JP6347157B2 - 液体吐出ヘッド及びその製造方法、並びに画像形成装置 - Google Patents
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Description
一方、前記液体吐出記録方式の画像形成装置は、前記ノズル板の液体吐出面に付着したインクをブレードでワイピングして除去するクリーニング手段を備えている。
しかし、前記特許文献1の前記ノズル板は、油性インク及び溶剤系インクに対しては十分な撥水性が得られず、前記撥水膜は、繰り返しワイピングに対する十分な耐久性を有していない。
そこで、前記撥水膜とノズル基板との密着性を向上させるため、例えば、前記ノズル基板の液体吐出側の面にSiO2膜を設け、前記SiO2膜上にパーフルオロポリエーテル鎖の末端にアルコキシシラン残基を有する化合物が結合した撥水膜を有するノズル板を備えた液体吐出ヘッドが提案されている(特許文献2参照)。この提案によれば、油性インク及び溶剤系インクのいずれに対しても十分な撥水性が得られ、前記ノズル基板と前記撥水膜との密着性も向上する。
前記ノズル基板における前記複数の凹部を有する面上に配された、パーフルオロポリエーテル化合物を含む撥水膜と、
を有するノズル板を少なくとも備えてなり、
前記撥水膜における最大厚みと最小厚みとの差が1.0μm以上であり、
前記ノズル孔が位置する近傍の前記撥水膜の厚みが、前記凹部が位置していない部分の前記撥水膜の厚みよりも厚いものである。
本発明の液体吐出ヘッドは、ノズル板を少なくとも備えてなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
本発明の液体吐出ヘッドは、一方の面に複数の凹部を有し、前記凹部にノズル孔が設けられたノズル基板と、
前記ノズル基板における前記複数の凹部を有する面上に配された、パーフルオロポリエーテル化合物を含む撥水膜と、
を有するノズル板を少なくとも備えてなり、
前記撥水膜における最大厚みと最小厚みとの差が1.0μm以上であり、
前記ノズル孔が位置する近傍の前記撥水膜の厚みが、前記凹部が位置していない部分の前記撥水膜の厚みよりも厚く形成されている。
図2Aは、本発明の前記液体吐出ヘッドに用いられる前記ノズル板2の一例を示す概略平面図であり、図2Bは、図2AのX部の部分拡大図であり、図2Cは、図2Bの前記ノズル板2の概略断面図である。図2Dは、図2Cの前記ノズル板2から前記撥水膜4を除いた前記ノズル基板8の概略断面図である。図2Eは、図2CのY部分の拡大図である。
図2Dに示すように、前記ノズル基板8は、液体吐出側の面13に複数の凹部5を有しており、前記凹部5の底部に前記ノズル孔1が設けられている。前記凹部5の底部は、前記凹部5の最も深い位置を含む部位である。
前記ノズル基板8における複数の前記凹部5を含む液体吐出側の面13上には、パーフルオロポリエーテル化合物を含む前記撥水膜4が形成されている。
図2Dに示すように、前記ノズル基板8における前記凹部5は、前記凹部5の外縁7から前記ノズル孔1が位置する近傍に向かって前記ノズル基板8の厚みが漸次減少する形状であることが好ましい。
図2Eに示すように、前記ノズル基板8における前記ノズル孔1が位置する近傍とは、前記ノズル基板8における撥水膜4(前記ノズル基板8における液体吐出側の面13)側の前記ノズル孔1の開口端100を意味する。
前記ノズル基板8における最大厚みは、前記ノズル基板8における前記凹部5が位置していない部分の前記ノズル基板8の厚みを任意に10箇所(ただし、前記ノズル孔1の開口端100を含む)測定し、これらの厚み測定値のうち最大の値を意味する。
前記ノズル基板8における最大厚みと最小厚みとの差(最大厚み−最小厚み)は、1.0μm以上が好ましく、1.0μm〜4.0μmがより好ましい。前記差が、1.0μm以上であると、前記ノズル板2の液体吐出面3にワイピングを繰り返し行っても、前記ノズル基板8の前記凹部5(前記ノズル孔1の周縁近傍)に形成した前記撥水膜4の減少を抑制でき、ワイピング耐久性が向上するという利点がある。
前記ノズル基板8における最大厚み及び最小厚みは、例えば、前記ノズル基板8をエポキシ樹脂等で包埋して、前記ノズル基板8の前記ノズル孔1の開口中心を通る直径部分で切断したサンプルの切断面を、電子顕微鏡(JEM−2100(日本電子株式会社製))を用いて、倍率5000倍で、デジタル画像として記録する。得られたデジタル画像を、画像処理ソフト(Photoshop(adobe社製))を用いて画像処理を行う。得られた処理画像について、「計測」コマンドにより任意の10箇所(ただし、前記ノズル孔1の開口端100を含む)の前記ノズル基板8の厚みを測定し、これらの測定値の最大値と最小値から、前記ノズル基板8における最大厚み及び最小厚みを求めることができる。
図2Eに示すように、前記ノズル基板8の前記ノズル孔1が位置する近傍とは、前記ノズル基板8における前記撥水膜4側(前記ノズル基板8における液体吐出側の面13)の前記ノズル孔1の開口端100を意味する。
図2Eに示すように、前記ノズル孔1が位置する近傍の前記撥水膜4の厚みは、前記ノズル基板8の前記ノズル孔1の開口端100を通り前記ノズル板2の厚み方向に描いた垂線Hが前記ノズル板2の液体吐出面3における前記ノズル基板8とは反対側の面(水平面と仮想)と交差する点102と、前記ノズル孔1の開口端100との間の距離であり、この距離を任意に前記ノズル孔1の10箇所について測定したときの最大値が前記撥水膜4の最大厚みである。
前記撥水膜4における最小厚みは、前記撥水膜4における前記凹部5が位置していない部分の厚みを任意に10箇所(ただし、前記ノズル孔1の開口端100を含む)測定し、これらの厚み測定値のうち最小の値を意味する。
撥水膜の厚みは、上述した電子顕微鏡による観察方法を用いて電子顕微鏡観察をし、ノズル基板上に塗布された撥水膜とエポキシ樹脂とのコントラストから判断した。図2Cに表すように、ノズル基板は、ノズル孔に向けて厚みが薄くなるよう傾斜しているのに対し、撥水膜は、ノズル孔付近とノズル孔から離れた部分とで、略直線状になっていることから、前記撥水膜4の最大厚みと最小厚みとの差(最大厚み−最小厚み)は、前記ノズル基板8における最大厚みと最小厚みとの差に等しいことが確認された。
前記ノズル基板8の液室接合面6の孔径としては、10μm〜50μmが好ましい。一方、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13の孔径としては、15μm〜30μmが好ましい。なお、前記ノズル孔1の孔形状が円形でない場合には、前記ノズル孔1の孔形状に相当する外接円を描き、前記外接円の直径から前記ノズル孔1の孔径を求めることができる。
前記ノズル板2は、前記ノズル基板8と、前記ノズル基板8上に前記撥水膜4とを有する。
前記ノズル基板8は、一方の面に複数の前記凹部5を有し、前記凹部5に前記ノズル孔1が設けられており、その形状、大きさ、材質、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル基板8は、前記凹部5を有する側の面である前記ノズル孔1から液体が吐出される液体吐出側の面13と、前記液体吐出側の面13とは反対側に位置する液室接合面6とを有する。
