(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る記録装置としてのインクジェット記録装置について説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一または対応部分を示すものである。
(インクジェット記録装置の構成)
図1に、第1実施形態に係るインクジェット記録装置100の断面図を示す。インクジェット記録装置100の搬送機構(搬送装置)10は、大きく分けて、シート積載部11と給紙部12と分離部13と反転搬送部14と両面搬送路15と水平搬送部16を有して構成されている。
記録媒体は、記録の行われる前の状態では、シート積載部11内に収容されて積載されている。シート積載部11に積載された記録媒体は、給紙部12の給紙ローラと分離部13とによって1枚ずつに分離されてピックアップされ、順に記録位置に向けて搬送経路を搬送される。シート積載部11よりも記録媒体の搬送方向の下流側の位置には、反転搬送部14が配置されている。反転搬送部14は、両面搬送部15を備えている。記録媒体は、反転搬送部14の両面搬送部15を搬送されることで、記録媒体の表裏を反転させることが可能である。以下、記録媒体の搬送方向について、単に搬送方向と言うものとする。また、記録媒体の搬送方向における上流側、下流側の方向について、単に上流側、下流側と言うものとする。また、記録媒体の搬送方向について、給紙部12から記録部17を経由して排紙部に向かう方向を記録媒体の搬送方向の前方とし、反対の方向を搬送方向の後方と言うものとする。また、記録媒体における搬送方向の前方の端部の位置を前端部とし、記録媒体における搬送方向の後方の端部の位置を後端部と言うものとする。
反転搬送部14よりも下流側の位置には、搬送経路が水平方向に沿って延びた水平搬送部16が形成されている。水平搬送部16には、搬送手段としての搬送ローラ18が配置されている。搬送ローラ18は、図示しない駆動源である駆動モータと接続されており、駆動モータによって駆動されることによって搬送ローラ18が回転することが可能である。
搬送ローラ18に対向する位置には、図3に示されるように、搬送ローラ18に向かう方向へ付勢されたピンチローラ19が配置されている。また、ピンチローラ19は、搬送ローラ18に当接した状態、あるいは搬送ローラ18とピンチローラ19とによって記録媒体が挟まれた状態で、搬送ローラ18が回転駆動した際に、搬送ローラ18の回転に従動して回転することが可能である。搬送ローラ18とピンチローラ19との間に記録媒体が挟まれた状態で、搬送ローラ18が回転駆動することにより、記録媒体を、搬送方向の下流側に向けて搬送することが可能である。このように記録媒体が搬送されることにより、記録媒体が高精度に搬送されることが可能である。
搬送ローラ18には、搬送ローラ18と同軸上に、不図示のエンコーダホイールとエンコーダセンサ(搬送量検出手段)とが取り付けられている。これらのエンコーダホイール及びエンコーダセンサによって搬送ローラ18による回転量を検出することができ、搬送ローラ18の駆動を制御することができる。これにより、例えば7200dpiの解像度(0.0035mm/slit)で記録媒体を搬送することを可能にしている。
搬送ローラ18の下流側には、記録媒体に記録を行うための記録部17が配置されている。記録部17には、インク等の液体を吐出する記録ヘッド(液体吐出ヘッド)が備えられている。記録ヘッドは、記録ヘッドを支持することが可能なキャリッジ(支持部材)に搭載される。記録ヘッドに対応した位置には、プラテンが配置されている。プラテンは、記録中に、記録ヘッドに対応する位置に搬送されてきた記録媒体を支持する。
本実施形態では、不図示のインクタンクから記録部17の記録ヘッドへインクが供給されて、記録ヘッド内にインクが貯留される。記録ヘッドには、複数の吐出口が所定方向に列状に配列されて複数の吐出口列が形成されている。吐出口列は、搬送方向に沿って複数の吐出口が記録ヘッドに並べられて形成されている。記録ヘッドには、貯留されたインクがそれぞれの吐出口に供給されるように、不図示のインク流路が形成されている。不図示のインクタンクから供給されて記録ヘッド内に一旦貯留されたインクが記録ヘッドから吐出可能に構成されている。
本実施形態では、記録ヘッド内に形成されたインク流路には、発熱抵抗素子(電気熱変換体)が備えられている。配線を通して発熱抵抗素子に通電して、その発熱抵抗素子から熱エネルギーを発生させることにより、インク流路内のインクが加熱されて膜沸騰により発泡する。このときの発泡エネルギーによって吐出口からインク滴が吐出される。
本実施形態のインクジェット記録装置100は、記録ヘッドが主走査方向に走査を行うシリアルスキャン方式の記録装置である。インクジェット記録装置100は、キャリッジが移動することにより記録ヘッドが移動することが可能である。インクジェット記録装置100は、記録ヘッドを主走査方向に移動させつつ、記録媒体における記録領域に向かってインクを吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ記録媒体を副走査方向に搬送する搬送動作とを行う。記録動作と、搬送動作とを交互に繰り返すことによって、記録媒体上に順次画像を記録する。
(片面記録の際の記録媒体の流れについて)
次に、片面記録の行われる際の記録媒体の経路について説明する。図1の矢印P1に示されるように、記録媒体は、給紙部12の給紙ローラと分離部13とによって搬送経路に給紙された後に、反転搬送部14に向けて搬送される。記録媒体は、その後水平搬送部16に送られ、記録部17を通る。記録部17に対向した位置で、記録媒体の一方の面に対し、記録が行われる。本実施形態では、記録部17の記録ヘッドからインク滴が吐出されることで記録媒体の一方の面に対し記録が行われる。記録媒体の一方の面への記録が完了すると、記録媒体は排紙部の方へ搬送され、排紙される。
