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JP6368331B2 - 撥水性ヒートシール膜、撥水性ヒートシール構造体、撥水性ヒートシール膜の製造方法、および撥水性ヒートシール構造体の製造方法 - Google Patents
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JP6368331B2 - 撥水性ヒートシール膜、撥水性ヒートシール構造体、撥水性ヒートシール膜の製造方法、および撥水性ヒートシール構造体の製造方法 - Google Patents

撥水性ヒートシール膜、撥水性ヒートシール構造体、撥水性ヒートシール膜の製造方法、および撥水性ヒートシール構造体の製造方法 Download PDF

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本発明は、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備える撥水性ヒートシール膜、撥水性ヒートシール膜を含む撥水性ヒートシール構造体、撥水性ヒートシール膜の製造方法、および撥水性ヒートシール構造体の製造方法に関する。
食品、飲料品、医薬品、化粧品、化学品などの内容物を包装する包装材料として、撥水性とヒートシール性を兼ね備える材料が開発されている。
たとえば、特開2010−184454号公報(特許文献1)は、少なくとも基材層および熱接着層を有する積層体からなる包装材料であって、熱接着層が包装材料の一方の面の最外層として積層されており、熱接着層が他の層と隣接していない最外面に一次粒子平均径3〜100nmの疎水性酸化物微粒子が付着している包装材料を開示する。
特開2011−93315号公報(特許文献2)は、熱可塑性樹脂を含有する層の表面の少なくとも一部に一次粒子平均径3〜100nmの疎水性酸化物微粒子が付着している積層体を開示する。
特開2011−184082号公報(特許文献3)は、少なくとも基材層と熱封緘層とを有する蓋材において、熱封緘層の外面に付着防止層を有し、付着防止層は、熱可塑性樹脂バインダーと疎水性微粒子との混合組成物からなる内容物付着防止蓋材を開示する。
特開2013−39930号公報(特許文献4)は、少なくとも基材層と熱封緘層とを有する蓋材において、熱封緘層の外面に付着防止層を有し、付着防止層は、撥水性付与成分として湿式製法による多孔質シリカ粒子の表面に疎水性を付与した疎水性湿式シリカ粒子が用いられ、かつ疎水性湿式シリカ粒子と熱可塑性樹脂バインダーとの混合物組成物で構成されてなる内容物付着防止蓋材を開示する。
特開2013−75715号公報(特許文献5)は、シート状基材および熱接着層を含む包装材料であって、シート状基材の少なくとも一方の面に熱接着層が積層されており、熱接着層がシート状基材と接する面の反対側の面に撥水性粒子が付着しており、密度の異なる2種以上の充填粒子が熱接着層中に含まれている包装材料を開示する。
特開2013−180790号公報(特許文献6)は、使用時に少なくともその一部がヒートシールされる包装材料であって、包装材料は、シート状基材およびヒートシール層を含み、かつ、ヒートシール層が最外層として配置された積層体を含み、ヒートシール層の最外面の一部または全部に樹脂ビーズおよび撥水性粒子が付着している包装材料を開示する。
特開2010−184454号公報 特開2011−93315号公報 特開2011−184082号公報 特開2013−39930号公報 特開2013−75715号公報 特開2013−180790号公報
特開2011−93315号公報(特許文献2)に開示の積層体、特開2010−184454号公報(特許文献1)、特開2013−75715号公報(特許文献5)および特開2013−180790号公報(特許文献6)に開示の包装材料は、いずれもヒートシール層とヒートシール層の最外面の一部または全部に付着している疎水性または撥水性の粒子との複層構造を有している。また、特開2011−184082号公報(特許文献3)および特開2013−39930号公報(特許文献4)に開示の蓋材は、いずれも熱封緘層とその外面に配置されている付着防止層との複数構造を有している。すなわち、上記のいずれの特許文献においても、ヒートシール性を備える層と撥水性を備える層との複層構造を有する材料が開発されているに過ぎない。
包装材料の構造の簡略化およびコスト低減の観点から、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備える材料の開発が要望されている。しかしながら、単層において、ヒートシール性と撥水性との両特性は、互いに二律背反するため、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備える材料は現在まで提供されていない。
