JP6373220B2 - 三次元立体造形用粉体および三次元立体造形物 - Google Patents
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Description
ここに開示される技術の好ましい一態様に係る三次元立体造形用粉体は、三次元立体造形物を造形するために用いられる三次元立体造形用粉体である。この三次元立体造形用粉体は、少なくとも非水和反応母材粒子と水溶性接着粒子とを含む混合粉体からなる。そして、該粉体100質量部に対して水50質量部を添加してスラリーを調製した場合に、該水を添加してから1分後における該スラリーの粘度αが30mPa・s〜8000mPa・sである。以下、スラリーの粘度α、非水和反応母材粒子、水溶性接着粒子、造形液、造形方法、三次元立体造形物の製造方法の順で説明する。
本明細書において、上記スラリーの粘度αは以下のようにして測定するものとする。すなわち、三次元立体造形用粉体100質量部に水50質量部を添加し、30秒間混練してスラリーを調製する。このスラリーを容器に入れ、表面を平坦化する。そして、振動粘度計(例えば、株式会社セコニック製の振動式粘度計、型式「VM−100A」)の検査端子をスラリーに入れて、上記水を添加してから1分経過した時点での値を測定することによって、上記スラリーの粘度α(mPa・s)を求めることができる。なお、本明細書中において言及するスラリーの粘度αは、液温20℃〜22℃において測定された値を示している。
これに対し、本構成によれば、三次元立体造形用粉体100質量部に対して水50質量部を添加、混練して1分経過した時点でのスラリー粘度αが8000mPa・s以下となるように抑えられているので、水を含む造形液と混合した際、水溶性接着粒子が水に溶解して適度に増粘することで、水溶性接着粒子を溶解した水が非水和反応母材粒子間に均一に行き渡る。そのため、非水和反応母材粒子間に強い接着強度が発現し、該粉体を用いて造形された三次元立体造形物の機械的強度を従来に比して向上させることができる。
ここに開示される三次元立体造形用粉体は非水和反応母材粒子を含有する。ここで「非水和反応母材粒子」とは、該粒子に水が接触したときに水和反応(典型的には水和物の生成や水酸化物の生成)が起こらない、あるいは起こったとしても該粒子の表面の微視的な範囲のみに限定され、該粒子の大部分は実質的に水と反応しない物質をいう。したがって、例えば非水和反応母材粒子1モルに対して微量(例えば0.1モル以下、好ましくは0.01モル以下、より好ましくは0.001モル以下)の水分子が該粒子表面で局所的に反応する場合は、ここでいう非水和反応母材粒子の概念に包含され得る。水和反応が起こる物質の典型例として、石膏、セメントなどが挙げられる。非水和反応母材粒子は、造形対象である三次元立体造形物の母材を構成する成分である。
ここに開示される三次元立体造形用粉体は水溶性接着粒子を含有する。ここで「水溶性接着粒子」とは、液温90℃の水100質量部に接着粒子2質量部を添加し4時間攪拌したときに、該接着粒子の全部もしくは一部が溶解することで、該接着粒子を溶解した水溶液が水よりも高い粘性を発現する樹脂粒子をいう。好ましい一態様では、上記水の粘度をA(mPa・s)とした場合に、上記接着粒子が溶解した水溶液の粘度が1.2×A(好ましくは1.5×A、より好ましくは2.0×A)を上回る程度に粘性が発現する。水溶性接着粒子は、水を含む造形液と混合した際、水に溶解して非水和反応母材粒子同士を接着する成分である。
ここに開示される三次元立体造形用粉体は、典型的には水を含む造形液と混合される態様で、三次元立体造形物の造形に用いられる。上記造形液に用いられる溶媒は、水を含むものであればよい。溶媒としては、純水、超純水、イオン交換水(脱イオン水)、蒸留水等を好ましく用いることができる。ここに開示される造形液は、必要に応じて、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)をさらに含有してもよい。通常は、造形液に含まれる溶媒の40体積%以上が水であることが好ましく、50体積%以上(典型的には50〜100体積%)が水であることがより好ましい。
ここに開示される三次元立体造形用粉体は、例えば以下の操作を含む態様で、三次元立体造形物の造形(製造)に使用することができる。以下、ここに開示される三次元立体造形用粉体を用いて三次元立体造形物を造形する方法の好適な一態様につき説明する。この造形は、造形対象となる三次元立体造形物に対応する三次元データ等に基づいて立体を造形する3Dプリンタを用いて行われ得る。かかる3Dプリンタは、水を含む造形液を滴下するインクジェットと、三次元立体造形用粉体が配置される裁置台とを有し得る。
操作1:上記三次元立体造形用粉体を、造形対象となる三次元立体造形物の各層に対応する厚さ(例えば0.01mm〜0.3mm)となるように、裁置台上に層状に充填する。
