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JP6344857B2 - 電解システム - Google Patents
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Description

本発明は、海水などの被処理液を電気分解する電解装置を備えた電解システムに関する。
従来、海水を多量に使用する火力発電所、原子力発電所、海水淡水化プラント、化学プラント等においては、その取水口や配管、復水器、各種冷却器などの海水と接する部分の藻類や貝類の付着繁殖が課題となっている。
この課題を解決するために、天然の海水に電気分解を施すことで次亜塩素酸ソーダ(塩素、次亜塩素酸ナトリウム)を生成し、次亜塩素酸ソーダを含む電解液を取水口中に注入することにより海洋生物の付着を抑制する電解システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。一般的に、このシステムにおいては、海水中のマグネシウムイオンなどのスケール成分に起因して、スケールが生成してしまう。
特許文献1に記載されているシステムは、電解処理に伴い電解装置の電極にスケールが付着することを防止するために、被処理液中に空気を供給する装置が記載されている。このシステムによれば、空気を吹き込むことにより、電極表面での流速の増大と乱流化により、電極の洗浄効果を向上させている。
特許第4932529号公報
しかしながら、電解装置から排出される被処理液を、調整槽(循環槽)に循環させるシステムでは、電気分解を行う電解槽(電極表面)、及び被処理液を一時貯留する調整槽の底部にスケール塊が沈殿するという課題がある。
沈殿したスケールの除去には、酸洗浄工事などの大掛かりな工事が必要であり、電解システムのランニングコストを増大させてしまうという課題があった。
この発明は、調整槽の底部に析出物質(スケール)が沈殿することを防止することができる電解システムを提供することを目的とする。
本発明の第一の態様によれば、電解システムは、電極として陽極及び陰極が収容された電解槽を有し、被処理液を電気分解する電解装置と、海水を供給する海水供給ラインと接続され、且つ、前記電解装置で処理された被処理液を一時貯留する調整槽と、前記調整槽と前記電解槽の流入口とを接続する第一リサイクルラインと、前記調整槽と前記電解槽の流出口とを接続する第二リサイクルラインと、前記調整槽中で析出物質の沈殿を防止する防止手段と、を有し、前記調整槽に貯留され、微粒子及び前記微粒子が析出してなる前記析出物質を含む貯留液の一部を、前記第一リサイクルラインを介して前記電解槽に戻し、前記防止手段は、前記調整槽に貯留された前記貯留液中に、前記第二リサイクルラインを介して前記被処理液を吐出する吐出管を有し、前記吐出管は、前記調整槽に貯留された前記貯留液に旋回流を生じる方向へ吐出させることを特徴とする。
このような構成によれば、防止手段によって、調整槽の底部に析出物質が沈殿することを防止することができる。
また、貯留液が電解槽に戻されることによって、貯留液に含まれる微粒子が、電極面上に生成した析出物質を同伴して脱離する。これにより、電極面への析出物質の蓄積を防止することができる。即ち、電解槽に戻された貯留液に含まれる微粒子が種晶として機能することによって、電極面に析出物質が成長することを抑制することができる。
また、電気分解に伴って被処理液のpHが上昇することにより析出する炭酸カルシウムや、水酸化マグネシウムなどの析出物質を、電極面から離れて液中に浮遊する微粒子(種晶)の表面において析出させることで、陰極面上における析出物質の析出を防止することができる。
このような構成によれば、吐出管によって液が注入されることによって、調整槽中の貯留液が攪拌される。これにより、調整槽の底部に析出物質が沈殿することを防止する効果を上げることができる。