本発明は、上記の課題を克服し、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備える撥水性ヒートシール膜、その原料である撥水性ヒートシール剤、撥水性ヒートシール膜を含む撥水性ヒートシール構造体撥水性ヒートシール膜の製造方法、および撥水性ヒートシール構造体の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明には、以下の構成が含まれる。
[1]熱可塑性樹脂と、第1粒子としての疎水性粒子と、疎水性粒子に比べて平均粒径が大きい第2粒子とを含み、熱可塑性樹脂100質量部に対して、疎水性粒子は70質量部以上110質量部以下であり、第2粒子は20質量部以上100質量部以下であり、熱可塑性樹脂はポリエステル樹脂あるいはポリエステル樹脂および塩酢ビ樹脂を含み、熱可塑性樹脂100質量部におけるポリエステル樹脂および塩酢ビ樹脂の含有割合は、それぞれ、100質量部および0質量部から40質量部および60質量部までの範囲であり基材の少なくとも一方の主面上に配置するための組成および組成割合が均一または連続的な変化をしている単層の膜であり、表面における水の接触角が150°以上であり、ヒートシール性を有する撥水性ヒートシール膜。さらに、[2]疎水性粒子は、粒子が有機シロキサン類および有機シラン類からなる群から選ばれる少なくとも1種類のケイ素化合物で表面処理されている上記[1]に記載の撥水性ヒートシール膜。
]基材と、基材の主面上に配置される上記[1]または[2]に記載の撥水性ヒートシール膜と、を含む撥水性ヒートシール構造体。さらに、[]基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびアルミニウムフィルムのいずれかである上記[]に記載の撥水性ヒートシール構造体。さらに、[]ポリスチレンフィルムおよびポリプロピレンフィルムのいずれかにヒートシールさせるための上記[]または[]に記載の撥水性ヒートシール構造体。
]上記[1]または[2]に記載の撥水性ヒートシール膜の製造方法であって、基材の記主面上に、熱可塑性樹脂と、第1粒子としての疎水性粒子と、第2粒子と、を含み、熱可塑性樹脂100質量部に対して、疎水性粒子は70質量部以上110質量部以下であり、第2粒子は20質量部以上100質量部以下であり、熱可塑性樹脂はポリエステル樹脂あるいはポリエステル樹脂および塩酢ビ樹脂を含み、熱可塑性樹脂100質量部におけるポリエステル樹脂および塩酢ビ樹脂の含有割合は、それぞれ、100質量部および0質量部から40質量部および60質量部までの範囲である撥水性ヒートシール剤を少なくとも1層塗布する工程と、撥水性ヒートシール剤を膜化させることにより、基材の主面上に配置される撥水性ヒートシール膜を形成する工程と、を含む撥水性ヒートシール膜の製造方法。
]上記[]から[]のいずれか1つに記載の撥水性ヒートシール構造体の製造方法であって、基材の主面上に、熱可塑性樹脂と、第1粒子としての疎水性粒子と、第2粒子と、を含み、熱可塑性樹脂100質量部に対して、疎水性粒子は70質量部以上110質量部以下であり、第2粒子は20質量部以上100質量部以下であり、熱可塑性樹脂はポリエステル樹脂あるいはポリエステル樹脂および塩酢ビ樹脂を含み、熱可塑性樹脂100質量部におけるポリエステル樹脂および塩酢ビ樹脂の含有割合は、それぞれ、100質量部および0質量部から40質量部および60質量部までの範囲である撥水性ヒートシール剤を少なくとも1層塗布する工程と、撥水性ヒートシール剤を膜化させることにより、基材の主面上に配置される撥水性ヒートシール膜を形成することにより撥水性ヒートシール構造体を得る工程と、を含む撥水性ヒートシール構造体の製造方法。
本発明によれば、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備える撥水性ヒートシール膜、撥水性ヒートシール膜を含む撥水性ヒートシール構造体、撥水性ヒートシール膜の製造方法、および撥水性ヒートシール構造体の製造方法を提供できる。
[実施形態1:撥水性ヒートシール膜]
