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JP6364780B2 - 重合トナーの製造方法 - Google Patents
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JP6364780B2 - 重合トナーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、複写機、ファクシミリ、及びプリンター等の、電子写真法を利用した画像形成装置の現像に用いることが出来る重合トナーに関するものである。
トナーの製造方法は大別して、粉砕法と重合法があるが、近年、エネルギーコストの問題や優れた品質が得られることから重合法が注目されている。重合法には、懸濁重合法や乳化凝集法等がある。
例えば、懸濁重合法では、まず、重合性単量体、並びに、着色剤、必要に応じ帯電制御剤、及び分子量調整剤等の添加物を混合して、重合性単量体組成物とし、それを、分散安定化剤を有する水系分散媒体中に分散する。次に、重合性単量体組成物が分散した水系分散媒体を、高速攪拌機等を用い、高いシェアをかけ、重合性単量体組成物の液滴を形成し、その後、重合開始剤の存在下に重合し、濾過、洗浄、及び乾燥を経て、乾燥した着色樹脂粒子を得る。さらに、この着色重合体粒子に、キャリア及び/又は無機微粒子等の外添剤を混合し、トナーとしている。
しかし、上記の添加物の中には重合を阻害するものもあり、着色樹脂粒子には、未反応の重合性単量体が、残留しやすい。更に、重合性単量体以外にも、重合開始剤により副生する化合物や分子量調整剤が残留することがある。
これらのものが残留した重合トナーは、トナーの保存性が低くなりやすく、このトナーを印刷に用いると、定着時の加熱により、残留低分子量成分が揮発して、毒性のある揮発成分や悪臭が発生し周囲の環境を悪化させる。さらには、耐久印字、特に高温高湿条件下で耐久印字を行った場合、耐久性が低下し易いという問題がある。
上記の問題に対して、重合後のトナーに残留する重合性単量体を除去する方法として、特許文献1では、懸濁重合後の着色重合体粒子を含む分散液を減圧ストリッピング法で処理後、乾燥するトナーの製造方法が提案されており、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを用いたトナーが開示されている。しかし、このトナーでは、未反応の重合性単量体の量が減少してトナー中に残留する重合性単量体量が減るが、十分とはいえず、重合開始剤により副生する化合物などが多く残留し、得られるトナーは、印字の耐久性、特に高温高湿下での印字の耐久性が十分ではなかった。
特許文献2では、重合後のトナーに残留する重合性単量体を除去する方法として、特定の攪拌条件下、減圧ストリッピング法で処理する製造方法が提案され、t−ブチルパーオキシイソブチレートを重合開始剤として用いたトナーが開示されている。しかし、本発明者が検討したところ、このトナーでは、重合開始剤の親水性が高いために、着色樹脂粒子より小粒径の微粒子が副生して、生産性が低下するという問題があることが分かった。
特許文献3には、重合後のトナーに残留する重合開始剤の分解物や残存モノマー(重合性単量体)量を減らす方法として、重合開始剤として、非芳香族過酸化物である、t−ブチルパーオキシジエチルアセテートを用いる重合トナーの製造方法が提案されている。しかし、この方法により得られたトナーでも、残留低分子量成分が揮発する場合があり、悪臭の発生を抑制することが十分ではなかった。
特許文献4には、重合後のトナーに残留する重合開始剤の分解物や残存モノマー(重合性単量体)量を減らす方法として、重合開始剤として、非芳香族過酸化物である、t−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエートを用いる重合トナーの製造方法が提案されている。確かにこの方法で得られたトナーでは、重合開始剤の分解物であるエーテル化合物や残留モノマー量が減少しているが、有機顔料を使用した場合に小粒径微粒子の発生を抑制できない場合があった。
特開2000−321809号公報 特開2001−117272号公報 特開2007−52039号公報 国際公開第2013/146048号
本発明の課題は、トナーの生産性に優れ、印字を行った際に臭気の原因となる残留低分子量成分が少なく、且つ有機顔料を使用した場合であっても小粒径微粒子の発生が抑制できるため白筋の発生のない重合トナーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、重合トナーの製造に用いる重合開始剤の性状について鋭意検討を重ねた結果、重合開始剤として、分子量及び水への溶解度が特定数値以下の有機過酸化物を用いて重合トナーを製造することにより、上述の問題を解決出来ることを見出した。
すなわち、本発明によれば、水系分散媒体中で、重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、重合開始剤の存在下に重合することにより得られる着色樹脂粒子を含む重合トナーの製造方法であって、前記重合開始剤が有機過酸化物であり、当該有機過酸化物の分子量が202以下であり、かつ25℃における水への溶解度が0.04質量%以下であることを特徴とする重合トナーの製造方法が提供される。
本発明においては、前記重合開始剤がt−ヘキシルパーオキシイソブチレートであることが好ましい。
本発明においては、前記重合を行う際に、小粒径微粒子抑制剤を、重合性単量体100質量部に対して0.01〜1質量部使用してもよい。
本発明における前記着色剤は、含金属有機顔料であってもよい。
本発明においては、前記重合後に、前記着色樹脂粒子を含む水系分散液の温度を60〜95℃、不活性ガス流量0.2〜1.0m/(hr・kg)の条件下で、1〜24時間ストリッピング処理を行ってもよい。