前記撥水膜4は、前記ノズル基板8の前記凹部5を有する前記液体吐出側の面13に形成されている。
前記ノズル基板8の大きさとしては、特に制限はなく、前記ノズル板2の大きさに応じて適宜選択することができる。
前記オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS201、SUS202、SUS301、SUS302、SUS303、SUS303Se、SUS304、SUS304L、SUS304N1、SUS304N2、SUS304LN、SUS305、SUS309S、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS316N、SUS316LN、SUS316J1、SUS316J1L、SUS317、SUS317L、SUS317J1、SUS321、SUS347、SUSXM7、SUSXM15J1、SUS329J1などが挙げられる。
前記フェライト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS405、SUS410L、SUS430、SUS430F、SUS434、SUS447J1、SUSXM27などが挙げられる。
前記マルテンサイト系ステンレス鋼としては、例えば、SUS403、SUS410、SUS410J1、SUS416、SUS420J1、SUS420F、SUS431、SUS440A、SUS440B、SUS440C、SUS440Fなどが挙げられる。
前記析出硬化系ステンレス鋼としては、例えば、SUS630、SUS631などが挙げられる。
前記凹部5は、前記ノズル基板8における一方の平坦面である液体吐出側の面13に設けられ、内部に前記ノズル孔1を有していれば、その形状、大きさ、数、配列、間隔などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記凹部5の形状としては、前記ノズル基板8における一方の平坦面である液体吐出側の面13を基準面としたとき、前記基準面である前記平坦面よりも窪んだ形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記凹部5の外縁7から前記ノズル孔1が位置する近傍に向かって前記ノズル基板8の厚みが漸次減少する形状であることが、前記凹部5上に形成する前記撥水膜4の厚みを厚く形成でき、ワイピング耐久性が向上する点から好ましい。
前記凹部5の数、配列、間隔などについては、特に制限はなく、後述する前記ノズル孔1の数、配列、間隔などに応じて適宜選定することができる。
前記凹部5は、前記凹部5の最も深い位置を含む底部に前記ノズル孔1を有していることが好ましい。
ここで、図2D及び図2Eに示すように、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13には複数の前記凹部5が形成されている。前記凹部5の底部(前記凹部5の最も深い位置)には前記ノズル孔1が設けられている。前記凹部5は、前記凹部5の外縁7から前記ノズル孔1が位置する近傍に向かって前記ノズル基板8の厚みが漸次減少する形状に形成されており、前記ノズル基板8の前記ノズル孔1の開口端100で前記ノズル基板8の厚みが最小Dとなっている。
前記凹部5の形状としては、平面視で略円形状であることが好ましい。この場合、前記略円形状の前記凹部5の略直径に相当する長さ(前記凹部5の外縁7と外縁7との間の最大長さ)は、10μm〜50μmが好ましい。
前記凹部5の形成方法については、後述する前記液体吐出ヘッドの製造方法において詳細に説明する。
前記ノズル孔1としては、前記凹部5内に設けられていれば、その数、配列、間隔、開口形状、開口の大きさ、開口の断面形状などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ノズル孔1の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複数の前記ノズル孔1が、前記ノズル基板8の長さ方向に沿って等間隔に並んで配列されている態様などが挙げられる。
前記ノズル孔1の配列は、吐出する液体(インク)の種類に応じて適宜選定することができるが、1列〜複数列が好ましく、1列〜4列がより好ましい。
前記1列当たりの前記ノズル孔1の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、10個〜10,000個が好ましく、50個〜500個がより好ましい。
隣接する前記ノズル孔1の中心間の最短距離である間隔(ピッチ)Pとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、21μm〜169μmが好ましい。
換言すると、前記ノズル孔の数、及び前記間隔(ピッチ)Pは、150dpi(ピッチは169μm)〜1,200dpi(ピッチは21μm)の範囲が好ましく、例えば、300dpiの場合はピッチは84μmである。
前記ノズル孔1の開口形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形などが挙げられる。これらの中でも、インク液滴を吐出する点から、円形が好ましい。
前記撥水膜4は、前記ノズル基板8における複数の前記凹部5を有する液体吐出側の面13上に形成されており、その形状、構造、材質、厚みなどについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
弾く性質の意味合いは、ワイパーで拭き取った後に液体吐出側の面がインクで濡れない状態を指しており、そのためにはある程度接触角が高い方(例えば30度以上)がその性質を表現するのに合致している。前記接触角は、純水をインクに変えてJIS R−3257に準拠して測定することができる。
前記nは、0以上の整数を表し、0〜10が好ましい。
前記市販品としては、例えば、krytoxFSL、krytoxFSH(いずれも、DuPont社製)、FomblinZ、FLUOROLINKS10、FLUOROLINKC10(いずれも、ソルベイソレクシス社製)、モレスコホスファロールA20HモレスコホスファロールADOH、モレスコホスファロールDDOH(いずれも、松村石油研究所製)、フロロサーフFG5010、フロロサーフFG5020、フロロサーフFG5060、フロロサーフFG5070(いずれも、フロロテクノロジー社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記液体としては、前記液体吐出ヘッドで吐出可能な液体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インク、インクジェット用インク、光重合性インク、前処理液、定着処理液、レジスト、パターン形成材料、などが挙げられる。これらの中でも、インクジェット用インクが特に好ましい。
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加圧室、刺激発生手段などが挙げられる。
前記加圧室は、前記ノズル板2に設けられた複数の前記ノズル孔1に個別に対応して配置され、前記ノズル孔1と連通する複数の個別流路であり、インク流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室などと称することもある。