本実施形態の撥水性ヒートシール膜は、熱可塑性樹脂と、第1粒子としての疎水性粒子と、を含み、熱可塑性樹脂100質量部に対して、疎水性粒子は55質量部以上130質量部以下であり、単層であり、表面における水の接触角が150°以上であり、ヒートシール性を有する。本実施形態の撥水性ヒートシール膜は、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備える。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、基材としてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムまたはAl(アルミニウム)フィルム上に形成された撥水性ヒートシール膜が、PS(ポリスチレン)樹脂またはPP(ポリプロピレン)樹脂とヒートシール性を有するものであれば特に制限はなく、ポリエステル樹脂、塩酢ビ(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などが好適に挙げられる。また、基材またはヒートシール対象物に応じて、これらの樹脂を単独にまたは併用して使用できる。特に、ポリエステル樹脂、塩酢ビ樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、およびポリウレタン樹脂は、単独で用いてもヒートシール性が高く、好適である。
(第1粒子)
第1粒子は、疎水性粒子である。ここで、疎水性粒子とは、表面に露出している官能基が疎水基または表面に露出している官能基が疎水基でキャップされている粒子をいう。このような疎水性粒子は、アルキル基などの疎水基が表面に露出している疎水性粒子の他、水酸基などの親水基が表面に露出している親水性粒子の表面を疎水化処理することにより得られる。第1粒子は、疎水性粒子であれば材質に特に限定はなく、粒子自体が疎水性粒子であってもよく、表面が疎水化処理されている親水性粒子であってもよい。
第1粒子である疎水性粒子は、疎水性を高める観点から、粒子が有機シロキサン類および有機シラン類からなる群から選ばれる少なくとも1種類のケイ素化合物で表面処理されていることが好ましい。ここで、有機シロキサン類とは、側鎖がアルキル基、フェニル基などの炭化水素基で置換されたシロキサン結合(Si−O−Si結合)を有するケイ素化合物をいい、たとえば、ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどが好適に挙げられる。また、有機シラン類とは、シランのSiに結合している少なくとも一部のHがアルキル基、フェニル基などの炭化水素基、ハロゲン基などで置換されたケイ素化合物である有機シラン、およびかかる有機シランがNH基またはS基などのヘテロ基で連結されたケイ素化合物をいい、たとえば、トリメチルシラン、オクチルシランなどのアルキルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが好適に挙げられる。疎水化表面処理方法は、粒子をドライブレンドにより行なう。ここで、ドライブレンドとは、気体雰囲気中たとえば窒素雰囲気中で、表面処理剤であるケイ素化合物と被表面処理材である粒子とを混合することをいう。第1粒子が疎水性粒子であることは、メタノール濡れ性試験により評価する。ここで、メタノール濡れ性試験とは、濃度比の異なるメタノール水溶液に一定量の第1粒子を添加し十分に振とうさせ、第1粒子の沈降度合いからメタノールに対する濡れ性を評価する試験をいい、第1粒子を沈降させるのに必要なメタノール濃度が高いものほど疎水性が高い。
第1粒子である疎水性粒子の平均1次粒径は、特に制限はないが、撥水性ヒートシール膜のヒートシール性および撥水性を高くする観点から、1nm以上50nm以下が好ましく、5nm以上30nm以下がより好ましい。ここで、第1粒子の平均1次粒径は、透過型電子顕微鏡による観察により測定する。
第1粒子である疎水性粒子の含有割合は、撥水性ヒートシール膜の撥水性およびヒートシール性を高くする観点から、熱可塑性樹脂100質量部に対して、55質量部以上130質量部以下であり、60質量部以上120質量部以下が好ましく、70質量部以上110質量部以下がより好ましく、80質量部以上100質量部以下がさらに好ましい。第1粒子である疎水性粒子の含有割合は、疎水性粒子が無機物である場合は、燃焼残さ(灰分)中の無機酸化物の含有量から算出できる。
(第2粒子)
本実施形態の撥水性ヒートシール膜は、表面に凹凸を形成し、撥水性を高める観点から、第1粒子である疎水性粒子に比べて平均粒径が大きい第2粒子をさらに含むことが好ましい。第2粒子の平均粒径は、第1粒子である疎水性粒子の平均粒径より大きければ特に制限はないが、表面に適正な深さのある凹凸を形成することにより撥水性を高める観点から、1μm以上50μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましい。ここで、第2粒子の平均粒径は、コールターカウンターにより測定する。
第2粒子は、その種類に特に制限はなく、無孔質シリカ、多孔質シリカ、シリコンなどの無機物であっても、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などの有機物であってもよい。また、第2粒子は、親水性粒子であっても、疎水性粒子であってもよい。