本発明の第二の態様によれば、電解システムは、電極として陽極及び陰極が収容された電解槽を有し、被処理液を電気分解する電解装置と、海水を供給する海水供給ラインと接続され、且つ、前記電解装置で処理された被処理液を一時貯留する調整槽と、前記調整槽と前記電解槽の流入口とを接続する第一リサイクルラインと、前記調整槽と前記電解槽の流出口とを接続する第二リサイクルラインと、前記調整槽中で析出物質の沈殿を防止する防止手段と、を有し、前記調整槽に貯留され、微粒子及び前記微粒子が析出してなる前記析出物質を含む貯留液の一部を、前記第一リサイクルラインを介して前記電解槽に戻し、前記防止手段は、前記調整槽の上下方向に延在して前記調整槽の内部を上昇部と下降部とに区分する壁部材と、前記上昇部の下部に空気を供給する空気供給部と、を有する空気式攪拌装置であることを特徴とする。
このような構成によれば、空気の曝気動力によって貯留液の攪拌・分散効果を得ることができる。これにより、調整槽の底部に析出物質が沈殿することを防止する効果を上げることができる。
上記電解システムにおいて、前記陽極は、酸化イリジウムを含むコーティング材チタン被覆してよい。
このような構成によれば、電気分解の際にマンガンスケールが付着しやすい酸化イリジウムを含むコーティング材をチタンにて被覆してなる陽極であっても、電極面に析出物質が成長することを抑制することができる。
本発明の第三の態様によれば、電解システムは、電極として陽極及び陰極が収容された電解槽を有し、被処理液を電気分解する電解装置と、海水を供給する海水供給ラインと接続され、且つ、前記電解装置で処理された被処理液を一時貯留する調整槽と、前記調整槽と前記電解槽の流入口とを接続する第一リサイクルラインと、前記調整槽と前記電解槽の流出口とを接続する第二リサイクルラインと、前記調整槽中で析出物質の沈殿を防止する防止手段と、前記第一リサイクルラインから一部の電解液を所定の場所へ供給する注入ラインと、前記海水供給ラインの海水の一部を前記注入ラインへ分岐する分岐ラインと、を有し、前記調整槽に貯留され、微粒子及び前記微粒子が析出してなる前記析出物質を含む貯留液の一部を、前記第一リサイクルラインを介して前記電解槽に戻すことを特徴とする。
このような構成によれば、分岐ラインを介して海水を注入することによって、注入ラインの流速を早めることができる。これにより、注入ラインの距離が長く、析出物質が析出しやすい状態になった場合においても、注入ラインの流量低下による析出物質の堆積を防止することができる。
本発明によれば、調整槽の底部に析出物質が沈殿することを防止することができる。
本発明の第一実施形態の電解システムの概要を示す模式図である。 本発明の第一実施形態の電解装置を構成する電解槽の概要を示す縦断面図である。 本発明の第一実施形態の調整槽の上方から見た模式図である。 本発明の第二実施形態の電解システムの概要を示す模式図である。 本発明の第三実施形態の電解システムの概要を示す模式図である。 本発明の第四実施形態の電解システムの概要を示す模式図である。 本発明の第五実施形態の電解システムの調整槽の斜視図である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電解システム1の概要を示す模式図である。本実施形態の電解システム1は、海水Wなどの被処理液を電気分解することで次亜塩素酸ソーダ(塩素、次亜塩素酸ナトリウム)を含む電解液Eを発生させるシステムである。
本実施形態の電解システム1は、次亜塩素酸ソーダを含む電解液Eを注入ライン13を介して、例えば、火力及び原子力発電所、海水淡水化プラント、化学プラント、製鉄プラントなどのプラントの冷却設備の配管、窒素を含有する排水が貯留される窒素処理槽などの所定の場所へ供給する。
電解システム1は、電気分解に必要な海水Wを導入する海水供給ポンプ5と、電解装置2で処理された電解液E(海水W)を一時貯留する調整槽3と、電解装置2と、電解液Eを循環させる環状のリサイクルライン10と、リサイクルライン10を循環する電解液Eを、例えば、プラントの配管に注入する注入ライン13と、を有している。
リサイクルライン10は、第一リサイクルライン11と第二リサイクルライン12とから構成されている。
調整槽3は、システムを循環する電解液Eと、海水供給ポンプ5から供給される海水Wとを貯留する、有底円筒形状の槽である。調整槽3は、調整槽3の気相に対して空気を供給するファン(図示せず)を有している。調整槽3の形状は、有底円筒形状に限ることはなく、直方体形状としてもよい。
