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JP6375950B2 - アクリルゴム組成物およびゴム架橋物 - Google Patents
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JP6375950B2 - アクリルゴム組成物およびゴム架橋物 - Google Patents

アクリルゴム組成物およびゴム架橋物 Download PDF

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Description

本発明は、アクリルゴム組成物およびゴム架橋物に関し、さらに詳しくは、熱老化後における、耐圧縮永久歪み性、引張強度および伸び変化率が高度にバランスされたゴム架橋物を与えるアクリルゴム組成物、およびこのアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるゴム架橋物に関する。
アクリルゴムは、耐熱性、耐油性に優れているため、自動車関連の分野などで広く用いられている。このようなアクリルゴムに対し、最近ではシール材、ホース材、防振材、チューブ材、ベルト材またはブーツ材といった各部材において、熱老化後の特性に、さらに一層優れたアクリルゴムが強く要望されるようになっている。
このようなアクリルゴムは、自動車関連の各部材に用いられる際には、ゴムに強度を持たせる等の理由より、一般的にカーボンブラックなどの炭素系の充填剤を添加した状態で用いられている。しかし、その一方で、アクリルゴムにカーボンブラックなどの炭素系の充填剤を添加して用いると、電気抵抗が低くなってしまうため、組み付け部の金属が腐食してしまうという電蝕の問題が発生することがあった。そのため、炭素系の充填剤に代えて、合成シリカ等の導電性の低い充填剤を用いることが検討されている。また、着色して使用する用途に用いるためにも、合成シリカ等の充填剤の使用が望まれている。
充填剤としてシリカを配合してなるアクリルゴムの組成物として、たとえば、特許文献1,2には、アクリルゴムに、シリカに加えて、特定の官能基を有するシランカップリング剤を配合する技術が開示されている。しかしながら、これら特許文献1,2に開示された技術では、熱老化後における、耐圧縮永久歪み性と、引張強度と、伸び変化率とがバランスされておらず、そのため、シール材やホース材などの耐熱老化性が要求される用途として不十分である場合があった。
特開2004−59667号公報 特開2008−239713号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、熱老化後における、耐圧縮永久歪み性、引張強度および伸び変化率が高度にバランスされたアクリルゴム組成物、およびこのアクリルゴム組成物を架橋することにより得られるゴム架橋物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、カルボキシル基含有アクリルゴムに、シリカおよび脂肪族多価アミン化合物を配合してなるアクリルゴム組成物において、ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤と、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤とを併用して配合することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対し、シリカ10〜100重量部、ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A)0.05〜5重量部、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B)0.05〜5重量部、および、脂肪族多価アミン化合物0.1〜10重量部を含有するアクリルゴム組成物が提供される。
好ましくは、前記シランカップリング剤(A)が、エポキシ基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、および塩素原子含有シランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種であり、かつ、前記シランカップリング剤(B)が、ビニル基含有シランカップリング剤、およびメタクリロキシ基含有シランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種である。
好ましくは、前記シランカップリング剤(A)が、下記一般式(1)で表される化合物であり、かつ、前記シランカップリング剤(B)が、下記一般式(2)で表される化合物である。
X−SiR (OR3−m ・・・(1)
(上記一般式(1)中、Xは、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、または塩素原子を含有する、炭素数1〜11の基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基、ORは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、mは0〜2の整数である。)
Y−SiR (OR3−n ・・・(2)
(上記一般式(2)中、Yは、ビニル基、またはメタクリロキシ基を含有する、炭素数2〜10の基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基、ORは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
好ましくは、前記シランカップリング剤(A)と前記シランカップリング剤(B)との含有比率が、「シランカップリング剤(A)/シランカップリング剤(B)」の重量比で、0.05〜5である。
好ましくは、本発明のアクリルゴム組成物は、前記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対し、塩基性架橋促進剤0.1〜10重量部をさらに含有する。
また、本発明によれば、上記いずれかに記載のアクリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供される。
本発明によれば、熱老化後における、耐圧縮永久歪み性、引張強度および伸び変化率が高度にバランスされ、耐熱老化性に優れたゴム架橋物を与えるアクリルゴム組成物、および該アクリルゴム組成物を架橋することにより得られるゴム架橋物を提供することができる。
本発明のアクリルゴム組成物は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対し、シリカ10〜100重量部、ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A)0.05〜5重量部、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B)0.05〜5重量部、および、脂肪族多価アミン化合物0.1〜10重量部を含有することを特徴とする。
<カルボキシル基含有アクリルゴム>