操作2:層状に充填された三次元立体造形用粉体のうち固化すべき部分(すなわち造形対象となる三次元立体造形物の一部に相当する部分)に対してインクジェットヘッドから水を含む造形液を滴下する。そして当該滴下部分に含まれる水溶性接着粒子を溶解して非水和反応母材粒子間を接着することで、層状固形物を形成(固化)する。
操作3:裁置台を鉛直下方に上記三次元立体造形物の各層に対応する厚さの分だけ下降させる。
ここに開示される技術には、例えば、三次元立体造形物の製造方法の提供が含まれ得る。すなわち、ここに開示される技術によると、非水和反応母材粒子と水溶性接着粒子とを含む三次元立体造形用粉体を用意する工程と、層状に充填した該三次元立体造形用粉体の薄層の少なくとも一部に水を含む造形液を混合して固化させ、該固化した薄層を繰り返し積層することにより三次元立体造形物を造形する工程と、を含む三次元立体造形物の製造方法が提供される。この三次元立体造形物の製造方法では、上記三次元立体造形用粉体を用意する工程において、三次元立体造形用粉体100質量部に対して水50質量部を添加し混練してスラリーを調製した場合に、該水を添加してから1分後における該スラリーの粘度が30mPa・s〜8000mPa・sとなるように設定された三次元立体造形用粉体が用意される。上記製造方法は、ここに開示される三次元立体造形用粉体および造形方法の内容を好ましく適用することにより実施され得る。上記製造方法によると、従来に比して機械的強度に優れた、高品質な三次元立体造形物が提供される。
(例1)
非水和反応母材粒子および水溶性接着粒子をポリミックスで30秒間攪拌して三次元立体造形用粉体を調製した。
非水和反応母材粒子としては、平均粒子径40μmのアルミナ粒子を使用した。水溶性接着粒子としては、ポリビニルアルコール(PVA:株式会社クラレ製:ポバール205S)を使用した。
三次元立体造形用粉体100質量部に対して、非水和反応母材粒子の含有量は90質量部、水溶性接着粒子の含有量は10質量部である。
上記三次元立体造形用粉体8gに水4gを添加し、ラバーボーウルでヘラにより30秒間混練してスラリーを調製した。このスラリーを直径36mm×長さ32mmのプラスチック容器に気泡等が入り込まないように入れ、表面をヘラで平坦化した。そして、株式会社セコニック製の型式「VM−100A」の振動式粘度計により、上記水を添加、混練してから1分経過した時点でのスラリーの粘度αを測定した(液温20〜22℃)。その結果、上記スラリーの粘度αは800mPa・sであった。
水溶性接着粒子として、PVAに代えてメラミン樹脂(華陽物産株式会社製:ナショナルメラミン)を使用した他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは80mPa・sであった。
水溶性接着粒子として、PVAに代えてアラビアゴムを使用した他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは110mPa・sであった。
水溶性接着粒子として、PVAに代えてキサンタンガム(三晶株式会社製:ケルザン)を使用した他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは7800mPa・sであった。
水溶性接着粒子として、PVAに代えてキサンタンガム(三晶株式会社製:ケルザン)を使用し、かつ、非水和反応母材粒子の含有量を98質量部、水溶性接着粒子の含有量を2質量部とした他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは1300mPa・sであった。
水溶性接着粒子として、PVAに代えてイソブチレン系樹脂A(株式会社クラレ製:イソバン110)を使用した他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは900mPa・sであった。
水溶性接着粒子として、PVAに代えてイソブチレン系樹脂A(株式会社クラレ製:イソバン110)を使用し、かつ、非水和反応母材粒子の含有量を99質量部、水溶性接着粒子の含有量を1質量部とした他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは60mPa・sであった。
水溶性接着粒子として、PVAに代えてイソブチレン系樹脂B(株式会社クラレ製:イソバン104)を使用した他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは400mPa・sであった。
非水和反応母材粒子の含有量を99質量部、水溶性接着粒子の含有量を1質量部とした他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは36mPa・sであった。
非水和反応母材粒子の含有量を85質量部、水溶性接着粒子の含有量を15質量部とした他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは2500mPa・sであった。
