S1,S2 サンギヤ。

Claims (1)

  1. エンジンと、
    前記エンジンに接続された入力要素と、出力要素とを有し、前記入力要素の回転速度と前記出力要素の回転速度との比である変速比を変更可能な油圧式の変速部と、
    前記変速部の出力要素に接続された第1回転要素と、モータジェネレータに接続された第2回転要素と、駆動輪に接続された第3回転要素とを有する電気式の差動部と、
    前記変速部の出力要素に接続されたオイルポンプとを備え
    走行モードとして、前記エンジンを停止して走行するEV走行モードと、前記エンジンを作動させて走行するHV走行モードを有する車両において、
    前記HV走行モードでの走行中に、前記エンジンの回転速度が予め定められたしきい値未満である場合、前記変速部の変速比をアップシフト側に変更する制御装置をさらに備える、車両。
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