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムは、カルボキシル基を架橋点に持つアクリルゴムであり、分子中に、主成分(本願においては、ゴム全単量体単位中50重量%以上有するものを言う。)としての(メタ)アクリル酸エステル単量体〔アクリル酸エステル単量体および/またはメタクリル酸エステル単量体の意。以下、(メタ)アクリル酸メチルなど同様。〕単位を含有するものであればよく、特に限定されない。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムは、(A)α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を架橋性単量体単位として有するアクリルゴム、(B)アクリルゴムに対してラジカル開始剤存在下でカルボキシル基を有する炭素−炭素不飽和結合含有化合物を付加反応させてなるアクリルゴム、または、(C)アクリルゴム分子中のカルボン酸エステル基、酸アミド基などのカルボン酸誘導基の一部を加水分解によってカルボキシル基へ変換させてなるアクリルゴムのいずれであってもよい。これらの中でも、(A)α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を架橋性単量体単位として有するアクリルゴムであることが好ましく、たとえば、本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムとしては、分子中に、主成分としての(メタ)アクリル酸エステル単量体単位50〜99.9重量%、および架橋性単量体単位として、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位0.1〜10重量%を含有する重合体などが挙げられる。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムの主成分である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、特に限定されないが、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、および(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体などを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、および(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エチル、および(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸エチル、およびアクリル酸n−ブチルが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、炭素数2〜8のアルコキシアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、および(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、および(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが好ましく、アクリル酸2−エトキシエチル、およびアクリル酸2−メトキシエチルが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴム中における、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、通常、50〜99.9重量%、好ましくは60〜99.5重量%、より好ましくは70〜99.5重量%である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の耐候性、耐熱性、および耐油性が低下するおそれがあり、一方、多すぎると、得られるゴム架橋物の耐熱性が低下するおそれがある。
なお、本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムにおいては、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位として、カルボキシル基含有アクリルゴムに含有される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の全量を100重量%とした場合に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位30〜100重量%、および(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体単位70〜0重量%からなるものを用いることが好ましい。
架橋性単量体単位を形成するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、特に限定されないが、たとえば、炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、および炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルなどが挙げられる。架橋性単量体単位を形成する単量体としてα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体を用いることにより、アクリルゴムを、カルボキシル基を架橋点として持つカルボキシル基含有アクリルゴムとすることができ、これにより、本発明で用いるアクリルゴムの耐熱老化性を向上させることができる。
炭素数3〜12のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、およびケイ皮酸などが挙げられる。
炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸の具体例としては、フマル酸、マレイン酸などのブテンジオン酸;イタコン酸;シトラコン酸;クロロマレイン酸;などが挙げられる。
炭素数4〜12のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルの具体例としては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノn−ブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘキセニルなどの脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノn−ブチル、イタコン酸モノシクロヘキシルなどのイタコン酸モノエステル;などが挙げられる。