電解装置2は、リサイクルライン10の途中で海水Wを電気分解する装置であり、電解槽6と、直流電源装置7(整流器)と、を有している。電解装置2は、海水Wを電気分解することによって、次亜塩素酸ソーダを生成する装置である。
図2に示すように、電解槽6は、電極支持箱26、端子板28及び複数の電極30から構成されている。電解槽6は、電極30として陽極A及び陰極Kを収容している。電解槽6は、電解槽6の内部に電解液Eを導入する流入口15と、電解槽6の内部から電解液Eを排出する流出口16と、を有している。
端子板28は、電極支持箱26内に支持される電極30に対して、電解槽6外部からの電流を供給する役割を有しており、電極支持箱26の両端に一対が配置されている。
電極30は、板状をなしており、電極支持箱26の支持バー26aに複数が配列状態で固定支持されている。本実施形態においては、この電極30として、二極電極板31、陽極板32及び陰極板33の三種類が用いられている。
二極電極板31は、電極基板としてのチタン基板を二分し、その一方を陽極A、他方を陰極Kとした構造を有している。即ち、二極電極板31は、その一端側半分の領域が、酸化イリジウムを含有するコーティング材(酸化イリジウム主体コーティング材)が表面に被覆された陽極Aとされており、他端側半分の領域は、上記酸化イリジウム主体コーティング材が表面に被覆されてない陰極Kとされている。
また、陽極板32は、上記チタン基板の表面全体に酸化イリジウム主体コーティング材が被覆された構造をなしており、陽極板32全体が電気分解の際の陽極Aとして機能する。一方、陰極板33としては、コーティングが施されていないチタン基板が採用されており、陰極板33全体が電気分解の際の陰極Kとして機能する。
ここで、電極支持箱26内における三種類の電極30の配列構造について説明する。二極電極板31、陽極板32及び陰極板33はそれぞれ電極支持箱26内の支持バー26aに固定支持されている。
電極30のうち二極電極板31は、図2に示すように、陽極Aを液入口側に向けるとともに陰極Kを液出口側に向けて、その延在方向が海水Wの流通方向に沿うように複数配列されている。また、これら二極電極板31は、上記流通方向に間隔をあけて直列的に配列されることで電極群Mを構成している。そして、このような電極群Mは、互いに平行をなすように間隔をあけて複数が設けられており、即ち、互いに並列的に複数が設けられている。
直流電源装置7は、海水Wの電気分解に供される電流を供給する装置であって、例えば、直流電源と定電流制御回路とを備える構成を採用することができる。直流電源は、直流電力を出力する電源であって、例えば交流電源から出力される交流電力を直流に整流して出力する構成であってもよい。
海水供給ポンプ5と調整槽3とは、海水供給ライン4によって接続されている。海水供給ライン4には、電気分解の妨げとなる異物の混入を防ぐためのストレーナーを設けてもよい。
調整槽3と、電解槽6の流入口15とは、第一リサイクルライン11で接続されている。即ち、調整槽3内の電解液E(貯留液R)の一部は、第一リサイクルライン11を介して電解槽6に導入される。第一リサイクルライン11上には、注入ポンプ17が設けられている。注入ポンプ17は、循環する電解液Eを調整槽3に供給するとともに、電解液Eを注入ライン13に移送するポンプである。
第二リサイクルライン12は、電解槽6の流出口16と調整槽3とを接続するラインである。即ち、電解装置2にて生成された電解液Eは、第二リサイクルライン12を介して調整槽3に導入される。
注入ライン13の下流側端部には、注入ノズル(図示せず)が設けられている。注入ノズルを設けることによって、電解装置2で生成された次亜塩素酸ソーダを、プラントの配管へ効率よく拡散させることができる。
本実施形態の第二リサイクルライン12と調整槽3との接続部には、電解液Eを調整槽3内に吐出する吐出管18が設けられている。換言すれば、リサイクルライン10を循環して調整槽3に供給される電解液Eは、吐出管18を介して調整槽3に貯留された貯留液Rに吐出される。
