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JP6359370B2 - 橋梁の耐震補強装置 - Google Patents
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Description

本発明は、橋梁等の構造物について耐震補強を行うための装置に関する。
大地震に備え、橋梁等の構造物における耐震補強の重要性が高まっている。
橋梁の耐震性を高めるために、例えば橋脚に鋼板または繊維シート等を巻いて橋脚自体の強度を高めること(特許文献1、2)、橋桁を橋台にケーブルで連結して落橋を防止すること、桁端部に制震ダンパーを設けることなどの対策がなされている。
図6は、橋脚巻立て補強とともにケーブルなどの落橋防止構造を施す耐震補強の説明図である。
図7は、ケーブルなどの落橋防止構造とともに制震ダンパーを設ける耐震補強の説明図である。
これらの図において、100は橋台、101は橋脚、102は橋桁、y1は河川の水面、Bはチェーンやケーブルなどの落橋防止構造、x20は橋脚101の巻立て、x21は橋脚巻立て補強のための仮締切、Cは制震ダンパーである。なお、図示は省略しているが、図7においても落橋防止構造Bを備えている。
橋梁の耐震補強構造の中で、橋桁と橋台をケーブルで連結する落橋防止構造Bは、ケーブルにより橋桁102の重量を支えるのではなく、ケーブルによって地震発生時の水平変位による橋桁102の落橋を防止するものである。橋梁の耐震補強構造に使用されるケーブルは、想定される最大の地震時に破断しない程度の伸びおよび強度を有している。
落橋防止構造Bは、単に橋桁102と橋台100をケーブルで連結しているだけなので、地震時の橋桁102の変位を制限すること及び地震エネルギーの吸収が十分ではなく橋脚101に負担が加わる。このため、図6のように橋脚101を補強することや、地震エネルギーを吸収し、地震時の変位を制限するための制震ダンパーCを設けることが行われる。
特開2000−96521号公報 躯体における縦方向主鉄筋の配筋が段落としになっている既製壁式橋脚を炭素繊維シートで耐震補強する。 特開2007−327208号公報 連続繊維ロープを橋脚の外周に巻き付け、この連続繊維ロープを巻き付けた橋脚を現場打ちコンクリートにより被覆する。
図6及び図7の耐震補強には、コストが大きいという問題がある。
図6では、橋脚101の補強工事のために仮締切x21や仮桟橋などの仮設工事が必要となり、このための費用が補強工事全体の大半を占め、この結果コストが大幅に増大する。また、落橋防止構造Bの設置スペースに制約があるとともに、その取り付けアンカーは充分な長さをもち、かつ、橋台に確実に固定され容易に抜けないものでなければならず、したがってその削孔が既設鉄筋に干渉するという問題もある。
図7では、仮設工事は不要であるが、制震ダンパーCのコストは、落橋防止構造Bの何倍にもなり、やはりコストが大幅に増大する。また、落橋防止構造Bの設置と同様の問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、低コストで施工可能な橋梁の耐震補強装置を提供することを目的とする。
この発明は、橋台及び橋桁を備える橋梁の耐震補強装置であって、
前記橋桁の下面に取り付けられる橋桁固定ブラケットと、
前記橋桁固定ブラケットよりも前記橋台側の前記橋桁の下面に取り付けられる偏向ブラケットと、
前記橋桁を支える橋座面とは別の面であって、傾斜している又は垂直の前記橋台の面(以下「前記橋台竪壁前面」)に取り付けられる橋台固定ブラケットと、
それぞれ、前記偏向ブラケットを通り、一端が前記橋桁固定ブラケットに取り付けられ、他端が前記橋台固定ブラケットに取り付けられる第1連結ベルト及び第2連結ベルトとを備えるものである。
例えば、前記第1連結ベルトは、前記橋桁の変位を低減するものであって、前記橋桁固定ブラケットと前記橋台固定ブラケットの間をたるみなく結ぶものであり、
前記第2連結ベルトは、前記橋桁の落下を防止するものであって、前記第1連結ベルトよりも長い。
例えば、前記第1連結ベルトは、前記橋桁の変位を低減するものであって、前記橋桁固定ブラケットと前記橋台固定ブラケットの間をたるみなく結ぶものであり、