これらの中でも、ブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル、または脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルが好ましく、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノシクロヘキシル、およびマレイン酸モノシクロヘキシルがより好ましく、フマル酸モノn−ブチルがさらに好ましい。これらのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。なお、上記単量体のうち、ジカルボン酸には、無水物として存在しているものも含まれる。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴム中における、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜7重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有量が多すぎると、得られるゴム架橋物の伸びが低下する可能性があり、一方、少なすぎると、架橋が不十分となり、得られるゴム架橋物の機械的特性が不十分となったり、耐熱性が低下するおそれがある。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムのカルボキシル基の含有量、すなわち、アクリルゴム100g当たりのカルボキシル基のモル数(ephr)は、好ましくは4×10−4〜4×10−1(ephr)、より好ましくは1×10−3〜2×10−1(ephr)、さらに好ましくは5×10−3〜1×10−1(ephr)である。カルボキシル基の含有量が少なすぎると、架橋が不十分となり、得られるゴム架橋物の機械的特性が不十分となったり、耐熱性が低下するおそれがある。一方、多すぎると、得られるゴム架橋物の伸びが低下する可能性がある。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位に加えて、必要に応じて、その他の架橋性単量体単位を有していてもよい。その他の架橋性単量体単位を形成する架橋性単量体としては、特に限定されないが、たとえば、ハロゲン原子を有する単量体、エポキシ基を有する単量体、水酸基を有する単量体などが挙げられる。
これらその他の架橋性単量体単位を形成する架橋性単量体は、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。カルボキシル基含有アクリルゴム中における、その他の架橋性単量体単位の含有量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲で、適宜決定することができる。
また、本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、およびα,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含む架橋性単量体単位に加えて、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル単量体や、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体を含む架橋性単量体と共重合可能な他の単量体の単位を有していてもよい。
共重合可能な他の単量体としては、特に限定されないが、たとえば、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する単量体(以下、「多官能(メタ)アクリル単量体」と言うことがある。)、オレフィン系単量体、およびビニルエーテル化合物などが挙げられる。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、およびジビニルベンゼンなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリル単量体の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、および1−オクテンなどが挙げられる。
ビニルエーテル化合物の具体例としては、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、およびn−ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
これら共重合可能な他の単量体の中でも、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレンおよび酢酸ビニルが好ましく、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびエチレンがより好ましい。
共重合可能な他の単量体は、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴム中における、これら共重合可能な他の単量体の単位の含有量は、通常、49.9重量%以下、好ましくは39.5重量%以下、より好ましくは29.5重量%以下である。
本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムは、上記単量体を重合することにより得ることができる。重合反応の形態としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、および溶液重合法のいずれも用いることができるが、重合反応の制御の容易性などの点から、従来公知のアクリルゴムの製造法として一般的に用いられている常圧下での乳化重合法によるのが好ましい。
乳化重合は、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。重合は、通常、0〜70℃、好ましくは5〜50℃の温度範囲で行われる。
このようにして製造される、本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)(ポリマームーニー)は、好ましくは10〜80、より好ましくは20〜70、さらに好ましくは25〜60である。
<シリカ>
本発明で用いるシリカとしては、特に限定されないが、乾式法シリカ、および湿式法シリカなどが挙げられるが、アクリルゴム組成物の加工性の観点より、湿式法シリカが好ましい。湿式法シリカとしては、湿式法シリカを焼成することにより得られる焼成シリカを用いることもできる。
湿式法シリカは含水ケイ酸とも呼ばれ、一般的にはケイ酸ナトリウムと鉱酸および塩類とを水溶液中で反応させて製造されるシリカである。また、焼成シリカは、一般的には湿式法シリカを、500〜1000℃で焼成することにより得られるものである。
本発明で用いるシリカは、pHが好ましくは6.0〜10.0の範囲、特に好ましくは7.0〜9.0の範囲である。シリカのpHが高すぎると、得られるゴム架橋物の引張強度が劣る場合がある。一方、シリカのpHが低すぎると、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪み性が悪化するおそれがある。
本発明のアクリルゴム組成物中における、シリカの含有量は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、10〜100重量部であり、好ましくは15〜80重量部、より好ましくは20〜60重量部である。シリカの含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の機械的強度が不足する場合がある。一方、含有量が多すぎると、アクリルゴム組成物の成形加工性が低下するおそれがある。
