JP6358256B2 - リチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、リチウムイオン二次電池負極の製造方法及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
(1) 負極活物質、粒子状結着剤および水溶性ポリマーを含むリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物であって、前記粒子状結着剤と前記水溶性ポリマーからなる厚さ200μmの複合フィルムを電解液中で膨潤させた後の破断強度が20MPa以上90MPa以下であるリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、
(2)前記粒子状結着剤と前記水溶性ポリマーからなる厚さ200μmの複合フィルムの光透過濃度が0.28以下である(1)記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、
(3) 前記粒子状結着剤はスチレン単量体単位、ブタジエン単量体単位および酸単量体単位を含み、前記酸単量体単位の粒子状結着剤100重量部中の含有割合が5〜50重量部である(1)または(2)記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、
(4) 前記粒子状結着剤の添加量に対する前記水溶性ポリマーの添加割合が0.4〜2.0である(1)〜(3)の何れかに記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、
(5) セルロースファイバーを前記粒子状結着剤に対して0.1〜10重量%含有する(1)〜(4)の何れかに記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、
(6) 前記負極活物質は、炭素系負極活物質とシリコン系負極活物質とを含む、(1)〜(5)の何れかに記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物、
(7) (1)〜(6)の何れかに記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物を用いてリチウムイオン二次電池負極を製造するリチウムイオン二次電池負極の製造方法であって、前記負極活物質及び前記水溶性ポリマーを混練して固練り物を得る固練り工程と、前記固練り物に溶媒、前記粒子状結着剤及び前記水溶性ポリマーを添加して混合することによりリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物を得るスラリー製造工程と、前記リチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物を、集電体上に塗布、乾燥することにより負極活物質層を形成する負極活物質層形成工程とを含むリチウムイオン二次電池負極の製造方法、
(8) (7)に記載のリチウムイオン二次電池負極の製造方法により得られるリチウムイオン二次電池負極を備えるリチウムイオン二次電池
が提供される。
前記各制御因子の詳細は後述する。
また、水溶性ポリマー中の粒子状結着剤の分散性を間接的に測定する測定方法として複合フィルムの光透過濃度が挙げられる。
本発明の負極用スラリー組成物に用いられる負極活物質は、特に制限されないが、活物質自体の膨らみが抑制される観点と、高容量化の観点から、炭素系負極活物質とシリコン系負極活物質とを含むことが好ましい。
粒子状結着剤は、本発明の負極用スラリー組成物を用いて集電体上に負極活物質層を形成することにより製造した負極において、負極活物質に含まれる成分が負極活物質層から脱離しないように保持しうる成分である。なお、粒子状結着剤は、非水溶性である。ここで、粒子状結着剤が「非水溶性」であるとは、25℃において、その化合物0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が90重量%以上となることをいう。
本発明の負極用スラリー組成物に用いる粒子状結着剤は、特に制限はないが、スチレン単量体単位、1,3−ブタジエン単量体単位及び酸単量体単位を含むことが好ましい。
上記の共役ジエン系モノマーや、その他共重合可能である公知のモノマーは2種類以上併用して用いてもよい。
ゲル量(%)=W1/W0×100
電解液膨潤度は、粒子状結着剤を含む水分散体を用意し、この水分散体を50%湿度、23〜25℃の環境下で乾燥させて、厚み3±0.3mmに成膜し、直径12mmに裁断することにより得られるフィルムを用いて求めることができる。
即ち、裁断により得られたフィルム片の重量を精秤し、W0とする。このフィルム片を、50gの電解液(組成:濃度1.0MのLiPF6溶液(溶媒はエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=3/7(体積比)の混合溶媒、添加剤としてビニレンカーボネート2重量%(溶媒比)を添加)に、60℃の環境下で72時間浸漬し、膨潤させ、その後、引き揚げたフィルム片(膨潤後)を軽く拭いた後、計測した重量をW1とする。
そして、下記式にしたがって膨潤度(重量%)を算出することができる。
膨潤度(%)=(W1/W0)×100
