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JP6354591B2 - X線分析装置 - Google Patents
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Description

本発明はX線分析装置に関し、さらに詳しくは、エネルギ分散型のX線分析装置に関する。
X線分析装置においては、一般に、試料に励起用のX線を照射することによって生じる蛍光X線(特性X線)を検出し、その蛍光X線のエネルギ(波長)と強度(線量)を求める。試料から放出される蛍光X線(特性X線)は元素に固有のエネルギ(波長)を持つことから、蛍光X線のエネルギ(波長)を求めることによって試料に含まれる元素を同定することができ、その強度(線量)から元素の濃度を知ることができる。
X線分析装置においては、蛍光X線のエネルギ(波長)の分析の仕方により、エネルギ分散型と波長分散型に分類される。エネルギ分散型のX線分析装置においては、試料から放出される蛍光X線をそのまま半導体検出器等からなるX線検出器で検出し、その検出出力の波高がX線のエネルギに相関することを利用し、X線検出器の出力信号を波長分析して波高ごと、つまりエネルギごとに弁別し、エネルギごとの線量を求める。一方、波長分散型のX線分析装置においては、試料から放出される蛍光X線を分光結晶を用いて波長ごとに分光し、特定波長の蛍光X線を選別してX線検出器で検出する。
以上の2種のX線分析装置のうち、エネルギ分散型の装置では、波長選別を行わずに試料から放出された蛍光X線を直接的にX線検出器で検出するため、波長分散型の装置のように波長選択のための機械的な波長走査が不要であり、同時に多数の波長情報が得られることから、装置構成が簡単で、蛍光X線スペクトルを取得するための所要時間が短いという特徴がある(例えば特許文献1参照)。
ところで、エネルギ分散型X線分先装置で用いられるX線検出器には、エネルギ分解能に優れたSi(Li)半導体検出器やシリコンドリフト検出器などが用いられるが、これらの検出器は、長時間にわたるX線の曝射により劣化する。エネルギ分散型X線分析装置においてX線検出器が劣化すると、当然のことながら正確な測定はできなくなる。したがって、ある程度以上劣化が進行する前にX線検出器を交換することが望ましいが、X線検出器の劣化を予測して交換時期を報知ないしは通知する機能を持つX線分析装置は現時点において知られていない。
一方、この種の分析装置における他の構成部材のうち、長期使用により劣化する部材、例えばX線管球については既に多くの提案がなされており、それらは基本的に、X線管球のON時間をカウントし、そのカウント値と、あらかじめ設定されている寿命ないしは保証時間との比較により交換時期に係る情報を報知するようにしている(例えば特許文献2参照)。
特開2010−107261号公報 特開平5−283192号公報
ところで、エネルギ分散型X線分析装置に用いられるX線検出器(半導体検出器)について、劣化してしまう前にその交換時期などを報知する機能を持たせようとした場合に、容易に考えられるのは前記した特許文献2等に示されているX線管球の交換時期報知と同様な機能である。すなわち、X線検出器のON時間を積算し、一定の時間に到達した時点で交換時期が到来した旨を報知する機能である。しかしながら、このような手法では、X線検出器の交換時期を正しく報知することはできない。
すなわち、X線検出器は、当該検出器が曝されているX線の強度とエネルギが高い場合に劣化の可能性が高くなるのであり、単にX線検出器のON時間を積算しただけでは劣化の進行の程度を表すパラメータとはなり得ない。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、エネルギ分散型X線分析装置におけるX線検出器の劣化を正確に推定して交換時期を報知することをその課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明のX線分析装置は、試料に励起用X線を照射して生じる蛍光X線を検出するX線検出器と、そのX線検出器の出力信号の波高分析を行う波高分析手段と、その波高分析された信号を、あらかじめ設定された測定時間分だけ各波高ごとに計数する計数手段を有し、その計数結果から試料に含まれる元素とその濃度を求めるX線分析装置において、上記計数手段とは別に、検出器寿命予測用計数手段を備え、この検出器寿命予測用計数手段は、上記X線検出器の使用開始時点から、波高分析された信号を各波高ごとに常時計数して累積していくとともに、その検出器寿命予測用計数手段による計数結果が、あらかじめ設定されている条件に到達したか否かを判別する判別手段を有し、この判別手段による判別結果に基づき、上記条件に到達した時点で、上記X線検出器の交換時期到来の旨の報知を行う報知手段を備えていることによって特徴づけられる(請求項1)。