なお、本発明においては、シリカに加えて、カーボンブラックを併用してもよい。この場合における、カーボンブラックの含有量は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部である。カーボンブラックとしては、特に制限はなく、一般的にゴムの配合用に用いられているものであれば良いが、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。
<ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A)>
本発明で用いるヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A)(以下、適宜、「シランカップリング剤(A)」とする。)としては、分子中に、ヘテロ原子含有官能基(すなわち、炭素および水素以外の元素を含有する、カルボキシル基と反応し得る官能基、より具体的には、カルボキシル基含有アクリルゴムのカルボキシル基と反応することで、シランカップリング剤(A)と、カルボキシル基含有アクリルゴムとの間で化学結合を形成させることができる基であり、たとえば、アルコキシ基などの加水分解性基は含まれない。)を少なくとも有する有機珪素化合物であればよく特に限定されない。
本発明においては、ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A)と、後述する反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B)とを併用して用いることにより、得られるゴム架橋物の耐熱老化性を向上させることができ、特に、熱老化後における、耐圧縮永久歪み性、引張強度および伸び変化率が高度にバランスされたものとすることができる。特に、本発明においては、ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A)と、後述する反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B)とを併用することにより、熱老化による硬化劣化および軟化劣化を高度に抑制することでき、これにより、得られるゴム架橋物の耐熱老化性を向上させることができるものである。
本発明で用いるシランカップリング剤(A)としては、ヘテロ原子含有官能基を有するものであればよいが、ヘテロ原子含有官能基として、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、および塩素原子から選択される少なくとも1つを有するものが好ましく、エポキシ基またはアミノ基を有するものがより好ましい。本発明で用いるシランカップリング剤(A)としては、たとえば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
X−SiR (OR3−m ・・・(1)
上記一般式(1)中、Xは、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、または塩素原子を含有する、炭素数1〜11の基であり、好ましくはエポキシ基またはアミノ基を含有する、炭素数1〜9の基である。上記一般式(1)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、またはt−ブチル基であることが好ましい。また、上記一般式(1)中、ORは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、またはメトキシエトキシ基であることが好ましい。さらに、上記一般式(1)中、mは0〜2の整数であり、0であることが好ましい。
エポキシ基を含有するシランカップリング剤の具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。これらのなかでも、グリシドキシ基を含有する化合物が好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
アミノ基を含有するシランカップリング剤の具体例としては、2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノアルキルトリアルコキシシラン;2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシランなどの[N−(アミノアルキル)アミノ]アルキルトリアルコキシシラン;などが挙げられる。これらのなかでも、アミノアルキルトリアルコキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
また、メルカプト基を含有するシランカップリング剤の具体例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、11−メルカプトウンデシルトリメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、S−(オクタノイル)メルカプトプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのなかでも、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
さらに、塩素原子を含有するシランカップリング剤の具体例としては、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロエチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。これらのなかでも、3−クロロプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤(A)としては、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができ、たとえば、同じヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤を組み合わせて用いることや、異なるヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤を組み合わせて用いることができる。たとえば、異なるヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤を組み合わせて用いる場合における、組み合わせとしては、エポキシ基を含有するシランカップリング剤と、アミノ基を含有するシランカップリング剤との組み合わせが好適に挙げられる。
本発明のアクリルゴム組成物中における、シランカップリング剤(A)の含有量は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、0.05〜5重量部であり、好ましくは0.1〜3重量部、より好ましくは0.2〜1重量部である。シランカップリング剤(A)の含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の熱老化による硬化劣化が大きくなり、熱老化後の圧縮永久歪みおよび伸び変化率が大きくなってしまう。一方、含有量が多すぎると、得られるゴム架橋物の伸びが低下してしまう。