上記の如き本発明によれば、特定数値以下の分子量を有しかつ水への溶解度が特定数値以下の有機過酸化物を重合開始剤として用いることにより、比較的短い時間のストリッピングによって、未反応の重合性単量体や重合開始剤由来の副生成物を除去できるため、印字の際に発生する臭気が非常に少ない重合トナーが得られ、且つ生産性に優れ、さらに小粒径微粒子の発生が抑制できるため白筋の発生のない重合トナーの製造方法が提供される。
本発明の重合トナーの製造方法は、水系分散媒体中で、重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、重合開始剤の存在下に重合することにより得られる着色樹脂粒子を含む重合トナーの製造方法であって、前記重合開始剤が有機過酸化物であり、当該有機過酸化物の分子量が202以下であり、かつ25℃における水への溶解度が0.04質量%以下であることを特徴とする。
以下、本発明の製造方法により得られる重合トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)について説明する。
本発明により得られるトナーは、少なくとも、結着樹脂、及び着色剤を含有する。
以下、本発明に用いられる着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本発明のトナーの製造方法及び当該製造方法により得られるトナーについて、順に説明する。
1.着色樹脂粒子の製造方法
本発明に用いられる着色樹脂粒子は、重合法、好適には懸濁重合法を採用して、以下のようなプロセスにより製造される。
1−1.重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、及び着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いる。
本発明において重合性単量体とは、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。
ホットオフセット改善及び保存性改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールに炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られるトナーの保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマー又はポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」と称することがある。)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いることが望ましい。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナーを作製する場合、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、186、及び213等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、237、238、251、254、255、269及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
本発明においては、各着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用できる。着色剤の量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部である。
本発明では、着色剤として、含金属有機顔料を用いてもよい。
含金属有機顔料は、金属の酸化還元により望ましくない重合反応を触媒する結果、小粒径微粒子の発生を促進させる場合がある。本発明においては、後述するように重合開始剤として特定の有機過酸化物を用いるため、含金属有機顔料を使用した場合であっても小粒径微粒子の発生が抑制できる。
含金属有機顔料としては、上記シアン着色剤等と重複するが、例えば、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、スルホン化銅フタロシアニン、アルミフタロシアニン、及び亜鉛フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体が好ましく用いられる。これらの中でも、耐光性、発色性、及び安全性の観点から、銅フタロシアニンが好ましく用いられる。
定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善する観点から、重合性単量体組成物には、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。
上記離型剤は、エステルワックス及び炭化水素系ワックスの少なくともいずれか1つを含有することが好ましい。これらのワックスを離型剤として使用することにより、低温定着性と保存性とのバランスを好適にすることができる。
本発明において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミネート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミネート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもジペンタエリスリトールエステル化合物が好ましく、また、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートがより好ましい。