吐出管18は管状の部材であり、調整槽3内の貯留液Rに旋回流を生じさせるように配置されている。図3に示すように、吐出管18は、上方から見て吐出される電解液Eが調整槽3の外周面3aに沿うように吐出されるように方向付けられている。換言すれば、吐出管18は、吐出管18の延在方向が調整槽3の外周面3aの接線方向に沿うように(タンジェンシャル)配置されている。
次に、本実施形態の電解システム1の作用について説明する。
まず、海水Wが、海水供給ライン4を介して調整槽3に導入される。海水Wは、第一リサイクルライン11、電解槽6、及び第二リサイクルライン12に導入され、循環される。この工程において、海水Wは第一リサイクルライン11を介して電解槽6に戻される。これにより、電解槽6内の電極30(陰極K及び陽極A)が海水Wに浸漬される。
また、第二リサイクルライン12から循環する電解液Eは、吐出管18を介して調整槽3内の貯留液Rに吐出される。
電極30間の海水W内を電流が流通することで海水Wに対して電気分解が施される。
即ち、陽極Aにおいては、下記(1)式に示すように、海水W中の塩化物イオンから電子eが奪われ酸化が起こり、塩素が生成される。
2Cl → Cl + 2e …(1)
一方、陰極Kにおいては、下記(2)式に示すように、海水W中の水に電子が与えられて還元が起こり、水酸化イオンと水素ガスが生成される。
2HO + 2e → 2OH + H …(2)
また、下記(3)式に示すように、陰極Kで生成された水酸化イオンは海水W中のナトリウムイオンと反応して水酸化ナトリウムが生成される。
2Na + 2OH → 2NaOH …(3)
さらに、(4)式に示すように、水酸化ナトリウムと塩素とが反応することにより、次亜塩素酸、塩化ナトリウム及び水が生成される。
Cl + 2NaOH → NaClO + NaCl + HO …(4)
このように、海水Wの電気分解に基づいて、海洋生成物の付着に対して抑制効果を有する次亜塩素酸ナトリウムが生成される。
次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、海水Wの塩化物イオン濃度が30,000〜40,000mg/lまで高められていることから、500〜5,000ppmとされることが好ましい。
ここで、一般に、海水Wや電解槽6に戻される電解液Eには、スケール成分(スケール、スケール塊を析出させる微粒子、スケールを析出させる種晶として機能する微粒子)、例えば、マグネシウムイオン(Mg2+),カルシウムイオン(Ca2+),マンガンイオン(Mn2+),ケイ酸([SiO(OH)4−2X)が含まれている。
また、一般に、酸化イリジウム主体コーティング材を被覆した陽極Aには、電気分解の際に海水W中に含まれるマンガンイオンに起因した析出物質であるマンガンスケールが付着する。このマンガンスケールの付着によって陽極Aの消耗が進行してしまい、さらに、電極30表面の触媒活性が低下するため、塩素発生効率が低下してしまうという不都合が生じる。また、陰極Kは、海水W中に含まれるマグネシウムやカルシウムに起因したスケールが付着し、このスケールによってやはり電極30の消耗が進行してしまう。
本実施形態の電解システム1においては、第二リサイクルライン12から循環する電解液Eが吐出管18によって貯留液Rに旋回流が発生する。これにより、電解液E、及び貯留液Rに含まれるスケールの沈殿が防止されるため、吐出管18はスケールの沈殿を防止する防止手段として機能する。
本実施形態の電解システム1においては、電解液Eに含まれるスケール成分やスケールが、電極30面上に生成したスケールを同伴して脱離する。即ち、流入した電解液Eに含まれるスケール微粒子が種晶として機能して電極30面上のスケールを脱離させる。これにより、電極30表面へのスケールの蓄積が抑制される。
また、電気分解に伴って電解液EのpH(水素イオン指数)が上昇し高アルカリ性となることにより、スケール成分は水酸化カルシウムや、水酸化マグネシウムなどのスケールとして析出する。
本実施形態の電解システム1においては、スケール成分を含む電解液Eが電解槽6に戻されることによって、炭酸カルシウムや、水酸化マグネシウムなどのスケールを電極30から離れて液中に浮遊するスケール成分の表面において析出する。これにより、陰極K面上におけるスケールの析出を防止することができる。
