JP6375829B2 - Ag合金スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
このような有機ELは、近年、ディスプレイデバイス用の発光素子として注目されている。
したがって、アクティブマトリックス方式は、有機EL素子の特性を発揮させやすい駆動方式である。
有機EL素子の反射電極膜としてAg合金膜を用いる場合には、スパッタリング法が採用されている。この場合、スパッタリング装置のターゲットとしては、Ag合金スパッタリングターゲットが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、純Ag膜は、高い導電性、及び高い反射率を有する反面、耐食性(特に、耐硫化性)や熱的な安定性に欠けるため、有機ELパネルの反射電極膜に適用するためには、これらの特性を改善する必要がある。
上記純Agの特性を改善する手段として、Inが添加されたAg合金よりなるスパッタ用ターゲットが提案されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
しかし、生産性の向上の観点から、大型化されたAg合金スパッタリングターゲットに高い電力を投入してスパッタリングすると、異常放電が発生すると共に、スプラッシュと呼ばれる現象(溶融した微粒子が基板に付着してしまう現象)が発生してしまう。
トップエミッション方式の有機EL素子を構成する反射電極層は、有機EL発光層の下地層となるため、高い平坦性が要求される。したがって、トップエミッション方式の有機EL素子では、異常放電やスプラッシュ現象を抑制することが重要となる。
これにより、ターゲットのスパッタレートが経時的に変化するため、ターゲットの使用量によりスパッタ膜の成膜レートが変化してしまうという問題があった。
これにより、スパッタリング表面内におけるAg合金スパッタリングターゲットのスパッタレートの経時変化を小さくすることが可能となるので、スパッタ膜の成膜レートを安定させることができる。
また、スパッタ膜を成膜後に行われる工程(具体的には、例えば、熱処理工程や、薬品を使用したエッチング工程等)において、製品として出荷された後で生じるスパッタ膜の変質(例えば、熱による凝集や腐食)による特性の低下をより一層抑制することができる。
<Ag合金スパッタリングターゲット>
本発明の実施の形態のAg合金(Ag−In合金)スパッタリングターゲットは、有機EL素子の反射電極膜やタッチパネルの配線膜等の導電膜の母材となるスパッタ膜(Ag合金薄膜)等を成膜する際に使用するAg合金スパッタリングターゲットである。
Inの含有量が0.1質量%よりも少ないと、スパッタ膜の耐硫化性を向上させることが困難となってしまう。一方、Inの含有量が1.5質量%よりも多いと、スパッタ膜の反射率が低下してしまう。
これにより、スパッタリング表面内におけるAg合金スパッタリングターゲットのスパッタレートの経時変化を小さくすることが可能となるので、スパッタ膜の成膜レートを安定させることができる。
このような大型化されたAg合金スパッタリングターゲットに適用した場合でも、大電力が投入されたスパッタ膜の成膜処理を可能とし、異常放電やスプラッシュ現象の発生を十分に抑制した上で、耐熱性に優れたスパッタ膜を成膜することができる。
Ag合金スパッタリングターゲットが、Sb,Mg,Pd,Cu,Sn,Geのうち、少なくとも1種を、0.01〜3.5質量%含有することで、スパッタ膜の耐熱性、耐湿性、耐食性をさらに向上させることができる。
これにより、スパッタ膜を成膜後に行われる工程において、製品として出荷された後で生じるスパッタ膜の変質による特性の低下をより一層抑制することができる。
一方、Ag合金スパッタリングターゲットに含まれるSb,Mg,Pd,Cu,Sn,Geのうち、少なくとも1種の含有量が3.5質量%を超えると、スパッタ膜の電気抵抗が高くなりすぎたり、スパッタ膜の反射率が低下したりしてしまう。
添加量が上記各範囲の下限値に満たない場合には、上記説明したような効果を得ることができない。一方、添加量が上記各範囲の上限を超える場合には、スパッタ膜の電気抵抗が高くなったり、スパッタ膜の反射率が低下したりする恐れがある。
また、Mgを添加することで、スパッタ膜の耐熱性及び耐塩水性を向上させることができる。また、Pdを添加することで、スパッタ膜の耐湿性、耐硫化性、及び耐塩水性を向上させることができる。