本発明において離型剤として好適に用いられる炭化水素系ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックス等が挙げられ、中でも、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックスが好ましく、石油系ワックスがより好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
上記離型剤の他にも、例えば、ホホバ等の天然ワックス;オゾケライト等の鉱物系ワックス;等を用いることができる。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部用いられ、更に好ましくは1〜20質量部用いられる。
その他の添加物として、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
また、その他の添加物として、重合して結着樹脂となる重合性単量体を重合する際に、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
1−2.懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
本発明では、少なくとも重合性単量体、及び着色剤を含む重合性単量体組成物を、好ましくは分散安定化剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行うことが好ましい。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス株式会社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
重合を行う際に、小粒径微粒子抑制剤を、重合性単量体100質量部に対して0.01〜1質量部使用してもよい。特定量の小粒径微粒子抑制剤を用いることにより、トナーの重合時に副生する小粒径微粒子の発生をより効果的に抑制することができる。
本発明において、「小粒径微粒子抑制剤」とは、重合性単量体組成物の液滴を形成する過程で、水系分散媒体中(水相中)に存在(溶出)してしまう重合性単量体由来のラジカル、及び/又は重合開始剤由来のラジカルを捕捉して、重合時に副生する小粒径微粒子の発生を抑制する効果を有する化合物のことをいう。
本発明に使用される小粒径微粒子抑制剤は、下記式1、式2、又は式3で表される構造を有する小粒径微粒子抑制剤であることが、重合時に副生する小粒径微粒子の発生を抑制する効果が高いことから好ましい。
(上記式1〜3中、−Rは、−OX、−SOX、−COX、又は−CH=CHCOXであり、Xは、水素又は金属である。)
上記式1〜3で表される多価フェノール化合物の金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、及びカリウム等の一価金属;マグネシウム、カルシウム、及びアルミニウム等の多価金属;等が挙げられる。上記多価フェノール化合物の金属塩の金属は、多価フェノール化合物の金属塩(小粒径微粒子抑制剤)と水系分散媒体(水相)との相溶性(溶解性)の観点から、一価金属であることが好ましい。
上記式1で表される小粒径微粒子抑制剤としては、例えば、ヒドロキシヒドロキノン、ヒドロキノンスルホン酸、ヒドロキノンカルボン酸、及びこれらの金属塩等が挙げられる。また、上記式2で表される小粒径微粒子抑制剤としては、例えば、カフェー酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、及びこれらの金属塩等が挙げられる。また、上記式3で表される小粒径微粒子抑制剤としては、例えば、ピロガロール、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシ桂皮酸、及びこれらの金属塩等が挙げられる。これらの小粒径微粒子抑制剤の中でも、着色剤として含金属有機顔料、特に銅フタロシアニン顔料を用いてトナーを製造する際には、ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン、及びカフェー酸が好ましく用いられ、ピロガロールが特に好ましく用いられる。
小粒径微粒子抑制剤を添加する時機は、懸濁重合を行う際に、懸濁液が、小粒径微粒子抑制剤を特定量含有することができれば、特に限定されないが、小粒径微粒子抑制剤は、重合性単量体組成物の調製時の重合性単量体組成物中に添加されるよりも、水系分散媒体中に添加される方が好ましい。水系分散媒体中に小粒径微粒子抑制剤を添加する時機としては、分散安定化剤を添加する前又は後の、重合性単量体組成物を投入する前又は後の、或いは、重合開始剤を添加する前又は後のいずれの段階の水系分散媒体中に、小粒径微粒子抑制剤は添加されてもよいが、重合時に副生する小粒径微粒子の発生を抑制する効果が高いことから、重合性単量体組成物の液滴形成後の水系分散媒体中、すなわち懸濁液中に添加されることが、特に好ましい。
小粒径微粒子抑制剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して、通常0.01〜1質量部であり、0.03〜0.8質量部であることが好ましく、0.05〜0.5質量部であることがより好ましい。
小粒径微粒子抑制剤の添加量が、上記範囲未満である場合には、水系分散媒体中(水相中)に溶出(存在)している重合性単量体の重合反応を抑える(停止させる)ことができず、重合時に副生する小粒径微粒子の発生を十分に抑制できない場合がある。一方、小粒径微粒子抑制剤の添加量が、上記範囲を超える場合には、重合性単量体組成物の所望の重合反応が抑制されてしまい、重合性単量体が重合されずにトナー中に多量に残留する場合がある。
重合開始剤として、(1)分子量が202以下であり、かつ(2)25℃における水への溶解度が0.04質量%以下である有機過酸化物を用いることが、本発明の主な特徴の1つである。