前記第2連結ベルトは、前記橋桁の落下を防止するものであって、前記第1連結ベルトよりも強度の大きなもの、及び/又は、前記第1連結ベルトよりも本数が多い。
例えば、前記橋台竪壁前面に取り付けられる板状部材を備え、
前記橋台固定ブラケットは、前記板状部材を介して前記橋台に取り付けられる。
この発明によれば、制震ダンパーよりも費用のかからない連結ベルトを用いるようにしたので、コストを大幅に低減可能な橋梁の耐震補強装置を提供することができる。
発明の実施の形態に係る橋梁の耐震補強工事の説明図である。 発明の実施の形態に係る耐震補強装置の説明図である。 発明の実施の形態に係る耐震補強装置の断面図である。 発明の実施の形態に係る耐震補強装置の動作説明図である(変位制限構造機能時)。 発明の実施の形態に係る耐震補強装置の動作説明図である(落橋防止構造機能時)。 従来の橋梁の耐震補強工事(落橋防止構造と橋脚巻立て)の説明図である。 従来の橋梁の耐震補強工事(落橋防止構造と制震ダンパー)の説明図である。
発明の実施の形態に係る橋梁の耐震補強装置について、図面を参照して説明を加える。
図1は、発明の実施の形態に係る橋梁の耐震補強工事の説明図、図2は、発明の実施の形態に係る橋梁の耐震補強装置の説明図、図3は、図2のA−A線矢視断面図である。
発明の実施の形態に係る橋梁の耐震補強装置は、既設橋梁の耐震性向上と耐震補強対策時のコスト低減を実現するため、上下部工をアラミド繊維ベルトにより逆L字型に連結したものである。発明の実施の形態に係る橋梁の耐震補強装置は、変位低減装置と落橋防止構造の機能を兼用できるものである。
1は、発明の実施の形態に係る橋梁の耐震補強装置を示す。
11は、橋桁102の下面に取り付けられる上部工側ブラケット(橋桁固定ブラケット)である。
12は、上部工側ブラケット11よりも橋台100側の橋桁102の下面に取り付けられる偏向ブラケットである。図の例では、下部工側ブラケット(橋台固定ブラケット)13の直上に設けられている。
13は、橋桁102を支える支承部103が設けられている橋台100の面とは別の面であって、傾斜している又は垂直の前記橋台の面(以下「前記橋台竪壁前面」)に取り付けられる橋台固定ブラケットである。図の例では、当該面は垂直である。
図3に示すように、上部工側ブラケット11は、桁変位低減ベルト14及び落橋防止構造ベルト15が取り付けられるピン20、ピン20を支える上部工付きブラケットウエブ21、上部工側ブラケット11を橋桁102に取り付けるための上部工付きブラケットフランジ22及び主桁補強ブラケットフランジ23、上部工付きブラケットフランジ22と主桁補強ブラケットフランジ23を橋桁102に固定するためのセットボルト24、主桁補強ブラケットフランジ23に取り付けられる主桁補強ブラケット25を備えている。符号26は、主桁補強ブラケットフランジ23と主桁補強ブラケット25の溶接ビードである。
偏向ブラケット12の構造は、上部工側ブラケット11と同じである。下部工側ブラケット13は、上部工側ブラケット11から主桁補強ブラケットフランジ23、主桁補強ブラケット25などを除いた構造である。
14は、偏向ブラケット12を通り、一端が上部工側ブラケット11に取り付けられ、他端が下部工側ブラケット13に取り付けられる桁変位低減ベルト(第1連結ベルト)である。桁変位低減ベルト14は例えばアラミド繊維製のベルトであり、極めてまれに発生する規模のレベル2地震動に耐えられるものである。
15は、偏向ブラケット12を通り、一端が上部工側ブラケット11に取り付けられ、他端が下部工側ブラケット13に取り付けられる落橋防止構造ベルト(第2連結ベルト)である。落橋防止構造ベルト15は、橋桁102に水平に加わる力について、設計力H=1.5×Rdで設計される。
桁変位低減ベルト14は、橋桁102の変位を低減するものであって、上部工側ブラケット11と下部工側ブラケット13の間をたるみなく結んでいる。これに対し、落橋防止構造ベルト15は、橋桁102の落下を防止するものであって、桁変位低減ベルト14よりも長い。このため、図2に示すように、若干のたるみをもつ。
また、上述のように、落橋防止構造ベルト15は、桁変位低減ベルト14よりも強度が大きくなるように設計されている。しかも、図3に示すように、落橋防止構造ベルト15は、桁変位低減ベルト14よりも本数が多い(前者は2本、後者は1本)。