本発明の負極用スラリー組成物は、水溶性ポリマーを含む。本発明に用いる水溶性ポリマーとは、25℃において、ポリマー0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が10重量%未満のポリマーをいう。
本発明の負極用スラリー組成物に含まれる上記粒子状結着剤及び上記水溶性ポリマーからなる厚さ200μmの複合フィルムの光透過濃度は、0.28以下であることが好ましい。
ここで、複合フィルムの光透過濃度は、透過濃度計(グレタグ・マクベス社製)においてホワイトフィルターを用いることによって測定することができる。
ひいては得られるリチウムイオン二次電池の充放電サイクル中に極板内での膨らみを抑制できずサイクル特性が低下する。
また、電解液としては、後述のリチウムイオン二次電池に用いる電解液を用いることができる。
本発明の負極用スラリー組成物において、微細化されたセルロースファイバーを用いることが好ましい。微細化されたセルロースファイバーは、実際には後述するセルロースファイバー分散液の形態で用いられ、二次電池の電極形成にあたり、分散液より水を除去するとセルロースファイバーが網目状の構造を形成することにより、電極活物質または導電助剤を含む電極層を電極集電体上に結着させるための有用なバインダーとしての役割を担うものである。
圧送圧力(処理圧力)は、好ましくは50〜250MPaであり、より好ましくは100〜245MPaである。圧送圧力が小さすぎると、セルロースファイバーの微細化が不十分となり、微細化により期待される効果が得られない。
本発明の負極用スラリー組成物は、負極活物質、粒子状結着剤、水溶性ポリマー、および必要に応じ用いられる水などの溶媒等を混合することにより得ることができる。
固練り工程は、前記の、負極活物質及び水溶性ポリマーを混練して固練り物を得る工程であり、粉体である負極活物質に、水溶性ポリマーと溶媒の一部を混合して練合を行なう際の初期段階を意味し、溶媒及び粒子状結着剤、をさらに追加してスラリー状態に仕上げるスラリー製造工程の前の段階を言う。この時点における負極活物質と水溶性ポリマーは流動性のない固まりの状態、即ち、「固練り物」である。固練り工程の段階では、十分なせん断力を付与して均質な混合分散を行なう必要があり、不十分だと均質な混合分散が行なわれず、分散不良を発生させる要因となる。
水溶性ポリマーは固練り工程及びスラリー製造工程に分割して添加させることが好ましい。固練り工程における水溶性ポリマーの添加量は、特に限定されないが、負極活物質100重量部当たり、好ましくは0.3重量部以上、より好ましくは0.4重量部以上であり、好ましくは1.5重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。また、固練り物の固形分濃度は、好ましくは55〜70%、より好ましくは57〜68%である。固練りの条件を上記範囲内にすることにより、該固練り物に高いせん断力を付与することができ、スラリー製造工程時に負極活物質、水溶性ポリマーが好適に分散した負極用スラリー組成物を得ることができる。固練りに用いる混合機としては、特に限定されないが、高固形分濃度の負極用スラリー組成物に高いせん断を好適にかけることができるプラネタリーミキサーが好ましい。
また、スラリー製造工程において、水溶性ポリマー、粒子状結着剤及び溶媒を添加する。スラリー製造工程における水溶性ポリマーの添加量は、特に限定されないが、負極活物質100重量部当たり、好ましくは0.3重量部以上、より好ましくは0.4重量部以上であり、好ましくは1.5重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。水溶性ポリマーの添加量を上記範囲にすることにより、スラリーの粘度を調整することができる。粒子状結着剤の添加量は、特に限定されないが、負極活物質100重量部当たり、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは0.8重量部以上、特に好ましくは1重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下である。粒子状結着剤の添加量を負極活物質100重量部当たり0.5重量部以上とすることにより、負極活物質同士や、集電体との結着性を高め、サイクル特性を向上させることができる。また、粒子状結着剤の添加量を5重量部以下とすることにより、本発明の製造方法により製造された負極用スラリー組成物を用いて得た負極をリチウムイオン二次電池に適用した際に、粒子状結着剤によるリチウムイオンの移動の阻害を抑制し、リチウムイオン二次電池のレート特性を向上させることができる。また、粒子状結着剤の添加量を3重量部以下とすることにより、粒子状結着剤の凝集を防ぎ、得られる負極用スラリー組成物中の粒子分散性が良好となる。