第2粒子の含有割合は、特に制限はないが、撥水性ヒートシール膜の撥水性およびヒートシール性を高くする観点から、熱可塑性樹脂100質量部に対して、20質量部以上100質量部以下が好ましく、30質量部以上90質量部以下がより好ましく、40質量部以上80質量部以下がさらに好ましい。第2粒子の含有割合は、第2粒子が無機物である場合は、燃焼残さ(灰分)中の無機酸化物の含有量から算出できる。
(単層)
本実施形態の撥水性ヒートシール膜は、上記の組成を有することにより、単層で、高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備える。ここで、単層とは、層内において組成および組成割合に不連続な変化のない単一層をいう。すなわち、撥水性ヒートシール膜が、撥水性ヒートシール剤が複数回分けて塗布された複数層であっても、それらの層の組成および組成割合が均一または連続的な変化をしている場合は、全体として単層である。
(撥水性)
本実施形態の撥水性ヒートシール膜の撥水性とは、膜の表面が水をはじくことをいい、表面における水滴の挙動および水の接触角で評価する。具体的には、撥水性を有するとは、水滴が撥水性ヒートシール膜の表面上にその一部も残さずまたはその一部を残すが転がること、および、表面における水の接触角が150°以上であることをいう。ここで、表面における水滴の挙動は目視により観察し、膜の表面における水の接触角は、撥水性ヒートシール膜の表面に滴下した蒸留水の表面との接触角を接触角計により測定する。本実施形態の撥水性ヒートシール膜は、水滴が撥水性ヒートシール膜の表面上にその一部も残さず転がり、表面における水の接触角が150°以上であることから、撥水性が高い。
(ヒートシール性)
本実施形態の撥水性ヒートシール膜のヒートシール性は、所定の基材上に形成した撥水性ヒートシール膜を所定のヒートシール対象物とヒートシールさせたときのシール強度で評価する。具体的には、基材としてのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムまたはAl(アルミニウム)フィルム上に形成した撥水性ヒートシール膜を、PS(ポリスチレン)フィルムまたはPP(ポリプロピレン)フィルムにヒートシールした15mm幅のサンプルを、剥離角90°で剥離速度200mm/分で剥離するときのシール強度(単位:gf/15mm)で評価する。本実施形態の撥水性ヒートシール膜がヒートシール性を有するとは、上記の基材がPETフィルムでヒートシール対象物がPSフィルム、基材がPETフィルムでヒートシール対象物がPPフィルム、基材がAlフィルムでヒートシール対象物がPSフィルム、および基材がAlフィルムでヒートシール対象物がPPフィルムの4種類の内少なくとも1種類のサンプルのシール強度が、150gf/15mm以上であり、200gf/15mm以上が好ましく、300gf/15mm以上がより好ましく、350gf/15mm以上がさらに好ましい。
[実施形態2:撥水性ヒートシール剤]
本実施形態の撥水性ヒートシール剤は、実施形態1の撥水性ヒートシール膜の原料となる撥水性ヒートシール剤である。本実施形態の撥水性ヒートシール剤は、膜化させることにより、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備える撥水性ヒートシール膜が得られる。本実施形態の撥水性ヒートシール剤は、具体的には、以下の構成を有する。
本実施形態の撥水性ヒートシール剤は、実施形態1の撥水性ヒートシール膜と同様の観点から、熱可塑性樹脂と、第1粒子としての疎水性粒子と、を含み、熱可塑性樹脂の100質量部に対して、疎水性粒子は55質量部以上130質量部以下であり、単層の膜としたときに、表面における水の接触角が150°以上であり、ヒートシール性を有する。
本実施形態の撥水性ヒートシール剤は、実施形態1の撥水性ヒートシール膜と同様の観点から、第1粒子である疎水性粒子に比べて平均粒径が大きい第2粒子をさらに含むことが好ましい。また、第1粒子である疎水性粒子は、粒子が有機シロキサン類および有機シラン類からなる群から選ばれる少なくとも1種類のケイ素化合物で表面処理されていることが好ましい。
本実施形態の撥水性ヒートシール剤は、主成分である熱可塑性樹脂、第1粒子、および第2粒子の種類および含有割合について、実施形態1の撥水性ヒートシール膜と同じである。すなわち、本実施形態の撥水性ヒートシール剤が膜化することにより、本実施形態の撥水性ヒートシール剤の主成分である熱可塑性樹脂、第1粒子、および第2粒子の種類および含有割合と同じ種類および含有割合の主成分である熱可塑性樹脂、第1粒子、および第2粒子を有する実施形態1の撥水性ヒートシール膜が得られる。本実施形態の撥水性ヒートシール剤の主成分である熱可塑性樹脂、第1粒子、および第2粒子の種類および含有割合については、実施形態1の撥水性ヒートシール膜と同じであるため、ここでは繰り返さない。