(両面記録の際の記録媒体の流れについて)
次に、両面記録の行われる際の記録媒体の搬送経路について説明する。本実施形態のインクジェット記録装置100は、片面記録によって記録を行う片面記録モードで記録を行うことが可能であると共に、両面記録によって記録を行う両面記録モードで記録を行うことが可能である。従って、記録媒体の一方の面に記録を行った後に、記録媒体の表裏を反転させて、記録媒体の他方の面が記録部17に対向して記録媒体の他方の面に記録を行わせることが可能である。図2に、インクジェット記録装置100の断面図を示し、両面記録の行われる際の記録媒体の表裏反転させるときの記録媒体の経路が矢印P2によって示されている。
両面記録が行われる際には、まず、片面記録と同様の経路で、記録媒体の一方の面に対し記録が行われる。記録媒体の一方の面に対する記録が完了すると、記録媒体の表裏を反転させ、記録媒体における記録の行われた記録面の反対側の裏面に対し記録が行われる。
記録媒体の一方の面に対する記録が完了すると、記録媒体は、一旦記録部17から排紙部に向かう搬送方向とは逆方向に搬送される。記録媒体が反転搬送部14に到達すると、記録媒体は、図2に示されるように、両面搬送部15を搬送される。両面搬送部15を通った記録媒体は、再び一方の面に対する記録が行われる際の搬送経路に戻される。このとき、記録媒体は、一方の面に対して記録の行われているときに比べて、記録媒体の上流側端部と下流側端部との位置が入れ替えられて搬送される。また、記録媒体は、表裏が反転された姿勢で搬送される。
記録媒体が、表裏の反転された状態で記録部17に対応する位置に到達すると、片面記録の行われたときの記録面とは逆側の裏面が記録部17に対向している。従って、記録媒体における既に記録の行われている面の逆側の裏面に対し、記録部17によって記録が行われる。裏面に対する記録が完了すると、記録媒体は排紙部の方へ搬送され、排紙される。
図3に、本実施形態のインクジェット記録装置100の制御構成の概略について示したブロック図を示す。インクジェット記録装置100では、制御部B1が、制御部B1のインターフェイス部を介して接続されたPC(B2)や、操作パネルB3から、記録命令を受ける。また、それとは別に、インクジェット記録装置100は、制御部B1内部に搭載されたタイマーなどによって動作を行う。
その際には、制御部B1は、搬送部駆動伝達系B6に接続された搬送モータB5に対して、搬送モータB5に接続されたドライバB4を通して電力を供給する。また、それと並行して、制御部B1は、記録部モータドライバB11を介して、記録部モータB12に、電力を供給する。これによって、記録部モータB12に接続された記録部B13の動作を制御している。また、記録部B13は、その動作によって、搬送駆動切替・伝達系B8の駆動切替を行えるように、輸送伝達切替・伝達系B8に接続されている。また、搬送駆動伝達系B6を介して搬送モータB5から駆動を伝達された記録送りローラユニット及び排紙ローラユニットB7は、記録の際には記録媒体を搬送する。また、それと共に、記録送りローラユニット及び排紙ローラユニットB7が、搬送駆動切替・伝達系B8に回転駆動力を伝達する。
搬送駆動切替・伝達系B8は、記録送りローラユニット及び排紙ローラユニットB7から伝達された駆動力を、給紙ローラユニットB9及び中間ローラユニットB10へ伝達する。このとき、搬送駆動切替・伝達系B8から伝達される駆動力は、記録部B13の動作に応じて、駆動伝達の有無、及び回転方向を切り換えて、給紙ローラユニットB9及び中間ローラユニットB10に伝達される。各モータの回転状態や負荷状態、記録紙の搬送状態は、インクジェット記録装置の各所に設けられた、各種センサB14によって検知され、信号の形で制御部B1に情報が送られる。制御部B1は、命令とセンサ情報とに基づいて、各モータを制御し、記録を行う。
(記録媒体端部検知手段について)
次に、記録媒体端部検知手段(媒体検出手段)について説明する。図4に、インクジェット記録装置100における、記録媒体端部検知手段の周辺について拡大した断面図を示す。図4では、水平搬送部16に記録媒体が到達してなく、記録媒体端部検知手段101の位置に記録媒体が存在していない状態について示されている。
本実施形態では、記録媒体端部検知手段101が、水平搬送部16における搬送ローラ18の上流側の位置に配置されている。記録媒体端部検知手段101は、検知レバー103と光学センサ104とを有して構成されている。記録媒体端部検知手段101は、記録媒体の先端または後端を検知することが可能に構成されている。検知レバー103は、搬送経路に沿って延びる搬送路下ガイド面102よりも下方に位置する回転軸を中心に回転移動する。
検知レバー103は、記録媒体の搬送経路に位置し、記録媒体と当接することが可能な当接部材120を備えている。検知レバー103は、回転軸を中心に回転移動することにより、当接部材120が揺動可能となるように取り付けられている。検知レバー103の回転軸には、バネ107が取り付けられている。バネ107によって、当接部材120が搬送経路に向かう方向へ検知レバー103が回転するように、検知レバー103が付勢されている。本実施形態では、検知レバー103が、図4に示される時計回り(CW)方向に回転移動するように、付勢されている。
記録媒体が搬送経路を搬送されて当接部材と接触したときには、記録媒体によって当接部材120が押される力が検知レバー103のバネ107による付勢力に打ち勝つことにより、当接部材120が記録媒体の搬送経路から押し出される。これにより、当接部材120が搬送経路から遠ざかる方向に検知レバー103が回転し、当接部材120が搬送経路から離間する方向に当接部材120が変位する。