<反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B)>
本発明で用いる反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B)(以下、適宜、「シランカップリング剤(B)」とする。)としては、分子中に、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基(すなわち、反応性を有する炭素−炭素二重結合含有基または炭素−炭素三重結合含有基)を少なくとも有する有機珪素化合物であればよく特に限定されない。
本発明で用いるシランカップリング剤(B)としては、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するものであればよいが、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基として、ビニル基、およびメタクリロキシ基から選択される少なくとも1つを有するものが好ましく、ビニル基を有するものがより好ましい。本発明で用いるシランカップリング剤(B)としては、たとえば、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Y−SiR (OR3−n ・・・(2)
上記一般式(2)中、Yは、ビニル基、またはメタクリロキシ基を含有する、炭素数2〜10の基であり、好ましくはビニル基である。上記一般式(2)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、またはt−ブチル基であることが好ましい。また、上記一般式(2)中、ORは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、またはメトキシエトキシ基であることが好ましい。さらに、上記一般式(2)中、nは0〜2の整数であり、0であることが好ましい。
ビニル基を有するシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのなかでも、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランが特に好ましい。
また、メタクリロキシ基を有するシランカップリング剤の具体例としては、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、4−メタクリロキシブチルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのなかでも、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。なお、メタクリロキシ基は、反応性炭素−炭素不飽和結合に加えて、ヘテロ原子をも含有するが、カルボキシル基と反応し得る部位は、炭素−炭素不飽和結合部分であるため、本発明においては、メタクリロキシ基を有するシランカップリング剤は、シランカップリング剤(B)に該当することとなる。
シランカップリング剤(B)としては、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができ、たとえば、同じ反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤を組み合わせて用いることや、異なる反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤を組み合わせて用いることができる。
本発明のアクリルゴム組成物中における、シランカップリング剤(B)の含有量は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、0.05〜5重量部であり、好ましくは0.1〜3重量部、より好ましくは0.2〜1重量部である。シランカップリング剤(B)の含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の熱老化による軟化劣化が大きくなり、熱老化後の引張強度が低下してしまう。一方、含有量が多すぎると、得られるゴム架橋物の熱老化による硬化劣化が促進され、熱老化後の伸び変化率が大きくなってしまう。
また、本発明のアクリルゴム組成物中における、シランカップリング剤(A)とシランカップリング剤(B)との比率は、「シランカップリング剤(A)/シランカップリング剤(B)」の重量比で、好ましくは0.05〜5、より好ましくは0.1〜2である。「シランカップリング剤(A)/シランカップリング剤(B)」の重量比を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の熱老化による硬化劣化および軟化劣化を高度に抑制することでき、これにより、熱老化後の引張強度と伸び変化率のバランスをより向上させることができる。
<脂肪族多価アミン化合物>
本発明で用いる脂肪族多価アミン化合物は、カルボキシル基含有アクリルゴムを架橋させるための架橋剤として作用するものである。本発明においては、架橋剤として、脂肪族多価アミン化合物を用いることにより、得られるゴム架橋物を熱老化後の引張強度および伸び変化率に優れたものとすることができる。
脂肪族多価アミン化合物としては、炭素数4〜30の脂肪族多価アミン化合物、およびその炭酸塩が好ましい。その具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンジベンゾエート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジアミンカーバメートがより好ましい。これらの脂肪族多価アミン化合物は、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。
本発明のアクリルゴム組成物中における、脂肪族多価アミン化合物の含有量は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.3〜2.5重量部である。脂肪族多価アミン化合物の含有量が少なすぎると、架橋が不十分となるおそれがあるとともに、得られるゴム架橋物の熱老化後の引張強度および伸び変化率が悪化してしまう。一方、含有量が多すぎると、得られるゴム架橋物が硬くなりすぎてしまい、架橋ゴムとしての弾性が損なわれてしまう。
<塩基性架橋促進剤>
また、本発明のアクリルゴム組成物は、上記各成分に加えて、塩基性架橋促進剤を含有していてもよい。塩基性架橋促進剤としては、水中、25℃での塩基解離定数が10−12〜10であるものが好ましく、例えばグアニジン化合物、ジアザビシクロアルケン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、脂肪族一価二級アミン化合物、および脂肪族一価三級アミン化合物などが挙げられる。これらのなかでも、グアニジン化合物、ジアザビシクロアルケン化合物、および脂肪族一価二級アミン化合物が好ましく、グアニジン化合物が特に好ましい。これらの塩基性架橋促進剤は、1種単独で、または2種以上を併せて使用することができる。塩基性架橋促進剤を含有させることにより、本発明の効果がより一層顕著になる。