本実施形態の撥水性ヒートシール剤は、主成分である可塑性樹脂、第1粒子、および第2粒子の種類および含有割合が実施形態1の撥水性ヒートシール膜と同じであれば、特に制限はなく、副成分として、主成分を希釈する溶剤が含まれていてもよい。副成分の種類および主成分と副成分との組成割合により、撥水性ヒートシール剤の具体例として、ホットメルトタイプ、シーラントタイプ、およびラッカータイプの各タイプの撥水性ヒートシール剤が好適に挙げられる。
[実施形態3:撥水性ヒートシール構造体]
本実施形態の撥水性ヒートシール構造体は、基材と、基材の少なくとも一方の主面側に配置される実施形態1の撥水性ヒートシール膜と、を含む。本実施形態の撥水性ヒートシール構造体は、それに含まれる撥水性ヒートシール膜が単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備えるため、好適な包装材料となる。ここで、基材は、包装材料としての目的および用途に適しておれば特に制限はなく、たとえば、PETフィルム、Alフィルムなどが好適に挙げられる。
[実施形態4:撥水性ヒートシール膜の製造方法]
本実施形態の撥水性ヒートシール膜の製造方法は、実施形態1の撥水性ヒートシール膜の製造方法であって、基材の少なくとも一方の主面側に、熱可塑性樹脂と、第1粒子としての疎水性粒子と、を含み、熱可塑性樹脂の100質量部に対して、疎水性粒子は55質量部以上130質量部以下である撥水性ヒートシール剤を少なくとも1層塗布する工程と、撥水性ヒートシール剤を膜化させることにより、基材の少なくとも一方の主面側に配置される撥水性ヒートシール膜を形成する工程と、を含む。本実施形態の撥水性ヒートシール膜の製造方法により、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備える撥水性ヒートシール膜が得られる。
(撥水性ヒートシール剤の塗布工程)
撥水性ヒートシール剤の塗布工程とは、基材の少なくとも一方の主面側に、熱可塑性樹脂と、第1粒子としての疎水性粒子と、を含み、熱可塑性樹脂100質量部に対して、疎水性粒子は55質量部以上130質量部以下である撥水性ヒートシール剤を少なくとも1層塗布する工程である。基材は、その少なくとも一方の主面側に撥水性ヒートシール剤を塗布できるものであれば特に制限はなく、たとえば、PETフィルム、Alフィルムなどが好適に挙げられる。また、撥水性ヒートシール剤の塗布方法は、特に制限はなく、刷毛塗布、バーコーター塗布、スプレーコート、グラビアコートなどが好適に挙げられる。
(撥水性ヒートシール膜の形成工程)
撥水性ヒートシール膜の形成方法とは、撥水性ヒートシール剤を膜化させることにより、基材の少なくとも一方の主面側に配置される撥水性ヒートシール膜を形成する工程である。撥水性ヒートシール剤を膜化方法は、特に制限はなく、乾燥などが好適に挙げられる。
(実施例A)
1.撥水性ヒートシール構造体の作製
基材として厚さ16μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムおよび厚さ32μmのAl(アルミニウム)フィルムを用い、それぞれの基材の一主面上に、主成分として表1の例A−1〜例A−10に示す熱可塑性樹脂、第1粒子を表1の組成割合で含み、副成分として熱可塑性樹脂100質量部に対して、溶剤であるメチルエチルケトンおよび酢酸エチルを1002〜1562質量部含む撥水性ヒートシール剤をバーコーターにより1回塗布した後、80℃で3秒間加熱して乾燥させることにより、膜化させることにより、基材の一主面上に膜厚が目付量で3g/m2の単層の撥水性ヒートシール膜が形成された撥水性ヒートシール構造体を得た。ここで、ポリエステル樹脂としてはユニチカ株式会社製UE3500を用い、塩酢ビ樹脂としては日信化学工業株式会社製ソルバインM5Rを用いた。第1粒子としてはエボニック社製アエロジルRY200(ジメチルポリシロキサンで表面処理したヒュームドシリカ)を用いた。実施例Aにおいては、第1粒子である疎水性粒子の含有割合および平均粒径と、撥水性およびヒートシール性との関係を調べた。
2.撥水性または撥ヨーグルト性の評価