ここで、本発明においては、上記X線検出器の交換時期到来の条件が、上記検出器寿命予測用計数手段による各波高ごとの信号の計数値を、波高が高いほど重みを付して加算してなる重み付け加算値が、あらかじめ設定されているしきい値に到達していることとする構成(請求項2)を好適に採用することができる。
また、本発明においては、上記X線検出器の交換時期到来の条件が、上記検出器寿命予測用計数手段による各波高ごとの信号の計数値のうち、あらかじめ設定されている波高以上の高さの信号の計数値の合計が、あらかじめ設定されているしきい値に到達していることとする構成(請求項3)を採用することもできる。
そして、本発明においては、上記検出器寿命予測用計数手段には、上記波高分析手段とは別に設けられる専用の波高分析手段により分析された信号が供給され、この専用の波高分析手段には、上記X線検出器からの信号を、あらかじめ設定されている短い信号整形時定数のもとに整形した信号が供給されるように構成する(請求項4)ことが好ましい。
本発明は、X線検出器の劣化の進行度合いを表すパラメータとなり得る、当該検出器が曝されたX線の強度とエネルギを、自らの出力を波高分析して各波高ごとに計数していくことによって求めるとともに、その計数には、測定時間分の計数を行う分析用の計数手段とは別の計数手段(検出器寿命予測用計数手段)を用いて常時計数することで、課題を解決しようとするものである。
すなわち、X線検出器の出力を波高分析し、各波高ごとに計数することによって当該検出器が曝されたX線の強度とエネルギを知ることができ、X線検出器の使用開始からの累積結果は、このX線検出器の劣化の進行を表すパラメータとなり得る。しかしながら、試料の分析のための計数手段(この種の分析装置が基本的構成要素として元来的に備えている計数手段)は、設定された測定時間分の検出器出力の波高(X線エネルギ)ごとの計数を行うものであり、この計数手段による計数結果を複数回の測定にわたって加算したとしても、測定時間外にX線検出器が曝されたX線に関する情報は含まれない。つまり、この種の分析装置においては、測定に先立って電流調整等のための期間を設けて、その間に蛍光X線を検出しながら調整作業を行う。したがって、この調整期間中にX線検出器が曝されるX線に関しては、分析用の計数手段による計数結果には含まれない。
そこで、本発明においては、分析用の計数手段とは別に、検出器寿命予測用の計数手段を設け、この検出器寿命予測用計数手段については、X線検出器の使用開始から、その全ての出力の波高分析結果を各波高ごとに常時計数するようにした。これにより、X線検出器が曝された全てのX線に関する情報を蓄積していくことができる。
そして、上記の検出器寿命予測用計数手段による計数結果が、あらかじめ設定されている条件に達したことを判別手段で判別して、X線検出器の交換時機到来の旨を報知することで、劣化してしまうまでにX線検出器の交換を促すことができる。
X線検出器の交換時期到来の条件としては、請求項2に係る発明のように、検出器寿命予測用計数手段による各波高ごとの信号の計数値を、波高が高いほど、したがってX線エネルギが大きいほど、重みを付して加算してなる重み付け加算値がしきい値に到達していることとするか、あるいは、請求項3に係る発明のように、検出器寿命予測用計数手段による各波高ごとの信号の計数値のうち、あらかじめ設定されている波高以上の高さの信号の計数値の合計が、あらかじめ設定されているしきい値に到達していることとすることができ、いずれも、X線検出器が受けたダメージの大きさがある限度に達したことを条件として交換時期到来の判断を行うものである。
さらに、この種の分析装置におけるX線検出器の出力は、各種ノイズやベースライン変動などが含まれ、これらの影響を除去するために、波高分析手段の前段で信号が適宜に整形される。この整形のための時間は信号整形時定数、あるいはピーキングタイムと称され、この時間を長くするほどSNが向上し、結果的に正確な波高分析が可能となるが、この時間中に次の信号が発生する、いわゆるパイルアップ現象が生じる確率が高くなる。このパイルアップされた信号を、正規の信号として波高分析を行わないために、波高分析手段の前にパイルアップリジェクタと称される回路手段を設け、パイルアップした信号を排除する手段を設けている。このようにパイルアップした信号を排除すると、波高分析手段による分析結果は、X線検出器に入射したX線の一部が欠落したものとなり、これを検出器寿命予測用計数手段で計数しても、X線検出器が曝されたX線を正確に表すものではなくなる。
