JP6360766B2 - 制振構造体及び制振材 - Google Patents
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Description
この大型家電機器や車両のボディーを構成する金属板には、その振動を抑制するための制振材たるゴムシートが裏貼りされたりしている。
このような金属板と金属板の振動を抑制するための制振材とを備えた制振構造体に関し、例えば、下記特許文献1においては、複数のゴム粒子を接着剤にて相互に結合一体化したゴムシートを制振材として利用することが記載されている。
しかしながら、ゴムシートが制振材として用いられている従来の制振構造体における当該ゴムシートの強度は、金属製部材の強度に比べてはるかに小さい。
従って、従来の制振構造体は、金属製部材が本来有している強度よりも高い強度を発揮させることが困難である。
即ち、本発明によれば、強度と制振性とに優れた制振構造体が提供され得る。
なお、本実施形態においては、制振構造体が板状である場合を例にして本発明について説明する。
本実施形態の前記制振構造体1は、金属板10と制振板20とが積層一体化された構造を有し、前記金属板10の一方の表面にのみ制振板20が取り付けられている。
該制振板20は、その厚み方向において異なる部材が積層された積層構造を有する。
本実施形態の制振板20は、少なくとも樹脂発泡体からなる発泡層21と、樹脂及び繊維を含む繊維強化樹脂層22とを有し、2層以上の積層構造を有している。
該制振板20は、前記繊維強化樹脂層22と前記金属板10との間に前記発泡層21が介装された状態となるように前記金属板10に取付られている。
また、制振板20は、この2層の繊維強化樹脂層22a,22bの間に前記発泡層21が配されて3層構造を有している。
そして、当該制振構造体1は、2層の前記繊維強化樹脂層22a,22bの内の第1繊維強化樹脂層22aを前記金属板10の表面に接着させて制振板20が金属板10に取付られている。
前記金属板10は、サンドブラスト等の物理的処理や陽極酸化等の化学的処理によって表面粗化処理が施されていてもよい。
前記金属板10は、メッキ処理、セラミック溶射処理、ホウロウ引き、塗装などによって表面に被膜形成がされたものであってもよい。
該制振板20は、前記発泡層21が、前記第1繊維強化樹脂層22aや前記第2繊維強化樹脂層22bと協働して金属板10の振動を抑制するのに特に有効に機能し、前記第1繊維強化樹脂層22aや前記第2繊維強化樹脂層22bが、制振構造体1に優れた強度を付与するのに特に有効に機能する。
また、前記発泡層21や前記繊維強化樹脂層22a,22bを有する本実施形態の制振板20は、ゴムシートなどの従来の制振材に比べて軽量でありながら上記のような機能を有する。
また、発泡層21は、モノマーを発泡剤の存在下において型内で塊状重合して所定形状の重合体を得、これを加熱することによって発泡させた発泡成形体などとすることもできる。
ただし、前記発泡層21は、見掛け密度や材質が全体に均一化されている必要はなく、例えば、2枚の発泡シートを熱融着させた厚手の発泡シートや、異なる樹脂組成物を共押出発泡して発泡シートで形成させててもよく、その結果として材質や見掛け密度を厚み方向において変化させていてもよい。
ここで「主成分」とは、発泡層21に最も高い質量割合で含まれる樹脂を意味する。
なかでも繊維強化樹脂シートを構成する繊維は、優れた機械的強度及び耐熱性を有していることから、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましく、しなやかさと優れた強度とを併せ持つことから炭素繊維がより好ましい。
また、基材シートとしては、繊維を一方向に引き揃えてなるカーボンUDなども採用可能である。
また、前記の第1、第2繊維強化樹脂層22a,22bについても、1枚の繊維強化樹脂シートのみで構成させる必要はなく、複数枚の繊維強化樹脂シートで繊維強化樹脂層を形成させることも可能である。