前記刺激発生手段は、液体(インク)に印加する刺激を発生する手段である。
前記刺激発生手段における刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられる。前記刺激発生手段としては、具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどが挙げられる。
前記刺激が「圧力」の場合、例えば、前記液体吐出ヘッド内のインク流路内にある前記圧力室と呼ばれる位置に接着された前記圧電素子に電圧を印加することにより、前記圧電素子が撓む。それにより、前記圧力室の容積が収縮して、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル孔1から前記液体(インク)を液滴として吐出させる方法などが挙げられる。
これらの中でも、ピエゾ素子に電圧を印加して液体(インク)を飛翔させるピエゾ方式が好ましい。
前記液体吐出ヘッドは、流路ユニット31と、アクチュエータユニット32とをフレーム33を介して一体に固定して構成されている。
前記流路ユニット31は、前記ノズル板2、チャンバープレート35、及び振動板36を積層してなり、前記アクチュエータユニット32の圧力発生手段である個々の圧電振動子37の伸縮により圧力室38を収縮乃至膨張させてインク液滴を吐出するように構成されている。
前記チャンバープレート35は、前記圧力室38と、流体抵抗34とから形成されている。
前記振動板36には、前記圧電振動子37の先端に当接する凸部42と、弾性変形可能なダイヤフラム部43と各圧力室38に対向するように設けられている。
前記フレーム33に設けられた共通液室41からの液体供給口45が形成されている。
前記共通液室41に面する領域にも前記ダイヤフラム部43と同様のダイヤフラム部44が構成されている。
前記振動板36は、要所に貫通孔からなる位置決め孔が穿設されており、前記ダイヤフラム部43、44を形成する領域をエッチングして圧延製金属板48により前記凸部42が形成されている。
前記振動板36と前記圧電振動子37によって、前記振動板36の可動部分である前記ダイヤフラム部43を変形させる圧電型アクチュエータを構成している。
前記圧電振動子37の圧電方向としてd31方向の変位を用いて前記圧力室内の液体を加圧する構成とすることもできる。
本実施形態ではd33方向の変位を用いた構成をとっている。
前記圧電振動子37と前記ベース部材51は接着剤により接着接合しているが、チャンネル数が増えると、前記圧電振動子37の自己発熱により100℃近くまで温度が上昇し、接合強度が著しく低下することになる。
前記振動板36の周囲には前記フレーム33を接着剤で接合している。前記フレーム33には、前記ドライバIC52と少なくとも前記ベース部材51を挟んで反対側に配置されるように、前記圧力室38に外部から液体を供給するための前記共通液室41を形成している。
前記共通液室41は、前記振動板36の液体供給口45を介して前記流体抵抗部34及び前記圧力室38に連通している。
前記共通液室41には、前記ダイヤフラム部44によってダンパー室53が形成され、液体吐出によって前記共通液室41内に発生する圧力波を減衰させ、液体吐出を安定化させる。
本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、ノズル基板研磨工程を少なくとも含み、撥水膜形成工程を含むことが好ましく、更に必要に応じて、洗浄工程、保護フィルム貼付工程、撥水膜除去工程、接合工程等のその他の工程を含んでなる。
前記ノズル基板研磨工程は、複数の前記ノズル孔1が形成された前記ノズル基板8における一方の面を弾性体10を介して押圧し、前記ノズル基板8における他方の面を研磨部材11に当接させて研磨する工程である。
前記ノズル基板8における前記一方の面が液体吐出側の面13であり、前記ノズル基板8における前記他方の面が液室接合面6である。
図5に示すように、前記ノズル基板8の前記ノズル孔1の周縁近傍は剛性が弱く、前記ノズル孔1の孔径が前記ノズル基板8の液体吐出側の面13から液室接合面6に向かって漸次増加するテーパー状であると、更に前記ノズル基板8の前記ノズル孔1の周縁近傍の剛性が弱くなると考えられる。
このような前記ノズル基板8を、図6に示すように、研磨装置における加圧手段(図示を省略)により弾性体10を介して、前記ノズル基板8の液室接合面6から液体吐出側の面13に向かって押圧すると、前記弾性体10が、前記液室接合面6から前記ノズル孔1に侵入する(図6中10a)と共に、剛性が弱くなっている前記ノズル孔1の周縁近傍8aが液体吐出側の面13に略円錐台状に突出する。前記ノズル孔1の周縁近傍8aが略円錐台状に突出した状態で、図7に示すように、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13を前記研磨部材11の研面15に当接させて研磨する。すると、略円錐台状に突出した前記ノズル孔1の周縁近傍8aを含む、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13の全体が研磨され、平坦化される。
そして、前記弾性体10による前記ノズル基板8に対する押圧を解くと、図8に示すように、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13に平面視すると略円形(前記ノズル基板8の厚み方向の断面が略テーパー状)の前記凹部5が形成される。前記凹部5における底部(前記凹部5の最も深い位置)に前記ノズル孔1が位置する。
図8に示すように、前記凹部5は、前記凹部5の外縁7から前記ノズル孔1が位置する近傍に向かって前記ノズル基板8の厚みが漸次減少するように形成されている。
前記ノズル孔1が位置する近傍とは、前記ノズル基板8の撥水膜4側(液体吐出側の面13)の前記ノズル孔1の開口端100を意味する。
前記ノズル基板8の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm〜75μmが好ましい。前記平均厚みが、20μm〜75μmの範囲であると、前記弾性体10の押圧によって前記ノズル基板8が適度に変形し、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13に前記凹部5を効率よく形成することができる。
前記弾性体10の形状としては、例えば、シート状、フィルム状、板状などが挙げられる。
前記弾性体10の材質としては、例えば、ゴム、エラストマーなどが挙げられる。前記ゴムとしては、例えば、ウレタンゴムなどが挙げられる。前記エラストマーとしては、例えば、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
前記弾性体10の硬度としては、ショアAで、40度〜60度が好ましい。前記硬度ショアAが、40度〜60度の範囲であると、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13に前記凹部5を効率よく形成でき、ワイピング耐久性の高い前記ノズル板2を効率よく製造することができる。