この不具合を解消するのが請求項4に係る発明である。この請求項4に係る発明においては、分析用の波高分析手段(この種の分析装置が基本的構成要素として元来的に有している波高分析手段)とは別に、検出器寿命予測用計数手段に対して専用の波高分析手段を設け、これにより、分析用の波高分析手段への入力信号については、SNを高くして分析の正確性を確保するためにピーキングタイムを長く設定しながら、検出器寿命予測用計数手段に対して専用に設けた波高分析手段への入力信号はピーキングタイムを短くして多少SNが悪くてもパイルアップを生じさせることなく、検出器寿命予測用計数手段にX線検出器からの全ての出力に関する波高分析結果を導くことが可能となる。これにより、X線検出器に入射した全てのX線の情報が得られ、これをX線検出器の交換時期の判断のための情報として用いることで、より正確な寿命予測が実現できる。
本発明によれば、X線検出器が曝されたX線の強度とエネルギを正確に検出し、その累積結果から当該検出器の劣化の進行の程度を把握して、検出器交換時期に関しての報知を行うことができ、検出器劣化に起因する問題の発生を未然に防止することができる。
本発明の実施形態を示す構成図。
以下、本発明の実施の形態について、その構成を表す図1を参照しつつ説明する。
X線管球1からのX線は、コリメータ等(図示略)により所要の大きさに絞られて励起用X線11として試料Wに照射される。この励起用X線11の照射により試料Wから蛍光X線12が放出され、その蛍光X線12はSi(Li)検出器やシリコンドリフト検出器などの半導体検出器からなるX線検出器2によって検出される。
X線検出器2の出力は、前置増幅器3により電圧信号に変換され、従来と同様に比例増幅・信号整形部4aにより増幅と信号整形がなされた後、マルチチャンネルアナライザ(MCA)に導かれる。MCAでは、波高分析部5aにおいて信号の波高分析が行われるとともに、計数部6aにおいて各波高ごとに信号が計数される。この計数はあらかじめ設定されている測定時間分だけ行われ、この信号の波高ごと、つまりエネルギごとの信号の計数結果は試料Wから放出された蛍光X線12のスペクトルを表すものであり、この蛍光X線スペクトル情報はデータ処理部に送られ、試料Wに含まれる元素とその濃度が求められる。計数部6aは測定時間が終了した時点で計数結果を上記のようにデータ処理部に送信した上で、その計数結果をリセットして次の測定に備える。
比例増幅・信号整形部4aでは、入力した信号を増幅して信号整形を行うことは前記したが、信号整形のための時間、つまりピーキングタイム(信号整形時定数)は可変となっており、通常は2〜20μsの間に設定される。このピーキングタイムを長くするほどSNが向上し、次段の波高分析部5aにより信号の波高を正確に分析することができる反面、信号の発生頻度が高い場合にはパイルアップ現象が生じる。比例増幅・信号整形部4aには、パイルアップした信号を波高分析部5aに送らないための機能、すなわちパイルアップリジェクタを備えており、パイルアップした信号については計数部6aでカウントしないように考慮されている。
さて、この実施の形態の特徴は、上記の比例増幅・信号整形部4aから計数部6aまでの回路構成と同等の回路構成を、検出器寿命予測用としてもう一系統備えている点である。
すなわち、前置増幅器3を経たX線検出器2からの出力は、上記した比例増幅・信号整形部4aの他に、別系統の比例増幅・信号整形部4bにも入力され、増幅と信号整形が行われる。ただし、この比例増幅・信号整形部4bにおけるピーキングタイムはあらかじめ短い時間に設定されている。これにより、信号のSNは多少悪くなるもののパイルアップ現象は生じず、比例増幅・信号整形部4bは前置増幅器3を介して入力されたX線検出器2からの信号を全て次段の波高分析部5bに送る。
波高分析部5bは前記した分析用の波高分析部5aと同じであり、入力された信号の波高分析を行い、計数部6bに供給する。計数部6bが波高分析された各波高ごとの信号をそれぞれに計数していくことは、前記した分析用の計数部6aと同じであるが、この計数部6bは、1回の測定が終了するごとに計数内容をリセットするのではなく、X線検出器2の使用開始時点からの信号計数を継続していく。また、この検出器寿命予測用の計数部6bでは、測定時間の間だけ信号を計数するのではなく、測定器に先立つ調整期間中に発生したX線検出器2からの出力についても計数する。
したがって、検出器寿命予測用の計数部6bの計数内容は、X線検出器2の使用開始時点から、検出器2より出力される信号の全てを各波高ごとに計数した結果であり、換言すれば、X線検出器2が使用開始時点から曝された全てのX線のエネルギごとの強度の累積値を表している。
検出器寿命予測用の計数部6bの計数内容は、随時に重み付け加算部7に送られ、この重み付け加算部7では、その計数内容を、波高が高いほど重みを付して加算する。したがって、この重み付け加算値は、X線検出器2が使用開始時点から曝されている全てのX線の各エネルギごとの強度を、エネルギが高いほど重みを付して加算した値となり、X線検出器2が現時点までに受けたX線によるダメージを表すパラメータとなる。