電気分解が施された海水Wは、水素ガスとともに電解液Eとして電解槽6の流出口16から流出し、第二リサイクルライン12を介して調整槽3に貯留される。調整槽3では、電解反応により発生した水素ガスが気相側に溜まるが、水素ガスは、気相に供給された空気により爆発限界以下まで希釈された後排出される。
調整槽3に貯留された電解液Eを含む貯留液Rは注入ポンプ17によって注入ライン13に導入され、次いで、冷却設備の配管などの所定の場所に注入される。即ち、次亜塩素酸ソーダを含んだ電解液Eが、注入ポンプ17ポンプが稼動することによって注入ライン13を介して所定の場所に注入される。
上記実施形態によれば、注入ライン13を介して冷却設備の配管等の所定の場所に次亜塩素酸ソーダを含む電解液Eを注入することによって、効果的に海洋生物の付着を抑制することができる。
また、注入ライン13を介して、プラントから排出される窒素含有排水に含まれる窒素成分を除去することができる。即ち、窒素含有排水が貯留される窒素処理槽に次亜塩素酸ソーダを含む電解液Eを注入することによって、排水に含まれる窒素成分を除去することができる。
また、吐出管18によって、電解液Eが調整槽3に吐出されることによって、調整槽3内の貯留液Rに旋回流が生じる。これにより、調整槽3の底部にスケールが沈殿することを防止することができる。即ち、旋回流によってスケールが貯留液R中に浮遊し続ける。これにより、スケールが調整槽3の底部に溜まりにくくなり、スケール除去工事の負荷が軽減され、メンテナンス性を向上させることができる。
また、貯留液Rが電解槽6に戻されることによって、貯留液Rに含まれるスケール成分が、電極30面上に生成したスケールを同伴して脱離する。これにより、電極30表面へのスケールの蓄積を防止することができる。即ち、電解槽6に戻された貯留液Rに含まれるスケール微粒子が種晶として機能することによって、電極劣化を緩やかにすることができる。
また、電解電圧上昇(電力原単位の悪化)を抑制することができる。
また、電極30同士の短絡によるスパークを防止し、安全性を向上させることができる。
また、電気分解に伴って電解液EのpHが上昇することにより析出する炭酸カルシウムや、水酸化マグネシウムなどのスケールを、電極30表面から離れて液中に浮遊するスケール微粒子(種晶)の表面において析出させることで、陰極面上におけるスケールの析出を防止することができる。
また、電気分解の際にマンガンスケールが付着しやすい酸化イリジウムを含むコーティング材をチタンにて被覆してなる陽極Aであっても、電極30の表面にスケールが成長することを抑制することができる。
また、海水W中に含まれる汚濁物質(NH,COD等)が次亜塩素酸ソーダによって酸化分解されて、汚濁物質が電極30(陽極A)酸化されることで生じる電極劣化を防止することができる。
なお、上記実施形態においては、吐出管18によって電解液Eが吐出される構成としたが、これに限ることはない。例えば、海水供給ポンプ5を介して供給される海水Wを吐出管18によって吐出する構成としてもよい。即ち、調整槽3に貯留された貯留液Rに旋回流を生じさせることができればよい。
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態の電解システム1Bを図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態の電解システム1Bの調整槽3には、第一実施形態の吐出管18の代替として、調整槽3中の貯留液Rを機械的に攪拌する機械式攪拌装置20が設けられている。機械式攪拌装置20は、吐出管18と同様にスケールの沈殿を防止する防止手段である。
機械式攪拌装置20は、出力軸を有するモータ21と、モータ21の出力軸に設けられたスクリュー22とを有している。
機械式攪拌装置20を作動させることによって、強制的に調整槽3に貯留された貯留液Rが攪拌される。換言すれば、調整槽3に貯留される電解液Eに含まれるスケール成分(微粒子)やスケールは機械式攪拌装置20によって形成された流れに乗ることで沈殿することがない。
上記実施形態によれば、機械式攪拌装置20を用いることによって、調整槽3に貯留された貯留液Rが強制的に攪拌される。これにより、調整槽3の底部にスケールが沈殿することを防止することができる。