前記弾性体10の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mm〜10mmが好ましい。
前記研磨部材11としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタンパッドなどが挙げられる。
前記研磨剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FUJIMI社製のPOLIPLA103を純水で4倍希釈(POLIPLA103:純水=1:3(体積比))したものなどが挙げられる。
前記弾性部材10としては、例えば、硬度ショアAが40度〜60度のウレタンゴムシートなどが挙げられる。
前記研磨部材11としてのポリウレタンパッドで前記弾性体10を介して前記ノズル基板8を押圧する際の押圧力、前記ポリウレタンパッドを回転させる際の回転速度(rpm)、前記研磨剤の量、研磨時間などを適宜調整する。これにより、前記ノズル孔1の周縁近傍を含めて、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13を平坦化できると共に、前記ノズル基板8の表面粗さRaを1μm以下とすることができる。
前記弾性体10による押圧は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ノズル基板8の前記ノズル孔1の周縁近傍の突出量が1.0μm〜4.0μmとなる程度が好ましい。
前記ノズル基板8の液体吐出側の面13の表面粗さ(Ra)は、JIS 0601に従って測定することができ、例えば、触針式表面形状測定装置(Dektak150、アルバック社製)を用いて測定することができる。
前記洗浄工程は、前記ノズル基板研磨工程で研磨された前記ノズル基板8を超音波洗浄する工程である。
前記ノズル基板研磨工程で研磨後の前記ノズル基板8は、研磨された前記ノズル基板8の表面が乾燥しないように、ウェット環境下、溶媒を用いて超音波洗浄を行うことが好ましい。前記ウェット環境としては、湿度50%RH以上であることが、乾燥防止の点から好ましい。
前記溶媒としては、例えば、純水、アセトン、エタノール、イソプロパノール等のアルコール;ノベック(住友3M株式会社製)、バートレル(DuPont社製)、ガルデン(ソルベイソレクシス社製)等のハイドロフルオロエーテルなどが挙げられる。
前記超音波洗浄以外の洗浄方法としては、例えば、スクラブ洗浄、シャワー洗浄(例えば、高圧スプレー洗浄、超音波シャワー洗浄等)、浸漬洗浄(例えば、流水洗浄、噴流洗浄、バブリング洗浄等)、蒸気洗浄などが挙げられる。
前記洗浄後の前記ノズル基板8は、酸素プラズマ処理を行うことが好ましい。前記酸素プラズマ処理を行うことにより、前記ノズル基板8の表面に水酸基を導入することができ、前記撥水膜4と前記ノズル基板8との密着性が向上する。
前記撥水膜形成工程は、前記ノズル基板研磨工程により研磨した前記ノズル基板における前記他方の面上に、パーフルオロポリエーテル化合物を含む撥水膜を形成する工程である。
前記ノズル基板8における前記他方の面とは、前記ノズル基板8における液体吐出側の面13である。
前記パーフルオロポリエーテル化合物を含む液は、溶媒を用いて前記パーフルオロポリエーテル化合物の含有量が0.1質量%〜1質量%となるように調製される。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系溶媒などが挙げられる。
前記フッ素系溶媒としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、ノベックHFE7000、ノベックHFE7100ノベックHFE7200、ノベックHFE7300、ノベックHFE711PA、FC−72、FC−77、PF−5060、PF−5080(いずれも、住友3M株式会社製)、バートレル(DuPont社製)、ガルデン(ソルベイソレクシス社製)等のハイドロフルオロエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
まず、前記ノズル基板研磨工程で研磨され、液体吐出側の面13に前記凹部5が形成された前記ノズル基板8に対して、前記パーフルオロポリエーテル化合物を含む液を塗布し、常温で自然乾燥する。その際に、前記ノズル基板8に形成された前記撥水膜4は前記パーフルオロポリエーテル化合物を含む液の表面張力によって、その表面積が最小となろうとする力で安定する。そのため、前記撥水膜4が前記ノズル基板8の表面に平坦となった状態で形成される。
前記塗布における常温とは、20℃〜30℃であり、前記温度で30分間〜2時間自然乾燥することが好ましく、25℃で1時間自然乾燥することがより好ましい。
前記パーフルオロポリエーテル化合物を含む液を前記ノズル基板8に塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬法、ローラ塗布法、スプレー塗布法、スピンコート法などが挙げられる。これらの中でも、浸漬法が好ましい。前記浸漬法によると、図9Cに示したように、前記ノズル基板8の両面(液体吐出側の面13及び液室接合面6)に効率よく、平坦な状態の前記撥水膜4を形成することができる。
前記浸漬法では、前記パーフルオロポリエーテル化合物を含む液中に前記ノズル基板8を30秒間〜2分間浸漬し、1mm/sec〜5mm/secの速度で前記ノズル基板8を引き上げると、前記ノズル基板8の両面に前記撥水膜4が形成される。
なお、前記ノズル基板8に前記パーフルオロポリエーテル化合物が過剰に付着した場合には、フッ素系溶媒中で超音波洗浄することにより除去することができる。前記超音波洗浄の時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3分間〜10分間が好ましい。
前記フッ素系溶媒としては、例えば、ノベックHFE7100、ノベックHFE7200(いずれも、住友3M株式会社製)、バートレル(DuPont社製)などが挙げられる。
前記保護フィルム貼付工程は、前記浸漬法で塗布すると前記ノズル基板8の両面に前記撥水膜4が形成されるので、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13に形成された前記撥水膜4を保護するため、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13における前記撥水膜4表面に保護フィルム18を貼り付ける工程である。
前記保護フィルム18としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半導体向けハイクリーン粘着プラスチップテープであるイクロステープ(三井化学株式会社製)などが挙げられる。
前記撥水膜除去工程は、前記浸漬法で塗布すると前記ノズル基板8の両面に前記撥水膜4が形成されるので、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13とは反対側に位置する液室接合面6からプラズマ処理により前記撥水膜4を除去する工程である。