グアニジン化合物の具体例としては、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジンなどが挙げられる。ジアザビシクロアルケン化合物の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノ−5−ネンなどが挙げられる。イミダゾール化合物の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩の具体例としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリn−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。第三級ホスフィン化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。
脂肪族一価二級アミン化合物は、アンモニアの水素原子の二つを脂肪族炭化水素基で置換した化合物である。水素原子と置換する脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜30のものである。脂肪族一価二級アミン化合物の具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジセチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、およびジオクタデシルアミンなどが挙げられる。
脂肪族一価三級アミン化合物は、アンモニアの三つの水素原子全てを脂肪族炭化水素基で置換した化合物である。水素原子と置換する脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜30のものである。脂肪族一価三級アミン化合物の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリアリルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、およびトリドデシルアミンなどが挙げられる。
本発明のアクリルゴム組成物中における、塩基性架橋促進剤の含有量は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.5〜7.5重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。塩基性架橋促進剤の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の引張強度および耐圧縮永久歪み性をより向上させることができる。
<その他の配合剤>
本発明のアクリルゴム組成物には、上記各成分以外に、ゴム加工分野において通常使用される配合剤を配合することができる。このような配合剤としては、たとえば、補強性充填剤(上述したシリカやカーボンブラックを除く);炭酸カルシウムやクレーなどの非補強性充填材;老化防止剤;光安定剤;スコーチ防止剤;可塑剤;加工助剤;滑剤;粘着剤;潤滑剤;難燃剤;防黴剤;帯電防止剤;着色剤;架橋遅延剤;などが挙げられる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を適宜配合することができる。
さらに、本発明のアクリルゴム組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴム以外のゴム、エラストマー、樹脂などをさらに配合してもよい。たとえば、カルボキシル基含有アクリルゴム以外のアクリルゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどの、カルボキシル基含有アクリルゴム以外のゴム;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどのエラストマー;ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂などの樹脂;などを配合することができる。なお、カルボキシル基含有アクリルゴム以外のゴム、エラストマー、および樹脂の合計配合量は、本発明で用いるカルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは1重量部以下である。
<アクリルゴム組成物の調製方法>
本発明のアクリルゴム組成物は、上述したカルボキシル基含有アクリルゴムに、シリカ、シランカップリング剤(A)、シランカップリング剤(B)、および脂肪族多価アミン化合物、ならびに、必要に応じて使用される塩基性架橋促進剤およびその他の配合剤などを配合し、バンバリーミキサーやニーダーなどで混合、混練し、次いで、混練ロールを用いて、さらに混練することなどにより調製される。
各成分の配合順序は、特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応や分解しやすい成分である脂肪族多価アミン化合物や塩基性架橋促進剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合することが好ましい。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のアクリルゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明のアクリルゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、およびロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、ゴム架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、130〜220℃、好ましくは150〜190℃であり、架橋時間は、通常、2分〜10時間、好ましくは3分〜5時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、および熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、本発明のゴム架橋物は、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。二次架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
本発明のゴム架橋物は、引張強度、伸び、硬さなどのゴムとしての基本特性を維持しながら、熱老化後における、耐圧縮永久歪み性、引張強度および伸び変化率が高度にバランスされ、耐熱老化性に特に優れたものである。そのため本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かして、たとえば、自動車等の輸送機械、一般機器、電気機器等の幅広い分野において、O−リング、パッキン、オイルシール、ベアリングシール等のシール材;ガスケット;緩衝材、防振材;電線被覆材;工業用ベルト類;チューブ・ホース類;シート類;等として好適に用いられる。特に、自動車用のホース用途として好ましい。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の「部」は、特に断りのない限り、重量基準である。