得られた撥水性ヒートシール構造体の撥水性ヒートシール膜の主面上に、水道水を1滴滴下したときの水滴またはヨーグルト(雪印メグミルク社製恵)を適量滴下したときのヨーグルト滴の挙動から、撥水性または撥ヨーグルト性を評価した。水滴またはヨーグルト滴が撥水性ヒートシール膜の表面上にその一部も残さずに転がるものを良、水滴またはヨーグルト滴が撥水性ヒートシール膜の表面上にその一部を残すが転がるものを可、水滴またはヨーグルト滴が撥水性ヒートシール膜の表面上にその全部を残し転がらないものを不可と評価した。また、水の接触角は、得られた撥水性ヒートシール構造体の撥水性ヒートシール膜の主面上に、蒸留水を1滴滴下したときの水滴と主面との接触角を、協和界面科学株式会社FACE接触角計CA−X150型を用いて測定した。結果を表1にまとめた。表1の空欄部分は、未評価であることを示した。
3.ヒートシール性の評価
得られた撥水性ヒートシール構造体を、厚さ65μmのPS(ポリスチレン)シートまたは厚さ30μmのPP(ポリプロピレン)シートとヒートシールさせた後、幅15mmの短冊状のサンプルを作製し、そのサンプルを、剥離角90°で剥離速度200mm/分で剥離したときのシール強度(単位:gf/15mm)を測定した。測定されたシール強度が150gf/15mm以上であるものを良、シール強度が150gf/15mm未満のものを不良と評価した。結果を表1にまとめた。表1の空欄部分は、未評価であることを示した。
Figure 0006368331
表1を参照して、例A−1〜例A−8から、撥水性ヒートシール膜は、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備える観点から、第1粒子である疎水性粒子の含有割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、55質量部以上130質量部以下が必要であり、60質量部以上120質量部以下が好ましく、80質量部以上100質量部以下がさらに好ましかった。また、例A−4〜A−7から、また、撥水性ヒートシール膜は、第1粒子である疎水性粒子の含有割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、80質量部以上130質量部以下の範囲において、単層で高い撥ヨーグルト性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。例A−4、例A−9および例A−10から、撥水性ヒートシール膜は、第1粒子である疎水性粒子の平均粒径が7nm以上30nm以下の範囲であっても、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。
(実施例B)
主成分として表2の例B−1〜例B−10に示す熱可塑性樹脂、第1粒子および第2粒子を表2の組成割合で含み、副成分として熱可塑性樹脂100質量部に対して、溶剤であるメチルエチルケトンおよび酢酸エチルを967〜1527質量部含む撥水性ヒートシール剤を用いたこと以外は、実施例Aと同様にして、撥水性ヒートシール構造体を得た。得られた撥水性ヒートシール構造体について、実施例Aと同様にして、撥水性または撥ヨーグルト性の評価、ならびにヒートシール性の評価を行なった。ここで、第2粒子について、無孔質シリカ粒子としてはAGCエスアイテック株式会社製サンスフェアNP−200またはNP−30を用い、多孔質シリカ粒子としてはAGCエスアイテック株式会社製サンスフェアH−201を用い、シリコン粒子としては信越化学工業株式会社製KMP−602を用い、アクリル樹脂粒子としてはアイカ工業株式会社製ガンツパールGM2001を用い、ウレタン樹脂粒子としては根上工業株式会社製アートパールC400を用いた。実施例Bにおいては、第2粒子の含有割合、平均粒径、種類および疎水性もしくは親水性と、撥水性およびヒートシール性との関係を調べた。結果を表2にまとめた。表2の空欄部分は、未評価であることを示した。
Figure 0006368331
表2を参照して、例B−1〜例B−5から、撥水性ヒートシール膜は、第2粒子の含有割合が熱可塑性樹脂100質量部に対して20質量部以上100質量部以下の範囲であっても、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。また、例B−3および例B−6から、第2粒子の平均粒径が3μm以上20μm以下の範囲であっても、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。また、例B−3および例B−7〜例B−10から、撥水性ヒートシール膜は、第2粒子の材質、疎水性および親水性の如何を問わず、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。
(実施例C)