前記保護フィルム貼付工程において、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13に形成された前記撥水膜4表面に前記保護フィルム18を貼り付けた状態で、前記ノズル基板8の液室接合面6側からプラズマ処理を行う。これにより、前記ノズル基板8の液室接合面6及び前記ノズル孔1内壁に付着乃至形成された前記撥水膜4を除去することができる。
前記プラズマ処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラズマクリーナPDC−510(ヤマト科学株式会社製)を用いて酸素プラズマを照射し、50sccmで1分間逆スパッタする方法などが挙げられる。
前記接合工程は、前記ノズル板2の液室接合面6と、液室を形成する流路板とを接着剤を介して接合する工程である。
前記常温硬化型エポキシ系接着剤としては、例えば、スコッチ・ウェルド二液エポキシ室温硬化型接着剤DP−460EG(住友3M株式会社製)などが挙げられる。
前記常温で硬化せず60℃〜100℃で硬化開始するエポキシ系接着剤としては、例えば、AE901シリーズ(味の素ファインテクノ株式会社製)などが挙げられる。
前記加熱の温度は、熱による前記インク吐出ヘッドを構成する部材の疲労を回避する点から、80℃以下が好ましく、30℃〜80℃がより好ましい。前記加熱及び圧着時間は、生産性の点から、2時間〜4時間が好ましい。
前記パーフルオロポリエーテル化合物は、室温においてオイル状で流動性が高く、前記ノズル基板8上に形成した前記撥水膜4の移動度が非常に高い。そのため、前記撥水膜形成工程終了、又は前記撥水膜除去工程終了からの経過時間によっては、前記ノズル基板8の液室接合面6に再度撥水膜4が形成されることがある。このような状態で、前記ノズル板2の液室接合面6と液室を形成する流路板とを接合すると、両者の密着性が低いため、作製した前記液体吐出ヘッドの耐久性が低下する。そこで、前記撥水膜形成工程終了、又は前記撥水膜除去工程終了から1日間以内に前記接合工程を実施することで、作製した前記液体吐出ヘッドの耐久性を大幅に向上させることができる。
次に、図4に示す研磨部材11と加圧手段16とを有するCMP研磨装置を用い、図6及び図7に示すように、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13に前記研磨部材11の研面15を当接させる。その状態で、前記弾性体10を介して前記加圧手段16により10kPaの圧力で押圧しながら、研磨剤17と共に、前記研磨部材16を50rpmで回転させて、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13を研磨する(ノズル基板研磨工程)。
前記研磨部材11としては、例えば、ポリウレタンパッドを用いた。
前記弾性体10としては、例えば、所定の厚み、硬度ショアAが40度のウレタンゴムシートを用いた。
前記研磨剤17としては、例えば、FUJIMI社製のPOLIPLA103を純水で4倍希釈(POLIPLA103:純水=1:3(体積比))したものを使用した。
図2D、図8、及び図9Aに示すように、研磨後の前記ノズル基板8の液体吐出側の面13には複数の前記凹部5が形成されている。前記凹部5の底部には前記ノズル孔1が配されている。そして、前記凹部5の外縁7から前記ノズル孔1が位置する近傍に向かって前記ノズル基板8の厚みが漸次減少する形状に形成されており、前記ノズル基板8の前記ノズル孔1の開口端100で前記ノズル基板8の厚みが最小となっている。
次に、洗浄後の前記ノズル基板8における液体吐出側の面13を、プラズマ処理装置(PDC−510、ヤマト科学株式会社製)を用いて、500W、50sccmで1分間、酸素プラズマ処理を実施する。これにより、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13に水酸基を導入することができ、前記撥水膜4と前記ノズル基板8との密着性が向上する。
次に、図9Aに示すように、液体吐出側の面13に複数の凹部5が形成されている前記ノズル基板8を、前記パーフルオロポリエーテル化合物を含むディッピング液中に60秒間浸漬し、3mm/secの速度で引き上げることにより、図9Bに示すように、前記ノズル基板8の両面に前記撥水膜4が形成される。
次に、前記撥水膜4を両面に形成した前記ノズル基板8を120℃にて2時間加熱し、前記撥水膜4を前記ノズル基板8に固定する。
次に、前記保護フィルム18を貼り付けた状態で、図9Dに示すように、前記ノズル基板8の液室接合面6側からプラズマクリーナPDC−510(ヤマト科学株式会社製)を用いて酸素プラズマを照射し、50sccmで1分間逆スパッタを行う。これにより、図9Eに示すように、前記ノズル基板8の液室接合面6、及び前記ノズル孔1の内壁に付着乃至形成されていた前記撥水膜4が除去される(撥水膜除去工程)。以上により、前記ノズル板2を作製することができる。
本発明の画像形成装置は、インク収容手段と、液体吐出ヘッドと、クリーニング手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
前記インク収容手段は、インクジェット用インクを収容する手段であり、例えば、タンク、インクカートリッジなどが挙げられる。
前記インクカートリッジは、前記インクジェット用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを有するものなどが好適である。
前記液体吐出ヘッドは、前記インクジェット用インクに刺激を印加し、前記インクを飛翔させて画像を記録用メディアに記録する手段である。
前記液体吐出ヘッドとしては、本発明の前記液体吐出ヘッドが用いられる。
前記インクジェット用インクとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、特開2008−260926号公報、特開2008−38156号公報、特開2005−161834号公報などに開示されているインクなどが挙げられる。
前記記録用メディアとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、OHPシート、フィルムなどが挙げられる。
前記クリーニング手段は、前記液体吐出ヘッドの前記ノズル板2の液体吐出面3をブレード9でワイピングする手段である。
前記ブレード9としては、その大きさ、材質、形状、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ブレード9の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ブレード9の材質としては、例えば、前記ノズル板2の前記撥水膜4表面をワイピング処理する観点から、ゴム、エラストマーなどが挙げられる。
前記ブレード9の形状としては、ワイピング処理ができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、制御手段などが挙げられる。前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
前記装置本体81の下方部には、前方側から多数枚の用紙83を積載可能な給紙カセット(又は給紙トレイでもよい)84を抜き差し可能に装着することができる。また、前記用紙83を手差しで給紙するための手差しトレイ85を開倒することができる。