非水和反応母材粒子の含有量を80質量部、水溶性接着粒子の含有量を20質量部とした他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは4800mPa・sであった。
非水和反応母材粒子の含有量を50質量部、水溶性接着粒子の含有量を50質量部とした他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは22000mPa・sであった。
非水和反応母材粒子として、平均粒子径40μmのアルミナ粒子に代えて平均粒子径80μmのシリカ粒子を使用した他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは1320mPa・sであった。
非水和反応母材粒子として、平均粒子径40μmのアルミナ粒子に代えて平均粒子径15μmのシリカ粒子を使用した他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは1080mPa・sであった。
非水和反応母材粒子として、平均粒子径40μmのアルミナ粒子に代えて平均粒子径0.2μmのチタニア粒子を使用した他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは40000mPa・sであった。
非水和反応母材粒子として、平均粒子径40μmのアルミナ粒子に代えて平均粒子径2μmのチタニア粒子を使用した他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは5400mPa・sであった。
非水和反応母材粒子として、平均粒子径40μmのアルミナ粒子に代えて平均粒子径30μmのジルコニア粒子を使用した他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは280mPa・sであった。
水溶性接着粒子を使用しなかった他は例1と同様にして、本例に係る三次元立体造形用粉体およびスラリーを調製した。該スラリーの粘度αは17mPa・sであった。
各例のスラリーをテフロン(登録商標)コート板上に流し込み、24時間乾燥した。乾燥したサンプルを縦10mm×横30mm×厚さ2.4mmの試験片に切り出し、直径12mmの円柱状ステンレス製治具に乗せ、加圧アタッチメントを試験片に押し当てながら下降させ、試験片が破壊したときの荷重値(圧壊強度:kg)を測定した。結果を表1、図1および図2に示す。図1はスラリー粘度αと圧壊強度との関係を示すグラフである。図2は水溶性接着粒子の含有量と圧壊強度との関係を示すグラフである。ここでは圧壊強度が1kg(=9.8N)以上のものを良品と判定した。かかる圧壊強度は、造形後の三次元立体造形物を造形装置から破損なく取り出し得るために必要な強度である。なお、上記圧壊試験に基づく圧壊強度と、実際に3Dプリンタで造形された三次元立体造形物の造形強度との間には相関係数0.8以上の正の強い相関があることが予備実験等により確認されている。
Claims (7)
- 非水和反応母材粒子と水溶性接着粒子とを含む三次元立体造形用粉体であって、
前記粉体100質量部に対して水50質量部を添加してスラリーを調製した場合に、該水を添加してから1分後における該スラリーの粘度が30mPa・s〜8000mPa・sであり、
前記水溶性接着粒子と前記非水和反応母材粒子とは、それぞれ独立した粒子として存在している、三次元立体造形用粉体。 - 前記非水和反応母材粒子の平均粒子径が、1μm〜80μmである、請求項1に記載の三次元立体造形用粉体。
- 前記粉体の全量を100質量部とした場合に、前記水溶性接着粒子の含有量が、1質量部〜20質量部である、請求項1または2に記載の三次元立体造形用粉体。
- 前記水溶性接着粒子は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および多糖類からなる群から選択される少なくとも1種を主体として構成されている、請求項1〜3の何れか一つに記載の三次元立体造形用粉体。
- 前記非水和反応母材粒子は、Al、Zr,Ti、Zn、NiおよびFeからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む金属またはそれらの合金を主体として構成されている、請求項1〜4の何れか一つに記載の三次元立体造形用粉体。
- 前記非水和反応母材粒子は、Al、Zr,Ti、Zn、Ni、FeおよびSiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物を主体として構成されている、請求項1〜4の何れか一つに記載の三次元立体造形用粉体。
- 請求項1〜6の何れか一つに記載の三次元立体造形用粉体を用意する工程と、
層状に充填した前記三次元立体造形用粉体の薄層の少なくとも一部に水を含む造形液を混合して固化させ、該固化した薄層を繰り返し積層することにより三次元立体造形物を造形する工程と
を含む、三次元立体造形物の製造方法。
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