また、検知レバー103における当接部材120の取り付けられた側とは逆側の他端106には、発光部と受光部とを備えた光学センサ104が取り付けられている。当接部材120と記録媒体とが当接し、検知レバー103が回転軸を中心に回転移動すると、発光部と検知レバー103との間の位置関係がずれる。それまで受光部が検知レバー103によって遮られていた発光部からの発光が、検知レバー103に遮られずに、受光部に向かうようになる。従って、検知レバー103が回転軸を中心に回転移動したときに、遮断されていた発光部から受光部に向かう光軸が受光部に到達し、受光部で受光される。従って、発光部からの発光を受光部で検知することで、検知レバー103が回転移動して当接部材120が変位していることを検出することができる。すなわち、記録媒体と当接部材120とが当接したことを検出することができる。
図4に示されるように、検知レバー103の当接部材120が記録媒体に当接していないときには、検知レバー103は図示しないストッパーにより図4に示される位置に係止されている。検知レバー103がこの位置にあるときには、光学センサ104の発光部から発光された光軸109は、検知レバー103の他端106によって遮断されている。従って、このときの光学センサ104からの出力は、OFFの状態になっている。
一方、図5(a)〜(c)に示すように、検知レバー103の当接部材120が記録媒体に当接しているときには、バネ107による付勢力に反して検知レバー103が、図5に示される方向に回転する。図5(a)〜(c)には、検知レバー103の当接部材120に記録媒体が当接した際の、検知レバー103及び当接部材120について示した断面図が示されている。検知レバー103が回転移動すると、光学センサ104の発光部から発光される光軸は遮断されずに、受光部によって受光される。従って、光学センサ104からの出力は、ON状態になっている。
従って、記録媒体の前端部が当接部材120と接触して変位した状態から元の位置に復帰したときには、光学センサ104による出力によって、当接部材120の復帰を検出することが可能である。従って、光学センサ104(復帰検出手段)は、当接部材120が搬送経路の元の位置に復帰したことを検出することができる。
次に、上記の記録媒体端部検知手段101を用いた記録媒体の検知方法について説明する。検知レバー103における記録媒体の搬送経路に位置する側の一端105に、記録媒体Pの前端部が当接する。この状態において、光学センサ104からの出力は、OFFの状態である(図5(a))。
記録媒体Pがそこからさらに下流側に向けて搬送されると、当接部材120が記録媒体の搬送方向の下流側に押され、検知レバー103が図5(a)〜(c)に示される反時計回り(CCW)の揺動を開始する。検知レバー103が揺動すると、それに伴い検知レバー103の他端106のエッジ110の位置が移動する。これにより、それまで発光部と受光部との間に位置して発光部からの光を遮蔽していた検知レバー103が、発光部と受光部との間の位置から離間する。発光部からの光が受光部によって受光されるようになるので、光学センサ104による出力がOFFからONに切り替わる(図4(b))。
これにより記録媒体の先端が記録媒体端部検知位置に到達したときに、そのことを正確に検知することができる。従って、例えば、その記録媒体端部検知位置を起点として記録媒体の搬送量を正確に制御することができる。さらに記録媒体が搬送されると検知レバー103はさらに揺動し、検知レバー103の他端106のエッジ110は光軸109上から退避し、ON状態が継続される。
次に、検知レバー103と光学センサ104により、記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段101の位置を通過するタイミングを検出する方法について図6を参照して説明する。図6(a)〜(c)には、記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段101の位置を通過する際の、記録媒体端部検知手段101の周辺の断面図について示されている。
記録媒体の後端部が用紙後端検知位置Aに到達すると、検知レバー103と記録媒体の後端部とが離間し、バネ107による付勢力により検知レバー103が時計回り(CW)に回転を開始する(図6(a))。そして、当接部材120が搬送経路に戻る方向に検知レバー103が回転することにより、検知レバー103の他端106が発光部からの発光を遮る位置に戻る。エッジ110が発光部からの発光の光軸109上を通過し、検知レバー103が受光部を覆うことにより受光部での受光ができなくなる。これにより、光学センサ104からの出力がONからOFFに切り替わる(図6(b))。
検知レバー103が復帰する方向に揺動を開始してから光学センサ104による出力がONからOFFに切り替わるまでの所要時間は、本実施形態においては、およそ0.02secである。この時間を、検出遅れ時間Tsとしている。すなわち、記録媒体の後端部が当接部材120に対応する位置を通過してから、記録媒体端部検知手段101が当接部材120の復帰を検出するまでに、検出遅れ時間Tsが生じる。この検出遅れ時間Tsの間に、記録媒体の後端部は用紙後端検知位置AからBの位置まで進んでいる。
このように、記録媒体の後端部が実際にAに到達してから、記録媒体端部検知手段101によって記録媒体の後端部がAに到達したことを検出するまで、時間Tsの分だけ時間差がある。そのため、実際に記録媒体の後端部がAを通過した時間を検知するには、光学センサ104による出力OFFが検知されてから遅れ時間Tsを遡った時間を検知することが求められる。記録媒体の後端部がAに到達したことを検出してから、検出の際の遅れ時間Tsの分だけ時間を遡ることで、実際に記録媒体の後端部がAに到達した時間を検出することができる。つまり、光学センサ104による出力OFFが検知されてから遅れ時間Tsを遡った時間に、記録媒体の後端部がAに到達したと判断される。