主成分として表3の例C−1〜例C−4に示す熱可塑性樹脂、第1粒子および第2粒子を表3の組成割合で含み、副成分として熱可塑性樹脂100質量部に対して、溶剤であるメチルエチルケトンおよび酢酸エチルを1178質量部含む撥水性ヒートシール剤を用いたこと以外は、実施例Aと同様にして、撥水性ヒートシール構造体を得た。得られた撥水性ヒートシール構造体について、実施例Aと同様にして、撥水性または撥ヨーグルト性の評価、ならびにヒートシール性の評価を行なった。ここで、第1粒子である疎水性粒子について、ジメチルポリシロキサンで表面処理されたものとしてはエボニック社製アエロジルRY200を用い、ヘキサメチルジシラザンで表面処理されたものとしてはエボニック社製アエロジルRX200を用い、オクチルシランで表面処理されたものとしてはエボニック社製アエロジルR805を用いた。実施例Cにおいては、第1粒子である親水性のシリカに対する有機シロキサン類および有機シラン類からなる群から選ばれる少なくとも1種類のケイ素化合物による疎水性表面処理の有無と、撥水性およびヒートシール性との関係を調べた。結果を表3にまとめた。表3の空欄部分は、未評価であることを示した。
Figure 0006368331
表3を参照して、例C−1〜例C−4から、撥水性ヒートシール膜は、第1粒子として有機シロキサン類および有機シラン類からなる群から選ばれる少なくとも1種類のケイ素化合物で表面が疎水性処理された疎水性粒子を用いることにより、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。例C−1および例C−2から、撥水性ヒートシール膜は、第1粒子としてジメチルシロキサンまたはトリメチルシランで疎水性表面処理された疎水性粒子を用いることにより、単層で高い撥ヨーグルト性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。
(実施例D)
主成分として表4の例D−1〜例D−9に示す熱可塑性樹脂、第1粒子および第2粒子を表4の組成割合で含み、副成分として熱可塑性樹脂100質量部に対して、溶剤であるメチルエチルケトンおよび酢酸エチルを1178質量部含む撥水性ヒートシール剤を用いたこと以外は、実施例Aと同様にして、撥水性ヒートシール構造体を得た。得られた撥水性ヒートシール構造体について、実施例Aと同様にして、撥水性または撥ヨーグルト性の評価、ならびにヒートシール性の評価を行なった。ここで、熱可塑性樹脂について、ポリエステル樹脂としてはユニチカ株式会社製UE3500を用い、塩酢ビ樹脂としては日信化学工業株式会社製ソルバインM5Rを用い、塩素化ポリプロピレン樹脂としては東洋紡株式会社製ハードレン13LLPを用い、アクリル樹脂としてはエボニック社製DEGALAN P24を用い、ポリウレタン樹脂としてはサカタインクス社製XGL2200を用いた。実施例Dにおいては、熱可塑性樹脂の種類および組成割合と、撥水性およびヒートシール性との関係を調べた。結果を表4にまとめた。表4の空欄部分は、未評価であることを示した。
Figure 0006368331
表4を参照して、例D−1〜例D−9から、撥水性ヒートシール膜は、熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、塩酢ビ樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、およびポリウレタン樹脂を、単独または併用して用いることにより、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。また、撥水性ヒートシール膜は、特に、熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、塩酢ビ樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、およびポリウレタン樹脂を、それぞれ単独で用いても、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。また、撥水性ヒートシール膜は、熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、塩酢ビ樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、およびアクリル樹脂を、単独または併用して用いることにより、単層で高い撥ヨーグルト性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。
(実施例E)
主成分として表5の例E−1〜例E−3に示す熱可塑性樹脂、第1粒子および第2粒子を表5の組成割合で含み、副成分として熱可塑性樹脂100質量部に対して、溶剤であるメチルエチルケトンおよび酢酸エチルを1178質量部含む撥水性ヒートシール剤を用いたこと、および、膜厚を目付量で1g/m2、3g/m2または5g/m2としたこと以外は、実施例Aと同様にして、撥水性ヒートシール構造体を得た。得られた撥水性ヒートシール構造体について、実施例Aと同様にして、撥水性または撥ヨーグルト性の評価、ならびにヒートシール性の評価を行なった。実施例Eにおいては、撥水性ヒートシール膜の膜厚と撥水性およびヒートシール性との関係を調べた。結果を表5にまとめた。表5の空欄部分は、未評価であることを示した。