後述する実施例に示すように、上記条件(1)及び(2)をいずれも満たす有機過酸化物(t−ヘキシルパーオキシイソブチレート)を用いた実施例1のトナーは、25℃における水への溶解度が0.04質量%を超える有機過酸化物(条件(2)を満たさない有機過酸化物;t−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、及びt−ブチルパーオキシジエチルアセテート)を用いた比較例1、2、及び4と比較して、トナー中に含まれる小粒径微粒子の数が20%以下に抑えられ、その結果白筋が発生しにくい。上述したように、小粒径微粒子は、重合性単量体組成物の液滴を形成する過程で、水系分散媒体中(水相中)に存在(溶出)してしまう重合性単量体由来のラジカル、及び/又は重合開始剤由来のラジカルが重合反応を起こすことにより副生する。したがって、重合開始剤となる有機過酸化物の水への溶解度が低ければ低いほど、水相へ有機過酸化物が溶け出す割合が少なくなり、その結果小粒径微粒子の副生を抑えることができる。
一方、実施例1のトナーは、分子量が202を超える有機過酸化物(条件(1)を満たさない有機過酸化物;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)を用いた比較例3と比較して、重合開始剤由来の副生成物である残留エーテル化合物量が0.5%未満に抑えられている。比較例3においては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートに由来して、ブチルヘプチルエーテル(炭素数11)等が副生する。比較例3の結果は、ストリッピング処理により当該ブチルヘプチルエーテルを完全に除去するのが困難であることを示唆する。一方、実施例1においては、t−ヘキシルパーオキシイソブチレートに由来して、ヘキシルプロピルエーテル(炭素数9)等が副生する。実施例1の結果は、ストリッピング処理により当該ヘキシルプロピルエーテルは比較的容易に除去できることを示唆する。
本発明に使用される有機過酸化物の分子量は通常202以下であり、195以下であることが好ましく、188以下であることがより好ましい。また、有機過酸化物の分子量は146以上であることが好ましく、160以上であることがより好ましい。
有機過酸化物の分子量が202を超える場合には、比較例3に示すように、トナー中に残留する有機過酸化物由来のエーテル化合物の量が多くなる。また、有機過酸化物の分子量が146未満である場合には、爆発のおそれがあるため取り扱い性が悪くなるおそれがある。
本発明に使用される有機過酸化物の25℃における水への溶解度は、通常0.04質量%以下であり、0.03質量%以下であることが好ましい。また、当該溶解度は0.0001質量%以上であってもよい。
有機過酸化物の当該溶解度が0.04質量%を超える場合には、比較例1、2、及び4に示すように、重合中に有機過酸化物が水相へと比較的多く溶け出す結果、得られるトナー中に残留する小粒径微粒子の数が多くなるため、白筋が発生しやすくなる。
上記条件(1)及び(2)をいずれも満たす有機過酸化物としては、パーオキシエステルが好ましく、具体的には、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、t−ペンチルパーオキシイソブチレート、t−ペンチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシ−2−メチルブタノエート、t−ペンチルパーオキシ−2−メチルブタノエート、t−ペンチルパーオキシジエチルアセテート等が例示できる。これらの中でも、本発明においては、t−ヘキシルパーオキシイソブチレートを使用することが好ましい。
有機過酸化物の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.3〜15質量部であり、更に好ましくは1〜10質量部である。
有機過酸化物は、上述したように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に添加されても良いが、水系媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されても良い。
このように、上記条件(1)及び(2)をいずれも満たす有機過酸化物は、重合開始剤として用いた場合に、上記含金属有機顔料をたとえ用いた場合であっても、トナー中に残留する原料、副生成物、及び小粒径微粒子の量を少なく抑えることができるため、比較的似た構造を有する他の有機過酸化物と比較して、重合開始剤として極めて優れた性能を有する。
本発明において、水系媒体とは、水を主成分とする媒体のことを言う。
本発明において、水系媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることにより、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、また、洗浄後の分散安定化剤残存量を少なくできるため、得られるトナーが画像を鮮明に再現することができ、且つ環境安定性が優れたものとなる。
1−3.重合工程
上記1−2のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散液を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水系分散液を調製する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