また、Cuを添加することで、スパッタ膜の耐熱性及び耐硫化性を向上させることができる。また、Snを添加することで、スパッタ膜の耐熱性、耐湿性、及び耐硫化性を向上させることができる。
さらに、Geを添加することで、スパッタ膜の反射率を低下させることなく、耐熱性を向上させることができる。
これにより、Ag合金スパッタリングターゲットのスパッタリング率が経時的に変化することを抑制可能となるので、ターゲットの使用量(ターゲットの経時的な変化)に起因する成膜レートの変化を抑制できる。
次に、Ag合金スパッタリングターゲットの製造方法について説明する。
始めに、純度が99.99質量%以上のAgと、純度が99.99質量%以上のInと、純度が99.99質量%以上とされた添加剤(具体的には、Sb,Mg,Pd,Cu,Sn,Geのうち、少なくとも1種)と、を準備する。
次いで、高周波真空溶解炉内に、所望の質量比となるように、Agと、Inと、添加剤と、をセットする。
なお、鋳造処理の方法としては、上記説明した一方向凝固法に替えて、完全連続鋳造法や半連続鋳造法等の方法を用いて行ってもよい。
なお、ここでの1パスあたりの圧下率は、下記(1)式により算出することができる。
1パスあたりの圧下率(%)=(パス前の厚み−パス後の厚み)÷パス前の厚さ×100 ・・・(1)
次いで、上記板材を急冷(例えば、加熱された温度から目的の温度までを200℃/分以上の冷却速度で冷却)する。これにより、板材の平均結晶粒径を150μm以下にすることができる。
その後、該板材を機械加工することで、本実施の形態のAg合金スパッタリングターゲットが製造される。
始めに、表1に示す実施例1〜11の組成となるように、各金属を秤量し、高周波真空溶解炉内に装入した。このとき、Ag、In、及び添加剤(Sb,Pd,Sn,Mg,Cu,Ge)は、純度が99.99質量%のものを用いた。
次いで、アルゴンガス雰囲気中において、溶解したAgに、In及び添加剤を添加し、合金溶湯を黒鉛製鋳型に注いで鋳造することで、溶解鋳造インゴットを作製した。鋳造処理の方法としては、先に説明した一方向凝固法を用いた。
具体的には、Ag合金インゴットを770℃まで加熱した後、一方向に圧延を繰り返すことで、400mmから1200mmまで伸ばし、これを90度回転させた後、さらにもう一方の方向である435mmの方向の圧延を繰り返し行うことで、板材(縦1200mm×横1300mm×厚さ20mm)を作製した。
なお、総圧下率は、下記(2)式により算出した。
総圧下率={{熱間圧延前のAg合金インゴットの厚さ}−(熱間圧延後のAg合金インゴットの厚さ)}/{熱間圧延前のAg合金インゴットの厚さ} ・・・(2)
一方、実施例11では、圧延後の板材の温度が770℃から200℃となるように、約20℃/minの平均冷却速度でゆっくりと板材を冷却(放冷)した。
その後、得られた板材を、1100×1200×12(mm)の寸法に機械加工することで、実施例1〜11のAg合金スパッタリングターゲットT1〜T11を作製した。
比較例では、一方向凝固に替えて、通常の黒鉛製鋳型に鋳込んだこと以外は、先に説明した実施例1と同様な手法により、Ag−In合金インゴット(325mm×328mm×250mm)を作製した。
次いで、実施例1と同様な熱間圧延処理をAg−In合金インゴットに行うことで、板材(1450mm×1520mm×14mm)を作製した。このとき、熱間圧延全体の総圧延率は、約94.4%であった。
その後、実施例1と同様な処理を行うことで、1100×1200×12(mm)の寸法とされた比較例のAg合金スパッタリングターゲットS1を作製した。
各Ag合金スパッタリングターゲットT1〜T11,S1の中心部と角部との計3箇所から20mm□のサンプルを切り出し(以下、これらのサンプルを「第1〜第3のサンプル」という)、第1〜第3のサンプルの表面(スパッタリング面に相当する面)を鏡面研磨した。
次いで、株式会社リガク製のX線回折装置であるRINT−ULTIMAIIIを用いて、第1〜第3のサンプルの表面における2θ−θの回折測定を行った。
このとき、Cuを陽極に用いた管球を用い、2θを0.05°刻みのステップスキャンとして、1ステップあたり2秒のX線を照射して回折測定を行った。また、X線回折測定は、第1〜第3のサンプルを回転させながら行った。
