JP6385199B2 - 軽油添加剤 - Google Patents
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これまでに燃料油の低温下での使用を考慮した技術として、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の低温流動性向上剤とノニオン系界面活性剤を併用する燃料油の低温流動性改良方法(特許文献3)や、軽油代替燃料である脂肪酸アルキルエステルの低温流動性を向上させる、HLBが1〜9である多価アルコール脂肪酸エステルを含有する脂肪酸アルキルエステル組成物(特許文献4)、水酸基価が850mgKOH/g以下であり、かつ、ポリグリセリンの全ての水酸基のうち1級水酸基含有率が50%以上であるポリグリセリンと、脂肪酸とのエステル化物であるポリグリセリン脂肪酸エステルであって、水酸基価が100mgKOH/g以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有してなる脂肪酸アルキルエステル用曇り点降下剤(特許文献5)等が報告されているが、低硫黄ディーゼル軽油に潤滑性を付与する油性剤の低温耐性を向上させるものではない。
(A)次の一般式(1)で表される化合物
(B)グリセリンの重合度が2以上9以下のポリグリセリンと炭素数が10以上22以下の脂肪酸とのモノエステルであるポリグリセリン脂肪酸モノエステル
を含有し、且つ成分(A)100質量部に対する成分(B)の含有量が0.05質量部以上9質量部以下である軽油添加剤を提供するものである。
また、本発明は、上記記載の軽油添加剤を含有する軽油組成物を提供するものである。
本発明に用いられる成分(A)は、次の一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう)である。
本発明において、化合物(1)は2種以上を併用しても良い。
R1で示される脂肪族炭化水素基としては、例えば直鎖炭化水素基、分岐鎖炭化水素基、脂環式炭化水素基が挙げられ、潤滑性の観点から、直鎖又は分岐鎖炭化水素基が好ましく、直鎖炭化水素基がより好ましい。
直鎖炭化水素基としては、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基、ヘンイコシル基等のアルキル基;8−ヘプタデセニル基等のアルケニル基;8,11−ヘプタデカジエニル基等のアルカジエニル基;4,8,11−ヘプタデカトリエニル基、5,8,11−ヘプタデカトリエニル基、8,11,14−ヘプタデカトリエニル基等のアルカトリエニル基挙げられる。これらの中でも、潤滑性及び軽油との相溶性の観点から、好ましくは8−ヘプタデセニル基及び8,11−ヘプタデカジエニル基である。
前記基−COR1としては、潤滑性及び軽油との相溶性の観点から、好ましくはトール脂肪酸の残基、オレオイル基及びリノレイル基である。
前記脂肪酸としては、潤滑性及び軽油との相溶性の観点から、好ましくはオレイン酸、リノール酸及びトール脂肪酸である。
化合物(1)における全脂肪酸残基のうち、二価以上の多価不飽和脂肪酸残基の量は、潤滑性に優れる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、軽油との相溶性及び低温での析出抑制の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
化合物(1)における全脂肪酸残基のうち、飽和脂肪酸残基の量は、軽油との相溶性及び低温での析出抑制の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
化合物(1)における全脂肪酸残基において、飽和脂肪酸残基と不飽和脂肪酸残基の合計に対する不飽和脂肪酸残基の質量比[不飽和脂肪酸残基/(飽和脂肪酸残基+不飽和脂肪酸残基)]は、低温での析出抑制の観点から、好ましくは0.80以上、より好ましくは0.85以上であり、化合物(1)の製造容易性の観点から、好ましくは0.99以下である。
化合物(1)は、好ましくは前記脂肪酸とグリセリンとのモノエステル及びジエステルから選ばれる1種以上の化合物である。
化合物(1)における、モノエステルとジエステルとの合計に対するモノエステルの質量比[モノエステル/(モノエステル+ジエステル)]は、潤滑性に優れる観点から、好ましくは0.40以上、より好ましくは0.43以上、更に好ましくは0.45以上、更に好ましくは0.50以上であり、低温耐性の観点から、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.70以下、更に好ましくは0.65以下、更に好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.55以下である。
トール脂肪酸はトール油脂肪酸と称されることもあるが、本明細書ではトール脂肪酸と記載する。トール脂肪酸は、原料の松材等により相違するものの、一般的には、オレイン酸及びリノール酸を主成分とし、好ましくは若干のパルミチン酸、ステアリン酸、リノレン酸、ロジン酸を含む。
パルミチン酸とステアリン酸との合計量は、入手容易性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、低温での析出抑制の点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。オレイン酸とリノール酸との合計量は、潤滑性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、入手容易性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