本発明では、重合性単量体組成物の重合時に、水溶性オキソ酸塩をさらに添加することが好ましい。水溶性オキソ酸塩としては、ホウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、硝酸塩等が挙げられ、好ましくはホウ酸塩又はリン酸塩が、特に好ましくはホウ酸塩が挙げられる。ホウ酸塩としては、テトラヒドロホウ酸ナトリウム、テトラヒドロホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、及びこれらホウ酸塩の水和物等が挙げられる。リン酸塩としては、ホスフィン酸ナトリウム、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、次リン酸ナトリウム、二リン酸ナトリウム、二リン酸二水素二ナトリウム、三リン酸ナトリウム、cyclo−四リン酸ナトリウム、ホスフィン酸カリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、二リン酸カリウム、メタリン酸カリウム、及びこれらリン酸塩の水和物等が挙げられる。ホウ酸塩の中でも、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、及びこれらホウ酸塩の水和物が好ましく、四ホウ酸ナトリウム十水和物が特に好ましい。水溶性オキソ酸塩の量は、難水溶性無機化合物コロイド100質量部に対して、通常0.1〜1,000質量部、好ましくは1〜100質量部である。
重合時に水溶性オキソ酸塩を添加することにより、粗大粒子及び微粉の発生を抑制し、粒径分布を特にシャープにすることができる。
着色樹脂粒子は、そのまま外添剤を添加して重合トナーとして用いてもよいが、この着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(又は、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上述した、上記着色樹脂粒子を用いて、コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系分散液中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
1−4.洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
重合により得られた着色樹脂粒子の水系分散液は、重合終了後に、公知の方法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
なお、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作の前に、着色樹脂粒子の水系分散液について、着色樹脂粒子から揮発性物質(主にエーテル成分、及びスチレン)を除去する目的で、ストリッピング処理工程を設けてもよい。
ストリッピング処理時の水系分散液の温度は、60〜95℃であることが好ましい。当該温度が低すぎる場合には、十分なストリッピング効果が得られず、分散安定化剤や重合性単量体等がトナーに残るおそれがある。当該温度が高すぎる場合には、水系分散液中の水が蒸発し過ぎ、後の処理が困難となるおそれがある。
ストリッピング処理には、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを用いることが好ましい。不活性ガスの流量は、0.2〜1.0m/(hr・kg)とすることが好ましい。当該流量が少なすぎる場合には、十分なストリッピング効果が得られず、分散安定化剤や重合性単量体等がトナーに残るおそれがある。当該流量が多すぎる場合には、水系分散液中の水が蒸発し過ぎ、後の処理が困難となるおそれがある。
ストリッピング処理時間は、1〜24時間とすることが好ましい。
着色樹脂粒子の洗浄の方法としては、分散安定化剤として無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水系分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水系分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法、加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
2.着色樹脂粒子
上述した重合法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、好ましくは4〜12μmであり、更に好ましくは5〜10μmである。Dvが4μm未満である場合には、重合トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下したりする場合がある。Dvが12μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。
また、着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dnが1.3を超える場合には、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分析計(ベックマン・コールター製、商品名:マルチサイザー)等を用いて測定することができる。
本発明の着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
3.本発明の重合トナーの製造方法
上述した着色樹脂粒子は、外添剤と共に混合攪拌することにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を均一かつ好適に付着添加(外添)させることができる。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分トナーとしてもよい。