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態の電解システム1Cを図面に基づいて説明する。
図5に示すように、本実施形態の電解システム1Cの調整槽3には、第一実施形態の吐出管18の代替として、空気式攪拌装置34が設けられている。空気式攪拌装置34は、調整槽3内に位置された壁部材36と、貯留液Rに空気を供給する空気供給部35と、を有している。
壁部材36は、調整槽3の上下方向に延在して調整槽3の内部を区分する板状部材である。壁部材36は、壁部材36の下端と調整槽3の底部との間、及び壁部材36の上端と貯留液Rの液面との間に所定の間隙が生じるような大きさである。
空気供給部35は、壁部材36によって区分される一方の空間の下部に空気を供給する装置である。空気供給部35は、空気を昇圧させて加圧空気とするブロワ(図示せず)と、加圧空気を貯留液Rに供給するノズル37と、を有している。
ノズル37は、貯留液R中であって、壁部材36によって区分される一方の空間の下部に空気を供給する。ノズル37を介して加圧空気が供給されることによって、一方の空間は、空気が底部から上昇する上昇部38となる。加圧空気は、上昇して頂上部から外部へ抜ける。そのため、他方の空間(下降部39)に空気はほとんどなくなる。上昇部38と下降部39の貯留液Rの密度の差によって、調整槽3中の貯留液Rは、上昇部38と下降部39との間を循環する。
上記実施形態によれば、空気の曝気動力によって貯留液Rの攪拌・分散効果を得ることができる。
また、空気を用い、溶存酸素(Dissolved Oxygen,DO)濃度を高めることによって、マンガンイオン、ケイ酸、が二酸化マンガン(MnO)、二酸化ケイ素(SiO)まで酸化される反応を促進し、スケール成分が電極30(陽極A)面上にスケール析出するのを防止することができる。
また、空気による曝気を行い、電解液E(例えばpH8.5)中の溶存二酸化炭素(CO 2+)濃度を高め、カルシウムイオンが炭酸カルシウムとして析出する反応を促進し、スケール成分が電極30(陰極K)面上にスケール析出するのを防止することができる。
(第四実施形態)
以下、本発明の第四実施形態の電解システム1Dを図面に基づいて説明する。
図6に示すように、本実施形態の電解システム1Dの海水供給ライン4と、注入ライン13との間には、海水供給ポンプ5によって供給される海水Wを直接注入ライン13に導入するための分岐ライン41(バックアップライン)が設けられている。即ち、本実施形態の電解システム1は、海水供給ライン4を流れる海水Wを調整槽3に送ることなく、直接注入ライン13に分岐することができる。
分岐ライン41上には、分岐ライン41を流れる海水Wの流量を調整するための海水分岐流量調整弁42が設けられている。
上記実施形態によれば、分岐ライン41を介して海水Wを注入することによって、注入ライン13の流速を早めることができる。これにより、注入ライン13の距離が長く、電解液のpHが変化してスケールが析出しやすい状態になった場合においても、スケールの析出を抑制することができる。即ち、注入ライン13の流量低下によるスケール堆積を防止することができる。
分岐ライン41を介して注入される海水Wの流量は、海水分岐流量調整弁42を操作することによって適宜調整することができる。
(第五実施形態)
以下、本発明の第五実施形態の電解システムを図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態の調整槽3の上方から見た中心部には、鉛直方向に延在する円柱形状の柱状構造物24が配置されている。柱状構造物24は、有底円筒形状の調整槽3の中心軸と略同軸となるように配置されている。吐出管18によって形成される貯留液Rの旋回流の中央近傍に形成されている。
上記実施形態によれば、調整槽3の底部3bの中心部にスケール塊が形成されるのを抑制することができる。
なお、本実施形態の電解システムでは、調整槽3の底部3bの中心部にスケール塊が形成されるのを抑制するために柱状構造物24を設置したがこれに限ることはない。例えば、調整槽3の底部3bの中央部に上方に凸の凸部を形成して、スケール塊の形成を抑制してもよい。