Figure 0006368331
表5を参照して、例E−1〜例E−3から、撥水性ヒートシール膜は、膜厚が目付量で1g/m2以上5g/m2以下の範囲で、単層で高い撥水性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。また、撥水性ヒートシール膜は、膜厚が目付量で3g/m2以上5g/m2以下の範囲で、単層で高い撥ヨーグルト性と高いヒートシール性を兼ね備えていた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂と、第1粒子としての疎水性粒子と、前記疎水性粒子に比べて平均粒径が大きい第2粒子と、を含み、
    前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記疎水性粒子は70質量部以上110質量部以下であり、前記第2粒子は20質量部以上100質量部以下であり、
    前記熱可塑性樹脂はポリエステル樹脂あるいは前記ポリエステル樹脂および塩酢ビ樹脂を含み、
    前記熱可塑性樹脂100質量部における前記ポリエステル樹脂および前記塩酢ビ樹脂の含有割合は、それぞれ、100質量部および0質量部から40質量部および60質量部までの範囲であり、
    基材の少なくとも一方の主面上に配置するための組成および組成割合が均一または連続的な変化をしている単層の膜であり、
    表面における水の接触角が150°以上であり、ヒートシール性を有する撥水性ヒートシール膜。
  2. 前記疎水性粒子は、粒子が有機シロキサン類および有機シラン類からなる群から選ばれる少なくとも1種類のケイ素化合物で表面処理されている請求項1に記載の撥水性ヒートシール膜。
  3. 前記基材と、前記基材の前記主面上に配置される請求項1または請求項2に記載の撥水性ヒートシール膜と、を含む撥水性ヒートシール構造体。
  4. 前記基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびアルミニウムフィルムのいずれかである請求項に記載の撥水性ヒートシール構造体。
  5. ポリスチレンおよびポリプロピレンのいずれかにヒートシールさせるための請求項または請求項に記載の撥水性ヒートシール構造体。
  6. 請求項1または請求項2に記載の撥水性ヒートシール膜の製造方法であって、
    前記基材の前記主面上に、前記熱可塑性樹脂と、前記第1粒子としての前記疎水性粒子と、前記第2粒子と、を含み、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記疎水性粒子は70質量部以上110質量部以下であり、前記第2粒子は20質量部以上100質量部以下であり、前記熱可塑性樹脂は前記ポリエステル樹脂あるいは前記ポリエステル樹脂および前記塩酢ビ樹脂を含み、前記熱可塑性樹脂100質量部における前記ポリエステル樹脂および前記塩酢ビ樹脂の含有割合は、それぞれ、100質量部および0質量部から40質量部および60質量部までの範囲である撥水性ヒートシール剤を少なくとも1層塗布する工程と、
    前記撥水性ヒートシール剤を膜化させることにより、前記基材の前記主面上に配置される前記撥水性ヒートシール膜を形成する工程と、を含む撥水性ヒートシール膜の製造方法。
  7. 請求項から請求項のいずれか1項に記載の撥水性ヒートシール構造体の製造方法であって、
    前記基材の前記主面上に、前記熱可塑性樹脂と、前記第1粒子としての前記疎水性粒子と、前記第2粒子と、を含み、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記疎水性粒子は70質量部以上110質量部以下であり、前記第2粒子は20質量部以上100質量部以下であり、前記熱可塑性樹脂は前記ポリエステル樹脂あるいは前記ポリエステル樹脂および前記塩酢ビ樹脂を含み、前記熱可塑性樹脂100質量部における前記ポリエステル樹脂および前記塩酢ビ樹脂の含有割合は、それぞれ、100質量部および0質量部から40質量部および60質量部までの範囲である撥水性ヒートシール剤を少なくとも1層塗布する工程と、
    前記撥水性ヒートシール剤を膜化させることにより、前記基材の前記主面上に配置される前記撥水性ヒートシール膜を形成することにより前記撥水性ヒートシール構造体を得る工程と、を含む撥水性ヒートシール構造体の製造方法。
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