外添処理を行う攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及びメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ及び酸化チタンが好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
本発明では、外添剤を、着色樹脂粒子100質量部に対して、通常、0.05〜6質量部、好ましくは0.2〜5質量部の割合で用いることが望ましい。外添剤の添加量が0.05質量部未満の場合には転写残が発生することがある。外添剤の添加量が6質量部を超える場合にはカブリが発生することがある。
本発明の製造方法により得られる重合トナーは、特定数値以下の分子量を有しかつ水への溶解度が特定数値以下の有機過酸化物を重合開始剤として用いることにより、比較的短い時間のストリッピングによって、未反応の重合性単量体や重合開始剤由来の副生成物を除去できるため、印字の際に発生する臭気が非常に少ない重合トナーが得られ、且つ生産性に優れ、さらに小粒径微粒子の発生が抑制できるため白筋が発生しない。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
1.重合トナーの製造
[実施例1]
スチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部からなるコア用重合性単量体と、シアン着色剤として銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)6部と、帯電制御剤(4級アンモニウム塩基含有スチレン/アクリル樹脂、藤倉化成株式会社製)1部と、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.25部とを、通常の攪拌装置で攪拌及び混合した後、メディア型分散機により、均一分散した。ここに、離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート(溶解度:10g/100gスチレン以上、吸熱ピーク:65℃、分子量:1,514)5部を添加、混合、及び溶解して、コア用重合性単量体組成物を得た。重合性単量体組成物の調製はすべて室温で行った。
他方、室温で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム11.3部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム4.8部を溶解した水溶液を攪拌しながら徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記コア用重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこに重合開始剤として純度93%のt−ヘキシルパーオキシイソブチレート(日油製、商品名:パーヘキシルIB)を5.0部、分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド0.75部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部を添加後、乳化分散機(太平洋機工社製)を用いて22,500rpmの回転数で約1分間高剪断攪拌して、コア用重合性単量体組成物の液滴を造粒した。
上記コア用重合性単量体組成物の液滴形成後の懸濁液中に、小粒径微粒子抑制剤としてピロガロール0.05部を添加し、さらに攪拌した。
上記コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した水酸化マグネシウムコロイド分散液に、四ホウ酸ナトリウム十水和物1部を添加した後、攪拌翼を装着した反応器に入れ、89℃まで昇温して温度が一定となるように制御し、重合反応を行った。次いで、重合添加率がほぼ100%に達したときに、系内温度を89℃に維持しながら、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート3部、及びイオン交換水10部に溶解した2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA086)0.1部を添加した。更に3時間重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5の着色樹脂粒子の水分散液を得た。
この後、着色樹脂粒子の水分散液を80℃とし、窒素ガス流量0.6m/(hr・kg)で5時間ストリッピング処理を行った後、水分散液を25℃まで冷却した。
次いで、得られた水分散液25℃で、攪拌しながら、硫酸により系のpHを6.5以下にして酸洗浄を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を、数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機に入れ、温度40℃で12時間乾燥した。
上記により得られた着色樹脂粒子100部に、シリカ微粒子2部を添加し、高速攪拌機(日本コークス工業社製、商品名:FMミキサー)を用いて混合して、非磁性一成分トナーを作製した。試験結果を表1に示す。
[比較例1〜5]
重合開始剤の種類及び量と、小粒径微粒子抑制剤の量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを作製した。試験結果を表1に示す。なお、比較例1の重合開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエート、及び比較例2の重合開始剤であるt−ブチルパーオキシイソブチレートは、いずれもトルエンにより表1記載の濃度に希釈されたものを用いた。
2.重合トナー等の評価
上記実施例1、及び比較例1〜比較例5の重合トナー及びその材料について物性を調べた。詳細は以下の通りである。