柱状構造物24の形状は、円柱形に限らず、角柱形状としてもよい。また、中実である必要はなく、内部に中空部を有する筒形状でもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
1,1B,1C,1D 電解システム
2 電解装置
3 調整槽
3a 外周面
3b 底部
4 海水供給ライン
5 海水供給ポンプ
6 電解槽
7 直流電源装置
10 リサイクルライン
11 第一リサイクルライン
12 第二リサイクルライン
13 注入ライン
15 流入口
16 流出口
17 注入ポンプ
18 吐出管(防止手段)
20 機械式攪拌装置(防止手段)
22 スクリュー
24 柱状構造物
26 電極支持箱
30 電極
31 二極電極板
32 陽極板
33 陰極板
34 空気式攪拌装置(防止手段)
35 空気供給部
36 壁部材
37 ノズル
38 上昇部
39 下降部
41 分岐ライン
42 海水分岐流量調整弁
A 陽極
E 電解液
K 陰極
M 電極群
R 貯留液
W 海水

Claims (5)

  1. 電極として陽極及び陰極が収容された電解槽を有し、被処理液を電気分解する電解装置と、
    海水を供給する海水供給ラインと接続され、且つ、前記電解装置で処理された被処理液を一時貯留する調整槽と、
    前記調整槽と前記電解槽の流入口とを接続する第一リサイクルラインと、
    前記調整槽と前記電解槽の流出口とを接続する第二リサイクルラインと、
    前記調整槽中で析出物質の沈殿を防止する防止手段と、を有し、
    前記調整槽に貯留され、微粒子及び前記微粒子が析出してなる前記析出物質を含む貯留液の一部を、前記第一リサイクルラインを介して前記電解槽に戻し、
    前記防止手段は、前記調整槽に貯留された前記貯留液中に、前記第二リサイクルラインを介して前記被処理液を吐出する吐出管を有し、
    前記吐出管は、前記調整槽に貯留された前記貯留液に旋回流を生じる方向へ吐出させることを特徴とする電解システム。
  2. 電極として陽極及び陰極が収容された電解槽を有し、被処理液を電気分解する電解装置と、
    海水を供給する海水供給ラインと接続され、且つ、前記電解装置で処理された被処理液を一時貯留する調整槽と、
    前記調整槽と前記電解槽の流入口とを接続する第一リサイクルラインと、
    前記調整槽と前記電解槽の流出口とを接続する第二リサイクルラインと、
    前記調整槽中で析出物質の沈殿を防止する防止手段と、を有し、
    前記調整槽に貯留され、微粒子及び前記微粒子が析出してなる前記析出物質を含む貯留液の一部を、前記第一リサイクルラインを介して前記電解槽に戻し、
    前記防止手段は、前記調整槽の上下方向に延在して前記調整槽の内部を上昇部と下降部とに区分する壁部材と、前記上昇部の下部に空気を供給する空気供給部と、を有する空気式攪拌装置である電解システム。
  3. 前記陽極は、酸化イリジウムを含むコーティング材チタン被覆してなる請求項1又は請求項2に記載の電解システム。
  4. 電極として陽極及び陰極が収容された電解槽を有し、被処理液を電気分解する電解装置と、
    海水を供給する海水供給ラインと接続され、且つ、前記電解装置で処理された被処理液を一時貯留する調整槽と、
    前記調整槽と前記電解槽の流入口とを接続する第一リサイクルラインと、
    前記調整槽と前記電解槽の流出口とを接続する第二リサイクルラインと、
    前記調整槽中で析出物質の沈殿を防止する防止手段と、
    前記第一リサイクルラインから一部の電解液を所定の場所へ供給する注入ラインと、
    前記海水供給ラインの海水の一部を前記注入ラインへ分岐する分岐ラインと、を有し、
    前記調整槽に貯留され、微粒子及び前記微粒子が析出してなる前記析出物質を含む貯留液の一部を、前記第一リサイクルラインを介して前記電解槽に戻すことを特徴とする電解システム。
  5. 前記陽極は、酸化イリジウムを含むコーティング材チタン被覆してなる請求項に記載の電解システム。
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