該負極用スラリー組成物の固形分濃度は、好ましくは35重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上であり、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは55重量%以下である。負極用スラリー組成物の固形分濃度が低すぎると、粘度が下がり、各成分の負極用スラリー組成物中での偏在により各種特性を確保することができない。また、負極用スラリー組成物の固形分濃度が高すぎると、ハンドリング性が悪く集電体上に均一な厚さに塗布することができない。なお、この固形分濃度の調整は、粒子状結着剤の水分散液のみで行ってもよいし、例えば、粒子状結着剤の水分散液と、別途添加した水とを用いて行ってもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池負極は、負極用スラリー組成物を塗布、乾燥してなる負極活物質層および集電体を有する電極である。負極の製造方法は、特に限定されないが、集電体の少なくとも片面、好ましくは両面に負極用スラリー組成物を塗布、加熱乾燥して負極活物質層を形成する方法である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、セパレータ及び電解液を備え、負極として、上記リチウムイオン二次電池負極を備える。
正極としては、正極活物質、正極用の結着剤、正極の作製に用いる溶媒、必要に応じて用いられる増粘剤、導電助剤等を含む正極用スラリーを集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより、集電体の表面に正極活物質層を形成することにより得ることができる。
集電体は、上述のリチウムイオン二次電池負極に用いることができる集電体と同様の集電体を用いることができる。
さらに、正極活物質層が硬化性の重合体を含む場合は、正極活物質層の形成後に重合体を硬化させることが好ましい。
セパレータとしては、通常、気孔部を有する多孔性基材を用いる。上述の二次電池多孔膜を用いない場合のセパレータの例を挙げると、(a)気孔部を有する多孔性セパレータ、(b)片面または両面に高分子コート層が形成された多孔性セパレータ、(c)無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート層が形成された多孔性セパレータ、などが挙げられる。これらの例としては、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリオレフィン系、またはアラミド系多孔性セパレータ、ポリビニリデンフルオリド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルまたはポリビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレン共重合体などの固体高分子電解質用またはゲル状高分子電解質用の高分子フィルム;ゲル化高分子コート層がコートされたセパレータ;無機フィラーと無機フィラー用分散剤とからなる多孔膜層がコートされたセパレータ;などが挙げられる。
電解液としては、例えば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものが使用できる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLiなどのリチウム塩が挙げられる。特に溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF6、LiClO4、CF3SO3Liは好適に用いられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、特に限定されない。例えば、負極と正極とをセパレータを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口してもよい。さらに、必要に応じてエキスパンドメタル;ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子;リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をしてもよい。電池の形状は、例えば、ラミネートセル型、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型などいずれであってもよい。
実施例及び比較例において、初期膨らみ、初期サイクル劣化、サイクル後膨らみ、サイクル特性及びレート特性の評価はそれぞれ以下のように行った。
実施例および比較例において作製したリチウムイオン二次電池を24時間静地させた後に4.2V、0.5Cの充電を行った後のセルの厚み(d1)を測定し、リチウムイオン二次電池の作製直後のセルの厚み(d0)に対する変化率(Δd1=d1/d0×100(%))を求めた。この値が小さいほど初期膨らみが抑制されたことを示す。また、変化率が小さい方から順にA,B,C,Dとしてゾーン評価を行い、表1に示した。
実施例および比較例で作製したリチウムイオン二次電池を、注液後、5時間静置させ、0.2Cの定電流法によって、4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を行った。さらに、25℃環境下で4.2V、0.5Cの充放電レートにて100サイクル充放電の操作を行った。そのとき1サイクル目の容量、すなわち初期放電容量をC1、および30サイクル時の放電容量C2を測定した。初期サイクル劣化として、充放電サイクル特性=C2/C1×100(%)で示す容量変化率を求め、以下の基準により判定した。結果を表1に示した。この値が高いほど初期サイクル劣化が抑制されることを示す。