各種の物性については、以下の方法に従って評価した。
[ムーニー粘度(ML1+4、100℃)]
アクリルゴムのムーニー粘度(ポリマームーニー)をJIS K6300に従って測定した。
[常態物性(引張強度、伸び、硬さ)]
アクリルゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら170℃で20分間プレスすることにより一次架橋し、次いで、得られた一次架橋物を、ギヤー式オーブンにて、さらに170℃、4時間の条件で加熱して二次架橋させることにより、シート状の架橋物を得た。得られた架橋物を3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。次にこの試験片を用いて、JIS K6251に従い引張強度、および、伸びを、また、JIS K6253に従い、デュロメータ硬さ試験機(タイプA)を用いて硬さを、それぞれ測定した。
[熱老化試験]
上記常態物性の評価に用いた試験片と同様にして作製した試験片を、ギヤー式オーブン中で、温度175℃の環境下に504時間置いた後、引張強度、伸び、および硬さを測定し、得られた結果と、上記方法にしたがって測定した常態物性とを対比することにより、耐熱老化性の評価を行った。引張強度および伸びは、JIS K6251に従い、また、硬さは、JIS K6253に従い、デュロメータ硬さ試験機(タイプA)を用いて、それぞれ測定した。
引張強度については、加熱後の試料の測定値が大きい方が耐熱性に優れる。伸びについては、熱老化させていない試料の測定値(常態物性の測定値)に対する加熱後の試料の測定値の変化率である伸び変化率(百分率)が0に近い方が耐熱性に優れる。硬さについては、熱老化させていない試料の測定値(常態物性の測定値)との差である硬さ変化量が0に近い方が耐熱性に優れる。
[圧縮永久歪み]
アクリルゴム組成物を、金型を用いて、温度170℃で20分間プレスすることにより一次架橋し、直径29mm、高さ12.7mmの円柱型の一次架橋物を得て、次いで、得られた一次架橋物を、ギヤー式オーブンにて、さらに170℃、4時間の条件で加熱して二次架橋させることにより、円柱状の架橋物を得た。そして、得られた架橋物を用いて、JIS K6262に従い、架橋物を25%圧縮させた状態で、175℃の環境下に70時間置いた後、圧縮永久歪み率を測定した。
この値が小さいほど、耐圧縮永久歪み性に優れる。
〔製造例1〕
温度計、攪拌装置を備えた重合反応器に、水200部、ラウリル硫酸ナトリウム3部、アクリル酸エチル49部、アクリル酸n−ブチル49部およびフマル酸モノn−ブチル2部を仕込み、減圧脱気および窒素置換を2度行って酸素を十分に除去した後、クメンハイドロパーオキサイド0.005部およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.002部を加えて常圧下、温度30℃で乳化重合を開始し、重合転化率95%に達するまで反応させた。そして、得られた乳化重合液を塩化カルシウム水溶液で凝固し、水洗、乾燥してカルボキシル基含有アクリルゴムを得た。H−NMR測定した結果、得られたカルボキシル基含有アクリルゴムの組成は、アクリル酸エチル単位49重量%、アクリル酸n−ブチル単位49重量%、およびフマル酸モノn−ブチル単位2重量%であり、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は35であった。
〔実施例1〕
バンバリーミキサーを用いて、製造例1で得られたカルボキシル基含有アクリルゴム100部に、シリカ(商品名:ニプシルER、東ソー・シリカ社製)42部、ステアリン酸2部、加工助剤(商品名:Struktol WB222、Struktol社製)1部、4,4−ジ−(α,α−ジメチルベンゼン)ジフェニルアミン(商品名:ノクラックCD、大内新興化学工業社製、老化防止剤)2部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:Z−6040、東レダウコーニング社製、ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A))0.25部、およびビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン(商品名:Dynasylan VTMOEO、エボニックデグサ社製、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B))0.75部を添加して、50℃で5分間混合した。次いで、得られた混合物を50℃のロールに移して、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(商品名Diak#1、デュポンダウエラストマー社製、脂肪族多価アミン化合物)0.5部、および1,3−ジ−o−トリルグアニジン(商品名:ノクセラーDT、大内新興化学工業社製、塩基性架橋促進剤)2部を配合して、混練することにより、アクリルゴム組成物を得た。そして、得られたアクリルゴム組成物を用いて、上記方法にしたがい、常態物性、熱老化試験および圧縮永久歪みの各測定・評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
シリカの配合量を42部から44部に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの配合量を0.25部から0.5部に、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランの配合量を0.75部から0.5部に、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5部の代わりに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:Z−6011、東レダウコーニング社製、ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A))0.5部を使用した以外は、実施例2と同様にして、アクリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン0.5部の代わりに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:Z−6030、東レダウコーニング社製、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B))0.5部を使用した以外は、実施例2と同様にして、アクリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