前記給紙カセット84又は前記手差しトレイ85から給送される前記用紙83を取り込み、前記印字機構部82によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ86に排紙する。
前記キャリッジ93には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する前記液体吐出ヘッド94を複数のノズル孔1を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、前記キャリッジ93には前記液体吐出ヘッド94に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ95を交換可能に装着している。
前記搬送ローラ104は、副走査モータ107によってギヤ列を介して回転駆動される。
前記印写受け部材109の用紙搬送方向下流側には、前記用紙83を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ111、拍車112を有している。
更に、前記用紙83を前記排紙トレイ86に送り出す前記排紙ローラ113及び拍車114と、排紙経路を形成するガイド部材115、116とを有している。
記録時には、前記キャリッジ93を移動させながら画像信号に応じて前記液体吐出ヘッド94を駆動することにより、停止している前記用紙83に前記インクを吐出して1行分を記録し、前記用紙83を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号、又は前記用紙83の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ、前記用紙83を排紙する。
前記回復装置117は、キャップ手段と、吸引手段と、クリーニング手段とを有している。
前記キャリッジ93は、印字待機中には前記回復装置117側に移動されて前記キャッピング手段で前記液体吐出ヘッド94がキャッピングされ、前記ノズル孔1を湿潤状態に保つことによりインクの乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しない前記インクを吐出することにより、全ての前記ノズル孔1のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持することができる。
<液体吐出ヘッドの作製>
図3に示す液体吐出ヘッドの製造方法の工程表の手順に基づいて、以下のようにして前記液体吐出ヘッドを作製した。
まず、図2A、図2B、図2D、及び図5に示すように、液体吐出側の面13におけるノズル孔の孔径が25μmであり、かつ液室接合面6のノズル孔の孔径が35μmである前記ノズル孔1が、隣接する前記ノズル孔1の中心間の最短距離であるピッチPが85μm(300dpi)で、320個/列で配列したノズル孔列が4列形成されており、縦34mm×横16mm、平均厚み20μmのステンレス鋼製の前記ノズル基板8を用意した。
次に、図4に示す研磨部材11と加圧手段16とを有するCMP研磨装置を用い、図6〜図8に示すように、複数の前記ノズル孔1を有する前記ノズル基板8の液体吐出側の面13に前記研磨部材11の研面15を当接させる。その状態で、前記弾性体10を介して前記加圧手段16により10kPaの圧力で押圧しながら、研磨剤17と共に、前記研磨部材11を50rpmで回転させて、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13を研磨した。
前記弾性体10としては、平均厚み1mm、硬度ショアAが40度に調整されたウレタンゴムシート(試作品(NOK株式会社製))を用いた。
前記研磨剤17としては、FUJIMI社製のPOLIPLA103を純水で4倍希釈(POLIPLA103:純水=1:3(体積比))したものを使用した。
前記凹部5の形状は、平面視で円形状であった。前記円形状の前記凹部5の直径に相当する長さ(前記凹部5の外縁7と外縁7との間の最大長さ)は、35μmであった。
研磨後の前記ノズル基板8の液体吐出側の面13の表面粗さRaは、以下のようにして測定したところ、0.1μmであった。
<表面粗さRaの測定>
前記ノズル基板8の液体吐出側の面13の表面粗さRaは、JIS 0601に従って測定した。具体的には、触針式表面形状測定装置(Dektak150、アルバック社製)を用いて表面粗さRaを測定した。
次に、研磨後の前記ノズル基板8を、純水で超音波洗浄することにより研磨剤等の異物を除去した。
次に、洗浄後の前記ノズル基板8の液体吐出側の面13を、プラズマ処理装置(PDC−510、ヤマト科学株式会社製)を用いて、500W、50sccmで1分間、酸素プラズマ処理を行った。
次に、希釈液としてHFE7100(住友3M株式会社製)を用いてパーフルオロポリエーテル化合物(FG5020、フロロテクノロジー社製)を0.2質量%の濃度に希釈したディッピング液を調製した。
次に、図9Aに示すように、液体吐出側の面13に複数の凹部5が形成された前記ノズル基板8を、前記パーフルオロポリエーテル化合物を含むディッピング液中に60秒間浸漬し、3mm/secの速度で引き上げることにより、図9Bに示すように、前記ノズル基板8の両面に前記撥水膜4を形成した。
次に、前記撥水膜4を両面に形成した前記ノズル基板8を、常温(25℃)で1時間放置して自然乾燥した。その際、図9Cに示すように、前記パーフルオロポリエーテル化合物を含むディッピング液の表面張力によって、表面積が最小となろうとする力で安定するため、前記撥水膜4が、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13と反対側の面である液室接合面6において、平坦となった状態で形成された。
次に、前記撥水膜4を両面に形成した前記ノズル基板8を120℃にて2時間加熱し、固定した。
次に、図9Dに示すように、前記撥水膜4が両面に形成された前記ノズル基板8の液体吐出側の面13上に前記保護フィルム18としてのイクロステープ(三井化学株式会社製)を貼り付けた。
次に、前記保護フィルム18を貼り付けた状態で、図9Dに示すように、前記撥水膜4が形成された前記ノズル基板8の液室接合面6側からプラズマクリーナPDC−510(ヤマト科学株式会社製)を用いて酸素プラズマを照射し、50sccmで1分間逆スパッタを行った。これにより、図9Eに示すように、前記ノズル基板8の液室接合面6、及び前記ノズル孔1内壁に付着乃至形成されていた前記撥水膜4を除去した。余分な前記撥水膜4を除去した後、前記ノズル基板8の液体吐出側の面13から保護フィルム18を剥がした。以上により、前記ノズル板2を作製した。