A:90%以上
B:85%以上90%未満
C:80%以上85%未満
D:80%未満
実施例および比較例で作製したリチウムイオン二次電池を、注液後、5時間静置させ、0.2Cの定電流法によって、4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を行った。さらに、4.2V、0.5Cの充放電レートにて100サイクル充放電の操作を行った。その後、放電後のセルを解体して負極を取り出し、負極(集電体を除く)の厚み(d2)を測定した。そして、リチウムイオン二次電池の作製前のセルの厚み(d0)に対する変化率(サイクル後膨らみ特性=d2/d0×100(%))を求め、以下の基準により判定した。評価結果を表1に示した。この値が小さいほどサイクル後膨らみが抑制されたことを示す。
A:10%未満
B:10%以上15%未満
C:15%以上20%未満
D:20%以上
実施例および比較例で作製したリチウムイオン二次電池を、注液後、5時間静置させ、0.2Cの定電流法によって、4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を行った。さらに、25℃環境下で4.2V、0.5Cの充放電レートにて100サイクル充放電の操作を行った。そのとき1サイクル目の容量、すなわち初期放電容量をC1、および100サイクル時の放電容量C2を測定した。高温サイクル特性として、充放電サイクル特性=C2/C1×100(%)で示す容量変化率を求め、以下の基準により判定した。結果を表1に示した。この値が高いほどサイクル特性に優れることを示す。
A:80%以上
B:75%以上80%未満
C:70%以上75%未満
D:70%未満
実施例および比較例で作製したリチウムイオン二次電池を、注液後、5時間静置させ、0.2Cの定電流法によって、4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を行った。さらに、4.2V、0.2Cレートで充電を行い、0.2Cおよび1.5Cレートで放電を行った。そのとき、各放電レート時の放電容量を、C0.2、C1.5、と定義し、放電レート特性=C1.5時の放電容量/C0.2時の放電容量×100(%)で示す容量変化率を求め、以下の基準により判定した。この値が大きいほど放電レート特性に優れることを示す。評価結果を表1に示した。
A:80%以上
B:75%以上80%未満
C:70%以上75%未満
D:70%未満
各実施例及び各比較例で用いる粒子状結着剤の40%分散液及び水溶性ポリマーの1%溶液を、各実施例及び各比較例で、負極用スラリー組成物に配合する固形分比率と同じ固形分比率でディスパー(プライミクス製)にて、1000rpmで20min攪拌し、さらに自転・公転ミキサー(泡取り練太郎、シンキー社製)を用いて1min×3回の脱泡行い、混合液を得た。
この複合フィルムの厚さが200μmである場合の光透過濃度を、透過濃度計TD904(グレタグ・マクベス社製)にてホワイトフィルターを用いて測定した。
光透過濃度の測定に用いる複合フィルムの作製方法と同様に厚さ200μmの複合フィルムを作製した。次に、複合フィルムを所定の型(JIS 3号)を用いて、所定の形に打ち抜き試験片を作製した。この試験片について、後述の電解液に膨潤させる前に、引っ張り試験機(STROGRAPH-VG1-E、東陽精機製作所製)を用いて50mm/minの速度で引っ張り試験を行い、破断強度を測定した。
光透過濃度の測定に用いる複合フィルムの作製方法と同様に複合フィルムを作製した。その後、複合フィルムを電解液(濃度1.0MのLiPF6溶液(溶媒はEC/EMC=3/7(体積比)の混合溶媒、添加剤としてビニレンカーボネート2重量%(溶媒比)))に60℃、72時間浸漬させることにより複合フィルムを電解液に膨潤させた。その後、上記複合フィルムの破断強度の測定と同様に、引っ張り試験を行い、電解液に膨潤させた後の複合フィルムの破断強度を測定した。
(粒子状結着剤の合成)
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、スチレン24部、1,3−ブタジエン35部、酸単量体としてメタクリル酸(以下、「MAA」ということがある。)40部、水酸基含有モノマーとしてアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」ということがある。)1部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.3部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、イオン交換水150部、及び重合開始剤として過硫酸カリウム1部を入れ、十分に攪拌した後、55℃に加温して重合を開始した。モノマー消費量が95.0%になった時点で冷却し反応を停止した。
ディスパー付きのプラネタリーミキサーに、負極活物質として人造黒鉛(比表面積:4m2/g、体積平均粒子径:24.5μm)95部及びカーボンをコートしたSiOx(x=1.1、体積平均粒子径:5μm)5部を加えて10rpmの回転速度で15分乾式混合した。さらに前記乾式混合物に、水溶性ポリマーとしてカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(以下、「CMC」ということがある。)の1%水溶液(日本製紙ケミカル株式会社製「MAC800LC」 1%粘度 6700mPa・s)を固形分相当で0.6部加えた。これらの混合物をイオン交換水で固形分濃度60%に調整した後、25℃で45rpmの回転速度で60分固練り混合した。