以上のことから、桁変位低減ベルト14が切れたときでも、落橋防止構造ベルト15は切れないことがある。
30は、橋台100の垂直面に取り付けられるベースプレート(板状部材)である。ベースプレート30は、例えば図示のようにL字に曲げられた鋼板であり、エポキシ樹脂などにより橋台100の垂直面に取り付けられる。地震時に橋桁102が変位すると、偏向ブラケット12によりベースプレート30に上方へ引っ張る力が加わるが、ベースプレート30全体(特に橋台100の垂直面に取り付けられている部分)の付着応力度がそれに対抗する。橋台100への付着に関して、ベースプレート30の面積は、従来工法の落橋防止構造Bや制震ダンパーCを取り付けるアンカーの面積よりも非常に大きいから、ベースプレート30がエポキシ樹脂などにより取り付けられ、その単位面積当たりの付着応力度が従来工法のアンカーのそれよりも小さいとしても、ベースプレート30全体の付着応力度は充分に大きくなる(言い換えれば、付着応力度が充分に大きくなる程度に面積の大きなベースプレート30が用いられる)。
31は、下部工側ブラケット13及び/又はベースプレート30を橋台100に取り付けるためのアンカーである。地震時に橋桁102が変位しても、上述のようにベースプレート30全体の付着応力度がそれに対抗するとともに、偏向ブラケット12により力の方向が変えられアンカー31に引き抜くような力が直接加わらないので(図4及び図5参照)、そのアンカー長(嵌入深さ)は従来よりも短くて済む。このため、鉄筋への干渉という問題が生じない(言い換えれば、アンカー31の長さは橋台100内の鉄筋に到達しない程度に短くできる)。
発明の実施の形態に係る耐震補強装置の動作について、図4及び図5を参照して説明を加える。これらの図では橋桁102が右方向(橋脚101の方向)へ変位しているが、反対方向の変位の場合は反対側の耐震補強装置が作用する。
図4は、地震発生時において橋桁102が右側へ移動した状態を示す。
この状態において、桁変位低減ベルト14が機能し、橋桁102の水平変位を抑制する。
さらに、桁変位低減ベルト14の張力により、矢印に示すように偏向ブラケット12に斜め下向きの力F1が作用するため、支承部(可動支承)103を圧着し、これにより増加する摩擦力によって橋桁102の移動量が小さくなる(この点は図5でも同じ)。
桁変位が小さくなるため、橋桁102を支持する橋脚101の変形も小さくなり、橋脚101や支承部103の損傷が小さくなる。これに伴い、それらの補強量が減少する。
図4では、落橋防止構造ベルト15にたるみがある。この状態において落橋防止機能は働いていない。
図5は、想定以上の変位が生じて桁変位低減ベルト14が破断した場合を示す。この状態では、水平変位抑制機能を喪失するが、残存する落橋防止構造ベルト15が機能して橋桁102の落下を防ぐことができる。
図5の矢印に示すように、ベースプレート30に対して主に平行な力(上方の力F2)が加わり、垂直な力(アンカー31を引き抜く方向の力F3)は比較的小さい(この点は図4でも同じ)。ベースプレート30及びアンカー31は当該力に対抗することができる。
また、落橋防止構造ベルト15が、橋台100の垂直面に沿って(縦方向)に配置されているため、津波による橋桁102の浮き上がりや流出を防止することができる。
発明の実施の形態によれば、制震ダンパーよりも安価な連結ベルトを用いることにより、大幅なコスト縮減が可能である。また、費用のかかる前記の仮設工事も不要である。
桁変位低減ベルトにより地震時の橋桁の変位を抑制するので、橋脚の補強量を低減できる。
連結ベルトにはアラミド繊維等の繊維材を用いるため、伸び性能があり、地震に対しても耐衝撃性に優れる。
縦方向に配置されたベルトは、津波による波圧が桁の側面及び/又は底面から作用して桁に上揚力が生じても、落橋防止構造ベルトが抵抗できるため、橋梁上部工の津波流出防止にも効果が期待できる。
また、発明の実施の形態によれば、強度の異なる2種類の連結ベルトを用いているので、地震時の橋の変位抑制と落橋防止の機能を両方実現できる。すなわち桁変位低減ベルトにより、桁を弾性支持することで地震時の変位を小さくし、橋脚の耐震補強量を低減できるとともに、落橋防止構造ベルトは、設計で想定した以上の過大な変形が生じ、桁変位低減ベルトが破断した後において、落橋防止構造として機能する。