そして、さらに当接部材120が記録媒体の搬送経路に戻る方向に検知レバー103が揺動を続け、ストッパーによって検知レバー103が再度係止されることで検知レバー103の回転移動が停止する(図6(c))。このとき、記録媒体の後端部はさらに進んでCの位置に到達している。
ここで、遅れ時間Tsは、インクジェット記録装置100に搭載された書き換え可能な記憶手段によって記憶されている。また、インクジェット記録装置100は、装置ごとに、遅れ時間にばらつきがある。そのため、装置毎の遅れ時間のばらつきを補正するために、インクジェット記録装置100は、後述する遅れ時間の補正値を算出する算出手段を有している。
なお、本実施形態では、記録媒体の後端部が実際に記録媒体端部検知手段101の位置を通過してから、記録媒体端部検知手段101によって記録媒体の後端部が通過したことが検知されるまでの検出の遅れ時間について検出されている。これは、記録媒体の後端部が実際に記録媒体端部検知手段101の位置を通過してから検知レバー103がバネ107による付勢力によって搬送経路に復帰するまでに時間がかかることで検出の遅れ時間が生じているためである。一方、記録媒体が記録媒体端部検知手段101の当接部材120と当接した瞬間の遅れ時間についてはあまり生じない。記録媒体が記録媒体端部検知手段101の当接部材120に当接した後も記録媒体が当接部材120と接触して記録媒体を押し続けるので、記録媒体と当接部材120とが当接した瞬間の遅れ時間はあまり生じず、そこでの遅れ時間は問題にならない。そのため、本実施形態では、記録媒体が記録媒体端部検知手段101の当接部材120と当接した瞬間の遅れ時間については補正されず、記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段101の位置を通過した瞬間の検出の遅れ時間について補正されている。
(遅れ時間補正手段による補正方法について)
記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段101の位置を通過するタイミングの検知において、予め記憶された遅れ時間Tsと実際の遅れ時間Ts1との間にずれがある場合、想定される搬送量と実際の搬送量との間に差が生じる。すなわち、所定位置から記録媒体の後端部がAに到達したと判断されるまでの搬送量と、所定位置から記録媒体の後端部がAに到達するまでの実際の記録媒体の搬送量と、の間に差が生じる。一方、前述したように、遅れ時間Tsは、インクジェット記録装置の個体毎にばらついているので、個体毎に遅れ時間Tsを補正する必要がある。
まず、遅れ時間補正の概念について説明する。遅れ時間補正は、搬送経路上の所定位置から、記録媒体の後端部が検知されるまでの搬送量を測定し、その結果から遅れ時間補正量を算出している。
図7(a)〜(c)に、記憶されている遅れ時間Tsと実際の遅れ時間Ts1に差がないときに、異なる速度(10inch/secと2inch/sec)で記録媒体の後端部の検知を行った場合の搬送機構の模式的な側面図を示す。図7(b)、(c)には、それぞれの搬送速度の場合の記録媒体の後端部の位置について示されている。
図7(a)に記録媒体の後端部が検知レバー103を通過した瞬間の記録媒体後端部位置(後端検知位置A)を示す。図7(b)、図7(c)に、記録媒体の後端部が後端検知位置Aを通過した図7(a)の状態の後に、光学センサ104がONからOFFに切り替わったことが検出された瞬間の記録媒体の後端部位置を示す。図7(b)は、記録媒体を、搬送速度V1(10inch/sec)(第1の搬送速度)で搬送している状態について示している。図7(c)は、記録媒体を、搬送速度V2(2inch/sec)(第2の搬送速度)で搬送している状態について示している。
図7(b)、(c)においては、記録媒体の後端部が後端検知位置Aを通過してから遅れ時間Ts1(0.02sec)後に光学センサの出力がONからOFFに切り替わったと検出される場合について示されている。
図7に示されているのは、インクジェット記録装置100の記憶手段に記憶されている遅れ時間Tsと実際の遅れ時間Ts1とが一致している場合の例である。なお、本実施形態では、遅れ時間Tsは、インクジェット記録装置100における記憶手段に記憶され、そこから遅れ時間Tsが取得される形態について述べているが、本発明はこれに限定されない。遅れ時間Tsについては、外部装置に記憶され、遅れ時間の補正の際にインクジェット記録装置100によって取得される形態であってもよい。本実施形態では、図3の制御部B1が記憶手段として機能している。光学センサ104の出力によって記録媒体の後端部が後端検知位置Aを通過したことが検出されたときに、設定されている遅れ時間Ts遡ることで検出される後端検知位置Aの通過時間と、実際の後端検知位置Aの通過時間とが一致している。そのため、光学センサ104の出力によって記録媒体の後端部が後端検知位置Aを通過したことが検出されたときの位置から設定されている遅れ時間Tsの分だけ搬送距離を遡ることにより検出される後端検知位置と、実際の後端検知位置Aとが一致している。
図7(b)に示される搬送速度(10inch/sec)のときの記録媒体の後端部の実際の位置は、後端検知位置AからV1×Ts1=10×25.4×0.02=5.08mm進んだ位置にある。
また、図7(c)に示される搬送速度(2inch/sec)のときの記録媒体の後端部の実際の位置は、後端検知位置AからV2×Ts1=2×25.4×0.02=1.02mm進んだ位置にある。