次に、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の1%水溶液(日本製紙ケミカル株式会社製「MAC800LC」 1%粘度 6700mPa・s)を固形分相当で0.4部及びイオン交換水で固形分濃度52%に調整した後、さらに25℃で40rpmの回転速度で15分混合しスラリー混合液を得た。
次いで、上記の混合液に、粒子状結着剤の水分散液を固形分相当で1.5部入れ、さらに最終固形分濃度が50%となるようにイオン交換水を入れ、さらに10分間混合した。これを減圧下で脱泡処理して、負極用スラリー組成物を得た。
負極スラリー組成物をコンマコーターで、厚さ15μmの銅箔の上に塗付量が9〜9.5mg/cm2となるように塗布した。なお、この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。
プラネタリーミキサーに、正極活物質としてLiCoO2を100部、導電助剤であるアセチレンブラック2部(電気化学工業(株)製HS−100)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、(株)クレハ化学製KF−1100)2部、さらに全固形分濃度が67%となるように2−メチルピリロドンを加えて混合し、正極スラリー組成物を調製した。
単層のポリプロピレン製セパレータ(幅65mm、長さ500mm、厚さ25μm;乾式法により製造;気孔率55%)を用意した。このセパレータを、5×5cm2の正方形
に切り抜いた。
さらに、上記負極を、4.2×4.2cm2の正方形に切り出し、これをセパレータ上に、負極活物質層側の表面がセパレータに向かい合うよう配置した。
負極用スラリー組成物の調製に用いる水溶性ポリマーの種類をCMCの1%水溶液(ダイセルファインケム社製「ダイセル1380」1%粘度 1000mPa・s)とした以外は、実施例1と同様に負極用スラリー組成物の調製を行った。その後、実施例1と同様に負極の製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
粒子状結着剤を合成する際の単量体の仕込み比をスチレン44部、1,3−ブタジエン35部、酸単量体としてアクリル酸(以下、「AA」ということがある。)20部、水酸基含有単量体としてHEAを1部とした以外は、実施例1と同様に粒子状結着剤の合成を行った。ここで粒子状結着剤の数平均粒子径は145nmであった。また粒子状結着剤のフィルムを作成し、ゲル量を測定したところ96%であり、電解液膨潤度を測定したところ140%であった。
粒子状結着剤を合成する際の単量体の仕込み比をスチレン54部、1,3−ブタジエン35部、酸単量体としてアクリル酸10部、水酸基含有単量体としてHEAを1部とした以外は、実施例1と同様に粒子状結着剤の合成を行った。ここで粒子状結着剤の数平均粒子径は145nmであった。また粒子状結着剤のフィルムを作成し、ゲル量を測定したところ93%であり、電解液膨潤度を測定したところ140%であった。
粒子状結着剤を合成する際の単量体の仕込み比をスチレン59部、1,3−ブタジエン35部、酸単量体としてアクリル酸5部、水酸基含有単量体としてHEAを1部とした以外は、実施例1と同様に粒子状結着剤の合成を行った。ここで粒子状結着剤の数平均粒子径は145nmであった。また粒子状結着剤のフィルムを作成し、ゲル量を測定したところ88%であり、電解液膨潤度を測定したところ155%であった。
負極用スラリー組成物の調製に用いる水溶性ポリマーの量を固練り工程で固形分相当で1.5部、スラリー製造工程で固形分相当で0.9部とした以外は、実施例2と同様に負極用スラリー組成物の調製を行った。その後、実施例2と同様に負極の製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
スラリー製造工程でセルロースファイバー(スギノマシン社製 BINFIS-セルロース 繊維径0.02μm)を2.5部加えたこと以外は、実施例2と同様に負極用スラリー組成物の調製を行った。その後、実施例2と同様に負極の製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
負極用スラリー組成物の調製に用いるセルロースファイバーの量を0.1部としたこと、及び実施例3で得られた粒子状結着剤を用いた以外は、実施例2と同様に負極用スラリー組成物の調製を行った。その後、実施例2と同様に負極の製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
負極用スラリー組成物の調製に用いる水溶性ポリマーの種類をポリアクリル酸(以下、「PAA」ということがある。)(アルドリッチ社製 分子量45万)をLiOHで中和したPAAのリチウム塩とした以外は、実施例1と同様に負極用スラリー組成物の調製を行った。その後、実施例1と同様に負極の製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