次に、得られた前記ノズル板2の液室接合面6と、液室を形成する流路板とを低温硬化型エポキシ系接着剤(常温で硬化せず60℃〜100℃で硬化開始するタイプの接着剤、AE901シリーズ、味の素ファインテクノ株式会社製)を用いて貼り合わせ、70℃にて5時間で加熱及び加圧して接合した。以上により、実施例1の前記液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で、前記弾性体10として硬度ショアAが60度に調整されたウレタンゴムシート(試作品(NOK株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の前記液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で、前記弾性体10として硬度ショアAが80度に調整されたウレタンゴムシート(試作品(NOK株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の前記液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で用いた前記ノズル基板8の平均厚みを50μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の前記液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で用いた前記ノズル基板8の平均厚みを50μmとし、前記弾性体10として硬度ショアAが60度に調整されたウレタンゴムシート(試作品(NOK株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の前記液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で用いた前記ノズル基板8の平均厚みを50μmとし、前記弾性体10として硬度ショアAが80度に調整されたウレタンゴムシート(試作品(NOK株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の前記液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で用いた前記ノズル基板8の平均厚みを75μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の前記液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で用いた前記ノズル基板8の平均厚みを75μmとし、前記弾性体10として硬度ショアAが60度に調整されたウレタンゴムシート(試作品(NOK株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の前記液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で用いた前記ノズル基板8の平均厚みを75μmとし、前記弾性体10として硬度ショアAが80度に調整されたウレタンゴムシート(試作品(NOK株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の前記液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で用いた前記ノズル基板8の平均厚みを100μmとした以外は、実施例1と同様にして、比較例4の液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で用いた前記ノズル基板8の平均厚みを100μmとし、前記弾性体10として硬度ショアAが60度に調整されたウレタンゴムシート(試作品(NOK株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例5の前記液体吐出ヘッドを作製した。
−液体吐出ヘッドの作製−
実施例1において、前記ノズル基板研磨工程で用いた前記ノズル基板8の平均厚みを100μmとし、前記弾性体10として硬度ショアAが80度に調整されたウレタンゴムシート(試作品(NOK株式会社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例6の前記液体吐出ヘッドを作製した。
また、作製した前記液体吐出ヘッドについて、以下のようにして吐出安定性を評価した。結果を表1−2に示した。
上述した電子顕微鏡による観察方法を用いて電子顕微鏡観察をし、得られたデジタル画像について上述した画像処理を行い、前記ノズル基板8の最大厚みと最小厚みとの差を算出した。
また、実施例1〜6の前記ノズル基板8は、いずれも、前記電子顕微鏡観察により、液体吐出側の面に、図1Dに示すような前記凹部5が形成されており、前記凹部5の外縁7からノズル孔1が位置する近傍に向かって前記ノズル基板8の厚みが漸次減少する形状を有していることがわかった。
撥水膜の厚みは、上述した電子顕微鏡による観察方法を用いて電子顕微鏡観察をすることにより、前記ノズル基板8における最大厚みと最小厚みとの差に等しいことが確認された。
また、実施例1〜6の前記ノズル板2の前記撥水膜4は、いずれも、前記電子顕微鏡観察により、図1Cに示すように、前記ノズル孔1が位置する近傍の前記撥水膜4の厚みが、前記凹部5が位置していない部分の前記撥水膜4の厚みよりも厚く形成されていることがわかった。
作製した前記ノズル板2を上述した電子顕微鏡による観察方法を用いて電子顕微鏡観察をし、得られたデジタル画像について上述した画像処理を行い、前記ノズル板2の最大厚みAと最小厚みBとの比(A/B)を算出した。
作製した各液体吐出ヘッドをインクジェットプリンタ(株式会社リコー製、RICOH GX−3000)に搭載し、株式会社リコー製のRICOH GX−3000用のインクジェット用インクを用いて、下記の評価基準に基づき、初期吐出特性を行った。また、以下のようにして吐出安定性試験を行った。
[初期吐出特性の評価基準]
○:吐出不良なく、正常である
×:吐出不良あり
−吐出安定性試験−
次に、前記プリンタにてクリーニングを行い、ノズル板2の液体吐出面3をワイピング回数1,000回繰り返して行う吐出安定性試験を実施した。以後、ワイピング回数1,000回毎に繰り返して前記吐出安定性試験を合計10,000回のワイピング回数まで行った。この際、1,000回毎にノズルチェックパターンを印刷し、吐出状態を目視評価した。異常吐出(インク液滴の曲がり又は不吐出)が発生した時を、吐出不良が発生したワイピング回数として記載した。
したがって、実施例1の前記液体吐出ヘッドは、前記ブレード9での繰り返しワイピングによる前記ノズル孔1の周縁近傍の前記撥水膜4の減少による撥水性の低下を防止でき、前記液体吐出ヘッドの長寿命化が図れる。このことは、表1−2の結果から、実施例1の前記液体吐出ヘッドが10,000回以上のワイピング耐久性を有することから明らかである。
図15Aは、実施例1の前記ノズル板2の液体吐出面3を前記ブレード9でワイピングする前の前記ノズル孔1の周縁近傍の油性マジックインクMの状態を示す写真、図15Bは、実施例1の前記ノズル板2の液体吐出面3を前記ブレード9でワイピング後の前記ノズル孔1の周縁近傍の油性マジックインクMの状態を示す写真である。
図16Aは、比較例6の前記ノズル板2の液体吐出面3を前記ブレード9でワイピングする前の前記ノズル孔1の周縁近傍の油性マジックインクMの状態を示す写真、図16Bは、比較例6の前記ノズル板2の液体吐出面3を前記ブレード9でワイピング後の前記ノズル孔1の周縁近傍の油性マジックインクMの状態を示す写真である。