シリカの配合量を42部から40部に変更し、かつ、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
シリカの配合量を42部から40部に、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランの配合量を0.75部から1.0部に、それぞれ変更し、かつ、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
シリカの配合量を42部から44部に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの配合量を0.25部から0.5部に、それぞれ変更し、かつ、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
シリカの配合量を42部から48部に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの配合量を0.25部から1.0部に、それぞれ変更し、かつ、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
ヘキサメチレンジアミンカーバメート0.5部の代わりに2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化工業社製、芳香族多価アミン化合物)1部を、1,3−ジ−o−トリルグアニジン2部の代わりに、ジステアリルアミン(商品名:ファーミンD86、花王ケミカル社製)2部を、それぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例6〕
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを配合せず、代わりに、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B)としての3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:Z−6030、東レダウコーニング社製)0.5部を追加配合した以外は、実施例2と同様にして、アクリルゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006375950
表1に示すように、カルボキシル基含有アクリルゴムに、シリカ、ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A)、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B)、および、脂肪族多価アミン化合物を所定量配合してなるアクリルゴム組成物を架橋して得られるゴム架橋物は、常態物性を良好に維持しながら、熱老化後における、圧縮永久歪み率、引張強度、伸び変化率および硬さ変化量のいずれも良好であった(実施例1〜4)。
これに対し、ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A)を配合しなかった場合には、得られるゴム架橋物は、熱老化試験を行った際に、硬化劣化が促進されてしまい、熱老化後における圧縮永久歪み率および伸び変化率が大きくなり、耐熱老化性に劣るものであった(比較例1,2,6)。
また、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B)を配合しなかった場合には、得られるゴム架橋物は、熱老化試験を行った際に、軟化劣化が促進されてしまい、熱老化後における引張強度の低下が大きく、耐熱老化性に劣るものであった(比較例3,4)。
さらに、脂肪族多価アミン化合物としての1,3−ジ−o−トリルグアニジンの代わりに、芳香族多価アミン化合物としての2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを用いた場合には、得られるゴム架橋物は、熱老化後における引張強度の低下が大きく、また、伸び変化率も大きくなり、耐熱老化性に劣るものであった(比較例5)。

Claims (5)

  1. カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対し、シリカ10〜100重量部、ヘテロ原子含有官能基を有するシランカップリング剤(A)0.05〜5重量部、反応性炭素−炭素不飽和結合含有基を有するシランカップリング剤(B)0.05〜5重量部、および、脂肪族多価アミン化合物0.1〜10重量部を含有し、
    前記カルボキシル基含有アクリルゴム中における、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有量が、0.1〜10重量%であり、
    前記シランカップリング剤(A)が、エポキシ基含有シランカップリング剤、およびアミノ基含有シランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記シランカップリング剤(A)と前記シランカップリング剤(B)との含有比率が、「シランカップリング剤(A)/シランカップリング剤(B)」の重量比で、0.05〜5である
    アクリルゴム組成物。
  2. 記シランカップリング剤(B)が、ビニル基含有シランカップリング剤、およびメタクリロキシ基含有シランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のアクリルゴム組成物。
  3. 前記シランカップリング剤(A)が、下記一般式(1)で表される化合物であり、かつ、前記シランカップリング剤(B)が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項2に記載のアクリルゴム組成物。
    X−SiR (OR3−m ・・・(1)
    (上記一般式(1)中、Xは、エポキシ基またはアミノ基を含有する、炭素数1〜11の基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基、ORは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、mは0〜2の整数である。)
    Y−SiR (OR3−n ・・・(2)
    (上記一般式(2)中、Yは、ビニル基、またはメタクリロキシ基を含有する、炭素数2〜10の基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基、ORは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
  4. 前記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対し、塩基性架橋促進剤0.1〜10重量部をさらに含有する請求項1〜のいずれかに記載のアクリルゴム組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のアクリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
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