そして、この重み付け加算部7による重み付け加算値は、判定部8においてあらかじめ設定されているしきい値と比較され、この判定部8は、重み付け加算値がしきい値を越えた時点で、X線検出器2の交換時期が到来した旨の報知出力を発生する。この報知出力により、例えば装置の表示部にその旨の表示を行ったり、あるいは警報音を発生させたりして、オペレータにその旨を通知する。
以上の本発明に係る実施形態によれば、X線検出器2の劣化による分析結果の誤差の発生を未然に防止することができる。しかも、その寿命予測は、X線検出器2が使用開始時点から曝された全てのX線のエネルギごとの強度に基づいているので、正確かつ過不足のない寿命の予測が可能である。
ここで、以上の実施の形態においては、重み付け加算値がしきい値に到達した時点でX線検出器の交換時期の到来を報知する例を示したが、複数のしきい値を設定しておき、交換時期の到来前に予備的な報知を行うようにしてもよい。
また、以上の実施の形態においては、計数部6bの計数内容を重み付け加算することにより寿命予測のためのパラメータとした例を示したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば計数部6bの計数内容のうち、あらかじめ設定されているエネルギ以上のX線の計数値を単純加算したパラメータとすることもできる。
さらに、以上の実施の形態においては、分析用の比例増幅・信号整形部4aとは別に、寿命予測用に専用の比例増幅・信号整形部4bを設けて、これにより整形された信号を、同じく専用の波高分析部5bにより波高分析して計数部6bによる計数に供した例を示したが、分析用の比例増幅・信号整形部4aと波高分析部5aを経た信号を、検出器寿命予測用の計数部6bにより常時計数して累積していく構成を採用してもよい。この構成では、信号のパイルアップが生じた場合に、パイルアップリジェクタによりその信号は排除されることになり、計数部6bの計数内容はX線検出器2が曝されたX線を必ずしも正確に表すものではなくなるが、パイルアップ現象の発生はさほど多くないこと、あるいはパイルアップ現象が生じる確率が、装置の通常使用ではさほど違わないことなどを考えると、その分を見越して判別部8におけるしきい値を小さくしておくことで、ほぼ正確な寿命予測を行うことができる。
1 X線管球
2 X線検出器
3 前置増幅器
4a,4b 比例増幅・信号整形部
5a,5b 波高分析部
6a,6b 計数部
7 重み付け加算部
8 判定部
11 励起用X線
12 蛍光X線
W 試料

Claims (4)

  1. 試料に励起用X線を照射して生じる蛍光X線を検出するX線検出器と、そのX線検出器の出力信号の波高分析を行う波高分析手段と、その波高分析された信号を、あらかじめ設定された測定時間分だけ各波高ごとに計数する計数手段を有し、その計数結果から試料に含まれる元素とその濃度を求めるX線分析装置において、
    上記計数手段とは別に、検出器寿命予測用計数手段を備え、この検出器寿命予測用計数手段は、上記X線検出器の使用開始時点から、波高分析された信号を各波高ごとに常時計数して累積していくとともに、その検出器寿命予測用計数手段による計数結果が、あらかじめ設定されている条件に到達したか否かを判別する判別手段を有し、この判別手段による判別結果に基づき、上記条件に到達した時点で、上記X線検出器の交換時期到来の旨の報知を行う報知手段を備えていることを特徴とするX線分析装置。
  2. 上記X線検出器の交換時期到来の条件が、上記検出器寿命予測用計数手段による各波高ごとの信号の計数値を、波高が高いほど重みを付して加算してなる重み付け加算値が、あらかじめ設定されているしきい値に到達していることであることを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。
  3. 上記X線検出器の交換時期到来の条件が、上記検出器寿命予測用計数手段による各波高ごとの信号の計数値のうち、あらかじめ設定されている波高以上の高さの信号の計数値の合計が、あらかじめ設定されているしきい値に到達していることであることを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。
  4. 上記検出器寿命予測用計数手段には、上記波高分析手段とは別に設けられる専用の波高分析手段により分析された信号が供給され、この専用の波高分析手段には、上記X線検出器からの信号を、あらかじめ設定されている短い信号整形時定数のもとに整形した信号が供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のX線分析装置。
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