図15A〜図16Bの結果から、実施例1の前記ノズル板2に比べて、比較例6の前記ノズル板2は前記ノズル孔1の周縁近傍に油性マジックインクMが付着しており(図16B中110参照)、前記ノズル孔1の周縁近傍の前記撥水膜4が無くなっていることがわかった。
これに対して、比較例1〜6の前記液体吐出ヘッドは、8,000回未満のワイピング回数でインクの吐出不良が生じることがわかった。
<1> 一方の面に複数の凹部を有し、前記凹部にノズル孔が設けられたノズル基板と、
前記ノズル基板における前記複数の凹部を有する面上に配された、パーフルオロポリエーテル化合物を含む撥水膜と、
を有するノズル板を少なくとも備えてなり、
前記撥水膜における最大厚みと最小厚みとの差が1.0μm以上であり、
前記ノズル孔が位置する近傍の前記撥水膜の厚みが、前記凹部が位置していない部分の前記撥水膜の厚みよりも厚い、ことを特徴とする液体吐出ヘッドである。
<2> 前記凹部の外縁から前記ノズル孔が位置する近傍に向かって前記ノズル基板の厚みが漸次減少する前記<1>に記載の液体吐出ヘッドである。
<3> 前記ノズル孔における孔径が、前記撥水膜側から漸次増加するテーパー状である前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドである。
<4> 前記ノズル板の最大厚みA(μm)と、前記ノズル板の最小厚みB(μm)との比(A/B)が、1.01〜1.10である前記<1>から<3>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドである。
<5> 複数のノズル孔が形成されたノズル基板における一方の面を弾性体を介して押圧し、前記ノズル基板における他方の面を研磨部材に当接させて研磨するノズル基板研磨工程を少なくとも含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法である。
<6> 前記弾性体の硬度がショアAで40度〜60度である前記<5>に記載の液体吐出ヘッドの製造方法である。
<7> 前記ノズル基板の平均厚みが20μm〜75μmである前記<5>から<6>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法である。
<8> 前記ノズル基板研磨工程により研磨した前記ノズル基板における前記他方の面上に、パーフルオロポリエーテル化合物を含む撥水膜を形成する撥水膜形成工程を含む前記<5>から<7>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法である。
<9> 前記撥水膜形成工程において、前記ノズル基板にパーフルオロポリエーテル化合物を含む液を塗布し、常温で自然乾燥させて撥水膜を形成する前記<8>に記載の液体吐出ヘッドの製造方法である。
<10> インクジェット用インクを収容する収容手段と、
前記インクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録用メディア上に記録する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドのノズル板の液体吐出面をブレードによりワイピングするクリーニング手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記液体吐出ヘッドが、前記<1>から<4>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドであることを特徴とする画像形成装置である。
2 ノズル板
3 液体吐出面
4 撥水膜
5 凹部
6 液室接合面
7 凹部の外縁
8 ノズル基板
9 ブレード
10 弾性体
11 研磨部材
13 ノズル基板の液体吐出側の面
15 研面
16 加圧手段
17 研磨剤
18 保護フィルム
100 ノズル基板のノズル孔の開口端
Claims (8)
- 一方の面に複数の凹部を有し、前記凹部にノズル孔が設けられたノズル基板と、
前記ノズル基板における前記複数の凹部を有する面上に配された、パーフルオロポリエーテル化合物を含む撥水膜と、
を有するノズル板を少なくとも備えてなり、
前記撥水膜における最大厚みと最小厚みとの差が1.0μm以上であり、
前記ノズル孔が位置する近傍の前記撥水膜の厚みが、前記凹部が位置していない部分の前記撥水膜の厚みよりも厚く、前記凹部の外縁から前記ノズル孔が位置する近傍に向かって前記撥水膜の厚みが漸次増加し、前記撥水膜の表面が平坦であることを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記ノズル孔が位置する近傍の前記ノズル基板の厚みが、前記凹部が位置していない部分の前記ノズル基板の厚みよりも薄く、
前記凹部の外縁から前記ノズル孔が位置する近傍に向かって前記ノズル基板の厚みが漸次減少する請求項1に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記ノズル孔における孔径が、前記撥水膜側から漸次増加するテーパー状である請求項1から2のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
- 前記ノズル板の最大厚みA(μm)と、前記ノズル板の最小厚みB(μm)との比(A/B)が、1.01〜1.10である請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
- 複数のノズル孔が形成されたノズル基板における一方の面を弾性体を介して押圧し、前記ノズル基板における他方の面を研磨部材に当接させて研磨するノズル基板研磨工程と、
前記ノズル基板研磨工程により研磨した前記ノズル基板における前記他方の面上に、パーフルオロポリエーテル化合物を含む撥水膜を形成する撥水膜形成工程と、
を含み、
前記撥水膜形成工程において、前記ノズル基板にパーフルオロポリエーテル化合物を含む液を塗布し、常温で自然乾燥させて撥水膜を形成することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。 - 前記弾性体の硬度がショアAで40度〜60度である請求項5に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記ノズル基板の平均厚みが20μm〜75μmである請求項5から6のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- インクジェット用インクを収容する収容手段と、
前記インクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録用メディア上に記録する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドのノズル板の液体吐出面をブレードによりワイピングするクリーニング手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記液体吐出ヘッドが、請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドであることを特徴とする画像形成装置。
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