スラリー製造工程において、固練り工程を経ないこと以外は、実施例1と同様に負極用スラリー組成物の調整を行った。即ち、ディスパー付きのプラネタリーミキサーに、負極活物質として人造黒鉛95部及びカーボンをコートしたSiOx5部を加えて10rpmの回転速度で15分乾式混合した。さらに前記乾式混合物に、CMCの1%水溶液を固形分相当で1部、粒子状結着剤の水分散液を固形分相当で1.5部、さらにイオン交換水を固形分濃度が50%となるように入れ、25℃で40rpmの回転速度で60分スラリー混合して、スラリーを製造した。その後、実施例1と同様に負極用スラリー組成物の調製を行い、実施例1と同様に負極の製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
粒子状結着剤を合成する際の単量体の仕込み比をアクリル酸エステル単量体として、アクリル酸エチル30部、アクリル酸ブチル29.2部、酸単量体としてMAA40部、架橋剤としてエチレンジメタクリレート0.8部を使用したこと以外は、実施例1と同様に粒子状結着剤の合成を行った。ここで粒子状結着剤の数平均粒子径は120nmであった。また粒子状結着剤のフィルムを作成し、ゲル量を測定したところ2%であり、電解液膨潤度を測定したところ450%であった。
負極用スラリー組成物の調製に用いる水溶性ポリマーの種類をCMCの1%水溶液(ダイセルファインケム社製「ダイセル1380」1%粘度 1000mPa・s)とした以外は、比較例1と同様に負極用スラリー組成物の製造、負極の製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
粒子状結着剤を合成する際の単量体の仕込み比をスチレン61部、1,3−ブタジエン35部、酸単量体としてイタコン酸(以下、「IA」ということがある。)3部、水酸基含有単量体としてHEAを1部とした以外は、実施例1と同様に粒子状結着剤の合成を行った。ここで粒子状結着剤の数平均粒子径は145nmであった。また粒子状結着剤のフィルムを作成し、ゲル量を測定したところ90%であり、電解液膨潤度を測定したところ150%であった。
負極用スラリー組成物の調製に用いる水溶性ポリマーの種類をCMCの1%水溶液(第一工業製薬社製「セロゲンWS-C」1%粘度 250mPa・s)とした以外は、実施例1と同様に負極用スラリー組成物の調製を行った。その後、実施例1と同様に負極の製造及びリチウムイオン二次電池の製造を行った。
Claims (6)
- 負極活物質、粒子状結着剤および水溶性ポリマーを含むリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物であって、
前記粒子状結着剤はスチレン単量体単位、ブタジエン単量体単位および酸単量体単位を含み、
前記酸単量体単位の粒子状結着剤100重量部中の含有割合が20〜50重量部であり、
前記粒子状結着剤の添加量に対する前記水溶性ポリマーの添加割合が0.4〜2.0であり、
前記水溶性ポリマーの1重量%水溶液の粘度が500〜10000mPa・sであり、
前記粒子状結着剤と前記水溶性ポリマーからなる厚さ200μmの複合フィルムを電解液中で膨潤させた後の破断強度が20MPa以上90MPa以下であるリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物。 - 前記粒子状結着剤と前記水溶性ポリマーからなる厚さ200μmの複合フィルムの光透過濃度が0.28以下である請求項1記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物。
- セルロースファイバーを前記粒子状結着剤に対して0.1〜10重量%含有する請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物。
- 前記負極活物質は、炭素系負極活物質とシリコン系負極活物質とを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物。
- 請求項1〜4の何れかに記載のリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物を用いてリチウムイオン二次電池負極を製造するリチウムイオン二次電池負極の製造方法であって、
前記負極活物質及び前記水溶性ポリマーを混練して固練り物を得る固練り工程と、
前記固練り物に溶媒、前記粒子状結着剤及び前記水溶性ポリマーを添加して混合することによりリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物を得るスラリー製造工程と、
前記リチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物を、集電体上に塗布、乾燥することにより負極活物質層を形成する負極活物質層形成工程と
を含むリチウムイオン二次電池負極の製造方法。 - 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池負極の製造方法により得られるリチウムイオン二次電池負極を備えるリチウムイオン二次電池。
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