インクジェット記録装置100の本体に設定されている遅れ時間をTs=0.02secとする。図7(b)の場合、後端部検知手段による計算上の後端の検知位置は、図7(b)に示される後端部の位置に対してV1×Ts=10×25.4×0.02=5.08mm遡った位置になる(遡り後検知位置)。また、同様に、図7(c)の場合、計算上の後端の検知位置は、図7(c)に示される後端部の位置に対し、V2×Ts=2×25.4×0.02=1.02mm遡った位置になる。
この場合、図7(b)においても、図7(c)においても、後端検知位置Aと遡り後検知位置が一致し、記録媒体の後端部の位置が正しく検知できていると判断される。つまり、所定位置から後端検知位置Aまでの必要搬送距離を60mmとすると、10inch/secで搬送しても2inch/secで搬送しても、同じように所定位置から60mm搬送したところで、記録媒体の後端部を検出できる。
次に、記憶されている遅れ時間Tsと実際の遅れ時間Ts1とが一致していない場合について説明する。図8(a)〜(c)に、インクジェット記録装置100に記憶されている遅れ時間Tsと、実際の遅れ時間Ts1と、に差があるときに、異なる速度(10inch/secと2inch/sec)で後端検知を行った場合の搬送機構の模式的な側面図を示す。
図8(a)には、記録媒体の後端部が検知レバー103を通過した瞬間の記録媒体の後端部の位置(後端検知位置A)について示されている。図8(b)、(c)には、それぞれの搬送速度の場合の、記録媒体の後端部が後端検知位置Aを通過したことが検知された瞬間の記録媒体の後端部の位置について示されている。つまり、光学センサ104がONからOFFに切り替わったことが検出された瞬間の記録媒体の後端部位置について示されている。また、図8では、記録媒体の後端部が後端検知位置Aを通過してからの実際の遅れ時間Ts1=0.03sec後に光学センサの出力がONからOFFに切り替わったことを検出する形態について示している。インクジェット記録装置100に設定されて記憶されている遅れ時間Tsは、0.02secである。
図8(b)は、記録媒体を、搬送速度V1(10inch/sec)で搬送している状態について示している。図8(c)は、記録媒体を、搬送速度V2(2inch/sec)で搬送している状態について示している。
図8(b)では、実際の記録媒体の後端位置は、後端検知位置AからV1×Ts1=10×25.4×0.03=7.62mmだけ進んだ位置にある。また、図8(c)では、記録媒体の後端位置は、後端検知位置AからV2×Ts1=2×25.4×0.03=1.52mmだけ進んだ位置にある。
本実施形態では、インクジェット記録装置の本体に予め設定されている遅れ時間Tsを、0.02secとしている。従って、後端部検知手段による計算上の後端の位置は、図8(b)に示される記録媒体の後端位置に対して、V1×Ts=10×25.4×0.02=5.08mm遡った位置になる(遡り後検知位置)。また、図8(c)の場合には、計算上の後端の位置は、図8(c)に示される記録媒体の検知位置に対して、V2×Ts=2×25.4×0.02=1.02mm遡った位置になる。
基準位置となる所定位置では、レジ取りが行われている。ここで言う「レジ取り」では、記録媒体の前端部が搬送ローラ18に突き当てられる。こうすることにより、記録媒体にカール等が生じないように記録媒体の姿勢が整えられると共に、記録媒体の斜行が生じることが抑えられる。また、記録媒体の前端部が搬送ローラ18に突き当てられた際に、このときの記録媒体の位置が、記録媒体の基準位置として設定される。従って、基準位置としての所定位置からの記録媒体の搬送量が、搬送ローラ18に取り付けられたエンコーダホイール及びエンコーダセンサによって測定することができる。
このようにインクジェット記録装置100が構成されているので、基準位置となる所定位置から、図8(b)、(c)に示される光学センサ104がONからOFFに切り替わったことが検出された瞬間の記録媒体の後端部位置までの距離を測定することができる。従って、光学センサ104がONからOFFに切り替わったことが検出された瞬間の記録媒体の後端部の位置を把握することができる。つまり、前端部が所定位置に位置したときから記録媒体端部検知手段101によって後端部が当接部材120に対応する位置を通過したことを検出したときまでに記録媒体の搬送された搬送量(検出区間搬送量)を検出することができる。また、インクジェット記録装置100に設定されて記憶手段に記憶されている遅れ時間Tsから、図8(b)、(c)に示される遡り後検知位置について算出することができる。つまり、所定位置から当接部材120を通過したことが検出されるまでの搬送量から、記憶手段に記憶されている検出遅れ時間について設定されている値Tsの分だけ遡った分の搬送量を引いた搬送量(遡り搬送量)を算出することができる。
本実施形態では、図8(b)においては、所定位置から遡り後検知位置までの搬送量は、62.54mm(len1)である。また、図8(c)においては、所定位置から遡り後検知位置までの搬送量は、60.5mm(len2)になる。このように、記憶されている遅れ時間と、実際の遅れ時間と、の間に差がある場合、それぞれの搬送速度について検知された記録媒体の後端部の位置同士の間に誤差が発生する。このとき、誤差の大きさは、搬送速度に応じて変わってくる。そこで、異なる速度で記録媒体を搬送し、それぞれの搬送速度で記録媒体の後端部の検知が行われる。もし、このときの記録媒体の検知位置の検知結果に、異なる搬送速度に基づいて検出された記録媒体の後端部の位置の間で差があれば、遅れ時間Tsが正しくなかったと判断される。
ここでは、遅れ時間補正値TsAは、
TsA=Ts1−Ts
で表される。
遅れ時間補正値TsAは図8(b)と図8(c)の所定位置から、遡り後検知位置までの搬送量len1とlen2とから以下の式で計算することができる。
TsA=(len1−len2)÷(V1−V2)