前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、サルファイド系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
なお、熱可塑性樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
前記繊維強化樹脂シートを構成する樹脂は、発泡シートとの接着性を考慮すると熱可塑性樹脂の中ではポリエステル樹脂が好ましい。
これらの中で繊維強化樹脂シートを構成するのに好ましい樹脂としては、繊維強化樹脂層22に優れた耐熱性や耐薬品性、高い弾性率を発揮させるのに有利なことから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。
なお、反応硬化性樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
また、第1、第2繊維強化樹脂層22a,22bにおける樹脂の含有量は、20〜80質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
第1繊維強化樹脂層22aは、例えば、当該第1繊維強化樹脂層22aや金属板10の材質などに応じて適宜選択される接着剤を介して前記金属板10に接着させ得る。
また、制振板20は、ネジやリベットといった係止部材を用いて金属板10に取付られてもよい。
さらには、第1繊維強化樹脂層22aに含まれている樹脂の接着性を利用して、接着剤などを用いずに直接的に金属板10に取付られてもよい。
該接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤などが挙げられる。
本実施形態の制振板20は、樹脂製であるので、仮に金属板が表面に凹凸などの立体的な構造が備えられたものであっても、当該表面に追従する形状への加工が容易である。
即ち、本実施形態の制振板20は、例えば、一旦、発泡層21と繊維強化樹脂層22とが積層一体化された平坦シートとされた後で、表面が立体的形状を有する金属製部材に対してオートクレーブ方式などによる熱プレスが施されて金属製部材の表面形状に追従する状態に賦形されるとともに該金属製部材に接着一体化されてもよい。
従って、金属板10の表面が十分にフラットなものではなく、凹凸等があるようであれば、第1繊維強化樹脂層22aは、金属板表面への追従性を考慮して、第2繊維強化樹脂層22bよりも薄手のものや樹脂含有量の多いもの、或いは、樹脂と短繊維との混和物がシート化された繊維強化樹脂シートなどとすることができる。
そして、図2に例示の制振構造体1は、発泡層21を前記金属板10の表面に接着させて制振板20が金属板10に取付られている。
該制振板20は、発泡層21と金属板10との接着に、発泡層自身による熱融着、接着剤、ネジ、リベットなどを利用し得る点において、図1に例示した態様と同じである。
また、このような金属製部材についての変形例のみならず、本発明は上記例示のものに各種変更を加え得るものである。
(制振性評価:1)
炭素繊維が綾織されてなる基材シートに樹脂含浸された繊維強化樹脂シート(三菱レイヨン社製 商品名「パイロフィルTR391GMP」、目付:200g/m2、厚み:0.23mm)を8枚用意した。
これらの繊維強化樹脂シートを各4枚に分け、それぞれを経糸の長さ方向が順次、45°、−45°、0°、90°となるように重ね合わせて2組の積層繊維強化樹脂シートを用意した。
なお、4枚の繊維強化樹脂シートが全て重なり合っている部分から縦300mm×横400mmの平面長方形状にシート体を切り出した。
押出発泡によって作製された厚み0.8mm(密度:0.50g/cm3)のポリエステル樹脂発泡シートを、2枚の前記シート体で挟み込んでシート積層体を作製した。
なお、2枚のシート体は、強化繊維基材の経糸の長さ方向が90°となっている強化繊維基材が最も外側となり且つ最も外側の強化繊維基材の経糸の長さ方向が互いに直交した状態となるように発泡シートの両面に積層した。
上記シート積層体を37tプレス機にて140℃で5分間0.5MPaにて加熱プレスを行った。