次いで、各Ag合金スパッタリングターゲットT1〜T11,S1の中心部から10mm□のサンプルを切り出しサンプルの表面(スパッタリング面に相当する面)を鏡面研磨した後、研磨された表面の結晶粒界をエッチングした。
この際用いたエッチング液は、水:28%アンモニア水:31%過酸化水素水を体積比にて、4:1:1に混合することで作製した。
次に、光学顕微鏡を用いて、実施例1〜11及び比較例の研磨面を観察し、100倍の倍率にて組織写真を撮影し、組織写真中の結晶粒径を、ASTM E 112に記載の切断法にて計測し、平均化することで平均結晶粒径を求めた。この結果を表2に示す。
実施例1〜11及び比較例のAg合金スパッタリングターゲットT1〜T11,S1から直径154.2mmの円盤を切り出して、機械加工により厚さ6mmとし、その後、無酸素銅製のバッキングプレートにInはんだを用いて接合することで、実施例1〜11及び比較例の評価用Ag合金スパッタリングターゲットを作製した。
なお、スパッタリング装置としては、直流マグネトロンスパッタリング装置である株式会社アルバック製のSIH−450Hを用いた。
表2を参照するに、実施例1〜11において、(200)面/(111)面の回折強度比は、0.28〜0.51であり、0.25以上0.55以下の範囲内であった。実施例1〜11において、(220)面/(111)面の回折強度比は、0.13〜0.39であり、0.10以上0.40以下の範囲内であった。
また、実施例1〜11において、(311)面/(111)面の回折強度比は、0.19〜0.34であり、0.10以上0.40以下の範囲内であった。
一方、比較例では、(200)面/(111)面の回折強度比が0.55よりも大きく、(311)面/(111)面の回折強度比が0.10よりも小さい結果となった。
次いで、上記スパッタリング装置のチャンバー内に配置された基板ホルダーに、マスキングテープ付き基板を固定させた。基板は、Ag合金スパッタリングターゲットと平行に対向するように配置させた。また、基板とAg合金スパッタリングターゲットとの距離は、70mmとした。
基板としては、縦20mm×横20mmの四角形とされたガラス基板(具体的には、コーニング社製のイーグルXG)を用いた。基板に貼り付けたマスキングテープとしては、中興化成工業株式会社製のAGF−100FRを縦5mm×横20mmの大きさに切断したものを用いた。
続いて、直流電源を用いて、Ag合金スパッタリングターゲットに1000Wの直流電力を印加し、基板を加熱することなく、45秒間スパッタ膜を成膜した。
これにより、実施例1〜11のスパッタ膜P1〜P11、及び比較例のスパッタ膜Q1を成膜した。
そして、スパッタ膜P1〜P11,Q1の厚さと、成膜時間である45秒と、に基づいて、スパッタ膜P1〜P11,Q1の成膜レート(nm/sec)を算出した。
表3を参照するに、実施例1〜11のスパッタ膜P1〜P11の成膜レートは、上記のスパッタ試験の間ほぼ一定の成膜レートを示した。一方、比較例のスパッタ膜Q1の成膜レートは、ターゲットの使用時間経過に伴い、成膜レートが減少する傾向を示した。
このことから、実施例1〜11では、ターゲット使用時間経過に対する成膜レートの変化が少ないことが確認できた。
Claims (4)
- 0.1〜1.5質量%のInを含有し、残部がAg及び不可避不純物よりなるAg合金スパッタリングターゲットであって、
スパッタリング表面のX線回折測定において検出される(200)面/(111)面の回折強度比が0.25以上0.55以下、(220)面/(111)面の回折強度の比が0.10以上0.40以下、(311)面/(111)面の回折強度の比が0.10以上0.40以下であることを特徴とするAg合金スパッタリングターゲット。 - 前記スパッタリング表面における平均結晶粒径は、150μm以下であることを特徴とする請求項1記載のAg合金スパッタリングターゲット。
- 前記スパッタリング表面の面積が、0.25m2以上であることを特徴とする請求項1または2記載のAg合金スパッタリングターゲット。
- さらに、Sb,Mg,Pd,Cu,Sn,Geのうち、少なくとも1種を、0.01〜3.5質量%含有することを特徴とする請求項1乃至3のうち、いずれか1項記載のAg合金スパッタリングターゲット。
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