V1、V2を(inch/sec)から(mm/sec)に直すと、
TsA=(len1−len2)÷(25.4mm×(V1−V2))
TsA=(62.54−60.5)÷(25.4×(10−2))=0.01sec
となる。
この結果から、実際の遅れ時間と記憶されていた遅れ時間との間の誤差は、0.01secになる。従って、遅れ時間は、記憶手段に記憶されている遅れ時間に誤差を加えることで、0.02sec+0.01sec=0.03secに補正されればよい。
次に、本実施形態における遅れ時間補正の動作について、図9のフローチャートを用いて説明する。
まず、S1においてシート積載部11に積載された記録媒体から搬送経路に1枚の記録媒体を給紙する。次に、記録媒体の先端部を搬送ローラ18に押し付けて、レジ取りが行われる(S2)。レジ取り終了後、10inch/secの搬送速度で記録媒体の搬送を開始する(S3)。記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段を通過すると、光学センサ104の出力による後端部の記録媒体端部検知手段の通過の瞬間に、記録媒体の後端部の位置が検知される(S4)。
その後、所定量だけ記録媒体を搬送した後、記録媒体の搬送を終了する(S5)。次に、検出の遅れ時間を含んだ、レジ取りから光学センサ104の出力による後端部の記録媒体端部検知手段の通過の瞬間の後端部の検知位置までの、記録媒体の搬送量len1が取得される(S6)。
次に、両面記録を行うための搬送経路に給紙を行う(S7)。このとき、インクジェット記録装置100に元々備えられている両面記録機能が用いられる。表面への記録が行われるときのように、表面が記録部17に対向する姿勢で10inch/secの搬送速度で搬送された後に、裏面への記録が行われる姿勢に表裏が反転される。記録媒体が両面搬送部15に供給され、そこで記録媒体が搬送されることにより、両面搬送部15を通過して再び水平搬送部16に戻された際には、記録媒体の表裏が反転される。記録媒体を反転させ、再度記録媒体の先端部を搬送ローラ18に押し付けて、レジ取りが行われる(S8)。そして、レジ取り終了後、2inch/secの搬送速度で、記録媒体の搬送が行われる(S9)。記録媒体の後端が記録媒体端部検知手段101を通過すると、光学センサ104の出力による後端部の記録媒体端部検知手段101の通過の瞬間に、記録媒体の後端部の位置が検知される(S10)。その後、記録媒体が排紙部まで搬送され、そこで記録媒体が排紙される(S11)。
検出の遅れ時間を含んだ、レジ取り終了から光学センサ104の出力による後端部の記録媒体端部検知手段101の通過の瞬間までの、記録媒体の搬送量len2が取得される(S12)。上述のような計算方法に基づいて取得したlen1とlen2から遅れ時間補正値TsAが算出される(S13)。そして、算出結果の補正値と、補正値について予め設定されている閾値とが比較され、算出された遅れ時間の補正値TsAが、閾値よりも大きい場合には、補正の行われるべき遅れ時間の範囲外として、エラーと出力される(S14)。遅れ時間補正値TsAが閾値以下の場合には、後述する遅れ時間の書き換えタイミングであるかどうか判断される(S15)。書き換えタイミングであれば、遅れ時間を補正し、補正された遅れ時間が記憶手段に記憶される(S16)。
遅れ時間補正においては、所定位置から記録媒体の後端の検出される検知位置までの搬送を異なる搬送速度で2回以上行い、それぞれの搬送速度での搬送量を測定して遅れ時間の補正量が算出されている。ここで行われている2回以上の搬送量の測定では、同じ長さの記録媒体を使用する必要がある。本実施形態では、自動両面記録機能を利用し、1枚の記録媒体を2回搬送させてそれぞれの搬送速度における搬送量の測定を行っている。
このように、検出遅れ時間についての補正量を算出する際に、両面記録モードで、記録媒体の前端部が所定位置に配置されてから後端部が当接部材120を通過するまでの測定区間を、異なる搬送速度で搬送させる。これによって、同一の測定区間で、異なる搬送速度についての、所定位置から当接部材120を通過したことが検出されるまでの搬送量から、設定されている検出遅れ時間の分だけ遡った分の搬送量を引いた搬送量(遡り搬送量)をそれぞれ検出することができる。
両面記録モードによって、遅れ時間の補正が行われる際には、記録媒体の表面及び裏面に記録が行われなくてもよい。それぞれの搬送速度による、所定位置から記録媒体端部検知手段101によって記録媒体が記録媒体端部検知手段101の位置を通過したことが検出されるまでの搬送距離を測定することができればよい。また、記録を行われずに遅れ時間の補正が行われる場合には、遅れ時間の補正のために記録媒体をインクジェット記録装置100の搬送機構10を通すことにより、記録媒体の搬送方向に沿った前端部から後端部までの長さを把握することができる。このとき把握した記録媒体の搬送方向に沿う長さと、記録媒体の後端が検知位置を通過する際の記録媒体端部検知手段101の遅れ時間の補正が行われることにより、その後の記録工程で記録媒体のより適切な位置に記録を行うことができる。従って、記録画像の品質をより向上させることができる。
通常、両面記録の場合には、同じ記録モードであれば、表面への記録と裏面への記録とで、搬送速度は同じである。しかしながら、本実施形態では、遅れ時間の補正を実施するため、記録媒体の後端が測定の行われる区間を通過するタイミングに合わせて、所定の搬送速度から異なる搬送速度(遅れ時間補正に必要な搬送速度)に切り替えられる。本実施形態では、10inch/secから2inch/secへ搬送速度が切り替えられる。