オレイン酸とリノール酸との合計に対するリノール酸の質量比[リノール酸/(オレイン酸+リノール酸)]は、低温での析出抑制の観点から、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.50以上、更に好ましくは0.55以上であり、入手容易性の観点から、好ましくは0.70以下、より好ましくは0.65以下、更に好ましくは0.60以下である。
本発明に用いられる成分(B)ポリグリセリン脂肪酸モノエステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とのモノエステルである。ポリグリセリン脂肪酸モノエステルを構成するポリグリセリンにおけるグリセリンの重合度は、2以上であり、潤滑性及び軽油添加剤の低温耐性の観点から、9以下であり、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、更に好ましくは2である。ポリグリセリン脂肪酸モノエステルは2種以上を併用してもよい。
前記脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イコサン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸等の一価不飽和脂肪酸;リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、5,9,12−オクタデカトリエン酸等の二価以上の多価不飽和脂肪酸;トール脂肪酸、大豆脂肪酸、パーム脂肪酸、菜種脂肪酸等の天然油脂由来の脂肪酸が挙げられる。前記脂肪酸としては、化合物(1)との相溶性及び低温耐性の観点から、好ましくはオレイン酸、リノール酸及びトール脂肪酸である。
不飽和脂肪酸の炭素数は、潤滑性及び入手容易性の観点から、好ましくは18以上であり、同様の観点から、22以下であり、好ましくは20以下であり、更に好ましくは18である。飽和脂肪酸の炭素数は、潤滑性及び低温耐性の観点から、10以上であり、好ましくは12以上であり、同様の観点から、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
なかでも、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルを構成する脂肪酸は、軽油添加剤の低温耐性、及び潤滑性の観点から、上記のトール脂肪酸であることが好ましい。好ましいトール脂肪酸の組成に関しては、前述の通りである。
本発明の軽油添加剤は、例えば、成分(A)と、成分(B)と、更に必要に応じてその他の成分とを、適宜加熱し、撹拌混合等することにより得ることができる。 かくして得られる軽油添加剤は、優れた潤滑性を有しつつ、曇点及び流動点が低く、低温耐性に優れる。本発明の軽油添加剤は、前記効果を顕著に発現させる観点から、より好ましくは低硫黄軽油用の軽油添加剤である。
本発明の軽油添加剤の流動点は、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−25℃以下である。前記流動点は、実施例記載の方法により測定することができる。
本発明の軽油組成物は、軽油及び前記軽油添加剤を含有する。軽油組成物中の軽油添加剤の含有量は、潤滑性の観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上であり、軽油燃料物性の観点から、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。
本発明に用いられる軽油は、本発明の効果を発揮させる観点から低硫黄軽油が好ましく、軽油中の硫黄分は、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下である。硫黄分は、JIS K 2541記載の放射線式励起法により測定することができる。低硫黄軽油としては、原油を常圧蒸留して得られる軽油留分を水素化脱硫装置により、例えば、高い反応温度で水素化脱硫する方法、高い水素分圧で水素化脱硫する方法、高活性を有する水素化脱硫触媒を使用する方法等により得られるものが挙げられる。
(1)グリセリンエステル組成の測定
試料0.25gをテトラヒドロフラン(以下「THF」ともいう)100mLに溶解し、測定用試料溶液として用いた。ゲル浸透クロマトグラフィー法(装置:東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」、検出器:装置付属のRID、カラム:東ソー株式会社製「G2000HXL+G1000HXL」、カラム温度:40℃、流速:1mL/min、溶媒:THF、試料溶液量:100μL)により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。モノエステル、ジエステル、トリエステルを示す各ピーク面積の合計に対する、各ピークの面積比を、試料中の質量組成比とした。
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られた油脂サンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96記載のGLC法により測定した。
<GLC分析条件>
装置:アジレントテクノロジー社製「アジレント6890シリーズ」
カラム:Varian社製「CP−SIL88(100m×0.25mm×0.2μm)」
キャリアガス:He
流速:1.0mL/min
インジェクター:Split(1:200)、250℃
ディテクター:FID、250℃
オーブン温度:174℃で50分保持後、5℃/分で220℃まで昇温し、25分間保持
ポリグリセリン脂肪酸モノエステルを構成するポリグリセリンの水酸基価は、ポリグリセリンのグリセリン重合度(n)を用い、以下の式より算出した。
水酸基価(単位:mgKOH/g)
=56.1×(n+2)/{(92.1−18.0)×n+18.0}×1000
自動流動点・曇り点試験機(田中科学機器製作所製「MPC−102L型」)を用いて測定した。曇点は、ASTM D6749に準拠した方法で、計測間隔1℃で測定した。流動点は、ASTM D2500に準拠した方法で、計測間隔1℃で測定を実施した。曇点及び流動点が小さいほど、低温耐性に優れる。