また、偏向ブラケットを備えることにより、その作用力を縦方向(垂直方向、橋台の垂直面に沿った方向)に変えている。発明の実施の形態に係る耐震補強装置においては、アンカーの取り付け方向(アンカー軸方向)と地震時にこれに作用する力の方向が異なるので、その設置を簡易な手段、例えば、下部工側の取付ブラケットはベースプレートを樹脂接着とズレ止めアンカー程度で固定できる。下部工側の取付ブラケットの水平アンカー削孔を省略したアンカーレス構造とすることができる。施工の省力化と既設構造物への影響を最小限にすることができる。これに対し、図6及び図7の落橋防止構造の作用力は横方向(水平方向、橋台の垂直方向)であるから、地震時にアンカーを引き抜くように力が作用する。したがって、その取り付けにコストが嵩むことになる。
また、発明の実施の形態に係る耐震補強装置は橋座面に設置されることがなく、しかもコンパクトであるため、支承部まわりの点検がしやすいなど橋梁の維持管理性にも優れる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
1 橋梁の耐震補強装置
11 上部工側ブラケット(橋桁固定ブラケット)
12 偏向ブラケット
13 下部工側ブラケット(橋台固定ブラケット)
14 桁変位低減ベルト(第1連結ベルト)
15 落橋防止構造ベルト(第2連結ベルト)
30 ベースプレート(板状部材)
31 アンカー
100 橋台
101 橋脚
102 橋桁
103 支承部
B 落橋防止構造(チェーン、ケーブル)
C 制震ダンパー
x20 橋脚巻立て補強工
x21 仮締切
y1 水面

Claims (3)

  1. 橋台及び橋桁を備える橋梁の耐震補強装置であって、
    前記橋桁の下面に取り付けられる橋桁固定ブラケットと、
    前記橋桁固定ブラケットよりも前記橋台側の前記橋桁の下面に取り付けられる偏向ブラケットと、
    前記橋桁を支える橋座面とは別の面であって、傾斜している又は垂直の前記橋台の面(以下「前記橋台竪壁前面」)に取り付けられる橋台固定ブラケットと、
    それぞれ、前記偏向ブラケットを通り、一端が前記橋桁固定ブラケットに取り付けられ、他端が前記橋台固定ブラケットに取り付けられる第1連結ベルト及び第2連結ベルトとを備え、
    前記第1連結ベルトは、前記橋桁の変位を低減するものであって、前記橋桁固定ブラケットと前記橋台固定ブラケットの間をたるみなく結ぶものであり、
    前記第2連結ベルトは、前記橋桁の落下を防止するものであって、前記第1連結ベルトよりも長くたるみをもつものであることを特徴とする橋梁の耐震補強装置。
  2. 橋台及び橋桁を備える橋梁の耐震補強装置であって、
    前記橋桁の下面に取り付けられる橋桁固定ブラケットと、
    前記橋桁固定ブラケットよりも前記橋台側の前記橋桁の下面に取り付けられる偏向ブラケットと、
    前記橋桁を支える橋座面とは別の面であって、傾斜している又は垂直の前記橋台の面(以下「前記橋台竪壁前面」)に取り付けられる橋台固定ブラケットと、
    それぞれ、前記偏向ブラケットを通り、一端が前記橋桁固定ブラケットに取り付けられ、他端が前記橋台固定ブラケットに取り付けられる第1連結ベルト及び第2連結ベルトとを備え、
    前記第1連結ベルトは、前記橋桁の変位を低減するものであって、前記橋桁固定ブラケットと前記橋台固定ブラケットの間をたるみなく結ぶものであり、
    前記第2連結ベルトは、前記橋桁の落下を防止するものであって、前記第1連結ベルトよりも強度の大きなもの、及び/又は、前記第1連結ベルトよりも本数が多くたるみをもつものであることを特徴とする橋梁の耐震補強装置。
  3. 前記橋台竪壁前面に取り付けられる板状部材を備え、
    前記橋台固定ブラケットは、前記板状部材を介して前記橋台に取り付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の橋梁の耐震補強装置。
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