自動両面記録の機能を利用することで、記録媒体の裁断誤差による遅れ時間の補正量の誤差が生じることを抑えることができる。また、ユーザによる1回の操作で複数回の後端部の検知を行うことが可能になり、操作の工程数を少なくすることによりユーザによる手間を少なくすることができる。自動両面記録の機能を有しないインクジェット記録装置においては、同じ記録媒体を同一の区間に複数回搬送し、それぞれの搬送速度による搬送距離を検出することによって遅れ時間の補正を行うことが可能である。
本実施形態では、遅れ時間補正値TsAの取得は、両面記録を行うたびに実施されるが、「遅れ時間の書き換え」は、以下のタイミングで行われる。第1のタイミングとしては、インクジェット記録装置における本体製造時の出荷チェックで行う最初の自動両面記録が行われるときが挙げられる。第2のタイミングとしては、ユーザがインクジェット記録装置の本体初期設定で行う記録工程で実施される自動両面記録のときが挙げられる。第3のタイミングとしては、インクジェット記録装置の本体がカウントしている通紙枚数が、所定の枚数を超えた後の最初の自動両面記録のときが挙げられる。第4のタイミングとしては、両面記録の行われる前に、インクジェット記録装置の本体に搭載されている雰囲気温度センサで温度を測定し、測定された温度が前回の遅れ時間補正時の測定温度と所定以上の差になったときが挙げられる。
また、第1のタイミングにおいて、遅れ時間の補正値TsAが所定の値(閾値)以上であったときには、遅れ時間の補正値TsAの書き換えは行われず、装置の不良と判断し、次工程に進まないようになっている。これは、組立ての不良や部品の不良によって、別の要因による誤差が発生していることが考えられるからである。この場合、遅れ時間の補正値TsAの補正によって遅れ時間を補正することは可能である。しかしながら、センサによる検知の遅れ以外の別の原因による遅れについては、別の方法で対応する方が望ましい。
このように、本実施形態の構成によれば、記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段101を実際に通過してから、記録媒体が記録媒体端部検知手段101を通過したことが検出されるまでの遅れ時間を補正することができる。従って、遅れ時間を補正することによって、記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段101を実際に通過してから、記録媒体が記録媒体端部検知手段101を通過したことが検出されるまでのより正確な遅れ時間を把握することができる。より正確な遅れ時間を把握することができるので、記録媒体端部検知手段101からの記録媒体の搬送量を把握することで、記録媒体端部検知手段101を通過してからの記録媒体の位置をより正確に検出することができる。記録媒体の位置がより正確に検出されるので、記録媒体の記録面により正確に記録を行うことができる。従って、記録によって得ることのできる記録画像の品質を向上させることができる。特に、記録媒体の搬送方向に沿った位置をより正確に把握することができるので、記録媒体に不必要に大きな余白等が生じないように記録を行うことができ、記録媒体上の適切な位置に画像の記録を行うことができる。
また、本実施形態においては、レジ取りによって記録媒体の所定位置を基準位置と設定した後に、そこからの記録媒体の搬送量を、搬送ローラ18に取り付けられたエンコーダホイール及びエンコーダセンサによって測定することができる。そのため、所定の測定区間について、異なる搬送速度による搬送距離を測定することができ、これによって記録媒体端部検知手段101の検出の遅れ時間を補正することができる。本実施形態では、1つの記録媒体端部検知手段101によって、記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段101を実際に通過してから、記録媒体が記録媒体端部検知手段101を通過したことが検出されるまでのより正確な遅れ時間を把握することができる。従って、センサについては、検出の際に遅れ時間の生じる記録媒体端部検知手段101の1つだけを用いることにより、記録媒体が記録媒体端部検知手段101を通過したことが検出されるまでの遅れ時間を把握することができる。これにより、搬送機構の構成を簡易にすると共に、搬送機構の製造コストを抑えることができる。また、結果的に、インクジェット記録装置100の構成を簡易にすることができ、インクジェット記録装置100の製造コストを少なくすることができる。
また、本実施形態では、インクジェット記録装置100に元々設定されていた両面記録モードを用いて、基準位置としての所定位置から記録媒体端部検知手段101までの区間について複数回搬送させている。このとき、複数回の搬送を行わせる際に、異なる搬送速度によって搬送させることで、異なる搬送速度による、基準位置としての所定位置から記録媒体端部検知手段101までの区間についての搬送距離を測定することができる。従って、所定位置から記録媒体端部検知手段101までの区間について、記録媒体を異なる搬送速度によって搬送させるのに特別な制御を必要としないので、インクジェット記録装置100の制御手段を簡易なものにすることができる。本実施形態では、制御部B1が制御手段として機能している。従って、インクジェット記録装置の製造コストをより低く抑えることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。なお、上記第1実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
上記第1実施形態では、両面記録機能を有するインクジェット記録装置において、両面記録を行うための搬送経路を用いて、記録媒体の検出における遅れ時間の補正を行っている。これに対し、第2実施形態では、両面記録機能を持たないインクジェット記録装置において、記録媒体の検出における遅れ時間の補正を行う形態について説明する。
両面搬送機能を有しないインクジェット記録装置を用いて遅れ時間の補正を行う場合の動作について図10のフローチャートを参照して説明する。