振子型油性摩擦試験機(神鋼造機株式会社製)を用い、初期振幅:0.5Rad、比例定数:3.2、停止振幅:0.1Rad、荷重:300gf(2.9N)、振幅周期:4秒、接触面圧:1087N/mm2、サンプル温度:25℃で、測定した。摩擦係数が小さいほど、潤滑性が良好である。
担体(Rohm & Haas製「Duolite A−568」)100gと、0.1N NaOH水溶液1000mLとを1時間撹拌混合し、濾過により担体を回収した。担体にイオン交換水1000mLを加え、1時間撹拌し、濾過により担体を回収した。担体に500mMの酢酸緩衝液(pH5)1000mLを加え、1時間撹拌し、濾過により担体を回収した。pH平衡化操作として、担体に50mMの酢酸緩衝液(pH5)1000mLを加え、2時間撹拌し、濾過により担体を回収した。前記pH平衡化操作は、繰り返し合計2回行った。担体にエタノール500mLを加え、30分間撹拌し、濾過により担体を回収した。担体に、大豆脂肪酸100gとエタノール400mLとを加え、30分間撹拌し、濾過により担体を回収した。エタノール除去操作として、担体に50mMの酢酸緩衝液(pH5)500mLを加え、30分間撹拌し、濾過により担体を回収した。前記エタノール除去操作は、繰り返し合計4回行った。担体に、予めリパーゼ(天野エンザイム株式会社製「リパーゼG「アマノ」50」)100gと50mMの酢酸緩衝液(pH5)900mLとを均一に混合して得た酵素液を加え、2時間撹拌し、濾過により担体を回収した。担体に50mMの酢酸緩衝液(pH5)1000mLを加え、30分間撹拌し、濾過により担体を回収した。以上の操作はいずれも20℃で行った。担体に大豆脂肪酸100gを加え、40℃で攪拌しながら、圧力400Paに達するまで減圧して脱水し、濾過により担体を回収した。脂肪酸除去操作として、担体にヘキサン500mLを加え、20℃で30分間攪拌し、濾過により担体を回収した。前記脂肪酸除去操作は、繰り返し合計3回行った。担体を、エバポレーターを用い、40℃、圧力1300Paで1時間脱溶剤し、次いで、40℃、圧力1300Paで15時間乾燥し、固定化酵素を得た。
半月翼(Φ90mm×H25mm)を取り付けた4ツ口フラスコに、トール脂肪酸(アリゾナケミカル社製「SYLFAT 2LT」)388gと、固定化酵素60gとを仕込み、40℃に調整した恒温水槽に浸漬した。400r/minで攪拌しながら、グリセリン212g(トール脂肪酸に対し0.6mol)を仕込み、真空度は400Paに調整し、エステル化反応を10時間行った。得られた反応混合物を取り出し、遠心分離を行って、油層から未溶解のグリセリン及び固定化酵素を沈降させて分離し除去した。その後、ワイプトフィルム蒸発装置(神鋼環境ソルーション製 「2−03型」)を用いて、100℃で脱グリセリンを、160℃で脱酸をそれぞれ行い、グリセリントール脂肪酸エステルを得た。得られたグリセリントール脂肪酸エステルを、「(1)グリセリンエステル組成の測定」記載の方法で測定した結果、モノエステル46質量%、ジエステル42質量%、トリエステル12質量%であった。
また、原料のトール脂肪酸を「(2)脂肪酸組成の測定」に記載の方法で測定した結果、パルミチン酸0.4質量%、ステアリン酸1.2質量%、オレイン酸30.3質量%、リノール酸42.7質量%、その他の鎖状不飽和脂肪酸18.0質量%、ロジン酸1.8質量%、不ケン化物2.0質量%であった。
下記に示す方法により、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル(以下、「PGE」とも記載する)1を調製した。ジグリセリンとしては、東京化成工業製「Diglycerol(ジグリセリン純度80%以上)」を蒸留精製して得られた、ガスクロマトグラフィーによるジグリセリン純度99%以上のものを用いた。
半月翼(Φ90mm×H25mm)を取り付けた1L4ツ口フラスコに、前記ジグリセリン250.0gと、トール脂肪酸(アリゾナケミカル社製「SYLFAT 2LT」)433.3gとを仕込んだ。1L4ツ口フラスコ内の気相部を窒素置換し、以降、窒素を液上空間部に20mL/分の流量で流しながら反応を行った。400r/minで撹拌しながら、約30分かけて250℃まで昇温し、250℃で3時間エステル化反応させた。次いで、約20分かけて70℃まで冷却してジグリセリンとトール脂肪酸とのモノエステル(PGE1)を得た。
PGE1〜7を、製造例1で得られたグリセリントール脂肪酸エステルにそれぞれ添加し、70℃で30分撹拌混合して、軽油添加剤を調製した。成分(A)100質量部に対するPGE1〜7の含有量は表1に示したとおりである。
PGE5を、製造例1で得られたグリセリントール脂肪酸エステルにそれぞれ添加した以外は、実施例1と同様にして軽油添加剤を調製した。成分(A)100質量部に対するPGE5の含有量は表2に示したとおりである。
実施例及び比較例で調製した軽油添加剤について、曇点、流動点及び摩擦係数を測定した。結果を表1及び表2に示す。なお、表1及び表2中、実施例6及び実施例10は参考例である。
これに対し、グリセリンの重合度が10のPGE7は、グリセリントール脂肪酸エステルに溶解せず、均一な軽油添加剤が得られなかった。
Claims (5)
- 前記成分(B)ジグリセリン脂肪酸モノエステルを構成する脂肪酸がトール脂肪酸である請求項1記載の軽油添加剤。
- 前記一般式(1)中の基−COR1がトール脂肪酸残基である請求項1又は2記載の軽油添加剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の軽油添加剤を含有する軽油組成物。
- 軽油中の硫黄分が0.01質量%以下である請求項4記載の軽油組成物。
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