(1)重合開始剤の水への溶解度
蒸留水に重合開始剤を0.5%添加し、25℃で24時間攪拌を行った。攪拌終了後、5時間静置して未溶解の重合開始剤をすべて沈降させ、上澄の溶解部分を分取した。この上澄部分に存在する重合開始剤の濃度をガスクロマトグラフィーにて定量し、水への溶解度(wt%)とした。
(測定条件)
装置:GC−2010(株式会社島津製作所製)
カラム:TC−WAX(ジーエルサイエンス株式会社製、df=0.5μm 0.25mmI.D.×60m)
検出器:FID
キャリアーガス:ヘリウム(線速度 21.3cm/sec)
注入口温度:200℃
検出器温度:200℃
オーブン温度:100℃で2分保持後、5℃/分の速度で150℃まで温度上昇させ、150℃で6分保持
サンプリング量:2μL
(2)小粒径微粒子の平均個数
重合工程後の着色樹脂粒子を含む水分散液3mLに、10%HSO 1mLを添加し、分散安定化剤を完全に溶解させた。この溶液を濾紙(アドバンテック東洋社製、商品名:No.2)に2mL滴下して濾過し、風乾して走査電子顕微鏡(SEM)用のサンプルを調製した。
風乾させた着色樹脂粒子に白金蒸着を行って、電界放射型走査電子顕微鏡(日立製作所社製、商品名:S−4700)を用い、加速電圧を5kVにし、5,000倍に拡大して走査電子顕微鏡(SEM)観察した。
各サンプルについて、ランダムに5視野の画像撮影を行い、各画像において無作為に5個の着色樹脂粒子を選択し、これら25個の着色樹脂粒子表面に観察される小粒径微粒子の個数を数えた。これより、着色樹脂粒子1個あたりの小粒径微粒子の平均個数を算出した。
(3)残留エーテル化合物及び残留スチレンの除去容易性評価
トナー3gを1mg単位まで精秤した。精秤したトナー3gに酢酸エチル27gを加えて30分間攪拌した後、メタノール13gを加えて更に10分間攪拌した。得られた溶液を静置して、不溶分を沈殿させた。当該溶液の上澄み液を測定用試料とし採取し、2μLをガスクロマトグラフに注入して残留エーテル化合物量及び残留スチレン量を定量した。結果を表1に示す。なお、ガスクロマトグラフィーによる測定条件は以下の通りである。
カラム:TC−WAX(0.25mm×30m)
カラム温度:80℃
インジェクション温度:200℃
FID検出側温度:200℃
(4)カブリ
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:20枚/分)、及び評価対象のトナーを、温度23℃、湿度50%の高温高湿(H/H)環境下に一昼夜放置した後、カブリを測定した。
カブリ測定法は以下の通りである。まず、印字に使用していない紙の色相を測定し、この色相を基準値(E)とした。次に、測定対象トナーを用いて上記プリンターにより白ベタを印字し、その白ベタの任意の6箇所の色相(E〜E)を測定した。色相(E〜E)と、基準値(E)との差(ΔE)をそれぞれ算出し、最も大きいΔEを、そのトナーのカブリ値とした。カブリ値が小さければ小さいほど、カブリが少なく、印字が良好であることを示す。また、今回の評価においては、このカブリ値が1.0以下である場合に、トナーとして良好に使用できることとした。
以上の色相の測定には、分光光度計(グレダグマクベス社製、商品名:スペクトロアイ)を用いた。
(5)白筋発生
カブリ測定と同じプリンターを用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で印字試験を行い、1,000枚毎に黒ベタ印字(印字濃度100%)をして、白色の縦筋(白筋)の発生の有無を確認した。黒ベタ画像に白色の縦筋が初めて確認されたときの枚数(白筋発生枚数)をカウントし、最多で20,000枚まで印字試験を行った。
なお、表1中、「20000<」と記載されているものは、20,000枚の時点で、白色の縦筋(白筋)が発生しなかったことを示す。
実施例1、及び比較例1〜比較例5のトナーの評価結果を、重合開始剤の種類と併せて表1に示す。
3.トナーの評価
以下、表1を参照しながら、トナーの評価結果について検討する。
比較例1のトナーは、濃度80%のt−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエート(日油製、商品名:パーブチルMB、トルエンにより希釈)を重合開始剤として用いて製造したトナーである。表1より、比較例1のトナーは、残留エーテル化合物量が6ppm、残留スチレン量が5ppmであり、これら残留物の量に問題は見られない。
しかし、表1より、比較例1のトナーは、小粒径微粒子数が56.2個と多く、印字試験におけるカブリ値が0.7と高く、白筋発生の評価枚数が10,000枚と少ない。したがって、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエートを用いた比較例1のトナーは、トナー中の小粒径微粒子の数が多いため、酸洗浄後の濾過において小粒径微粒子が濾材に詰まり、濾材を交換し続ける必要があり、生産性が悪い。このような生産性の悪さは、t−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエートの水溶性が比較的高いために、小粒径微粒子が副生し易いことに由来すると推測される。また、比較例1のトナーは、トナー中の小粒径微粒子の多さに起因して、白筋が多く発生すると考えられる。
比較例2のトナーは、濃度70%のt−ブチルパーオキシイソブチレート(日油製、商品名:パーブチルIB、トルエンにより希釈)を重合開始剤として用いて製造したトナーである。表1より、比較例2のトナーは、残留エーテル化合物量が5ppm、残留スチレン量が6ppmであり、これら残留物の量に問題は見られない。