繊維強化樹脂シートに含浸担持されていた樹脂を硬化させた後に60℃まで冷却を行い、圧力を開放した後に繊維強化複合体(制振板)(仕上がり厚み:1.8mm)を取り出した。
その後、幅10mm、長さ250mm、厚み1.2mmのアルミニウム板(A6063)に接着剤を用いて前記試験片を貼り付けテストピースを作製した。
なお、アルミニウム板と試験片とは、長さ方向一端側を揃え、他端側においてアルミニウム板に20mmの余長が生じる形で貼り合わせた。
このテストピースの他端側(制振材のないアルミニウム板単独の余長部分)を万力で固定し、片持ち梁状に配置した。
片持ち梁状の先端に加速度ピックアップを両面テープで接着するとともに、インパクト加振用ハンマーで梁の支持部付近を叩き試験片に加振した。
ハンマーの衝撃電気信号と、加速度ピックアップの電気信号は、アンプを介してFFTアナライザ((株)小野測器製マルチパーパスFFTアナライザ CF−5210)にて解析した。
このときの振動減衰曲線は図3のようになった。
なお、図3は縦軸が振動振幅、横軸が時間であり、(a)がアルミニウム板のみの結果で、(b)〜(d)がアルミニウム板に制振板である繊維強化複合体を取り付けた場合の結果である。
そして、図からもわかるように(b)〜(d)の方が(a)よりも短時間に振動振幅が0近似となり制振性に優れていた。
以下の3種類のテストピースについて、先の「制振性評価1」と同様に、他端側(アルミニウム板のみの余長部分)を万力で固定した加振テスト[図4(1a)〜(3a)]を実施するとともに、これとは逆の一端側(アルミニウム板と制振材とが積層されている側を)万力で固定した加振テスト[図4(1b)〜(3b)]を実施した。
(1a、1b)
図3(a)と同様にアルミニウム板のみ
(2a、2b)
繊維強化樹脂シートのみを10層積層したものを制振材としてアルミニウム板の片面に積層したもので、アルミニウム板単体のものと同様に比較例である
(3a,3b)
Al/CFRP(4層)/発泡層/ CFRP(4層)〕のテストヒ゜ース。
但し、制振材は、発泡シートが2.3mm厚み(密度:0.29g/cm3)のもので、CFRPがカーボンUDを基材とするものを用いた(制振材の総厚み:4.0mm)。
この図からも、発泡層と繊維強化樹脂層とを備える制振材は、繊維強化樹脂層のみしか備えていない制振材に比べて制振性に優れていることがわかる。
なお、前記制振板は、軽量性と強度とに優れたものであるため、本発明の制振構造体は、制振性に優れているのみならず軽量性と強度とにも優れているといえる。
10:金属製部材
20:制振材
21:発泡層
22:繊維強化樹脂層
Claims (2)
- 金属製部材と、該金属製部材の振動を抑制する制振材とを有し、前記金属製部材の表面に前記制振材が取付られてなる制振構造体であって、
前記制振材は、樹脂及び繊維を含む繊維強化樹脂層と、樹脂発泡体からなる発泡層とを含む2層以上の積層構造を有し、前記繊維強化樹脂層と前記金属製部材との間に前記発泡層が介装された状態となるように前記金属製部材に取付られ、且つ、
該制振材が、2層の前記繊維強化樹脂層と、該繊維強化樹脂層の間に配された前記発泡層との3層構造を有し、2層の前記繊維強化樹脂層の内の一方を前記金属製部材の表面に接着させて該金属製部材に取付られており、
前記発泡層を構成する前記樹脂発泡体が、熱可塑性樹脂によって形成されている制振構造体。 - 金属製部材の振動を抑制すべく該金属製部材の表面に取付られて用いられ、
樹脂及び繊維を含む繊維強化樹脂層と、樹脂発泡体からなる発泡層とを含む2層以上の積層構造を有し、前記繊維強化樹脂層と前記金属製部材との間に前記発泡層が介装された状態となるように前記金属製部材に取付られて用いられ、且つ、
2層の前記繊維強化樹脂層と、該繊維強化樹脂層の間に配された前記発泡層との3層構造を有し、2層の前記繊維強化樹脂層の内の一方を前記金属製部材の表面に接着させて用いられ、
前記発泡層を構成する前記樹脂発泡体が、熱可塑性樹脂によって形成されている制振材。
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