まず、S1において、シート積載部11に積載された記録媒体から搬送経路に1枚の記録媒体を給紙する。次に、記録媒体の前端部を搬送ローラ18に押し付けてレジ取り(S2)が行われる。レジ取り終了後、10inch/secの搬送速度で記録媒体の搬送を行う(S3)。記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段を通過すると、記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段101を通過したタイミングの検知が行われる(S4)。その後、所定量だけ記録媒体を搬送した後、記録媒体の搬送を終了する(S5)。次に、レジ取りで得られた基準位置としての所定位置から、光学センサ104の出力による後端部の記録媒体端部検知手段の通過の瞬間の後端部の検知位置までの記録媒体の搬送量len1が取得される(S6)。
次に、記録媒体の後端部検知の行われる記録媒体端部検知手段101の位置よりも搬送方向の上流側の位置に記録媒体の前端部が位置するように記録媒体を逆送させ、記録媒体を一旦記録媒体端部検知手段101よりも上流側に戻す(S7)。このとき、所定位置から記録媒体端部検知手段101に向かう搬送方向とは逆方向に、記録媒体を逆送させる。記録媒体の前端部が記録媒体端部検知手段101の位置よりも搬送方向の上流側に位置するまで戻されると、そこから、2inch/secの搬送速度で、搬送方向に沿って記録媒体の搬送が行われる(S8)。その搬送速度によって、記録媒体の後端部が記録媒体端部検知手段101を通過したタイミング及び搬送距離の検知(S9)が行われると、記録媒体が排紙される(S10)。このとき、記録媒体は、基準位置となる所定位置まで戻される必要はない。
1回目の搬送(10inch/secの搬送速度による搬送)の際のレジ取りで既に基準位置が設定されているので、このときの基準位置を用いることで、基準位置となる所定位置からの搬送距離を測定することができる。つまり、基準位置の設定を毎回行わなくても、基準位置としての所定位置から、記録媒体が記録媒体端部検知手段101を通過したことが検出されるまでの、記録媒体の搬送距離を測定することができる。
前端部が記録媒体端部検知手段101の位置よりも搬送方向の上流側まで戻された位置から記録媒体を搬送させ、記録媒体が記録媒体端部検知手段101を通過したことが検出されるまで記録媒体を搬送させる。このときの基準位置となる所定位置からの搬送距離から、(S7)で記録媒体を逆送させた分の搬送量を引くことにより、所定位置から、記録媒体が記録媒体端部検知手段101を通過したことが検出されるまでの、記録媒体の搬送距離が得られる。このようにして、レジ取り終了から記録媒体の後端部の検知までの記録媒体の搬送量len2が取得される(S11)。
前述した計算方法に基づいて取得されたlen1とlen2から、遅れ時間補正値TsAが算出される(S12)。そして、算出結果と、閾値とが比較され、補正値が閾値よりも大きい場合には、補正の適用される範囲外として表示部(通知手段)にエラーが出力される(S13)。補正値が閾値以下の場合には、第1実施形態で挙げた遅れ時間の書き換えタイミングかどうかを判断し(S14)、書き換えタイミングであれば遅れ時間が補正され、記憶手段に記憶される(S15)。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態の記録ヘッドは発熱抵抗素子により膜沸騰を発生させて発泡させインク滴を吐出する方式としたが、本発明はこれに限定されない。圧電素子を変形させ、これによって記録ヘッド内部の液体を吐出する形式の記録ヘッドが記録装置に適用されても良く、また、他の形式の記録ヘッドが本発明の記録装置に適用されても良い。また、インクタンクは、記録ヘッドに搭載されているタイプでも、記録装置本体に内蔵されているタイプのものであってもどちらでもかまわない。また、本実施形態では、記録ヘッドが主走査方向に沿って移動しながら記録を行うシリアルスキャン方式のインクジェット記録装置に本発明が適用される形態について説明している。しかしながら、本発明はこれに限定されず、記録媒体の幅方向の全域に亘って延在する記録ヘッドを用いるフルライン方式のインクジェット記録装置が適用されてもよい。
また、上記実施形態における搬送機構は、画像情報に基づいて記録ヘッドにより画像を記録するインクジェット記録装置に限定されるものではない。本発明は、ファクシミリやスキャナ等の画像読取装置の搬送機構に適用され、画像を読み取る対象の原稿等、記録の行われないシートを搬送する搬送機構に適用されてもよい。その場合には、原稿などを搬送するための種々の搬送機構に対しても同様に本発明が適用されることが可能である。シート状の記録媒体もしくは原稿などのシートを積載部から1枚ずつ搬送経路に給紙して搬送する搬送機構を有する構成であれば、その形態や動作方式に関わらず適用することができる。また、本発明が、原稿に形成された画像の読み取りを行うファクシミリやスキャナ等に適用されている場合には、記録部の配置された位置に、画像の読み取りを行う読取部などの、記録部以外の構成が配置されてもよい。
また、上記実施形態の搬送機構が、記録装置に搭載されて構成されている場合には、記録部としては、記録媒体に画像を記録するものであれば、種々の記録方式を採ることができる。例えば、記録ヘッドの吐出口からインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置の他、レーザービーム式、熱転写式、感熱式、ワイヤドット式など、別の方式の記録装置でも採用可能である。さらに、本発明は、記録部を有する画像形成装置の他、それ以外の単一又は複数の機器を一体化した構成の画像形成装置に対しても同様に適用できるものである。