しかし、表1より、比較例2のトナーは、小粒径微粒子の数が100個を超え、印字試験におけるカブリ値が0.6と高く、白筋発生の評価枚数が8,000枚と少ない。特に、比較例2のトナー中の小粒径微粒子の数は、測定したトナー中、最も多い。また、比較例2の白筋発生の評価枚数は、測定したトナー中、最も少ない。したがって、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソブチレートを用いた比較例2のトナーは、トナー中の小粒径微粒子の数が特に多いため、比較例1のトナーと同様の理由により生産性が悪い。また、比較例2のトナーは、トナー中の小粒径微粒子の多さに起因して、白筋が多く発生すると考えられる。
比較例3のトナーは、純度98%のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油製、商品名:パーブチルO)を重合開始剤として用いて製造したトナーである。表1より、比較例3のトナーは、小粒径微粒子の数が2.8個、白筋発生の評価枚数が20,000枚を超え、小粒径微粒子発生の問題は見られない。
しかし、表1より、比較例3のトナーは、残留エーテル化合物量が1,900ppmと高く、印字試験におけるカブリ値が0.6と高い。比較例3のトナーの残留エーテル化合物量の値は、実施例1、及び比較例1〜5のトナー中、最も高い値である。したがって、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを用いた比較例3のトナーは、重合開始剤由来の残留エーテル化合物が多いことが分かる。これは、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートに由来して副生するブチルヘプチルエーテルが、ストリッピング処理により完全に除去するのが困難であるためと推測される。
比較例4及び5のトナーは、純度98%のt−ブチルパーオキシジエチルアセテート(日油製、商品名:パーブチルEB)を重合開始剤として用いて製造したトナーである。
表1より、比較例4のトナーは、残留エーテル化合物量が8ppm、残留スチレン量が5ppmであり、これら残留物の量に問題は見られない。
しかし、表1より、比較例4のトナーは、小粒径微粒子数が21.3個と多く、印字試験におけるカブリ値が0.5と高く、白筋発生の評価枚数が13,000枚と少ない。したがって、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシジエチルアセテートを用いた比較例4のトナーは、トナー中の小粒径微粒子の数が多いため、比較例1のトナーと同様の理由により生産性が悪い。また、比較例4のトナーは、トナー中の小粒径微粒子の多さに起因して、白筋が多く発生すると考えられる。
なお、比較例5においては、比較例4の4倍の量の小粒径微粒子抑制剤を加えることにより、小粒径微粒子数を3.5個に抑えている。しかしその結果、印字試験におけるカブリ値が5.9と高くなった。比較例5のトナーのカブリ値は、実施例1、及び比較例1〜5のトナー中、最も高い値である。この結果は、従来の重合開始剤を用いる場合に、小粒径微粒子抑制剤(ピロガロール)の量を増やして小粒径の発生を抑えたとしても、トナー洗浄後でも、トナー表面や表面近傍にピロガロール及びその分解物がより多く残留し、帯電が低下することに起因してカブリが急増することを示す。
一方、実施例1のトナーは、純度93%のt−ヘキシルパーオキシイソブチレート(日油製、商品名:パーヘキシルIB)を重合開始剤として用いて製造したトナーである。
表1より、実施例1のトナーは、小粒径微粒子数が4.2個と少なく、残留エーテル化合物量が9ppmと低く、残留スチレン量が6ppmと低く、印字試験におけるカブリ値が0.4と低く、白筋発生の評価枚数が20,000枚を超える。
したがって、t−ヘキシルパーオキシイソブチレートを重合開始剤として用いて製造した実施例1のトナーは、印字を行った際に臭気等の原因となる残留低分子量成分の少ない重合トナーであることが分かる。また、実施例1においては、5時間という短いストリッピング時間で残留低分子量成分をほぼ完全に除去できており、生産性に優れることも分かる。さらに、実施例1のトナーは、小粒径微粒子の発生が抑制できるため白筋の発生が少なく、カブリも生じにくいトナーであることが分かる。

Claims (4)

  1. 水系分散媒体中で、重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、重合開始剤の存在下に重合することにより得られる着色樹脂粒子を含む重合トナーの製造方法であって、
    前記重合開始剤が有機過酸化物であり、当該有機過酸化物の分子量が202以下であり、かつ25℃における水への溶解度が0.04質量%以下であり、
    前記重合性単量体組成物を前記水系分散媒体中に分散した後、前記有機過酸化物を添加し、その後、得られた混合物を攪拌することにより前記重合性単量体組成物の液滴を造粒し、
    前記重合を行う際に、小粒径微粒子抑制剤を、重合性単量体100質量部に対して0.01〜1質量部使用することを特徴とする重合トナーの製造方法。
  2. 前記重合開始剤がt−ヘキシルパーオキシイソブチレートであることを特徴とする請求項1に記載の重合トナーの製造方法。
  3. 前記着色剤が、含金属有機顔料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重合トナーの製造方法。
  4. 前記重合後に、前記着色樹脂粒子を含む水系分散液の温度を60〜95℃、不活性ガス流量0.2〜1.0m/(hr・kg)の条件下で、1〜24時間ストリッピング処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の重合トナーの製造方法。
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